『日本ダービー』
最も歴史と伝統、そして栄誉のあるこのレースには一生に一度しか出走が叶わない。それがいかに残酷なことか…
事実、数多の名ウマ娘(男)がその夢の前に敗れてきた。全てのウマ娘…いやウマ娘じゃなかった、ウマ娘(男)の夢、その頂点に立つのが、ダービーウマ娘(男)だ。
そして、その日本ダービーに…出るために…必要なことは…
ゴールドシップ「特にない!」
メジロマックイーン「ありますわよ!」
ゴールドシップ「じゃあ、馬刺しを食べること!」
メジロマックイーン「いやそれ共食いじゃないですか!」
ゴールドシップ「うるさいな、日本ダービーに出るならそれぐらいしないとダメだろ。一流のウマ娘(男)となれば馬刺しの1つや2つ食べるだろうが。」
メジロマックイーン「やはりこの方は一度病院で診てもらった方が良くないですか?考え方がマジでサイコパスなんですけど…」
ゴールドシップ「そういえばもうすぐ聖蹄祭でしょ?お祭りじゃん?お祭りにさぁ、私特製の馬刺し焼きそば作るからさぁ、みんなで一緒に配ろう!」
メジロマックイーン「ダメだコイツ…早くなんとかしないと。」
ゴールドシップ「というわけで、極上の馬刺しを用意しといてよな~パジャマ。」
メジロマックイーン「思考回路が狂人のそれですわ。もうあなたが馬刺しになればいいじゃない。」
ゴールドシップ「親友に向かって馬刺しになれって…マックイーン、お前まじサイコパスだな。」
メジロマックイーン「あなたに言われたくありませんわよ!」
ガチャ
たづな「あぁトレーナーさん~、こちらでしたか~。」
パジャマ「ど、ど、どうか、ど、どうかしましたか、た、た、たづなさんん?」ガクガク
たづな「最悪のニュースですよ!パジャマさんの借金が変わらず全然減ってないので、新しいウマ娘(男)をまた担当してもらいます。頑張ってくださいね♪ゴミクズ♪」
そして俺は強制的に新しい担当を任されることになった。
ーーー
言われた所に行くと多分新しく担当するであろうウマ娘(男)が先日のライスシャワーの優勝レースを見ていた。
新しいウマ娘(男)「おぉ~、すげぇなライスシャワー!ケガを恐れず頑張って…何とか勝ち上がったんだな。うぅ…感動するよ。私もそれぐらい強いウマ娘(男)になりたいにゃあ。うううう~、ヤバい興奮してきたら蕁麻疹が出てきた…うう、ヤバい…」
パジャマ「なんだこの気色悪い喋り方をした奴は?コイツが俺の担当のウマ娘(男)か?」
新しいウマ娘(男)「うう?もしかして、たづなさんが言ってたあのトレーナー?借金まみれのトレーナー?おぉ~はじめまして、私ウイニングチケットって言います!うう!」
ウイニングチケット「わざわざ来てくれたところ悪いんだけど、私にトレーナーは必要ないよ、だから帰っていいよ!」
パジャマ「は?必要ない?何でだよ?」
ウイニングチケット「うるしゃいなぁ、私はトレーナーなんかいなくても1人でウマ娘(男)として走ることができるんだよ!うう、だから邪魔なんだよ!いらないよ~」
パジャマ「ちょちょちょ、お前何なんだよ?」
ウイニングチケット「それでね、私の夢は『日本ダービー』、日本ダービーで1着になってですね…優勝することなんだ。それ以外は何も考えていにゃい。それ以外は全てゴミだ!」
パジャマ「ゴミじゃねぇよ!大事なレースだよ!…何で日本ダービーしか見てねぇんだよ?」
………
気がつけば周りは暗くなっていた。
ウイニングチケット「いやー、私としたことがこんな長々とこんな時間まで喋っちゃった。ダービーのこととなるとね、いつも熱くなっちゃって興奮して蕁麻疹が出るんだよね…ふふっ。んで周りの人を殴っちゃうんだ。」
パジャマ「何で殴るんだよ!?」
ウイニングチケット「ダービーに出て絶対勝つ!先輩に負けないドラマを作るのが私の夢なんだ~うう!」
パジャマ「あ、やべ…会話になってない。会話できる気がしねぇコイツと。」
ウイニングチケット「あー、そうそう。それでさ、私のことはチケゾーって呼んで。チケゾーでいいよ。それであなたのことは何て呼べばいいかな?んーと…ピッコロでいいや。」
パジャマ「なんでやねん!」
………
俺はたづなさんにウイニングチケットの担当から外れたいとお願いしに行った。
たづな「えぇ~、ウイニングチケットさんの担当嫌ですって~?何でですかまた~、困った人ですね~」
パジャマ「なんか嫌だ!」
たづな「もうぶっ殺しますよ~?まぁ、あの子のことはまだわからないと思うのでとりあえず、あの子を昔担当していたトレーナーさんのインタビューを見てみてください。どういう人があの子のトレーナーをしていたか、少しは分かるんじゃないですか?」
ーーー
たづなさんに言われ、ウイニングチケットの先代トレーナーのインタビューをみることにした。
ウイングチケット「コンコンコン!おいピッコロ、ピッコロいるか?あ、ピッコロじゃねぇ!パジャマいるか?お?おぅ、いたな~おい…?」ガチャ
アナウンサー『これまでの功績を称えての受賞となりましたが、それを聞いた時のお気持ちはどうでしたか?』
先代トレーナー『そりゃ嬉しかったですが、本当に自分が受賞していいのか…とも思いました。ダービーに関しては誰も勝たせてやれなかったわけですし。やっぱりレースに携わる者として、勝ちたかったですよ。最高の栄誉と呼ばれているダービーで…』
パジャマ「何でこの人お前のトレーナーから外れたんだよ?」
ウイニングチケット「仕方ないよ、死んじゃったから。」
パジャマ「はぁ!?」
ウイニングチケット「亡くなった人間にトレーナーをしてなんて頼めにゃいでしょ?このじじいトレーナーが死んでから大変だったんだよ。訳のわからないトレーナーが私の担当になるとか言われてしゃ…全員そいつら断ってやったよ。私のトレーナーはこのじじいだけだからしゃ…私は一人で走る!」
パジャマ「あぁ…亡くなられたのか…悪かったな…」
ウイニングチケット「おぉ!もっと気にしろや。私の心抉りやがって、この野郎!」
パジャマ「なんかムカつくな。」
ウイニングチケット「死んだトレーナーはさぁ、めちゃくちゃ厳しい人でしゃ、バカみたいに私に練習させるんだよね。本当いつかぶっ殺してやろうかと思ったんだよ。そしたら私がぶっ殺す前にあの世に行っちまってさぁ、私はもう…あいつをブン殴れないんだよね。」
パジャマ「もしかして日本ダービーで優勝したいっていう夢…」
ウイニングチケット「そうだよ約束なんだ!3人で一緒に日本ダービーに出て、そして私が一着になる!」
パジャマ「3人?」
ウイニングチケット「詳しいことはまた説明するから。それよりさぁ、私のトラウマを蘇らせたんだから…土下座しろよ土下座!ほら、今ここで土下座しろ!私今心が乱れてるから、ほら♪」
パジャマ「何で土下座なんかしないといけなんだよ。ってお前キラキラした目でこっちを見るな!」
ーーー
加入したウイニングチケットはチームシリウスのメンバーに挨拶と自己紹介をした。
ウイニングチケット「きょ、今日からチームシリウスに入ることになったウイニングチケットと言いましゅ。あ、でもトレーナーはいりましぇん。一人で走りましゅ。」
ゴールドシップ「おいなんだこいつ、何喋ってるか全然わかんねぇぞ。おいお前、口の中の歯全部抜けたのか?」
ウイニングチケット「抜けてないよ全部生え揃ってるよ!うるせぇな~、滑舌悪いのは昔からだよ!口の中ずっと蕁麻疹なんだよ、許せ!」
メジロマックイーン「まぁいいですわ、そんなことよりトレーナーさんがいりませんってどういうことですか?パジャマトレーナーさんがあなたの担当でしょう?」
ウイニングチケット「チームシリウスに入ったのは日本ダービーに出るためだよ。チームに所属しないとダービーに出れないから。ただトレーナーはいらにゃい、私は一人で走る。ずっと孤独だ、一匹狼だ。」
ゴールドシップ「おぉ!また頭のネジ2~3本ぶっ飛んだ奴連れてきたな、パジャマ。こいつは面白そうだ、イジり甲斐があるね。よし、とりあえずウイニングチケット!馬刺しになってこい!」
ウイニングチケット「オーケー!馬刺しになってくる…ってちょっと待てよ…馬刺しにはなんねぇよ。なんで馬刺しにならなくちゃいけないんだよ?」
ーーー
そしてチケゾーのデビュー戦の日が来た。
ウイニングチケット「何だお前ら、函館まで私を応援しに来てくりぇたのか?嬉しいなお前ら…泣くぞこの野郎。ううう~…」
ゴールドシップ「お前の応援のためにこんな遠いところまで来る訳ねぇだろうが!観光していいってパジャマが言ったから…」
メジロマックイーン「ゴールドシップ、余計なこと言わないでくださいませ!大丈夫ですわよ、ウイニングチケットさん。私達必死で声をあげて応援しますから精一杯頑張って…」
ゴールドシップ「何言ってんだよ?一番テンション上がってたのマックイーンお前だろ?そんなことよりもさぁ、後でイカ食わない?イカの踊り食いできるらしいよ。あとウニとイクラも食べれるらしいよ。あ、蟹も食べたいな蟹も!」
メジロマックイーン「めめめ、め、め、メロンパフェ!メロンパフェ!メロンパフェもお忘れ、お忘れなくく…!」
ゴールドシップ「おいマックイーン、興奮しすぎて何言ってるかわからないぞ?まぁ気持ちは分からなくもないよ。とにかく食べれるだけ食べてしまえ!今日は食べ放題のチートデイだぁ!!」
ウイニングチケット「お前ら本音を包み隠さず全部言ってんじゃねぇよ!おいパジャマ、こんな奴ら連れてくんじゃねぇよ。お前のチーム何なんだよ?ゴミしかいねぇじゃねぇかよ!」
それからその日のレース、チケゾーは惨敗した。
ーーー
学園内にて…
ウイニングチケット「うぉぉん!負けちゃったよ~!あいつら汚ぇな!みんなドーピングしやがって!みんなあいつらドーピングだよ!ドーピング!ドーピングして…うう~」
ナリタタイシン「はぁ~情けない~。ドーピングなんてしてるわけないじゃない。みんな正々堂々と戦ってあんたに勝ったのよ負け犬。」
ウイニングチケット「うぉ、冷たくないかタイシン。元チームメイトの仲だろ?慰めろよ私のこと。ほら土下座して慰めろよ私のこと!」
ナリタタイシン「土下座して何であんたを慰めなきゃいけないのよ。」
ビワハヤヒデ「まぁ、あれだけ張り切ってこのザマだもんね。正直、見てて笑えるわ。」
ウイニングチケット「もう終わりだよ終わり。これでダービー出れないよ。もうグレるしかないよ、私グレよ…」
ナリタタイシン「もう!デビュー戦に負けたってダービー出られない訳じゃないでしょ?私だってデビュー戦負けたし…でもまだ諦めてないから!」
ウイニングチケット「お前何でそんなに弱ぇんだよ。デビュー戦ぐらい勝てよ。元チームメイトとして恥ずかしいわ。」
ナリタタイシン「お前が言うなよ!え?何でお前が言うの?」
ビワハヤヒデ「アンタら弱すぎ。今まで死んだトレーナーに色々教わったでしょ?何を教わってきたのよ?」
ナリタタイシン「何よ!ハヤヒデは勝ったの?」
ビワハヤヒデ「ボロ負けしたに決まってるじゃない。」
ウイニングチケット「おいやべぇな、私たち3人揃ってクソ弱いじゃねぇか?どうしよう?死のっかな?」
ナリタタイシン「死んだらトレーナーとの約束守れないでしょ。辞めなさい。」
ーーー
俺は練習にきたチケゾーの指導を始めようとしたのだが…
ウイニングチケット「うぅぅぅ!パワーー!!」
パジャマ「おい、もっと腕を振り上げろおい!チケゾー、もっと腕を…」
ウイニングチケット「うるしゃいなぁ!私に指示するな!お前は私のトレーナーじゃねぇんだよ!」
ライスシャワー「おいゴルシ見ろよ、新人がいるぞ?あいつ何でライスに挨拶しに来ねぇんだよ?」
ゴールドシップ「あ、多分ごはんちゃんのこと下に見てるからだよ。多分私のことも下に見てると思うけど。」
メジロマックイーン「下とか上とか、気にしてるのはゴールドシップあなただけですわよ。」
ゴールドシップ「うるせぇな。大体このチームで一番下なのはお前だからなマックイーン。」
メジロマックイーン「いやいや、何で私が一番下ですの?一番上でしょ私は!」
ゴールドシップ「いや、上とか下とか気にしてんじゃねぇのかよ。一番気にしてるのはおめぇじゃねぇかよ!」
ライシャワー「しかも一番上とか思ってんのかよ。頭の中うまぴょいだな。」
メジロマックイーン「はぁ!?あなた方、2人共ちょっと言葉が過ぎるんじゃありませんか?最年長者の私に…」
ウイニングチケット「はぁ…はぁ…ってお前らうるせぇな!練習の邪魔だ、どっか行けや!」
ゴールドシップ「あ、ごめんごめん。チケゾー、練習していたんだね?私はてっきり歩いているだけかと…」
メジロマックイーン「ゴルシ失礼ですわよ。そんなことよりチケゾーさんまずはグランドに来たら私に挨拶を…」
ゴールドシップ「マックイーン、お前上とか下とか気にしないって言ってたんじゃなかったのかよ?めちゃくちゃ気にしてるじゃねえかよ!」
メジロマックイーン「はぁ!?うるさいですわね!あなただって新人いびりみたいなことしてたでしょ?歩いてるなんて、そんな酷いこと言っちゃいけませんよ!」
ライスシャワー「本当、このチームは性格のねじ曲がったやつしかいねぇんだから…まともなのはライスだけだな。」
パジャマ「(お前も大概だぞ。)」
ーーー
夜遅く、チケゾーたちはグランドを走っていた。
ウイニングチケット「ふぅ…ふぅ…ふぅ…」
ナリタタイシン「はぁ…はぁ…はぁ…」
ビワハヤヒデ 「あっ…あっ…あっ…」
ナリタタイシン「…ふぅ、あんた担当トレーナーが付いたんだって?あんたのトレーナー…」
ウイニングチケット「あんな奴私のトレーナーじゃねえよ、私のトレーナーはじじいだけだよ。」
ビワハヤヒデ「死んだトレーナーのことじじいっていうのはやめなさいお馬鹿さん。」
ナリタタイシン「あの人のこと、じじいって言ってたのあんただけよ。しかも毎回言って怒られてたじゃん。」
ウイニングチケット「怒られただけじゃねぇよ!グーで殴られたわ!」
ナリタタイシン「フッ…もう…あんたって…ホント馬鹿よね。」
ウイニングチケット「おい!お前ここで笑うところじゃねぇぞ!」
ビワハヤヒデ「本当に、あんたたちは変わんないわよね。まぁ私もだけど…」
ウイニングチケット「そういえばしゃ、あのじじいが死んだ日もこんな綺麗な星空が瞬いていたよね♪あのじじい口から血を吐いてさぁ…」
ナリタタイシン「なんでこんな良い雰囲気の時にそんなこと言うのよ。タイミング考えなさいよ。」
ビワハヤヒデ「この子にタイミングを求めるのは無謀なことよ。」
ナリタタイシン「あぁそうだったごめん。0歳児の赤ちゃんに言語を喋れって言ってるようなものよね。」
ウイニングチケット「何?私のこと褒めてるの?馬鹿にしてるの?まぁ多分馬鹿にしてると思うけど…」
ナリタタイシン「正解。」
ウイニングチケット「私は今すごく気持ちがいいから寛大な心でスルーしてあげよう。それよりもしゃぁ、二人ともあのじじいとの約束絶対果たしょうな!」
ビワハヤヒデ「だから死んだトレーナーのことじじいっていうのはやめなさい。」
ナリタタイシン「約束は守るわよ。私にとっても日本ダービーは夢だから。」
ウイニングチケット「おう、ヨーシ!絶対だぞ?絶対…死んでも諦めるなよ。」
第7話………完