手を後ろで縛られながら、てくてくと正義の後を着いていく。傍目から見たらめちゃくちゃ正義が悪者に見えそう。
「えー、なんでそうなったか聞いていいか?」
こちらを振り返らずに正義がそういった。
「長くなるからある程度省くけど簡単に言うとレイと混ざった」
「はい?」
「いやだから、レイと混ざった」
「……」
「なんかね。まだ、俺とレイは中途半端に混ざってるって感じだったらしくて、もっと強くなるために完全に混ざったの。そしたら、目と髪がこんな感じに」
「……」
無言が怖い。理解出来ていないだけならいいけど怪しまれてたらどうしよう…
『皆殺しだー』
黙っててくんねぇかな。こいつ。
さてさて、その後は一言も喋らずに、人の声がする会議室的なところまで連れていかれた。正義が何も言わずに扉を開けた。
「あ、お帰り!正義君。どうだっ……誰その女」
「ヒェ」
香菜がものすごい暗い声で反応した。直前まで笑顔だっただけに恐さが増している。
「いや、外にいたんだけどものすごい速度でここに来た人がいたから話を聞いてみたら自分が純だと言うから連れてきた」
「純君…?こんな髪だっけ?目の色もなんか…」
「とりあえず聖域を頼む」
「ああ、そうだね≪聖域≫」
目の前でよくわからない事が次々と進められている。あ、なんかあったかい。
「じゃあ今は便宜上純と呼ぶけども。純?質問、答えてもらうね?」
あれやこれやといろいろ聞かれて、やっと自分が純だと信じてもらえた。ちなみに完全に混ざった事で姿が固定されることはなく、夜の激痛だけが消えるというとても理想的な状態になったから、死ぬのが一番手っ取り早いのだが、まぁ、そうならなくてよかった。
「ところで、なんでここなの?」
「それはねー。ヒカさんから指定された場所がここなんだよ」
「ヒカさんから?」
俺達がここにくるまで四時間くらいはかかっているから待ち合わせ場所だったとしても、もう合流してそうなもんだがと、思っていると
「ああ、ヒカさんは地下だよ」
地下?
「うん。今ねガレージにいるんだよ。マユさんーあ、あのヒカさんの横にいた人ね?の特訓をしてるらしくて下手したら斬られるからいけないんだよね」
え、あの人そんな名前だったのか。というか下手したら斬られるってなんだよ。
『ねぇ。めがねっ娘のこと聞かなくていいの?』
確かに。
「ところでさ、明子ってどうしちゃったの?突然キスされたりテレビに出てたりとか良くわかんないんだけど?」
そういった途端、空気が凍った。さっきまでのどこかにこやかな空気はもう、どこにもない。
「分かった。じゃあ話すね」
そうして、正義は語り始めた。そうしてー
『私を殺す、ねぇ』
無機質なレイの声が頭に響いた。