いつかの明日へ、【ヒーロー】は助け合いでしょ   作:しょくんだよ

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発目と発明と発現


No.103 発明好きな発目

 

「突然の爆発をお許し下さい!!お久し振りですね!オーズのお方、アンクさん!後はーーー…ヒーロー科の………忘れました」

 

「………ウチは耳郎」

 

「え…えと、こっちはアンクと同じグリードのウヴァだよ発目さん」 

 

「成る程成る程!では私はベイビーの開発で忙しいので!」

 

「「え!?」」

 

ハプニングに巻き込んだ火野達に謝罪をする発目。覚えていない素振りを見せられて自己紹介する耳郎だが、発目の胸元をジト目で見つめながらどこか素っ気ない態度で言っている。火野もぎこちなくウヴァの紹介をすると、どうでも良かったのか発目は勢いよく半回転し持ち場に戻ろうとした。

 

「あの女は何だ…」

 

「鴻上で働いてる騒がしい奴だ」

 

「鴻上?…まさかあの鴻上か?」

 

「ああ、前の世界とは違うが…あのイラつく会長に秘書、真木にバースの伊達や後藤もいるぞ」

 

ざっくりとした発目の紹介がてら、この世界に居る鴻上ファウンデーションの存在を教えるアンク。すると、真木のワードにウヴァは形相を変えた。

 

「真木の奴もいるのか!?」

 

「…何だ?……あぁそうか。言っとくが、奴に復讐しようとかくだらない考えはやめておいた方が良い。前の世界の事は今言った全員が覚えていないからな」

 

「……ムぅ、本当に何なんだこの世界は…!」

 

暴走させられたウヴァにとっては真木は復讐の相手だが、アンクの偽り無い言葉に改めてこの世界の出来事に困惑し苛立ちながらウヴァは俯く。

そうこうしている間に、早歩きでその場を行こうとする発目を火野は慌てて呼び止めた。

 

「は、発目さん!俺達コスチュームの〝改良〟でパワーローダー先生に相談が…」

 

「ッ、コスチューム改良!?ええ是非ともそれは協力しますよ!!」

 

「(切り替え早っ)」

 

改良の言葉に反応した発目は物凄い速さで火野に詰め寄る。それを見ていた耳郎がそう思っていると、奥からパワーローダーがひょこっと顔を出した。

 

「発目、これ以上面倒事起こすなら出禁だとさっきも言った筈だぞ。………イレイザーヘッドから聞いてる。お前らも必殺技に伴うコス変の件だろ?中へ入りな」

 

掘削ヒーロー パワーローダー。

地中を掘るのが得意とされる彼のその指先は硬い地面を諸共しない強靭な爪が生えているのが特徴的だ。

パワーローダーはそう言って火野達を中へと招き入れる最中、アンクが発目に声を掛けた。

 

「おい発目。俺が()()()ものは出来たか?」

 

「あーーー会長から言われた例の件ですね!?残念ながらここは雄英高校の開発工房です!制作段階途中ですし、こんな()()()場所ではアレを量産するのは正直無理ですね!」

 

「〝小さな〟とは何だ、発目?くけけ…」

 

「ハッ」

 

アンクの件に表情こそ変わらないが軽くディスられている発言に聞こえたのか、パワーローダーは聴き逃さずに圧を掛けていた。

そしてその例の件が気になった火野はアンクに声を掛ける。

 

「アンク?例の件って?」

 

「お前、いつも乗っていただ………いや、何でも無い。まァその内役に立つ物だ」

 

「?」

 

前世の記憶が無い事を忘れていたアンクはいつもの様子で言おうとするが、ハッとしてその話を有耶無耶にし、火野は首を傾げていた。

 

招かれた火野達は工房の中へと入ると、その施設内に「わあ」と火野は声を漏らした。

幾つも設置されている作業台には改良しているサポートアイテム。奥の壁には工具がずらりと敷き詰められ、右側の台には情報を見る為のモニターが数台も置かれていた。

 

「すっごおおいッ!まるで秘密基地みたいだ!」

 

「男子が好きそうだね」

 

「ほお…。人間もここまで進化したのか」

 

「フン、くだらん」

 

感想を言う4人。すると、早速と言わんばかりにパワーローダーは火野達に手を差し伸ばした。

 

「じゃあコスチュームの説明書見せて。ケースに同封されてたのがあるでしょ。俺、許可証(ライセンス)所持してるから、それを見ていじれるとこはいじれる」

 

そう言われた火野と耳郎は持って来ていたコスチュームの説明書を取り出し、パワーローダーに渡すと彼はその資料を元にモニターへと映し出しながら説明をした。

 

「小さい改良・修繕なら『こう変更しまった』ってデザイン事務所に報告すれば手続きしといてくれるが、大きい改良となるとこちらで申請書作成してデザイン事務所に依頼する形になる。で、改良したコスチュームを国に審査してもらって許可が出たらこちらに戻ってくる。まぁウチと提携してる事務所は超一流だからだいたい3日後には戻ってくるよ」

 

「フン…要は簡単な改造ならここで直ぐ出来て、デカい改造は大手の会社でやってもらうって事か」

 

「くけけ…そういうことだねェ…」

 

コスチュームの説明に、珍しく聞いていたアンクがわかりやすく応えるとパワーローダーは独特な笑い声をして頷く。火野と耳郎も成る程、と何度も頷き解釈していると、火野は肝心の要件を早速パワーローダーに申し出た。

 

「あの、パワーローダー先生。俺はもう少しこの鞄をデカくしたいんですけど…補給の飲み物とか入れれるようにしたいんです」

 

「あぁ、全然構わないよ。要望を聞き次第後日には完成出来る。コスチューム事態は変えなくて良いかい?君は特殊だからね火野君」

 

「まァ…それは大丈夫です」

 

火野は応えるとパワーローダーは「わかったよ」と了承する。

 

「良かったじゃん火野」

 

「うん。じゃあ耳郎さんも……」

 

火野は言いかけたその途端。腰辺りに何かに触られる感触が伝わり何事かと首を振り向くと、発目がマジマジと腰を見つめる尚且つベタベタと触りまくっていた。

 

「は、発目さん!?」

 

「あ、あんた何してるの…?」

 

「はいはいはいはいはい成る程ですね〜。お気遣い無く、私は今彼の体を調べているのですよ。フフフフ、了解しました!オーズのお方にオススメのベイビーを!!」

 

何かを理解した発目は奥の部屋へ駆け込み、両手で抱えたサポートアイテムらしき物体を持って来る。ソレを本人の許可無しに強制的に取り付けていた。

 

「とっておきのベイビー!『ウルトラバッグ』!!」

 

ゴツゴツとした機械的な造形で、腰の鞄とは思えない見た目のサポートアイテム。火野は「うわ…」と若干引きながらそれを確認していると、発目は続けて口を動かした。

 

「腰の負担を自動で認識を行い、軽減出来るハイテクッ子です!第32子です!フフフフ!!」

 

「あ、あの発目さん。俺物を入れる鞄が要望何だけど…」

 

「私物は入れれますよ、一個くらいは!」

 

「それ意味無いじゃん」

 

肝心の物入れが無い事に耳郎はボソッとツッコみを入れていると、発目はポケットから小さなリモコンを取り出した。

 

「更にですね!このベイビーには加速式のブースター機能が搭載されているのですよ!」

 

「え、いや…別にそれは必要 『ポチッ』 なああああああああああーーーーー!!」

 

「火野ー!!?」

 

火野が言い掛けた直後、発目はリモコンのボタンを押すと、ウルトラバッグとやらの後ろ部分から2つのジェット噴射機が突出され、爆風と同時に勢いよくエンジンが噴射される。その勢いは凄まじく、火野の体は海老反りになって真っ直ぐに吹き飛ばされ壁に激突した。

 

「あだだだ……こ…腰がぁああ………」

 

「ちょ、大丈夫火野!?」

 

「どうやら必要速度の威力調整をミスったようです!ごめんなさい!」

 

凹んだ壁から火野は抜け出し、人間の限界を越えそうになった腰を押さえながら悲痛の声を上げる彼に、耳郎は心配そうに駆け寄る。それと同時に発目は全く反省の無い表情で反省点を述べていた。

 

「…馬鹿の丸出しだな」

 

「う、うるさいなぁ…いだだッ…!」

 

一連の光景を見ていたアンクは小馬鹿にしたような目で言い、火野は腰を痛めながらそう言い返していると、パワーローダーが「発目」と低い声で名を呼ぶ。すると発目はビクッと肩を跳ね上がらせてバツの悪そうな表情で奥の部屋へと移動して行った。

 

「すまんね、彼女は病的に自分本位なんだ」

 

「言われなくても知っている」

 

「俺も良く理解してます…。入学前の実技試験の時からの付き合いですし」

 

変わりに頭を下げるパワーローダーにアンクと火野は重々承知しているのかそう応える。ふと、火野は「あれ?」と何か疑問に思ったのか口を開いた。

 

「そう言えば、あの実技試験ってヒーロー科の試験だった筈だけど…サポート科の発目さんがどうして出てたんだ?」

 

「あいつは申請したんだよ。本来は駄目なんだけど特別に上の人達が許可を出してくれたんだよね。不思議な出来事もあるもんだ…」

 

「…成る程なァ。奴は恐らく会長の〝個性〟を使ったんだろ」

 

「あー、だからか!」

 

パワーローダーの言葉にアンクは察してそう応えると火野は納得して手を叩く。

鴻上の〝個性〟は権限発言で、発した言葉が世に知らされてそれは世界の『ルール』として認知される脅威的な〝個性〟。ヒーロー科専門の試験にサポート科の発目が参加出来たのはそのおかげなのだろう。

 

「…まァ、ヒーロー志望の君達なら彼女との縁を大切にしておくべきだよ…」

 

「と、言いますと?」

 

パワーローダーは言うと火野はそう聞き返す。すると、パワーローダーは発目の居る奥の部屋にゴミのように溜められたサポートアイテムの山を指さして口を動かした。

 

「あの隅のゴミ山…、あれ全部発目が入学してから作ったサポートアイテムさ。休みの日は鴻上ファウンデーションに篭ってるらしいけど、それ以外の平日は夜遅くまでここに滞在しては、ああやって発明に没頭している。今まで多くのサポート科を見てきたけど、発目はやはり特異だ」

 

「これ全部発目さんが…?」

 

「ガラクタばかりだな」

 

「でも、これだけの量を4ヶ月余りで作ってたなら、凄いよ…」

 

壁の隅に大量に山積みされたサポートアイテムを見て火野、ウヴァ、耳郎は呟いているとパワーローダーは続けて口を開いた。

 

「『常識とは18歳までに身に付けた偏見である』。アインシュタインの残した言葉だ。彼女は失敗を恐れず常に発想し試行している。イノベーションを起こす人間ってのは、既成概念に囚われない。もっとも、鴻上の会社の方がもっと彼女が作った物が散らばっているだろうけどね」

 

優れた才能を持つ者は幼くしてそれは開花し、変貌を遂げる。それだけ発目という彼女の存在と発明は大きいものだろう。鴻上ファウンデーションでも特別に許可されて手伝っているのも納得が行く。

そんな彼女を見て火野は、凄い子だと実感し感服していたのだった。

 

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★☆

 

 

そんなこんなで4日後ーーーー…

A組は再び体育館γで、必殺技のトレーニング真っ最中。

 

「オッハー。進捗どうだい、相澤君」

 

「また来たんですか……ボチボチですよ」

 

生徒達が訓練に励む中、オールマイトが顔を出し、気軽に相澤に声を掛けるが、何度も来られて鬱陶しいのか相澤は適当にそう応えていた。

その頃、緑谷はコスチュームを改良してもらったのか肘まで覆うくらいの白いグローブを模したサポートアイテムを嵌め込み、確認を取っていた。

 

「緑谷!コスチューム変えたのか!」

 

「うん!腕の負担を減らしてくれるサポーターだよ」

 

「どうせなら全とっかえでイメチェンすりゃいいのに!地味目だしよ」

 

「いいんだ。ベースはなるべく…崩さない」

 

峰田の言う通りオールマイトに憧れている緑谷のジャンプスーツは、派手な貴重性とは掛け離れた地味目のデザインとなっている。彼のイメージに合わせてデザインしたものかと思っていたのだが、どうやら母親から貰った入学祝いらしく、そのベースはなるべく変えないと決めているらしい。人にはそれなりのこだわりがあるのだろう。

一方で、何日か経過したのも合ってか、生徒達の半数以上は既に必殺技を編み出している者もいた。常闇もその1人に入っている。

 

「纏え、ダークシャドウ…!」

 

『アイヨ!』

 

常闇の声に合わせてダークシャドウは常闇を覆うように纏い、ダークシャドウの鎧を纏わせた形状となる。

 

「ダークシャドウを纏う事で弱点であるフィジカル・近接をカバー…。名付けて…〝深淵闇躯(しんえんあんく)〟!」

 

「言いづらくない?技名は言いやすさも大事よ」

 

『アイヨ!』

 

近くに居たミッドナイトがそうアドバイスをすると、常闇は頷き、代わりにダークシャドウが返事をする。

常闇を含めて、徐々に成果を出して行く生徒達。その中、相澤は爆豪の居る場所に目を向けて口を開いた。

 

「ようやくスタイルを定め始めた者もいれば、既に複数の技を習得しようとしている者もいます」

 

目を指す方向、そこには爆豪がセメントスが用意してくれた壁のコンクリを前にして集中していた。爆豪の爆破は基本的に溜まった汗を掌から放出させて爆発する戦闘を得意とするが、彼は掌に丸い穴を作った手を乗せてコンクリの壁へと標準を合わせる。

 

「(掌全体じゃなく、一点に集中し起爆……)新技・〝徹甲弾(A・Pショット)〟!!!」

 

機関銃の如く放たれた爆破はコンクリの真ん中部分へと無数に直撃し、見事風穴を開けていた。

 

「はっはぁ!出来たぁ!!」

 

「おー、やるなあ爆豪君」

 

「ったりめぇだ!!てめェの技の数なんか一気に追い抜いてやらぁ三色野郎!!」

 

「そこは別に張り合わなくて良いだろ…」

 

完成した技に喜ぶ爆豪。ふと、たまたま隣の訓練場に居合わせていたオーズが賞賛していると爆豪はキレ気味に挑発してくる。相変わらずのコミニケーションにオーズは苦笑いしながらそう応えていた。

 

「爆豪少年は相変わらずセンスが突出している…」

 

それを下から見ていたオールマイトはそう言って相澤に視線を向けた、その直後。爆豪が壊したコンクリに亀裂が走り、一部の瓦礫がオールマイトの居る真下へと落下した。

 

「あ オイ、上!!」

 

「ちょ…!」

 

「馬っ……」

 

気付いた爆豪が声を上げる。オーズは駆け出し、相澤は捕縛布に手をかけた。

だがその時だった。

いち早く気付いた緑谷が地面を蹴って跳躍すると、爆豪の立っているせり上がったコンクリに足を置き、瞬時に蹴って瓦礫目掛けて突撃する。

 

「〝SMASH〟!!」

 

その動作、行動に目撃していた誰もが目を見開く。緑谷の戦闘法は基本〝拳〟がメインだった。それは師であるオールマイトと同様。なのに、今落下してきた瓦礫を〝ドロップキック〟で蹴り砕いたのだ。

それを見ていたオールマイトは安堵する表情では無く、何か弟子が答えを見つけたのか笑顔で「正解だ」と呟いていた。

同時に、上から駆けつけようとしていたオーズも驚いた表情で口を開く。

 

「!…凄い緑谷君…足で……あれ?今の()()って……」

 

「…アイツめ、お前の〝蹴り〟を真似たな」

 

察したアンクが隣で見ていたのかそう呟く。

今の蹴りはタトバキックを模した蹴りだった。標的の瓦礫の真上まで跳躍して飛び出し、背後のせり上がったコンクリの壁を一度蹴って勢いを上げていた。そしてその瓦礫目掛けてオーズ特有のドロップキックを見せた。少しオリジナルを兼ねているだろうが、まさしくオーズの必殺技に似ていたその技に、オーズは「…へぇ、やるなぁ緑谷君」と嬉しそうに笑っていた。

 

瓦礫を蹴り砕いた緑谷は地面へと着地し、オールマイトに「大丈夫でしたか!?オールマイト!」と安否を問う。勿論無傷だったオールマイトは「ああ!」と応えていたが、直ぐにその足に装備されているサポートアイテムへと目がいく。

オールマイトは基本的に拳がメイン。ワン・フォー・オールを授かった緑谷も無意識の内に拳が基本だと脳内に擦り刻まれていたのだが、まだコントロール出来ていない彼はその力を制御出来ずに腕を負傷する一方。これ以上怪我をしない状態を維持するならば、それをどうすればいいのか。

答えは簡単だ。

腕が不安なら〝脚〟をメインにすれば良い。

それが、緑谷の考えた新しい戦闘法、

〝ワン・フォー・オール フルカウル シュートスタイル〟だ。

 





ー 常闇の必殺技 ー

体育館γにて、訓練に励む生徒達。

常闇「…アンク、少しいいか?」

アンク「あ?…お前は、常闇か?」

常闇「少し質問…いや、聞いてもいいか?」

アンク「お前が話しかけてくるとは珍しいな。で、なんだ?」

常闇「お前の名……どんな漢字を使っているか教えてほしい」

アンク「は?漢字だと?」

常闇「あぁ、いやなに……個人的に気になっただけなのだが…一度気に悩むと居ても立っても居られない性分でな…」

アンク「………フン、俺はグリードだ。名前に漢字なんてものは存在しない」

常闇「……そうか。それはつまり漢字は無いと言う事だな?…すまない、時間を取らせてしまったな。感謝する」

常闇はそう言ってその場を去った。

常闇「…よし、俺が考案していたあの技名は()()になる事は無くなったな」

意外と技名と名が被るのを気にかけていた常闇。
こうして、常闇の深淵闇躯(しんえんあんく)が誕生したのだった!





No.104 心浮かぶ

更に向こうへ!Plus Ultra!!
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