旭奇譚~和風ファンタジーな鬱エロゲーの名無し戦闘員に転生したんだが周囲の女がヤベー奴ばかりで嫌な予感しかしない件~ 作:愛川蓮
第二十話
烏こと烏野仁の本体は必死に逃げながら思っていた。
(何故だ、何故こうなった!?)
彼は疲労で重い足を必死に動かしながら後ろを見て……後悔した。
「おいおい、逃げんなよ。俺と殺り合おうぜ……?」
そこには彼が恐れている
(なんで、なんであいつが……あんなモブやイレギュラーどもを邪魔した位で……!)
それは彼とつるんでいる白鷺が橘佳世の側にいるために橘商会の保守派の重鎮の下に護衛として潜伏しているので旧街にいて手が出せず、燕は自身の霊力を巧みに隠して彼が作った式神の霊力から居場所を辿れなかった為であり、式神の霊力から居場所を辿られた挙げ句、憑依術を強くするために新街に潜伏していた彼が狙われるのは必然だったのだ。
「ぐあ!? く、くそ……! 」
疲労と余所見で足が縺れた烏は倒れ、慌てて立ち上がろうとするが……
「やあ……鬼ごっこは終わったみたいだね」
「ぐええ!?」
そう言って赤髪碧童子は烏の前に錨を降り下ろして退路を塞ぎながら、彼の背を踏みにじった。
「じゃあ……死ね」
「ま、待ってくれ! お、俺と取引をしないか!?」
にこやかな笑みから一転し、殺意に満ち溢れた虚無の顔で烏の頭部に向けて錨を叩き付けようとした赤髪碧童子に烏は必死に交渉を持ちかけた。
「お前と取引することは……」
「お、お前にとっても有益な話だ! あんな、伴部とかいう下人や旭なんていうモブよりもよっぽどお前が好みそうな英雄が生まれているんだ!」
「………………ふーん……っで? そいつはどういう風に英雄になるんだい?」
烏が
「あ、ああ! 今は平凡な村の人間だが、三年後には凶妖すらも葬れる強大な異能に目覚める! 育ち方にもよるが最終的には、妖母やあの空亡だって葬れる強さを得るんだ!」
「へ~……そいつは凄い。確かに俺が観察しがいのある英雄だなぁ……旭や伴部に
「……へ?」
烏の話した内容に頷きながらも赤髪碧童子はゆっくりと彼の最後の希望を断ち切る言葉を言いはなった。
「うん、確かに俺が望みうる英雄に届きそうな人間だね。それは認めるよ。あの子狂いや空亡を倒せるなんて凄い奴じゃないか……でも、俺にとってはもう価値が……いや、旭が俺にとっての英雄になった場合は旭の仲間として一緒に戦わせるのもありかな? だから、さ。俺の英雄を伴部と旭を侮辱した奴が紹介した時点で、俺にとっては必要ないんだ……だから、死ね」
「あ、あ……ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「おっと」
赤髪碧童子がそう言った事で恐怖が限界に達したのか、烏は絶叫と共に背中に太鼓を背負った天狗の式神を出すと式神から放たれた樹木を赤髪碧童子が避けた隙をついて逃げ出した。
「まだ式神を残してたのかあいつ……邪魔だよ」
赤髪碧童子は弱い大妖程度でしかない式神をあっさりと殴り潰すと、そのまま烏を追いかけようとして……
「ア、アア……アァ……ニ、ニク……」
「グ……グイ、モ…ノ……」
「ニ、ニク…イ。イギテル、ヤツ……」
「え……な、なんだこいつら……あ、何をする!? や、止め……ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
「……は?」
烏の逃走経路の先から現れた人の死体が妖気を纏った様な妖が大量に現れて彼を捕食し始めた事に赤髪碧童子は眉を潜め……自身に向かってきた妖は容赦なく叩き潰す。
「うぉい!? 何をやっとるんじゃ
「母上、お下がりを」
「……強そうな妖がいる」
赤髪碧童子が声に気付いてあっという間に骨と化していく烏の死体から目を上げると、そこには西洋の貴族の衣装を着た金髪に赤目の古風な喋り方をする小柄な少女とその少女を守るように左右にいる同じ衣装の銀髪赤目の青年と紅髪に赤目の少女とその後ろに控える複数の気配だった。
「お前……子狂いの子供の一人の吸血鬼じゃないか。何をしに来たんだ?」
「うげぇ……お主か、赤髪碧童子。……西方でちと問題が発生してな母上に助力を頼みに来たんじゃよ」
「……知り合い?」
「知り合いではないわ! この英雄馬鹿は妾が五百年前の人妖大乱の時に参加した時に母上にとんでもない暴言にを言った人間を殺そうとした際に戦闘になってな……その時には妾の軍勢が殲滅されたんで命からがら逃げたんじゃよ」
「つまり……敵ということですか」
「下手に攻撃をするなよ。いくらお主が
赤髪碧童子の質問に嫌そうな顔になりながらも答えた金髪赤目の少女に紅髪赤目の少女が知り合いかと尋ねるが……金髪赤目の少女が怒りながら言ったことで銀髪赤目の青年が立ち塞がるが、金髪赤目の少女はそれをやんわりと止めた。
「ま、そういう訳じゃ。お主とやり合うつもりはないので……さらばじゃ」
金髪赤目の少女はそう言うと、二人や屍鬼、残りの気配と共に影に潜り込むとそのまま赤髪碧童子から離れて行った。
「やれやれ、狐の次は吸血鬼……下手をすればあの子狂いか。旭や伴部も大変だねぇ……」
赤髪碧童子は期待と恋を同居させた様な表情をしながらも……その瞳は泥沼の様に濁りきっていた。
「今回も期待に応えてくれよ? 俺も今回は手助けしてやるから、さ」
そう言って鬼は己の体を霧に変えると、己が勝手に居候している古本屋へと戻って行った。
──────────
時は進み、我々の知っている現代に似た時代……この時代では科学技術の発展によって旭や旭衆等の退魔士達の存在や赤髪碧童子等の妖の存在は非科学的だとして既にお伽噺や伝説上の存在とみられていた。
しかし……泥棒の種が無くならない様に、どれ程科学技術が発展しようとも闇は無くならない。
そのほんの少しの闇の中に潜んでいた弱小だが狡猾な知恵を持っていた妖達はその中で人々を辱しめ、数を増やし力も増して何時かまた只人を支配しようと暗躍をしていた。
昔からの資料で妖達が潜伏している事を退魔士の子孫や扶桑国の政府も知っており、妖退治をしているのだが……それらの存在を生意気だと感じている只人の妖への内応や、そもそも退魔士達の血筋が薄れている為の弱体化等によって搦め手で撃破され、男性の退魔士は殺され、女性の退魔士の場合は苗床や辱しめの対象にされる事が多かった。
しかし、闇が深ければ深いほどそうであるが故に輝く光もまたあるのだ……
扶桑国の首都の某所にある高級ホテルの隠し部屋。
そこでは妖や妖に取り入っている人間達が集まり、捕らえられた退魔士や只人の女性達をオークションで売り買いをしていた。
しかし……何時もとは勝手が違っていた。何故ならば本来は出来レースで買われる筈の退魔士や只人の女性達がたった一人に全て買われているからだ。
「く、くそ! 十億だ!」
「魂付きで、二百億」
「んが!?」
「ひゃ、二百一億、二百一億円はいらっしゃいませんか!? ……いらっしゃいませんね。エントリー番号十八番は二番のお客様が落札いたしました!」
三段腹の首まで脂肪に埋まっている男性の金額の二十倍の値段を言った金髪の少女に怯えた表情で震えていた金髪のミッション系の退魔士の育成校に通っていた少女が買われる。
「さ、流石は橘コンツェルンの次期総裁……太っ腹ですなぁ……」
「噂では橘コンツェルンは小国の国家予算分も稼いでいるんだとか……」
そんな無双劇を繰り広げる少女にヒソヒソと下卑た男達が話すが、少女は何処吹く風と耳飾りを動かし……にこりと微笑んだ。
直後に隠し部屋の扉が弾かれる様に開かれ、そこから完全武装の警官隊が押し寄せる。
「人間は動くな、妖は死ね! 退魔七課だ! 妖対処法第七条に基づいて、人間は逮捕し妖は処分する!」
その言葉と共に片目が魔眼の青年が逃げ出そうとする両者を睨むと、只人はまるで金縛りにあったかの様に動きを止め……妖はそれと同時に針金か何かのようにネジ曲がり、血を垂れ流すオブジェと化した。
「ひ、ひぃ!?」
そんな妖にとっての虐殺現場と化したオークション会場から一人の男が慌てて設けられていた隠し扉から逃げ出す。
彼は複数ある退魔士養成学院の用務員達の内、退魔士達に不満のある者達を纏め上げて退魔士達の名簿や任務の詳細などを横流しして不当な利益をあげていた人間である。捕まれば今まで吸ってきた甘い汁の報いを受けるとわかっている為に
「逃げんなよ、屑野郎」
「ぶげぇ!?」
出口までやって来た男が目の前から繰り出されたヤクザキックを受けて吹き飛ばされる。男は慌てて立ち上がりながら前を見て……愕然とした。
そこには首や上半身、下半身を無くしたお得意様達やその護衛の妖達の死体が転がっており、その先には登り行く太陽の印が入った腕章を身に付けた複数の男女と和装に白毛の狐耳の美女が立っていたからだ。
「年貢の納め時だぜ? 大人しく、法の裁きを受けな」
「あ、旭衆……!?」
その先頭にいるオレンジ色の髪をポニーテールにしている青年がにこやかに笑いながらも拳を鳴らしながら近付き……青年達の組織に気付いた男は青年が放った拳が眼前に迫ってきた段階で意識を失った。
「うーし……これで妖どもも暫くは静かにしてるだろ」
「
「
「……
オレンジ髪の青年『鬼月白夜』は桃色の髪をうなじで纏めている青年『鬼月紫音』と黒髪を三編みにしている少女『鬼月雛子』からの注意にふて腐れながらもノックアウトした男の腕と足に手錠をかけ……ふと気付いた事を狐耳の女性に問い掛ける。
「白先生、
「ああ、赤穂君でしたら橘さんの所に……」
「あいつは……ベタ惚れだからって
「あはは……」
女性……美しく成長し九尾となった白は困ったように『赤穂九恩』が恋人の『橘小百合』の所に行ったと言うと、白夜は溜め息を吐きながら呆れ果て、そんな白夜に白は苦笑いをした。
「
「うん。大丈夫だよ、
「それは、お前がどんくさいからで……」
「兄さん、純情青春恋愛も早めに終わらせてくださいよ? 環奈さんって、意外と人気者なんですから……」
「
ほんわかな雰囲気を出す少女『蛍夜環奈』を黒髪の眼鏡の青年『鬼月遠矢』が気遣うとそんな遠矢を銀髪を腰まで伸ばした遠矢の妹の『鬼月真矢』がからかい、遠矢はそんな真矢を追いかけ回す。
「あ~クロイツと王、吾妻達の方はどうよ?」
「そちらの方は別の隠し通路から逃げ出した妖を追撃しているみたいですけど……もうすぐ鎮圧できるみたいです」
「おっし! それじゃあ俺達も……」
仲間内では何時ものノリで行われている追いかけっこに白夜は呆れながらも仲間達と共に残りを片付けようと動こうとして……それに気付いた。
「なんだ、これ……魔法陣?」
「これ、白先生以外の全員が対象……!?」
「全員、退避を……!」
「悪い、今戻った……! 首削ぎ丸!」
紫音の言葉と共に全員が魔法陣の外へ逃げ出そうとするが、そこに戻って来た紫色の髪の青年……赤穂九恩が脊髄反射的に己が受け継いだ妖刀を魔法陣に叩き付けると魔法陣は『待ってました!』と言わんばかりに光輝いた。
「あれ……? もしかして、俺……やっちまった?」
「完全無欠にその通りだ、バカヤロー!」
「皆さん!」
完全に自分のせいで事態を悪化させた事に気付いた九恩が額から冷や汗を流し、そんな九恩に白夜が飛び蹴りを叩き込み……白が教え子兼大切な人達の子孫を助けようと妖術を行使するが間に合わず、白夜達は一段と輝いた魔法陣に飲まれてその場から消え去った……同時刻に同じ現象が複数起こっていたのだが……その原因及び結果は誰にもわかっていなかった……
────────ー
時は皇紀の一四四〇年へと戻る。
「おかしいっすね~」
あたいは少しばかり苛立ちながら、伴部さんと伴部さんを迎えに行かせた白ちゃんを待っていたっす。
「おかしいって……何がだよ?」
「いや、一緒に鍛練をした時間的にも距離的にもそろそろ伴部さんと白ちゃんが来てもおかしくないのに来ないんすよ」
「いや、それ多分だけど白の毛皮のせいで布団か抱き枕代わりにされてる光景が目に浮かぶぞ」
「あ……」
あたいがおかしいと思っている事を夜に言うと、夜は呆れながらあたいにそう言ったっす。
「つーか、服装からしてこの時間から何処に行くんだよ? 幾らなんでも早すぎるだろ」
「ん~夜には話しても良いっすよね。まあ、今回の外出は紫姉から葵姉が逃げるために朝一で出てすれ違おうって魂胆なんすよ」
「あ~……今日は気分じゃなかったのか」
まあ、そういう事っす。にしても……葵姉が変わってくれて良かったっすよ。前までは気分じゃなくても紫姉の事なんて路傍の石位にしか見てなかったし……まあ、紫姉も紫姉で相手の事を考えない早口が原因で葵姉から嫌がられてたんすけどね……
「確か、
「後、あたいが葵との稽古で勝ったからっすよ」
ゆかちゃんが紫姉の矢継ぎ早な早口をある程度抑えてくれる様になったのと、あたいが葵姉に薙刀の稽古で勝って多少は凡人にも目を向けてくれる様になったお陰で紫姉も無視をされる事が減ったんすよね(それでも五回に三回は話を聞かないけど……)。
「ま、それならしょうがねーか。俺が伴部を連れてきてやるよ」
「頼むっす。痺れを切らした葵姉を花さんが抑えてられるのも限界があるんすよね。葵姉が伴部さんの所に行ったら……最悪、白虎と葵姉、雛姉との血みどろの殺しあいに発展するっすよ」
「あいつ、今日も伴部の所に夜這いに行ったのかよ……」
あたいが大真面目に行った言葉に夜は心底呆れながら伴部さんのいる下人用に逢見家が建てた掘っ立て小屋に向かって行ったっす。
「後は……間に合わなかった場合の葵姉への謝罪や、今日は伴部さんを葵姉が独占しちゃった事に対する雛姉への説明を考えなきゃいけないっすね……」
あたいがその事で頭を抱えていると……
「なんすか、この変な霊力?」
あたいが妙な霊力を感じて上を見ると……上空に男の人と女の人がって、えぇぇぇぇぇ!?
「なんで、いきなり人がって……言ってる場合じゃないっす!」
あたいは式神用のお札を取り出すと、それを地面に叩きつけるっす。
「出番すよ、『
あたいがその名を告げると、式神はその意味を察したのかあたいの体は空に打ち上げられたっす。
因みに、澄影って本来は葵姉の所有する本道式なんすけど都にいる間だけ「何かあったら使いなさい」って事で貸して貰えたんすよね。
「大丈夫っすか!?」
「このままじゃ、地面の染みにって……うわ!?」
「どうすれば、貴方は……!?」
あたいが男の人と女の人と同じ高さまで打ち上げられると、いきなり現れたあたいに二人は驚きの声をあげたっす。
でも、見たこともない衣装っすね……何処の国の人なんすかね?
「って、言ってる場合じゃない……
あたいがその名を告げると、あたい達の体が落ちるのが急激に遅くなったっす。
空天は気体が空気中の妖気や霊力を吸収して生まれた妖で(アリシア曰く『精霊』の誕生経緯に似てるんだとか)偶々あたいが出会って、霊力を分け与えたらなつかれて式神になっちゃったんすよね。
因みに能力は気体を自在に操れる事なんすけど……範囲が調節しにくい上に集中力も必要で、しかも霊力も結構使っちゃうんで緊急の場面だと使いにくいんすよね……あたいとしてはもっと活躍させたいんすけどね。
「もう大丈夫っすよ。地面まで降りたら、なんで空から落ちて来たのか……「でー!? 避けろぉぉぉぉぉ!」ふえ……ぶ!?」
あたいが二人ににこやかに笑いながら話を聞くための準備をしようとして……悲鳴が聞こえたから、上を見ると、そこには二人と同じ服を着た刀を腰に携えた男の人の額があたいの額と激突したっす。
(不味……空天の調節が…!)
あたいは必死に空天の能力を維持しようとして……あれ? なんか、あたいと一緒に空天を維持している人がいるような……?
「……空天に顔の十字の傷、まさか……貴方が」
「だろうな」
あたいが周囲を見渡すと、そこには空天に霊力を分け与えて能力を維持してくれている二人がいたっす。
と、言うか……この人達って、退魔士……? でも、こんな人達は北土にはいないから……東か、西の人っすかね?
「いって~わ、悪い……」
「あんたが間が悪いのは、何時もの事よ九恩」
「地面に降りたら説教だからな……?」
「ひええ……」
後から落ちてきた男の人と知り合いなのか、二人はわりと怒りながら男の人を見るっす。
でも、男の人が腰に携えてる刀の鞘って紫姉の根切り首削ぎ丸の鞘に似ている様な……?
「着地っと……空天、澄影もご苦労様っす」
あたい達は地面に軟着陸をすると、式神達を札に戻して三人に向き直るっす。
「それじゃあ、どうして空から落ちて来たのかを説明してもらえるっすか?」
「その前に都のど真ん中で本道式を展開したお馬鹿な妹の説教をさせてもらおうかしら?」
「何を考えてるんだ、お前は……!」
「……あ」
あたいが声に振り向くと、そこには物凄く怒ってる雛姉と葵姉がいたっす。
「旭、今の霊力はなんだぁ!?」
「旭様、ご無事ですか!?」
「旭!」
「ふぇぇ……皆さん、待ってください……」
「旭様、大丈夫ですか!?」
あたいがどう説明しようかと迷っていると夜を先頭に伴部さん、少し着崩した部屋着を着た白虎、少し遅れて白ちゃんを連れた唯ちゃんが来たっす。
「えっと……大丈夫なんすけどね」
あたいが雛姉と葵姉の前で正座しているのを見ると、伴部さんと唯ちゃんを除いた全員が納得した様な顔で呆れていたっす。
(ちょっと、伴部!? あれって、どう考えても現代の衣装よね!?)
(ブレザーにセーラー服だからな……と、言うよりもどうも桃色髪の男はゴリラ姫に黒髪の女は姉御様に、もう一人は赤穂紫に似てないか……?)
(そう言えば……)
あたいが正座をしながら雛姉と葵姉から怒られていると、伴部さんと唯ちゃんは慌てながら内緒話をしていたっす。
此処最近は伴部さんと唯ちゃんって、仲が良いんすよね……何が切っ掛けで仲良く……ん? この霊力は……
「へぶ!?」
「んげ!?」
「「白夜!?」」
「「旭!」」
あたいは頭部から伝わってきた衝撃で目の前に火花が飛び散り……段々と意識が遠退いて行くっす。
「旭、大丈夫か……って、白眼をむいてるぞ!?」
「今の一撃で気絶したの……!?」
「みたいですね……」
「白夜は相変わらずの石頭だな……」
「てめえ、九恩! この野郎!」
「ぶげ!? 白夜、てめえ……いきなりそれかぁ!」
「うるせえ! 誰のせいでこうなってると思ってんだこの野郎!」
「なにおう!」
「ちょっと、あんた達!?」
「何も知らない人達の前で喧嘩をするな! 見苦しい!」
薄れ行く意識の中で、あたいと同じ色の髪の男の人が紫姉と同じ色の男の人に飛び掛かって取っ組み合いになり、それを雛姉に似た感じの女の人と葵姉に似た感じの男の人が止めようとして……
(何か、旭衆で喧嘩が起きた時の状況に似てるっすね)
あたいはそんなことを思いながら気を失ったっす。
因みに、起きた時に聞いた話っすけど喧嘩は最終的に怒った雛姉と葵姉の一撃で二人が殴り倒された事で終わったらしいっす。
次回もお楽しみに!