寒さの厳しい1月のトレーニングコース。
そこでは春から始まるクラシック戦線を目指し、多くのクラシック級ウマ娘(男)たちが練習に励んでいた。
私もそんな厳しい練習に励んでいるウマ娘(男)の一人である。
ーーー
ゴールドシップ「…」←目を瞑って耳に手をあてている
パジャマ「いや、そう言うなら練習しろや!」
ゴールドシップ「…」
パジャマ「おい!ゴルシ!練習しろやお前!」
ゴールドシップ「うるさいな、今私は野々村議員の練習をしているんだよ。邪魔するんじゃないよ。」
パジャマ「古っ!なんで今野々村議員なんだよ!?旬じゃねぇだろ!」
ゴールドシップ「旬とか旬じゃないとか私には関係ないよ!私にとっては今が旬なんだよ!あそこのシーン面白いよね。命がけでホホホホーン!」
メジロマックイーン「相変わらず朝から何の生産性もない話をして…お2人とも暇なんですか?」
パジャマ「ちげーよ!マックイーン、聞いてくれよ。ゴルシがなんか野々村議員の動画がどうとか…」
ゴールドシップ「何言ってるんだよ、野々村議員の動画を教えてくれたのはコイツだよ。」
メジロマックイーン「そうです、私ですわ。あの方は面白くないですか?泣きながら何言ってるのかわかんないんですよ。」
ナリタブライアン「お前も生産性のない話に加わってんじゃねーよマックイーン!」
ゴールドシップ「うるさいなあ、生産性生産性ってロボットじゃあるまいし。大体、生産性のある話ってなんだよ?」
ナリタブライアン「パチンコの話に決まってんじゃねぇかよ。」
ゴールドシップ「お前正気かよ。」
パジャマ「はぁ…」
今日も今日とてチームシリウスは馬鹿な会話をしているチームであった。そんな俺たちにとんでもない奴が新人として入ってくる。今回はそんな話である。
ーーー
俺はチームシリウスのメンバーをほったらかしレース場に足を運ぶことにした。
エアグルーヴ「貴様は確かシリウスのトレーナー…」
パジャマ「うわ!?びっくりした!なんだよお前?」
エアグルーヴ「私はエアグルーヴ、生徒会の副会長をしている。名前ぐらいは聞いたことあるだろう?」
パジャマ「聞いたことないけどな…」
エアグルーヴ「あるかないかを聞いてるわけではない。仮にあったとしてもなかったとしても、私にとってはどうでもいい。私の知名度は大して変わらない。あるかないかの話をしてるつもりはないし、今日はスズカのレースを見に来た。お前は何しにここに来た?サイレンススズカのレースを見に来たんじゃないのか?」
パジャマ「違ぇよ!うちのやつらと一緒にいたらIQが下がるから仕方なくレース見に来たんだよ。」
実況『サイレンススズカ、先頭でゴール!
デビュー戦を勝利で飾りました!』
エアグルーヴ「さすがスズカ、あいつは速すぎる…」
パジャマ「アイツ今度俺のチームに入るんだよな。」
エアグルーヴ「!?」
パジャマ「なんだよ、そのあからさまな嫌な顔は?」
エアグルーヴ「…お前のところには1人新人が入ったと聞いているけど?」
パジャマ「アイツは今保留中。食費が月2000万かかるからさ…俺じゃ育成できねぇよ。」
ーーー
サイレンススズカ「(展開、位置取り、ペース配分、芝の状態に天候…)今日のレースもまだまだ課題があったでござる。もっと強くならなければ…気を引き締めねば!」
スペシャルウィーク「サイレントスズカさんだ!」
サイレンススズカ「え?何?曲者?辻斬り?」
スペシャルウィーク「うおぉぉ!サイレントスズカさんだ!本物じゃけぇ!こげなところで会えるなんて運命感じるべ!運命感じるべ!」
サイレンススズカ「(サイレントではなくサイレンススズカなんだけど…)某、拙者のことを存じておるのか?」
スペシャルウィーク「この前のレース見たよ!すげぇ走りしたな!お前すげぇな!うぅぅぅ!田舎から出てきてクソみてえな毎日過ごしてたけど、おめぇの走り見て感動したよ。おめぇ何て名前…あー、そっか!サイレントスズカって名前だったな!」
サイレンススズカ「(だからサイレントじゃなくてサイレンススズカなんだけど…)」
スペシュルウィーク「名前忘れちゃってた。んですっかりファンになっちゃった!すんまそん、あの、私田舎人だから独り言が多いから…あんまり人と会話するの苦手なんだよね。えっと、何だっけ?えっと私の名前はですね…サイレント…じゃなかった!何て名前だっけ私?」
サイレンススズカ「其方の名前は私は知らぬ。」
スペシャルウィーク「あ!前日からトレセン学園に転入してきたスペシャルウィークって言います。よろしゅう!」
ーーー
翌日…
スペシャルウィーク「う♪う♪うう~♪」
サイレンススズカ「スペ殿、そんなにはしゃがないでくだされ。ところでスペ殿はチームシリウスのメンバーでござろう?」
スペシャルウィーク「この前意気揚々と入ったんだけどさ、1月に2000万食費がかかるって知ったら私のトレーナーやめるって言ってさ、全然取り合ってくれないんだよな。」
サイレンススズカ「!?」
パジャマ「…」←通りすがり
スペシャルウィーク「たかだか2000万の食費が辛いなんて、あのトレーナーマジでクズでゴミでどうしようもねえよな。田んぼにいるヤモリの方がまだ使えるよ。」クルッ
パジャマ「…」
スペシャルウィーク「…。本当あのトレーナーダメだよねアイツ。多分育ち悪いよ。きっと野イチゴ食べて育った…」
パジャマ「おい、スペシャルウィーク!悪口続けてんじゃねぇよ!」
スペシャルウィーク「おお、いたのけ。オーラなさすぎて気づかなかった。」
パジャマ「嘘つけ!1回目が合っただろうが!」
サイレンススズカ「育ちの悪さが出ておりますぞ。こやつが私の専属になるとは…これは切腹ものでござる。拙者の自己紹介もしておくでござるか。
やあやあ、我こそは、生まれは北海道沙流郡日高町稲原牧場生まれ。
父はサンデーサイレンス、母はワキア。
幼少期から父上から厳格に育てられ品格を保ち、強気武士として生きよと言われ幾年。
我こそ、サイレンス…」
パジャマ「長い!自己紹介が長い!戦国時代の武士じゃないんだから、自己紹介はもっと短くしろって!」
スペシャルウィーク「こんにちは、私スペシャルウィークって言います!」
パジャマ「お前は知ってるよ!黙っとけ食いしん坊!」
ーーー
スペシャルウィークのデビュー戦の日が来た。
実況『ゼッケン6番スペシャルウィーク出遅れを巻き返すように、第3コーナー手前からロングスパート!
追い上げる追い上げる!
ここでスペシャルウィークが先頭に立った!
スペシャルウィークどうした?
スペシャルウィークが立ち止まり、何と手を振っている!?』
スペシャルウィーク「みてください、スズカさん!私1着だよ!」
パジャマ「おいスペ!お前何している?お前はレース中に立ち止まるのか!?」
実況『おぉと、どうやらゴール位置を間違えたようです。
その後に高速が次々とスペシャルウィークをかわす!』
スペシャルウィーク「!!!」
ーーー
スペシャルウィーク「あの改めて…どうもスペシャルウィークって言います。よろしくお願いします。」
ウイニングチケット「新メンバーのスペシャルウィークちゃんだね?よろしく、チケゾーって言います。」
ゴールドシップ「(この二人の声色似ているな。)」
スペシャルウィーク「よろしゅうお願いします。いやー、パジャマトレーナーがようやく私のこと育成してくれるそうで、今までずっと無視されてたんだよね。食費2000万かかるからってビビりやがってコノヤロー。ほんとムカつく、ムカつく、ムカつく…」
ゴールドシップ「お前が新しく入ってきた壊していいおもちゃだね?じゃあ早速だけど何して遊ぶ?」
スペシャルウィーク「おもちゃじゃねえよ。私どう見ても生きてるでしょ。あ、でも遊ぶならかくれんぼがいいな。私隠れるのが得意なんだよね!昔、友達と朝からかくれんぼしようって隠れてたんだけど、みんなずっと私のこと見つけられずにさ、気が付いたら夜になっていたことあるんだよね。みんな帰ってた。」
ゴールドシップ「そんな幼少期の暗い話、誰が喋れつった!まぁいい、精神力が弱そうだから、私は精神を鍛えてやろう。ちょっと頭の中見せて。」
スペシャルウィーク「おっとっと!やめて!痛い!痛い痛いよ!私の頭取れないよ!」
ビリビリ
スペシャルウィーク「痛い、痛いよ~」
ぷにぷにぷに
スペシャルウィーク「やめろやめろ!なんか出てるよ~」
サイレンススズカ「…騒がしいでござる。まるで頭の悪い野伏でござる。」
………
ゴールドシップ「はい、それではゴルシさんの歌に合わせてスクワットして強くなろうよ!」
スペシャルウィーク「んだ!」
メジロマックイーン「早くしなさい。」
ゴールドシップ「いくよ?せーの!
熊の子見ていたかくれんぼ♪お尻を出した子1等賞♪夕やけこやけでまた明日♪また明日♪
いいな、ういンナー♪ウインナーて美味しいね♪みんなで仲良くウインナー食べよう♪暖かい布団でウインナー食べよ♪
僕も私~、ウインナー食べたい♪ウイン♪ウイン♪ウインナーでシャウエッセン♪
フウゥーー!!」
メジロマックイーン「ちょっとゴルシ!そのふざけた歌なんですの?気持ちが悪いですわ!」
サイレンススズカ「先ほどからあの連中…世迷い事ばかり…。このチームに入ったのは間違いではないのか?」
ーーー
後日、サイレンススズカの日本ダービーにて…
実況『上位人気のサイレンススズカ、今回は手控え9着に敗れました!』
サイレンススズカ「あの者のせいだ…あの歌が頭から離れない…」
ゴールドシップ『熊の子見ていたかくれんぼ~♪』
………
日本ダービー後…
スペシャルウィーク「なんだスズカさん?あんま集中力ねぇんだな。そんな訳わかんねぇ歌忘れろよ。」
サイレンススズカ「考えぬようにしてるでござるが…逆に頭に浮かんでくるでござる…」
スペシャルウィーク「そういうことか。私も四六時中飯食うことしか考えてないから、それと似たような感じだよね。」
サイレンススズカ「全然違うでござる。」
スペシャルウィーク「ところでスズカさんは何のために走ってんだ?」
サイレンススズカ「分からぬでござる。ただ…走ることが好きででござる。何のために走ってるのか拙者は…拙者は何のために走ればいいのでござるか…己と向き合っても答えは出ぬ。」
スペシャルウィーク「そげなこと私に聞かれても分かんねぇよ。ただ、馬鹿みたいに走って勝てばいいんださ!」
パジャマ「スズカ、聞く相手間違ってるぞ。こんな空っぽのやつに聞いてもしょうがねぇよ。」
サイレンススズカ「いや、戯れ言だと一蹴することもないぞ。何も考えずにただ走る。そう、拙者!走ってる時こそ拙者は拙者でいられるのかもしれぬ。これぞアイデンティーティーというものかもしれぬ。」
パジャマ「いや、お前何言ってんだよ?」
スペシャルウィーク「そうそう、それそれ!あれだよ、アイデンチ〇チ〇だよ!」
パジャマ「チ〇チ〇じゃねぇよ!アイデンティティだよ!」
スペシャルウィーク「何言ってんだよ?チ〇チ〇もティティも一緒じゃねえかよ!」
パジャマ「一緒じゃねぇよ!お前な…」
サイレンススズカ「フフフ…」
ーーー
ウイニングチケット「なるほどね!走ることこそが自分自身っていう答えを見つけ出したんだねサイレンススズカ!いわゆるアイデンテゥインテゥインだね。」
スペシャルウィーク「私のアドバイスからスズカさんのアイデンチ〇チ〇が見つかってよかったよ~」
パジャマ「お前らさっきから二人同時に喋ってんじゃねぇよ!何喋ってるかほとんど分かんねぇよ!」
サイレンススズカ「こうしてはおらぬ…拙者、練習するでござる!」
ライスシャワー「おいおい!あれが噂の侍ガールかよ。」
ゴールドシップ「そうだよ。喋り方が武士のくせにちょんまげじゃねえんだよ。役作りが本当適当だよね。」
………
エアグルーヴ「走る目的を見つけたって聞いたけどお前の目的は何だ?」
サイレンススズカ「拙者が拙者であるためにただ走り続ける。それがアイデンティーティー。アイデンティーティーのために…」
エアグルーヴ「…ちょっと何言ってるか分からないからもう一度言ってくれないか?」
サイレンススズカ「拙者が拙者であるためにただ走り続ける…それがアイデンティーティー…」
エアグルーヴ「もういい。2回聞いても何言ってるかわからなかったから、それ以上喋らないでくれ。」
サイレンススズカ「ちょっと待つでござる!お主理解してござらんだろ?ちゃんとわかって欲しいでござる!」
エアグループ「分かる分からないもないよ。そんなことよりも分かったことがある。」
サイレンススズカ「え?は?分かったか分かってないかどっちでござるか?」
エアグルーヴ「だから分かったか分かったでないかの話はどうでもいいよ。ただ1つ、分かったことがある。」
サイレンススズカ「いや、だから!分かったか分かっておらんのかどっちで…!」
エアグルーヴ「だから分かったか分かってないかなんかそんな話はどうでもいいよ!ただ1つ…分かったことがある!」
サイレンススズカ「…」
エアグルーヴ「明日のレース、多分私はお前に負けることはない。」
サイレンススズカ「片腹痛いわ。勝つのは拙者でござる!」
ーーー
そして天皇賞(秋)…
実況『わずかに外のエアグルーヴが1着ゴール!
エアグルーヴ見事にG1の舞台を制しました。』
サイレンススズカ「負けたでござる…フフフフフ!」
パジャマ「笑ってんじゃねぇよ、もっと悔しがれよ。負けたことに対して!」
第13話………完