sideキリト
サラマンダーの集団が半分に減った所で、連中の動きが止まり全員が先程、サラマンダーの大将であるユージーン将軍と戦闘機が飛んでいった方向に目を向けて何やら動揺している。
サラマンダーA「まさか、……。」
サラマンダーB「ユージーン将軍が………。」
サラマンダーC「嘘だろ………。」
サラマンダー達は口々にユージーン将軍がやられたと言っている。おそらく、彼らの頼みの綱のような人だったのだろう。
すると、どこからともなく複数のヘリが編隊を組んでこちらに近づいてきた。先程まで呆然としていたリーファ達はそれにハッと反応して剣を抜く。
すぐ戦う事ができるように羽で飛び立てる準備をしているプレイヤーもいる。そのまま、ヘリは自分達の近くに着陸して中から銃を持った兵士が複数出てきた。
シルフのプレイヤー達はそれに警戒しているが、残ったサラマンダーのプレイヤー達はその場に呆然と突っ立ているのがみえる。
すると、兵士たちの中からこれまた見覚えのある人が降りてきた。あのデスゲームで2年近く共に戦い続けた仲であり、とても頼もしい仲間である。
その人は彼らの大将的な存在である、ダンだった。
side out
sideダン
AH-1Z ヴァイパーとUH-1Y ヴェノムの編隊で優雅に登場したが、まぁ予想通りの反応だ。少なくとも、このファンタジーな世界に似合わない装備を持っていたら誰でも警戒はする。
ダン「え~っと、すまないが武器を下ろしてくれないだろうか?」
俺がシルフとケットシーのプレイヤー達に剣を下ろさせるように説得し始める。
サクヤ「……君、説明してもらえる?」
すると、シルフのプレイヤー達の内の1人が俺向かって話かけてきた。おそらく、周りの反応からしてシルフの領主であろう。
ダン「そうだな………。どこから話すか………。」
顎に手を当てて考え込んだ。こうなると、どのあたりから話すべきなのかが悩ましい。
未だに、レッカー達を殺した奴がその辺りにいる可能性が高いのだ。我々に攻撃してくるという事は何かしらの理由があると考えていい。
それに、レッカー達を殺すとなるとかなりの手練れだと考えられる。あまり可笑しな行動はしない方が良いと考えられる。
ダン「まず、我々はこの世界の住人ではない。それは理解してくれ。」
嘘は言っていない。
これは、キリトのようにSAOで共に戦った人間は俺達がSAOの中にいたと知っているがここは別のゲーム。
この言葉は、いわゆるゲーム中の設定として受け止めるのが普通であるはずだ。
ダン「俺達はある日突然、この世界にとばされた。……いや召喚されたが正しいだろう。」
ここからは、ゲームでの俺達の設定を立てる為に大半が嘘で固められた情報であるが致し方ない。
ダン「俺達を召喚したメイジが、この世界の事を詳しく説明してくれた。この世界の中心に生えている世界樹の頂上に妖精の王オベイロンとアルフが平和に暮らしていた。…………だが、ある日突然悪魔が現れアルフ達を皆殺しにした。そして、妖精の王オベイロンとその妻ティターニヤを利用してこの世界を支配しようとしている。」
最初の内に話すのは、いわゆるこの世界での俺達の設定である。こうしておくことでれっきとしたコンピューターと言うのをプレイヤー達に植え付けておくのだ。
ダン「その時、アルフ達の中で最も優れたメイジとやらが命からがらその場から逃げ出し、そしてどこかもわからん森のど真ん中で俺達を召喚したのだ。」
サクヤ「そのメイジとやらはどうしたのだ?姿は見えないのだが……。」
ダン「残念ながら、メイジは俺達を召喚した後、悪魔の手下とやらに殺された………。」
今回の最大の目標は、プレイヤーであるSAO未帰還者と違法転生者を殺害して[神]の元に戻す事である。
キリトは、アスナ達SAO未帰還者の救出が目的であるから、 途中までは行動するだろうから共に戦った方が効率が良い。
ただ、問題が違法転生者の強さがいまいち分からない。
容姿や特殊な強さは[神]からの情報でよく伝わってはいる。しかし、未だに俺達はその違法転生者を一度も見たことがないので殺害する事は難しいと俺は考えている。
ダン「メイジは言った。……俺達は、この世界に呼ばれた最後の希望だと………。捕らわれの王とその妻を救ってくれ。そう、言っていた。」
プレイヤー達「…………。」
サクヤ「君の話はよくわかった………。ただ、いくつか気になるのだが、その……悪魔……とやらは、何なのだ?」
ダン「………それは……!」
すると、いきなり上空から1人のプレイヤーが猛烈な勢いで切りかかってきた。俺はなんとか、横によけてやり過ごした。
そのプレイヤーは、俺がよけた事に舌打ちして先程まで俺が立っていた場所に着地した。よく見ると、そのプレイヤーはサラマンダーである事が分かった。
サラマンダーのプレイヤーは、先程まで戦っていたユージーン将軍率いるサラマンダー達とは全く違う装備をしている。
まるで、いかにも勇者の装備ですといつのがひしひしと伝わってくるような鎧。
手に持っている剣は、黄金のような色をした神々しい雰囲気を纏った不思議な剣。
??「見つけた、見つけた。気持ち悪い奴らがいた。」
顔はおそらく町中で出会ったら女性が思わず二度見してしまうような美形。男性であることが声からわかった。
俺は、その場で確信した。
雰囲気や先程の言動、さらに先程からちらちらとシルフやケットシーのプレイヤー、……主に女性のプレイヤーを欲情したような目でみている。
こいつが、違法転生者。
……いや、……ただの糞野郎だという事がすぐ、その場で確信できた。