いつかの明日へ、【ヒーロー】は助け合いでしょ 作:しょくんだよ
その日は
必ずやってくる
No.1 名は火野映司
「君、持ち物を調べさせてもらってもいいか?」
「あ、はい。別に構いませんよ。」
「…?持ち物はこれだけか?」
「はい。必需品以外ならちょっとのお金と
明日の〝パンツ〟さえあれば、何日かやっていけますよ。」
「そ、そうか。えっと、ひの…。」
「映司。
「あぁ、映司君。年齢は15歳…。
君はこの銀行に用があって来たら既に銀行が襲われて、
通報してくれたんだね?」
「はい、でもすみません、銀行強盗した奴は見失いました…。」
「それは我々警察と〝ヒーロー〟の仕事だから
君が責任を負わなくていいんだよ。」
総人口の約8割が何らかの超常能力“個性”を持つ
このご時世で、当然その個性を使って力を悪用し
平和を脅かす連中、それを人々は〝
そして、その
〝ヒーロー〟
事件というものは突然やってくる。
少しだけ1人の少年の話をしよう。
この男は今年で中学を卒業し、春には新しい日々が待つ
高校ライフが始まろうとしていた。
彼は受験生で、【雄英】という名の国立高校を志願していた。
偏差値79で倍率は300倍、毎年受ける人数は一万以上と
難問の高等学校であり、その中から選ばれた者が
栄光の道へと開かれる第一歩を踏み出すことができる。
近年
銀行強盗が起きたらしく犯行現場の銀行に
偶々いたこの火野映司が警察2人に事情聴取されている最中だ。
すると、無線から通信が入り、1人の警察がそれに繋げる。
「…本当かっ!?…分かった。
強盗の容疑者が確保できたみたいだ。」
「えっ!本当ですかっ!?よかったぁ…。」
ホッと撫で下ろす映司。
「そいつは助かるな。で、どこのヒーローが捕まえたんだ?」
「驚くなよ?なんとあの〝平和の象徴〟さ。」
「っ!!〝オールマイト〟か!
くぅっ!やっぱりすげえな!活躍する所生で見たかったぁ…!」
「こら、勤務中だぞ、市民の前ではしゃぐな。」
その〝人物〟の名を聞き興奮する1人に
軽くチョップを頭部に入れ、「すまん」と苦笑。
聞いて驚くのも無理はない。
その人物はオールマイト。彼の影響力は単純に
日本の治安維持に関わるだけでなく、
世界中のヒーローにとっても絶大な影響を与えている
絶大な力と人気を誇る【No.1ヒーロー】。
誰もが憧れ、誇り、高なり、勇気を与えてくれる存在。
「…凄いですね、こんなに事件をあっさりと…。
さすが平和の象徴って言われてるだけあります。」
「そうだな。君は15歳だったね?今年の4月から
高校生なんだろ?」
「はい。俺、雄英に志望しています。」
「おぉ!あのオールマイトが卒業した高校か!
俺の娘も受けたいって言っていたがあそこは
偏差値がやばいから先生に止められて文句言ってたなっ。っだ!?」
「だからはしゃぐなと言っているだろ。
…君もヒーローになるのかい?」
再びチョップを入れ、映司に問い掛けると
彼は即答で「はいっ」と頷いた。
「俺は困っている人に手を差し伸べたいんです。
どんな場所にも手が届く…。そんなヒーローに。」
「うん、いい心掛けだっ、頑張れよ少年っ。」
「邪魔して悪かったね。何か用事があってここにきたんだろ?」
「あ、はい。…あぁあっ!!忘れてた!」
咄嗟に何か思い出したかのように声を上げ
辺りの道路、地面を見渡し出し始める映司。
「どうした?何か探し物か?」
「あ、はい!あの、落とし物してしまって…
この辺りに落としたと思うんですけど…!」
「何を落としたんだ?」
「〝赤いメダル〟ですっ。」
☆★☆★☆★☆★
『プロはいつだって命懸けだよ。』
…まただ。
『夢を見るのは悪い事じゃない』
『相応に現実を見なくてはな少年』
何回も、頭の中であの人、オールマイトの声が
洗練に聴こえてくる。
これがフラッシュバックってやつかな…。
(…プロの、トップが言うんだ…。泣くなっ…。
わかってたろ…!?現実さ…。)
強盗事件から数時間後。
グスッと鼻を啜り涙を拭うこの少年、名は〝
彼は生まれながらにして【無個性】、何の個性もない
ごく一般的な…いや、この世界では〝否一般的〟な少年。
個性を持たない人間はこの世界では珍しいも珍しい。
その為か彼は横暴な連中からは虐められ
そこそこ仲良い連中からは貶され
そこら中にいる一般の連中からは陰口を言われる毎日。
それでも彼は必死に生きていた、抗っていた。
だけど、その抵抗は1人の男によって崩れそうになっていた。
オールマイトだ。
先の強盗事件の犯人が出久に襲おうとし、
それを止めたのはオールマイト。
出久はオールマイトの大ファンであり、
No.1ヒーローの彼から直接声をもらいたかった。
お母さんにも言われて欲しかったその言葉。
だが無理矢理止め質問しようとした
オールマイトの真実を知り、
そしてはっきりと現実を見ろと告げられた。
分かっていた。心の奥底では理解していた。
個性がないとヒーローになるのはほぼゼロに等しい。
重々承知していた。
「…はぁ。」
出久は深く溜息を吐く。
それと同時に、無意識にポケットから
〝赤いメダル〟を取り出し、ジッと眺める。
どうやら少し前に道に落ちてたのを拾った物だ。
鳥の造形が施された見たことのないメダルで
きっと誰かの落とし物だと思ったのだろう。
(先ずはこれを交番に届けなきゃ…、現実を見ろ!
…見ないように、見ないように…)
その矢先だ。
ガヤの声が聞こえ、振り向くと商店街の入り口に
人が野次馬となって集まっていた。
おいおい、またかよ…。
出久は再び溜息を吐く。…分かっていたのに。
もう関わりたくないと思っていたのにその矢先にこれだ。
きっとヴィランが暴れているのだろう。
この街でもそれは日常茶飯事にその出来事は起きていた。
出久は吸い寄せられるかの様にその野次馬の中へ入っていく。
その光景は目に見誤る事が起きていた。
(あいつ…!?何で!?)
その方向にいたのはオールマイトが捕まえたはずの
ヘドロ型の異形
「ヒーロー何で棒立ちぃ?」
「中学生が捕まってんだと。」
「つーか、あの
追いかけてたやつじゃね?」
「マジ!?オールマイト!?うそぉ!?きてんの!?」
他人事みたくガヤガヤと野次馬の声が騒いでいる。
出久は両手で口を塞ぎ焦っていた。
あの
それを目の前の犠牲者、増してや同じ中学生と考えるとゾッとした。
そして何よりあの
ペットボトルに押し込んで確保した筈だった。
恐らくオールマイトが飛び立つ瞬間にしがみついて
落としてしまったのだろう。出久は罪悪感で溢れる。
(僕のせいだ…!
あいつは掴めない!有利な個性を持つヒーローを待つしかない!)
オールマイトは敵の襲撃により致命傷を負ってしまい
度重なる手術と後遺症で憔悴してしまい
その活動時間が限界をきてしまい、一日三時間程しか
平和の象徴として活躍する事ができない状態だった。
今日その時間を使い切ってしまった為、
彼は恐らくこの場に来ていたとしても、
力が出せない一般人に等しい存在だ。
(頑張って…!!ごめん…!
ごめんなさい…!すぐに救けが来てくれるから…!)
野次馬と同じ様に、何が起きているのか気になってきてしまっただけだ。
今は己の弱さと行動が不甲斐なく思う。
出久はただ、謝り、見る事しかできなかった。
(誰か…ヒーローがすぐ…!)
見る事しか、
「っ!!」
偶然、ヘドロが暴れてる際こちらに視線を向けた。
その時。取り憑かれていた中学生の顔が一瞬だけ目に入る。
なんと同じ中学校の〝
「ーーーッ!!おぇっ!」
「ひゃっはは!大当たりだぜぇ!こいつぁ!スゲェ個性だ!」
勝己はもがくが、ヘドロの怪人はその勝己の個性、
〝爆破〟の力に興奮し、辺りを爆破させて被害を拡大していく。
「くそっ!誰か良い〝個性〟いねえのか!?」
「こっちは消火で手一杯だよ!状況どーなってんの!?」
「爆炎系は我の苦手とするところ…!今回は他に譲ってやろう…!」
勿論、
駆けつけていたが、敵は文字通り流動体な身体で
物理的な攻撃は生半可な威力じゃ通じない。
相性の向き不向きにより、互いが互いを人任せにして
被害を最小限に抑えようとしていた。
「くそっ!吹き飛ばせるようなパワーがあれば…!」
一人のプロヒーロー、名は〝デステゴロ〟。
彼はパワー系のヒーローだが、あいにくそこまで強い衝撃を
放てる程の力を持ち合わせていない。
ヘドロの暴れる様を見て悔しがっていた
その時、デステゴロの横を駆け抜け、ヘドロに向かう者がいた。
一人、いや、
緑谷出久と、
火野映司だった。