旭奇譚~和風ファンタジーな鬱エロゲーの名無し戦闘員に転生したんだが周囲の女がヤベー奴ばかりで嫌な予感しかしない件~   作:愛川蓮

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明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします!


章末・中

「あ……あアぁァアぁ!?』

「みんな気を付けろ、また旭が起きたぞ!」

「しかも変異しつつある!」

「旭、薬が出きるまでは寝ててください!」

 深夜の逢見家から旭に与えられた部屋で旭衆の面々が顔の一部分を妖に変化しながら起き上がる旭を部屋から出さないために総出で気絶させて無理矢理寝かせる。

 

「くっそ……伴部は時々の癖に旭は頻繁に起きやがって……」

「お陰で休む暇がないわね。まあ、全面的にあの妖が悪いんだけどね……」

「まあな……」

 夜と花が旭の隣で寝ており、同じく妖化しながら起き上がっては総出で物理的に寝かせている伴部との違いにボヤキながらも浅い呼吸を繰り返しながらも無意識に妖化に耐えている旭の頬を撫でる。

 

「ガァアぁァ!』

「今度は伴部か! ……葵様、薬はまだですか!?」

「……大分出来上がってきたわ。後は御姉様とあの泥棒猫待ちよ」

 起き上がって暴れようとする伴部を唯が呪具で抑え込みながら薬を煎じている葵にそう尋ね、葵は煎じている薬の分量や材料を見比べながら最後の材料を確保しようとしている雛と白虎の事を言う。

 

(うわっちゃあ……伴部が白虎を庇ったせいで妖化しそうになってるせいで余計にゴリラ姫の白虎に対する敵意が増してるなぁ……それは、姉御様もだけど)

 唯は伴部に強制的に昏倒させる呪具を叩き込んで眠らせながら白虎に対する敵意を隠していない葵に内心で頭を抱える。

 

 屋敷に帰った直後、旭の怪我を見て大騒ぎになった屋敷の人間達の隙を突いて総出で幾十にも結界と人払いの術を重ねた。それこそ上洛団の代表たる宇右衛門でも簡単には破れない程厳重に、だ。旭達の状態を見られたら取り返しがつかなかっただろうからだ。

 

 良くて監禁封印、普通であれば殺処分、最悪は理究衆によって実験動物にされて二人揃って死ぬよりも恐ろしい目に遭う所であった。ましてやあの『妖母』とその直系の吸血鬼の力によって変異させられた被験体なぞ滅多に手に入るものではない。原作でも身震いしたあの狂人連中に知られればどうなるか……唯の予想では雛と葵は最悪伴部と旭の異変を目にした人間をその場で死体も残さずに殺害する事すら想定していたと考えている。幸か不幸か、若しくは唯や旭衆の願いが通じたのか、そのような事態は起こらなかったが……

 

 とはいえ無事に旭の自室に保護してもその後が問題だった。止血と傷口の縫い合わせ自体はどうにかなったが、体内に侵入した濃厚で濃密な化物の体液はゆっくりと、しかし確実に二人の身体を変質させていった。

 

 それはさながら芋虫が蛹の中でその身体を溶かして蝶に変貌するように、身体を内部から作り替えていく……旭の自室で寝かせた時点でおおよそ全身の一割程度であろうか? 恐らくは侵入したのは二人が刺された首筋と肩、そこから広がるように、脈打つように、犯すように異形に作り替えられていた。

 

 唯も妖化を食い止め、延命する秘薬自体はあるのは知っているが……それはあくまでもそれは延命であり、根治ではない。あるいは朝廷の禁術の類いならば探せばあるかも知れないが……どちらにしろ今すぐにそれを発見し、調合するのは二人の状態を考えると絶対に無理な事だ。

 

 ましてや、延命の秘薬すらその材料はかなり入手困難な代物だ。ようは妖化しつつある肉体を人間のそれに再度作り替えるのである。妖化が体内に侵入した妖力によるものであれば当然それに相反するだけの霊力が必要な訳だが……様々な材料の中でも、特に霊力の高い人間の血液やら心臓やらなぞそう簡単に得られるものではない

 

 かといって低級な材料で代用というのも、有象無象の雑魚妖の体液によるものなら兎も角、その起源が堕ちた神族であるとも伝わるあのおぞましい『妖母』とその直系の吸血鬼のそれとなれば中途半端な代物では多少の効果があるかも怪しい。

 

 だからこそ……雛と葵は遠回しに白虎に「伴部と旭を助ける為に自殺して霊力の高い人間の血液と心臓(お前の血液や心臓)を寄越せ」と告げたのだ。

 

 その言葉でそもそも自分が回避できていれば伴部はこんな苦しみを味わう事は無かったという自責の念にかられていた白虎が本当に自身の心臓を抉り出そうとするのを旭衆の面々が止めていた際に薬の材料を持ってやって来た人物によってどうにかこうにか白虎の自己犠牲をとめることができたのである。

 

「……雛様の心臓を持ってきた」

「……御姉様はどうしたのかしら?」

「吹き出した血の後始末と貧血で少し休んでる。一、二回程失敗して、血を流しすぎたから」

(つーか、よくよく考えたら……姉御様の心臓を使った方が犠牲も少ないし、確保もしやすいのよね)

 やって来た人物……胡蝶の式神に理路整然と論破された事で薬を煎じるのを葵が、心臓と血液の確保を雛が、変化しつつある旭達を取り押さえて部屋から出さないようにする役目を旭衆がそれぞれ担当することになったのだ。

 

 そもそも、薬作りの腕前はあらゆる事に天才的な葵が相応しく、その材料で最も入手が難しい霊力の高い人間の血液や心臓は霊力がありさえすれば死すらも無力化する異能を持つ雛が適任であり、その間に旭達を足止めするのは人数がいる旭衆が担当するのは当然の事だった。

 

「まあ、なんにせよ……胡蝶様、ありがとうございました。お陰で白虎も自殺させずにすみましたし……」

『あらぁ、私は大切な義理の孫娘の旭やその旭の御付きのこの子、旭のお友達の為に当然の事をしたまでよ?』

(どの口が言うのやら……)

 当主の策略に気付いていたにも関わらず、実の孫娘()を見殺しにしようとした祖母(胡蝶)に対して内心で呆れながら旭の容態を見ていると……

 

「……戻ったぞ」

 血が大量に出たにも関わらず、顔色が普段のまんまの雛が部屋の扉を開けて入ってくる。

 

「葵、薬はどうだ?」

「今、出来たわ」

 葵は二人分の煎じた薬をお椀に乗せて差し出す。

 

「本来は丸薬なんだけど……今回は液状のまま使うわ」

「まあ、そりゃそうですよね」

 唯は葵の言葉に頷きながらお椀を受けとると、それを伴部と旭の口の中に二人が噎せない量で少しずつ流し込む。

 ……因みに伴部に薬を飲ませるのを誰にするかで恋する乙女達(雛、葵、白虎)が揉めそうになったため、旭の親友であり伴部ともそれなりの付き合いのある唯が飲ませる事が胡蝶の鶴の一声で決まったために唯はヤンデレ達(雛と葵)に光のない目で睨まれたせいで生きた心地がせず、白虎は泣きそうな目で見ていたせいで罪悪感にかられてしまった。

 

 すると……荒い息だった二人の呼吸が柔らかくなり、変化しつつあった顔も元の顔へと戻っていった。

 

「……はぁ~、効いたみたいね」

「うん……良かった。本当に良かった……」

 とりあえずは二人が助かった事に唯は息を吐き、白虎は涙を浮かべる。周りの旭衆の面々も互いの肩を叩きあったり、安堵の息を吐くものもいた。

 

「………ねぇ、さっきから疑念に思っていたのだけれどお祖母様。貴女は一体何を考えて私達に助け船を送っているの? 今回の事、他の爺共の了承を得ている訳でもないのでしょう?」

「……それは私も気になっていた所だ。旭の分だけならまだ鬼月家の体裁の為だと思えるのだが……それだと伴部の分まで煎じれる量を送るわけがない」

 葵と雛はそんな旭衆を尻目に胡蝶に対して探る様に尋ねる。そう、その通りなのだ。今回の助け船なぞ、本来ならば許される事ではない筈なのだ。義理とはいえ本家の人間である旭までなら兎も角、たかが下人一人相手にここまで葵が執着する事も、雛が自分の腹を捌く事も、どちらも鬼月の家の歴史と体面を思えばやって良い事ではない。それをこの若作り婆は……何故自分達の味方をする? 

 

『あら? そんなに不思議な事かしら? 私は鬼月の長老である前に貴女達のお祖母ちゃんよ? 可愛い孫達を可愛がる事も、その御願いを叶える事も、お祖母ちゃんとしては当然の事、違うかしら?』

「「どの口が!」」

 そんな白々しい事を言う胡蝶に雛と葵は冷徹な眼を向けるが、胡蝶はそんな二人の視線を飄々と受け流す。

 

『では、年寄りはそろそろ立ち去りましょう。……あぁ。伝えるべき事、でしたね。宇右衛門については私から話は通しましたから安心して下さいね? ちゃんと言い訳の内容は作りましたから此方から一々口にする必要はありません。それと……赤穂の家には後程見舞いにいくのを忘れぬように。彼処は末の娘達を溺愛していますし、朝廷に対して口裏を合わせる為にも顔は見せなさい。此方から予定は入れましたから。最後に次の薬の材料ですが、遅くとも廿日後に送りますからね?』

「……至れり尽くせり、ありがとうございます」

『素直な言葉をありがとう』

 唯のそんな言葉にそう言いながら、胡蝶の式神は燃え尽きる。

 

(安心したら、眠くなって来たわね)

 唯は自身の瞼がだんだんと重くなって来たのを感じる。

 

「……交代で経過を観察しましょう。一回目は夜と花がお願い」

「了解」

「わかったわ。……雛姫様、葵姫様。今は私達が彼らを見ているので、お休みを。寝るのも彼らを救うための仕事ですので」

「……わかったわ」

「……何かあったら起こしてくれ」

 そう言って全員が旭の部屋から近い場所に向かって行き、そこで寝始めた……

 

 ──────────ー

 俺が怒り心頭の鬼月旭に殴られてから一週間後……

 

「はい、第二回転生者会議を始めます」

「また唐突だな……」

「あはは……」

 俺はまたしても唐突に開かれた会議に乾いた笑いを浮かべる他なかった。

 因みに、今回も橘沙世が俺の見舞いに来た際の護衛と言う名目で葛葉唯も此処に来ている。

 

「でも……今度は下人用の小屋じゃなくて、旭ちゃんの部屋なんだよね? 会議なんて出来るの?」

「とりあえずは大丈夫よ。旭はリハビリ訓練中だし、姉御様とゴリラ姫はその付き添いで旭衆のみんなは依頼で方々に散ってていないし、デブ衛門は新しく利権に食い込んだ下水道の事で出掛けてるから暫くは此方によってくることはないわ」

「そうなんですか……」

 葛葉唯の言葉に橘沙世が頷く。

 

「今回の議題は一週間調べてみてわかった事の報告と今回の依頼で原作から変わった事……それから、伴部と旭に付与された爆弾についてよ」

「えっと……何がわかったんですか?」

 葛葉唯が議題を言うと橘沙世が何がわかったのかについて聞く。

 

「……最初にわかったのは、クロイツ家の前当主であるルード・クロイツが転移したのがデアラ……『デート・ア・ライブ』の世界って事よ」

「え、なんでそこでデアラの事が出てくるんですか?」

 いきなり出てきた闇夜の蛍に関係ない作品の話題に橘沙世は首を傾げるが、葛葉唯はそれを制しながら次の言葉を紡ぐ。

 

「本来なら闇夜の蛍には絡まないんだけどね……どうにも、人妖大乱での妖の敗北を時間を遡る事で防ごうとした妖側の魔女がいたみたいで……それを防いだ際にデアラの世界に飛ばされたみたい」

「時間改変系の魔法ですか……あれ? それでなんで世界の壁を超えちゃったんですか?」

「そっちについてはまだわからないわ。……それで、ひょっとしてって思って、実家の方から持ってきた古文書をもう一回最初から読んだんだけど……これがビンゴ。魔女の魔法が暴走して闇夜の蛍以外の作品から色んな作品の人間が人妖大乱時に人間側で戦ったみたい」

 葛葉唯はそう言いながら表紙が読めないくらいにボロボロの本を取り出すと、栞のついている部分を捲りその一点を指す。

 

「これは『奇怪なる刀を振るいし黒装束の剣士、あらゆる妖を撃ち抜く純白の弓兵、妖化をも癒す結界と治癒の術士、剛力を誇りし鉄拳の拳士』ってのがあるでしょ? こんな表現をされる四人と言えば……」

「……BLEACH(ブリーチ)の主要人物四人か」

正解(エサクタ)って所ね。他の登場人物も来ている可能性はあるけど、解読できる範囲ではこの四人がいたって言う事実が重要なのよ。次に……」

 次に葛葉唯が指し示したのは、『自在に動く下駄を振るい、髪の毛を飛ばし、白き妖気で妖を撃ちし妖あり』と『黄金の狼の鎧を着込みし卓越した剣士』という部分が書かれていた。これは……

 

「ゲゲゲの鬼太郎の鬼太郎と……」

牙狼(がろ)……か。どの作品のかはわからんが」

「正解。この他にも色々いるっぽいけど……あたしが解読できた範囲ではこの三作品が精一杯だったのよ」

 俺達は人妖大乱時の凄まじくカオスな展開を思い浮かべ……疑問がわいてきた。

 

「なんでこれを報告したんだ? 意味があまり……」

「……下手をしたら、闇夜の蛍の原作に他の世界の人間がやって来て原作の展開を変える可能性があるって意味よ。知っていて心構えが出来るのと、心構えが出来なくてパニックるよりはマシって事」

(ああ、そういう事か)

 俺は葛葉唯の言葉を聞いて成る程と思う。別の世界の人間が原作に介入したせいで原作から変わっている部分があってもパニックにならずに済み、パニックにならない事から下手な動きをして死亡フラグを建てずにすむ……と、いうことだな。

 

「成る程……確かにその通りですね」

「んじゃ、次の話題ね。次は今回の依頼での原作から変化した事だけど……妖母が下水道から落ち延びた事で都の真下から妖が急襲して都の住人が大勢死ぬ……なんて展開が避けられたのは大きいわね」

「え゙!? ほ、本当ですか……!?」

 葛葉唯の言葉に橘沙世は凍り付きながらそう言うが……

 

「マジなんだよなぁ……内容としては地下水道から溢れ出てきた万を越える数の妖が都のあちこちで蜂起する。内裏や内京は近衛兵や上洛している武士団や退魔士達によって防備が整っているため被害を出しつつも最終的に妖共を殲滅するが……都に住まう者の大多数、つまり中流以下の民衆は相当数がこの蜂起によって食い殺される事になるんだ」

「しかも、逃げる民衆を次々と残虐に食い殺していくシーンを十分かけたムービーで見せられるのよね……私、リアルで吐いたし、暫くの間は肉が食えなくなったわよ」

「完全にエログロどころかグログロバイオレンスだからな……本当、なんであそこは劇場版クオリティで製作したんだろうな……」

「ひぇぇ……」

 俺と葛葉唯が遠い目で鬼畜過ぎる製作者陣が作り上げたグロい内容に思いを馳せていると、橘沙世はドン引きしたような顔で振るえていた。

 

「と、まぁ……妖母が下水道にいると、こんな扶桑国崩壊もののバッドエンドが発生するのよ。だから、今回の騒動で妖母を追い出せたのはラッキーだったわね」

「さっきの話を聞いただけでそれがわかるんですから本当にヤバい奴なんですね、妖母って……」

「まぁね……」

「ああ……」

 原作をやっていたからこそあの化け物のヤバさを知っている俺達はそれを認識してくれた橘沙世に安堵する。

 

「それで最後の議題だけど……その妖母とその娘の吸血鬼のせいで旭と伴部に爆弾を押し付けられたのよね」

「? 爆弾って?」

 最後の議題に橘沙世が首を傾げるが、葛葉唯は俺をちらりと見る。言うかどうかは俺の判断に任せたみたいだな。

 

「……俺も鬼月旭もあの化け物の娘の吸血鬼の攻撃で化け物の血と吸血鬼の妖気を撃ち込まれてな……そのせいで妖化仕掛けたんだ」

「ええ!? 大丈夫だったんですか!?」

「大丈夫じゃないわよ。二人とも薬で押さえなきゃ、妖になってたかもしれないんだから」

 俺と葛葉唯の言葉に橘沙世は驚きながらも……「やっぱり佳世の言うとおり、二人とも戦いから遠ざけないとダメだよね」と小声で何かを呟いていたが、何を言ったかまでは聞こえなかった。

 

「だから、完治には妖母と吸血鬼の両方を倒さないといけないんだけどね……」

「橘商会や商会の持つ情報網を使いたいの?」

「まあね。流石に下人の伴部やろくな情報網を持っていないあたしじゃ、逃げ回ってる妖母達を追えないから……どんな些細な情報でも良いから渡してほしいんだけど」

「わかりました。私の命の恩人や佳世の親友の為ですから……」

 葛葉唯の頼みに橘沙世は笑顔で了承してくれた。……受けてくれて良かった。でないと、俺達は砂漠の中で落とした砂糖を探すような状況になりかねなかったからな……

 

「んじゃあ、会議も終わったし……」

「伴部さ~~ん!」

 葛葉唯が話を終えるのを待っていたかの様なタイミングで満面の笑みの鬼月旭が杖を突きながら現れた。

 

「旭様……どうしたのですか?」

「いや~女心がわからない伴部さんにぴったりな依頼を受けたんすよ~」

(ぐぅ……)

 ……あのゴリラ姫への返答から一週間、鬼月旭は俺に対して『女心がわからない』と枕詞を付けてチクチクと嫌味を言うようになった。

 

 ……まあ、上手くゴリラ姫の冗談をあしらえなかった俺も俺なんだが。

 

「えっと~歩けるようになったら伴部さんが『一人で』都を見て回る雛姉と葵姉と紫姉とゆかちゃんと白虎と……後、白ちゃんと花さんを一週間一人ずつ護衛をしてほしいんすよ。あ、因みに行く場所は伴部さんに任せるそうっすよ?」

「は? へ……はぁ!?」

 花や白は兎も角、なんでその面子を一週間で一人ずつ俺一人で護衛をしなけりゃならないんだ!? しかも、行く場所は俺が決めろって……どういう事だよ!? 

 

(その面子とデートをして女心を少しは学べって事なんだろうけど……伴部の鈍感さを治すためとはいえ、とんでもない荒療治を考えたものね)

「あ、旭様……鬼月家や赤穂家の令嬢が如何に都といえど下人一人の護衛というのは……」

「宇右衛門様がそう言ったけど、胡蝶様に丸め込まれてたっす」

(デブ衛門、もう少し頑張れよ! 何、若作りババアに丸め込まれてるんだよ!?)

 何故か呆れたような視線を向ける葛葉唯に内心で首を傾げながらも反論をするが……その逃げ道を若作りババアはあっさりと封鎖をしていた。

 

「と、言うわけで……歩けるようになるまで、雛姉達を楽しませられるような順路を考えておくっすよ!」

(マジかよ……!?)

 滅茶苦茶楽しそうな笑顔でそう告げた鬼月旭に俺は絶望を感じながら先ずは姉御様との順路を考え始めるのだった。




次回もお楽しみに!
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