世界の変化に追いつけない   作:ありくい

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第九十二話

 

「むっ!第一村人発見!」

「≪光魔法≫」

「今度は集団でいるよ!香菜!」

「オッケー。よっと≪聖域≫!」

近くの空港を目指しながら、人の洗脳を次々と解いていく。少人数なら光魔法、大人数なら聖域といった具合だ。

「まさか、中学上がって久しぶりの三人での遠出が犯罪旅行とはね~」

「いやまあやってることはテロリストだけどさ?必要な事なんだから」

「そうそう。香菜の気持ちは分かるけど実際納得はしたじゃん」

ヒカから詳細を聞くと、明子が海外へ出ないようにするためらしい。とりあえず日本に閉じ込めて置きたいようだ。それでも船とかは?と尋ねると飛行機の方が速く海外へ行けるから先に壊して後から船もやるらしい。

『ねぇねぇ純。これって傍目から見たら完全にテロリストだよね。飛行機とか壊すんだし。それにめがねっ娘の方は化け物を倒しまくる英雄みたいな扱いなんでしょ?これならめがねっ娘の方が洗脳あるなし関係なく、世論はめがねっ娘につきそうだけど』

まぁ~それは、そうだな~。

実際その通りだとは思うが、世論の元となる国民は洗脳されてる事に変わりないからなにやったって世論が味方にくることはないだろう。だから気にしない。

「正義ー?ここから空港までこのペースならどんくらい?」

「えっと、僕等は大体車以上だから…大体5~6時間!」

えっ。日帰りで12時間移動時間とかは笑える。

 

「……ん?正義ー?見たことない化け物二体いるー」

俺はダンジョンの最終日の分の化け物は知らないし、今日の分もダンジョンが増えたせいで情報がなかなか上がらず名前すら把握していない。

「じゃあ俺行くぞー」

「気をつけてね。一応≪光魔法≫!」

「ありがとう。香菜!」

化け物との距離をすこしずつ詰めていく。化け物は片方はゴリラのような見た目をしていて一歩一歩の動作が重く、ちょいちょい地面が振動している。もう一方はローブを被っていて、何なのかよくわからない。まあとにかく、その化けものに向かって、走り出した。

ゴリラの方がこちらを振り返った。瞬間、まだまだ離れているのに、まるで近くにいるかのように拳を構え、振りかぶった。

 

レイ。お願い。

『任せな!』

 

地面を蹴った瞬間、体に痛みが走る。しかし、その代償かと言わんばかりの凄まじい速度で化け物へと肉薄していく。

そして━━━

 

俺が当たった所は全てくり抜かれたように消失した。

そうしてゴリラは消えていった。

手順は簡単だ。地面を蹴る瞬間にレイが代償強化を発動する。ほんとに蹴る直前であるため、行動が止まらず、そのまま足は地面を蹴り、相手へ接近できる。これならどれだけ痛くても、最悪タックルという形で突っ込める。

この利点はどれだけ痛い代償を払っても一回分の攻撃は保証される。それに、突然加速されたら反応出来るものも少ないはずだ。速度だって地面の摩擦を受けないためものすごい速い。しかし、俺は現在、空中にいるのである。いや、正確には足が着いていないだけなのだが、すなわち、何が言いたいのかと言うと、加速した俺は、摩擦がないから簡単には止まれない☆

「うおおおおおおおお!!!とまれぇえええええ」

足を地面につけるとものすごい砂煙が上がり、地面をえぐりながらなおも進んでいく。幸いにも防御力は上がっているので痛みはない。

そして、一キロくらい離れた壁にぶつかり、ようやく止まれた。

この動きは昨日の夜、レイと考えたものだがこれは改良がいるな。威力だけなら申し分ないから後はどう止まれるかだ。

「うし、急いで戻るぞ!」

あのローブのやつまだ倒してねぇ!

すぐさま戻ったのだが、すでにあのローブは正義が処理していて、心配しただのなんだのめちゃくちゃ怒られた。

 

 

 

 

 

あのあとも何度か化け物との戦闘を経て、空港に着いた。何度か戦闘したおかげで新しい化け物についても大体分かった。まずゴリラ。こいつは力が強いだけの雑魚だ。なんか一回殴っただけでビルを半壊させていたが、余りにも遅く、多分レベル1でも何とかすれば避けられるといった感じであり強くはない。ちなみに名前はパワフルゴリラだ。……次ぃ!

あのローブは魔法使いだ。基本というか絶対別の化け物と一緒にいて、遠くからずっとペチペチしてくる。こいつはなかなかに厄介で≪闇魔法≫でサポートなど結構いろんな事をしてくる。今では魔法や石で遠いところからワンパンしている。お名前は魔法使いだ。

 

 

「よし、やるぞ」

空港の建物を目の前にひそひそとそう話す。隠密を使用してこっそりと内部に侵入すると……

「誰だ?」

一人の自衛隊員が見えないはず俺達を見て、そういった。

 

それはどこか聞き覚えのある声だった。

 

 

 

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