出勤前の朝、小林はいつものようにトールが用意してくれた朝食を食べる。その隣には小学校に登校する準備を終えたカンナがおり、同じように食事を取っていた。
なんら変わりのない日常の中で、カンナが熱心にテレビを見ているに気が付く。一緒に暮らすようになった初期の頃に比べて最近は見なくなったその姿に小林は少し懐かしくなったのと同時に、何に興味が惹かれたのかと釣られてテレビに視線を向ける。
[遂に開催まで1ヶ月を切った麻帆良祭に向けて、既に学園都市全体が盛り上がりを見せています!]
そう言えばもうそんな季節だったかと思う。麻帆良学園祭となれば、あの巨大な都市全体がいつも以上に賑やかになる。かつて一度だけ行ったことがあるが、まさに人の波と呼ぶに相応しい程の光景が生まれる恐ろしい集客力だった。
[一般客を最初に迎える大きな門が確認できます。今年の麻帆良祭はどんなものを見せてくれるのでしょうか]
「お〜」
いくらあの学園都市が巨大だからと言って、この規模はやはり普通ではない。まるで大金を掛けた超大型テーマパークだ。カンナはそんな映像に興味津々である。
「なんですかこれ?凄い気合入ってますね」
「まぁ、あそこで一番大きな行事だからねぇ。みんな張り切ってるんだよ」
「この世界の学校っていうのはどこもこうなんですか?」
「ううん、こんなのは麻帆良だけだよ。私達から見ても異様なレベル」
トールからの質問に答えていると、カンナの目は輝きを増していた。すると視線が画面からこちらに移る。その期待するような目に、なんと言われるかの予想は大方ついた。
「小林、これ行きたい」
「やっぱり」
まさに予想通りだったがその気持ちは分かる。画面からも伝わる熱気には、見ている者の興味を引くに充分なものがあった。ましてや普段から様々なことに興味を抱くカンナならそれは尚更だろう。
「凄く楽しそう。それにもしかしたら、あまたもいるかも」
「あまた?…ああ、前に会ったって言ってた子だっけ」
特に後ろめたいことなどないが、なんとなく小声で聞こうとした小林はトールの耳に顔を寄せる。しかし何を勘違いしたか、目を瞑って唇を突き出すトールに冷めた視線を送ってから額を軽く叩いた。
「あたっ」
「キスじゃない。聞きたいことがあったの」
「もう、紛らわしいですね」
「寧ろなんでそうだと思ったのか分からん…」
心底残念といった様子で耳を近づけるトール。好意を持ってくれているのは素直に嬉しいが、生憎恋愛対象としては見ていない。
「その、アマタ君だっけ?カンナちゃんはなんでその子のこと気にしてるか分かる?」
「あ〜…恐らく彼が持っているものが気になってるんじゃないかと」
「持っているものって、何を?」
「…私にも詳しくは分かりません。ただ間違いなく、普通の人間にはない特殊な力を持っています。彼から感じる…感覚と言ったらいいんでしょうか、余りにも周りと違い過ぎて人間かどうかも怪しいです」
「えっと…よく分かんないけどそれって大丈夫なの?」
「周りに害を与えるような印象は受けませんでしたが、正直私は厄介な存在なんじゃないかと思ってます。彼の人間性がどうこうと言うより、あれを持っていることで騒動を呼び寄せると言いますか…そんな感じです」
二人でヒソヒソと話すが、カンナの興味は既にテレビで流れる麻帆良学園の中継に移っている。トールからの印象を聞いた小林は頭を捻った。
「う〜ん…その子自体が悪い子じゃないなら、無理に遠ざけるようなことはしたくないけど」
「まぁ、小林さんならそう言うと思ってました」
何せ自分達の正体を知った上で一緒に暮らしてくれている人だ。相手に対して色眼鏡をかけることなく、その者がどんな相手なのかをしっかりと見た上で判断する。だからこそ彼女に惹かれたのだが、厄介事に巻き込まれてほしくはない。というのを自分が言うのはなんだが、それはこの際一旦置いておく。
「私はお勧めしませんけどね。この国のことわざにもあるじゃないですか、触らぬ神に祟りなしって」
「そんな疫病神みたいに言わなくても…」
「その可能性があるから言ってるんです。自慢じゃないですけど、これでも色々なものを見てきました。そんな私でもあの力は未知のものです。よく分からないものに無闇矢鱈と近づくのは得策ではありません」
「……改めて聞くけど、トールから見てその子はどうだったの?」
「どうって、それは…」
小林から真剣な眼差しを向けられ、無意識にトールは目を逸らした。彼女に対して嘘は言いたくないが、あの青年に感じた本心を言うのはなんだか分からないが気が乗らなかったからだ。
「まぁ、悪人ではないとは思いますけど…」
「そっか。うん、分かった」
微笑んだ小林は横のカンナに顔を向けた。
「それじゃ、開催期間中のどこかで行こっか」
「うん、楽しみ」
言葉だけ聞くとあまり変化はないように感じるが、表情や両手を高く上げる仕草からはその日が待ち遠しいと思っているのが分かる。カンナの頭を優しく撫でる小林を、トールは少し不満げに見た。
「いいんですか小林さん?悪人ではなくても、あれはきっと面倒な類です。自分達からわざわざリスクを犯すようなものですよ」
「そうかもね。でも、知りたいって気持ちはなるべく大切にしてあげたいって思うんだ。いつもその気持ちがいい方向に向かわせてくれるだなんて言わないけどさ」
頭を撫でていた状態から、今度は頬を軽く突きながら言葉を続ける。当のカンナはされるがままだ。
「知らない人も知らないことも、理解しようとするのが分かり合う一歩目でしょ?私達もそうだったんだから」
そう言われてしまうとトールは返す言葉がない。この世界に居続けているのは小林のそばに居たいからだ。それは彼女が好きだからに他ならないのだが、その想いの中にはもっと相手を知りたいという気持ちが多分にある。トール自身はあまり認めたがらないが、知りたいという感情は小林だけでなくその他大勢にも、詳しく言えばこの世界で生きる人々にも向けられているものだった。
知らないこととはある意味知りたいことで、よく分からないからこそ理解したいと思う。その気持ちを否定することなど、少なくとも今のトールには出来ない。
「それに、二人がそんなに興味が湧いた子なら私もちょっと会ってみたいしね。まぁとんでもなく人は多いし、名前しか知らないとなると会えない可能性の方が高いだろうけど」
「別に私は興味なんてありません。寧ろ距離を置きたいぐらいです」
「こらこら…」
拗ねたような顔を見せるトールに苦笑いを浮かべる。彼女が身内以外に対してツンツンしているのはいつものことだ。しかし口ではこう言っているが、きっとトールも少なからず気にはなっているのだろう。本当に興味がないのなら、彼女はそれに対して基本無関心を取る。先程の会話の通り会えない可能性が極めて高いだろうが、そこは運が良ければ程度に思っておこう。久々に訪れることになる麻帆良祭は、二人がいればきっと前よりも楽しめるだろうと少し期待を膨らませる小林であった。
「さて、色々と決まったところで実際の準備に移りましょう」
決定事項などを黒板に書いたネギがクラスに向けて話すと、A組生徒達大半の熱気が上がった。
「おっしゃー!やったるぞー!」
「二年前の自分達を超えてやろうじゃないの!」
「セクシー!」
「だからセクシーは禁止です!」
しれっとセクシーメイド喫茶にしようとするのをあやかが窘める。決定に難航を極めた出し物だったが、なんとかセクシー等は禁止の上でメイド喫茶に決まったのだ。教壇に立つネギとタカミチは苦笑いをする。あくまで優しく宥めるようにタカミチが話し始めた。
「楽しむのはいいんだけどやり過ぎは駄目だぞ~。何せうちは既に色んな所から目を付けられてるからね」
「もう戦いは始まってるんだね!」
「他クラスに会ったら敵だと思え!」
「残念ながら目を付けてるのは他クラスじゃなくて教員のみんなからなんだ」
「この学園に自由はないのか!?」
「我々に表現の自由を!」
「自由は大切だけど、流石に無法地帯にはできないなぁ」
慣れた様子でA組との会話をこなしていくタカミチ。担任歴4年は伊達ではない。常人ならとっくに胃に穴が開いている事だろう。
「ほらほら決まったんなら動かないと。もうそんな時間もないし」
「こりゃ忙しくなるねぇ」
何をするかは決まったものの、やることは山積みである。それに何も学園祭のことだけをやればいいというわけでもない。きっとこれから暫くは、普段以上に忙しない日々が続くのだろう。
「メイド服は全員統一するって決まったけど、それ以外はどうする?」
「あ~、そこで個性出してもいいかもね」
それぞれが班に別れて準備を進めていく中、衣装班が細かい部分を煮詰めていく。クラス内でもファッションに明るい美砂と円、家事が得意で裁縫もその例に漏れない千鶴と天才故衣装作りも出来る超、そしてエヴァが衣装班のメンバーだ。
美砂と円が話し合っているのを横目で見ながら、エヴァが興味なさげにあくびをした。夢の世界で見たエヴァの私服がおしゃれだったので、クラスの意見でこちらの班に入れられたようである。
「ちょいちょいエヴァちゃん、あくびしてないで何か意見出してよ」
「何故私がそんなことを…各々好き勝手にやればいいだろう」
「んじゃエヴァちゃんはスクール水着ね」
「アホか!意味が分からんわ!」
「嫌ならちゃんと意見を出すように」
「チッ!面倒な…」
苛立たし気なエヴァに、千鶴は屈んで目線を合わせた。
「エヴァンジェリンさん、舌打ちなんていけませんよ」
「おい那波千鶴、お前私を子ども扱いしているだろ」
「これで同い年だって言うんだから、見た目って当てになんないわよね」
「うふふ、円さん。この後少しお話に付き合ってもらえないかしら?」
「あ~ヤバ~、地雷踏んだ~」
特に深く考えず発言してしまったことを円が後悔している中、超はタブレットを操作していた。
「あまり変えすぎても統一感が薄れるネ。形は同じにして、ソックスやリボンの色を変えるのはどうカナ?」
そう言いながら液晶画面を見せる。そこには予定されているメイド服を着た明日菜の画像が映っていた。
「え、なにこれ?CG?」
「その通り。こんなこともあろうかとA組全員分のモデルを用意してあるネ」
「またよく分からないもの作ってる…」
さらに操作を行うとモデル選択の画面が現れ、説明通りA組全員が選べるようだった。
「へ~すご。これって着せ替えとかできるの?」
「無論ネ」
美砂が画面を操作してモデルを円に変えると、まず始めに服を脱がした。
「ちょっと!何してんの⁉」
「あはは!ちゃんと下着まで用意してある!」
「作り込みに妥協はないヨ。なんなら下着の脱着まで可能ネ」
「これはプライバシーの侵害だ!」
美砂からタブレットを取り上げようとするが、巧みに躱されるのでなかなか上手くいかない。横の千鶴もタブレットの画面を興味深そうに覗き込んでおり、エヴァも一歩引いてはいるがその視線は画面に向けられていた。
「ただのCGじゃない円、それにお互い裸なんて見慣れてるでしょ?」
「それとこれとは話が別!」
「どれどれ…おお、胸の形もそっくり」
「やめて~!」
悶える円を余所に美砂のエンジンが悪い方向に掛かる。
「この状態で何か着せてみよ。あっ、エプロンあるじゃん」
「あらあら、これはちょっと危険ね」
「イヤ~~!!」
別に学園祭がどうなろうと知ったことではないが、こんな調子だから一向に事が進まないのではないかとエヴァは他人事のように考えていた。
別の場所では聡美が当日使用する道具や内装のデータに目を通している。そんな聡美の見ているものを後ろから覗いていた裕奈は、詳しく見ていても何が何だか分からないので話し掛ける方向に転換した。
「ねぇハカセ、今年は大学の方で何かやるの?」
「今年は軽いお手伝い程度ですね、イベントで使用するロボットの調整とかそのくらいですよ。去年の学園祭後で大学部にはシステム関連に優秀な臨時講師の方が入りましたから、今年はこちらに集中できそうです」
「お~それはよかった。あ、因みにロボットってどんな?」
「人型のロボットですよ。どういったイベントなのかに関しては私も詳しく聞いてません、なんでも当日までのお楽しみとか」
「へぇ~。去年の鬼ごっこみたいなことするのかな」
「去年以上に大量の数を用意しているみたいですし、体感型のイベントになるとは言ってました」
「なるほど、こりゃ楽しみ」
去年の麻帆良学園祭で行われた大学部主催の鬼ごっこ大会は用意されたロボット達から麻帆良学園都市全体をステージとして、時に隠れ時に逃げながら言い渡された任務を遂行するというイベントだった。そのイベントに参加した裕奈は様々な活躍をした為、MVPとして表彰されたのだ。
「まぁどんなイベントであれ、今年のMVPもこの裕奈様が頂くけどね!」
「その前に自分達のクラスの準備をしっかりしてください」
いつの間にか後ろにいたあやかが裕奈を引きずっていく。決して余裕はない状況なので、準備は進める内に進めておかなければならない。
「あ~ん!私MVPなのに!」
「それはうちとは何も関係ありません!」
苦笑いを浮かべながら二人の姿を見送った後、聡美はデータを確認する作業に戻った。
昼休みに祐は気の向くままテラスへとやって来ていた。口笛を吹きながら空いている席に着くと弁当を置く。食事の内容は相変わらずだが、これでも本人からすれば楽しみな時間の一つであった。そのままテーブルに容器を並べていると、横から顔を覗かせる人物が現れる。
「祐君、こんにちは」
「おお、どうも那波さん。こんちは」
軽い挨拶を終えると千鶴は祐の前にやってきて、胸の前に弁当箱を持っ
て見せるようにした。
「ご一緒していいかしら?」
「勿論すよ、どうぞどうぞ」
「ありがと」
笑顔を浮かべた千鶴は同じ席の向かいに座った。思えばあの一件からこうして話すのは初めてかもしれない。そしてやはり気のせいではなく名前呼びになっている。そのことに関して千鶴本人に聞いた方がいいのかやめた方がいいのか、今一祐は判断できなかった。
「あら、やっぱり食べてるものは変わらないのね」
「もう習慣みたいなもんですから。あと楽ですし」
「飽きたりしない?」
「まったく、同じもの食べるのは苦じゃないもんで。那波さんの方は相変わらず華やかですな」
「簡単なものしか入ってないけどね。そうだ祐君」
「はい」
なんとも眩しい笑顔を向けられる。今の会話の中にそこまで笑顔になることなどあっただろうかと不思議に思った。
「祐君は基本的に周りの人を苗字で呼ぶわよね?」
「まぁ、そうですね」
「でも、名前で呼ぶ人もいる。あやか達には勿論だし、ぱっと思いつくところだとハルナさんと風香ちゃん史香ちゃんもそうよね」
「俺のことを名前で呼んでくれる人には、こっちも名前で呼ばせてもらおうかなって〜…」
言いながら何故千鶴が笑顔でこちらを見ているのかなんとなく察しが付き始める。仮にこの予想が違ったのならこんなに恥ずかしいことはないが、今更その程度の恥は気にするものでもない。
「…思ってるんですよ千鶴さん」
「そうなのね、いいと思うわ祐君」
先程よりも柔らかな笑顔が見れたということは、予想は外れではないようだ。一先ず安心したのと同時に、本当に安心していいのかどうかの思考は一旦放棄する。
「取り敢えず、一歩前進ね」
「というと?」
「私達、顔見知りから友達ぐらいにはなれたかなって」
「あれ、俺達友達じゃなかったんですか」
「逢襍佗君はそう思ってくれてた?」
そう返された祐は思わず苦笑いを浮かべてしまう。痛いところを突かれた。ここで誤魔化しても無駄だろう、彼女には見透かされているようだ。
「参った、お手上げです」
祐は両手を上げる。最初に苦笑いをしてしまった時点でどうやっても完敗だ。
「では、今から改めて俺達は友人ということで」
「お手柔らかにね」
「そりゃこっちの台詞ですよ…」
祐が右手を差し出すと千鶴も手を出して握手を交わす。他の同級生のようにはいかない、周りの中でも彼女は特に手強い子だ。分かっていたつもりだったが再認識させられた。そんな千鶴は手を離して食事を取ろうとした矢先、何かに気付いた様子である。
「あら、私ったら飲み物忘れちゃった。ちょっと買ってくるわね」
「了解っす」
近くの自動販売機に向かった千鶴の後ろ姿を見つめた後、ため息をついてからまるで洗顔をするように両手で顔を擦った。
「何やってんだ、しっかりしろよ俺…」
近頃のことを鑑みて、自分は隠し事が得意だというのは考え直さなければならないかもと祐は一人頭を悩ませた。
麻帆良学園大学部の研究室で多くの学生達がパソコンの前で麻帆良祭に向けた作業をしている。その部屋の奥で同じように作業を行う女性に女学生が話し掛けた。
「モデナ先生、少し宜しいですか?」
呼ばれた女性モデナ・ロマーニは眼鏡の位置を直しながら学生に柔らかな表情を向ける。
「何かな?」
「すみません、ちょっと見てもらいたい部分がありまして」
「構わないよ。どれ、拝見しようか」
学生の使っていたパソコンの前に進むモデナの後ろ姿を二人の男子学生が見つめている。
「はぁ、やっぱいいよなモデナ先生」
「臨時講師と言わず、ずっといて欲しい」
聡美が話していた優秀な臨時講師とはモデナのことである。科学一辺倒で服装や髪形などに興味がなくいつも同じ格好の彼女だが、物腰柔らかな性格と整った容姿で直ぐに人気を得た。それと同時に海外の有名大学を卒業したという経歴に違わぬ優秀さに学生達は強い信頼を置いている。
「うん、悪くない。だがこうした方がもっと手間が省けるよ」
「なるほど」
プログラムのデータ内で学生の気になっていた部分へと即座に解決策を見せる。モデナの持っているものは、今までこの業界にて名前が挙がらなかったのが不思議なぐらいの才能だった。
「やっぱり凄いですね先生は」
「ありがとう、だが君達の熱心な姿勢も素晴らしいものだ。設備もそこにいる学生諸君も大変優秀。もっと早くここに来たかったよ」
モデナから見てもこの麻帆良学園は恵まれた場所だった。紆余曲折ありながらも、ここに来れたことは素直に幸運だったと言っていい。
「先生にそう言っていただけて光栄です。私達も、もっと早く先生に会えていたらと思ってましたから」
少し照れながら話す学生の肩に手を置いて優しい笑顔を浮かべる。彼女と接する学生達は、この表情に男女問わず魅力を感じていた。
「嬉しいことを言ってくれるじゃないか。私としてもこんなに毎日が有意義なのは学生の頃以来だよ」
「先生の学生時代ですか…どんな感じだったか聞いても?」
「ん〜そうだね…」
当時を思い出すように目を閉じた後、少し笑ってから答える。
「優秀な恩師に出会えた、人生の転換期だね」
「先生の恩師となると、とても優秀な方なんでしょうね」
「ああ、勿論。そう…とてつもなくね」
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