モンスターハンターストーリーズ 紅玉の絆石   作:ルークス

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※少し長いお知らせがあります。本編をすぐに読みたい方はお手隙ですが★マークの箇所まで進めてください。
「閲覧ありがとうございます。作者のルークスです。
ついにモンスターハンターストーリーズシリーズのリメイクが発売!過去に遊んでいたライダーも遊んだ事がない方も是非プレイしてみて下さい!この小説シリーズが数倍楽しめるようになりますよ!

そして報告し忘れていたのですが、実はpixiv版の設定資料機能で「今回のおまけ」のコーナーのキャラクター紹介やモンスター図鑑をまとめた設定資料集も作っていました。
ネタバレを防ぐ為に、新話からしばらく経った後に更新をしたいと思います!
いつか設定の修正や追加もするかも……?
※pixiv版のリンクは(マルチ投稿の明記のルールもあって)この小説の小説情報に載せております。
※今の所はpixiv版の設定資料機能でのみ公開となります。ご了承ください。

では新章の第六話、お楽しみください!」
★★★


第六話 新天地

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【あらすじ】

 レウスを攫った謎のライダー達の追跡を再び開始するリオとナビルーとビオン。

 謎のライダーのオトモンの足跡を追っていると、岩壁に囲まれた分かれ道に着き、ビオンはギルドへ向かう為に東へ。リオとナビルーは足跡が続いている西へ分かれる事になった。

 リオ達は西の道を進むと謎のライダーの仲間に遭遇するも無事に勝利。

 

 謎のライダー達の脅威が想像以上と知ったリオ達は新たなオトモンを仲間にする為、アンジャナフの巣へ潜入。

 何度も危うい場面があったが、激闘の末にアンジャナフのタマゴを手に入れ、無事孵化に成功した。

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【挿絵表示】

 

第六話 新天地

 タッタッタッタッ……。

 

 冒険に出て二日目。予定では一日もかからずにテンチの森を抜ける予定だったのだが、予期せぬ連戦もあって、かなりの足止めを食らってしまった。

 やっとの事で鬱蒼としたテンチの森を抜け、エムス山へ続く平地へ着く。

 冷たい月明かりと松明の炎が、暗く広い地面を照らしている。

 

「雪山の近くだから肌寒くなってきたな」

「ホットドリンクは一人分しかない。リオとオレで分けるから半分こになっちゃうな」

「ていうか、オトモンって寒さは大丈夫なのか?」

「アッ、ドスランポスもアンジャナフも寒さに強くないから、寒さで動けなくなるかもな……」

 謎のライダーが雪山へ行ったと分かり、なかなか面倒な事になってしまった。

 スカス地方ではホットドリンクの材料であるトウガラシが珍しい植物なので手に入れられず、こちらは防寒対策が十分にできていない。

 一応、毛皮を持つモンスターは多数生息しているものの、ナビルー曰く『激しい環境のフィールドは屈強なハンターでさえ、適切な装備やアイテムがないとまともに動けない。ただの毛皮ではダメ』らしいので、時間的にも用意ができなかった。

 

「ナビルー、ホットドリンク用意できる? 二分の一で分けよう。ドスランポスとアンジャナフに刺激の強そうな飲み物を与えていいのか分からないし、悪いけど二体は我慢してくれよ」

「ギャア」

「クルル」

 ドスランポスとアンジャナフは納得したような表情だが、冒険の経験があるナビルーの顔は不安でいっぱいの表情が浮き出ている。

「結局、そうするしかないか。ホラ、半分に分けたゾ」

 ナビルーはポーチからホットドリンクを取り出し、火傷しないようにコップに注ぐ。

 手に入れてからだいぶ時間が経ったはずだが、今もかなりの量の湯気を出し続けている。

 

「ありがと」

 ゴクゴク……。

「「!」」

 

 やはりというかホットドリンクはアッツアツ。考えも無しに一気飲みなんてしようものなら、舌と喉と食道全てが火傷しそうである。

 気になる味はメインの材料がトウガラシなだけあって大変辛口で刺激的。このホットドリンクは味噌の味付けがなされているようだが、ここまで熱くて辛いとなると間違いなく人を選ぶだろう。

 しかし耐寒効果は半分の量でも凄まじく、あっという間に身体中がポカポカと暖まり寒さが大きく和らぐ。

「ニャ〜……ココの大陸のホットドリンクもスンゴくアツくてカラ〜い……」

「へー、これってこんな美味しかったのか! 辛味と熱さが堪らないよ!」

 

   ◇

 

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【エムス山】

 足跡が続いていく雪山は、先程の平地とは比べ物にならないほどに寒く過酷な環境だった。

 

「はぁうううっ……! さ、寒すぎるっ!!」

「マママ、マァ、こうなると思っていたゾゾ! だ、だって半分の量しか飲めなかったんだもんんんっ!!」

「グォォ……」

「クゥウンウン……」

 

 リオもナビルーもオトモン達も、雪山の寒さへの考えが甘かった事を痛感した。

 容赦なく積もってくる雪と吹いてくる冷風がどんどんこちらのスタミナを奪っていき、周囲は高くそびえる岩場のせいで月明かりすらない暗闇。

 

「ど、ドスランポス、大丈夫か? 俺達降りて皆でゆっくり歩いた方が……」

「グ……」

「じょ、じょじょ、冗談じゃないゾ! こんな所でゆっくりしていたら、それこそみんな倒れちゃうううっ!!」

「グ……ギャアア!!」

 厳しい寒さの中でリオとナビルーと幼体のアンジャナフを乗せて走っている為、ドスランポスの顔色がどんどん悪くなっていく。

 しかし、『自分が急いで走らなければ他の三人が危ない』。そう思ったドスランポスは心配させないように咆えて走る意志を見せてくれた。

「まだ大丈夫か。ありがとう。苦しかったらすぐ言ってくれよ」

「ギャオオ!」

 

   ◇

 

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 ズモッ、ズモッ、ズモッ、ズモッ……。

 

 足跡を頼りに進んで数十分が経ったが、謎のライダーとレウスは見当たらない。

 雪が深く積もったエリアに突入したせいでドスランポスの脚の速さが上手く発揮されず、半分の量のホットドリンクの効果も寒さを緩和できないまま効果が切れてしまった。

「ま……まずい……レウスを見つける前に……意識が飛びそう……」

「ココまで来たら……戻っても遅いゼ……もっと対策しておく……べきだった……」

 

「キュオオオ……」

 バタン……。

「うわぁっ!?」

「ニャアッ!?」

 

 遂に力尽きてしまったのか、激しくふらついたドスランポスが横に倒れ、リオ達は地面に投げ出される。

「おい、ドスランポス!? しっかりしろ!!」

「オレ達を心配させないよう……ムリしすぎたんだ。どうしよう……」

 リオの目から涙が溢れ出てくる。

「皆、ごめん……俺がちゃんと考えていれば……!!」

「オ、オレもあの時止めるべきだったゼ……ゴメ……ン……」

「……っ!? ナビルー!? おい、しっかりしろ、おいっ!!!! ……っ、アンジャナフまで!?」

 ナビルーとアンジャナフの意識も消えて行く。

「(どうしよう! 何か……何か手はないのか!!)」

_

 

 

「とぉうっ!!」

 

 

 静寂を切り裂いたのは、上の岩壁から勢いよく飛び降りてきた短い金髪の少年。

「っ!?」

 その少年の武具は”骨塊”と”ボーン装備”。

 骨塊はその名の通り、骨の塊で出来た練習用のハンマー。

 ボーン装備の見た目は露出度が高く最低限の骨の装甲が特徴の防具。

 立派な筋肉と武具の影響で野生味が強い戦士の印象を受ける。

 

 一瞬、謎のライダーが襲来して来たと思ったリオが大剣の柄に手をかけようとするが、よく見るとそばにオトモンはおらず、身体のどこにも絆石らしき物を身に付けていない。

「びっくりした。またあいつらの仲間かと思ったよ」

「よぉう! そこで何やってんだよ?」

「ああ、俺達はここで冒険していたんだ。それより、お前はハンターだよな?」

「?」

「お願いだ。何でもいいからあったまる物をくれ! 今にも皆が凍りつきそうで……!」

 ハンターなら何か道具を持っているかもしれない。

 前にビオンが『ハンターは人助けが仕事』と言っていた事を思い出したリオは助けを求めるが……。

 

「ほーん、そりゃあ可哀想だな。だが、残念ながら俺様には関係ねぇ! おめぇの荷物と『オトモン』とやらを頂くぜぇ!」

「えっ?」

 助けを求める声も虚しく、骨塊を構えた少年はこちらに突撃を仕掛けてきた。

「は、はぁっ!?」

 少年の力は凄まじく、自身の身長にも迫る大きさのハンマーを軽々と振り上げる。

「とりゃああ!!」

 ドォン!

「危ねぇっ!?」

 間一髪でリオは重い振り下ろしを避けた。

 まさか助けてくれない所か、狩猟用の武器を向けて襲われるとは。

 リオは慌てつつアイアンソードを抜刀しようとするが、動揺が隠せなくもたついてしまっている。

「(な、なんだこいつ!? ハンターなのに人を襲うのか!?)」

 ハンマーが振り下ろされた箇所は雪が吹き飛び、地面にヒビが広がっている。

 少年の顔は鋭い目つきに口からは八重歯が見えており、まるで”獲物を狩ろうとする獣”。

「やめろよ! なんでハンターが人に武器を向けるんだ!!」

「あ? 『ハンター』? 何のことだよ?」

 狩猟用の武具を持っていながらハンターではない素振りを見せている事にリオは違和感を感じた。

「ハンターじゃないのか。じゃあ、やっぱり謎のライダー達の仲間か!!」

「な、『謎のライダー』?? おめぇ、さっきから何言ってやがるんだよ?」

 謎のライダーの事も知らない様子。やはり身体のどこにも絆石が見当たらない為、ライダーではないようだ。

「(まずい……寒さのせいでもう限界だ。このまま戦うのはまずい。でも、こんな状態であんな素早い奴から逃げられるのか……?)」

「なんだ、もうふらふらなんかよ。次は外さねぇ!」

 少年が再びハンマーを構えた瞬間。

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 グオオオオオォォォン……!!

 

「えっ? 今度は何!?」

「……!? やっべぇ、今のはっ……!?」

 突然、雪山中にとてつもなく大きな轟音がエムス山中に響く。

 あまりの大きな音に二人は咄嗟に耳を塞がざるを得なかった。

 

 ドドドドドッ!!

 

「!?」

「!!」

 再び大きな音が鳴ったと同時に上から大量の雪が降りかかって来る。

 先程の轟音によって生じた振動が大きな雪崩を引き起こしてしまったようだ。

「ぐっ、ここは引くかっ!!」

 危険を察知した少年は後方へ大きく跳び、近くの岩陰に急いで隠れた。

「うっ!? (まずい、俺もナビルー達も巻き込まられる……!?)」

 リオは咄嗟にナビルー達の元へ向かったが、体力が限界を迎えている状態で三人も抱えて逃げれるはずが無く……。

 

 ドゴオオオオオォォォン……!!

「うわあああっ!?」

 

 ナビルー達の前に立って大の字で庇おうとしたが、勢いが止まらない雪崩は踏ん張っていたリオを容赦なく崖に突き通す。

 

 ……。

 

「畜生! あいつ、オトモン共々落ちやがった!」

 岩陰から出てきた少年が崖の下を確認したが、リオ達は既に暗闇へ消えた後だった。

 

「……はん、しゃーねぇな。他の獲物を探すか!」

 

_

 

    ◆

 

 ……気がついたら周りは暗黒に包まれていた。

「(うぅぅ……)」

 リオは身体中に痛みが走り、思うように動かせない。

「(俺は何を……? ……そうか、雪崩で崖から……ここはどこだ……?)」

 

 ギイイイィィン……!!

 

 突然、鋭い音が鳴り響いた後に前方に謎の輝きが現れる。

「(っ、なんだ……この赤い光……紅力の光か……? いや、”赤黒い”……?)」

 

 

「グアアアアア!!」

「!?」

 

 

 リオは目を疑った。

 赤黒い光の前に現れたのは、なんとリオレウス。

「(……レウス!?)」

 リオが謎のライダーに攫われていたと思われていたレウスの登場に驚くが、甲殻の色から別の個体と悟る。

「(……っ! レウスじゃない!? “蒼いリオレウス”……!?)」

 そのリオレウスは形こそレウスとそっくりだが、天空のような蒼い甲殻と森のような緑色の翼膜を持っており、印象は全く異なっていた。

 そして、なんとその上にライダーらしき人物がライドしている。

「っ、お前は誰だ!!」

 暗闇と後ろの逆光で顔は確認できないが、はねた髪も甲殻で覆われた装備も蒼いように見える。

 

 

【挿絵表示】

 

「グアア!!」

 ボォウ!!

「!!??」

 蒼いリオレウスは口から爆炎の球が放たれ、もの凄いスピードでリオに迫ってきた。

 

 

 

「う、うわあああああぁぁ!?」

 

 

 

    ◆

 

_

 

 ……。

 

「(うぅぅ……!!)」

 ゆっくりと目を開けると木製の天井が映った。周りには暖かい灯りが見える。

 リオが完全に目を覚まし頭を横に向けるが、そこは見慣れない家の中だった。

「(あの蒼いリオレウスがいない。夢だったのか……?) あっ!? ナビルー達はどうなったんだ!!)」

 

 ガチャ。

 

 リオの叫び声を聞いたのか奥のドアが開く。

「あらぁ、目を覚ましたようねぇ。大丈夫かぁい?」

 現れたのはレスフ村長に同じくらいのかなり小柄のお婆さんだった。

 敵意こそ感じられないが、気づいたら知らない家に居て、更に知らないお婆さんが現れたのだから、リオの動揺は止まらなかった。

「えっ、誰……っ、いってぇ!?」

「貴方、大怪我しているからまだ動いちゃ駄目よぉ。おーい、アイルーちゃ〜ん。起きたわよぉ」

 

 窓に目をやると、先程の山と同じような雪景色が広がっている。

 そして、家の外から聞き慣れた声が響いた。

「エェッ!? オバアちゃん、本当かー!!」

 

 ドォン!!

 

 かなり力強く玄関のドアが開く。そこにいたのは、なんと倒れていたはずのナビルー。

「リオォォォ!! 無事かぁぁぁ!?」

「うぉっ!? あ、ああ、大丈夫だ。まだ動けないけど……」

 

   ◇

 

「『オバアちゃんは”ニウェス村”の村長』? 『オレ達は雪に埋もれている所をニウェス村の村人に助けられた』?」

「そうだゼ! オトモン達も無事だ!!」

「そうなのか!」

 ナビルーから説明を受けたリオはニウェス村の村長に深々と頭を下げた。

「ありがとう、おばあちゃん!! あの時助けが来なかったら、今頃俺達は凍り付いていたかもしれない……」

 お婆さんは目を細めてにっこりと笑う。なんだか初対面なはずなのに、母親や祖母のような優しさと安心感を与えてくれる笑顔だ。

「いいのよいいのよぉ。この村が一番大事にしている事は『困っている人は助ける』、だからねぇ。当然の事をしたまでさぁ」

 さっきのナビルーのある言葉が引っかかり、リオが恐る恐る口を開いた。

「……なぁ、おばあちゃんは俺とオトモンは怖くないのか? モンスターは危険な存在って知っていると思うけど……」

「はぁっはぁっはぁっ! 怖くなんかないよぉ。なんたってここは”ライダーが住む村”なんだからねぇ。あんたとわたし達は仲間さぁ」

「えっ!?」

 なんと二ウェス村はスモス村と同じ”ライダーの村”。

 リオは『ライダーは奇異な目で見られないように隠れて暮らす』とレスフに言われてきたが、新しいフィールドに訪れて早々に別のライダーの村を見つけたのである。

「あんたのオトモンが待っているから、厩舎へ行ってみてねぇ。『別の村から来た』からってあんたに興味を持っているライダーもそこで待っているみたいだしぃ」

「ああ、分かった! 行こう、ナビルー!」

 

   ◇

 

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【ニウェス村】

 十分に治療を受けたリオはナビルーと共に、厩舎へ向かっていく。

 向かう途中で、朝日に照らされた二ウェス村を見て回ったがここも雪山のように白く染まっている。

 しかし点々とある松明や屋外暖炉のおかげで、雪山でのあのスタミナを奪われる程の寒さは感じない。

 

「急げリオ! ドスランポスとアンジャナフが待っているゾ!」

 他のライダーの村だが、武具を作る加工屋や訓練所や厩舎がある点はスモス村と同じ。

「ん、誰かいるな? あいつがこの村のライダーか」

 

「む〜? おぉ〜!」

 こちらに気づくなり走って来たのは、小柄な少女。

 髪は白と黒のミディアムで、兎の耳のように二本縦にはねた毛が目を引く。

 背中には黒と黄色と両刃と白毛で覆われた鍔の双剣を背負い、防具も白毛で覆われた布に赤と緑のラインの防寒具。

「わぁ〜! 赤いライダーさん、起きたんだね〜」

 なんというか、”人間になった兎”と思えるような風貌で、印象通りの穏やかな笑顔を見せてくれた。

「リオ、このライダーさんがオレ達を見つけて運んでくれたんだゾ!」

「そうだったのか! ありがとう!!」

「凍え死んでいるんじゃないかってはらはらだったよ〜」

 少女曰く、どうやら『雪山で遊んでいた時に二人とオトモンを見つけたから、自分のオトモンと一緒に運んだ』らしい。

「俺の名前はリオ。こっちはナビルーだ」

「わたしの名前は”サス”。よろしくね。早速、厩舎の中へ案内するよ〜!」

 

【二ウェス村 厩舎】

「どう、二ウェス村の厩舎は? あったかいでしょ〜?」

 厩舎の中も暖炉が置かれて暖かい上に、オトモンの寝床には毛皮が使われている。

 ここの村人は自分達だけでなくオトモン達の防寒にも力を入れているのが、厩舎から読み取れる。

「見た事ないオトモンがいっぱいいるな! ナビルー、あの白いモンスターはなんだ?」

「アレは”ドスギアノス”だな。雪山に適応し、冷却液を吐くランポス種”ギアノス”達のリーダーだ!」

 厩舎には初めて見たドスギアノスやスカス地方にも生息していたドスファンゴなど、多くモンスターがくつろいでいる。

 

「見て、リオ君。あそこにいるよ〜」

 くつろいでいる村のオトモン達の中、サスの指差した方向には馴染みある青いオトモンと場違いな大きさを持つ桃色の巨大なオトモンが……。

「あ!!」

 仲間を見た瞬間にリオの身体は自然と動く。

 

「グアォォォ!!」

「アンジャナフが大きくなっている!!」

 抱き抱えて運べる程度の大きさだったアンジャナフが、今ではリオの身長の二倍以上までの高さもある巨体へと成長していた。

 リオとナビルーは間違いなくライドでき、その気になれば二、三人程度の大人も余裕で乗せられそうである。

「ホントデカくなったよな! コッチにはドスランポスもいるゾ!」

「ギャア!!」

 アンジャナフもドスランポスも主人のリオを見た瞬間に目を輝かせて喜んだ。

「二体共、オマエが起きるまでスゴく寂しそうだったんだゾ?」

 もう我慢の限界なのか、アンジャナフもドスランポスも我先へとリオに頭を突き出し、撫でを要求している。

「皆、ごめん。心配かけたな!」

 サスが一通り様子を見届けた後、話に割って入る。

「感動の再会だねぇ。でも、喜んでいる最中に悪いけどリオ君達に渡したい物があるんだ。ちょっと来てくれるのかな〜」

「「ん?」」

 

   ◇

 

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【ニウェス村 雑貨屋】

 サスに案内されたのは厩舎の向かい側にあるニウェス村の雑貨屋。

 冷気を通さない頑丈なドアを開けた先には、木のテーブルが並んでいる。テーブルの上には薬草、回復薬、砥石、投げナイフ。

 そして錠剤が入ったビンに赤い玉と初めてみるアイテムもあり、リオとナビルーの興味を惹く。

「いらっしゃい。おや、サスちゃん? その子達は?」

 商品を並びを確認していた店主が、小走りでカウンターへ向かう。

「外からのお客さんだよ。寒い雪山で倒れていたから村まで運んだんだ〜。また倒れたら大変だから、”ホットミスト”を買ってあげたいんだけど?」

「ニャッ、ホットミストだって!?」

 ナビルーがアイテムの名を聞いた瞬間に、目を見開いて跳び上がった。

「ナビルー、ホットミストってもしかしてホットドリンクのような防寒アイテム?」

「そうだゾ! あったかい霧が吹き出して寒さから守ってくれるんだ! ホットドリンクとは違って複数人が効果を受けられるゾ!」

「ナビルーちゃんの言う通り。これがあれば極寒の中でもへっちゃらだよ〜」

 サスが二つの赤い玉をカウンターに置いて、この大陸で流通しているお金”ゼニー”を払ってくれた。

「はい、あげるよリオ君。今度は寒さの対策を忘れないでね〜」

「わぁ、ありがとう!」

 

「ニャアアア!!」

 何かを見つけたナビルーがいきなり大声で叫び、棚へ走っていた。

「な、なんだよナビルー?」

「リオ、せっかくだから他のアイテムも買おうぜ! ほら、このドーナツとかさぁ!!」

 ナビルーの指の先には雪のように真っ白なドーナツが沢山陳列している。

「……お前、ドーナツが気になるだけだろ。まぁ、気になるアイテムもあるし、ここで色々買った方がいいかもなぁ」

 

   ◇

 

 店主からアイテムの説明を受けたところ、錠剤の名前は”熱血サプリ”といい、凍傷によって動けない時に使う薬らしい。

「では回復薬が三個、砥石が一個、投げナイフが一個、熱血サプリが一個で間違いないね?」

「ああ!」

「……イヤイヤイヤ!? ドーナツは!?」

「ナビルー。旅立つ時にレスフ村長からゼニーを貰ったけど、限りがあるんだから無駄遣いする訳には行かないんだよ」

「エーッ、旅において食べ物は大事だろ!? 備えあれば憂いなしだゾ!!」

 目が潤ったナビルーの説得は止まらない。まるで欲しいものを買ってもらえず駄々こねる子供のようだ。

「おお、君達。”アイルーミルク”が気になったのかい? それはアイルーをイメージした白く甘いミルクでコーティングしたうちの村自慢のドーナツさ」

「ほらっ、店主も『自慢のドーナツ』だって!!!!」

「……あぁもう、分かったよ。店主、アイルーミルク二個を追加で」

「イィヤッタァゼーー!!」

「リオ君、ナビルーちゃん、いい買い物したね〜」

 

 買い物が終わったその時、雑貨屋のドアから村人が顔を出す。

「おーい、サス。村長が『お客さんと一緒に私の家に来てほしい』だとさ」

「お〜そうか。リオ君、ナビルーちゃん。行こうよ〜」

 

    ◇

 

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【二ウェス村 村長の家】

 

 ガチャ

 

「村長〜。リオ君達を連れて来たよ〜」

 リオ達は再び村長の家に戻った。

 どこからか暖かく濃厚な香りがリオ達の鼻にまで漂ってきた。

「リオちゃん達ぃ、よく来たねぇ。ここは寒いでしょお? これを食べなぁ」

 よく見るとテーブルには焼かれた肉が入ったシチューが。香りの正体はこれのようだ。

「え、これは?」

「”ポポノタンのホットシチュー”だよぉ。”ポポ”の舌とミルクとトウガラシで作れる料理だね」

「ナビルー、ポポって何?」

「寒冷地に住む草食のモンスターだな。でも、エムス山を探索している時は一匹も見かけなかったゾ?」

 村長が困ったように雪山全体を眺められる窓を見ている。

「最近はどういう訳か数を減らしているのよぉ。でも、せっかくのお客さんなんだからどうしてもご馳走したくて」

 倒れていた所を助け、オトモンを厩舎で保護し、ホットミストまでくれた上にご馳走まで。

 寒い環境とは真逆の暖かいもてなしはリオ達を感激させた。

 

   ◇

 

 歯応え抜群で珍味なポポノタン、程良い辛さ、あったかく旨みがあるシチューはまさに絶品。

 あっという間にリオ達の腹は満たされた。

「シチューで身体があったまったしホットミストも買ってもらったから、もう大丈夫かね?」

「ああ、何から何まで本当にありがとう!」

「いいっていいってぇ。絆を何よりも大事にするライダーの村なんだから、人助けをするのは当たり前だねぇ」

 

 ……。

 

 リオは紅力化の脅威、謎のライダー、そして攫われたレウスと襲撃されたスモス村の事。今まで起こった出来事と旅のきっかけを村長に話した。

「成程、そんな事があって旅をしていたのかい……大変だったねぇ……」

「村長、紅いモンスターでも謎のライダーでもいい。最近何か気づいた事はあるか? どんな小さな事でもいいから教えてほしいんだ」

 リオの言葉に村長はしばらく考え、ふと思い出したのか口を開いた。

「心当たりがあるわぁ。最近、雪山を探索していた村のライダーが”骨のハンマーを持った山賊”に襲われちゃう事件が発生しているよぉ」

「……!」

 リオはすぐに突然襲ってきたあの山賊少年を指している事に気づいた。

 そして、村長が次に言った報告は……。

 

「その子と同じ時期にドスジャグラスやらアンジャナフやらレイギエナやらにライドした”オトモンを狙うライダー達”も現れるようになったし、お陰で雪山の資源に手が出せなくなっているのぉ」

 

「「……!!」」

 旅に出てようやく掴んだ新たな情報にリオとナビルーが顔を見合わせた。

 まだあの謎のライダー達とは確定してはいないが、他人のオトモンを狙う点も仲間にしているオトモンも今まで相対してきたライダー達と一致している。

「どちらも雪山の中腹で遭遇したらしいわぁ。もしかしたら、あんた達が探している子かもしれないねぇ」

 特にオトモンのレイギエナがいると分かったのはかなり大きな収穫だ。

 拉致していった張本人が雪山にいると言う事は、まだ近くにレウスがいる可能性が高いからだ。

「分かった! ナビルー、アンジャナフにライドして今すぐ調べてみよう!」

 有力と思われる情報を手に入れた瞬間、リオは居ても立っても居られなくなり、すぐに椅子から立ち上がった。

「おや、あんた。怪我の方は大丈夫なのかい?」

「ああ!! おばあちゃん達のおかげですっかり治ったよ!! それに、攫われた相棒の為に急がなきゃ!!」

「うぅ〜ん……ちょ〜っと心配だねぇ……」

 村長は雪崩の危険がある上に、危険な人物が複数人いる雪山に行く事が気がかりだったようだ。

「そうだぁ、サス。あんたは特訓をサボってばかりだから、ここでリオ達を助けるついでにライダーとして鍛えて来なさい」

「う〜、まだ遊びたかったんだけど……。でも、確かに心配だから着いていくよ。いいよね、リオ君達?」

「えっ! いいのか!!」

 初めてのライダー同士の共闘。

 謎のライダーと接触すると言う事は、最悪大型飛竜であるレイギエナとの戦闘もあり得る

 少しでも戦力が欲しい今、断る手はなかった。

「ここの雪山はどんな構造かまだ知らないし、戦力も心配だったから助かるよ! よろしくな、サス!!」

「よろしく〜」

 謎のライダーの情報、加勢してくれるライダー。

 今までは不安ばかりが募る旅だったが、少しだけ希望の光が見えてきた。

 ナビルーもみるみる活気が湧き上がってくるのか、笑顔を見せながら元気に跳ね出した。

「よーし!! 厩舎にいるアンジャナフを連れてくるゼーー!!」

「ありがとう! 俺もアイアンソードの手入れをしなきゃ!!」

 

   ◇

 

_

【二ウェス村 門】

「……ん? おやおや、リオ君とナビルー君と言いましたか?」

 門へ向かうと、リオとサス達が出掛ける事を知ったドスギアノスにライドした男性ライダーが待っていた。

「雪山へお出掛けなさるのですね? ご存知だとは思いますが、村の外はとても寒いです。忘れずにホットミストを使ってくださいね?」

「ああ!」

「そして、サス君。しっかり道案内をお願いしますよ。あと、くれぐれも失礼のないように……」

「は〜〜い」

 

「よーし! ライドオン、アンジャナフ!!」

「ガオオォォ!!」

 いつも通りリオは絆石を掲げ、オトモンを呼ぶ。

 しかし今回の乗るオトモンはドスランポスではなく、巨体を誇る蛮顎竜アンジャナフ。

「うおー! たけぇー!!」

「……ウググ、ライドしようとする度にいちいち登らないといけないのか!!」

 跳び乗ってライドすると視点の高さに驚かされる。背の小さく手足も短いナビルーは、アンジャナフにライドするのに少し苦労してしまっていた。

 

「じゃあ、今度はわたしのオトモンを披露しちゃおうかな?」

 掲げられたサスの絆石はリオのものと見た目が違っていた。

 スモス村のライダーは丸みのある白い展開フレームに嵌められた水色の絆石をつけている。

 それに対し、二ウェス村のライダーは牙と爪を模った黄色と青の縞模様のフレームに黄色の絆石が嵌められいた。

 

「ライドオン、ウルクスス!!」

「ブァァァァ!!」

 絆石の黄色い光に呼ばれたのは黒い兎のような耳に顔の大部分を覆う丸くでっぱった鼻の黒い皮膚、白毛に覆われた熊のような体型という変わった中型の獣。

「ナビルー、あのモンスターは?」

「知っているゾ。アレは……」

「わたしが説明するよ。”白兎獣ウルクスス”。寒冷地に住む中型の牙獣種で、硬い腹での滑走や雪を相手にぶつける攻撃が得意だよ。因みに名前は”ウルク”って言うんだ〜」

 ……いつもはリオが始めて見るモンスターをナビルーが得意げに説明する所だったが、今回は主人であるサスが全て説明しまった。

「へ〜、面白いモンスターだなぁ!」

「ニャア〜……このナビルー様がせっかくモンスターの紹介をしてやろうとしたのに〜〜……」

 サスが慣れた動きでウルクにライドした。ウルクも冒険の気分なのか兎らしく跳ねて喜んでいる。

「リオ君、ホットミストを地面に投げて使って〜」

「こうか?」

 

 ポシュウゥゥ……。

 

 ホットミストを地面に叩きつけると玉の中から噴き出た赤い霧が周りを包み込み、ホットドリンクと同様の耐寒効果を得られた。

 前のホットドリンクは半分の量に減らしたせいで十分な効果を発揮できていなかったが、今回は適量なのでしっかりと寒さを打ち消せている。

 ホットドリンクは刺激の強い飲み物だったのでオトモンに飲ませる事を躊躇していたが、このホットミストならば霧を浴びるだけで耐寒効果を与えられるので、オトモンでも安心だろう。

 

「じゃあ、山の中腹まで案内するから着いてきて〜。迷子になったら危ないからね〜」

「ああ、頼むよ! レウス……待っていろよ!!」

 

 続く

_

●今回のおまけ

 

【挿絵表示】

 

ドスファンゴ

別名:大猪

種族:牙獣種

レア度:★2

属性・状態異常:無属性

主な生息地:密林、森林、雪山、沼地、高山

 

ブルファンゴ達の親玉である中型の牙獣種。

外見は大きい毛深い猪のような見た目をしており、とても長い牙を持っている。牙は地面のキノコを掘り返す為に使い、人間の利き手のようにどちらが頻繁に使われ削れている。

 

見た目通りパワーに物を言わせた攻撃が得意で、特に全力の突進は強力。

中には自身にも反動がくるほどの突進で相手を吹っ飛ばす猛者も。

 

親玉になる経緯だが群れの中で一番突進が強いブルファンゴがドスファンゴになり、群れの雌を独占できる代わりに群れや縄張りを守らなけばならない。

オトモンになっても何かを守る意思はあり、初心者のライダーを守ってくれる頼もしいオトモンになるので、一番最初のオトモンの候補にもなるらしい。

突進中に振り落とされないように鍛える必要があるが、慣れれば移動手段としても便利なはずだ。

 

◯主な技

⚪︎必殺タックル

猛ダッシュでタックルをする。曲がれない程のスピードなので当たりづらいが、当たれば守りを貫通する会心の一撃を与えられる。

⚪︎力溜め

大きく力を溜め、次の攻撃に賭ける技。

⚪︎パワーコンボ

パワーに任せて攻撃。連続で当てれば更に大きなダメージを与えられる。

⚪︎根性タックル

自身も反動でダメージを受けるほどのパワフルなタックルで攻撃。

 

◯絆技

⚪︎ワイルドドライヴ

限界まで力を溜め、相手に目掛けて全力の突進をお見舞いする。

まさにワイルドでシンプル・ザ・ベストな絆技。

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