さて、やって来ましたハルカンドラ。移動手段?それは魔法で何とかしたのであまり気にしないで欲しい。異空間ロードくらいこじ開けられる。
寂れたスチームパンクと言った感じの雰囲気は嫌いじゃない。が、住民の目はこう……好きではない。頼れる仲間はみんな目が死んでいるって訳じゃないものの、気力が死んで利便を求めすぎた自己中というか、そんなのだ。あと、空気がめちゃくちゃガソリンの匂いみたいなのがする。
「確か、デンジャラスディナーは……」
ディクショナリアを開き、地図のページを見る。見合わせて、向こうに見えてる火山がデンジャラスディナーで間違いなさそうだ。ただし、割と遠そうなようで。
エッガーエンジンズを経由する……方が確実なのか?いや、飛んで行けるならそれでいいんだけど、間違いなくランディアに撃墜されかねない。
……仕方がない。嫌だけど、その辺の現地住民に訊くか。
例えば……そこ行く卵体形のお兄さん!
「あのー、すみません」
「ン?ボクにナニか用?」
「あ、はい……ちょっと聞きたいことがありま……し……」
……って、うおおおおおい?!待て待て待て待て!なんでここにいるんだアンタ?!
特徴的な喋り方、灰色のマントを上から羽織ってるけ、チラッとも見えてるその青いローブには白と黄色で歯車みたいな意匠があって。
どう見てもマホロア……『星のカービィWii』の黒幕で、よく分からないがやたらファンから愛されている奴である。
初手イカサマたまご引きとか何??いやまあ、ここにいてもおかしくは無いと言われればそれまでなんだけど……いや、うん……
「ボクのカオにナニか付いてたカイ?……それで、聞きたいコトっテ?」
考え込んでいたところから我にかえる。ま、まあ、ほら、間違いなくハルカンドラには詳しいだろうし……現地住民って意味では間違ってないと思うし……ね?
「あ、ああ。いや、その、あそこの火山へ行きたいのですが……道って分かりますか?」
「カザン?アア、デンジャラスディナーのことカ。そりゃぁモチロン知っているケド、ドウシテアソコに行きたいノ?アソコはトッテモ危険だヨ?」
そう聞かれると思ってましたよ!だから、ちゃんと言い訳はある。イカサマ……じゃなくて、マホロアに通じるかどうかは不安だが。
「私は訪れた地の植生や土壌等の記録が趣味でして。ここはなかなか珍しい、工業の発展した地ですから、突然変異種の一つや二つありそうだなと思いまして」
ディクショナリアのページの中には、実際に植生や土壌についてのページがある。それを見せれば納得してもらえるはずだ。自分で書いたものではないけどね。
「フーン……マア、いいヨォ?ボクもソッチに用はあったしネ。デモ、ボクって弱いかラ、護衛も兼ねて貰う感じニなるケド、イイ?」
嘘こけ。アンタ割と戦えるだろ。このドノツラフレンズめ。
だが、都合はいい。
「勿論いいですよ」
「オッケー、ソレじゃア、行こうカ」
■■■
エッガーエンジンズを経由しないルートで助かった。私は
「へー、マホロアさんは遊園地を造っているところなんですね」
「ソウ!その材料アツメをしてたんだけど、この近くを通ったトキに落し物をシチャッテネ……仕方なく、シカタなーーく拾いにキタンダ。デモ、ココはトッッテモ危険ダカラ困ってタんダヨ」
「そこに都ご……いいタイミングで私が来たというわけですね」
「ソーゆーコト!ア、ソコは右だヨ」
マホロアからの道案内を受けつつ、先に進む。少しずつ道が険しくなっているのは想定内。時々襲いかかってくるハルカンドルディを軽く魔術で吹き飛ばす程度で、平和なものだ。
「サリメラだったヨネ?キミも魔術を使うのかイ?」
登山中に不意に聞かれた。キミ「も」というところに引っかかってはいけない。
「まあ、魔術に反応する植物とかもありますからね。キミもってことは、マホロアさんも魔術を?」
「ウン、マあネ。嗜む程度だかラ実践レベルじゃナイけド、色々作るのニ便利なんだヨ!」
嘘こけぇ!!!!バッチバチに戦闘にも使えるだろうがアンタ!!!!!!!
……と叫びたくなったが、なんとか飲み込む。んな事言ったら、どうして知ってるのか問い詰められる羽目になる。
そうなれば、ごまかせない。マホロアは「虚言の魔術師」の名の通り嘘つきだが、自身が意図的に嘘をつくということは相手の嘘にも鋭くなるものだ。そうなると、どう足掻いても詰みだ。
今の私の顔が表情が分かりにくくてよかった。多分元の姿ならめちゃくちゃニンマリ笑ってたとこだった。危ない。
「確かに、機械とかにも通用するとは聞きますからね……」
「ソウソウ!ソレで設計してタんダケド……データが入ったキューブをウッカリ落しちゃっテ」
それ本当にデータの入ったキューブ?いや、ここまで疑うのは意味無いか。今のとこ私の目的には関係ないし。
他愛のない話をしながら進む。段々と溶岩が増えてきたが、私達はどちらも浮いているので問題ない。ちょっと暑いくらいか。
「それは大変ですね……それで、どの辺に?」
「この先だヨォ……っテ」
「このさ……きぃ?!」
立ち止まり、指し示された方を見る。変な声出た。
目の前は溶岩の海に挟まれた一本道。その奥に大きめの陸地らしきものが見える。
だが、そのど真ん中に陣取る、球体っぽい真っ赤な鳥のようなモノ。
「「グッ、グランドローパーーーーーーー?!」」
『xAーーーーー!』
私とマホロアの声が重なり、それに気付いたグランドローパーは咆哮をあげた。