「な、なによこれ…こんな光見た事も聞いた事もないわよ!」
テレビで中継されていた映像をスマホで視聴する凛。教会で綺礼と話している途中綾子から連絡を受け、グルードンの存在を知った。
その頃には既にグルードンは消滅しており、現在動画サイトに転載されている中継映像を見ていた。因みに使用しているのは凛のスマホだが、操作をしたのは綺礼である。その時向けられた憐みの目がどうにも鼻に付いたのは余談かもしれない。
「アウトレットの爆発時にも虹色の光が現れたとまことしやかに囁かれていたが、これを見るにただの虚言という訳でもなさそうだな」
凛の持つスマホを高い位置から見下ろしていた綺礼が興味深そうに呟いた。
「魔術?それともあっちの魔法?」
「超能力という線もある。ただし、こんな力は私も聞いた事が無いがな」
そう言って笑う綺礼に一度白い目を向け、画面に視線を戻す。
「こんなデカいのをはるか彼方に吹っ飛ばした。ただの一般人ってのは考えられないわ」
「そもそもどこかに所属し、これ程の力を持っているならば噂話の一つでも聞こえてきておかしくはない」
「近頃になって力に目覚めたか、それとも丁寧に隠されてきたか。どちらにせよ現時点では何一つわからんな」
そう話しつつ、綺礼は先日の会話を思い出す。
(奴の目をも曇らせる虹色の光…あれがその正体であるならば、私にも拝める機会はあるやもしれん)
「ちょっと、どうしたのよ?」
黙って遠くを見ていた綺礼に凛は声を掛けた。特に取り繕う事もせず、淡々と述べる。
「いやなに、出来る事なら私も一度この目で拝見してみたいと思っただけだ」
再び笑う綺礼。一時停止した映像を見て凛は眉間に皺を寄せる。それは巨大な光が渦巻いている瞬間が映されたもの。その心中は一言では言い表せない程様々な感情が沸き起こっていた。
グルードンの消滅から二時間程後、無事タクシーを捕まえる事が出来たハルナ達は麻帆良に少し遅めの帰宅をした。因みに料金は祐持ちであるが本人たっての希望である。祐曰く、ここで出さなきゃ漢が廃るとの事らしい。
祐が二人を女子寮まで送っていると、入り口の前でハルナの帰りを待っていたのかクラスメイト達が見えた。
「お迎えが沢山いるね」
「こりゃまた手厚い歓迎だわ」
「私の人徳が出ちゃったかな?」
「ほとんどは感想聞きたいだけな気もするけどね」
ハルナの発言に和美がそう返していると、待っていたクラスメイト達がハルナ達に気が付く。
「あっ!帰ってきた!」
「「ハルナ!」」
そこから夕映とのどかが飛び出してくる。走る二人を見てハルナは両手を広げた。
「よし来い二人共!ハルナさんの胸に飛び込んできなさい!」
その言葉通り二人はハルナに飛びつく。想像以上の衝撃に顔を青くするが、なんとか根性で持ちこたえた。
「こ、腰がやられるところだったわ…これが愛の重さなのね…」
「ハルナ、無事でよかったです!」
「心配したよぉ」
涙目で抱き着く二人を見て苦笑すると、ハルナも二人を抱きしめ返す。
「ほら大丈夫だから、この通りピンピンしてるでしょ」
後ろでそれを見ていた祐が満足そうに笑う。他のクラスメイトもハルナに近づいた。
「おかえりパル!心配したよ!で怪獣と虹の光はどうだった?」
「無事で何よりだね!ところでさっきの怪獣と光なんだけど」
「おおい!私の心配がついでになってんじゃん!」
いつも通りの雰囲気に全員が笑っている。ハルナと和美はそれを感じて無事に帰ってきた事を改めて実感した。
「あっ、逢襍佗君。逢襍佗君も大変だったね。あれ?なんで朝倉もいるの?」
祐に気が付いたまき絵が横にいる和美を不思議そうに見た。
「ちょっと野暮用で私もあそこの近くにいたのよ。生憎決定的な瞬間は逃がしたけどね」
「用事って聞いてたけど、あんたよりにもよってそこにいたの?」
「お、お怪我はありませんか!?」
和美と同室の美空とさよが前に出てくる。和美は不満そうに腕を組んだ。
「右に同じ、怪我は無いわ。スクープも無いけど…」
「ご無事でしたらそれが一番ですよ!」
「そうそう、スクープ無いのはいつもの事だし」
「ありがとうさよちゃん」
「あだだだだ!朝倉!ストップ!ストップ!」
さよにお礼を言いながら美空にヘッドロックを掛ける。祐がそれも笑顔で見ていると腕を引かれた。
「ちょっと祐!何よあれ!」
「おう明日菜。あれって何?」
「あれはあれよ!あんなのが出来るなんて聞いてないわよ!」
小声で叫ぶという高等技術を見せる明日菜。最初は何の事かわからなかったが、グルードンに向けて放った技の事だろうと察した。
「あ~、あれテレビか何かに映ってた?参ったね!へへへへへ!」
「何笑ってんのこの馬鹿!」
「あ、明日菜さん…もう少し声を抑えないと…」
「まぁまぁ明日菜。祐君自体は映っとらんかったんやし、ええやないの」
ネギと木乃香が明日菜を宥めつつ、木乃香は祐の前に来て全身を隈なく見始めた。
「服とかがちょっと汚れとるけど、怪我はしてへんみたいやね」
砂埃が付いた祐の髪や服を優しく払うと後ろで手を組み、祐の顔を見つめた。
「おかえり、祐君」
そう言われた祐は少しの間固まったが、やがて嬉しそうに微笑んだ。
「ただいま、木乃香」
「うん!ようやくちゃんと言えたわぁ」
同様に嬉しそうに笑う木乃香。それを見た後、祐は明日菜とネギの方を向いた。
「明日菜とネギも、ただいま」
「おかえりなさい!祐さん!」
ネギは笑顔で返すが、明日菜は少し顔を赤くして腕を組み目線を逸らす。一度大きく息を吐くと少し笑って祐を見た。
「おかえり祐。取り敢えず、今のところは約束破ってないわね」
「勿論!任せとけ、ちゃんと帰って来るよ」
「当たり前でしょ。私達との約束なんだから」
夕映・のどかとの抱擁を終えたハルナの元にあやかがやって来る。その顔は申し訳なさそうだった。
「ハルナさん、この度は申し訳ございません。私がチケットを渡したばかりに…」
「何言ってんのいいんちょ!いいんちょは何にも悪くないでしょ?だからほら!そんな顔しないで!」
「あいた!」
ハルナは強めにあやかの背中を叩く。思わぬ衝撃に背中を摩るあやかの肩に手を回した。
「それに!見たいものは見れたし、予想外の収穫もあったからさ」
「収穫…ですか?」
「そう、とっても価値のある収穫がね」
それに対して不思議そうな顔をあやかはした。対してハルナはなんともいい笑顔である。そこであやかの視線に祐が映った。また何か変な事でも言ったのか、明日菜に頭をはたかれている。ハルナはその視線に気が付いてあやかの背中を押した。
「ハ、ハルナさん?」
「私はもう大丈夫だから、祐君にも声掛けてあげて」
「…はい」
緊張気味に祐の元へ進むあやか。その背中をハルナは見守った。夕映とのどかが隣に来る。
「ねぇ、二人共」
「はい?」
「どうしたの?」
ハルナは腕を組み、どこか遠くを見て決め顔になった。
「私、今めっちゃいい女ね…」
「自分で言わないでください」
「台無しだよハルナ…」
明日菜・木乃香・ネギと話していた祐の元にあやかが来る。その表情は先程と同様に緊張気味であった。
「あの、祐さん…この度は」
「あやか!ただいまー!」
祐は素早く前に出ると、あやかの腰に手を当てて持ち上げた。
「ちょ、ちょっと祐さん!?何をなさるんですか!」
「ほ~らあやか!童心を思い出せ!」
「意味がわかりませんわ!」
小さい子供へやる様にその場でくるくると回る祐。あやかの顔は真っ赤に染まる。
「あはは!何あれ!」
「いんちょが回ってる~!」
周りから笑いが起こる。あやかは更に恥ずかしくなるが、祐はお構いなしだった。
「さっきまで暗い顔してたけど、いいんちょ良かったね」
「ふふ、そうね」
それを見ていた夏美と千鶴も笑顔を見せる。
「ほんと、あやかは逢襍佗君には敵わないみたいね」
「そんじゃ、俺はそろそろ帰るとするよ」
「もういい時間だし、私らも戻ろうか」
「はーい」
それから暫くして、祐が自宅に帰ろうとするのを合図に他の面々も寮へと戻っていく。祐の頬には赤い手形が綺麗に付いているが、誰が付けたものかは言うまでもないだろう。
寮に背を向け、自宅へ向かう祐。その背中にハルナが声を掛ける。
「祐君」
祐が振り向くと、ハルナはこちらを見ていた。
「ありがとね」
短い言葉だったが、その一言に込めたハルナの想いは祐には充分伝わった様である。
「とんでもない。おやすみなさい、ハルナさん」
返ってきた声は優しいものだった。祐は今度こそ自宅に戻っていく。少しの間それを見つめ、ハルナも寮に戻ると同じ様に戻っていた明日菜と隣り合う。
「明日菜」
「なにパル?」
「前から薄々思ってたけど…祐君て、結構いい男ね」
「へ?」
「そんじゃおやすみ〜」
ハルナは小走りで夕映とのどかの元に向かった。明日菜は呆気に取られた顔でそれを見送る。
「……。まさかね…」
翌朝。学校自体は休みだが、祐は学園長室にて昨日の事を詳しく伝える為登校していた。
話し合いを終え、古代カプセルの件がひと段落したので約束通りエヴァの家に向かう事にする。その途中、廊下を歩いていると物陰から手が伸びて祐の首に腕を回す。そのまま何者かに引き寄せられた。
「ぐへっ!」
「よ〜う逢襍佗、おはようじゃん」
「おはようございます黄泉川先生。朝から情熱的ですね…」
その人物とは愛穂で、祐は彼女に首元を脇で抱えられる姿勢になった。
「朝は一日の始まり、だから気合入れていかないとじゃん?」
「いやぁ、仰る通りですな」
愛穂が祐を解放すると二人は向き合う形になる。
「また昨日は派手にやったな」
「あれぐらいやらないと、あいつは消し飛ばせなかったもんで」
後頭部に手を当てながら苦笑いをする祐。愛穂は呆れる様に笑った。
「あの中継にお前は映ってなかったが、映ってたらどうするつもりだったんだ?」
「そん時はそん時ですよ。僕はこんなんですし、何よりこんな世界です。いつまでも隠し通せるとは思ってません」
愛穂は祐を真剣な表情で見つめる。対して祐はいつも通りの雰囲気だった。
「その時が来るまでは、楽しく過ごさせて貰います。今みたいに」
愛穂は一度視線を落としてから祐を見た。
「戦わないって選択肢は無いのか?」
「選べないでしょうね、少なくとも今の僕には」
どこか諦めた様に言う祐に、愛穂はため息をつかずにはいられなかった。
「お前はほんと…手の掛かる奴だなぁ」
「こんな面倒くさい奴を気に掛けてくれるなんて、先生も好きですねぇ」
「アホ」
愛穂は祐の額をぴしゃりと叩いた。
それからエヴァの家へとやって来た祐は挨拶もそこそこに、エヴァに連れられソファに座る。現在は一つのソファに向かい合って座り、祐の両手を掴んでエヴァは目を閉じていた。
暫くしてゆっくりと目を開いたエヴァが納得した様な顔をする。
「やはり…思った通りだな」
「やっぱり来てますか…俺のモテ期が…」
「馬鹿も休み休み言え」
「辛辣過ぎやしませんか?」
手を離し、腕を組むと祐を見た。
「お前が一番わかっているだろう?増しているぞ、お前の力」
祐は自分の両手を一度見てからエヴァに視線を向けた。
「最近使う機会が増えたからですかね、そんな気はしてました」
「増していると言えばいいのか、戻ってきていると言った方がいいのか…。まぁ、どちらにせよ同じ事か」
エヴァは呆れた顔をする。
「かつてあれだけの事をしておいて、まだ底を突かないとは。つくづくお前の光はわからんな」
「一時期はうんともすんとも言わなかったのに、時間が経てばこの通りですからね。困ったもんですよ」
「まったくだ…。だが」
そこでエヴァは前のめりなると右手で祐の頬に触れた。
「それでいい。お前はそのまま私を楽しませろ」
「こりゃ力が無くなった時、捨てられない様にする為の対策練っとくべきですね」
おどけた様に言うと、エヴァが鋭い視線で頬を抓ってきた。
「師匠痛いっす」
「その冗談はつまらん。今までのやつよりも特にな」
手を離すと腕を組んで背を向けてしまう。祐は地雷を踏んだと額に手を当てた。
「あ~師匠、今のは確かにつまんなかったっすね。反省します」
「お前の冗談がつまらんのは今に始まった事でもない。別に気にしてないさ」
そうは言うものの、変わらず背を向けたままである。祐はこの状況をどう打破しようかと考えた末、力技で押す事にした。
背中からエヴァを抱きしめる。体格の違いから腕の中にすっぽりとおさまった。
「姉さん、ここはひとつ機嫌直してくれない?」
「こんな事でご機嫌取りが出来ると思っているのか?甘く見られたものだな」
言葉とは裏腹にその状態から逃れようとはせず、体重を預けてきた事からこれでいけると祐は踏んだ。
(後はこのまま押すだけだ。我、勝機を得たり)
「メンドクセェ女ダナ」
柱の陰から顔を出したチャチャゼロが開口一番にそう言った。
「ちょっとゼロ姉さん!あと少しで落ちるところなんだから静かにしてて!」
「お前ら纏めて凍らせてやろうか?」
「皆さん、昼食の準備が整いましたが」
階段から上がってきた茶々丸が祐達に声を掛ける。
「待ってました、タイミング完璧。さぁ師匠!参りましょう!」
エヴァを両手に抱えて一階へと走る。そこにチャチャゼロが飛び乗り、祐の頭に着地した。一階のテーブルに着くとエヴァを彼女の席へと降ろし、振り返って茶々丸の肩に手を置いて言う。
「茶々丸、素晴らしい妹を持ててお兄ちゃんは幸せだよ」
「よくわかりませんが、ありがとうございます」
首を傾げた後、取り合えずそう答える。何故そう言われたのかは不明でも、祐に褒められて悪い気などしなかった。
「やりたい放題な姉と兄のせいで苦労を掛けるな茶々丸。せめてお前だけでもまともでいてくれ」
エヴァがささやかな願いを伝えると、祐がチャチャゼロを頭に乗せたまま胸を張った。
「俺達がこうなったのは全部師匠のおかげですよ!ありがとう師匠!」
「嫌味か貴様!」
「オイバアチャン、酒クレヨ」
「殺すぞ!」
話の流れとは関係なく、祐は茶々丸を抱きしめた。
「愛しているぞ妹よ!」
「どさくさに紛れて人の従者に手を出すな!」
「……」
抱きしめられた状態で動かなくなる茶々丸。それに気付いた祐は腕を解いて顔を覗く。
「あれ?茶々丸どうかし…熱っ!やべぇ!なんか沸騰したやかんみたいになっとる⁉︎」
「ケケケ、オーバーヒートシテラァ」
「何をしとるんだ貴様は!」
背中からエヴァの飛び蹴りを食らい、床へとダイブする。チャチャゼロは祐の頭を掴んで楽しそうであった。
その後、オーバーヒートを検知した聡美からエヴァの自宅電話に電話が掛かってくる。電話に出た祐が事情を伝えると、なかなかの強さで怒られた。
同時刻、自室でのどかと夕映がテレビから流れるワイドショーを見ている。流れているものは怪獣関連の事であった。
「ふむ、やはりあのカプセルが怪獣を閉じ込めていたのでしょうか?」
「そうなるとあんなに大きな生き物を液体に変えて閉じ込めておいたって事だよね、どうやってやったんだろう?」
カプセルの中に入っていた物が液体である事は少し前から報じられていた。現場の検証で新たにわかった事はカプセルが形状を変え、開いた形で発見されたという事。現在ワイドショーではそこからその液体と怪獣は関連性があるのではないかとの話が繰り広げられていた。
「それも非常に興味深いですが、何より驚くべきはあの光です」
「まさかまた見る事なるなんてね」
「アウトレットの一件といい、謎だらけです…」
そこで何かを思いついた夕映はテーブルに手を置いて勢いよく膝立ちになった。突然の行動にのどかの肩がビクッと震える。
「あれが人の出した物だと仮定するならば、あの時あの場所にその人物が居たという事になります!私達はもしかするとその人物とすれ違っているかもしれません!」
「可能性はあるけど沢山人が居たし、結局何もわからない事に変わりはないんじゃ…」
「何を言うですかのどか、一見何でもないような事から思わぬ事に繋がったりするものです。私達が見逃しているだけで正体を掴むヒントは隠されているのかもしれません」
あの虹色の光に対して自分の親友は心躍らせているようだ。出会った当初は何にも興味を示さない様な目をしていた夕映がこうして目を輝かせているのは、のどかとしては微笑ましいものだった。
「今度は危ない事件じゃなくて、平和にあの光が見れたらいいね」
「確かにそれが一番ですが、出てくるのがいつも事件の時ですからね。悩ましいです」
腕を組んで頭を悩ませる夕映を見てクスッと笑うと、ハルナが机で熱心にノートに何かを書いているのに気が付いた。
「ハルナ~、何書いてるの?」
「新作のアイディアよ!もう溢れ出して止まらないわ!」
「何とも逞しいですね…」
昨日の騒動も制作に対する情熱に変えるハルナを、呆れ半分尊敬半分の目で見る夕映。そこでのどかが時計を見ると既に12時を回っていることに気が付いた。
「そろそろお昼食べよっか」
「今日はどうするですか?」
「そういえば今日超包子がやるとか言われてた気がするわ」
「見てみるです」
作業を続けつつハルナがそう言うと、夕映が超包子の公式SNSを確認する。
「確かにやってますね、行ってみますか?」
「うん、三人で超包子に行くの久しぶりだね」
「そうですね、他の皆さんも来ているかもしれません」
支度をするべく、テレビを消して二人は立ち上がった。
「ハルナ、行くですよ」
「は~い」
伸びをしてペンを置くハルナ。のどかと夕映が支度の為それぞれその場から離れるとハルナも席を立った。
新作のアイディアが書き連ねられたページとは別のページを開く。その絵を見て優しく微笑むとノートを閉じて机の鍵付きの棚へとしまい、支度へ向かった。
「よ~し!今日はたらふく食べるわよ!」
「ほ、ほどほどにね…」
「また太りますよ」
「太ってないわ!て言うかあんた達が食べなさ過ぎなのよ。その証拠にほら、私は栄養が行き届いてるでしょ」
ハルナは自分の胸を両手で下から持ち上げて見せつける。
「「うぐっ」」
のどかと夕映は思わずハルナと同じポーズをとるも、結果まで同じとはいかなかった。
「ちゃんと食べてると思うんだけどなぁ…」
「セ、セクハラですよハルナ!」
「なにぃ?まったく、近頃の子は直ぐ何でもかんでもセクハラセクハラって。セクハラってのはね…こういうのを言うのよ!」
そう言って二人の胸を鷲掴みする。一瞬で二人は顔を赤くした。
「セクハラですっ‼」
「ブハッ!」
夕映のビンタが炸裂し、ハルナは崩れ落ちた。
しまわれたノートのそのページに描かれていたものは祐だった。
詳しく記すなら描かれたのは笑顔を向ける祐の姿。そしてその背後は虹色で彩色を施されていた。
一番好きな章は?
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序章・始まりの光
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幽霊と妖怪と幼馴染と
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たとえ世界が変わっても
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消された一日
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悪魔よふたたび
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眠りの街
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旧友からの言葉
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漢の喧嘩
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生まれた繋がり