「どうしよう…」
香菜は青ざめた顔でうろうろとその場を動いていた。くそ。昨日あんなことを抜かしておいてこのザマか。
自身を責めるのも勿体ないのでとりあえず香菜の手を取った。
「え、どこ行くの?」
「自衛隊のとこ!一分一秒が惜しいからさっさと行くぞ!」
なかば強引に香菜を引き連れて自衛隊の所まで走る。本当に時間が惜しい。
「すいません!」
「どうしましたか!?」
さっき誤魔化したのと同じ人が対応してくれる。さっきとの違いが激しすぎてものすごい困惑顔だ。
「出来るだけ速く東京まで行くのにどうすればいいですか」
「は?」
なかなか教えてくれない。
「お願いします。教えてください!」
「その前に何かあったのか教えてくれませんか?」
ああ、くそ。まあ自衛隊だもんな。そう来るか。
「東京の家族から救援要請が来たんです!」
「はぁ。それならその地域の自衛隊に任せればいいのではないのですか?」
不思議そうに首を傾げながらそう言ってきた。まあ普通そうするけど、今は明子がいるからダメなんだよ…!どうせ信じてもらえないと思うけど…
「今東京では人を洗脳する魔女が暴れているんです!下手に要請したって意味ないんですよ!大丈夫かわからないから!」
それを聞いて、自衛隊の人は目を見開いた。そしてトランシーバーを取り出す。
「こちら札幌![魔女]を知っている人物が現れました。今すぐ本部に連れていきます」
そして、目の前の自衛隊員は手を差し出して
「その話、詳しく聞かせて貰います。そうしてくれるなら戦闘機でも何でも乗せて、連れていってあげましょう」
有無を言わせず、僕等は自衛隊に連れてかれた。
仮設テントのような物の中に案内され、かなり怖い顔のおじさんが僕等を出迎えた。
「よく来てくれた。さて、時間がそちらもないのだろう?さっさと用件を済ませるとしよう。これを見てくれ」
同時に自衛隊員が僕と香菜の腕の片方を手に取った。そして、怖い人が見せてきたのは昨日、見たばっかの動画だった。
「香菜!聖域!」
「えっ!≪聖域≫」
反射的に香菜に指示をする。香菜は下を向いていたため、まだ洗脳されない。だから≪聖域≫を使ってもらって、僕が洗脳されてもいいようにだ。
「あぁ、スマン。一応横に光魔法持ちを待機させてたんだが、杞憂に終わったようだな。では、質問だ。君達はこの少女を知っているか?いや、おそらく、我々よりも詳しく知っているだろう。それを教えてくれないか?」
期待を含んだ質問に自衛隊員全員が頭を下げる。僕は焦る気持ちを全力で押し止めて、こう言った。
「分かりました。でも、今日以内に東京に帰れるようにしてください」
「当然だ。何なら既に準備させている」
どうやら、ほんとのほんとに自衛隊は明子を追っているらしい。