司会者『それでは皆様、今年もメジロ家の活躍をお祈りするとともに、本日の新年会を楽しくお過ごしください。』
パチパチパチ
ゴールドシップ「おぉ!これがメジロ家の毎年行われる、如何わしいパーティーか!?くぅ!たまんねぇな!」
メジロマックイーン「…」
ゴールドシップ「とりあえずおいしそうな食べ物を一口ずつかじって堪能しよう♪」
メジロマックイーン「はしゃいでるところ申し訳ないんですけど…私はなぜあなたがここにいるのかわかりませんわ!メジロ家の新年会ですのよ、ここは。」
ゴールドシップ「細かいこといちいち言うなよ~、また太るぞ?ストレスで。そんな事よりもさぁ、最高級のご馳走を食べさせてよ!このパーティー会場にいっぱいあるんだろう、ご馳走?とにかく最高級のシャウエッセンを私は食べたいんだよ!どこ?どこ?シャウエッセン?…シャウ、シャウ、シャウエッセン♪」
メジロマックイーン「シャウエッセンならご自宅でも食べられるでしょうが…」
メジロライアン「なんだマックイーン来てたんだ?太ったから気付かなかったよ。」
メジロマックイーン「太ってませんわよ!それよりライアン、久しぶりですわね。いつぶりでしたっけ?えーと…あ、そうそう。私にレースで負けた時以来ですわ。」
メジロドーベル「出会って早々、香ばしい口喧嘩するんじゃないわよ。」
メジロライアン「アハハ!メジロ家だからって仲良くする必要はないでしょ。レースの上では敵同士なんだしさぁ。」
新手のメジロ「そうそう、メジロ家だからって仲良くする必要はありませんわよね↑私もそう思いますわ↑」
メジロドーベル「え?ちょっと待って、誰こいつ?テンションがちょっと醜い。」
新手のメジロ「ヤダわ―↑お忘れになって?私、メジロブライト。マックイーン様、ドーベル、ご機嫌よう↑」
メジロマックイーン「ちょっと待ってくださいませ。こんなキチガイみたいなやつがメジロ家にいましたっけ?」
メジロブライト「この前までずっと病気を患っておりまして↑病院にいたんですわ↑」
メジロマックイーン「まだ病気治ってませんでしょう?もう一度入院した方がよろしいんじゃありませんか?」
メジロブライト「ようやく陽のあたる場所に出てくることができました↑病気も寛解してやっとレースに出場することができましたわ↑覚えておいてくださいませ、マックイーンお姉様~↑」
メジロマックイーン「だからまだ病気治ってませんわよ。きっと脳に障害があるんですわ。」
メジロライアン「まぁまぁ、マックイーン。挑発はそれぐらいにして…それよりブライトはスペシャルウィークと同じ階級で走ることになったんだ。今度スペシャルウィークとのレース楽しみにしているよ。」
メジロブライト「早くスペシャルウィークさんと会いとうございます↑」
メジロマックイーン「スペシャルウィークさんと…ですか。まぁあの子、今それどころじゃありませんけどね…」ボソッ
メジロドーベル「それどころじゃない?どういうこと?」
メジロマックイーン「いえ、何でもありませんわ…」
ーーー
どうもパジャマトレーナーです。年が明け、俺たちチームシリウスのメンバー(マックイーンとゴルシを除く)はとある神社に来ていた。
サイレンススズカ「チケゾー殿?本当にここの神社はお祈りをすれば何でも願いが叶うでござるか?」
ウイニングチケット「私に聞くなよ、知らねぇよ。」
パジャマ「しょうがねぇだろ!最後は神頼みだ!何やっても無駄だったんだから…おい、スペ終わったか?」
スペシャルウィーク「終わりました!ばっちり願掛けしましたよ、皆さん。」
ライスシャワー「おい、やっぱり元に戻ってねえじゃねえかよ!どうすんだよトレーナー!」
パジャマ「やっぱりダメか…くそ~…どうしよ。」
何故来たか…それは先日、スペの様子がおかしくなったからだ。具体的にどういう風になったかと言うと…
ーーー
スペシャルウィーク『ス、ス、スス、スズカさんですよね?スズカさん!』
サイレンスズカ『え?え?何事でござる?』
スペシャルウィーク『いえ、ただ、直接見るのは初めてなので…』
サイレンスズカ『何を言ってるでござるか?毎日会ってるでござろう。』
スペシャルウィーク『うぉうぉ~、私と同じ私と同じ…ウマ娘(男)さんと初めて出会って、興奮しちゃって…すごいですね…ああぁぁ~!しゅしゅしゅ…すいません、じろじろ見ちゃって…アハハ。ところで聞きたいんですけど…私って誰ですか?』
サイレンススズカ『は?』
ーーー
スペは今までの記憶を一切なくして、現在記憶喪失状態である。原因は何故なのか分からないが、今までのことを全て忘れてしまっていた。
ライスシャワー「1回トンカチか何かで頭ぶっ叩いたら記憶戻るかもしれないぞ?やってみるか?」
スペシャルウィーク「んだ。」
パジャマ「やらんでいいわ!死ぬわボケ!」
記憶喪失となったスペだが、このままレースに出ないというわけにもいかず、予定されていたレースにとりあえず出てもらった。もちろん結果は散々たるものでほとんど負けてしまった。今までの走り方を忘れてしまったようだ。
スペシャルウィーク「記憶が戻らねぇと私、出ても負け続けるだけですよ。」
ライスシャワー「そうだよな~、今のお前本当に使いもんにならねぇもんな~。ラクダが走った方がまだマシだよ。」
ナリタブライアン「記憶をなくした時は思い出の場所に一度足を運んでみるのもいいかもしんねぇぞ。何かのはずみで思い出すかもしれない。」
ウイニングチケット「だったらいい事思いついたよ!スペちゃんてさぁ、昔母親に川から捨てられたんだよね?だったらさぁ、もう一度川から捨てせてあげるから、放り投げてあげるからさ、やってみない?川からもう一度放り投げて流されたらさ…」
ライスシャワー「お前それ殺人未遂じゃねぇかよ!そんなことしたらダメだろ!ダメだけど…ダメだけど…ちょっと見てみたい!見てみたいなぁ…♪」
サイレンススズカ「思い出の…場所…でござるか。」
ーーー
スペはその後も記憶を取り戻す方法を探っていた。
エルコンドルパサー「スペシャルウィーク、キオクケツジョ。ノウミソ、ナイ。ワタシ、オモイダシテ、アゲサセテアゲル!ドウヤッタラ、オモイダス?オシエテ!」
スペシャルウィーク「いやいや、そんなの私が知りてぇよ、教えてよ。」
グラスワンダー「…、…。……。」ボソッ
エルコンドルパサー「グラスワンダー?ボリューム、アゲテ!」
グラスワンダー「……。……、……。」ボソッ
スペシャルウィーク「なんでさっきよりも声小っちゃくなってんだよ!2人ともおっかしな奴だな…まともに喋れるやつはいねえのか?私のクラスメイト変な奴ばっかり…」
………
場所は変わって食堂…
セイウンスカイ「へぇ~、記憶を失くしたんだw面白いことになってるねwそういう言い訳するの私好きだよ~w」
スペシャルウィーク「言い訳じゃないですよ!朝起きたら…自分のこと!全部!忘れてたんですよ!教えてください!ショウウンスカイさん!」
セイウンスカイ「いや、ショウウンスカイじゃないよ、セイウンスカイだよw人の名前間違えないでくれるw」
ーーー
結局、記憶を戻す手がかりがないまま夜になったためスペは自室へと戻った。
もみもみもみ
スペシャルウィーク「あのスズカさん?なんでいつも私の足揉んでくれるんですか?もしかして私たちってそういう関係だったんですか?」
サイレンススズカ「何を今更言ってるでござる…そういう関係でござる。」
スペシャルウィーク「う、嘘!?嘘でしょ…!」
サイレンススズカ「何を勘違いしてるでござる。練習で疲れた時はお互いに足を揉み合う。体を触りあった関係でござる。」
スペシャルウィーク「だからそういう関係でしょ!?あの…あの…どこまでいったの?体の関係は…」
サイレンススズカ「スペ殿は記憶を戻したいでござるか?」
スペシャルウィーク「いや、変な記憶は戻したくねぇよ!その体を触りあった記憶は…」
サイレンススズカ「スペ殿が例え記憶を失ったままでも拙者にとってはスペ殿は大事な友達でござる。」
スペシャルウィーク「さすが体をまさぐり合った友達は言うことが違うな。」
サイレンススズカ「スペ殿がいなければ…スペ殿と出会ってなければ…今の拙者はいないでござる。スペ殿とはいい思い出しかないでござる。」
スペシャルウィーク「そんなに私達っていい思い出しかない友達だったの?」
サイレンススズカ「いやそんなことないでござる。悪い思い出の方が多かったでござる。」
スペシャルウィーク「どっちだよ!」
サイレンススズカ「冗談でござる。」
ーーー
翌日よりスペはスズカと共に思い出の場所巡りを始めた。
サイレンススズカ「ヒッヒッフゥ…スペ殿、ここが拙者たちが通っていたトレセン学園でござる。っていないでござる!どこに行ったでござる!?」
スペシャルウィーク「ちょっとスズカさん速いよ~、私動くの嫌い嫌いなんだよ、私運動嫌いなんだよ…もう少しゆっくり歩いてよ。」
サイレンススズカ「いやいや!拙者たち走るのが仕事でござるよ!」
スペシャルウィーク「私達ってコスプレ好きなYouTuberじゃないの?ここYouTuber学校じゃないの?」
サイレンススズカ「何を今更戯れ言を申しておるでござるか…拙者達はレースをして、勝ち抜いて、強くなるウマ娘(男)でござる。」
スペシャルウィーク「そんな…私たちって人間とは異なり馬の耳や馬の尻尾、そして驚異的な身体能力を持っている"神秘的な種族"だったんだ。…通りでおかしいと思ったよ。尻尾とか耳ついてるし… これ、全然取れないし、これコスプレじゃないんだぁ。あああ…私って人間じゃないんだぁ…」
サイレンススズカ「え?今更でござるか!?ってかこの前レースに出てたでござろう?どういう気持ちでレースに出てたでござるか?なんで今更それに気付いて驚いてるんでござるか?ちょっとスペ殿!?」
………
スペシャルウィーク「さっきはすいません、びっくりして…!見てくださいスズカさん!頭のでかい馬鹿がいる!」
サイレンススズカ「(ビワハヤヒデ殿を見ているでござるな…)」
スペシャルウィーク「あれ何ですか?あの馬鹿?」
エアグルーヴ「そいつが噂の記憶喪失のスペシャルウィークか…見た所テンションが高いな。本当に記憶を失っているのか?」モゴモゴ
スペシャルウィーク「何だ?モゴモゴしたしゃべり方をして…おめぇの口の中マウスピースでも入れてんのか?」
エアグルーヴ「マウスピースなんか入れてない!何だこの失礼なやつ、おいスズカ!こいつ記憶をなくして失礼なやつになったんじゃないのか?」モゴモゴ
スペシャルウィーク「すいません、喋り方が変だからマウスピース付けてるかと思ったけど元からなんだ…じゃあアレですか?太りすぎて脂肪が口の中につきすぎて喋れなくなってるんですか?」
エアグルーヴ「太ってないわ!おいスズカ!コイツ記憶無くして超失礼な奴になってるじゃないか!どうなってるんだ?」モゴモゴ
サイレンススズカ「安心するでござる。スペ殿のは元からこんな感じでござる。変わってはおらぬ。」
ーーー
同時刻、場所は変わって練習場、マックイーンが1人自主トレをしており、そこへライアンとブライトがやって来た。
メジロライアン「あっ、マックイーン!」
メジロマックイーン「ー!おや、まぁ2人とも…敵前視察ですか?精が出ますわね。」
メジロブライト「聞いたぜ↑聞いたぜ♪スペシャルウィーク記憶喪失何だって?かぁ↑堪んねぇな!」
メジロライアン「最近のレース負けまくってるのって記憶喪失のせい?」
メジロマックイーン「えぇ、そうですわ。昔の走り方を忘れてしまったようですねの。」
メジロライアン「ブライトと戦う時までに記憶喪失治ってるといいね。まぁでも、治っていようがいまいが勝負は勝負。負けた時の言い訳考えておきなよ。」
メジロマックイーン「あぁん!?何が言いたいんですの?」
メジロブライト「私と戦う時、記憶喪失が原因で負けました、何てそんな恥ずかしいわけやめてくださいませ↑どんな理由があれ勝負は勝負!私に負けるつもりはありませんから!」
ーーー
それはスペが記憶喪失になる以前のこと…
実況『スペシャルウィーク、シニア級屈指のステイヤー、メジロブライトとの壮絶な叩き合いを制しました!
これがダービーウマ娘(男)の実力!
次はいよいよ大舞台となる天皇賞(春)です!』
メジロブライト『…!』
ーーー
メジロライアン「ブライトはスペシャルウィークに借りを返さないといけないんだ。だから次のレースで死ぬ気で戦うから…よろしく。」
メジロブライト「でもまぁ↑このままいけば記憶喪失のまま走ることになるんですわよね↑」
メジロマックイーン「メジロ家のくせに、もっと上品に挑発していただけませんか?はしたない。」
メジロライアン「はいはい、ご忠告承りました~、じゃあね~また。」
メジロブライト「失礼いたしますわ↑」
メジロマックイーン「何ですかね…腹立ってきましたわ。スペシャルウィークさんには勝ってもらわないと困りますわね!」
ーーー
そして、チームシリウスの練習が始まった。
ウイニングチケット「よーし!今日はどんな拷問して記憶を取り戻す実験する~?」
ゴールドシップ「暴力はいけないよチケゾー。コンプライアンスに反する…ここは優しいショック療法で記憶を取り戻してあげよう!」
ウイニングチケット「いいねいいね♪狭い箱の中に10時間ぐらいぶち込んでさ、閉じ込めたらさ、もしかしたら記憶が戻るかもしれないよ!恐怖で記憶が戻るかも…」
スペシャルウィーク「それがいいかもしれませんね。じゃあやりましょうか。」
ゴルシ&チケゾー『いやツッコめよ!』
ゴールドシップ「おい!スペが全然ツっコんでくれないぞ!全部お前のせいだからなチケゾー!」
ウイニングチケット「なんで私のせいなんだよ!知らないよ!スペちゃんがツッコまないのは私のせいじゃないよ!」
ゴールドシップ「いやお前のせいだ!罰としてお前が狭い箱の中に10時間ぐらい入れ!」
ウイニングチケット「なんで私が入らないといけないんだよ?スペちゃんのために5秒で考えたことなんだよ!」
ゴールドシップ「知らねぇよ!お前が言い出したんだろうが!お前が入れ!お前が10時間くらい入って記憶取り戻せばいいじゃないか!」
ウイニングチケット「いや!私は記憶無くしてな…ううぅぅー!」
サイレンススズカ「記憶を失くしたばかりか、自信も失くしてしまったようでござるな。」
メジロマックイーン「ここ最近のレースは連敗続きですからね。さすがに堪えているのでしょう…ですが!スペシャルウィークさんには次のレース勝ってもらわなければ困ります。あのふざけた2人をブチのめしてもらわないと…」
パジャマ「いやマックイーン?無理言うなって…アイツ記憶失くしてんだぞ?」
サイレンススズカ「記憶は失くしても、スペ殿はスペ殿でござる。」
パジャマ「え?あぁ…そうだけど…」
とりあえず練習を始めることにした。
サイレンススズカ「…!」ダッ
スペシャルウィーク「スズカさん速いな…あんな人と私は友達だったのか…。そうだよな…身体をまさぐり合った仲って言ったもんな。このまま私が記憶を取り戻さないと…スズカさん…私に呆れて、もう友達やめてしまうかもしれねぇな…。それは…嫌だな…」
第19話………完