【あらすじ】
脅威に対抗する為にアンジャナフをオトモンにし、雪山へ向かった謎のライダーの追跡を再開するリオ達。
過酷な寒冷地である”エムス山”へ向かったが、あまりの寒さにナビルーとオトモン達が倒れてしまい、更に山賊の襲撃の後にリオ達は雪崩に巻き込まれてしまう。
幸いにも山の麓にあるライダーの村”ニウェス村”の村人がリオ達を助けてくれ、更には謎のライダーの情報も教えてくれた。
リオ達はアンジャナフにライドし、ニウェス村のライダー”サス”と共に調査へ向かった。
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第七話 迫撃と投撃
【エムス山】
ザッザッザッザッ。
「アッ、リオ! アレを見ろ!!」
「!!」
ナビルーが指指した方向には茶色の毛皮と象のような牙を持つポポ達が。
二匹の個体が見つめる先には無惨に食い殺された仲間の死骸が転がっている。
「誰かに狩られたのか。これも敵の仕業なのか……?」
「……ブゥゥ!」
「ブォォ!!」
ザザッザザッザザッザザッ……。
リオ達が横を通りすぎた時、過剰にポポ達は驚いた後に奥のエリアへと逃げてしまった。
二体共、仲間を狩られた影響かとても怯えているように映った。
「もしかしてポポが数を減らしていたのも、山賊か謎のライダーの仕業かもしれないな」
「ムキーっ! 本当に本当にイヤ〜なヤツらだゼ!」
「リオ君、ナビルーちゃん。そろそろ山の中腹に着くよ。周りに気をつけて〜」
サスが向かっている方向は広い場所に続く坂道。モンスターもよく通る場所なのか、地面の雪にうっすらと獣道が出来ている。
◇
【エムス山 中腹】
ついに辿り着いたエムス山の中腹。山を登った辺りから空の雲行きが怪しくなっていったが、案の定中腹に着いた頃には吹雪が吹き荒れていた。
「ここがエムス山の中腹。オトモンを狙うライダーが現れた所だね」
「早速、何か痕跡が無いか探そうゼ! 足跡とかさ!」
「ああ!」
……
「おーい、ナビルー。何かあった?」
「ぐぬぬ……何も無いゾ〜!!」
「焦らずに探そう。次は北東の方を探すよ〜」
……
「うわっ!!」
「ギアノスだゾー! 気をつけろーー!!」
「大丈夫大丈夫、こやし玉で追い払うよ〜」
……
痕跡探しから十数分が経過。
前に村人達を襲ってきたライダーが通った場所なはずだが、雪が沢山積もった影響で足跡らしきものが一つも見当たらない。
「くそっ、ようやくレウスを見つけられると思ったのに!!」
「困ったね。ここに新しい足跡が無いとなるとあのライダーはもっと上にいるのかな〜……?」
『また逃げられるのか』。そんな考えがリオの脳裏をよぎり、焦りの感情が湧き出る。
「ア! オーイ、リオとサス! 新しい足跡があったゾーー!!」
「えっ! どこ!?」
ナビルーの声の元へ駆け寄ると、石のアーチの下にまだ調査していない通路がある。
岩壁の影にある為に見落としていたようだ。
「凄いや、ナビルーちゃん〜。わたしはまだこんな奥深くまでは行ったことがなかったから、見つけられなかったよ〜」
◇
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【エムス山 崖上】
ザザッ、ザザッ、ザザッ、ザザッ!
石のアーチの下を駆け抜けると、山の麓を一望できる広い崖上のエリアへ着く。
「……グ? グゥゥ!!」
ザザァ……。
エリアに入った瞬間、サスを乗らせていたウルクが両前脚で踏ん張って急ブレーキをかけた。
「アレ? サス、ウルクが止まっちゃったゾ?」
「リオ君、ナビルーちゃん! ウルクが変な音を感じ取ったみたい!」
「えっ!!」
ウルクが上体を起こし、辺りを見回しながら長い耳を細かく動かしている。
どうやらウルクススの耳は繊細で、遠くの音も聞こえるようだ。
「ニャア!? オレのヒゲもビリビリしてる!! ナニかが近くにいるゾ!!」
ドドドドド!!
「ブォォ!!」
「ブォーーン……!」
エリアの奥から雪煙を上げて走ってくるのは数体程のポポの群れ。
「うわっ、ポポがこっちに迫ってくる!?」
「ニャッ!? なんで温和なポポが一斉に向かってくるんだ!?」
戦闘力が低い故に小型モンスターとして扱われるモンスターだが、ドスランポスを上回る体格のポポが全力で走ってくるのは肉食のモンスターにも負けない迫力だ。
「あ〜っ、二人とも見て!! ポポ達の後ろ!」
「「あっ!!」」
ポポは群れでリオ達を襲おうとしていたのではなく、”後ろの追いかけてくる影”から逃げようとしていたようだ。
その後ろにいた影の正体は……。
「おらぁぁぁ!!」
ガァン!!
「ブォォォン……」
初めてエムス山へ訪れた時に襲ってきたあの金髪の山賊少年。骨塊を思いっきり振り下ろし、一体のポポを仕留めている最中だ。
「あっ! あいつは……!!」
「リオ君、村のライダーを襲った山賊だよ。気をつけて!!」
「あ?」
剥ぎ取りナイフを使ってポポから舌や腹の肉を剥ぎ取っていた山賊の少年がこちらの存在に気づく。
あの時と同じく威圧的な鋭い眼で睨んできた。
「あぁ! おめぇはあの時のライダー!!」
「お前、この前はよくもやってくれたな!!」
すぐに臨戦態勢になろうとした山賊だが、サスに視線を移した時にある事に気づいた。
「あぁ? そこの女の絆石、どっかで見たことあんなぁ……?」
「そう、わたしは麓の村のライダー。あなたが襲ったライダー達の仲間だよ」
「なんだ、おめぇら仲間だったのか?」
「ああ、そうだ! 今日手を組んだばかりだけどな!」
「ヤイ、お前! 聞いた話じゃリオとニウェス村のライダーを襲ったらしいじゃないか! 乱暴者はオレ達が許さないゾ!」
味方が多い状況で強気になっているナビルーがリオの後ろから叫ぶ。
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「はっ、乱暴者で何が悪い? この自然においては強者こそが絶対だ!! お前らの全てのアイテムと武具、そしてオトモンを奪って俺様は更に強くなる!!」
山賊はナビルーの警告にも怯む様子が無く、再び骨塊を構え、猛ダッシュでこちらに突撃してくる。
「ぐぬぬ、このナビルー様の警告を無視するとは不届き者め〜〜!!」
「ウルク、行くよ!」
「ブゥゥゥン!!」
リオは謎のライダーとの戦闘は覚悟していたが、まさかハンターでもないオトモンを連れているライダーでもない人間と戦うとは夢にも思っていなかった。
レウスの捜索の途中だから、できれば無駄な戦闘は避けたい。
しかし、初めて会った時に見せた素早い動きが出来る奴ならば、下手に背中を見せるのも危険であろう。
「くっ、戦うしかないのか! アンジャナフ、応戦しろ!」
「グオォォォ!!」
「ウルク、氷塊投げだよ!」
「ブォォン!」
ズシャッ!!
サスに指示されたウルクが地面から掘り起こした氷の塊を飛ばし、山賊を牽制しようとする。
「はっ、なんだそのちんけな攻撃は?」
しかし狙いが甘かったのか、山賊の横を通り抜けてしまう。
「はあぁ!!」
山賊が骨塊を構えながら跳躍し、リオを乗せたアンジャナフに飛びかかる。
「うっ! アンジャナフ、避けろ!!」
ドォン!
骨塊が振り下ろされ、地面に軽くヒビが入った。
後少しでも遅れていたら、アンジャナフが重い一撃を食らっていただろう。
「ぐおおおおお!!」
山賊がハンマーを持ち直すと両腕を伸ばし、野獣のような恐ろしい雄叫びをあげる。
とても普通の人間とは思えない行動にリオもナビルーもサスも顔を顰めていた。
「アンジャナフ! 突き飛ばせ!」
「うおおお!」
ガァン!!
アンジャナフの大きな頭と山賊の骨塊がぶつかり合った大きな音が響き渡る。
「ウルク、スケートコンボ!」
ザザーッ!
「うおっ!?」
ウルクが腹甲で滑走しながら急接近、回転攻撃で横からアンジャナフと鍔迫り合いをしていた山賊を吹き飛ばしてくれた。
「リオ、今だゾ! アンジャナフのバーニングブラスターで焼いちゃえ!!」
「それは無理! アンジャナフ、尻尾で吹っ飛ばせ!」
「グルル……?」
困惑しながらもアンジャナフは太い尻尾で山賊を薙ぎ払った。
ドン!!
「ぐあぁぁ!?」
同じくナビルーも困惑の表情を浮かべる。
「ニャ、ニャア? なんで弱い攻撃ばかり指示するんだよ!?」
リオが山賊の身体を指刺す。
山賊が着ているボーン装備は風化した骨をある程度纏っただけで防御性能は低い。
しかも露出度の高い防具は、身軽な代わりに攻撃は極力守られている部位で受け流す必要があり、突撃する戦闘スタイルの彼は防具を上手く使いこなせていない。
「あの山賊は守りが碌にできていないんだ。アンジャナフの噛みつきやバーニングブラスターなんか食らわせたら、最悪死んじゃうかもしれない……」
「ぐぬぬ、確かにそれはマズいな……」
いくらこちらを襲う敵とはいえど、相手も同じ人間。流石に人の命を奪う行為は、論理的にもこちらの精神的にも良くはない。
「で、でもさ。アッチは戦う気まんまんだゾ? どうすればいいのだ?」
「作戦がある。“手加減しながらボコボコにして戦意を失わせる”! 行くぞーー!」
ナビルーの反応を伺わずに、リオが手を前に突き出すとアンジャナフが山賊に向かって前進していく。
「ニャ〜……ものスゴ〜くシンプルな作戦だなぁ……」
……ナビルーは前から薄々気がついていた。
例え難関にぶつかってもリオは良くも悪くも深く考えず、何か起きたら突っ込もうとする性格だという事に。
「ぐぅぅ!」
いくら戦闘力をある人間であってもまともな防御も出来ないのならば、アンジャナフの尻尾攻撃に耐えれるはずがない。
尻餅をついた後に立ち上がろうとするが、ダメージが大きいのか大きく蹌踉めいている。
「ウルク、雪飛ばしだよ!」
「ブァァ!」
サスに指示されたウルクが、今度は細かい雪の粒を山賊に浴びせる。
「ぐぁぁ!?」
かなりの冷気を含んでいるのか、降りかかった雪の粒は山賊をあっという間に凍えさせ、スタミナをじわじわと奪っていく。
「次、スケートコンボ!」
ザザーッ!!
「ぐおおお!?」
間髪入れずにサスのウルクはスケートコンボで滑り、動きが鈍くなった山賊を滑走で突き飛ばした。
「アンジャナフ、吹き飛ばせ!!」
ドォン!!
「ぐああ!!」
アンジャナフが側面を山賊に向け、タックルをお見舞いした。
凍えて動けない山賊が避けれるはずもなく、桃色の巨体に吹き飛ばされる。
_
……
流石に攻撃が効いたのか、先程までとても騒がしかった山賊が倒れ伏せ、そのエリアが急に鎮まり返る。
「……エッ!? も、もしかしてヤっちゃったのか?」
「大丈夫だよ、ナビルー。アンジャナフが加減してくれたからまだ生きている」
一瞬、恐れていた事が起きたとナビルーが冷や汗をかいたが、なんとか生存させながらも無力化に成功したようだ。
敵が動かなくなった事を確認したリオ達はライドを解除する。
「助かったよサス! 良いサポートだった!」
「うふふ〜、リオ君の攻撃も凄かったよ〜。後さ、この山賊はどうすればいいんだろう?」
「あ、そこまでは考えてなかった」
「オイオイ……『戦意を失わせる』とか言っていたのに、その後の事は考えてなかったのかよ……」
このリオの後先の考え無さには、いつもお調子者なはずのナビルーでも思わず呆れ顔を見せずにはいられなかった。
ドン! ゴロゴロゴロ……。
安心したのも束の間。
何処から”何かが落ちて転がる音”が聞こえてきた。
「ニャ?」
「えっ? なんの音だ?」
ゴロゴロゴロゴロ!!
「……! ブァァ!!」
また何かに気付いたのか、長い耳を動かしてながらウルクが騒ぎ出す。
「……あぁ!? 逃げよう!! リオ君、ナビルーちゃん!!」
「「えっ?」」
サスが逃げながら必死に上を指差す。
その指差した先には、大きなタルがこちらへ向かって転がり落ちて来ている。
「な、なんでここにタルが?」
「ニャアアア!? アレはまさかぁ!?」
ナビルーはすぐそのタルの正体に気づいたが時すでに遅し。
ドォォォン!!
「うわぁ!?」
「ニャアア!!」
大タルはリオ達の近くに落ちた衝撃で、轟音を発しながら爆発を起こす。
あと少しでも位置が悪かったら、リオとナビルーは間違いなく吹き飛んでいただろう。
「ば、爆発した!?」
「い、今のは対モンスター用の兵器、”大タル爆弾”だゾ!! 誰があんな危ないものを……!」
「待って〜! 上に誰かいるよ〜!!」
崖の上に居たのは、ギョロ目を持つ爬虫類のような顔に緑色の羽根が付いた翼、カラフルで丸みを持つ尻尾の大型モンスター。
「ニャッ、毒妖鳥”プケプケ”!? アイツは寒冷地にはいないはずだゾ!?」
「あっ、人が乗っている!! まさかあいつは……!」
そのプケプケにライドしていたのは同じく大きな目と緑の派手な髪の少女。
装備も緑の羽根で作られた狩人のような探索服。
そして左腕には例の黒い絆石が。
「ニャッ、謎のライダーじゃないか!? やっぱりここに居たのだな!」
「おい、お前!! レウスをどこへやったんだ!!」
プケプケのライダーはこちらを警戒しながら、仕切りに覗き込む。
「ぷるぅ、そんなの教える訳ないぺぅ……それにおまえらは今の大タル爆弾で終わりぺぅ〜!」
独特な喋り方でこちらに叫ぶ謎のライダー。
「ニャ? さっきの大タル爆弾なら避けたゾ?」
「おい、どういうことだ!」
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ミシ……ミシ……!
「あぁ〜〜っ!? リオ君、ナビルーちゃん!! 早くこっちに来てぇ!!」
エリアの奥に逃げているサスとウルクが必死に手招きをしている。
「ん、なんで?」
「ニャッ……!? 今、イヤな音が……!?」
ビキッビキンッ!!
ゴゴゴゴゴゴ……!!
「!?」
ようやくリオも謎のライダーが言った意味を理解した。
大タル爆弾の爆発こそ避けれたが、その爆発によって今いるエリアの地面が崩れようとしているようだ。
「やばい!? ナビルー、アンジャナフ! 避難するぞ!!」
「グアオ!!」
「いっ、言われなくても逃げるってぇぇぇ!!」
ダッ!!
リオ達は全力でサスが待っているエリアの端へ逃げようとする。
みるみる内に地面のひびは枝分かれしながら大きくなっていく。
バリィンッ!!
「グオオッ!?」
「っ!!」
小さい足を必死に振り、ナビルーが無事にエリアの端に到達した。
「ふぅ〜……危なかったゼ……!」
「ま、待ってナビルーちゃん!? まだリオ達が!?」
「エッ? ニャアアア!?」
ナビルーが振り向いた先には、あと少しで避難できる場所で足を止めているリオとアンジャナフがいる。
「りり、リオ!? 何やっているのだ!? 早く逃げようゼ!!」
「大変だ!! アンジャナフの脚がひびにハマっちゃったんだ!!」
「ニャ、ニャンだってーー!?」
リオが必死にアンジャナフの後脚の氷を取り除こうとしている。
「グアアン……!!」
アンジャナフも必死にもがくが、ひびが大きくなって崩れていく地面の中に、重い脚がどんどんと沈んでいく。
ドゴオオォォォン……!!!!
ナビルーとサスが助けようとする間もなく、そのエリアの地面が大きな音を出しながら下へと落下していった。
「うわぁーー!?」
「グアアァァァ!?」
「…………うぁ……ぁ……」
なす術もなくリオとアンジャナフ、そして倒れていた山賊も奈落へ落下してしまった。
「リオーーーー!?」
「ありゃー、あのキモいアイルーは始末できなかったぺぅ……。まぁ、アイルー一匹なら何も出来ないか。じゃあ、さいならぺぅ」
リオとアンジャナフが落ちた事を確認した謎のライダーはプケプケに乗りながら崖の上から飛び降り、ナビルー側とは反対の方向へと逃げてしまった。
「アァ! アイツ逃げたなぁ!! 絶対に……許さないゾォォォ!!!!」
「な、ナビルーちゃん? 落ち着いてぇ?」
ナビルーがこの上なく怒りの表情を浮かばせている。
回復し始めたばかり電力も抑え切れないのか、稲妻となって身体中を激しく走り出した。
「だって、だって!! アイツはリオとアンジャナフを!!」
流石に危機感を持ったのか、今まで緩い表情だったサスが真剣な表情を見せる。
「大丈夫。まだ死んだとは限らないよ。あの大きな雪崩の時だって、一応無事だったしね」
「ハッ、そうだよな!! まずはアイツを追いかけるよりも、リオ達を助けなきゃだな!!」
「そうそう、こういう時にこそ冷静にならなきゃだね。下に続く道は心当たりがあるから、ウルクに乗って行ってみよう!」
◇
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【エムス山 洞窟】
「……うぅ……」
ふらつきながらもリオが立ち上がる。
目の前には横に落ち、力を振り絞って起き上がろうとしているアンジャナフが映っていた。
「あっ、アンジャナフ……大丈夫か……!」
「グァァン……グゥゥ……」
ナビルーの心配とは反対にリオとアンジャナフは軽傷程度で済み、意識もすぐに取り戻す。
どうやら雪崩の時のような落下距離はなかったようだ。
「良かった……! 今手を貸すよ」
「グルルゥ」
リオが背中側を勢いよく押し、横になっていたアンジャナフがなんとか立ち上がれた。
辺りは地面も壁も氷が張られた暗い洞窟。
どうやら爆破されたエリアの下にあった洞窟に落ちていたようだ。
「まさかエムス山に来て二回も高い所から落ちるとは思わなかったよ。まぁ、二回とも無事なら逆に運が良いかもな……」
「グゥゥ……」
リオ達がいる場所は天井が空いており光で照らされているが、その奥は数メートル先もまともに見えない程に真っ暗。
「ここは洞窟か? 早く出てナビルー達と合流したいけど、こんな暗い中を進むのは危ないしどうすればいいかなぁ」
「……? グルル……?」
その時、アンジャナフが急に頭部の先から黄土色の鼻骨を展開し、頭を下げて嗅ぐ動作をし始めた。
「どうした、アンジャナフ?」
アンジャナフが何かに気づいたのか、暗闇の一点を見つめている。
「グゥァァ!」
そして、厳つい顎を開いて牙を向くと同時に暗闇の中へ走っていった。
「あ、アンジャナフ! どこに行くんだよ!?」
探索においても戦闘においても、ライダーはオトモンとの協力が何よりも大事。
そんな中、全く知らないエリアでオトモンと離れるのは余りにも危険すぎる。
慌ててリオは走るアンジャナフを追いかけようと暗闇の中へと進む。
【エムス山 洞窟深部】
ドンッドンッドンッドンッ!
「お、おい! アンジャナフ! 待ってってば!!」
相変わらずアンジャナフは牙を剥き出しにして奥へ奥へと進んでしまう。
「グオオオォォ!!」
「うっ!?」
そして落下地点から離れたエリアに来た瞬間にアンジャナフが脚を止め、威圧感ある咆哮を上げた。
大きな声量にリオは思わず両手で耳を塞いでしまう。
「アンジャナフ、本当にどうしたんだよ……あっ!!」
「ぐぅぅ……な、なんだ。また……おめぇらか……!」
アンジャナフの目線の先には、山賊の少年が弱々しく地に伏せていた。
アンジャナフは敵である山賊の匂いを察知した後、すぐに匂いを頼りに向かっていたようだ。
「畜生。俺様は……ここで終わる訳には……」
「グアアァァ!!」
咆哮をあげるアンジャナフをリオはすぐに手でさすってなだめる。
「待て、アンジャナフ。もう攻撃しなくていい」
「グル……?」
「なんだぁ……? なんで止めるんだよ……?」
「別に俺はお前を殺そうとした訳ではないんだ。これから改心するなら、治療した後に見逃してやるよ」
リオが山賊に行動を改めるよう説得する。
しかし、弱りながらも山賊は敵対心が伝わる鋭い目つきを変えない。
「俺様が……おめぇの言う事を……聞くと思うか……! 俺様は誰にも従わねぇ……俺様が誰よりも強くなる男だからだ……!」
「おい……そんな弱った状態でも威張れるのかよ。まぁ、いいや。ならほっとくよ? アンジャナフ、行こう」
敵対の意思を崩さない山賊が救えないと感じたリオは、弱った山賊を治療せずに洞窟の出口を探そうとする。
しかし……。
「ホアアァァァァァーー!!!!」
「うっ!?」
「グアア!?」
「な……あっ……!?」
進もうとした矢先に、鳥肌が立つような”悍ましい咆哮”が洞窟内に響き渡っていった……。
続く
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●今回のおまけ
サス
年齢:十三歳
性別:女
職業:ニウェス村のライダー
容姿:髪は白と黒のふわふわなミディアムで、兎の耳のように二本が縦にはねた毛の髪型「ウルクヘア」。オレンジ色の瞳は丸い。太めの黒いつり眉。
好きなもの:キノコ料理、ソリ、雪玉合戦、雪だるま作り
ニウェス村の小柄なライダー。不思議な雰囲気を醸し出しており、誰に対しても友達かのように話しかけてくる。
普段は村の警備をサボって雪遊びやおしゃれを楽しんでいる困ったライダーだが、戦闘時の相手を翻弄させるスピードある攻撃はなかなか侮れない。
エムス雪山で遊び倒していた際に倒れていたリオ達を見つけ、オトモンのウルクと運んでくれた。
◯武器
⚪︎スノウツインズ(双剣)
「白雪と雫。凍土で命を落とした双子の姉妹の名を持つ双剣。美しくも哀しき悲劇の剣。」
ウルクススの素材で出来た氷属性の双剣。素早い攻撃が可能で、スピードで相手を翻弄するサスにぴったりの武器。
◯防具
⚪︎ウルク装備
「氷上を自在に滑るウルクススの柔らかな毛皮を使った装備。純白の毛並みは最高の手触り。」
ウルクススの素材で出来た防具。暖かそうな見た目から分かる通り、寒さによるスタミナ減少を防ぐ事ができる。
◯オトモン
⚪︎ウルク(ウルクスス)
サスのオトモン。やや掴みどころの無い主人とは違い素直な性格で、主人とやる雪遊びやソリごっこが大好き。
モンスターが持つ本来の凶暴性はサスとの絆の影響で抑えられており、人懐っこいウルクススへ成長した。
ウルクスス
別名:白兎獣
種族:牙獣種
レア度:★2
属性・状態異常:氷属性、特技封じ
主な生息地:雪山
黒い兎のような耳に顔の大部分を覆う丸くでっぱった鼻の黒い皮膚、白毛に覆われた熊のような体型。そして硬い腹の甲殻が特徴である中型の牙獣種。
厳しい環境の寒冷地に住むモンスターで、地面の雪を掘り起こし大きな雪玉として敵に転がす他、凍った地面と硬い腹を活かし素早い滑走による突進攻撃を繰り出す。
兎の耳やソリのようは滑走などユニークな要素が多いが、大柄な体格から繰り出される攻撃はなかなか危険。
しかし、ウルクススのライドに慣れた者は、かなりの速度の滑走を娯楽のように楽しみ、癖のある顔も含め『愛らしい』と語っているようだ。
◯主な技
⚪︎氷塊投げ
地面の氷の塊を飛ばす技。
⚪︎スケートコンボ
腹甲で滑って急接近し、素早い回転攻撃をする。連続で使うとダメージが上がる。
⚪︎雪飛ばし
地面の雪を飛ばす技。稀に食らった相手は寒さでスタミナを奪われ、特技を放てなくなる。
◯絆技
⚪︎グラインドスピン
ライダーを乗せたウルクススが硬い腹で雪の坂を滑走し、崖から跳んだ勢いで二人が空中で華麗なスピンを披露。
回転を魅せるライダーをバックに、ウルクススは冷気を纏ったスピン攻撃をしながら相手に飛び掛かる。