ウマ娘(男)   作:アマノジャック

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第8話 『油断と驕り』

どうもトレーナーのパジャマです。年が明けチケゾーとナリタタイシン、ビワハヤヒデの3人を連れて初詣にやってきた。

 

ウイニングチケット「うわぁ、酷い!人がゴミのようだね!お正月の神社はダービーみたいだね!」

 

ナリタタイシン「何でもかんでもダービーに結びつけるな…」

 

ウイニングチケット「タイシン、そんなに怒っちゃって…まるでダービーみたいな顔になってるよ。」

 

ナリタタイシン「ダービーみたいな顔って何よ!意味わかんないし。」

 

ビワハヤヒデ「そのうち洗濯機もダービーだとか言いかねないわね。」

 

ウイニングチケット「やだなハヤヒデ、洗濯機をダービーになんて…もうそれすでに言ってるよ。」

 

ナリタタイシン「言ってるんかい!あんた頭おかしいんじゃないの?」

 

パジャマ「チケゾーの話を聞いて思い出したのは、お相撲さんは確か何でも食べ物をちゃんこって言うらしい。」

 

ウイニングチケット「お相撲さんって何でもかんでも食べ物をちゃんこって言うの?ボキャブラリーなさすぎでしょ…」

 

ナリタタイシン「お前が言うなよ!あぁ腹立つ!この子何なの?」

 

ウイニングチケット「ウイニングチケットっていいましゅ!よろしく。」

 

ナリタタイシン「知ってるわボケ!」

 

ウイニングチケット「とまぁ、そんな話はどうでもいいや!とりあえずみんな神様にお願いしておこうぜ!ヨーシ!おい神様、ちゃんと聞いとけよ!一言一句漏らさずに聞けよ。えーっとね、とりあえずダービーに出たい。あとあと、じじいとの約束を守れますように、えっと約束っていうのはタイシンとハヤヒデと一緒にダービーに出ることでしゅ…。あぁ、ただ出るだけじゃなくて、ちゃんと私が1着にならないとダメだからね。2着だとじじいとの約束100%守れたことにならないから!あぁでも、ダービーに出ること自体…」

 

ナリタタイシン「ええい!長い!」

 

ビワハヤヒデ「もっと端的にお願い事は言いなさい…」

 

ーーー

 

学園内にて今日も練習の日々が始まる。

 

ゴールドシップ「おい、聞いたぞ聞いたぞチケゾー!お前皐月賞でタイシンとハヤヒデと一緒に走るらしいな。よかったじゃねえかよアホンダラ!」

 

ウイニングチケット「何で最後に悪口言われなきゃいけないんだよ!まぁいいや…とりあえず3人で走ることが出来たぜ!やったーダービー!」

 

メジロマックイーン「あの…無邪気で喜んでるところ悪いんですけど、あなたが出るのはダービーじゃありませんことよ。皐月賞ですからね?」

 

ウイニングチケット「そんなことわかってるよ。ノリで言っただけだよ。空気読めよ、水差すじゃねぇよ!このまな板!」

 

ゴールドシップ「まな板!」

 

メジロマックイーン「そうやって調子に乗ってますと痛い目にあいますわよ。」

 

ウイニングチケット「それについては問題ないよ。いつもずっと私は調子に乗ってるから!ほら乗ってるでしょ私?」

 

パジャマ「いや、知らんがな。」

 

ゴールドシップ「まな板!!」

 

ーーー

 

皐月賞に向けての記者会見をチケゾーは受けることになった。

 

司会者『いよいよ始まりますクラシック戦線。その1戦目である『皐月賞』が目前に迫って参りました。このレースの前評判で1,2,3番人気を占め、今最も注目を集めている"BNW"の登場です!』

 

パチパチパチ

 

ウイニングチケット「なんだこの記者?人のことを"BMW"って…失礼な奴だな。車じゃねえよ私は。」

 

ナリタタイシン「"BMW"じゃねえよ、"BNW"って言ったんだよ!」

 

ウイニングチケット「はぁ?何言ってんだよ?一緒じゃねぇかよ、車のことだろ?」

 

ナリタタイシン「一緒じゃないよ!NとMで違うでしょ。」

 

ウイニングチケット「NもMも似たようなもんじゃねぇかよ、一緒だよ。」

 

ナリタタイシン「一緒じゃないわよ、どこをどう聞いたら一緒に聞こえるのよ。」

 

ウイニングチケット「ってかさぁ、NとMってさぁ、毎回思うんだけどどっちがどっちか迷うことない?NがM…Mってどっちだっけ?S、M、N?どっちだっけ?」

 

ナリタタイシン「小学生じゃあるまいし、迷うわけないじゃない。」

 

ウイニングチケット「いや迷うよ。筆記体で書いたら何書いてあるか分かんなくなるし。あの言葉もさぁ…エヌとエム一文字しか違わないし…」

 

ビワハヤヒデ「ちょっとあんたたち、さっきから何の話してるのよ。記者会見よ。空気読みなさい。…お口はチャックマン。」

 

ウイニングチケット「お口はチャックマンって何?面白い!」

 

ナリタタイシン「面白くないわよ!」

 

司会者『これより、『皐月賞』に出走するウマ娘(男)の記者会見を始めさせていただきます。』

 

記者A『普段から仲の良い3人だと伺っていますが、揃ってのレースを迎えて思うところはありますか?』

 

ビワハヤヒデ「特にないです。私たちの目標はあくまで日本ダービーなので。」

 

ナリタタイシン「空気読みなさいよ、人に言っておいて何で自分が空気読めてないのよ。」

 

ウイニングチケット「あ、ごめんなさい。ハヤヒデちょっと空気読めない子なんです。」

 

ビワハヤヒデ「な、何よもう~…」

 

記者B「世間では"BNW"と呼ばれ注目されています。これからクラシック戦線で走り合う上での意気込みを。」

 

ウイニングチケット「え、えっと…とにかく私たちは日本ダービーで走り合うこと!それ以外は何も考えておりません、それ以外のレースはゴミだ!」

 

ビワハヤヒデ「他のレース全部ゴミとか言っちゃダメじゃない…」

 

後にこの記者会見は、史上最悪の記者会見として後世に語り継がれることになる。

 

ーーー

 

ウイニングチケット「いやぁ~、嫌なことがあった時はゲーセンに限るね。みんなでさぁプリクラ撮らない?プリクラ?あぁ、でもハヤヒデは撮れないね。頭がデカすぎてプリクラの中に入らないもんね。」

 

ビワハヤヒデ「入るわよ!あんた、私のことモアイ像か何かと思ってんじゃないの?別にそんなに頭デカくないし!」

 

ウイニングチケット「あれ?前世モアイ像じゃなかったっけ?未練があるから現世に転生したんじゃないの?」

 

ナリタタイシン「前世モアイ像って…モアイ像生き物じゃないわよ。」

 

ウイニングチケット「ちょっと細かいことでうるせぇな~!もういいから早く、早くみんなで一緒にプリクラを撮ろう!」

 

ーーー

 

皐月賞前日…自主トレをしていたナリタタイシンは、とあることを思い出していた。

 

ナリタタイシン「はぁ…はぁ…。ふぅ…」

 

………

 

他校のクソ生徒A『あれれ?タイシンちゃんじゃん?』

 

他校のクソ生徒B『あ、本当だ。一番弱いタイシンちゃんだ。』

 

他校のクソ生徒A『へぇ~、その制服。トレセン学園に入ったんだ。』

 

他校のクソ生徒B『タイシンちゃんさぁ、"BNW"の中で一番足が遅いんだから、トレセン学園に入るのは辞めたほうがいいんじゃない?あ、もう遅いか。』

 

ナリタタイシン『あぁ!?』

 

学校のクソ生徒A『あ、そうだね。足が遅くてもトレセン学園に入れるんだね。私も入っちゃおうかな~♪』

 

他校のクソ生徒B『ダメだって、もし入学して私たちみたいな素人がタイシンちゃんに勝ったら、タイシンちゃん可哀想じゃんw』

 

他校のクソ生徒A『あぁ、それもそっかwじゃあ、やめとこ~♪じゃあね、タイシンちゃん。私たち焼きたてのタイ焼き食べないといけないからもう行くね。』

 

他校のクソ生徒B『走るの遅すぎて、退学にならないようにね♪頑張ってねタイシンちゃん、バイバーイ!』

 

ナリタタイシン『………チッ!』

 

???『おい、テメーら!またウチのタイシンをいじめやがったな!ぶっ殺してやる!』

 

???『ぶっ殺してやる!』

 

バキバキボコボコバキッ!

 

ウイニングチケット『よぅ、タイシン、さっきさぁ、通りすがりの人にタイ焼きもらったんだ!ほら!タイ焼き!食べようぜ~食べようぜ~タイ焼きだよ~!』

 

ナリタタイシン『…』

 

ウイニングチケット『ってどうしたんだよ?せっかくタイ焼き持ってきてやったのに…タイ焼き嫌いか?』

 

ナリタタイシン『余計なことを…』

 

ビワハヤヒデ『チケゾー、さっきの奴ら殴ってる最中に私のこと頭デカいって言いやがった。もう1回殴ってきていい?』

 

ウイニングチケット『いや、もういいよ。気失って伸びてるから。これ以上殴ったら殺人になっちまう。そんなことよりタイシン?機嫌直せよ。いつまでも仏像みたいな顔してないでしゃ…あ、もしかしてあれか?胸が小っちゃいこと悩んでるのか?だったら大丈夫だって!トレセン学園にはさぁ、メジロマックイーンっていう超まな板の…』

 

ナリタタイシン『べ、別にそんなんじゃないわよ!』

 

ウイニングチケット『だったら良かったけど…じゃあ早く行こうぜ!じじいが待ってる。遅れたらまた私に殴られるよ。』

 

ビワハヤヒデ『だからトレーナーのことじじいっていうのを止めなさいよ。』

 

ナリタタイシン『…。…フッ。』

 

………

 

ナリタタイシン「いつまでも…弱い私じゃない!」

 

ーーー

 

トレセン学園にてチケゾーは相変わらず調子に乗っていた。

 

ウイニングチケット「うう…ダービー!」

 

たづな「あ、トレーナーさん…ってチケゾーさん何をやってるんですか?もしかしてラオウの真似ですか?」

 

パジャマ「そうですけど、何かありましたか?」

 

ウイニングチケット「違うよ。ラオウの真似じゃねぇよ!…で何?何の話?」

 

たづな「あの実は学園の前で取材の方々が集まっているらしくて…裏口から出てください。」

 

パジャマ「よし、チケゾー?裏口から出るぞ。」

 

ウイニングチケット「オーケー、裏口だね?よし、取材の奴ら面倒くさいもんな!」

 

………

 

記者A「あっ!ウイニングチケットさん!」

 

記者B「すいません、インタビューいいですか?」

 

ウイニングチケット「え、何で?何で?何で?裏口から出たはずなのに何でお前らがいるんだよ?」

 

パジャマ「おいチケゾー、ここは裏口じゃねぇ…表だ。」

 

ウイニングチケット「…」

 

記者A「ウイニングチケットさん、トレーニングの調子はどうでしょうか?」

 

ウイニングチケット「知るかボケ!ぶっ飛ばすぞ!」

 

記者A「『皐月賞』で走るライバルのお二人については、何か意識していることなどありますか?」

 

ウイニングチケット「おい、お前の自宅の住所を教えろや!家の中ぐちゃぐちゃにしてやるよ。」

 

ナリタタイシン「あんた、インタビューぐらいまともに答えなさいよ。また変な噂が流れるわよ。」

 

ウイニングチケット「おぅ、タイシン!こんなところで奇遇だな!」

 

記者A「ナリタタイシンさん、クラシック戦線の初戦に関してですが…」

 

ナリタタイシン「私からは何も言うことはありません。私が何喋っても、またタイシンは遅いって記事書くんでしょ?」

 

ウイニングチケット「え…タイシン?」

 

ナリタタイシン「じゃあ私は失礼します。」

 

ウイニングチケット「タイシンの足が遅いなんて書くんじゃねぇぞ!私よりは遅いけどな!タイシンは普通に速いよ!私よりは遅いけどな!」

 

パジャマ「おいやめろチケゾー!変なこと言うな!」

 

ーーー

 

そして、ついに『皐月賞』の当日がきた。

 

ウイニングチケット「日本ダービーの前哨戦だな。ぶっちぎりで勝ってやるよ。タイシンとハヤヒデの走り方は私熟知してるから…あいつらの攻略は任せろ!」

 

パジャマ「よし、行ってこい!」

 

ウイニングチケット「うるせぇ!トレーナーでもないのに指図するな!」

 

パジャマ「えぇ~」

 

………

 

実況『大きな期待を寄せられた"BNW"の1人、1番人気ウイニングチケットの入場です!』

 

観客『わぁぁーーっ!!』

 

実況『全ウマ娘がゲートに入ります!

クラシック1戦目、『皐月賞』……今スタートです!

スタートを切りましたクラッシック第1戦『皐月賞』!

正面スタンド前ではウマ娘たちが先行争いを繰り広げています。

2番人気のビワハヤヒデ、大外からスムーズに飛ばして先頭集団を追走!」

 

ウイニングチケット「(思った通りだ、ハヤヒデ。頭がデカいくせにスタートだけは速い。…そんなに生き急いでどうすんだよ。どうせ後半でパてるくせに。…タイシンのやつはどうだ?…思った通りだ!後ろでチマチマ走ってやがる。あいつに抜かされることは多分ないな。よーし!昔のように、じじいの言った通りに走れば…このレース勝つる!)」

 

ダンッ

 

ウイニングチケット「ううぅぅ!」

 

実況『ここでウイニングチケットがペースを上げた。』

 

ウイニングチケット「オラオラオラ!ハヤヒデ覚悟しろうぅ!」

 

ビワハヤヒデ「(やはりチケゾーきたわね。今までの私ならここでスタミナ切れてあなたに負けていた。…でも今の私は違うそう簡単には譲らないわよ!)」

 

ウイニングチケット「出しゃばんじゃねぇよ!頭でっかちー!」

 

ビワハヤヒデ「頭がデカいだけじゃないんだから!!!」

 

ウイニングチケット「(あれ?何でスタートであれだけ飛ばしていたハヤヒデがなんでこれだけの力が残ってるの?頭デカいくせに…!!後ろからプレッシャー!?もしかして…)」

 

実況『おおっと!

ここで大外から一気に駆け上がってきたのは…ナリタタイシン!

ナリタタイシンですっ!!』

 

ナリタタイシン「はあぁぁぁ!!」

 

ウイニングチケット「(冗談だろ?タイシンにまで抜かされた!?おい…待てよ…待てよ…お前ら…!勝たなきゃいけないのに…タービーはもう目の前なのに!)」

 

タイシン&ハヤヒデ『はあああぁぁぁ!!!』

 

実況『ナリタタイシンだ!

ナリタタイシンが差し切った!!

『皐月賞』を制したのはナリタタイシン!』

 

ナリタタイシン「はぁ…はぁ…しゃっ!」

 

実況『2着はビワハヤヒデ!

1番人気のウイニングチケット、敗れました!』

 

ウイニングチケット「負けた…タイシンにもハヤヒデにも届かなかった。じじいの言った通り走ったのに…全力で…全力で…挑んだのに…。どうすんだよ?次はダービー何だぞ?じじいとの約束の…ダービーなんだぞ…」

 

 

第8話………完




上記の内容の元は以下のURLの動画になります。

http://m.youtube.com/watch?v=Bee11VNQCHA

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