キミと僕の最後の戦場、あるいは至高の世界が始まる聖戦 作:大海空青
初めてですがよろしければ読んでください
第一話
ある日、人は星の内層に眠る力を得た。力の名を星霊《せいれい》と言い、星霊を宿し星霊エネルギーの力を得た人々を星霊使いと言う。
彼らは超常の能力を振るい、そうでない者はその力を恐れた。そして彼らを魔女・魔人と呼んで迫害する。
その迫害に反逆した大魔女ネビュリス——始祖と呼ばれる星霊使いが帝国の首都を火の海に変え、星霊使いの国を作り上げてから百年。
軍事国家であり『機械仕掛けの理想郷』と呼ばれる帝国、そして帝国人が魔女と呼ぶ星霊使いが暮らす『全ての魔女の楽園』ネビュリス皇庁。
その二大国の戦争は、今でも続いている。
これは、そんな国に生まれた黒鋼の後継と呼ばれる剣士と氷禍の魔女と呼ばれる王女の宿命の戦いの歴史である。
「はあー、いよいよね。燐」
そう言って、金髪の少女は従者に話しかける。
「はい、アリス様。もうまもなくです。気を引き締めてください。」
風によってなびく明るい左右に分けた茶髪と共に 従者は少女の方を向く。
金髪の少女の名は、
アリスリーゼ・ルゥ・ネビュリス九世—
王衣を羽織った見目麗しい少女だった。
光輝く金髪は清流のように風に流れ、紅玉色の瞳は意志の強さを感じさせる。
肌は真珠のように透き通り、整った目鼻立ちと血色の良い唇や頬の紅色が気品ある雰囲気を醸し出している。
その隣の従者の名は、
燐・ヴィスポーズ。
ネビュリス王家に仕えてきている一族の少女。王家の娘であるアリスの側近であり、唯一の話し相手でもある。
「今回、私は何をするのだったかしら?」
「帝国の兵器の破壊です。ユベル北方前線は帝国と皇庁がしのぎを削っている場所。ここを制せれば、打倒帝国に一歩近づく。だからこそ女王陛下はアリス様を派遣なさったのです。」
「そうだったわね。でも前線突破してそのまま帝国を攻めてはダメなのかしら?」
「アリス様のはやる気持ちも分かりますが、初めての戦場です。帝国がどんな兵器を備えているか分からない以上、慎重にいくべきです」
微苦笑で一人突き進もうとするアリスに応じる。
やがて二人を乗せる怪鳥の上で、アリスは強い意志を秘めた声で高らかに宣言した。
「この戦場で私の存在を帝国にしらしめる。そして、私が帝国を打倒して、侵略も迫害もない世界を作る。それまで負けるわけにはいかない。
そうしてアリスは戦場へと降り立った。
「魔女がこちらに来るな。何者だ」
「悪いけど、あいにく貴方達帝国人に名乗る名はないわ。私の理想のための礎になりなさい」
すると帝国兵数人が銃を発砲するより先に凍ってしまった。
「ぐっ……なんだと!?︎」
「あらごめんなさい。少し力を入れすぎたようね」
と口では言うものの、アリスの顔には反省の色はなかった。
「さすがはアリス様ですね。こんなに早く敵を倒してしまうなんて」
「当たり前よ。なんといっても私は星霊使い最強と言われているからね!」
アリスは自信満々な顔で言う。しかしそれは強がりではなく事実であった。
彼女は星霊使いとして生まれながら、王家の中でも類稀なる才能を持って生まれた。
彼女が宿すのは『氷花』の星霊。
星霊によって一瞬で帝国兵を凍らせたのだった。
「それにしても今回は簡単に終わったわね」
「はい、アリス様の実力があれば当然の結果ですよ」
と燐は言う。だが内心は違っていた。
(おかしい……)
アリスは強い。それも異常なほどに強い。
しかし、今回の戦闘においてあまりにも早すぎると思ったのだ。
(いくらなんでも相手が弱すぎる。まさか、これが帝国の新型兵器?)
その時だった。
轟音が鳴り響いた
「危ない!アリス様」
「っ!」
そして爆炎がたちのぼる
「目標への着弾を確認」
「どうだ!帝国の長距離砲は」
アリスたちに放たれた兵器は星霊術を喰らうことがないよう数キロ先の距離から放つことができる物
実はアリスがやってきたときにやられた帝国兵がやられるまでの間に基地に連絡を入れていた
しかし、
「全く、やってくれるじゃない」
爆炎からでてきたアリスたちは無傷だった
星霊の自動防衛
星霊の宿主に危険が迫るときその身を守るために発動する
基地にいた者達は驚きをあらわにした
星霊の自動防衛が発動したとしても長距離砲は並の星霊使いならば大怪我は免れないほどの威力なのだ
それを防ぎきったのだから
彼らは自分たちが相手にしている者の強さを思い知る
「危なかったわ。これが噂の兵器かしら。よくもやってくれたわね。せっかくの機会よ、私の本気見せてあげる」
『大氷禍《だいひょうか》』
ービシッー
あたり一面霧に覆われた
次の瞬間、「世界」そのものが真っ青に輝く氷に閉ざされた
「これは、星霊術?だが、ここまで強力なものなど見たことがないぞ」
「おい見ろ、周りが凍ってるぞ。まるで氷河期のようだ」
「バカな、ありえない」
「まさか、純血種?ありえない、たった一人の魔女ごときに我々が負けるなど」
「くそ、撤退だ。総員退避しろ」
「逃がさないわよ。私の理想のために犠牲になってもらうわ」
アリスは両手を地面につける
「凍れ」
辺り一面が凍結し、帝国兵は全員氷の中に閉じ込めてしまった
「これでよしっと。ね
「お疲れ様です。アリス様。見事な戦いぶりでした」
「まあ、あれぐらい朝飯前よ。でも思ったよりも簡単に倒せたわね」
「はい。やはりアリス様に敵う者はいないようです。帝国兵も無能ですね」
「そうね。これなら帝国もすぐに潰せるかもしれないわ」
「これはすごいものだな」
突如、背後から声が聞こえた
「誰なの!」
「失礼、私は『至高』の魔人
見たところネビュリス皇庁の姫とその従者で合ってるかい。」
そこにいたのは全身黒装束の者だった
声は機械で変えているのか中性的で性別がわからなかった
「皇庁の星霊使いの前で『魔人』を名乗るとはどういうつもりかしら」
アリスは星霊使いにとっての蔑称を自ら名乗ったことが理解できなかった
「どういうつもりかと言われても、皇庁に敵対するものは皇庁でも蔑称で呼ぶのでしょう。名乗っても意味がないではないですか」
「貴様、帝国についた裏切り者か!」
それを聞くと燐は叫んだ
「違いますよ、私は運命と理に抗うために帝国と皇庁に宣戦布告しに来たのです。まあ貴女が帝国兵を全員倒してしまって帝国にするのはまた今度になりますが」
「ふざけたことを抜かすな。そんなこと信じられるわけないだろう」
「そうですね。信じなくても構いません。私は私の正義を貫くだけですから」
「なんですって!私が貴方みたいな奴に負けるはずないじゃない!」
アリスは怒りに任せて攻撃するが、相手は軽く避けてしまう
「さすがは星霊使い最強と言われるだけはありますね。では私も少しだけ本気でいきましょう」
そういうと至高の魔人は手を上にかざす
「『光恵《こうけい》の雨』」
すると空から光の粒が落ちてきて、それはまるで流星のように降り注ぐ
「何よこの攻撃、なんでこんなものが降ってくるのよ!」
そして次々と光がアリスに向かっていく
「『氷禍《ひょうか》・千枚《せんまい》の棘吹雪《とげふぶき》』」
アリスは星霊術で周囲の氷から剣を次々と生成するが、氷の剣の生成速度を上回る速さで飛んでくるため防ぎきれない
「きゃぁああ」
「アリス様!」
「くっ、油断したわ。まさかこれほどの力を持っているなんて」
「今のは挨拶代わりですよ」
「貴様、よくもアリス様を!!」
燐が土の星霊で巨人像を生成しその拳が振り下ろされた
「無駄です」
しかし至高の魔人の姿はなかった
「どこに行った!この卑怯者がー」
「感情的になるとはなんと未熟な。もう少し冷静に戦わなければ」
至高の魔人は燐の後ろに立ちナイフを首元に当てていた
「いつのまに⁉︎」
「これで終わりです。私の勝ちですね」
そして、そのままナイフを振り下ろした
「やめなさい!」
その瞬間、アリスの星霊術が二人の間に割って入った
「ほう、まだ動けましたか。でもこれ以上動くのは危険だと思いますよ」
「うるさいわね、黙りなさいよ」
「まあいいでしょう。今日は宣戦布告のついでに自らの力を測りにきただけですから。それに貴女たちに勝利したところで私の目的は果たせないのだから」
「待ちなさい。逃げる気?」
「ええ、今これ以上戦う理由もないのでね。私はただベアトリクスのような悲劇を現実にしたくない亡霊ですよ」
「待て、お前の目的は何だ」
「そうですね、簡単に言うなら私の願いはたった一つ、愛する者の幸せそれだけですよ」
そういうと至高の魔人はその場から消えてしまった
「消えた?いったいどうなっているんだ。」
「わからないわ。でもあいつの目的がわかっただけでも収穫ね」
「はいアリス様。あの者は危険です。早く倒すべき敵です」
「わかってるわよ。でも、まずは怪我の治療をしなくちゃね」
「はい、お任せください。すぐに皇庁で治療しましょう。」
それから二人は巨大な怪鳥を呼び寄せ皇庁へと帰った。
これがのちにアリスが『氷禍』の魔女、黒装束の者が『至光』の魔人として呼ばれ帝国を震撼させる者たちの戦いだった。
いかがでしょうか
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