そして今年も終わりですね。来年もこの小説をよろしくお願いします!
【あらすじ】
エムス山で山賊と戦っている最中に謎のライダーに投下された爆弾により、地下の洞窟へ落ちてしまったリオとアンジャナフ。
洞窟内では山賊と再び遭遇した所に奇怪竜”フルフル”が襲来。
危うく山賊が捕食される所だったが、リオとアンジャナフがフルフルを狩り、山賊を救出した。
悪事を働いたにもかかわらず、リオやニウェス村の者達の救いの手に心打たれた山賊は改心を宣言し、なんと”リオの仲間になりたい”と懇願した。
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第九話 凍風を射る竜
【二ウェス村 村長の家】
「俺の仲間になりたい!?」
『強くなる為に、リオの仲間になりたい』
改心した山賊の少年が発言したのは意外すぎる提案だった。
いきなりの懇願に驚いたリオの返事は……。
「いやぁ気持ちは凄い嬉しいけど、俺達の旅は常にモンスターと関わる危険な旅なんだ。まだオトモンもいないし強い装備も無い奴を連れていけないよ」
「それは旅の途中で強ぇのを用意するんで、そこをなんとか! ぜってぇ足を引っ張らねぇと誓うからよぉ!!」
リオは身の安全の為に加入を断ったが、山賊は山賊で引く意思を全く見せない。
「えー、イイじゃないかよリオ! これから色んなモンスターと戦う事になるはずだから、仲間はいるに越した事はないゼ?」
リオの意見とは反対にナビルーは山賊の加入に賛成のようだ。
「う〜〜ん……」
確かに謎のライダー達の情報を得た今こそ、レウス奪還の為に戦力は少しでも欲しいところではあるが、”オトモンのいないライダー”という点はやはり懸念点ではあった。
「分かった。”無理をしない”という条件を守れるなら歓迎するよ!」
「あぁ!? ほんとか!?!?」
しかし、これからの旅で強くなる事を期待してリオは山賊を受け入れる事にした。
返答に山賊の顔が一気に明るくなる。
「よろしくな! お前の名前は?」
「おぉ、そういやぁ名乗ってなかったな! 俺様の名前は”タイガ”だ!」
初めて旅先で会った同行する仲間。
色々気になる点はあったが、なんだかんだ賑やかになる事は嬉しいリオであった。
◇
リオは仲間になったタイガに旅のきっかけと目的を説明した。
「謎のライダーって黒い絆石つけた奴らの事か。それなら会った事あるぜ」
「えっ!? 本当か!!」
タイガから目撃談を聞いた瞬間にリオが飛び上がる。
「あの雪山の中腹の北あたりでレイギエナのライダーを見かけてよ。オトモンを奪ってやろうとしたんだが、近くの基地から仲間が来て慌てて逃げたんだよ」
「“基地”だって!?」
旅に出て数日経って、ようやく奴らの拠点を突き止めた。
レウスを攫った張本人のレイギエナのライダーがいる基地という事は、そこにレウスが捕らわれている可能性が高い。
「急ごう! レウスを助けるんだ!」
「おう! 俺様もあいつらに仕返しがしたかったんだ!」
「ま、待てよリオとタイガ。そこには複数のライダーがいるし、大型飛竜のレイギエナもいるんだろ? どうやってレウスを助けるのだ?」
二人の戦意が高まっている中、ナビルーが慌てて止める。
確かに、今判明している敵はドスジャグラスとプケプケとアンジャナフ、そしてレイギエナのライダー。
それに比べてこちらの戦力はドスランポスとアンジャナフと山賊のみ。
特に大柄で実力もあるアンジャナフとレイギエナの存在が痛く、とても力だけで突破できるような戦力差ではない。
「あっ確かに。う〜〜ん……何か良い作戦ある?」
「イヤ、流石のナビルーでもそんなすぐには思いつかないゾ」
「あぁ、俺様は元々頭を使うのが苦手なんで思いついてねぇよ」
……。
敵の居場所を突き止めたのはいいが、そもそもどうやってレウスを助けるかリオは全く考えてなかった。
残念ながら他の二人も頭が切れる方ではなく、かといって今の戦力で力押しを行えば間違いなく返り討ちにされてしまうだろう。
三人の間に少し気まずい空気が流れてしまう。
「あんた達ぃ、どうやら困っているようだねぇ」
「「「!」」」
二ウェス村の村長が笑顔で寄ってくる。
「レウスの救出。ここの村のライダー達も手伝わせてよぉ。二ウェス村のライダーとしても、エムス山に住み着いたライダー達は見逃せないよぉ」
「ありがとう! 助かるよ!」
「リオ君、ナビルーちゃん。外で村のライダー達が集合しているから、そこで作戦を開くよ〜」
サスも戦う気満々の表情だ。
◇
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【エムス山 中腹】
エムス山の中腹にある崩壊したエリア。
そこにエリアを崩壊させた張本人とそのオトモンが座り込んでいた。
「ぶわ〜〜ん!! 上にもぉ、下の洞窟にもぉ、どこにもリオがいないぃ〜!!」
「プゥケェ……」
大声で泣き声をあげているのは、リオを始末したと思い込んでいたプケプケの少女ライダー。
「絶対ぃ、リオはぁ、生きていたよぉ〜!! サファンのおねえちゃんに怒られるぅ〜!!」
リオの死体を確認しようと中腹エリアを調査したが、既にリオは仲間達と共に洞窟から去った後。
厳しい上司に叱られる事がよっぽど嫌なようで、前哨基地に戻れなくなっていたようだ。
オトモンのプケプケは狼狽ながらも、ただただ主人を慰めるしかできなかった。
「ぐふぅぅ〜! もういっその事、あいつらを裏切ってどこかへ逃げようぺぇ……でも、もうこんな悪い事しちゃったから故郷にも帰れないぃぃ。お父ちゃんもお母ちゃんはあたしを見捨てたしぃぃぃ……!」
「プゥゥン……」
絶望に駆られ、少女がその場で疼くまってしまったその時。
「グオオオォォォォォ!!」
「ぺぇぇ!?」
「プゥケェ!?」
突然、中腹エリア全体にとてつもない轟音が響き渡る。
ドドドドドッ!!
「「!!??」」
再び轟音が響いたと同時に上方から雪崩が襲いかかってくる。
「ぷぎーー!? 逃げろぉぉぉ!!」
「プゥケェェ〜〜!?」
ドゴオオオオオォォォン……!!
危機察知能力が高かったのか、少女達は雪崩を盾にできる岩へ隠れ、なんとか巻き込みを回避した。
心臓が飛び出そうな程に息が荒くなってる少女は、岩から顔を出して音が鳴った崖の上を確認した。
「ぷ、ぷっ、ぷぇぇぇ……!?」
目線の先に映っていたのは、四足歩行の巨大な飛竜。
鼻息を鳴らす程に酷く興奮し、崖の上から獲物を見る目でこちらを睨んでいた。
「グァン!!」
ドゴォン!!
飛竜が全体重を乗せた飛びかかりで、少女が隠れている岩を破壊。
「あが……あががががが……!?」
気づいたら少女の目と鼻の先にまで、飛竜が接近していた。
飛竜は発達した前脚に生えている太いナイフのような爪を光らせる。
そして、怯える一人と一体に大爪が思いっきり振り下ろされた。
「っぺぇぇぇぇぇ!!?? おっかないよぉぉぉ!? もう逃げりゅうぅぅ〜〜!!!!」
「プゥケェェェェェ〜〜!!??」
◇
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【謎の前哨基地 作成会議室】
「もぉう!! あのお馬鹿は何しているのよ!!」
作戦会議室の椅子に座っていたレイギエナの女性ライダー”サファン”が苛立ちの声を上げている。
「み、道草でも食っているんじゃないですかねぇ?」
そばのアンジャナフの少年ライダー”アング”も周りの数人の部下も冷や汗を掻きっぱなし。
どうやらプケプケの少女ライダーがリオの生死を確認しに外へ行ったが、あれから一時間以上経っても帰って来ないようだ。
「きっと、生きていたリオにあいつはやられたのよ! こうなったら私とギエナが直々に——」
バァン!!
その時、作戦会議室のドアを勢いよく開き、青ざめた下級ライダーが飛び出てきた。
「申し上げます! 敵がこちらへ接近中!!」
「なんだとぉ!?」
「なんですって! どんな奴が来ているのよ!」
「ふ、麓からニウェス村のライダーが複数人です!」
突然集団が攻めてきたとの報告に、二人の心に焦りの感情が湧き出る。
「なんでここがバレたんだ!?」
「……やっぱりアング達が前線に出て!! 私はあの檻のリオレウスを守っているわ!」
一瞬で報告から”違和感”を感じ取ったサファンが眉を顰めた。
「あっ? なんでだよ!?」
「説明している暇はないわ! 早くしなさい!!」
サファンの顔から一粒の汗が流れている。
その表情からは普段鈍感だった部下達も”なにやら只事ではない”と悟る事が出来た。
「お、おう? 聞いてたかてめぇら! 全力で追い返すぞぉ!!」
「「はっ!!」」
◇
【謎の前哨基地 門側】
「皆、大きな音が鳴るから耳を塞いでて〜。大タル爆弾、いくよ〜〜!」
ドォォォン!!
突然爆発音と共に門の扉が爆砕され、奥からドスギアノス、ドスファンゴ、ポポとそれぞれにライドしているライダー。
そしてライダー不在のドスランポスと、タイガ、サスとウルクススが前哨基地へ攻め込んでいた。
「うわぁ!? 本当に来ているぞ!!」
どれも強力なオトモンではないが、群れてこちらに向かう迫力さにジャグラス装備を着た四人の部下が怖気付く。
しかし、アングのみは怯んだ様子を見せず怖がっている部下達に怒声を浴びせた。
「さっさと追い返すぞ! ライドオン、アンジャナフ!」
「グオオォォォ!!」
基地の厩舎方面から大きな咆哮と足音が立てながら走る桃色の巨体。
アングがジャンプしてジャナフにライドして、そのまま敵の軍勢に全力で向かっていく。
「「「「ら、ライドオン、ドスジャグラス!」」」」
「「「「グワワワァ!」」」」
四人の部下ライダーも各々のオトモンにしていたドスジャグラスを呼び出してライド。
◇
ドスギアノスの男性ライダーが向かってくる敵を分析した。
「こちらのオトモンは五体に対し、敵のオトモンも五体。我々とドスランポスは四体のドスジャグラスと戦います! 予定通り、サスとタイガさんはあのアンジャナフを!」
「まかせて〜!」
「暴れまくってやるぜ!!」
サスとウルク、タイガはアンジャナフ。三人のライダーとドスランポスは、それぞれのドスジャグラス達と交戦。
ついにニウェス村チーム対謎のライダーチームがぶつかり、レウス奪還を賭けた集団戦が始まった。
◇
_
「ドスギアノス、氷雪液です!」
ドスギアノスの口から吐かれた白い液体が放物線を描く。
「ふん、液吐くだけか? 弱そうな技だ!」
ドサッ!
「グアアゥ!」
「な、凍りついた!?」
液体がドスジャグラスに触れた瞬間、あっという間に身体が氷雪に包まれる。
「う、動けねぇ!?」
◇
「ドスファンゴ、根性タックル!」
「ブィィ!!」
ライダーに命令されたドスファンゴが荒く鼻息を出しながら力一杯の突進をする。
ドォン!!
「ぐわあ!? こ、こいつ!?」
大きなドスジャグラスの身体が余りの威力に転倒する。
“根性タックル”。強力なタックルで相手に大ダメージを与え、その威力はドスファンゴにも反動のダメージがある程だ。
◇
「おいおいおいぃ? 俺の相手はこんなポポかよぉ? 安く見られたもんだぜ?」
「ふん、私のポポを舐めるなよ!」
ドスジャグラスは中型の牙竜種に対し、ポポは小型扱いな上に戦闘力は最弱クラスの草食種。力の差がかなり大きい。
「食らえ!」
ポポのライダーがポーチから赤みがかった石を投げ、ドスジャグラスの頭に命中する。
ボゥ!
「あっちぃ!?」
するとドスジャグラスの頭が勢いよく燃え、怯ませる事に成功した。
ポポのライダーはジャグラス族が火に弱い事を知っていたのか、効果は抜群。
「油断したな。今投げたのは衝撃を与えると発火する”種火石”だ」
◇
リオのドスランポスと対峙しているのは、過去にも交戦した黄色いドレッドヘアーの少年ライダーだった。
「ギャギャギャギャ!」
「俺の相手はドスランポスか。リオのオトモンを思い出すぜ……」
敵側はリオのオトモンとは気づいてないが、思わぬ場所で再戦となったリオのドスランポスとドスジャグラス。
先手を打ったのは前と同じくドスランポス。
自慢の脚力で相手との間合いを詰める。
「くそっ、またこんなすばしっこい奴と戦わなきゃならねぇのかよ!」
◇
そして、アングとジャナフの前に立ったのはウルクに乗ったサスとタイガ。
二体一と数ではこちらが有利だが、オトモンの体格と筋力は圧倒的にあちらが上である。
「やっちまえ、ジャナフ!」
「グアアォォ!!」
猛り立ったジャナフが牙が並ぶ大きな顎を開き咆哮をあげる。
余りの声量にタイガが耳を塞いでいたが、覚悟を決めて骨塊を構えようとする。
「こいつは歯ごたえありそうだぜ。おいサス、行くぞ……あ?」
戦闘体制に入ったばかりのタイガがサスの方へ振り向いたが、何やらサス達の様子がおかしい。
「グゥ〜〜!?!?」
ウルクの耳が張り付いたように伸び、今にも倒れそうな勢いで身体がふらついていた。
「お、おい? そのウルクスス大丈夫かよ!?」
「やばいよぉ!! ウルクススは耳が発達しているから大きな音が苦手なんだよぉ!!」
「ああ!? なんだって!?」
その無防備なサスとウルクをアング達は見逃す訳もなく……。
「ジャナフ、やれ!」
ジャナフが大きな足音を上げて近づくと、大顎でウルクを噛みつく。
「ブァーン!!」
「うわぁ!?」
そのまま身体を捻りタイガに向かって、乱暴に投げた。
「うぉぉ!?」
ドォン!
タイガが前転して回避した後、後ろを見るともうすでに重傷を負ったサスとウルクが倒れていた。
「うぅ……」
「ブゥン……」
「おい! しっかりしろ!!」
開始早々サスとウルクが大ダメージを受け、実質タイガ対アングのタイマンの状況となる。
サス達の痛々しい傷から、アンジャナフが今までの敵とは一線を画すパワーを持っている事を嫌でも再認識されられてしまう。
「がーはっはっは! まだ戦いは始まったばっかなのに、もうボロボロじゃねぇか? 弱っちい奴らだ!!」
脚を踏み鳴らしたジャナフが再び顎を開いて咆哮をあげる。
「グアアォォ!!」
数では勝っているにも関わらず、とても力だけでは勝てそうにない迫力。
あれだけ強気になっていたタイガの額に汗が垂れ始める。
「ぐ……!(頼んだぜ、リオとナビルー! 早くレウスをなんとかしやがれ!!)」
◇
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【謎の前哨基地 後方】
レウスの檻があった場所にはドスジャグラスのライダーの見張りに代わって、サファンとギエナが辺りを警戒していた。
「一体どうなっているのよ! 今まであそこの村は戦力がなかったから、この基地に攻められなかったはず……! 急に来るなんておかしいわ!」
「ギェェ!」
「あのリオレウスが奪われたら一巻の終わり。もうあの無能な部下に見張りを任せられないわ。私達が全力で守るわよ!」
「キィエエ!」
防壁の上から二つの影。
リオとナビルーがサファン達を覗き見ていた。
「(レイギエナのライダー! やっぱりいたな!)」
「(アレレ? レウスはドコなのだ??)」
部下がニウェス村のライダー達に気を取られている内に、基地の周りの様子を防壁から覗いていたが、どこにもレウスが捕まっている様子はない。
「(ま、まさか。レウスはもうドコカに連れてかれたか、もうヤラレて……!?)」
「(ナビルー、まだ希望はある。建物の中にいるかもしれない! 行くぞ!)」
リオがアイテムポーチから玉を取り出すと、サファンの近くへ力一杯投げた。
ぽとっ!
「ギェェ!!」
「何!?」
ぽしゅう……。
地面に叩きつけられたけむり玉に巻かれたツタの葉が発火し、白い煙が噴き出て一気にそのエリアを包み込んだ。
「(今だ!)」
サファン達が突如広がった煙に包まれている内に、リオとナビルーは防壁を超えて基地内に降りたつ。
ニウェス村のライダー達が部下を門の方向へ誘き寄せ、その内にリオ達がレウスを助ける作戦。
やはり攫ったレウスを守ろうとしている者はいたが、その対策としてけむり玉を用意していたのだ。
「(リオ、煙がある内に急いでレウスを探そうゼ! 煙が消えてレイギエナに見つかったら一巻の終わりだゾ!)」
「(ああ! きっとあの基地の中のどこかにれレウスがいるはずだ!)」
「……甘いわね。ライドオン、レイギエナ!」
「ギィェェ!」
急いで基地に侵入しようとした時に、翼が羽ばたく音と共に大きな風圧が発生。
「ぐっ!」
「ニャア!?」
二人は腕を構えて風圧に耐え、腕を下ろした時には既に白い煙が消えてしまっていた。
「ギエエェェ!!」
目の前には優雅に空を漂うギエナにライドするサファンが。
「風の翼を持つ私のギエナが、あんな煙ごときに怯むとでも?」
「しまった!」
「ま、ままマズいゾ! リオ、どうするのだ!?」
大きな翼を広げ咆哮を上げる大型飛竜の前にリオは圧倒されそうになるが、レウスの為に絶対に引く訳には行かない。
全く怖い訳ではなかったのだが、勇気を振り絞って絆石を構える。
「ライドオン、アンジャナフ!」
「ニャア〜! 結局戦う事になるのかよ〜!!」
バァン!!
「グォォ!!」
奥から木製の防壁を豪快に破壊し、リオのアンジャナフが現れた。
リオとナビルーが一気にジャンプしてアンジャナフにライドした。
◇
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ヒュオオオ……!
「グオオォォ!!」
「ギエエェェ!!」
冷風が吹いている中、桃色の巨体と蒼色の巨体が互いに咆哮をあげる。
先手を取ったサファンを乗せたギエナが離陸。
「貫かれなさい。リベンジアイスドリル!」
バサァッ!!
氷の結晶を纏い錐揉み回転をしながらリオ達に突撃する。
今まで会ったモンスターの中でもトップクラスの速度を持つ攻撃。
ドォン!!
「グァオン!!」
優れたスタミナを持つアンジャナフでもこのスピードは瞬時には避けれず、強力な突撃をモロに受けてしまう。
「くっ! アンジャナフ、バーニングファングだ!」
「グォォ……」
ダメージを受けているにも関わらず、攻めようとも引こうともしないアンジャナフ。
ライドしていたリオがすぐに相棒の違和感に気づく。
「……っ!? まさか凍っているのか!?」
「凍傷を負っているゾ! スタミナが減るから技を放つ事もままならない!」
「どうすれば……あっ、そうだ!」
アンジャナフの隙を見逃さないギエナは蒼い翼の膜を花びらのように広げ、横に一回転しながら空を飛んだ。
「凍りつきなさい。コールドブラスト!」
ギエナの胸の青い線から氷の結晶が飛び出す。
雨のように降りかかってくる氷の結晶の矢のような鋭い刃を光らせる。
「動けるか? 避けろ!」
バッ!
「あら、もう動けるようね」
避けたアンジャナフの身体を見ると、一瞬にして解凍されている。
「熱血サプリ、用意しといてよかったよ!」
先程の氷の結晶はナイフのように地面に深く突き刺さっており、それを見たナビルーの背筋が凍りつく。
「き、気をつけろ。アレに当たったら大怪我間違いナシだゼ……!」
「今度はこっちの番だ! バーニングファング!!」
リオのアンジャナフが顎に炎を激らせギエナに噛みつこうとするが、踊るようにギエナが華麗に回避。
「くっ! なんて速さだ!」
「風漂竜”レイギエナ”は風に乗っている時に翼膜のおかげで、速い飛行も急停止もできるようになるゾ!」
リオが乗っているアンジャナフは、格下の敵は一瞬で倒す程の顎と獲物を執拗に追いかけるスタミナを持つ。
しかし相手のレイギエナはそもそも空を飛んでいるので、あちらから近接戦を挑んでこない限りこちらも追いかけて噛み付く事は不可能。
頼れる遠距離攻撃は溜めて放つバーニングブラスターだけだが、素早いギエナに命中させるのは困難。
更にあちらからは弾速が速い遠距離攻撃である氷の矢を撃てる。
「これはマズいゼ……! 陸上のアンジャナフと空を飛ぶレイギエナじゃあ、こっちが不利すぎるゾ!」
「風のせいでスピードもあいつが圧倒的に上みたいだな……!」
「そんな下等な獣竜では、空の頂点である飛竜を従えた私に勝つ事は出来ないわ」
「ニャンだとー! リオのアンジャナフをバカにするなーー!!」
「リオ、貴方ではどう足掻いても無理よ。あのリオレウスの事は早く諦めなさい?」
空からリオ達を冷たい目で見下すサファンだが、絆を大事にしてきたリオが相棒を見捨てようとする訳がなかった。
「諦めるもんか! レウスとの絆がある限り、俺はお前と戦う!!」
「ふん、どうやら貴方もお馬鹿さんみたいね? それとも、私を地に堕とす方法があるのかしら?」
「うっ……!」
サフォンの鋭い言葉が胸に突き刺さる。
確かに空のレイギエナを落とせるようなアイテムは用意できていない。このままでは勝算がないのも事実だった。
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その時、ナビルーがこっそりとリオに囁く。
「……!(リオ、オレに考えがあるゼ。最大まで溜めたバーニングブラスターを放つんだ!)」
「……?(でも、あの速さじゃ当てられたそうにないぞ?)」
「……!!(当てれなくてもいい! いいからやるんだ!)」
「ああ、分かった? アンジャナフ、ヒートアップ!」
リオの指示を受けたアンジャナフが天を仰ぎ吠えながら喉に赤々と光る熱を溜める。
鼻骨を展開し喉に高熱の炎を蓄えた本気の形態”炎熱蓄積状態”へ移行した。
「諦めるつもりはないと? 往生際が悪いわ」
冷ややかな顔を見せたサファンがフィンガースナップでギエナに攻撃の指示を与え、滞空しているギエナが再び横回転して力を溜める。
「フリーズバーストでとどめを刺してあげる。氷花よ、咲き乱れなさい! フリーズバー――」
「アンジャナフ、バーニングブラスターだ!!」
「グオォォ!!」
ボオオオォォォ!!
「なっ!?」
限界まで炎を溜めたアンジャナフが上空を薙ぎ払うように高出力の火炎放射を放ち、一瞬で空は赤い炎に覆われていく。
「ギエナ、早く避けなさい!」
「ギェェ!」
技を中断したギエナが錐揉み回転をしながら飛行し、襲ってくる炎を避けた。
「今のは少し危なかったわね……格下にしてはやるじゃないのよ……!」
「へへん、オマエはちょっと油断しすぎだゼ?」
「!?」
サファンは目の前の溜め攻撃に気を取られすぎていた。避けた先の地面にはナビルーが待ち構えていたのだ。
「な、何を!?」
「うおぉぉぉぉ!!」
ビシャアアン!!
密かに電力を溜めていたナビルーが超帯電の力を解放。
黄金の雷がブレスを避けて隙を見せたサファンとギエナに飛び掛かる。
「いやああ!!」
「ギィェェン……!!」
ドォン!!
激しい雷がサファン達の身体を走り、麻痺を起こした二人が地面に落下。
「リオ、チャンスだ! 飛びかかれ!!」
「ナイス! 行くぞ、アンジャナフ!」
「グォォ!」
アンジャナフがこの好機を逃さまいと大ジャンプし、ギエナの身体を脚で押さえつける事に成功。
しかし、幾ら麻痺を起こしているとはいえ、ギエナの巨体を完全に封じる事はできない。
「よし、抑えたな! そうしたらリオはライドを解除するんだ!」
「えっ? どういう事だよ!?」
「オレとアンジャナフでコイツを押さえる! 今の内にリオはレウスを探すんだ!」
続く
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●今回のおまけ
アング
年齢:十一歳
性別:男
職業:謎のライダー(中級)
容姿:アンジャナフの黄土色の鼻骨を模した毛と刈り上げた脇の桃色の毛の髪型「ジャナフファンキー」。ガラの悪い黄色の目。
謎のライダーの一人。荒っぽく何事にも一直線に進む性格だが、上司のサファンには全く頭が上がらず、いつも頭が悪い事を責められている。
戦い方も非常にシンプルで、ひたすら敵を追いかけて重い一撃を食らわせる戦法。
サファンと共にレウスを狙っており、スモス村ではジャナフにライドして新米ライダーだったリオを追い詰め、レウスを攫った後はエムス山まで逃亡。
謎の前哨基地ではサファンに次ぐ上司として部下を纏め、二ウェス村のライダー達と交戦した。
◯武器
⚪︎ブレイズハンマー(ハンマー)
「アンジャナフの鎚。
灼熱の吐息を浴びて強度が増した毛皮を巻き付け、補強を施した。」
◯防具
⚪︎ジャナフ装備
「至る所にアンジャナフの毛皮を使った装備。この毛皮は火にとても強く、燃えにくい。」
◯オトモン
⚪︎ジャナフ(アンジャナフ)
アングのオトモン。顎の力強さと獲物を追いかけ回すスタミナが自慢で、なかなか凶暴。
アングには基本忠実だが、機嫌が悪いと指示を聞いてくれない時があるらしい。
プケプケ
別名:毒妖鳥
種族:鳥竜種
レア度:★3
属性・状態異常:毒
主な生息地:森林、砂漠、密林
主に森林で目撃される大型の鳥竜種。
鮮やかな緑色の鱗や羽根や一対の翼、黄色い目と細く黒い瞳のギョロ目、桃色の伸縮する大きな舌、同じく伸縮するカラフルな尻尾を持つ。
植物を食べた時は喉袋が膨らむ他、興奮時は顔が赤く染まって首の羽根が逆立ち、格上の相手に会って怯えている時は顔が黄土色に染まり目が閉じかかったりとかなりユニーク。
別名の通り毒を吐いたり尻尾から毒ガスとしてばら撒いたりする他、毒液の量が増えるドクカズラや広範囲に飛ぶ毒煙を使えるようになる綿胞子草など、食べた植物の性質で毒攻撃を強化するトリッキーな行動が特徴。
また、長く伸びる舌は食事以外に鞭のように振るう攻撃としても使われる。
新米のライダーやハンターにとって最初の壁となる大型モンスターとして知られるが、実は格上の相手に対してはとても臆病。
オトモンとしては反抗的ではないものの、強敵に会ってパニックになりがちなので優しく声掛けして落ち着かせる訓練が必要だろう。
◯主な技
⚪︎ヴェノムショット
口からどきつい紫色をした毒液を吐いて攻撃。
ダメージは小さいが、相手を毒に侵す事が出来る。
⚪︎スピンテイル
伸縮する尻尾を鞭のように振るい薙ぎ払う。ダメージは小さいが近くにいる相手全体に攻撃できる。
⚪︎ヴェノムブラスター
尻尾を膨らませて勢いよく霧状の毒液を噴射する技。
この技もダメージは小さいが、広範囲の相手に攻撃できる上にかなりの確率で毒に侵しやすい。
◯絆技
⚪︎ゲリラヴェノム
顔を赤くして咆哮するプケプケ。尻尾を上に向けると同時に限界まで膨らませ、大量の毒液を噴射。
すると、上方に発生した小規模の紫雲から毒の雨が降りかかる。敵全体にダメージを与えられる上に必ず毒に侵す事ができる。
因みに乗っている主のライダーは傘の代わりになろうと伸びたプケプケの舌に守られているのでご安心を。