「皆さん、お久しぶりです。作者のルークスです。今回はこの小説を見てくれてありがとうございます。
いつもならあらすじから始まるところですが、今回は先に二つの話をさせていただきます。
一つ目、”投稿が途絶えていた点”。
作者のモチベーションや体調、メンタルの不調、イラスト作業でなかなか書けず、気づいたら第三話から一年以上も経ってました。リハビリにも挑戦していましたが、それでも何度か小説打ち切りがチラつく事も……。
申し訳ありませんでした。
現在は上で挙げた点が安定し、今もMH小説やMHST小説を投稿している方や自分の小説を見てくれている方から活力を貰い、復帰する事になりました。
今後、また理由が重なって更新が途絶える可能性もゼロではない事をお許しください。
そして、更新途絶え・打ち切りを避けるよう最善を尽くしたいと思います。
二つ目、”小説の内容が少し変わります”。
⚪︎【重要】主人公の名前が「レオ」→「リオ」に変わります。
MHST2の主人公のデフォルトネームとの被りを避けていましたのですが、気にせず好きな名前をつけた方がいいと割り切り、変更させて頂きます。
⚪︎それに合わせて過去話全部に書かれている名前の変更、それと同時に文の手直しやミスの修正も行いました。
ここまで見てくださりありがとうございます。そしてお待たせして本当に申し訳ありません。
では、本編をどうぞ!」
★★★
【あらすじ】
日々ライダーの本格訓練を続けるリオと”紅力化”の情報を掴めなくて悩むナビルー。
突如、村全体にモンスターの襲来を知らせる警笛が鳴り響き、新米ライダーと村人は避難所へ。先輩ライダー達はモンスターの撃退へ向かった。
帰ってこない先輩を心配し、避難所を飛び出したリオが見たモンスターはなんと”紅力化した雌火竜リオレイア”。
レウスは紅力のリオレイアを見るなり謎の暴走をし、更にレウスを狙う黒い絆石を持つ謎のライダーが二人も乱入。
敵のオトモンの猛攻やリオレイアの妨害のせいで、レウスは謎のライダー達に連れ去られてしまう。
リオとビオンは”紅力化を止める為”、”謎のライダーからレウスを取り戻す為”に冒険に出る事を決意。
事態を重く見たレスフ村長はリオ達が村の外に出る事を許可した。
_
第四話 旅立ち、そして女王との決着
あの”悪夢”が終わってすぐに、絆あわせの儀式が始まった。
紅力化したリオレイアが襲撃した後、村で唯一残っていた青い殻に橙色の斑点模様のタマゴ。レスフ村長曰く、『もしもの為に』と取っておいた大事なタマゴらしい。
「我が名はリオ」
リオがタマゴに挨拶をし、続けて村長が踊りながらタマゴと絆石に呼びかける。
「聖なる絆石よ、リオと眠りし御霊の絆を結びたまえ」
二人の言葉に反応するかのように絆石の光が強くなっていく。
そして村長が踊りを終えると同時に力強く叫ぶ。
「いざ、新生の時っ! 目覚めよ!」
パリン!
「キャオ、キャオ! クォォ!!」
生まれたオトモンは青い鱗に黒の縞模様、赤いトサカや発達した爪に黄色い嘴が特徴である中型鳥竜種の”ドスランポス”。
「ドスランポスだ! これからよろしくな!」
「キャオ!」
リオを主人と認めたドスランポスは元気そうに吠える。
本当ならこの子を存分に可愛がりたい所だが、残念ながら今は余裕がない。
「タマゴの孵化、おめでとう!」
「ありがとう、ビル先輩」
「ランポス族は本来は群れで生活する種族で仲間意識が強い。スモス村でもドスランポスは、駆け出しのライダーに引っ張る初期オトモンの一体となっているんだ」
「きっとお主ならドスランポスとも絆を結び、乗りこなせるだろう。さぁ、ビルの特別訓練を受けてくれ」
◇
_
【スモス村 訓練所】
「よし! 村の周りを20周走れ!」
「おーー!!」
「腕立て、腹筋、ストレッチをそれぞれ60回、最速ペースでやるぞ!」
「おおーー!!」
「夕飯まで模擬刀で俺とずっと戦闘訓練!」
「はい! おおおーー!!」
この前のハードな訓練をより更に厳しい特別訓練の数々。しかし、今までの訓練の日々とレウスに対する想いのお陰で苦痛さを全く感じない。
「り、リオ? 休まないの?」
「『夕飯まで』って……!? 散々動いたのにあと一時間も訓練を続けるの!?」
「やっぱ俺。特別訓練はやめとこうかな……」
想像を遥かに超えるハードさと、それを難なくこなしていくリオに、新人ライダー三人組の空いた口が塞がらない。
「はぁっ!」
「でやっ!」
ビルの手加減なしの剣捌きがリオの身体をアザだらけにするが、リオも一切弱音を吐かずに反撃を叩き込む。
◇
一時間も経った時には二人は訓練所の地面で倒れていた。
「はぁ……よくやりきった。リオ」
「……はい」
「少し休憩を挟んだ後、最後の勉強だ。しっかり頭に叩き込め!」
「はいっ!!」
◇
【スモス村 訓練所】
「回復薬とハチミツを調合して回復薬グレード。げどく草とアオキノコを調合して解毒薬。アロエ草とハチミツで……」
大自然で生き抜く為にビル先輩から教わるアイテムの調合レシピ、狩りや武器の扱いの基礎、環境の知識を頭に叩き込む。
ただただレウスの事だけが心配だったが、不安の気持ちを抑え、学びに集中する。
「分かったか? これら基礎を書いたライダーノートを渡すから、しっかり目を通しておけ」
「はい!」
◇
_
【スモス村 広場】
紅力のリオレイアによって荒らされた村。家と風車、畑の全てが無残な姿となり、夕日の光がその切ない場所を照らしていた。
「皆さん、夕飯ができましたよ」
「おう! お前ら、一旦休憩だ!」
村人が再建班と炊き出し班に分かれて、村を復興していく。
例え壊滅寸前の困難な状況でも、村人達の堅い絆が互いを助け勇気づけていった。
ビルがアザの治療をしていた時、料理を手伝っているアオイが目に止まる。
「アオイ。お前はビオンと訓練していたよな? あいつはどこだ?」
「ああ。訓練が一通り終わった後、『もっと鍛えないとハンターにはなれない』って聞かないんら。料理でここを離れられないから、悪いけど代わりに呼んできてほしいら」
テーブルに温かい料理がずらりと並んでいる。気が付けばもう夕飯の時間だ。
「ビル先輩。俺が呼んでくるよ」
同じくアザだらけのリオが無理矢理立ち上がり、スカスの丘に向かう。
「あっ、おいリオ! 無茶するなら!」
「いや、あいつならビオンを説得できるはずだ。行かせてやれ」
【スカスの丘】
一面緑色だったスカスの丘もリオレイアに大いに荒らされ、見るも無残な焼け野原となっていた。
そこにポツンと一つの影が座り込んでいる。
「……」
「ビオン、そこにいたのか。そろそろ夕飯だぞ」
今まであんなに活気があったビオンが、首が上がらず肩で息している。
きっと身体が限界を迎えるまで鍛えていたのだろう。
「……俺は本当に大自然で狩りができるようになれるのか」
「えっ? いきなり何言って……?」
「お前を助けた後、あのリオレイアにこやし玉一つだけで立ち向かおうとして、深手を負ってしまった。このままではよくない。もっと力を得る為にも……」
「でもさ。夕飯だから……」
「もう一秒も無駄にできないんだ! 大自然をハンターになるからにはぬかりなく鍛えたり知識を得なきゃなんねぇ!!」
ビオンの息が荒くなる。諦めかけていたハンターになる事を許可された以上、彼のやりたい事はハンターになる為の準備。
しかし、それと同時にビオンには焦りが感じられる。
「待てよ、ビオン! 俺もビオンも今日の事で無茶が危険だって分かったじゃないか! ほら、怪我でもしたら旅に支障がでちゃうし……」
「っ……」
「きっとビオンならなれるさ! 体力も知識も十分にあるし、それに人助けまで出来るんだからな!」
「…………」
リオの言葉にビオンが黙ってしまったが、しばらくすると笑みが溢れ始める。
「まさかお前に説得させられる日が来るなんて。はぁ、俺は馬鹿だ。すぐ学んだ事を忘れるんだからよ」
「まぁ、熱くなりやすいのは俺も同じだし気にする事ないよ。さぁ、行こうぜ」
「ああ、すまんな」
リオがビオンに肩を貸し、傷が痛まないようにゆっくりと歩む。
奥の荒らされた村からは、まだ生きようと力を振り絞る村人がつけた明かりが見えていた。
◇
【スモス村 広場】
「あっ、やっと来た! 遅いゾ!」
「ああ、ごめんごめん」
休憩を挟んだ村人達が先に飯を頂いていたが、ナビルーはリオ達の帰りを待っていた。
食卓にはアツアツの五香セロリのスープと水が並んでいる。
どうやら奇跡的に無事だった畑の野菜を使って料理したようだ。
「パクッゴクッ……」
初めて村に来た時から苦手だった五香セロリも、毎日当たり前のように飲んでいた水も、今ではある事への有り難さが痛い程分かる。
「(俺はこうして飯を食べられているけど、レウスはどうなんだろ……)」
連れ去られて以来、敵の手中に落ちてしまったレウスの事が頭から離れない。
『飯は与えられているのか』『もし酷い目に遭わされてたら』……と思うと心が締め付けられるような思いでいっぱいであった。
◇
_
炊き出しを食べ終わって休憩した後、三人は荷物をポーチに入れていく。
「回復薬は持ったか。リオ」
「ああ! ビオン、こんがり肉も欲しい!」
荷物の内容は傷を負った時の為に薬草と回復薬と食糧のこんがり肉。
もしもの為に解毒薬も調合しておいた。
「おいおい二人共、スモスドーナツも忘れちゃ困るゼ?」
「うーん、それ欲しいかな……?」
「ニャニャニャ!? 何を言っているんだ!! アレは旅には必須なアイテムだゾ!?」
ドーナツを軽視されてナビルーが大袈裟に驚く。はっきり言って『旅をしながら食べたい』と意図が見え見えだが……。
「そう思っているのはナビルー、お前だけだぞ。……まぁ、ポーチにまだ空きがある。一応、作って持っていくか」
「さっすが、ビオン!! 分かってる〜!」
「夜になったら出発かぁ。しばらくこの故郷に帰れないと思うと寂しいな……」
ビオンはとても複雑そうな目をしていた。きっと『ハンターになれるという喜び』と『故郷から離れる不安』によるものだろう。
すぐ気づいたリオは、しっかりと安心させる為の言葉をかけようとする。
「大丈夫だよ! 俺もビオンも危機を乗り越えられたじゃん。きっとそれぞれの目的を成し遂げて、村に帰れるさ!」
「ああ、そうだよな!」
緊張感がすぐに薄れ、リオとビオンは笑顔を交わす。
しばらくして三人はビルとレスフ村長の元へ行った。
テーブルには計画を立てる為の地図がある。
「まずリオとビオンが出会った森とは別に、広い森の”テンチの森”がある。村の者が調査した所、謎のライダーが従えたオトモンの足跡があそこまで伸びていた。足跡を辿れば、きっと奴らを追えるはすじゃ」
「そして、ビオンはテンチの森を抜けた後、ハンター達が集う”カリトモニ”という街に向かってほしい。そこにハンターの資格を取れる”ハンターズギルド”があるはずだ。後、テンチの森にはリオレイアの生息も確認されているから気をつけろよ」
ビルとレスフ村長が目的の説明を始める。
「ということは、テンチの森に向かう途中に紅力化したリオレイアとの遭遇もあり得るのか」
「その通りだ、ビオンよ。そして、お主がもしモンスターに遭遇した時の為に用意した物がある。ビル、”アレ”を持ってきてくれ」
村長からの指示を受けたビルは村の訓練所から、棟に牙が付けられた骨製の大剣、そしてゴーグルと黄色と緑の革製の服を持ってきた。
「これは……!」
「村に残ってたモンスターの素材で加工屋に作らせてもらった”アギト”と”レザー装備”じゃ。これらを護身として装備するが良い」
「はい! ありがとうございます!!」
ビオンが装備を受け取った事を確認したビルは地図をリオとビオンに渡して会話を続ける。
「ビオンが北東のギルドへ行く関係上、謎のライダーが通った道次第では二手に分かれる事になるだろう。念の為に地図の一枚をリオとナビルー、もう一枚をビオンにやる」
スモス村を恐怖のどん底に落とした紅力のリオレイア。
リオとビオンの目は”その紅の雌火竜との戦闘を覚悟した目つき”であった。
◇
_
【スモス村 門】
「リオ、本当に気をつけるんだぞ。きっと厳しい旅になるだろうが、レウスの為にも頑張ってくれ!」
「ああ! ビル先輩、いままでありがとう! 絶対にレウスを取り戻してみせる!!」
「ビオンよ。今までハンターになる夢を邪魔してすまなかった。これからはハンターとして生き、狩りに励むが良い。お主の健闘を祈る!」
「ありがとうございます、レスフ村長。必ずハンターになって、紅力化を止めて見せます!」
リオはビル先輩、ビオンはレスフ村長と別れの挨拶を交わす。
「お、おーい! そこに居たのか、ちんちくりん!!」
村人をかき分けて慌てた様子のアオイがナビルーへ走ってきた。
「ニャーー!! 最後の最後で『ちんちくりん』呼ばわりかよ!! オレはナビルーっていうカッコいい名前があるのにぃ!!」
「……『ナビルー』らね? 覚えとくら。ほらっ!」
「ニャッ!?」
アオイがナビルーに渡したのは二つの甘い香りのドーナツ。
突然のプレゼントにナビルーは困惑した。
「ニャニャニャ!? これは!?」
「……ビオンから教わって作った”スモスドーナツ”ら。最後だからリオとナビルーにくれてやるら」
「おー! アオイ、意外と料理できるんだなぁ! 意外と!」
「『意外と』ってなんら! 二回も言いやがって!!」
「ま、ありがたく頂くゼ! お前も元気でいろよ!!」
ナビルーに言われると、アオイが震えながら背中を向けて帰っていく。
「それと……」
「ん? なんなのだ?」
「……リオに伝えてほしいら。『お前が初めて来た時は悪い事した』と。お前にも何回も悪く言ってしまったな……ごめんら」
「……へへん、気にするなよ! 俺達はアオイとの絆の思い出も大事するゼ!」
「「「うぇーん、うぅぅ……」」」
リオ達が旅立つと聞き村人達やライダー達を駆けつけている。
その中にはリオとの別れを惜しむ三人の後輩ライダー達もいた。
「へへ、心配すんなって! リオとビオンはこのオレ、ナビルー様のナビで導くから安心だ!」
「「「余計心配だよ〜! 行かないで〜!」」」
「ニャッ、ニャンだとー! オレのナビが信用出来ないと言うのかぁーー!?」
「アハハ! じゃあ、皆んな。行ってくる!!」
「リオ、気をつけろよー!」
「ビオン、頼んだわよー!」
「ナビルーー! がーんばってーー!!」
初めて訪れた時と違い、とても暖かい声で見送って行く村人達。
見慣れた村人やライダー達、そしてスモス村が次第に遠くなっていく。
希望と不安を胸に、ついにリオ達の旅が始まった……!
◇
_
【スカスの丘】
「ヨーシ、冒険の始まりだゼェ! さっそくライドオンしようゼ!」
「ライドオン、ドスランポス!」
「ギャギャギャギャ!!」
絆石を構えると同時に、リオのドスランポスが颯爽と駆け寄ってくる。ドスランポスはレウスと同じくすぐに成体になっていた。
細身ながらも乗り心地抜群なドスランポスに三人はライドし、荒れた草原を駆けていく。
「いくぞ! ナビルー、ビオン!」
「「おー!!」」
揺れながらふと横方向に目をやるとアプトノス達の群れがいた。
「ブゥゥ……」
「ブォォォン!」
どの個体も周りを見渡しながら叫んでいる。
幼体に至っては震えが止まらず、親のそばから全く離れない程に怯えている。
「ビオン、あのアプトノス」
「ああ、何かを察知して落ち着きがないな」
「ムムム。敏感なアプトノスが落ち着きないって事は、やっぱりあのリオレイアが近くの森にいるんだな……」
しばらくすると、緑色の巨大な森が見えてくる。
「あれがテンチの森だな! いくぞ!」
【テンチの森】
鬱蒼としたテンチの森に踏み入れた瞬間に、森全体が異常な事が伝わった。
「「……!」」
「ひ、酷い有様だゼ……」
折れた大木が複数、毒で蝕われた草、無惨に食い殺されたアプトノスやランポス、そして戦いの最中に剥がれたであろうリオレイアの鱗片があちこちに飛散していた。
「リオレイアが近くにいるのか。前のようには行かねぇぞ!」
ビオンは数々の痕跡を見て、初めて狩猟するリオレイアに対する闘争心を見せていた。
◇
奥に進むに連れて地面の高低差が激しくなっていく。
「ギャア?」
「どうした、ドスランポス!」
「ギャギャギャギャ!!」
「クァァァ!!」
登り道の方面から耳がやぶけたイャンクックが走ってくる!
「ゲッ、こんな時に襲ってくるのかよ! リオ、どうするんだ?」
「待って、様子がおかしい! ドスランポス、避けろ!」
「ギャア!」
「クァァァ……!!」
ダッダッダッ……。
「アレ? どっか行ったゾ!」
「ビオン、さっきのイャンクックもかなり怪我をしていたな」
「耳が破けているだけでなく、身体の甲殻も大きな傷があった。あれはハンターがつけられるような傷じゃない……」
「さっきのイャンクックも前に村に向かっていたイャンクックも、あの紅力のリオレイアから逃げていたんだな」
「元々リオレイアはイャンクックを一蹴できる強さだからな!」
モンスターに詳しいナビルーが得意げに説明する。
「……!」
目を見開くリオに対してナビルーが話しかけた。
「リオ、どうしたのだ?」
「あれを見ろ!」
リオが指す方向には紅色に染まった空が森の大部分を覆おうとしている。
ビオンが異様な空に圧倒されながらも、地図で道を確認し出した。
「おい。あの紅い空の下って、通る予定の道だよな?」
「オレの勘とヒゲがビリビリきている……”アイツ”が近くにいるゾ! 二人共、準備はいいか?」
「ああ!」
「おう!」
◇
_
【テンチの森 中心部】
「ニャニャニャッ!?」
「な、なんだこれ!?」
「リオ、ドスランポスから降りて調査するぞ!」
開けたエリアでリオ達が見たものは、紅い草木や地面。
そして、紅く染まった空という恐ろしい光景だった。
「全部、紅く染まっている……」
「じ、じじ、地獄に来てしまったのかオレ達は!?」
異常としか言えない紅いエリアにリオとナビルーは動揺を隠せなかった。
ビオンが遅れてやってきて慎重にエリアを観察し、ナビルーに話しかけた。
「違うな、ナビルー。きっとここのエリア全体が紅い光に覆われている。だから空高くまで紅く見えるんだ」
「なんだ、そういうことか。旅で色んなものを見てきたけど、こんな光景は初めて見たからさぁ〜」
「紅力化を調査しているナビルーでも見たことないのか?」
「ああ、紅力化したモンスターは何度か見たことあるけど……これも紅力化と関係があるのかな〜? ……ニャッ!?」
「どうした、ナビルー?」
「あ、あの石は!?」
「「!」」
テンチの森の中心部に巨大な石が鎮座し、その巨大な石も周りと同じく炎のような紅い光を見せている。
ナビルーとリオが走って近寄る。
「これって……”絆原石”じゃないか!!」
「絆原石ってなんだ?」
「リオ、ライダーなのに知らないのかよ!? この絆原石は生き物の心に反応する石で、絆石を作るのに欠かせない石だゾ!」
「えっ! じゃあ俺の絆石もこの石から作られたのか?」
リオが左腕につけてある白いフレームと青い石が嵌められた絆石を見つめた。
よくみると絆原石にはよく見ると所々ピッケルで削られたような跡がある。
そっと触れて確認したビオンが絆石の説明をした。
「そうだな。ビル曰く『絆石は絆原石から一部を削り取って、専用のフレームを付けて完成する』と言ってた。削った絆原石っていうのはこれの事だろう」
「でも、こんな真っ赤な絆原石は初めて見るゾ? ここらへんの絆原石は変わっているのだな〜」
「スモス村のライダーの絆石はこんな色ではない。紅く染まっているのは……まさか、紅力化っていうのは物体にまで侵蝕するのか?」
「いや、そんな報告は聞いた事ないゾ? でも、この周りの岩や木は濃い光で紅く見えるだけなはずだけど、この絆原石は本当に紅力化の影響を受けているように見えるな……」
ナビルーは不可解な影響に首を傾げる。ますます紅力化の謎は深まるばかり。
◇
_
「グオアアアア!!!!」
「「!」」
「ニャ!? 今のはもしかして!?」
エリア全体に狂気的で恐ろしい咆哮が轟き、思わず三人が耳を塞ぐ。
「いるのか! ……ピューイ!」
リオの口笛と共にドスランポスが戦闘体制に入る。
「どこにいるんだ……!」
リオとビオンがそれぞれの大剣を抜刀し、警戒する。
「……グォォォォ!」
ドスランポスが木々に向かって威嚇し出し、その木々の隙間から刺すような鋭い目つきと紅い光が覗いていた。
「……!! リオ、ナビルー。あっちから来るぞ!!」
ドン! ドン! ドン! ドン!
「グァァァ!」
ビオンが叫んだ瞬間、木々を倒しながらついに紅力のリオレイアが姿を現した!
「出たな、リオレイア!」
リオレイアの襲撃に応戦しようと、リオはアイアンソードを力任せに縦斬りを決めようもするが……。
ドン!
「うわああ!!」
予想を超える速度の体当たりに押し切られてしまう。
そのままリオレイアはビオン達に向かっていった。
「恐らくこやし玉は効かないはず……なら、これはどうだ!」
ビオンがすかさず閃光玉を取り出して、リオレイアの目元へ投げつける!
「お前ら、目を瞑れ!」
ボォン!!
閃光玉から眩い光が放たれ、リオレイアの視界を容赦無く奪う。
「グォァァ!」
「隙あり、うおお!!」
キン!
ビオンが甲殻に向かって大剣を握って渾身の薙ぎ払いを放つが、あまり深い傷を付けられなかった。
「くそっ、駄目か!」
「リオ、ビオン! 相手のタイプや部位を考えるんだ!」
「「!」」
◇
「(そうだ、確か訓練の時……!)」
『様々な手で攻めてくる俺達を適切に対処し、攻撃を押し通するとはな。とてもいい戦い方だぞ、リオ!』
『確かに。翻弄する動きをパワーで捻じ伏せたり、力を込めた一撃をスピードで隙を突いたり、素早い攻撃をテクニックで牽制したり……』
「(ビル先輩を適切な対処で攻め手を押し返せた!)」
……。
「(確かに。俺が襲われた時……!)」
『ドスラッシュ!!』
『シャケハントクロー!!』
『グオオウウ!!』
「(ビルとアオイが絆技で、弱点であろう頭を狙って撃退したな!)」
◇
_
「ギャア!」
「グァァァ!」
目が直ったリオレイアがドスランポスの攻撃を避け、再びリオに突進を仕掛ける!
「(リオレイアは脚力を活かしてスピードある攻撃を行う。つまりテクニックで牽制すれば!)」
ザンッ!!
「グォァァ!!」
横に回転回避してから一回転の昇り斬りで、通り過ぎるリオレイアの尻尾にダメージを与えた。
「グルルルゥ……!」
リオレイアの紅い光が更に輝きを増し始め、尻尾のダメージを受けながらも今度はビオンに向かって走り、脚を踏ん張る。
「(この構え。前に繰り出したあの攻撃!)」
ブォン!!
紅く光るサマーソルトのような毒スパイクを寸前で避けた。
地面は大きく抉られ、紅い毒が地面を更に蝕んでいた。
きっと当たっていたら前のように一撃で力尽きていただろう。
「(この尻尾はしなやかだが、それと同時に繊細な部位とみた。つまり切断できるはず!)」
ビオンは一瞬で尻尾の肉質を予想し、リオ達と連携を取ろうとする。
「リオ、俺が尻尾に溜め斬りを放つ! ドスランポスに指示をしてくれ!」
「分かった! ドスランポス、ビオンを助けてくれ!」
「グァァァ!!」
大剣を構えたビオンに噛みつこうとするリオレイアだが、そこに指示を受けたドスランポスが接近する!
「ギャオ!!」
ザァン!!
一瞬の隙を見切ったドスランポスが、緑の甲殻に覆われた尻尾を爪で思いっきり引き裂いた。
「グォァァ!!」
「今だ、うおおおお!」
ザァンッ!!!!
「グォァァ!!」
ビオンの縦方向の溜め斬りが、リオレイアの尻尾に命中し見事切断。血飛沫をあげながら刺々しい尻尾の先端部分が地面に落ちた。
「いいぞ、二人共! 尻尾のリーチも短くなった!」
流石のリオレイアも、切断された痛みに耐えられず、大きく転倒した後に蹌踉めきながら立ち上がる。
「シュゥゥゥゥ……グオアアアア!!!!」
大事な尻尾を切断されたリオレイアは、周囲を揺るがす程の咆哮を上げ、口から勢いおく炎が吹き出し始める。
「ついにリオレイアが怒ったゾ! 行動の変化に気をつけろ!」
「怒ったということは本気の攻撃が来るな! リオ、ライドで対抗しろ!」
「ライドオン、ドスランポス!」
「ギャギャギャギャオ!!」
リオの合図を確認するとドスランポスは瞬時にリオレイアから距離を取り、リオの横で待機。
リオが飛び乗ったと共に、ドスランポスは戦闘態勢に戻った。
「(怒ったリオレイアはどんな手を使ってくるんだ。あんなに怒っているという事は……)」
「グルル……!」
突然リオレイアは飛翔し、地面ごと裂こうとリオを爪を振り下ろした。
「(やっぱり殺意で力んでいる! 今度はパワーで押してくる気だ!)ドスランポス、はやての一撃!」
大地を蹴ってリオレイアに向かったリオとドスランポスは、振り落とされた爪を避けながら腹部に噛み付く。
「いいゾ! パワー攻撃をスピードで対処した!」
「グォウ!」
滞空しながら悶えるリオレイアに振り落とされたが、受け身を取ったドスランポスは再び攻撃を仕掛ける。
「!」
『追撃が来る』と読んだリオレイアは口に炎を溜め始めた。
「……! しまった!」
「グァァ!」
ボオオオオ!!
「うわああ!!」
「「リオ!」」
拡散する炎ブレスに焼かれたリオとドスランポスが態勢を崩してしまう。
その隙だらけの姿を見たリオレイアが、すかさず突進を仕掛けた!
「まずい、出遅れた!」
ビオンが重い大剣を慌てて納刀するが、全力で走るリオレイアに追いつけない。
_
「ここはナビルーにまかせろ! うおおおおお!!」
電気を帯びたナビルーが黄金に光り輝くアイルーに変化し、あっという間にリオレイアに接近した。
「喰らえーー!!」
ビシャァァァァァン!!
「グォァァ!?」
ナビルーの帯電タックルがリオレイアの突進を横から阻止した!
「またナビルーが光った!?」
「へへ、これが”世界を救った力”さ!! 間接的にだけどな!」
「隙あり!」
ザァン!
「グォゥ!」
ビオンが渾身の薙ぎ払いを放ち、今度は脚に命中。
リオレイアが転倒し、うまく立ち上がれずバタバタともがく。
「行けるか、ドスランポス?」
「ギャァァ!」
よろめきながらもドスランポスが態勢を立て直し、リオレイアを鋭く睨む。
キィィィン!!
「グォォォ!」
絆石が光り輝くと同時に、ドスランポスは雄叫びを挙げ、縦回転しながら跳躍する。
「いっけぇぇぇ! “ドスラッシュ”!!」
「ギャギャギャギャア!!」
ドドドドドドッ!!
空中で回転を止めた時に鋭い脚爪を構え、上から無数の強烈な蹴りを浴びせた!
「グォァァァァ……!!」
リオのドスランポスが放った絆技”ドスラッシュ”を全て弱点の頭に叩き込まれた紅力のリオレイアは、ついに力尽きて地に倒れ伏した。
「はぁ……はぁ……よくやったな、ドスランポス!」
「おい、倒せた……のか……?」
「やったな、リオとビオン! あのリオレイアを倒すなんてシビれるゼ!!」
「苦戦はしたけどな。リオ、回復薬だ」
「ありがとう」
ビンの中の緑色の液体を服用すると、すぐに出血が止まってかなりの速度で傷が塞がっていく。
_
「あ、見ろよ! リオとビオン!」
突然、ナビルーがリオレイアを指差す。
あんなに輝いていたリオレイアの紅力の光が徐々に弱まり、本来の緑色の体色に戻っていった。
その顔は心無しか、”何か”から解放されたかのように安らかな表情を見せていた。
「……」
因縁のリオレイアを倒してもリオの表情は全く晴れない。
警戒しながらリオレイアに近づき、完全に息絶えた事を確認すると、ゆっくりと頭を撫で始めた。
「どうしたんだ、リオ?」
「ナビルー。このリオレイアが暴れていたのは紅力のせいなんだよな……?」
「ああ、そうだな。こいつもあくまで紅力化の被害者だ。本当は村を襲ったり森で暴れたりしたくなかったと思うゼ……」
「ごめん、リオレイア。お前もこんな争いなんてしたくなかったよな。必ず紅力を止めてお前の無念を晴らしてみせる!」
キィィィン……!
「リオ、オマエの絆石が輝いているゼ!?」
「「!?」」
リオの絆石が青白い光を放ちながらフレームが展開、そのままエリア全体が輝く光に包まれた!
キィィィィィン!!
それに反応した絆原石からも青白い光が放たれ、それと同時に周りに浮いていた紅い光が、吸い込まれるかのようにリオの絆石に集まっていく。
_
……。
気がつけば周りは緑の草木や地面、青い大空へ変わっていた。
濃い紅い光で気づかなかったが、夜に出発した後、激戦を繰り広げている内に朝になっていたようだ。
そして、あの燃えるような紅色になっていた絆原石も本来の透き通った空色へ戻っている。
「な、なんだ!?」
「リオ、紅力が……お前の絆石に吸い込まれちまったぞ!?」
「今の見たことあるゾ! 絆石が紅力を吸収したんだ!」
「どういうこと、ナビルー?」
「過去に共にしていたライダーさんの絆石も、こういう厄災の力を吸収してパワーアップしたんだ! きっと今のオマエなら、もっと堅い絆を結んで強くなれるはずだ!」
「おー、絆石ってそんな力を持つアイテムだったのか! そういえば、『ライダーさん』とか言っているけど、さっきの電気もそのライダーとの旅に関係しているのか?」
「ああ、過去に旅をしていた時に雷狼竜”ジンオウガ”っていうヤツのワザ、”超帯電”が使えるようになったんだ!」
モンスターの名前を聞いたビオンが目を見開いて驚く。
「ジンオウガ!? 全く別のモンスターの技を、なんでアイルーのお前が使えるんだ!?」
「ま、まぁ。本当に”色々”あったんだよ……。この力自体は苦い思い出だけど、同時にこの力がなかったら、”あのライダーさん”を助けられなかった……」
ナビルーが感慨深そうに肉球がついた手を眺めている。
その手からは、また例の黄金の電流が走っている。
「どんな形であれ、それが前に言っていた『世界を救う力』になったんだな! ナビルーが本当に世界一のライダーのオトモなんて驚いたよ!」
リオの口からこぼれた呟きに思わずナビルーが反応してしまった。
「ニャッ!? あれだけ語っていたのに信じてなかったのかよ!?」
「あっ……あはは。そういえば、そのライダーってどんなライダーだったんだ? 俺もライダーだから参考にしたいんだ!」
「ああ、それは……って語りたい所だけど、今はレウスを助ける事に集中しなきゃ。この話は後でするゾ!」
「あっ、そうだよな。なぁドスランポス、走れるか?」
「ギャア!」
「ありがとう! ライドオン、ドスランポス!」
謎のライダーからレウスを取り戻す為に、三人はドスランポスにライド。
「無事でいてくれよ、レウス!」
激闘を繰り広げたテンチの森の中心部から出て、森の奥へ奥へと進んだ。
続く
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●今回のおまけ
レスフ
年齢:忘れてしまったぞ
性別:男
職業:スモス村の村長
容姿:黄土色の肌、茶色い髪、赤と緑色の帽子とローブ、鈴付きの木製の杖
好きなもの:村のライダー達の成長、目玉焼き、日光浴
子供と同等かそれ以下の低い身長の年寄りの竜人(竜人族は長く尖った耳や四本の指や独特の関節を持つ脚を持ち、とても長寿な種族である)。
スモス村の村長を務めており、上手く村を纏められる知識と温かく穏やかな心を持つが、怒ったり強張っている時はモンスターにも負けない迫力。
時折頑固な面も見せてしまうが、それでも村人からはこの上なく信頼されている。
ライダーが世間に恐れられている事と過去の事件から、村に来たよそ者にはやや敏感だったが、リオやナビルーとの出会いやビオンの説得により本来の穏やかさを取り戻した。
目玉焼きが大好き。
昔は『モンスターの命を奪う』として頑なに口にしなかったが、ビオンの言葉を聞いて考えを改めた後は『栄養の高く健康に良い』とかなり気に入った。
リオレイア
別名:雌火竜
種族:飛竜種
レア度:★5
属性・状態異常:火属性、毒
主な生息地:密林、森林、砂漠、沼地、洞窟、高山、火山
『陸の女王』と呼ばれる火竜の雌個体。
鷹を思わせる嘴を持つ顔、全身を覆う緑色の甲殻、陸上に特化した脚、毒棘がついた尻尾など、刺々しいスタンダードな翼竜のような見た目をしている。同じ火竜だけあって雄のリオレウスと共通点も多い。
炎ブレスと毒棘を持つ尻尾。そして鍛えられた脚力が主な武器。
毒はサマーソルトのような縦回転の尻尾攻撃に発揮される。リオレイアを代表的な技で、大ダメージと毒が同時に相手を苦しめる。炎ブレスは広範囲を焼き払う炎ブレスが可能で、リオレウスとは別の方向の強みがあるようだ。
巣を守る為に脚力が発達しており、侵入者を執拗に追いかけて体当たりをお見舞いする事も。
リオレウスと同じく家族への愛情が深い種なので絆を大きく深めることができて、いつかはたくましくて母親のように優しいオトモンになってくれるだろう。
アンジャナフと同じく、中堅のオトモンとしてはトップクラスの強さを誇る。
◯主な技
⚪︎毒スパイク
サマーソルトのように縦回転して尻尾を当てる。毒棘で相手を毒に侵せる。
⚪︎炎ブレス
大きな火球を吐く。威力も高い。
⚪︎拡散炎ブレス
相手を一掃できる程の広範囲の炎ブレスを吐く。
◯絆技
⚪︎フレイムシェイバー
相手に飛行しながら接近するリオレイア。強力な炎ブレスを吐いて、相手と周りの地面を燃やし空中で縦旋回した後、相手に強力なサマーソルトで発生したかまいたちを放つ。
巨大かまいたちは広範囲に残った炎を巻き込みながら陸ごと相手を削って焼き、複数の相手を一掃する事も可能。