「ええ…」
いつもの戦闘を覚悟していた分、拍子抜け感がすごい。
「これって、あの男の人の闇に飛ばされたって感じだよね」
「うーん。まぁあの人いつも意味不明な所から出てきてたもんね。そういう力でもおかしくないのかな?」
今わかっているのはあの闇は攻撃にも、回復にも使えるということだ。そこに遠距離移動までつくとかあるのだろうか。
「まあともかく、ここがどこかだよね」
辺りにはビルや商店が建ち並んでいる。人の気配はあまりなく、自衛隊ぐらいだ。
「スマホで分かるかな?」
「分かると思うよ?インターネットもあるし天気予報もまだ出来てるんだから、GPSも死んでないと思う」
まあ試そうということで、スマホから現在地を確認する。GPSは生きていたようで現在地が表示された。え~どれどれ。北海道、札幌市ね。なるほどなるほど。
「どうだったの?」
首を傾げる香菜にスマホの画面を見せてあげた。
「……」
「……」
あっ香菜が息を吸った!せ~の!
「「えええええええええええええ!!!!!!!!!!」」
大声に寄ってきた自衛隊を誤魔化した後、適当な場所で話し合った。
「ねぇ。札幌って確かダンジョンで化け物が出なくなったんだよね?」
「うん。確かそうだったはず」
札幌は日本で初めてダンジョンが作られて安全が確保された場所だったはずだ。なら、幾分か人が外に出ていても良さそうなのだが、全然人の気配はない。
「これは後で聞いてみよっか。自衛隊さんに」
「そうだね。じゃあ次、この先どうするかだ。僕はかろうじて聖剣のアイテムボックスに適当なお菓子とお茶が入ってるから少しは持ちそうだよ」
「うーん。わたしはお菓子しかないなぁ。これならもっと食料入れておけば良かったね」
流石にこんなのは想定外だ。後悔したってしょうがない。
「じゃあなんとかしてご飯を手に入れて頑張って帰るって感じかなぁ」
「うーん」
余りにも現実味がない。そもそもご飯を何とかできてもどうやって帰るの?って話ではある。二人揃って頭を悩ませていると、スマホが震え出した。
「わっ!びっくりした~。んー。誰から?」
「えっと、非通知だね」
普段なら出るだろうけど、これが明子からだとすると少し躊躇してしまう。
「香菜。聖域お願い」
「≪聖域≫」
しっかりとそれを確認してから電話に出た。一応スピーカーもオンにしておく。
『烈火正義!今どこにいて何してる!』
少し、焦りを感じさせる口調だった。声からしてヒカだろう。ちょうどいいから質問しよう。
「今ですか?明子らに北海道まで飛ばされました。あの闇は人を転移させる力があるようです。ところでどうすればいいですかね?」
『何だと!クッソ。時間がないから手短に言うぞ!今友井明子がこっちに近づいて来ている。おそらく狙いは俺というより天童香菜の父親だろう。だから信者は見捨てて父親だけ連れて逃げさせてもらう。質問は後にしろ!』
そう言い残して電話は切れた。
「うそ…」
香菜の顔は青ざめていた。