世界の変化に追いつけない   作:ありくい

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第八十四話

 

とにかく建物の影へと走る。後ろは香菜が全天をしてくれているので、戦車は恐るるに足らず!とは行かなかった。

「ってマジか!」

戦車の砲弾はブロック塀を、民家を、少しも減速せずに貫いて来る。当然、瓦礫も一緒に飛んで来るのでむしろ威力が上がっている。

「あ、正義君!これはちょっと厳しいかも!」

そう言いながら全天を二枚重ね、飛んできた砲弾と瓦礫をすべて弾く。できれば手助けしたいのだが、両手が塞がっている。あ、いや、聖剣あるじゃん。

「聖剣!分裂して香菜のカバーして!」

『『おうよ。まかせとけぇ!フゥゥゥゥゥ!』』

おおう。こんな時でもそんな口調なのか。

「ありがと!聖剣さん!」

かなり楽になったようで全天は一枚で済むようだ。

「私を下ろしてください!」 

必死に逃げつづけている中、香菜と同じく担がれている自衛隊さんは声を上げた。

「大丈夫何ですか?こんな状態ですけど」

僕は勇者という職業のおかげでレベルが10くらいの差ならステータスはむしろ勝っている。そんな僕ですら撒くことが出来ない。その理由となるのはやはり、前に飛び出る人、それも一般人の人の壁だった。

倒壊されていない家の中や瓦礫の影など様々な所から飛び出て来る。まあ反応は出来るし簡単に避けられるのだが、時間稼ぎにはなる。

と、まあ、こんな感じなのに北海道勤めで僕よりレベルが低いであろう自衛隊が何かできるのか、という話だ。

「走ることならできます!」

そんなことを言うので、全天があるうちに自衛隊さんを下ろした。なるほど、確かに速い。僕と同じかそれ以上だろう。さて、少し楽になったとはいえ、ジリ貧であることには変わりない。

「どうすればいいと思う?」

走りながら作戦会議だ。

「それでしたら、分かることがあります。あの戦車が壊しているものの近くには私達以外の人間はいません。何かは分かりませんが、何らかの連絡をとっていると考えてもよいでしょう。ですから…」

そうして前に出て来た人の一人を抱き抱えた。

「ついて来てください!」

自衛隊さんはその飛び出てきた人を頭の上で持ち、何かをアピールしている。そして、建物の影へと滑り込んだ。

「危ない!」

先ほどの砲弾が貫通した映像がフラッシュバックする。続いて警戒するが、いつまでたっても、それは来なかった。

「だから、いわば人質ですよ。こうすれば、「戦車」は攻撃出来ないでしょうし。まあ、自衛隊が何やってるんだって話ですがね」

ハハッと乾いた笑いをあげて、人質となった人を拘束した。ということは、さっきのアピールは敵に知らせるものだったのだろう。

とはいえ、せっかく出来た時間だ。何かこの状況をなんとか出来ないだろうか?

「ちょっと待ってね。≪聖域≫」

香菜が聖域を広げて、自衛隊さんのケガを治した。そして、

「あれ?ここは?」

拘束されていた人も洗脳が解けたらしく戸惑っていてキョロキョロと辺りを見回している。そういえばそんなんあったっけ。……!

「これだ!香菜!聖域と光魔法どっちも使って相手の洗脳を解こう!」

「え?」

「戦車が来ないのなら、防御を聖剣にまかせて、ひたすらきた人から魔法をかけて洗脳を解くんだ!こうすれば敵は減って味方が増えるからやればやるほど楽になるはず!」

「あ、なるほど。正義君光魔法あるもんね!」

「あ、あの。私は…」

「洗脳が解けた人に説明してください!」

と、言うわけで、僕らの反撃が始まった。

 

 

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