いつかの明日へ、【ヒーロー】は助け合いでしょ 作:しょくんだよ
ケツブツと説明と試験開始
「雄英大好きとか言ってた割に入学は蹴るってよくわかんねぇな」
「ねー…変なの」
「変だが
士傑高校の生徒達、主に夜嵐イナサに絡まれた後、相澤の言っていた入学を蹴ると言う驚愕の事実に瀬呂は驚き、芦戸はそう返事をする。推薦入学トップの実力を持つのは本当らしく、相澤は忠告していると、「イレイザー!?イレイザーじゃないか!!」と今度はコスチュームを来た女性が相澤に声を掛けてくる。オレンジ色のバンダナ、スマイリーフェイスが描かれたコスチュームを着用しており、見たところプロヒーローなのだろう。すると、その声に反応した相澤は振り返り、彼女の顔を見るとこの世の物とは思えない程の嫌悪した表情になっていた。
「テレビや体育祭で見てたけど、こうして直接会うのは久し振りだな!!」
「あの人は…!」
「知り合い?」
知っているのか緑谷が口を開くと、火野は尋ねる。応えを聞こうとした瞬間、その女性は思いがけない発言を相澤に言った。
「結婚しようぜ」
「しない」
まさかの求婚発言に思わず芦戸は「わあ!!」と嬉しそうに声を漏らす。
「しないのかよ!!ウケる!」
「相変わらず絡みずらいな、ジョーク」
即答で断られた女性は面白いのかブッハーと吹き出して笑っていた。そんな中、その女性について緑谷が嬉しそうに語る。
「スマイルヒーロー『Ms.ジョーク』!
〝個性〟は『爆笑』!近くの人を強制的に笑わせて思考・行動共に鈍らせるんだ!彼女の
事細かく解説する緑谷。ヒーローオタクの彼が居れば知らないヒーローの説明をしてくれるとある意味助かっているのも事実だ。
「私と結婚したら笑いの絶えない幸せな家庭が築けるんだぞ?」
「その家庭幸せじゃないだろ」
断られたのにも関わらず、Ms.ジョークはアピールするが、それでも拒否をする相澤に彼女は再び「ブハ!!」と吹き出していた。すると、2人はどういう関係なのか気になった蛙吹が相澤に声を掛けた。
「仲が良いんですね」
「昔事務所が近くでな!助け助けられを繰り返すうちに相思相愛の仲へと「なってない」
昔のヒーロー活動の好らしく、Ms.ジョークはそう蛙吹に伝えようとするが、話を盛られているのか相澤は直ぐにそれを否定した。
それを面白可笑しくMs.ジョークは笑っていると相澤は何かに気付いたのか声を掛けた。
「何だお前の
「本当いじりがいがあるんだよなイレイザーは。そうそう、おいで皆!雄英だよ!」
揶揄いながらMs.ジョークはこちらに向かって来る他の生徒達を確認すると声を張って呼び込む。火野達もその生徒達に気付き、見つめているとその生徒達は雄英生を見るなり物珍しそうにそれぞれが口を動かした。
「おお!本物じゃないか!!」
「すごいよすごいよ!テレビで見た人ばっかり!」
「1年で仮免?へぇー随分ハイペースなんだね。まァ、色々あったからねぇ。さすがやることが違うよ」
黒髪の男、ツインテールの女、ロン毛の男、そして喋ってはいないが甲殻な男を筆頭にゾロゾロとやってきては、楽し気にA組生徒達を見てそう言っていた。
すると、先程までバカに笑っていたMs.ジョークの表情は真顔になり、相澤達に言った。
「傑物学園高校2年2組!私の受け持ち、よろしくな」
傑物学園高校。ヒーロー育成では一定の評価を受けている私立高校で、雄英や士傑よりもそこまで評判では無いが、良い実績を残すとの噂話を聞いた事があると。火野はそう思い、傑物学園の生徒達を見ていると、先頭に立っていたリーダーらしき黒髪の男が突然緑谷に詰め寄り、彼の手を両手で掴んだ。
「俺は真堂!今年の雄英はトラブル続きで大変だったね」
「えっあ」
「しかし君達はこうしてヒーローを志し続けているんだね。素晴らしいよ!!不屈の心こそこれからのヒーローが持つべき素養だと思う!!」
友好的なのかA組生徒達の両手を掴んで握手していく真堂。だが握手された雄英生徒達は顔を曇らせていた。
バチコン!と爽やかにウィンクする真堂に「ドストレードに爽やかイケメンだ…」と上鳴は言うと、真堂は爆豪と火野へと振り返り声を掛ける。
「中でも神野事件を中心で経験した火野君、爆豪君」
「あ?」
「え?」
「君達は特別に強い心を持っている。今日は君達の胸を借りるつもりで頑張らせてもらうよ」
「ああ…えと、はい…こちらこそ」
戸惑いながら火野は差し伸べた手を握って握手を交わし、真堂は続いて爆豪にも手を伸ばすが、爆豪はそれを払い除けた。
「フカしてんじゃねぇ。台詞と顔が合ってねぇんだよ」
「こら、おめー失礼だろ!すみません無礼で…」
「いいんだよ!心が強い証拠さ!」
爆豪の態度に見兼ねた切島が叱り、真堂に謝ると、彼は耐えないスマイルを見せてそう振る舞っていた。
のだが、爆豪の言った直後、密かにニヤリと笑みを浮かべていた真堂の口を火野は見逃さず見つめていた。
「ねぇ轟君、サインちょうだい。体育祭カッコ良かったんだあ」
「やめなよミーハーだなぁ」
「はあ…」
「オイラのサインもあげますよ」
一方で傑物学園のツインテールの女が轟にサインを求め、ロン毛の男は失礼だと指摘していた。対応に困る轟の隣で、峰田はしれっと自分のサインを上げようとしているが、見事にスルーされていた。
「おい、コスチュームに着替えてから説明会だぞ。時間を無駄にするな」
他校との会話で盛り上がっている最中、相澤は雄英生徒達に声を掛ける。それを聞いた生徒達はハッとし、「はいっ!」と全員が返事をした後、耳郎が口を開いた。
「何か…、外部と接すると改めて思うけど」
「イヤハヤやっぱ結構な有名人なんだな、雄英生って」
雄英体育祭や
「ひょっとして…言ってないの?イレイザー」
Ms.ジョークの言葉に相澤は何も返さず、試験会場へと足を踏み出している。A組生徒達もそれに続く様に歩き出す中、火野は体の中にいるウヴァに声をかけていた。
「ウヴァ、ちょっといい?」
『ム、何だ?』
☆★☆★☆★☆★
コスチュームへと着替えたA組一同は、試験の内容の説明を受けるべく、説明会場へと赴いた。すると、そこには受ける生徒であろう人達が会場を埋め尽くさんと集まっていた。
「こんなに受ける人達が居るのか…!」
「ハッ、狭苦しいにも程がある」
軽く1000人以上はいるであろうその人数に驚く火野。その隣に、外に出ていたアンクが息苦しそうな表情で悪態吐く。すると、辺りの生徒達が火野の顔を見るなりボゾボソと話声が聞こえて来た。
「おいアレ、オーズの火野じゃね?」
「本物だ」
「マジか、てことは雄英がここ受けに来てんの?」
敵意を向ける視線、本物に会って感激している目線と、他の生徒達に見つめられ火野は思わず苦笑した。
「な、なんか調子狂うなァ…」
「フン、向かって来る奴は容赦無く潰せば良いだろ」
「物騒な事言うなよ。…でもまァ、意味合いは違うけどそうだな」
誰であろうと敵である以上、アンクは叩きのめす気持ちで言った。闘争心が強いのはグリードの性質のせいなのだろうか、火野はそれを別の意味で捉えて会釈する。
気持ちを切り替えようと深呼吸をする火野。すると、前方の壇上に上がるスーツの男が立っていた。
「えー…ではアレ……仮免のやつを、やります。
あー…僕は、ヒーロー公安委員会の目良です、好きな睡眠はノンレム睡眠。よろしく」
如何にも気怠るそうな自己紹介をする目良。
「仕事が忙しくてろくに寝れない…!人手が足りてない…!眠たい!そんな信条の下、ご説明させていただきます」
本音がボロボロと出ており、一切の疲れを隠さないその男に集まった試験者達は困惑した目で見つめていた。
「ずばり、この場にいる受験者1540人一斉に、勝ち抜けの演習を行ってもらいます」
そのまま急に試験内容を発表すると、周りから「ざっくりだな」「マジか」などと驚きを隠せず声を漏らす生徒達がいた。目良はそのまま続けて説明をする。
「現代はヒーロー飽和社会と言われ、ステイン逮捕以降ヒーローの在り方に疑問を呈する向きも少なくありません」
ステイン逮捕をきっかけとした、ヒーロー飽和社会並びにヒーローの在り方への疑問。社会に新たな風を起こした彼の生涯。『ヒーローとは見返りを求めてはならない』『自己犠牲の果てに得うる称号でなくてはならない』と言っていたその執念。その言葉を思い返していた火野を含め、あの場にいた緑谷、飯田、轟は重んじた真剣な眼差しで目良の言葉を受け止めていた。
「まァ…一個人としては…、動機はどうであれ命懸けで人助けしている人間に〝何も求めるな〟は…現代社会に於いて無慈悲な話だと思うわけですが…。とにかく…、対価にしろ義勇にしろ多くのヒーローが救助・
事件発生から解決まで至る重要な役目はそのスピード。迅速な対応が求められているのが今回のヒーロー候補生達の議題なのだろう。
「よって試されるはスピード!
条件達成者
「「「「!?」」」」
「待て待て1540人だぞ!?5割どころじゃねぇぞ!!?」
「まァ社会で色々とあったんで…。運がアレだったと思ってアレして下さい」
「マジかよ……!」
想像を絶するその合格方法に候補生達は驚愕し、思わず反論する生徒がいたが、目良は軽く受け流すように伝え、続けて口を動かした。
「で、その条件というのがコレです」
そう言って目良が取り出したのは薄いピンク色のした球体と機械的造形がされた小さな的のような物だった。
「受験者はこのターゲットを3つ、身体の好きな場所、ただし常に晒されている場所に取り付けて下さい。脇や足裏などはダメです。そしてこのボールを6つ携帯します。ターゲットはこのボールが当たった場所のみ発光する仕組みで、3つ発光した時点で脱落とします。3つ目のターゲットにボールを当てた人が〝倒した〟事にします。そして
「6個…だけだったら、おいおい無くなれば終わりじゃないか……」
「馬鹿が、誰かからぶん奪れば良いだろ」
1人3ヶ所に当てる。2人なら6個。持ち玉が6個だけならばもし外してしまえば足らなくなってしまう。焦る火野に、
「えー……じゃ、
「展開?」
おかしな発言に疑問を抱く轟。他の候補生も疑問を浮かべている直後、天井辺りからゴゴ…と地響きが聞こえた。火野はバッと上を見上げると、大きく目を見開いた。
「各々、苦手な地形、好きな地形があると思います。自分を活かして頑張ってください」
「(((無駄に大掛かりだな!!)))」
まるで自動式の箱が開かれるみたいに、天井の壁が鉄のワイヤーに外から引っ張られて展開される。雄英さながらの大掛かりな仕掛けに驚くのも束の間、展開された外には街、工場、高く聳え立つ山など、沢山設置された地形の一帯が広がっていたのだ。多古場全てを試験会場にしたとは言え、これだけの設備を取り付けたのは逆に感服してしまう。
すると、配布されたターゲットを体に取り付けながら緑谷はA組に声をかけた。
「先着で合格なら… 同校で潰し合いはない…。むしろ手の内を知った中でチームアップが勝ち筋…!皆!あまり離れず一塊で動こう!」
1分しかない時間に、他の候補生達も続々と各設備へと散らばって行き、緑谷自身も焦りつつ冷静に指示を出す。ふと、そんな発言を聞いた
爆豪は気に入らないのか「ケッ」と悪態を吐いて緑谷から背中を向けた。
「フザけろ、遠足じゃねぇんだよ!」
「バッカ、待て待て!!」
「かっちゃん…!」
「切島君!」
色々な経験を積み重ね、場数を踏んで来た緑谷がいつの間にか頼もしくなっていた。その発言にほぼ全員が賛同するが、唯一彼を嫌う爆豪は当然従うまでも無く、そのまま走り去って行った。切島と上鳴が後を追いかけて行くと、今度は轟が「俺も」と言って一歩踏み出した。
「大所帯じゃ却って力が発揮できねぇ」
「轟君!!」
「緑谷時間ねえよ!行こう!!」
実力者が2人も抜けてしまい、焦る緑谷。
だが、悠長に時間など待ってはくれず、刻々と差し迫るのを峰田が急かす。後が無い緑谷は「う、うん」と仕方なく了承していると、アンクが火野に声を掛けた。
「おい映司、俺達も別で動くぞ。緑谷達が周りに居れば返って闘い辛いからなァ」
「いや、俺も緑谷君の言う事に従う」
「あァ?おい!」
単独で行動すれば、味方に構う事無く力の威力が強いオーズが戦場を独断出来ると提案するアンクだが、仲間思いの火野は即答で断り、駆け出す緑谷達の後を追う。リスクの高い選択をした火野に呆れるアンクだが、それが火野映司なのだと直ぐに諦めがついたのか、アンクも後を追いかけた。
走っている内に、いつの間にかカウントダウンがアナウンスされており、残り5秒を切っている。
『5………4……』
「単独で動くのは良くないと思うんだけど…」
「何で?」
「だってホラ…!僕らはもう手の内バレてるんだ」
爆豪達を気に掛ける緑谷の独り言に峰田が反応する。
『3…』
「さっき僕が言った勝ち筋は他校も同様なわけで……。学校単位での対抗戦になると思うんだ。そしたら当然、次はどこの学校を狙うかって話になる」
『2…』
「うん、俺もそれ気になってたんだ」
緑谷が考察を喋ると、隣まで走って来た火野がそう応える。その火野の隣を走っていた耳郎が「どういうこと?」と尋ね、火野が応えようとしたその時だった。
「お、おいアレ!?」
『1……START!!』
何かに気付いた峰田が驚愕した表情で言い、指を指す。カウントダウンも言い終わり合図が知らされると同時に、傑物学園の生徒達が一斉に
「アンク!」
火野は急いでアンクの名を呼ぶと、察していたアンクはタトバのメダルを直ぐに投げていた。火野はそれを受け取りながら、「やっぱり…」と呟く。
試験を受ける前、説明会場の場所に居た時、雄英生徒だけあって注目されたり声を掛けられていたが、その視線は
全国の高校が一斉に競い合う中で唯一『〝個性〟・不明というアドバンテージ』を失っている高校。体育祭というイベントで〝個性〟はおろか弱点・スタイルまで恐らく割れたトップ校。
単刀直入で言えば、〝こちらの情報が丸出し〟なのだ。
「〝自らをも破壊する超パワー〟。まァ… 杭が出てればそりゃ打つさ!!!」
緑谷の〝個性〟を口に出す真堂を筆頭に、傑物の生徒達は一斉にボールを雄英生徒目掛けて投げて来る。周りを見れば、他の候補生達もそのどさくさに紛れボールを投げていた。
明らかに先手を打たれてしまった雄英生。開始直後に四方八方からボールを投げられてしまえば、初めて受ける候補生達はほぼ全滅しても仕方無いのかもしれない。
だが。
「変身ッ!」
タカ!
トラ!
バッタ!
タ・ト・バ!タトバタ・ト・バ!
ボールが飛んで来ると同時にオースキャナーをドライバーへ振りかざしていた火野。音声時に現れるエネルギー状のメダルが向かって来るボールを宛ら盾のように弾き返す。そのままオーズへと姿を変わると同時に、背後に立っていたA組生徒達もまた、各々の〝個性〟を使ってボールを防いでいた。
そう、どんなに不利な状況でも『やる事は変わらない』。
「緑谷君!」
「大丈夫ッ!皆、締まって行こう!!」
オーズは緑谷へと振り返ると、シュートスタイルでボールを蹴散らした緑谷が強く頷き、全員へと呼び掛ける。A組生徒達は「応!!」と力強い返事をして、背後を獲られんと円陣を組み、戦闘態勢へと入ったのだった。
No.106 白熱!各々の実力!
更に向こうへ!Plus Ultra!!