とある山奥にひっそりと小さな魔法使いがいました。
しかし、魔法使いはうまく魔法を使うことができませんでした。
いつも失敗ばかりしていました。
失敗の原因は分かっていました。それは臆病な気持ちです。
魔法使いはいつも怖がっていました。
全力で魔法を使えば体が壊れてしまうんじゃないか?死んでしまうんじゃないか?
過去にそういう経験をしたことがあったのでそれはトラウマのように彼女の心に深く根付いていました…
そんなある夜、外の世界が描かれた絵本を月明かりを頼りに読みました。
その絵本の中には外の世界を魔法で明るく照らし、人々に勇気や希望を与える魔法使いのことが描かれていました。
私もこうなりたい魔法つかいはそう思いました。そして…
ーーー
メジロマックイーン「へっ、へっ、へっ、へっ…グヘー…」
ゴールドシップ「いや~、やっぱりいつ見てもマックイーンは気持ち悪いよね?なんであいつ走る時にあんな獣みたいな声出すんだろうね?普通にふっ、ふっ、ふっ、ふっ、でいいのにさぁ…なんかおっさんが走ってるだけだもんね。ん?なんだあの右にいる奴は?」
パジャマ「新しく入ってくれたライスシャワーって子だよ。」
ゴールドシップ「へぇ~、そうなの。 てかあいつ片目隠して走りにくくないのかな?あ、もしかしてあれかな。両目になったら覚醒するとかいう中二病的な設定?」
メジロマックイーン「ふっ、ふっ、ふぅ…ちょっとちょっとゴールドシップさん。また私の悪口を言ってましたわよね?聞こえてましたわよ。」
ゴールドシップ「悪口なんて言ってないよ。ただ気持ち悪いって言っただけだよ。」
メジロマックイーン「それを悪口って言うのですよ!」
ライスシャワー「はぁ、はぁ、はー…」
ゴールドシップ「おぉ!新人君、何て名前だっけ?えーと、お米ちゃんだっけ?」
ライスシャワー「あぁ!?人の名前間違ってんじゃねぇよ!ライスシャワーつうんだよ!」
ゴールドシップ「あ!ごめんごめん、ごはんちゃんだね。んで、ごはんちゃん頑張ってる?」
ライスシャワー「だからライスシャワーつってんだろうが!お前急に馴れ馴れしいな。何だよ?」
ゴールドシップ「おぉ!何こいつ。めっちゃ口悪いじゃん。めっちゃ弄り甲斐があるね、お前。GOODだよ、その感じ!」bb
ライスシャワー「うるさいなぁ、耳元でギャーギャー叫ぶな!耳障りだよ!」
ゴールドシップ「おぅ、苦しゅうない!かかってこい!ぶっ殺してやるよ。」bb
メジロマックイーン「ゴールドシップさん、新人の子に急に喧嘩売るんじゃありませんよ。あなたは本当にデリカシーがないですわね。」
ゴールドシップ「胸がない奴に言われたくないよ。」
メジロマックイーン「胸がないのは関係ないでしょうが!あなたは本当に一言言えば二言三言返してくる~!」
ゴールドシップ「返してあげないと素敵な会話にならないじゃん。君もそう思うでしょ、ごはんちゃん?」
ライスシャワー「知らんがな。」
新しいメンバーのライスシャワーが入ってチームシリウスはより一層活気付いてきた。ただ、このライスシャワーには少しいろいろ問題がある。元々この子が入った理由が…
ーーー
ライスシャワー『あの…走るのが好きで、でも、あの、ずっと勝てなくて…そんな時ままままままな板マックイーンさんのレース見て…ライスも勝ちたいんです!だからチームに…入れろや!!』
ーーー
そう、口が悪い。ただ根はいい子なので無下にはできない。それに何か不思議な力を持ってるような気がして、チームシリウスのメンバーに入れた。この子が頑張って勝ってくれれば、俺の借金も減るし、チームシリウスも活気づくし、いいこと尽くめ間違い無しだ。
練習開始
ライスシャワー「まままままな板マックイーンさんについていけばいいのかな?」
メジロマックイーン「あのね、あなた私に憧れて入ってきたんじゃありませんの?人の名前ぐらいちゃんと覚えなさいよ、私の名前はメジロマック………もういいですわ、いちいち訂正するのに疲れました。とにかくメジロ家で最強のこの私についてきなさい。」
ライスシャワー「えーと、嫌だって言ったら?」
メジロマックイーン「結論から言いますけど…殺しますわ!」
ライスシャワー「ついていきます。」
ーーー
そしてライスシャワーのデビュー戦…ゴールドシップは焼きそばを売っていた。まな板マックイーンのまな板で焼いた焼きそばとかどうのこうの言っているが…まぁ、無視でいいや。
ライスシャワー「(よし、大丈夫大丈夫。…あれが、今乗りに乗ってるミホノブルボンって人か。 アイツが私のライバルか…)」
ミホノブルボン「…」
実況『スタートしました。勢いよく飛び出したミホノブルボン。
他のウマ娘を一気にかわして、先頭に立ちます!」
ミホノブルボン「…」
ライスシャワー「(えっ?ちょっと待って!早すぎない?え?早い…え?ちょっと!?)」
実況『1番人気ミホノブルボンがレースを引っ張る形!
2番人気のライスシャワーは4番手!」
ライスシャワー「(ここから!もっともっともっと!もっともっともっと!もっともっともっと…あれ?おかしいな?あれー?)」
実況『ミホノブルボン先頭のまま、各ウマ娘(男)が第2コーナーを回って向こう正面へと入っていきます!』
ミホノブルボン「…」
ライスシャワー「(あぁぁ!うそーー!!)」
実況『ミホノブルボン、影も踏まさずゴールイン!
これで無傷の7連勝っ!
3冠ウマ娘(男)へ向けての視界は良好です!』
ライスシャワー「はぁ…はぁ…」
ミホノブルボン「…」じろっ
ーーー
数日後
ウマ娘A「ミホノブルボンさん!握手してください!』
ウマ娘B「私も、サインしてください!」
ゴールドシップ「私も私もサイン…あ、サインはいらないわ。じゃあ握手して…あ、握手もいらないねぇな…。とりあえず、あなたを見つめておくね♪」
ミホノブルボン「サインの邪魔なので、どこかへ行ってもらえませんか?気持ちが悪いので。」
ゴールドシップ「おぅいいね♪ちょうどいいリアクションだよ!もっと頑張れば面白い…」
ピンポンパンポーン
校内放送(マックイーン)『ゴールドシップさん、今すぐチームシリウスの部室に来て下さい。各所から今日も20件以上のクレームが入っております。早く戻ってきてくださいませ。』
ミホノブルボン「呼ばれてますよ。」
ゴールドシップ「…」
………
ゴールドシップ「聞いてよ聞いてよ!ブルボンに会ってきたんだけどさぁ、あいつ大したことないよ。」
ライスシャワー「大したことないなら、何でライスは負けたんだよ、説明しろ!」
メジロマックイーン「あなたの情報はあてになりません。」
ゴールドシップ「とにかくごはんちゃんがブルボンに勝つためには、まずその華奢な体をなんとかしないといけないよね?とにかくいっぱいご飯食べてブクブク太れ。」
ライスシャワー「ブクブク太ったら逆に走れなくなるじゃねぇかよ!力士でもなれってのかよ!」
メジロマックイーン「だがしかし…たくさん食べて体を鍛えることは悪いことではございませんわ。ブクブク太らなくても、ある程度体つきを良くすればもう少し早く走れる可能性だってありますわ。ゴールドシップさんの言ってることも一概に間違いではありませんよ。」
ゴールドシップ「おい、マックイーン。そんなこと言ったって、いっぱい食べたって胸は大きくならないよ。」
メジロマックイーン「誰も胸の話なんか言ってませんわよ!あ~腹立つ~!」
ライスシャワー「と、とにかくトレーニングして食べて、トレーニングして食べて、トレーニングして食べたら…あのミホノブルボンに勝てるんだな?やってやろうじゃないか!この野郎!」
ゴールドシップ「おぉ、やる気出てきたな!よし、じゃあ、みんなで明日遊園地行こうよ!遊びつくそうぜ!」
メジロマックイーン「トレーニングしろや!」
ゴールドシップ「そんな怒るなよ。なんだよマックイーンお前…顔がまな板みたいになってるぞ?」
メジロマックイーン「まな板みたいになんかなってま…」
ーーー
チームシリウスは遊園地に来ていた。
ライスシャワー「あー!ここが遊園地なんだすごい!ねぇ、ゆるキャラいない?ゆるキャラ?ゆるキャラの中の人見たい!めっちゃ見たい中の人!」
メジロマックイーン「トレーナーさん?何でトレーニングの話をしたのに遊園地に来るんですか?ゴールドシップさんの戯言なんて聞かなくていいですわよ。」
パジャマ「違う違う。根詰めてトレーニングしたって良い結果は出ないよ。こういう時はね、息抜きが必要なんだよ息抜きが。俺も競馬で負け続けた時というのは、あえてさ、競馬から離れるんだよね。そんで離れた上で、もう一度競馬に入ると勝つことができる。」
メジロマックイーン「あなたのギャンブルの話は聞いていませんわよ。ってか、あなたギャンブルで借金したからここにいるんでしょうが!」
ゴールドシップ「おいおい、あっちにさぁ、鏡の迷路っていうアトラクションがあったからさ、あそこに行こうよ!中にある鏡全部ぶっ壊そうぜ!」
メジロマックイーン「ちょ、ちょっと!あなた何そのイカれた行動を取ろうとしていますの!」
ライスシャワー「とりあえずゆるキャラ探そうぜ!」
パジャマ「ライス?ゆるキャラはいないよ。」
………
俺たちは遊園地のアトラクションを色々と楽しんだ。もう夕方になってきた辺りでライスシャワーが声をかけてきた。
ライスシャワー「あのね…トレーナーさん。さっきね…ゆるキャラじゃなくて、この遊園地の着ぐるみがいたんだけどね …その中身に何がいるか知ってる?」
パジャマ「え?いやー、知らないなあ~。ってか知りたくないよ。」
ライスシャワー「すんごい暑苦しそうにね…あの、50過ぎのおじさ…」
パジャマ「言わなくていいよ!言うな!やめろ!言わなくていい!夢を壊すな!」
興奮するライスシャワーをとりあえず落ち着かせるために俺は観覧車に乗った。
ライスシャワー「ねぇ、パジャマ。」
パジャマ「え?呼び捨て?」
ライスシャワー「なんでライスをチームシリウスに入れたの?」
パジャマ「え?勘だな。」
ライスシャワー「勘で私を入れるとか、頭うまぴょいなんだね。」
パジャマ「うまぴょい?」
ライスシャワー「ライスね、いつもレースでは、怪我しないように必死で走ってるんだ。」
パジャマ「え?まあ、怪我はしない方がいいよな。」
ライスシャワー「パジャマ怪我したことある?」
パジャマ「無いこと無いけど、今日も逆剥けしてんだよな、右手が。右手の親指が逆剥け…」
ライスシャワー「逆剥けの話は興味ないからしなくていい。あのね、ライスね…ケガするの滅茶苦茶怖いの。ケガしたらさぁ…死んじゃうじゃん?」
パジャマ「死ぬぐらいのケガは…」
ライスシャワー「死んでもう生きられないじゃん。ライスこのチームに入るまでたくさんケガしたんだ。たくさんケガしてこのままじゃ死んじゃうと思ってさ、だからケガしないように必死でレース走ってるんだ!気をつけなよパジャマも、いつケガするかわからない。もしかしたらこの観覧車も風で揺れて落ちて、私たちはそのまま落下して死ぬかもしれない。落下して死ななくとも、落下した場所に車が走ってきて、その車と観覧車がぶつかって死ぬかもしれない。」
パジャマ「なんだよ、その車のかもしれない運転みたいな。お前それ妄想が過ぎるだろう。」
ライスシャワー「そういう事言ってる奴が一番死ぬんだぞ!危ないやつめ!」
………
観覧車から降りると周りは完全に夜になっていた。
ゴールドシップ「いやー楽しかったね。お化け屋敷のお化け驚かすの最高!そうは思わないかい、ごはんちゃん?」
ライスシャワー「思わねぇよ!あと馴れ馴れしく話しかけてきてんじゃねぇよ!私お前にまだ心開いてないからな!」
メジロマックイーン「そうですわよライスさん。ゴールドシップさんには心を開かない方がいいですわよ。身のために。」
ゴールドシップ「なぁに!?私めっちゃ嫌われてるじゃん♪…え?やめて、ほんとにやめて、私ヘコむよ?」
ーーー
そして、今日も今日とてライスシャワーのトレーニングに日が続く。
ゴールドシップ「やっぱりさぁ~、ライスシャワーって名前よりも"ごはんですよ"って名前の方がカッコよくない?」
パジャマ「ゴールドシップ、ふざけてるところ悪いんだけど、ケガしたら死んでしまうなんてそんな…深く考えるものかな?」
ゴールドシップ「は?なに言ってんだよお前?ぶん殴るぞこの野郎!」
パジャマ「なんで殴るんだよ!…ライスシャワーがケガするのめっちゃ怖がってんだよ。」
ゴールドシップ「ふ~ん、なるほどね~…知らね!」
パジャマ「知らないっておい!」
ゴールドシップ「別にいいんじゃないの?私もケガするの怖ぇし。ウマ娘(男)にとってケガってのはある意味死に直結する可能性も無きにしも非ずだしさぁ。慎重になることは悪いことじゃないんじゃない?お前気にしすぎなんだよ、借金トレーナーが。」
グキン
ライスシャワー「あ!まな、まな板マックイーンさんが転んでケガした!」
ゴールドシップ「おい、ライスじゃなくてマックイーンが怪我したぞ。」
急いで保健室へと運んだ。
………
メジロマックイーン「はぁ、まったくまったく。とんだヘマをやらかしましたわ…反省。」
パジャマ「ケガの具合は?」
メジロマックイーン「次のレースは無理ですわね。しばらく安静にしておかないと…」
ライスシャワー「ケガは危ないんだよ。何してんのさバカ!まな板マックイーンさんが死んじゃったらどうするんだよ!もっともっと気をつけなくちゃいけないじゃないか!」
マックイーン「お、お、おう…どうしました ?」
ライスシャワー「まったくこれだから、本当にもう…体を大切にしない奴は滅びてしまえ!」
バタン
ライスシャワーは保健室のドアを激しく叩き出ていってしまった。
メジロマックイーン「えぇ…ライスシャワーさん何があったんですの?虫の居所が悪かったんですの?」
パジャマ「いや、実はな…」
マックイーンにライスについて話した。
………
メジロマックイーン「なるほどそういうことですか…素晴らしい!!」
パジャマ「え!?」
メジロマックイーン「素晴らしいじゃないですか!メジロ家の教訓に入れたいぐらいですわ。ケガを恐れるのは大事なことですからね。ウマ娘(男)にとってケガというのは死に直結すると言われれば確かにそうかもしれません。あの子なんて素晴らしい子ですの!いいですわ、私のケガが治るまであの子に私のテクニックをミッチリと教えてさしあげましょう。次のレースであの子に必ず勝たせてみせます!」
パジャマ「ええぇぇ!!」
第4話………完