【あらすじ】
紅力化解決の手掛かりを探すべく、ハンターが集うギルド”カリトモニ”へ向かうリオ達。
平原では紅力化ジンオウガを確認しつつも、無事にカリトモニへ到着。
カリトモニでは偏見を持つハンターに振り回されながらもなんとかビオンと再開し、ギルドマスター”オスカー”とも情報を交換。
ライダーを理解しつつあるオスカーは、異変が起きているアーバ森林への調査をリオ達に許可した。
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第十三話 飛竜の王
【アーバ森林 ベースキャンプ】
アプトノスの馬車で連れられて数十分程度経過し、リオ達はアーバ森林内の”ベースキャンプ”に到着。
外には大きなチェスト、大きめのテントの中にベッド。
見たことない施設にリオが興味を示した。
「ナビルー、ここは?」
「ベースキャンプだな。ココではギルドからのアイテムを受け取ったり、怪我を受けた時にベッドで横になる事が出来るゾ。モンスターに見つかりづらかったり侵入できない場所に設置されるから、狩猟地では数少ない安全なエリアなんだ!」
どうやらこの大きなチェストは支給品を取り出したり、依頼されたアイテムを納品する為のものらしい。
蓋を開けると中にはアーバ森林の構造を確認できる地図に、回復薬に似た薬と乾燥した肉塊がそれぞれ人数分用意されている。
ビオンが慣れた手付きで回収し説明してくれた。
「受け取れ。これは回復薬と同等の効果を持つ”応急薬”で、こっちはいざという時に食べる”支給品用携帯食料”だ。好きに使って構わないぜ」
「えっ、『支給品』って?」
“支給品”。
ライダーであるリオにとって、ハンターズギルドの支給品アイテムは馴染みがない物だった。
「あぁ、リオは知らないか。ハンターはクエストに出向く際に自前でアイテムを用意するが、それとは別にギルドが補助として支給品をくれる。保存が効く加工がされていて、クエスト終了時に残った支給品はギルドに返却する決まりになっている」
「へーっ! それは心強いな!」
ビオンに続きハンターにもライダーにも詳しいナビルーが口を開く。
「少しでも安全に狩りができるようにギルドがサポートしているんだゼ。現にギルドに所属してない密猟ハンターはそのサポートが無いせいで返り討ちに遭う事が多いんだ」
「ん、ギルドに所属していないと密猟扱いなのか? じゃあ、俺がタマゴ採取したりハンターになる前のビオンがリオレイアを狩ったのはまずいんじゃ……?」
「マ、ライダーやその仲間の場合は民族の風習としてギルドは黙認していると思うゼ。ソレに今のギスギスした状況の中で口を出したら、大ゲンカになっちゃうからな」
下手な軍隊では全く太刀打ち出来ないようなモンスターと共にするライダーと、世界において頂点を争うレベルで大きな勢力となっているハンター。
安易に触れて仮に戦争にでもなってしまったら、互いに大打撃を受けてしまうかもしれない。
スモス村では『ライダーはハンターのせいで隠れて住まわざるを得なくなった』という話を聞いたが、ハンター側も『ギルド外の者だがタマゴの無断採取や狩猟に目を瞑らざる得ない』と思っているだろう。
互いに文化や価値観の違いで悩んでいるのかもしれない。
◇
【アーバ森林 中層】
一通り準備を終えてリオ達は『アーバ森林のモンスター激減の原因』と『紅力化モンスターの存在の確認』を調査する為に、アーバ森林の中層へ向かう。
「「「……!」」」
中層に着いて早々に一行は異様な光景を目の当たりにする。
アプトノスや緋色の蜂のような甲虫種”飛甲虫ブナハブラ”など無数の小型モンスターが息絶えて転がっている。
中には青い猿に似た大型の牙獣獣”天狗獣ビシュテンゴ”など大型モンスターも無惨な骸として見つかった。
ビオンがすかさずしゃがみ死体を調べ始める。
よく見るとどの死体も紫色の粘液に蝕まれており、それを怪しんだビオンは携帯していたナイフで慎重に掬い、保管用のビンに入れて観察した。
「粘度があってちょっと匂いがきついな。そして、毒テングダケのエキスに似た毒液って事は”毒怪鳥ゲリョス”の仕業か」
「えっ、それだけで分かるのか?」
リオは初めて彼がハンターの仕事をこなしている所を見たが、液体を眺めているだけで犯人を推測できる観察眼に驚いた。
「一口に毒って言ってもモンスターや植物によって粘り気、匂い、色合いが違うんだよ。ゲリョスは雑食性だから粘度が高く匂いがきついし、毒テングダケをよく食べるから色も同じってことさ」
「凄ぇー!」
「ターゲットのモンスターを探す方法は色々あるが、こういう痕跡から特定する方法が一番手っ取り早いな」
「ニャッ!? ヒゲがピリピリする!?」
その時、ナビルーのヒゲが波打って反応した。
すかさずリオがナビルーに聞く。
「本当か! その反応はどこから来ているか分かる?」
「アッチだ!」
ナビルーが指を刺した方向は、木が密集した薄暗いエリア。
ビオンが地図を広げて場所を確認する。
「あそこはモンスターが頻繁に現れる。細心の注意を払って行くぞ」
「「おう!」」
【アーバ森林 湖】
進んでいく薄暗いエリアの地面は段差が多く足元には高く生えた草で覆われていた。
しばらく進むと薄暗いエリアを抜け、陽光を反射する湖が。
「おー、凄く綺麗だな!」
美しい光景にリオが目を煌めかせているが、逆にビオンの表情は堅い。
「あぁ。だが実際は危険なエリアだ。水飲み場があるという事は、それだけ周りに生き物が来やすい。大型モンスターが水を飲みに来た草食種を襲う為に待ち伏せしている事もある」
しかし、今回は幸いにもモンスターの気配は無い。
モンスターに分類されていないような小動物や虫がちらほら居る程度だった。
「ウ〜ン、違和感を感じたのはココじゃないな。アノ空洞の奥からだゼ」
「な!? 今まであんなものなかったぞ!?」
「そうなのか? ビオン」
確かに湖の向こう側に洞窟が。
穴の周りは砕かれた岩と土埃が散乱しており、壁が壊れてからあまり時間は経ってないと分かる。
◇
空洞内をしばらく歩いていき、すぐに出口が見えてきた……のだが。
「ニャッ!?」
「おいリオ! 紅い光が!!」
「まさか、この空洞の奥に紅力化モンスターがいるのか!?」
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【アーバ森林 深部】
空洞の先には丘があり、その天辺には紅く光る絆原石があった。
「ビオン、ここにも絆原石があったんだな!」
「マジか……長らくアーバ森林で狩りをしていたが、こんな所にあったなんて知らなかったぞ!」
「ニャッ? なんというか、エリアが今までよりも紅くないゾ?」
今までと違う点として深部エリア内は特に紅く染まっている様子はない。
「っ、危ない!!」
「うわ!」
「ニャッ!」
その時、ビオンの目が見開きリオとナビルーを抱いて転がった。
ベチャッ!!
ビオンの行動と共に白い粘着する”何か”が降ってくる。
彼が察知して回避しなければ被弾していただろう。
「危なかった。リオとナビルー、戦闘態勢になれ!!」
「ナビルー、なんだよこれ!!」
「蜘蛛の糸の塊! コレが降ってくるということはアイツか!」
「シャァァァ!!」
糸が飛んできた上方を見ると、壁に鎌のような二本の爪と四本の脚を持った巨大蜘蛛がこちらを睨んでいた。
その蜘蛛は灰色の皮を被り、背中には妖しい紫の結晶のような棘が突き出している。
シャカシャカシャカ!!
ドォン!!
複数の脚が気味の悪い音を立てながら動き、その蜘蛛がリオ達の前に降りてくる。
「”影蜘蛛ネルスキュラ”。別名に恥じず影から不意打ちしてきたな」
ビオンは臆せずに骨の大剣アギトを抜刀し蜘蛛の爪と剣を交え始めた。
「ナビルー、『ネルスキュラ』って?」
「生態系の中級に位置する大型の鋏角種。蜘蛛の糸や腹の睡眠毒の針で獲物を拘束し、伸びる毒の鋏角で狩る捕食者だゾ!」
「分かった、毒に気をつければいいんだな!」
ピューイ!
「グオオァァ!!」
ナビルーがエリアの端へ避難したのを確認し、リオは口笛を吹く。
高い音が響いた後、近くで待機していたレウスが颯爽と飛んできた。
「ライドオン、リオレウス!」
リオもレウスにライドし加勢しようとしたその瞬間。
「クァァァァ!」
「「「!」」」
奇声のような鳴き声と共に紅い鳥竜が上から飛来。
その鳥竜種はトンカチのような形の嘴に胴体と尻尾はゴムの質感の皮、同じくゴムの皮の翼としっかりとした後脚を持っている。
「何っ、ゲリョスが乱入してきた!?」
突然の乱入者にネルスキュラが攻撃をやめて距離を取り、思わずビオンも振り向く。
「ゲゲッ、ゲリョスが紅力化しているゾ!? リオ、そいつも毒を使ってくるから気をつけろ!!」
リオ一行、ネルスキュラ、紅力のゲリョス。
三勢力が互いに間合いを読み合い、静かだった空気が一気に張り詰める。
「グォォ……!
リオを乗せたレウスがまた興奮気味になり、苦しそうに息を吐く。
恐らく紅力化したゲリョスに反応しているのだろう。
「っ、またか! 大丈夫かレウス? 無理なら他のオトモンに交代できるけど!」
「グァァ……!」
しかし、レウスは力強くリオに返事をしてくれた。
苦しいのは事実だが見栄を張っている様子はなく、速攻でゲリョスに向かって走っていく。
「そうだなレウス。まずは体格が小さいゲリョスから倒そう!」
「シャァァ!」
ネルスキュラがリオとレウスの背後を狙おうとするが、すぐにビオンが割って入り牽制した。
「闇討ちはさせねぇぞ! 俺が相手になってやる!」
しかし、戦いは予想外の方向へ転がっていく。
「クァァァァ!!」
「えっ!?」
紅力のゲリョスが素早い走行でリオ達を通り過ぎ、ビオンと交戦していたネルスキュラを不意打ちしたのだ。
「うおっ、急になんだよ!」
慌ててビオンがアギトを納刀し距離を置いた。
幾ら屈強なハンターでもモンスター同士の争いの中を突っ込むのはリスクがあるからだ。
驚きつつもネルスキュラは腹から糸を放ち、ゲリョスを拘束する。
「クォォン!?」
ゲリョスは粘着する上に強度もある糸に強く締め付けられ、痛烈な声をあげる。
そして、ふらつきながら地面に倒れた。
「シャァァ……」
『シメた』と思ったネルスキュラは近寄り、目の前のご馳走を頂こうとする。
「グォォギャァァ!!」
「シャァァ!?」
しかしゲリョスは死んだふりをしていただけで、まだ抵抗する力を残していた。
翼を広げて強引に糸を千切った後に反撃し、ネルスキュラの片方の爪が完全に砕かれ欠損。
そして、ゲリョスは鞭のようにしなるゴムの尻尾でネルスキュラを吹き飛ばす。
「「「!」」」
距離を置いていた三人も急な逆転に驚いている。
「クァ!」
ネルスキュラを突き放したと同時にゲリョスが鶏冠と迫り出した嘴を打ち付ける。
カチッ……カチッ……!
「ニャーッ、アレはマズい!?」
「奴はトサカから閃光を発するつもりだ! お前ら、目を瞑れ!」
「うっ!?」
ナビルーが攻撃の予兆に気づき、三人とレウスは目を瞑る。
カッ!!
「シャァァァン……!?」
三人が恐る恐る目を開けると、ひっくり返って悶絶するネルスキュラに全力で嘴を打ち付けるゲリョスの姿が。
守りが薄い胴体に渾身の攻撃を受けたネルスキュラが、力無く転がり息絶えた。
「嘘だろ!? ゲリョスがあのネルスキュラを簡単に叩きのめすなんて!?」
モンスターの格をよく知るビオンは、予想外の結末に驚愕。
「リ、リオ! 早くゲリョスを止めるゾ!」
「あ、ああ? レウス、豪火球だ!!」
リオは妙に狼狽えている二人に困惑しながらも、戦闘態勢になりブレスで攻めた。
「グァァ!!」
レウスの口から赤く光る豪火球が放たれ、豪速の火球はゲリョスに着弾し爆炎が炸裂した。
ドォン!!
「グォォォォン……!」
火だるまになった途端にゲリョスは悲鳴をあげて地に伏せる。
「あれ、一撃??」
リオは今までの荒ぶりが嘘のように静まったあっけない敵に唖然とする。
「フゥ〜。ゲリョスは下級のモンスターだし、火にも滅法弱いヤツだからな。高火力のレウスを連れてきて大正解だったゼ」
「成程。二人とも下級のゲリョスが中級のネルスキュラに勝ったから驚いていたんだな」
「それだけじゃない。見ろ、あいつが被っている皮を」
ビオンが指差したネルスキュラをよく見ると、被っている皮は灰色のゴム質の皮でゲリョスのものと同じ。
「ネルスキュラはゲリョスを食うだけでなく皮も好む習性がある。ゲリョスにとって奴はこの上ない天敵なんだ」
「今回のゲリョスは紅力化して強くなっていたから、その天敵に勝ったんだな。同族が狩られていたから俺達よりもネルスキュラを優先して襲ったのかなぁ?」
「紅力化は生態系で下に位置するモンスターを、格上に勝てちゃうぐらいバケモノに変えちゃうんだゼ。生態系は狩って狩られての環境でバランスが取れているのに、もしそのバランスを壊すモンスターが沢山出てきたら……!」
“紅力のリオレイアが現れ、スモス村近くまで逃げてきたイャンクック”に”ポポを乱獲し、二ウェス村を食料難に陥れさせていた紅力のティガレックス”。
自然は細かい変化で生態系や人に大きな影響に与えるという事を一行はよく知っている。
オスカーの話に続き、またしても紅力化の恐ろしさを痛感した。
早く止めないと世界中の生態系は崩壊してしまうだろう。
◇
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「クァァァァ!」
「「「っ!?」」」
その時、とどめが甘かったのか紅力のゲリョスが最後の力を振り絞って暴れる。
二度目の死んだふりは予想外。
完全に不意を突かれた三人に、強くしなるゴムの尻尾が襲いかかる。
ボォォォウ!!
「「うわっ!?」」
「ニャーッ!?」
その時、リオ達とゲリョスの間に炎の壁が現れた。
「グオオアアアアア!!!!」
空から飛竜の咆哮が響き渡った後、空から謎の巨影が急襲。
ドォン!!
「クァァォォォン!?」
鋭い風圧が発生する同時に、何かが打ち付けられる音とゲリョスの悲鳴が耳に届いた。
エリアは激しい攻撃によって舞い上がる砂煙に覆われるが、かろうじて棘がついた緑色の尻尾が見える。
「くそっ、今度はリオレイアか!! リオとナビルー、撤退だ!!」
「グヌヌ、連戦はキケンだし調査は十分したから、ここはそうした方がいいよな! 早くレウスに乗ろうゼ!」
「ああ、ライドオ——」
「リオーーッ!! そこに居たのねーー!!!!」
「えっ、この声……!」
リオがレウスにライドしようとした時、少女の叫び声が”リオレイアの方向から”聞こえてきた。
砂煙が収まるとリオレイアと動かなくなったゲリョスの姿が。ゲリョスは豪火球とリオレイアの猛攻を食らい、今後こそ息絶えたのだろう。
そして、そのとどめを刺したリオレイアの背中には……。
「ライダー!?」
恐らくライダーであろう少女は、全身がリオレイアに関連した見た目。
リオレイアを模した緑色のはね髪”レイアカット”に、緑の鱗に覆われたドレス型の甲冑”レイア装備”。
少女の腰には同じく緑色の片手剣”プリンセスレイピア”が。
突然現れた少女ライダーにナビルーもビオンも警戒した。
「ニャァァ!? だ、誰だよオマエェ!?」
「まさか龍覇軍か!?」
「あぁ、ごめんなさい。驚かせちゃったね。それに……」
少女は敵意が無い事をアピールし、リオの前へゆっくりと歩む。
「興奮してしまって呼び捨てにしてしまいました……。申し訳ありません、”リオ王子”」
…………。
「「な、なんだってーーっ!!??」」
少女はリオへ深々と頭を下げ、信じがたい言葉を言った。
ナビルーもビオンも衝撃的な発言に大仰天。
「こんな形ではありますが、リオレウスのタマゴの孵化、おめでとうございます。二人共、本当に無事で良かった……!」
「今、俺を『王子』って……? しかもレウスの事も知っているのか?」
戸惑うリオの反応に少女は違和感を感じる。
「えっ? まさか忘れた訳じゃ……」
「もしかして記憶を失う前の俺を知っているのか!?」
「えっ、『記憶を失う』ですって!?」
◇
リオ達はこれまでの出来事を少女に話した。
「記憶を失った後にスモス村でレウスを孵化させたと。そして紅力化の被害に遭って、厄災を止める為の旅をしていたのですね……」
「後、お前は一体誰なんだ? 悪いけど、思い出せるような思い出せないような……」
リオの発言に少し寂しそうな表情を浮かべた少女だが、すぐに凛とした振舞いに戻り口を開く。
「申し遅れました。私の名前は……いえ、このエリアで話し合って長居するのは危険ですね」
少女は絆原石を指差す。
「あの絆原石は紅力化したジンオウガを倒すまで浄化する事ができません。まずはレウスに乗って王国まで着いて来てください。レイア、王国へ行くよ」
「グァァ!」
バサァ!!
そういうと少女はレイアと名付けられたリオレイアにライド。
緑色の翼を広げて上空へ舞い上がっていった。
「『ジンオウガを倒さないと浄化できない』? 『王国まで着いてこい』? 訳がわからないゾ。今日は情報量が多い日だゼ……」
「どうすんだリオ? なんか怪しい感じもするけどよ」
ナビルーとビオンは変わらず警戒していたが、リオは着いていくか否かについて即決する。
「レウスに乗って着いて行こうよ。あの女の子の声には悪意が感じられないっていうか、信頼できる気がするんだ……」
「ニャッ?」
「リオ? なんか、あいつに会ってからお前変だぞ??」
「レウス、体調は大丈夫か?」
「グァァ!」
「よし、行こう。ライドオン、リオレウス!」
相棒の元気そうな返事を聞き、リオ達はレウスにライドし、赤い翼を広げる。
軽く旋風を起こしながら上昇し、少女とリオレイアの後を追った。
◇
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【アーバ森林 上空】
「リオ王子。そしてアイルーとハンターの方。あちらが”飛竜王国ヘリオス”です。」
「「「………!!」」」
数分間飛行して少女についていくと森林の山が見えてきた。
その山の天辺には巨木と岩壁に囲まれて隠れている”大規模な城と城下町”が見えてきた。
「で、でけぇ……!? 本当に俺があそこの王子なのか……!?」
「ニャッ、凄い数の飛竜とライダーが飛んでいる!? こんな大きいライダーの拠点は初めて見たゾ!?」
「アーバ森林にこんな王国があったなんてな……!!」
「さぁ、行きましょう。皆さんが待っています」
◇
【飛竜王国ヘリオス 城下町】
バサァッ!!
赤と緑の飛竜が活気ある城下町の上を飛行する。
「お、おい!? やっぱり!?」
「り、リオ王子とリオレウス様だー!!??」
地から見ていた民はすぐにリオとレウスの存在に気がついており、大パニックに。
「リオ王子ーー!!」
「そのリオレウスはやはりあのタマゴのぉ!?」
騒ぐ国民を鎮めようと少女が叫ぶ。
「皆さん、すみません! まずは国王と話をさせてくださーい!!」
周りの騒々しさにナビルーとビオンは顔を見合わせた。
「ナビルー。ここまでの規模の王国に住民の驚き様……」
「どうやらあの女の子の言っている事はウソじゃあなさそうだゼ……!」
◇
【飛竜王国ヘリオス】
「あーもう。あれじゃあ龍覇軍をやっつけるなんて夢のまた夢だよ〜! 休憩挟んだらもう一回ライドの練習だからね〜!」
「「「は、はい! 先生!!」」」
城の入り口ではイャンクックとその女ライダーに、部下らしきドスランポスとライダー達がいた。
バサァッ!!
風圧と共に赤と緑の飛竜が舞い降りる。
「っ、ええぇぇっ!!?? あ、ああ、あのあの、もしかしてリオ王——」
やはりここのライダー達もリオとレウスの姿を見て腰を抜かす程驚いた。
「ごめんね、イア。今は急いでいるの。通してくれる?」
「は、はい! どうぞ!!」
「リオ王子……!?」
「まさかこのリオレウスは……!?」
部下達の騒めきが止まらないまま、リオ達は大きな入り口を通り中へ入る。
◇
巨大な城へ入った後も、リオを見る者全員が声を上げて驚いていった。
そしてリオはついに国王が待つという玉座の前へ。
【飛竜王国ヘリオス 玉座の間】
ガチャン……。
厳しい大きな両扉を開くと長い絨毯の道。
その奥には玉座と蒼き国王が待っていた。
「……なっ!? リオ……リオなのか!?」
「父さん……!? し、しかもこの”リオレウス”は……!?」
蒼く染まったレウススパイキーの髪。武具は武器と防具どちらも蒼く、蒼い鱗に包まれた装備に、背中には飛竜の翼を模した大剣。
更にその国王の隣には見栄えのある”蒼き鱗と緑の翼膜を持った火竜”がいたのだ。
「お前が行方不明になって以降、何度夢に出てきた事か……!! これも運命だな!!」
「ブレ陛下。それなのですが……」
◇
……。
しばらく少女とリオ一行は国王にリオの現状を話した。
「なんだと! リオ、思い出してくれ。俺は飛竜王国ヘリオスの国王の”ブレ”。こいつは俺の相棒のリオレウス亜種の”ソウル”だ!」
「はっきりとは覚えていないけど、心当たりがある。雪崩で高い所から落ちた時、蒼いライダーと火竜が見えたんだ……。その後、竜巻に巻き込まれて頭を打った時にその女の子と似た声も聞こえた……」
『高い所』。
その事に反応したブレは確信を得たような顔を見える。
「間違いない。お前は”高い所から落ちて頭を打って記憶を失い”、以降は”同じような強いショック”で過去の記憶を取り戻しつつあったんだ」
「『高い所から落ちて』……? 記憶を失う前に一体何があったんだ?」
リオの問いにブレは辛そうに歯を食いしばっていたが、しばらく溜めが入って重く口が開いた。
「分かった。記憶を失ったお前にもう一度話そう。今までの出来事をな……」
続く
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●今回のおまけ
イア
性別:女
年齢:十二歳
容姿:”クックファンキー”。
好きなもの:勉強、昆虫食
飛竜王国ヘリオスの下級ライダー。
幼い少女にも関わらず下級隊長の地位に上り詰め、新米ライダーにライダーの基本を教える先生役をやっている若き天才。
基本的に心優しく寛容だが、同時に感情の起伏が激しい。
『絆がライダーの成長に置いて最も重要』と考えるので、喧嘩したり弱い者を虐げる部下には怒って説教する一面も。
王国の食糧事情にも関心を持っており、効率的なエネルギー源として昆虫食を広めようとしているが国民からは不評。
◯武器
⚪︎イャンクック砲(ヘビィボウガン)
「大出力、大口径のヘビィボウガン。耐火性能の高い怪鳥の素材を惜しみなく使っている。」
イャンクックの素材で作られたヘビィボウガン。
高火力な代わりに取り回しが難しいが、武器の技術にも精通しているイアは難なく使いこなし、新米ライダーを後方から援護する。
◯防具
⚪︎クック装備
「イャンクックの素材で作られた色鮮やかな装備。鋭くとがったトゲつきの甲殻は非常に頑丈。」
イャンクックの素材で作られた防具。異国の戦士を彷彿させる見た目で、イアはこの明るい桃色が気に入っている。
◯オトモン
⚪︎クック(イャンクック)
臆病な性格の怪鳥イャンクックで、イアと共に幾多の新米ライダーの練習相手になっている。
先生のオトモンだけあって普段はバランスの良い戦いをしているが、焦ってムキになると後先考えずに突撃しがち。
この性格のせいでとあるリオレイアのライダーとの特訓の結果は『零勝三十敗』。
おかげで火竜族に苦手意識を持ってしまい、リオのレウスを見た際もとても怖がっていた。
イャンクック
別名:怪鳥
種族:鳥竜種
レア度:★3
属性・状態異常:火属性
主な生息地:密林、森林、沼地、火山、高山
しゃくれた大きな嘴にこれまた大きなエリマキ、桃色の甲殻、なかなか綺麗な青い翼膜と、とてもユニークな見た目の大型鳥竜種。
その見た目に反して戦闘力は比較的高く、見た目で判断した多くのハンターやライダーを返り討ちにしてしまう。
ドタドタと走りながらの強烈な突進や大きな嘴の啄み、口から吐き出され放物線に飛ぶ火炎液など技も中型モンスターとは一線を画す。
元々とても臆病なモンスターだが、しっかり絆を深めれば巨大なモンスターにも果敢に立ち向かってくれるだろう。
大型モンスターであるイャンクックをオトモンにしている頃には、駆け出しのライダーは卒業しているはずだ。
餌は甲殻が硬いダンゴムシのような甲虫種”盾虫クンチュウ”をあげると喜ぶだろう。
◯主な技
⚪︎火球
口から発火性のある液体を吐き出す。
⚪︎連続スパイク
素早い啄み攻撃を連続で行う。
⚪︎クックウィップ
相手一体をしなる尻尾で器用に攻撃する。
⚪︎クックタックル
相手に向かって突進。次々と相手を巻き込める。
◯絆技
⚪︎リバースボール
ライダーの指示で突進しようとするも急に立ち止まるイャンクック。そしてなんと丁度地面を這っていたクンチュウを呑気に食べ始める。
怒ったライダーのゲンコツで、吐き出されたクンチュウが火炎液を纏いながら相手にたくさん放たれて大ダメージを与える。
ゲンコツをされても怒らないイャンクック。
絆を結んでて普段は仲が良いから成せる絆技……なのかもしれない。