かがむあおいさま、SIGSEGVさま、ご報告ありがとうございます!
愛らしい後輩さん──そうハマーンがオーレリアを称した通り、本日付でオーレリア・ランシアは正式にキシリアの御付きとして契約を結ぶこととなった。
次いでキシリアが革張りの装丁に閉じられていた側仕えの拝命証にサインを綴れば、「記念に取って置きなさいな」と微笑みながらオーレリアに手渡してきた。
「お仕事については追々で良いし、後の細かい手続きの一切はこっちに任せて」
と。半ば身売りも同然の契約書にサインさせられ、後事までも一任されたオーレリアであるが、余人が耳にすれば誰もがオーレリアに対して嫉妬と羨望のいずれか、或いは両方の感情を向けたことだろう。
ハマーンとマレーネもそうだが、彼女らの名乗っている側仕えというものは、一般的な給仕とは意味合いも異なれば、本来は家事をする必要さえない。
ハマーンは自らを御付きと称したが、正式な役職名を『名誉女中』と言う。
これは西暦時代の英国に存在した、君主の戴冠式にローブを持つ役を与えられた
その一方で、採用基準については本来のメイド・オブ・オナーのように伯爵位以上の爵位持ちである必要もなければ、未婚であることや一六以下でなくてはならないという年齢制限も存在しない。
「これもまた、公国国民の需要に応えてのことなのよね」
慣れぬドレスの着付けに戸惑うオーレリアを手伝いつつハマーンが零す。
かつての英国にとっての『階級社会』とは、単純に人間を階層分けし、上位が下位を見下すためにあったのではない。
確かに階級社会はそれに伴う制約こそ大きいが、労働者階級は労働者階級として、紳士階級は紳士階級として、各々の生まれに応じた階級と義務に対する誇りと自負心を抱いていた。
人は生まれを選べないが、人生を気高く生きることはできる。己の出自とは枷でなく、天から与えられた使命だと信じるからこそ、異なる階層に土足で踏み込むような無作法など以ての外だった。
だが、ジオン公国の国民にとっては、そうした階級社会の『本質』はどうでも良かったし、だからこそ
先に語った通り、
己の身分をポリシーとする者は、ライデン家のような由緒正しき貴顕の末裔でもない限りはまず皆無だったのだから。
「一体どうして、ジオンはすんなり共和制から公王制に移行できたと思う?」
如何にジオン公国が立憲君主国として類稀なる統治の下に治められた理想国家と言えど、悪く言えば公王制などというものは、法の上に『独裁者一党』を君臨させることさえ可能になってしまう爆弾だ。
たとえ今の世代が理想的であっても、後の世に狂気の独裁者が誕生する可能性は皆無ではないというのに……。
「建国してからずっと王様のいる国なら、そういうリスクは避けられるでしょうけど、ジオンは違うでしょう?」
王があって議会があるのではない。議会を用意した後に王を迎え入れるなどと言うのは、歴史の針を逆転させている。だが、それもまた
如何に自分達が『宇宙という新天地に生きる人類の先駆けだ』と、『選ばれた民なのだ』と吹聴したところで、元は棄民だという現実は覆らない。
「だけど、そうした肥大化した自尊心を手っ取り早く満たす上で、階級社会という構造はこれ以上ない手段だった訳」
自分達が掲げる
主義主張に相応しい身分を与えてくれるなら。
現実との齟齬を埋め合わせてくれるというのなら、細かいことはどうでも良かった。
「だからジオン国民は公王制を、ザビ家という『王家』の誕生を、諸手を挙げて寿いだ」
ムンゾ時代から存在した爵位にしても、それを実感させてくれる『仕えるべき存在』があって初めて意味を成す。
選ばれし民に相応しい地位と栄誉……神という漠然とした見えざるものでなく、『王』という明確に頭を垂れ、膝をつくべき統治者は、
「王様が現れてくれたことで、国民は『臣下』となり『臣民』になることが出来たんだから」
我らは棄民などと言う卑しい存在ではない。
我らは皆、王の僕であり、高邁なる思想に相応しい貴顕であると主張することが出来るようになったことを、ジオン国民は皆無邪気に喜んだ。否、喜んでしまった。
……おそらくだが、ザビ家のような類稀なる統治者でなくとも、どれだけお粗末な首魁であっても、同じような階級社会を立ち上げさえすれば、国民は『特別な自分』を求めて安易に飛びついてしまったに違いない。
それはここでない世界の歴史……宇宙世紀の中にあって後に台頭した、ザンスカール帝国を筆頭としたコロニー国家群の政治体制が証明してしまっている。
人と言う協同体の最大規模たる枠組みである国家に対し、真に責任と使命感を持ち得る者が指導者として運営するのであれば、ガワばかりを整えるような体制など成立し得る筈もない。
そうした歪な体制を民衆が受け入れてしまえるだけの下地が、既にジオンの時代に存在してしまっていたからこそ後の悲劇は生まれたのだ。
「酷い言い方をしちゃうなら、これは壮大なお飯事──ごっこ遊びそのものね」
自分自身の出自を否定し、そうでないのだと吠え続け、生まれながらに持つ階級そのものを否定しながら、同時に上辺だけの階級社会を歓迎した。
社会の成功者は血筋など関係なく寄付金で得られる一代限りの爵位や褒章を買い求め、才覚に秀でた者は栄達を重ねることで、騎士候の叙爵や官位といった栄達を得る機会を望んで止まない。
他の領分を侵さぬことを美徳とした真の階級社会とは真逆に、誰もが『より良い役』を欲しがったのだ。
「だから
宗教を寄る辺として、『神の名の下に!』と挑みかかるのは良い。それは己の信仰に全霊を賭している。
棄民として、奪われるだけの弱者として『万人の為の正義を!』と反逆するのも良い。それは歴史の中にあって、幾度となく失敗と成功を積み重ねた逆襲譚そのものだ。
「だけど、『身分』を偽って掲げる矜持なんて、誰が本気にするのかしらね?」
弱者だというのなら弱者として、棄民だというのなら棄民として正義と大義を掲げて挑めばいい。善悪好悪の別はともかく、かつての地球では自らの
フランス革命然り、社会主義革命然り、自らを恥ずべき弱者と認めながら、同時に支配者層の思惑を覆してきたではないか。
そうした己を偽らぬ歴史を人類が紡いできたからこそ、
父祖の全てを恥ずべきものとしてしか見ないだけの、ごっこ遊びに興じる道化ども。そんな連中を何故我々が対等に扱わなくてはならないのだと、そう否定せざるを得ないのだ。
「自分を誤魔化して、欺いて、そんな
どれだけ正義を語ろうが、偽りの身分を寄る辺にした、劣等の主張なんて『軽い』のよ……ってね。真実を明かされちゃった私からしたら、
けれど、自分達がどうして軽んじられるのかを、滑稽なまでに軽薄な国民の欲を理解している公国政府も、身分を偽ることを止めるどころか、敢えて乗った。
階級社会が持つままならなさや息苦しさを敢えて徹底的に省き、美徳さえ脇に追いやって、
たとえどれだけ軽々な社会であったとしても『だからどうした』と言わんばかりに無視を決め込んだ。上辺であろうと何であろうと、それで満たされるのならば、社会が安定するという『実利』と比すれば、『真実』などどうでも良いだろうと言わんばかりに、嘘で塗り固めた世界を回し続けている。
「ほんと……ギレン総帥閣下は国民が何を欲してるかを、よくご存じですこと」
戦時であれ平時であれ、政治家というものは如何に国民が求めている物を理解し、分配できるかという点を突き詰めることが国家を安定させる上での大前提で、だからこそどんなに馬鹿らしいと内心思っていても、それをおくびにも出さずに実行しなくてはならない。
無論、それが後世の導火線に火を灯す危険な火種であることは、統治者たるギレンとて百も承知だろう。
だが、そうした火種をザビ家の権力と国家基盤を固めつつ──少なくとも自国に限っては──後世に負債として残さずおけるからこそ、ギレンという政治家は敢えて国民感情を満たすことに注力し、階級社会を『悪用』することに躊躇がない。
何故ならジオンの支配層は、仮初の階級社会の中にある『真実』を自認しているから。
どれだけ大仰な演説で囃し立て、国民を熱狂の渦に巻き込んだとしても、統治者は常に醒めた視線で一歩距離を置いている。
神聖不可侵の王室、新人類のリーダー……そうした諸々は全てが自分達以外を躍らせる為の舞台装置に過ぎない。この歪な社会で成功した全てを『ザビ家の偉大な統治』あってこそとすり替え、ギレンは酔狂に呑まれることなく、淡々と民草を操り続けるだろう。
「だけど、そんな国を挙げてのお飯事も悪くないでしょう?」
本来なら、お姫様の御付きなど余程の家柄でもなければ不可能な遥か高みの世界だというのに、オーレリアはそこに庶子でありながら加わることが出来てしまう。
これが真っ当な階級社会であったなら、お姫様当人のお気に入りだったとしても、他の立場有る子女の為に自重せねばならなかったことだろう。
だが、オーレリアに限らず、成功を収めた良家の子女達は挙って名誉女中の地位を得るべく選考を受けているし、総帥府も良家との関係を重視して短期間での契約を結ぶことで可能な限り多くの子女を受け入れている。
カーン姉妹は特例として常任していたが、そうでなければ長くともひと月でお役御免となるし、そうした手合いにはキシリアも素の表情は決して見せず、理想的な姫君を敢えて演じて見せていた。
「けど、貴女は他の子とは違うわ。お転婆姫様が敢えて自分を晒したのは、私やお姉ちゃんと同じように、ずっと側に居て貰う為」
それは単純に音楽家としてのコネクションを構築するのに有利と言うのもあるだろうが、何より信頼できると確信したからこその大盤振る舞いでもあったし、働く場所を与えることで、オーレリア自身の引け目を少しでも減らして上げたかったというのもある。
「勿論仕事も多いし、学業と併せてのことだから忙しくなるだろうけど、それでも『箔』を考えたら、芸術家としては近道なんてもんじゃないわね」
その上、お給金もちゃんと出るわよ? と冗談めかしてハマーンが笑うと、最後に姿見で着付けに問題がないかチェックさせる。
「ありがとうございます……でも、どうしてここまで?」
その質問は、どうして世話を焼いてくれたのか? というものと、どうしてそこまで話したのかという二重の意味があったが、ハマーンは肩を竦めつつ応えた。
「──貴女が幸せになって欲しいって、お姫様が願ったからよ」
自分の為に尽くして欲しいから、迎えたんじゃない。
何かを欲してのことでも、恩を着せたい訳でもない。
「オーレリア。貴女はこれから、多くの側仕えとお姫様に仕えることになる。ご令嬢の方々はきっと、まるで聖女様か何かのようにお姫様に心酔してしまうでしょうね……だけど、貴女は決してそうなっちゃ行けない」
どれだけキシリアが愛らしくとも、どれだけキシリアが正しい道を進むのだとしても、それがどれだけ高潔で、憧れを抱いてしまうようなものだったとしても──
「──それを見て、貴女が何かを為そうなんて決して思わないで」
キシリアの道はキシリアの道だ。決してオーレリア・ランシアの道でも、目指すべきものでもない。
「あの愛らしいお姫様と過ごしていけば、つい助けたくなってしまうでしょうね。真っすぐで、夢見がちで、だけど一歩一歩をしっかり踏みしめて駆け抜けていく背中を、護って上げたくなるかもしれない……だけど、だからこそ、もう一度言うわ」
それは決して、オーレリア・ランシアの歩むべき道ではない。
キシリア・ザビが望んだのは、そんなことではないのだ。
「お姫様を好きになってくれるのも、仲良くなってくれるのも私は嬉しいわ。それは本当よ」
だけど、その果てに自分を犠牲にしようなどと思ってはいけない。これまで側仕えとしてやってきた多くの子女のように「この人の為なら」という思いで仕えることだけは、してはならない。
憧れとは他者のために、見初めたもののために、無自覚に自分自身を殺してしまう劇物なのだ。
「そんなことをしたら、貴女の本当にやりたいことも、幸せも遠のいちゃうもの」
だからこそ、ハマーンは敢えてこの国の恥部を赤裸々にした。他の子女のように、周囲の大人たちのように心酔し、同調しては決していけないのだと伝える為に。
「貴女は貴女のままで居なさい。たとえそれで、あのお姫様が躓くとしても、どんな酷いことが起きてしまうのだとしても、脇目も振らず、自分の為に生きなさい。
──それこそが唯一、私達のお姫様がオーレリア・ランシアに望むことなんだから」
そう締め括って、ハマーンはオーレリアの手を引く。
「あのお姫様に何かあった時、動くのは私とお姉ちゃんの役目なんだから」
それがハマーン・カーンの望んだ、誰にも取られたくない『役』なのだと。口にこそしなかったが、芯の通った言の葉に、オーレリアは苦笑しながら頷いた。
誰もがキシリアのために心酔したくなるのだと、頑張りたくなってしまうのだと口にした通り、ハマーンもまたその枠に入っていることを察してしまったから。
「はい、宜しくお願い致します。先輩」
「宜しい。素直な子は大好きよ」
きっと、間違いなくオーレリアとは仲良くなれるだろうと笑い、確信しながらハマーンは歩き、そして想う。
“そうね……まるで告白みたいだけど、私にとってキシリア様は特別だもの”
恋慕の感情を抱いているという訳ではない。ハマーンにとってキシリアが特別なのは、キシリア個人がと言うだけでなく、その人生が理想的だと思えるものだったからだ。
“愛する人がいて、愛されている自分を自覚して……けれどキシリア様は、それに甘えるだけじゃなかった”
それを過去に、素敵だと本心からハマーンは打ち明けたことがある。
『私も、姫様みたいなお相手と巡り合えるかしら?』
『そうね。ハマーンは素敵な子だし、私なんかよりずっとお嬢様っぽいから、きっと素敵な人と巡り会えるわ』
そう前置きした上で、だからこそと、めずらしく年長者ぶった顔つきで、大人びた声音でキシリアが続けた。
『私ね、見たら分かるけど、そんなに出来た女じゃないし、何ならイワン様と婚約した時なんて、ホントに身勝手なもんだったわ……その場の流れとか、イワン様の顔とか性格とか、そんなこと考えて、ホントに恥ずかしいったらありゃしなかったもの』
自分本位で身勝手で、良いところなんて探す方が難しい、我が儘でおしゃまな子供でしかなかった。けれど、そんな自分でも、心から愛してくれているんだと実感できたからこそ、キシリアは変わることができた。
『私が好きだから、私が何かして欲しいから……何かにつけて、自分のことばっかり。寄りかかって、この人が自分の代わりに何かしてくれるって、それが当たり前みたいに考えてた』
紛うことなき人生の恥部であったのは間違いないが、キシリアの婚約時の年齢を逆算するならば、年相応だろうとハマーンは感じたものの、キシリア自身にしてみれば、それは赤面ものの過去だった。
『だけどね、そんな我が儘なガキんちょでも、頑張ってるイワン様を見て続けてたら、何かして上げたいって思うようになったの』
決して頭脳明晰でも、要領が良い訳でもない。ただ、会いに来てくれるイワンを待って、出迎える程度しか出来なかった。
『こんなにも忙しくて、大変で、なのにイワン様は、私の為に笑顔で来てくれた。私やジオンの皆の為に、休まず働き続けてくれた』
そこに気付いてしまったからこそキシリアは自分を恥じて、向けられた愛情に、敢えてふざけた調子で返してしまうことも多かった。
『だから──これは教訓。もしも貴女に好きな人が出来た時は、その人の為に、どんな小さなことでも、支えになることをして上げて』
愛して欲しい。支えて欲しい。それは年頃の少女が逞しい男性に抱く、ごく自然な感情なのは否定しない。けれど、恋する相手は自分の妄想でなく、現実に存在する一人の人間なのだということを忘れてはならない。
愛する人と横に並んだ時、恥じ入るような自分になるなと──そう忠告してくれたデギンの教えを今は痛烈に実感しているからこそ、キシリアはハマーンに諭す。
「愛されたいのなら、愛しなさい。求めてしまうなら、与えなさい」
自分だけを中心にするのでなく、相手が何を思い、何を欲し、何を求めているのかを考え、向き合うこと。お菓子をねだる子供のように指をくわえて、駄々をこねて待つのでなく、誠意をもって相手と向き合うべきだと。
『では……もしもその誠意に相手が気付いてくれなかったら、どうすれば良いですか?』
キシリアの言うことは分かる。古風な価値観だと若い者からは笑われるかもしれないが、少なくとも非難されるような関係ではないし、理想的な男女の在り方の一つではあるのだろう。
けれど、ハマーンという特異な少女にとって、それは本当に夢物語のような在り方だ。
親に利用され、手を伸ばせば安易に他人の心に触れてしまえるような少女にとって、自分というものを受け止めて貰えないことは、想像するだに恐ろしいことで……。
『そんな目のない奴、三行半突きつけちゃったら?』
恐る恐る、もしもという時を想像して、今からでも恐れてしまった将来について問うたハマーンに対し、キシリアの答えは余りに明確かつ簡潔だった。
『それか、まあ……お勧めはしないけど、強引に〈後戻りできない〉関係に行っちゃうのもありだけど、本気で〈この人しかいない!〉って思えるほど接してアピールしたら普通気持ちには気付くし、そうじゃないなら目がないってことだしね。
私とイワン様みたいに婚約からスタートしたなら別だけど、スタンダードな恋愛は切り替えも大事だと思うわよ?』
このアドバイス自体は前世でも恋愛経験皆無な女の戯言でしかないのだが、ハマーンという女が如何に恋愛方面で拗らせるのかという
『そうですか。珍しく参考になりました!』
『おいこら、私の人生で教訓になりそうなところがごく僅かだって言いたいならはっきり言いなさいよ。……それと、何かあったら相談なさい。こんなでも一応お姫様だし、力にはなって上げられるんだからね』
『はい、その時は是非。姫様のお手を大いに煩わせて
『いいのよそれで』
頼れるときに頼ればいい。それが、普段から頼っている側に出来る誠意なのだから。
『でも、相手や他の人を不幸にするようなのは駄目だからね?』
虐げられた者が、利用された者が逆の立場になってはならない。それは悪意と負の連鎖で、決して本当の意味では、幸せにはなれない道なのだから。
『分かっております』と、優雅に腰を折ってみせたハマーンに『なら良し』と頷く。
言質を取り、女として清くも幸福を得たいというのなら、いつかの日には背を押すべきだというのは主従としてだけでなく友人としても当然の義理というものだし、そうしたキシリアの気心を理解しているハマーンもまた、キシリアに対し不義理を働く気は毛頭ない。
「ふふっ」
愛らしく、可憐に、自分という女の将来を案じてくれた姫君のアドバイスを思い返して、ハマーンは思わず笑い声が漏れてしまう。
どれだけ年若くとも、女という性を持って生まれた我が身と、それ故に得たいと思う幸せに向かうことを許され、後押ししてくれているという実感。
俯き、得られる筈のない幸福を夢想することさえできなかった過去から抜け出すことのできた後に見える景色は、全てが眩く輝いて見えて、だからこそ幸せになる為に全てを惜しまず出し尽くそうと誓っている。
……結論を言えば、助言を与えたキシリアは気付いていなかった。いや、見通しが甘かったというべきだろう。
ハマーンという女は、後者のように軽い気持ちで恋愛を楽しめるタイプでなく、前者のように自分と相手を深みに追いやるタイプだということを。
“姫様、私、絶対幸せになってみせるわ!”
オーレリアがそうであるように、自分もまた幸せになって欲しいと願われた以上、ハマーン・カーンには、幸福となる義務がある。
誰よりも敬愛するキシリアに、貴女のおかげで幸せになれたと、そう感謝の言葉を捧げたいから!
“──絶対に、私は私だけの愛を迎えに行くと誓うわ”
将来、その誓いの為に胃を痛める哀れな男が生まれることを、この時のキシリアは、知る由もなかったのであった。
アースノイド「ないわー身分詐称とかないワーw ジオン劣等乙w」
なお戦国時代の日本然り、血筋偽造&身分詐称する連中は世界中に多数いた模様
赤いロリマザコン「最近、私のティーカップが毎日ひび割れているんだが(恐怖)」
キャスバル坊や。人生の墓場までのカウントダウン開始