Arco Iris   作:パワー系ゴリラ

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消された一日(後半)

「黄泉川先生!黄泉川先生〜!あだっ!」

 

黄泉川を見つけ、装甲車から降りて道路と河川敷を繋ぐ草の生い茂る坂を走ると勢い余って盛大に転ぶ。相変わらずの後輩『鉄装綴里』に愛穂は苦笑いをした。

 

「無事で良かったです〜‼︎」

 

「はいはい。どうもじゃん」

 

立ち上がり愛穂に泣きながら抱きつく綴里。愛穂は呆れつつも優しく背中を叩いた。他の警備員達もこちらに向かってくる。

 

「あっ!忘れてました!黄泉川先生!犯人はどこに⁉︎」

 

ばっと離れた綴里がそう聞くと、親指で後ろを指す。それに従って視線を向けると、そこには川に墜落しているボロボロのUFOと仰向けに倒れている宇宙人がいた。

 

「うそっ⁉︎本物⁉︎」

 

「正真正銘、本物のUFOと宇宙人じゃん」

 

それを見ていた他の警備員達もざわつく。全員愛穂の事を信じていたとは言え、それと実際目にした驚きとは話が別だった。

 

「まさか、隊長がこれを…?」

 

他の男性警備員がそう聞くと、頭を掻きながら答える。

 

「殴って倒したわけじゃ無い。連れ去られてUFOの中に入った時に周りの機械適当に動かして川に墜落させたじゃん」

 

「な、なるほど…。よくご無事で…」

 

警備員達が装備を構えつつUFOに近づき、エクレル星人を拘束し始める。それを見つつ、愛穂は眉間に皺を寄せた。

 

「黄泉川先生?どうかなされたんですか?」

 

「…いや、なんでもないじゃん」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「ねぇねぇ見た⁉︎今朝のニュース!」

 

「見た見た!犯人本当に宇宙人だったんでしょ!」

 

「しかも捕まえたの黄泉川先生だって!」

 

「マジやばいよね!」

 

翌朝、学園は衝撃のニュースでいつも以上に騒がしい。多発していた一日行方不明事件の犯人は宇宙人であり、何よりその犯人を捕まえたのが我が校の体育教師である黄泉川愛穂となれば当然の反応であった。

 

「黄泉川先生半端ねぇよな」

 

「やっぱりおっぱいなのかな?」

 

「いや何がだよ」

 

「俺黄泉川先生に告白しようと思う」

 

「絶対無理だからやめとけ」

 

この騒ぎは当人が学園に出勤してきた事で更に大きくなった。

 

「こらお前たち!さっさと教室に行かんか!」

 

職員室に群がる学生達に新田が喝を飛ばしたが、学生達の勢いは止まる事は無かった。

 

「黄泉川先生ー!こっち向いて〜!」

 

「宇宙人はどんな奴だったんですか⁉︎」

 

「今彼氏はいらっしゃるんですか?」

 

「スリーサイズの方はどうなんですか⁉︎答えて下さい!」

 

「今の質問した奴誰だ⁉︎」

 

次々に飛んでくる質問に、自分の席に着いていた愛穂は額に青筋を浮かべていく。怒りのマグマは噴火寸前と言った状態である。近くにいた教員達は音もなく噴火地帯から離れた。

 

「そんなに私と遊びたいのか…付き合ってやろうじゃん!」

 

席から立つと走って学生達のところへ向かう。先ほどまでの熱は何処へやら、屯していた学生達は即座に逃げ出した。

 

「相変わらず怒ると恐ろしいです…」

 

「いやーでも良かった良かった!犯人も捕まって黄泉川先生も無事で言う事無しですね!」

 

「黄泉川先生がご無事で何よりです!」

 

「ホンマそれに関してはそうやけど、暫く黄泉川先生は大変そうやな」

 

小萌・大河・ネギ・ななこが愛穂の背中を見送りながら言う。学園の教員達はひとまず彼女の無事と事件の解決を喜んでいた。

 

「黄泉川先生用のベットは一つ開けておいた方がいいでしょうか?」

 

「そうね、それが良いかも」

 

「大丈夫じゃないですか?見ての通り、愛穂はタフですからね」

 

「でも出来ればこういった危険な事はもう無しにして貰いたいですね…。心臓がいくつあっても足りないです」

 

養護教員の二人に二ノ宮としずなが反応する。しずなに関しては昨日の夜心配の連絡を入れると、犯人は捕まえたとの愛穂からの返事に白目を剥いた程であった。

 

「しかし今回も彼に頼る形になってしまいましたね…」

 

「うん。正直、教師として情けないよ」

 

「我々が動くとなると、色々と柵も出てくるからとは言え…やり切れません」

 

「組織として仕方のない事だとわかってはいてもね」

 

瀬流彦とタカミチは昨日の事件の真相を知る人物でもある。タカミチは祐から事前に連絡を受けていたのだ。

 

不足の事態を考慮し離れた場所で事態を見守りながら待機していたが、結局祐が宇宙人を鎮圧した為出番は回って来なかった。

 

祐には平和に暮らして貰いたいとは思いつつも、彼に戦いをさせている事実にタカミチは人知れず自分を責めていた。

 

因みに教員室の前にいた学生達は一人残らず愛穂に捕まった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「なるほどのう…異星からの脅威ときたか…」

 

「デビルークが銀河を統一してから惑星同士でのいざこざは無くなり、少なからず平穏が保たれていると思っていましたが、その考えは改めなければならないかも知れません」

 

学園長室にて祐は近右衛門に今回の事件でエクレル星人から語られた事を伝えていた。

 

「デビルーク星の王位継承問題とは、即ちこの銀河全体を巻き込んだ問題と言える。これまたスケールの大きい問題じゃ」

 

「何も脅威は別次元だけでは無い…忘れがちですが、この次元にも脅威は山ほどあるって事を改めて思い知らされました」

 

「うむ、その通りじゃな」

 

二人は真剣な顔でこの世界の置かれている状況を再認識した。

 

「それはそうと祐君、今回もご苦労じゃった。君のおかげで犯人は捕まり、黄泉川君も無事に帰ってくることが出来た。改めて礼を言わせてくれ」

 

頭を下げる近右衛門。祐は苦笑いを浮かべた。

 

「よして下さいよ学園長、むしろ好き放題やった後始末を丸投げして申し訳ないぐらいなんですから…」

 

「なに、これぐらいどうという事ないわい。後始末は上に立つ者の仕事じゃ。気にせんでええ」

 

「本当、ありがとうございます学園長」

 

今度は祐が頭を下げる。それを見て学園長が笑った。

 

「フォフォフォ、素直に育ってくれてわしとしても嬉しい事じゃ。まったく、少しはエヴァンジェリンも見習って欲しいもんだわい…」

 

「師匠はあれでいいんですよ、だからこそ安心出来ます」

 

「参った参った、君ら姉弟には敵わんな」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「にしてもマジでビックリだわ、本当に宇宙人の仕業なんて」

 

「いよいよ世の中何が起きても不思議では無いが現実味を増してきましたね」

 

「ちょっと怖いかも…」

 

A組の教室も例に漏れず、宇宙人の話で盛り上がっていた。ハルナ・夕映・のどかがそれぞれ感想を述べる。

 

「前とか今回みたいに厄介なのはゴメンだけど、ロマンはあるわよね」

 

「気持ちはわからないでも無いけど基本厄介事ばっかじゃない?」

 

「偶には楽しい事件とか起きてほしいよね!」

 

「何よ楽しい事件って…」

 

チア部の三人もそう言うと、周りもそれぞれ意見を出し始めた。それを教室の隅から明日菜達が眺めている。

 

「今回も一応無事に終わって良かったなぁ」

 

「まぁ、そうね」

 

「後で何をしたのか、詳しく聞かねばなりませんわね」

 

(ネギ先生にだけでなく、雪広さんは逢襍佗さんに対しても随分と心配性なんだな)

 

昨日無事に怪我なく事は終わったと連絡は受けたが、詳しい話はまだ聞いていない。あやかの祐に対する姿勢に刹那は少し意外そうだった。

 

「朝倉は黄泉川先生の取材には行かないの?」

 

「今行っても碌にインタビュー出来ないだろうからね。それより今は別の件を追っておくわ」

 

「別の件?」

 

夏美が和美にそう聞くと、自分の席から振り返り答えた。

 

「そう!まだ世には出さないつもりだけど、かなりのスクープが掴めそうなのよ!」

 

「そんな言い方されたら凄く気になるんだけど」

 

「まぁまぁ、もう少し待っててよ。もっと情報を集めてから」

 

そう語る和美のポケットから僅かに出ていた写真を忍び寄っていた風香が抜き取る。

 

「忍法!写真抜きの術!」

 

「ただスっただけじゃん…」

 

「あっ!ちょっとこら!その写真はまだ世に出すには!」

 

「おや風香、なかなか筋が良くなったでござるな」

 

「あんたの入れ知恵かい!」

 

「へへ〜ん!かえで姉から教わった忍術は伊達じゃな…」

 

そう言って写真を見た風香が固まる。それを見て急いで和美が写真を取り戻そうとすると、リボンが巻き付き写真が風香の手から離れた。

 

「なっ⁉︎まき絵!」

 

「なになに!一体どんな写真が」

 

器用に新体操で使うリボンを要いて写真を取ったまき絵がそれを見ると、同様に固まる。

 

「どれどれ、私にも見せるアル」

 

「私もはいけーん!」

 

近くにいた古非と裕奈も写真を見ると、石のように固まった。

 

「まったく、さっきからなんですの?」

 

それを見ていたあやかがまき絵達に近寄ると明日菜達も釣られてやって来る。和美は露骨に慌て出した。

 

「あーー‼︎ダメ!委員長達にはまだ早過ぎる!」

 

「何を仰っているんですか…」

 

そう言って写真を見るあやか達。そこには

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

祐が学園長室から出て教室に戻っていると、疲れた顔の愛穂と出会う。

 

「あっ、おはようございます黄泉川先生」

 

「逢襍佗…」

 

愛穂は表情を僅かに険しくした。

 

「ちょっと、話せるか?」

 

「…はい、お供します」

 

 

 

 

 

 

二人は校舎を出て中庭にやってくる。愛穂は振り返り祐を見た。

 

「言うのが遅れて申し訳ない、昨日は助かったじゃん。ありがとう」

 

「とんでもない。こちらこそありがとうございました。話を合わせてもらって」

 

愛穂は難しい顔をすると、重い口を開く。

 

「逢襍佗…お前は、なんなんだ?」

 

「僕は、現状解明されていない力を持ってるだけの高校生です。好き放題やってるだけの」

 

愛穂は何と言っていいかわからず、口を閉ざした。

 

「僕は魔法使いでもなければ、どこかの団体に所属している訳でもありません。肩書は本当にただの高校生なんです」

 

「なら、あんな危険な事はもう」

 

「ただの高校生だから好き勝手出来るんです。どこかに所属したり、特別な肩書を持てば、僕は今のように自由に動けなくなる」

 

「責任を持とうとしない狡い奴とも言えるでしょう。百も承知です」

 

畳みかけるように話す祐は、愛穂に言葉の続きを言わせない様にしているとも見れた。

 

「それでも柵が生まれて、自分が動くべきと思った時に動けなくなるぐらいなら、僕は無責任な奴でいます」

 

「もし僕が危険な奴と思ったのなら、その時は殴ってでも止めて頂いて構いません。今僕の力の事を知っている人達を僕は信じてます」

 

「お前、それがどういう意味かわかってるじゃん?」

 

一歩前に出た祐を愛穂は鋭い目で見た。

 

「僕は悩みっぱなしですが、それでも自分なりに正しいと思った事をやっているつもりです。でも僕は小僧です。所詮まだ16年しか生きていない若造です」

 

「そのうち絶対に間違うし、間違った行動を押し通そうとする時も来るかも。そうなった時、僕が大切に思っている人達がきっと僕を倒してくれる。必ず僕を止めてくれる。だからそれまでは自分を信じて動くと決めました。他力本願過ぎるかもしれませんけど」

 

「黄泉川先生、先生の事も信頼してます。きっと先生なら間違った僕を殴ってくれる。勝手にそう思ってます」

 

愛穂は表情を引き締めると祐に向けて歩き出した。祐は黙ってそれを見つめる。愛穂は拳を握ると思い切り振りかぶる。そのまま祐の頬を狙って拳を放った。

 

しかし祐に当たる直前で拳が止まる。この間祐は瞬き一つしていない。

 

「クソッ…強情なタイプか、時間が掛かるな」

 

少しの間その状態で止まっていると愛穂が大きなため息をついて拳を下ろした。

 

「逢襍佗…お前、まさかそこまで自分勝手な奴だとは思わなかったじゃん」

 

「それに関しては自覚があります。すみませんとしか」

 

愛穂は腰に手を当てる。

 

「言っとくが逢襍佗、私は厳しいぞ?もしお前が言う通りお前の事をそう思ったら、今度は容赦無くぶん殴るからな」

 

「お願いします黄泉川先生。先生達の判断なら、信じられます」

 

僅かに目を見開くと、今度は呆れた顔をした。

 

「私もいろんな奴を見て来たけど、お前はその中でも特に変わってるじゃん」

 

「よく言われますが、そこに関しての自覚は一切ございません。これからもそこは納得しないで生きてやろうと思ってます」

 

「そういうとこじゃんよ…」

 

一度目を閉じると今度は苦笑いを浮かべて祐の肩に手を置く。

 

「お前は危なっかしい。何するか予想も出来ない。だから私がしっかり目を光らせといてやる。それと」

 

次に浮かべた表情は慈愛に満ちてるように見えた。

 

「お前は禍なんかじゃない。存在しちゃいけないなんて事は絶対にない。それだけは絶対に私は認めない。まだ付き合いは短いが断言するじゃん」

 

祐は愛穂の瞳を見つめると、やがて心からの笑みを浮かべた。

 

「ずっとそう思って貰える様、期待に応えて見せます」

 

「よろしい!お前には色んな意味で大いに期待してるじゃん!」

 

バシンッと強めに肩を叩かれる。それが祐にはどこか心地よく感じた。

 

「おー祐サン!ちょうど良かったネ!」

 

二人共声のした方を向く。そこには息を切らし気味に走って来る超がいた。祐と愛穂は不思議そうに顔を見合わせる。二人の元に着くと膝に手を当て肩で息をした。

 

「やぁやぁ祐サン、黄泉川先生…ごきげんよう…」

 

「どうしたじゃん超?」

 

「そんな走って珍しい。何かあったの?」

 

超は息を整えると、祐達を見た。

 

「それがネ、少々大変な事になったヨ」

 

「大変な事?」

 

超が祐の耳に口を寄せようとしたので、しゃがんで高さを合わせる。

 

「昨日の帰り際に腕を組んだダロウ?その場面を朝倉に写真を撮られてたネ」

 

「はえ~。…ん?待って?超さんがこうやって走ってきたと言う事は…」

 

目の前で小声で話し始める二人に愛穂が訝しげな顔をすると、大勢の足音が聞こえてきた。

 

「あ~!超りんいた~!」

 

「あれ!?逢襍佗君もいるじゃん!」

 

「やっぱりそう言う事!?」

 

祐の悪い予想が濃厚になってきたので、冷や汗を流すとA組の大半が走ってきていた。その中にいる明日菜とあやかを見た瞬間祐は死期を悟った。怒ってますと顔に書いてあったからだ。

 

「ちょうど良かったわ祐…これがどういう事か説明して貰いましょうか?」

 

明日菜が手に持った写真を見せつける。祐はこれを穏便に済ませるのは昨日の事件以上に望み薄だとは思いながらも、一握りの希望に賭けた。

 

「ちょっと待ってみんな!まずは落ち着こう!」

 

「これが落ち着いていられますか!」

 

「人が凄く心配してたってのに!いくら何でもタイミングってもんがあんでしょ!」

 

「……」

 

どういった関係どうこうは置いておいて、明日菜の言った事は尤もな気がしてぐうの音も出ない祐だった。

 

「え~…皆さん仰りたい事はあるでしょうが、まず聞いてください。我々お付き合いはしておりません」

 

「そうネ!まだそこまでは行ってないヨ!」

 

『まだ!?』

 

「超さんはちょっと静かにしてようか…!」

 

幼馴染二人の体が小刻みに揺れているのがわかる。爆発まで幾ばくも無いだろう。木乃香は少し後ろの方で心配そうに見守っている。またなぜだかわからないが、刹那がやけに冷めた目でこちらを見ている気がした。

 

祐は覚悟を決めた。悪い方向に。

 

「よし、逃げよう」

 

「異議なしネ!」

 

祐と超は背中を向け、一目散に駆け出した。

 

「逃がすか!」

 

「お待ちなさい!」

 

「追え追え~!」

 

「これが愛の逃避行ってやつ!?」

 

明日菜とあやかを先頭に祐と超対A組の追いかけっこが始まった。

 

「やばい事になっちゃった…。取り敢えず写真撮っとこ…」

 

「朝倉ぁ!テメェ呑気に写真撮ってんじゃねぇ‼」

 

「ごめーん逢襍佗君!わざとじゃないの!写真を風香に盗まれちゃって!」

 

「風香ーーー‼今度憶えとけよ‼」

 

「やばいよ!僕も狙われてる~!」

 

「違うわ!」

 

「この浮気男!」

 

「なんで柿崎さんがキレるかね⁉︎」

 

「こんな幼子にまで!?見境なしですか!見損ないましたわ!」

 

「僕ら同い年なんだけど!?」

 

状況に慌ててか普段より口調が荒くなる祐。何を言っても今は逆効果だと悟った。と言うか美砂は私怨からの逆恨みな気がしてならない。

 

校内の教師や生徒達も外の騒ぎに気が付き、窓から中庭を見る。

 

「祐じゃん。あいつ何やってんだ?」

 

「おいおいアマやんの奴、少し会わない内に俺達に内緒で随分な事やってるようだにゃ~」

 

「んおお!?鳴滝姉妹がおるやん!?可愛い幼馴染が何人もいながらアマやん…!なんて鬼畜な男なんや!少しくらいボクにおこぼれくれてもええやないか!」

 

「お前は何言ってんだ…」

 

「ったくあの馬鹿!やっぱり碌な奴じゃない…!」

 

「お~い間桐!我らの親友アマやんが現役JKを何人も侍らせてるぜい?」

 

「勝手に親友にするな!」

 

 

 

 

 

 

「ふむ、逢襍佗はやはり女の敵か?」

 

「なんだよあれ!見損なったぞ!」

 

「なんか蒔ちゃん凄い怒ってない…?」

 

「別にっ!」

 

「怒ってるよ…」

 

「はぁ…馬鹿みたい」

 

「遠坂、素が出てるぞ?」

 

 

 

 

 

 

「何やっとるんだあいつらは!」

 

「まぁまぁ新田先生、落ち着いて…」

 

「これは…参ったね」

 

「皆さん何やってるんですか…」

 

(祐の旦那か…こりゃ今後荒れそうだな)

 

「あれ?追いかけられてるの逢襍佗君じゃない?」

 

「ホンマか藤村先生?……ホンマや…」

 

「頭痛がしてきた…」

 

「高橋先生大丈夫ですか…?」

 

 

 

 

 

 

暫く停止していた愛穂は我に返ると、祐と追いかけるA組を見て微笑んだ。

 

「ほんと、期待の新人じゃん」

 

右拳を左の掌に当てると歯を見せて笑う。

 

「私の前でいい度胸じゃん!オラお前ら!全員止まるじゃんよ!」

 

そう言うと恐ろしいスピードで愛穂が走って来る。

 

「おかしくない!?俺なんもしてないんだけど!」

 

「やはり私達は運命共同体ネ、祐サン」

 

「わぁ~すごい良い笑顔!好きになっちゃう!アホかっ!」

 

A組の教室からそれを見ていたエヴァが冷めた視線を祐に送っている。

 

「アホが…」

 

「……」

 

窓際の席に座るザジが少し微笑んだ。

 

残念ながらそれを見た者はいない。

一番好きな章は?

  • 序章・始まりの光
  • 幽霊と妖怪と幼馴染と
  • たとえ世界が変わっても
  • 消された一日
  • 悪魔よふたたび
  • 眠りの街
  • 旧友からの言葉
  • 漢の喧嘩
  • 生まれた繋がり
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