展示される事が決まった古代のカプセル。研究から凡そ四万年前の物である事が発覚し、これが更に注目度を上げた。
今や展示される博物館のチケットが売れに売れ、暫くは気軽に見に行く事は出来そうになかった。
「カプセルの人気凄いねぇ」
「ホントにね、世の中ってそんなに昔の物に興味あったっけ?」
「旬な時期ってのもあるし、気軽に見れないって言われると余計見たくなるってやつもあるでしょうね」
「あ~、なるほど」
教室でそう話す桜子・美砂・円。世の中が謎めいた物に対する関心を高めている時期に発見された古代遺産という事も、今回の件に大きく作用しているだろう。
「私も特別興味があるわけじゃないけど見たいもん」
「ハルナは漫画のネタが欲しいだけでは?」
「ダメかね?」
「ダメではないですが…」
「私も見てみたいなぁ」
「本屋ちゃんこういうの好きそ~」
桜子にそう言われのどかは少し恥ずかしそうにした。
「いかにもお淑やかな文学少女って感じ。ハルナも見習ったら?」
「ダメかね?」
「ダメじゃないけど…」
「それ気に入ったの?」
そんな話をしているとハルナ達の前にあやかがやってくる。
「ありゃ、どうしたのいいんちょ?まだそんなに騒いでないよ?」
「私を何だと思ってらっしゃるんですか…。別に注意しに来たのではありません」
そう言ってあやかは鞄から何かを取り出す。それを見たハルナ達は驚きの声を上げた。
「ちょっ!これあの博物館のチケットじゃん!しかも二枚!」
「いいんちょこれどうしたの!?」
あまりの盛り上がりに少し驚いた後、あやかは話し始める。
「お世話になっている方から頂いた物です。二枚あるので本当はネギ先生をお誘いしようと思っていたのですが…」
あたかも当然の様にネギと二人きりで向かおうとしていた事は無視して、話の続きを待った。さすが四年の付き合い、あやかの扱いはお手の物である。
「このチケットは日付指定の物でそれが明日なのですが、生憎私は既に予定が入っておりまして。せっかくですからどなたかにお譲りしようかと」
「ありがとうございます」
「おぉい!何しれっと貰ってんの!?」
すぐさまチケットを受け取ったハルナの手を美砂が掴んだ。
「二枚しかないんだからそのままハルナが貰うのはおかしいでしょ!」
「ダメかね?」
「ダメだよ!」
お約束とは言え、流石にここはそのまま流すわけにはいかなかった。
「私達も見たいんだから公平に決めなきゃ!」
「じゃあどうやって決めるのよ」
「くじ引き!」
「あんた絶対勝つじゃない」
桜子の強運は一種の絶対的な物という認識がクラスにはあった。彼女はそれだけ運が良く、運が関わる勝負ではほぼ間違いなく桜子には勝てない。
「じゃあジャンケンで決めようよ」
「望むところよ!後まきちゃんしれっと入ってくるわね!」
まき絵の提案に乗るハルナ。気付けばクラスメイトの大半が参加の意思を見せていた。
「て言うかジャンケンも運じゃないの?」
「甘いわね!ジャンケンは運勝負じゃないわ!それを見せてあげる!」
「勝つ気満々だね」
「どこからその自信が湧いてくるのか不思議でなりません…」
一連の流れを見ていた木乃香と明日菜。すると木乃香がうずうずしだした。
「ウチもやってこようかなぁ」
「こういうの興味あったっけ?」
「楽しそうやんジャンケン大会」
「あっそう…」
「すまんな木乃香、チケットは俺が貰う」
「……なんであんたがいんのよ…」
いつの間にか明日菜達の後ろにいた祐が話に入ってくる。
「俺も見たいからだ。いや、むしろ俺こそが見るべきだ」
「まぁ、そう思うのは自由よね…」
明日菜は面倒くさくなったのか無理やり納得した。
「あやか!俺も参加するぞ!いいか!?」
「え、ええ…私は構いませんが…」
「あれ?逢襍佗君だ。逢襍佗君もやるの?」
「その通りです佐々木さん、僕にやらせてくださいと言わせてください!」
「…どうぞ」
「やらせてください!」
「……どうぞ」
意気揚々と勝負に臨む祐。何故こんなにもやる気になっているのかはわからないが、凄まじいやる気がある事だけは見て取れた。
A班・B班に別れてジャンケントーナメントが始まる。盛り上がりを見せる中、勝負は早々についた。
「勝ち申した」
「あ〜ん、負けてもうたぁ」
A班の決勝戦、祐と木乃香による勝負は祐の勝利で幕を閉じた。
「いい勝負だった、ありがとう木乃香」
祐が右手を差し出すと、木乃香も同様に差し出し握手をする。
「じゃあついでに勝利の抱擁も」
「当クラスはお触りは禁止です!」
「お下がりください!お客様!」
どさくさに紛れて木乃香を抱きしめようする祐に美砂と和美が割って入る。
「今時抱擁もやってないのかこのクラスは!」
「裏オプションとして有料になりますが」
「いくらだね?」
「やめい!」
怪しい方向に話が進みそうになったので明日菜が止めに入る。
「明日菜相変わらずこっち系のネタ苦手だねぇ」
ニヤニヤと笑う和美に明日菜は顔を赤くした。
「ど、どうでもいいでしょ!て言うか木乃香もなんか言いなさいよ!」
「ん〜?ハグくらいええよ?」
「それでは失礼しまして」
「待て待て!」
「いよっしゃ〜!見たかぁ!」
気付けばB班も勝負が付いた様だ。そちらの方を向くと拳を天に突き上げているハルナが見えた。
「本当に勝ってる…」
「どうよ!これがハルナ様の実力だ!」
「素晴らしい有言実行ですね。勝負の内容はしょうもないですが」
もう一つのチケットはハルナが手に入れた。夕映の冷静な発言はスルーしてハルナがチケットを受け取る。
「そっちで勝ったのは、祐君か!あれ?…って事は」
ハルナは祐の隣に来ると自分の腕を絡めた。
「そんじゃ明日は博物館デートに行ってきま〜す!」
「あ〜!なんかずるい!」
「なんか負けた気がする!」
「なんか悔しい!」
「なんかって何よ…」
「ハルナの分際で!」
「それはどういう意味だ!」
デートという単語に反応するクラスメイト達。謎の敗北感を感じたのは、浮いた話が今まで一切無かったハルナが言ったというのも関係しているかもしれない。
「これは…いよいよ俺もホテル帰りか⁉︎」
「うわ!スケベだ!」
「当たり前だろ明石さん!思春期男子だぞ僕は!」
「それよりもデートが大事でしょ!」
裕奈と円にダメ出しをくらうが祐は納得しなかった。
「デートなんか前座みたいなもんだろ!」
「サイテー!」
「女の敵だ!」
「この色欲魔人!」
「どうも色欲魔人です」
「なんでノリノリなの⁉︎」
「魔人を倒せー!」
風香の掛け声と共に、裕奈達が祐へとなだれ込む。いつかと同じ様に祐は投げ飛ばされ始めた。
「てな訳で明日は楽しんでくるわ。逐一報告するからそちらもお楽しみにね」
「大丈夫だとは思うけど、あいつが変な事しないかちゃんと見といてよ」
「そんな明日菜、祐君も小学生じゃないんだから」
「小学生よりもタチ悪いわよ…」
「私不安になってきましたわ…」
「ええなぁ、ハルナ」
祐を転がす方に参加していた和美は、ハルナ達を見ると不敵な笑みを浮かべた。
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「表面に刻まれてたのは結局文字だったのか?」
「それが今まで見たことのない物らしくて、解析は進んでないみたいですね」
研究施設のデスクで研究員達が話している。年代と中身はわかったものの、それ以外の事に関してはこれと言った進展がない状態だった。
「ただの落書きって訳でもないだろうし、書かれている物の内容がわかれば大分進むと思うんだがなぁ」
「覆っている金属も謎。取り出し口の様な物もないし、とても強固ときてる。何か特殊な開け方があるかもしれませんね」
「そもそも中には液体が入ってるんだろ?」
「はい。ただこれも何なのかまでは」
「まさに未知のオーパーツって事か」
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時刻は19時。自宅で祐が寛いでいるとスマホが着信を知らせる。画面を確認し電話に出た。
「はい、あなたの逢襍佗祐です」
『いちいち小ボケを入れんと電話に出れんのかお前は…』
電話の相手であるエヴァの呆れ顔が浮かんでくる。少し前はスマホを使った電話のかけ方もよく分かっていなかったエヴァがこうして電話をかけてきている事に祐は少し嬉しくなった。
「どうしました師匠?」
『なに、お前があのカプセルに随分と興味があった様だからな』
『あれから何かを感じたか』
そう言われた祐は少し考える様な顔をした。
「正式には、確かめに行きたいんです。何を感じるのか」
『ほう?』
「今のところちょっと気になるなぁぐらいの気持ちです。あれ自体にはまだ何も。直接見て見ない事にはわかりませんね」
エヴァは一瞬無言になる。祐も何も言わず次の言葉を待った。
『祐、この件が終わったら一度家に来い』
「喜んで。でも何かあるんですか?」
『私も気になる事があるんだ。直接見ないとわからなくてな』
「エッチですね」
『アホか貴様』
エヴァの辛辣な返答も祐は笑っていた。面倒そうでも反応をしてくれる人が祐は好きだからだ。
「あっ、そうだ師匠。俺からも一つ聞きたい事が」
『なんだ?』
「この間ネギと明日菜が家に行った時、明日菜と何かありました?」
『知らん』
言葉と被せ気味に通話を切られた。明日菜に勝るとも劣らないわかりやすい態度に苦笑いを浮かべた。
「やっぱ似てるんだよなぁ、あの二人」
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同時刻、凛は机で送ってもらった資料を読み漁っていた。内容は昨日のはぐれ魔術師の件である。資料の送り主である昨日の電話の相手から、メールぐらいは使える様になれとのお小言も一緒に頂いた。何を隠そう凛は極度の機械音痴であった。
わかった事は目的・身元・経歴・そして得意分野。その得意分野と言うのが考古学であった。特に古代の遺物に関して積極的に研究を行っていたそうだ。魔術という技術も相まって、研究成果は表の世界よりも数歩先を行っていたとの事。
その研究に打ち込む理由が、人類の天敵を世に現す事というのが歯痒く感じた。もう少し考えが違っていれば、世の中の進歩の役にでも立っただろうに。
そう考えていると、ある事を思い出す。少し前に発見された古代のカプセルの事だ。はぐれ魔術師が来たタイミング・見つかった未だ正体不明の古代カプセル・彼の得意分野にその目的。
(最悪…予想通りだとしたら、何か手を打たないと)
凛は読んでいた資料もそのままに、固定電話へと急いだ。
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丘の上に居を構える教会。その礼拝堂で一人の男が祭壇の前に立ち、もう一人の男性が椅子に腰掛けている。
「どうした言峰?随分と楽しそうではないか」
椅子に座り、黒いライダースジャケットを着た男性が尋ねる。その男性は見る者誰もを魅了する程の美形であり、同時に神々しさの様なものを全身から溢れさせていた。
呼ばれた男、『言峰綺礼』は振り返る事なく答える。その顔は僅かに笑みを浮かべていた。
「また世の中を騒がせる事態が起きそうなのでな。今回は少し、被害が大きくなるやもしれん」
「ここの所事件の連続だが、それよりもか?」
「場合によっては、だがな」
「ほう」
男性は椅子に背を預けた姿勢から前屈みになる。
「どういう訳か今回も先が霞みがかっている。近頃起きた二つの事件と今回の事だけは見通せん。我の目を持ってしてもだ」
それを聞いた綺礼はその笑みを深くした。
「この我の視界を曇らせるとは気に入らん。気に入らんが、面白い」
男も笑みを浮かべる。その表情は無垢な様にも、獰猛な様にも見えた。
「この9年間、実に退屈しなかった。別次元の存在に溢れ出した幻想種達、そして高まり続ける神秘。二年前に戦争が終結を見せ、動乱が鳴りを潜めたと思ったが…ここに来て再び世界は揺れ始めている」
「この世界、まだまだ捨てたのもではないのかも知れんな」
綺礼は振り返り、男を見る。
「お前の視界を曇らせるモノ。想像も出来んな」
「特定の事の先を見ようとすれば、眩い光が我の視界に入り込む。不敬極まりないその光のせいなのは間違いない」
「眩い光…か」
「ああ、虹色の光だ」
綺礼の自室から電話を知らせる音が鳴り響く。それに気付きながらも、綺礼はその電話を取る事はなかった。
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翌日、A組の教室で帰り支度をするハルナ。鼻歌を歌いながら手際よく荷物をしまっていると夕映が声を掛ける。
「一度寮に戻るのでしたっけ?」
「うん。そんな遠くでもないし、着替えてから駅で合流する予定」
「いいな〜。私もカプセル見たかったよぉ」
「真剣勝負の結果よ、悪く思わないでね」
「まぁ、もう少し落ち着いたら見れる様になるでしょう」
羨ましげな桜子にハルナと夕映がそう言った。そんな会話を聞きつつ、明日菜は上の空だった。
「明日菜?どうしたん、ぼーっとして」
「う〜ん、あのさ木乃香」
「なに?」
「あのカプセル、悪いもんじゃないわよね?」
木乃香は首を傾げた。明日菜としても上手く言葉に出来ず顔を顰める。
「なんて言うかさ、こういう話に最近良いイメージがなくって」
「あ〜、そうやなぁ」
明日菜の言いたい事がなんとなく理解出来た。そう言われると確かに少し怪しく思えてしまう。
「祐君はどんな物か見たいからって言うとったけど、悪いもんかどうかはまだわからんとも言うとったよ」
「祐が?」
「うん。昨日の夜な、ラインしてたんやけどそん時に」
明日菜は腕を組んで背もたれに寄り掛かった。
「ちなみになんでラインしたの?」
「なんか食べたい物とかある?って聞いたんよ」
「なんでまた急に」
「祐君にもっと帰って来たいって思ってもらう為にやね」
明日菜は意味がよくわからず、不思議そうな顔で首を傾げた。
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眉間に皺を寄せて廊下を歩く凛。考える事は例のカプセルの事だ。
(カプセルとはぐれ魔術師が無関係とは思えない。何とかしなきゃならないんだけど…)
凛の予想ははぐれ魔術師がカプセルを狙っているというもの。魔術師がカプセルの中身を知っているのかまではわからないが、狙いがそれである事はほぼ確信していた。
(乗り込んで奪取する訳にもいかないし…取り敢えず魔術協会に連絡はしたけど…もう!なんで肝心な時に電話に出ないのよ!)
電話の相手である綺礼は結局昨日電話に出なかった。今から直接乗り込むつもりだが、その時どんな恨みつらみを述べてやろうかと考えていると誰かに正面から肩を掴まれた。
「はえ?」
「おっと失礼、前方不注意だねこれは」
「逢襍佗君?あっ、ごめんなさい!私ぼーっとしてて」
「いやいや、俺もちゃんと見てなかったよ。失礼しました」
祐は優しく肩から手を離し、スッと距離を取った。
「珍しいね遠坂さんがぼーっとしてるなんて。今日一日何か考え事してたみたいだったけど」
「え、ええ…ちょっとね」
すると祐が腕時計を確認した。
「さて、俺は準備をしないと。それじゃ!またね遠坂さん!」
「あっ、うん」
忙しなくその場を後にする祐。暫しその背中を見つめると、ハッとして頭を振る。
(考え込み過ぎた。しっかりしないと)
凛も教会へ向かう為、その場を後にする。
振り向く事なく歩く祐。その顔は先程までとは違い、真剣なものに変化していた。
(強い不安…原因はカプセル。魔術師が絡んでる線もあるのか)
心の中でそう呟いて、そのまま自宅へと向かった。
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支度を終え、集合場所の駅に向かうと既に祐の姿があった。
「おまたせ祐君、相変わらず早いね」
「どうもハルナさん、いいねその服。服のセンスとか俺よくわかんないけど」
「う〜ん、最後のが余計」
二人は並んで改札へと向かう。駅の混雑具合は朝に比べてそれなりと言ったところか。歩きながらハルナは祐の顔を窺う。
「二人っきりで出かけるの初めてだよね?どう、ドキドキする?」
「するする」
「少しは取り繕え」
いつもと変わらぬ祐の態度に拍子抜けするが、それも祐らしいと思った。数名で集まって出掛けた事などは何度かあったが、異性と二人でというのはハルナは初めてであった。
「くっそ〜、祐君なんか手慣れた感じがする」
「明日菜達と出かける事も多かったからね」
「ほんと仲良いよね、君ら。異性の幼馴染ってのがいなかったからなぁ私。イメージ湧かないかも」
「俺が、もう少し早く出会えていれば…!」
「なんで祐君が悔しそうなの…」
祐は強く拳を握り、ハルナに身体を向けた。
「いや、諦めるのはまだ早い!今日から幼馴染になればいい!」
「それって今からなれるもんだっけ?」
「なれる!俺が決めた」
「あらやだ漢らしい」
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超常犯罪対策部の太田源八はとある留置所に来ていた。目的はつい先日捕まった、誘拐犯である宇宙人と面会をする為だ。
(宇宙人と何話せってんだ…大方事情は判明してるだろうに)
心の中で上層部への愚痴を言いながら看守について行く。そもそも宇宙人にこの国の法律は通用するのだろうかと考えていると目的の場所に着いた。
「こちらになります」
「ああ、どうも」
看守がドアを開けると、それに続いて中は入る。源八はげんなりとした顔をしてしまった。特殊なガラスを隔てて、見るからに宇宙人という存在が目の前にいたからだ。
「太田源八警部。貴方を待っていた。」
瞬時に源八は表情を鋭くする。
「誰に聞いた?」
「我々の種族は身体から発する特殊な電磁波で情報を収集する事が出来る。この地球は様々な情報が飛び交っている。この星を理解するのに大いに役立った」
「大抵の事は筒抜けって訳か」
「その通りだ」
この情報社会において、この宇宙人は相当厄介だ。こうして身柄を拘束出来ただけでも幸いだったかもしれない。源八は後頭部を掻くと、席に着いて肘をテーブルに置いた。
「お前らが大したもんだって事はよくわかったよ。それで…え〜っと」
「エクレル星人だ。そう呼ぶといい」
「…エクレル星人ね。今回俺が来たのは」
「その前に太田警部、貴方達に伝えておきたい事がある」
話の腰を折られ、思わず白い目を向ける。言いたい事はあったが源八は言葉を飲み込んだ。
「なんだよ」
「例のカプセルだが、あれは早々に隔離したほうがいいだろう」
「それも知ってんのか」
カプセルの話は源八の耳にも入っている。だが危険な物質が検知されていない事や、そもそも発掘されただけの正体不明の古代遺物に対して源八達が今出来る事はなく、話を聞く程度で止まっている。
「あのカプセルの何を知ってる?」
「知っていると言うより、わかった事がある。と言うのが正しいだろう」
源八は何も言わず、早く話せと言う様に目で続きを促した。
「あのカプセルの表面に描かれているのは文字だ。君達はそれを古代文字と呼ぶのだったか。あれは現在失われている物の様だ」
「だからこそ君達は解読出来ていないのだろうが、私は既に読み取ることが出来た」
「それは本当だろうな」
源八は睨む様にエクレル星人を見る。それに対しての感情を返すことなく、エクレル星人は淡々と続けた。
「嘘か本当か、判断は君達に委ねよう」
一番好きな章は?
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