SAO×バトルフィールド4   作:名無し様

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第十八話

sideキリト

 

 

形勢は完全にヒースクリフ達が有利になっていた。なんせ相手はこのゲームの開発者であり、ソードスキルなども考案した男なのだ。システムに認識された剣技ではすぐ読まれてしまう。

 

 

それに、加えて時折様々な方向からヒースクリフに当たらないように銃弾が飛んでくる。俺は寸での所で回避するがとてもきりがない。

 

 

アスナ「キリトくん…」

 

 

アスナが心配した眼差しを戦闘中の俺へ向けている。

その視線に、気を取られていると上空を旋回していたAH-1Zが機首についている20mm機関砲を撃ってきた。

 

 

咄嗟に、後ろに飛ぶ。しかし、それを待っていたと言わんばかりにM1A2とT-90がHEAT弾を撃ち込む。

 

 

キリト「ガハッ!!」

 

 

狙いこそ外れたが、爆風で吹っ飛ばされる。もう、HPゲージは赤にまで達している。

 

 

だが、俺は諦めずに自分の剣を掴みヒースクリフに突撃する。途中、銃弾が飛んでくるが回避してヒースクリフに攻撃する。

 

 

キリト(ダン達の攻撃は厄介だが、そっちを相手にしていては、勝ち目はない……だったら、こいつを倒すしかない!)

 

 

俺は、ヒースクリフに攻撃を叩き込む。しかし、ヒースクリフはそれら盾でガードする。それに対して俺はさらに剣を振る速度を上げ叩き込む。

 

 

一見、ヒースクリフの防戦一方に見えるが奴はいつでも反撃に出れるように隙をうかがっていた。

 

 

俺は左手の剣を叩き込もうとした。しかし、突然真横から銃弾が飛来して左手の剣を弾き飛ばした。横目で、そちらを見るとそこにはMP412REXを構えたダンがいた。

 

 

茅場「さらばだ、キリトくん。」

 

 

茅場の剣はグリムゾンの光を迸らせ振り下ろされる。

その瞬間、俺の頭の中で声が響いた。

 

 

キリトくんは──私が──守ってみせる───!!

 

 

俺とヒースクリフの間に入り込んできたのはアスナだった。アスナはヒースクリフの斬撃をまじかにくらった。俺は必死に倒れ込むアスナを受け止めた。

 

 

その瞬間、時が止まり過去の出来事がフラッシュバックした。

 

 

 

幸せな時間、二人並んで座っている。

やがて、日が沈み星がちらほら見えてくる。

「少し、眠くなっちゃった……膝、借りるよ。」

それに、微笑み答える。

「あぁ、いいよ……ゆっくりお休み。」

 

 

 

キリト「あぁ……ああ……アスナ………。」

 

 

自分の手の中で、ゆっくりと消えていくアスナをただただ眺める事しかできなかった。

 

 

キリト「嘘だろ………アスナ………こんな……こんなの…。」

 

 

アスナは消える瞬間、ゆっくりと口を動かし俺にしか聞こえないぐらいの声で言った。

 

 

アスナ「ごめんね…………さよなら…………。」

 

 

次の瞬間、アスナは眩くはじけ消滅した。

 

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

sideディマ

 

 

茅場「これは驚いた。麻痺から回復する手段はなかったはずだがな………。こんなことも起きるものなのか。」

 

 

奴は、大げさに手を広げて言った。反対にキリトはまるで全感情が焼き切れ、死んでいるかのごとく動かない。

 

 

俺は、座り込んでいるキリトに近づき後頭部サブウエポンの.44MAGNMUを突きつける。

 

 

ディマ「さっきの話の続きだが、俺達はお前を試すと言った。」

 

 

俺は淡々とキリトに話始めた。ヒースクリフは攻撃はしないがいつでもおとどめを刺せるように、構えている。

 

 

ディマ「それは、いわゆる意志の強さだ。俺達は仲間や祖国のため戦った。時には、大切な仲間を失って負けずに戦った。どんな絶望的な状況だとしても例え自分が死にそうでも戦い続けた。お前は今、大切なものを失って落ち込んでいる。それだったらアスナの死は無駄だったのか考えろ。」

 

 

そう言い、俺は.44MAGNMUの引き金に指をかける。しかし、キリトは変わらず座り込んでいるままだ。

 

 

ディマ「お前は、分かると思ったんだが………。」

 

 

そして.44MAGNMUの引き金をゆっくり引き装填されていた.44MAGNMU弾を発射する。

 

 

その弾丸は、真っ直ぐキリトの後頭部に命中した。弾丸は後頭部から入り左目から出て行くように貫通した。キリトのHPゲージは徐々に減っていくかと思われた。

 

 

しかし、キリトはHPゲージが0になるほんの数瞬前にアスナが所持していた剣を掴み今までとは比べものにならないほど速くこちらを向き右手の剣を叩き込んだ。

 

 

ディマ「グッ!!」

 

 

剣は俺のわき腹を斬り腹の中心辺りで止まった。

 

 

キリト「うおおおおぉぉぉぉ!!!!」

 

 

キリトは右手の剣を手放すと今度はヒースクリフに向かい突撃した。ヒースクリフは焦らずキリトの心臓部分に自分の剣を突き刺す。

 

 

キリト「ガハッ。」

 

 

これで止まるかと思った。が

 

 

キリト「うおおおおおおおおお!!!!」

 

 

キリトは叫びながら諦めず刺さった剣をお構いなしに進みヒースクリフの胸の中心を貫いた。

 

 

まさに、一瞬の出来事であった。

ヒースクリフこと茅場は、刺されているにもも関わらずその顔と穏やかに微笑んでいた。

 

 

そして、キリトと茅場はオブジェクトとなって飛散して散っていった。

 

 

ダン「オイオイ、大丈夫かよそれ……。」

 

 

ディマ「いや、大丈夫じゃない。すぐ救急箱を持ってきてくれ。」

 

 

ギリギリ、体力が残っていて助かった。自分の腹にはまだ剣が刺さったままだがなんとか生きている。

 

 

本当、自分の強運にはいつも驚く。

 

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

sideキリト

 

 

気がついたら俺は不思議な場所にいた。たしか俺は茅場に細剣を刺した後、砕け散ったはず。

 

 

まだ俺はSAOの中にいるのかそれとも死後の世界にでも本当に来てしまったのだろうか?

 

 

自分の体へと視線を落とす。足はもちろんあるし、幽霊が着てそうな白いアレも着ていないし透けてもいない。

装備は茅場と殺りあった時のままだ。

 

 

右手を振ると見慣れたウィンドウが出てくる。あの世とやらがVR対応していないならばここはまだSAOの内部だろう。

 

 

だが、出てきたウィンドウには装備フィギアやメニュー一覧がない。代わりに小さな文字で【最終フェイズ実行中 現在54%完了】と表示されているだけだ。

 

 

俺はてっきり死んだら体が崩壊するのと同時に脳みそを電子レンジにかけられるとばかり思っていたのだが、違うのだろうか?

 

 

肩をすくめてウィンドウを閉じたとき、背後から声がした。

 

 

「……キリト君。」

 

 

そこにはアスナがいた。

俺は少し苦笑いをして

 

 

キリト「ごめん……アスナ。俺も、死んじゃったよ。」

 

 

と言ったが、彼女は

 

 

アスナ「……バカ。」

 

 

と目から大粒の涙をこぼしながら笑った。

 

 

「なかなかに絶景だな。」

 

 

突然、声がしてそちらをむくと茅場晶彦が現れた。ヒースクリフではなく、本来の姿。白い白衣を着た格好だ。

 

 

キリト「あれはどうなっているんだ。」

 

 

茅場「比喩的表現……というべきかな。」

 

 

俺の質問に茅場は、ふっと笑い答えた。そして崩れゆくアインクラッドを見て言った。

 

 

茅場「現在、アーガス本社地下5階に設置されたSAOメインフレームの全記憶装置でデータの完全消去を行っている。あと15分もすれば、この世界の何もかもも消滅するだろう。」

 

 

アスナ「あそこで生きてた人たちは、どうなったの?」

 

 

茅場「心配には及ばない。先ほど生きていた8947人のプレイヤーのログアウトが完了した。キミたちとは話がしたくてね。少し時間を設けさせてもらった。」

 

 

アスナの質問に茅場は淡々と答えた。キリトはタテワキを1度見ると、呟くように訊いた。

 

 

「死んだ連中は、今まで死んだ約1000人の人間はどうなるんだ?1度死んだ俺達みたいに今までに死んだ1000人だって、元の世界に戻すことだってできるんじゃないのか?」

 

 

茅場は1度俺を見ると、また崩れゆくアインクラッドへ視線を戻して言った。

 

 

茅場「キリトくん。そもそも人の命というのはそんな粗末に扱っていいものではない。死んだプレイヤーは還ってこない。それはどの世界でも同じことだ。」

 

 

それには、不思議と腹は立たなかった。

 

 

キリト「なんで、こんなことしたんだ?」

 

 

俺はおそらく全プレイヤーがもしくは全ての人間が感じた疑問を聞いた。

 

 

茅場「なぜ、か。私も長い間忘れていたよ。なぜだろうな。フルダイブ環境システムの開発を知った時、いやその遥か以前から私はあの城を、現実世界のあらゆる枠や法則を超越した世界を創り出すことだけを欲して生きてきた。そして私は……私の世界の法則をも超えるものを見ることができた……」

 

 

茅場は俺とアスナをチラッと見て、またすぐに顔を戻した。

 

 

キリト「子供は次から次へといろいろな夢想をするだろう。空に浮かぶ鉄の城の空想に私がとりつかれたのは何歳の頃だったかな……。その情景だけは、いつまで経っても私の中から去ろうとしなかった。年経るごとにどんどんリアルに大きく広がっていった。この地上から飛び立って、あの城に行きたい……長い、長い間、それが私の唯一の欲求だった。私はねまだ信じているのだよ。どこか別の世界には、本当にあの城が存在するのだと……」

 

 

そう語る茅場。その方をただなんとなく俺は眺めて、そして言った。

 

 

キリト「ああ……。そうだといいな」

 

 

すると、不意に聞き慣れた音が響いた。

 

 

3人はそちらを向く。そこには、ダン達が乗っているUH-1YやAH-1Zなどのヘリ部隊さらに、F-35やA-10、AC-130などの航空機がずらりと並んでいた。

 

 

そして、こちらに向かって来る2人の兵士がやってくる。

 

 

ダン「よぉ、……キリト……アスナ。」

 

 

キリト「ああ……ダン。俺は勝ったぜお前達に。」

 

 

裏切られても怒りは湧かなかった。むしろ、なぜ茅場と手を組んだのかがわかって良かったと思う。

 

 

キリト「ディマ……。俺はあんた達が言いたかったことが理解できたよ。」

 

 

ディマ「そうか……良かった。」

 

 

その後、少しずつ崩れていくアインクラッドを5人で眺めていた。そして、時間が来たのか茅場がこちらを向いた。

 

 

茅場「……言い忘れていたな、ゲームクリアおめでとうキリトくん、アスナくん。──さて、私はそろそろいくよ。」

 

 

そう言い、茅場はかき消されるように消えていった。

 

 

ダン「……そういえば、ゲームクリアの報酬がまだだったな。」

 

 

すると、ダンからメッセージが入ってきた。文は“ゲームクリアおめでとうキリト”でそれにはプレゼントが2つ入っていた。

 

 

ディマ「じゃあな、キリト。またどこかで会えるのを楽しみにしてるぜ。」

 

 

そう言ってダン達はUH-1Yに乗り込み、ゆっくりと上昇して飛んでいった。そして、それに続くように待機していた航空機やヘリが飛んでいった。

 

 

俺はダン達を見送り、アスナとの最後の会話をすることにした。

 

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

sideダン

 

 

ディマ「で、これからどうするんだ?」

 

 

大空を飛んでいるUH-1Y の機内で、俺とディマは今後のことを話した。

 

 

ダン「ゲームクリアの直後に、あの神様からの手紙がきた。なんでも、これから第二の試練とある人物を殺してほしいらしい。」

 

 

ディマ「だがこの世界は消滅するはずだ、どうするんだ?」

 

 

ダン「なんで、別のゲームに送られるらしい。」

 

 

ディマ「どこのだ?」

 

 

ダン「え~っと、“アルベヘイム・オンライン”だとさ。」

 

 

その言葉を出した瞬間、外の景色が一瞬で変わった。

 

 

ディマ「仕事、早すぎるだろ。」

 

 

どうやら、まだまだ俺達の戦いは続きそうだ。




SAO編、これにて閉幕です。

次のALO編は、少し間が空くと思うのでご了承ください。


それでは、ご愛読ありがとうございました。

では、では。
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