いつかの明日へ、【ヒーロー】は助け合いでしょ   作:しょくんだよ

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作戦段階と槍術と愛くるしい動物


No.108 裏の裏

 

突島とオーズが対面し戦闘を開始した頃合いを見定め、才達も同じ学園の生徒達を引き連れて動き始めていた。

 

「才様。突島さんが雄英生を誘き出し、別のビルで戦闘を始めました」

 

「あらあら…。メダル使いの雄英生相手に大丈夫かしら?誘き出すだけでよろしくてよ」

 

「何か作戦があっての判断なのでは?」

 

小太りの生徒が報告をし、そう言って尋ねると才は顎に手を乗せながら上の空の目を向ける。だが、その表情は心配している様には見えなく、才は「フフッ」と静かに笑い出した。

 

「彼女の運動能力を計算すれば、少し不安では有りますが今は彼女を信じましょう。先ずは初手段階終了……私達も手筈通りに、第一段階開始」

 

「はい」

 

才の言葉に、別の女子生徒が頷きながら最新モデルのラジカセを取り出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

「障子ちゃん、どう?」

 

「駄目だ、クラスの奴らの姿は見えない」

 

「他のエリアにいるのかしら」

 

「恐らくな」

 

ビルの最上部へと到達した八百万達は、他の候補生達を探すと同時に、散り散りになったA組生徒達がこのエリアに居るのではないかと捜索を試みるが、障子の〝個性〟を使用しても、辺りにはそれらしい人物が見当たらない。オーズとアンクも敵の後を追ってしまい、今後どうするべきかと八百万は思考を巡らせている。

 

「ヤオモモ」

 

ふと、ビル内の音響を調べていた耳郎が八百万に声を掛ける。イヤホンジャックを壁に突き刺しながら、耳郎は口を動かした。

 

「階段を歩く足音が4つ…10階下……上って来てる…!」

 

耳郎の言葉に八百万達は警戒し、障子が口を開く。

 

「やはり、入り口で差し向けたあの生徒の作戦か」

 

「このビルに入るのも作戦の内と言う事なのかしら?」

 

「そのようですわね。この状況で私達が狙われていると言う事になるでしょう…。ですが、やって来るのは4人だけと言うのは気になりますわね…。核が動こうとも、もっと大勢でチームを組んでいる筈…火野さんの方に人数を差し向けた…?」

 

障子に続いて蛙吹が喋り、八百万は少ない数の人数が上がって来てると言う言葉に疑問を抱く。雄英屈指の実力者がメンバーから離れてしまい、残された4人がここに来る事も、もしかしたら計算の内。即ち陽動なのかと八百万が考えたその直後だった。

 

「ッ!?うああああああァ!!?」

 

「耳郎さん!?」

「耳郎ちゃん!?」

 

突然断末魔を上げて壁からイヤホンジャックを外し、耳を押さえながら倒れ伏せる耳郎に八百万と蛙吹は何事かと駆け寄る。ハッとした障子は複製した耳を壁に当てると、微かだが下の階から大音量で流しているであろう音楽が聴こえた。

 

「音楽が鳴ってる……俺はともかく、耳郎にいきなりこの音はキツいだろう…!」

 

「うぅ…!!」

 

微細な音をキャッチ出来る耳郎にとって、屋内で流れる音楽は、一般の人で例えるなら耳元で爆音を流されると同じ音量となる。鼓膜に激痛が走るのか苦痛にもがいている耳郎を目の前にして、蛙吹は顔を曇らせながら口を開いた。

 

「耳郎ちゃんの〝個性〟を知ってて妨害したのね」

 

「それが本当なら、ビルに入ろうとした時点で俺達は狙われている…!」

 

「マズいですわ…!これでは敵の詳細が…」

 

耳郎が負傷してしまい、敵の位置が把握出来なくなった事に焦りを感じる八百万。

 

一方で、入り口から4人の仲間と思われる女子生徒達を引き連れた才はそのままビルのエレベーターへと入り込む。不敵な笑みを浮かべながら才は口を開いた。

 

「第一段階終了……第二段階、開始」

 

才の合図が降りたと同時に、八百万達のいる通路の外窓が1枚、突然罅が入った。

 

「何だ!」

 

障子が逸早く気付き驚いていると、その連鎖は止まる事なく通路の窓が次々と罅が入っていく。

 

「ッ、隠れて!!」

 

「外からの攻撃!?」

 

八百万は敵の攻撃だと察知して全員に向けて声を上げる。耳郎も復帰して窓際の反対側へと身を潜めながら警戒する。ふと、蛙吹は疑問に思った。外からの攻撃なら容易に八百万達を狙う事が出来たのに、何故窓に罅だけを入れるのか。そして何か確信したのか「これは…」と蛙吹が声を漏らす。その後に続けて障子は口を開いた。

 

「くっ…、俺の目も封じるつもりか…!?」

 

その隣ビルの屋上には、腕にサポートアイテムを取り付けパチンコ状みたくゴムで礫を飛ばしている聖愛学院の生徒がいた。外の景色が見えない程度の罅を次々と入れていく中、八百万は隠れながらも思っている。1番最初に今のメンバーの実力者、火野を誘導させて分断。ビルに入った後、索敵能力の高い耳郎と障子の〝個性〟を封じた。それはつまり、相手は八百万達の〝個性〟を完全に把握していると思われる。

 

「八百万、相手の目的は何だッ?」

 

「恐らく、私達をここに釘付けにするつもりですわ!」

 

「その間に私達を包囲するつもりね…!」

 

「えぇ、既に近くまで来ていると考えた方が良いかもしれません」

 

八百万達が敵の意図を探っている中、八百万達が居る廊下より前の部屋でエレベーターが到着する音がする。現れたのは才率いる聖愛学院の候補生達で、既に準備をしていたのかその部屋には2人の候補生が居た。

 

「順調に進んでまして?」

 

「はい、才様。ちょうど今、第二段階が終了したと思われます」

 

「フフフフ…、複製の〝個性〟を封じ、音波使いが慌てて動き出す…。隙が生じて彼女の手の甲に備えられたアイテムを壊してしまえば、ビルの壁を破壊出来る程のパワーは居なくなる…」

 

「では才様。第三段階に移行します。屋上で狙撃を行っている彼女も、監禁した雄英生を警戒した後に、メダル使いの雄英生と交戦している突島さんの加勢へと向かう筈です」

 

「わかりました。では、後は宜しくて?」

 

第二段階の作戦は、障子の〝個性〟を封じるだけでは無く、攻撃を仕掛けようと耳郎がアンプリファーを使おうとする所を、狙撃に優れた聖愛学院がそれを撃ち抜いて壊すのが真の狙いだった。

現に扉の向こうの耳郎は撃ち抜かれて壊されてしまい、尚且つイヤホンジャックにも負傷を負ってしまっている。

そして、次の指示の承諾を貰った聖愛学院の生徒は、取り出した溶接面を顔に装着し、指先からボッ!と青く発光する火を着火したのだった。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★☆

 

 

同時刻、突島に誘き出されたオーズとアンク。不意の攻撃にターゲットを1つ当てられたオーズは彼女の素早く瞬発的な動きに動揺する中、アンクが突島に声を掛けた。

 

「お前、只者じゃ無いな?とても人間が出来る様な芸当じゃないぞ」

 

「…それは、訓練、したから。君の〝個性〟も、えと…大体把握してる。この武器も、私の…〝個性〟」

 

 

 

突島突姫(つしまとつき)

 

個性『槍』

 

聖愛学院2年!体から槍を生成し、己の武器として扱う!

自在に扱うのは彼女自身の訓練が必要で、槍の形状を変える事も出来る優れ物!!一本を出すにはカロリーを消費し、その一本に付きおよそ500キロカロリー消費する!連続で使用するのは危険だが、食べ過ぎた時のダイエットには打ってつけだ!!

 

 

 

突島はそう応えながら、自身の持つ槍を器用に振り回してオーズ達に向ける。いつ攻撃を仕掛けて来るか読めない動作を見せる突島に、アンクはオーズに声を掛けた。

 

「おい映司、相手が女だからって油断するな」

 

「わかってる…!あの子、相当訓練してるみたいだし、手加減なんてしたらこっちがやられるのは目に見えてるから」

 

一瞬の実力を見せつけられたオーズは試験内容を思い出す。ターゲットを3つ当てられてしまえば即脱落。1つをもう当てられてしまったのでこれ以上の失点は許されない。今は八百万達を信じて、目の前に居る突島を警戒し身構えている。

それを見ていたアンクは「フン」と鼻で笑い、口を開いた。

 

「ならとっとと始末しろ。コレを使え」

 

そう言って、ピンッ!とメダルを指で弾き、オーズの頭上から落下する。慌ててオーズはそれをキャッチすると、()()()()()()()コアメダルに首を傾げた。

 

「これって…?」

 

「里中から貰った。そのメダルは俺も知らないメダルだが、この機会に試すのに打ってつけだろ」

 

『パンダ』を模したコアメダルを見つめながらアンクは応える。前世の時代でも見たことが無いコアメダルを見つめながら、不愉快そうに応えるアンクにオーズは「よし…」と頷き、ドライバーに嵌め込まれているトラのメダルと入れ替え、ソレをオースキャナーでベルトへとスキャンした。

 

 

 

 

タカ!

 

パンダ!

 

バッタ!

 

 

 

 

音声が鳴り響き、オーズの胴体は文字通りパンダの姿へと変わる。一見トラアームと変わらない見た目をしており、配色が白黒を基調としたフォームだ。

その姿の名はオーズ〝タカパンバ〟。

 

「あ、パンダ………可愛い」

 

オーズの胴体にある円状のシンボル(オーラングサークル)を見た突島は絵柄を見るなりボソッと呟いており、オーズも「え?」と言い確認すると、その真ん中にはパンダの絵柄がクッキリとあった。

 

「本当だ…ってアンク!可愛いって言われたぞ、これ強いのかッ?パンダじゃん!」

 

「知るか、文句があるならドクター真木に言え!」

 

文句を垂れるオーズにキレ気味に返すアンク。「ああもぉ!」とオーズは無理矢理踏ん切りを付けて突島へと駆け出す。

向かって来るオーズを目視し、突島は体に付いているターゲットの位置を確認する。ドライバーよりやや下の右腰部分のターゲットは先程当てて赤く光っており、残りは左肩と右太腿部分。

対してオーズも突島の両肩とお腹部分に取り付けているターゲットを確認し、ボールを取り出しながらその場を跳んだ。

 

「君が言ってた、ボールを殴る様に当てれば節約出来る!」

 

「えと、そんなに〝間合い〟に入られたら、こっちも…狙いやすい」

 

そう言いながらオーズはボールを突き出しながら飛び掛かり、突島は槍を構えて右横を狙わんと大きく振りかぶった。突き出すボールよりも突島の槍の方が早く、オーズに直撃する瞬間。

 

ギャリッッ!!

 

「!?くっ…!」

 

槍の刃先がオーズに命中するのだが、オーズは咄嗟に腕に仕込まれている〝パンダクロー〟でその攻撃を防いだ。劈く金属音と火花が飛び散り突島は顔を顰めながら、距離を取ろうとオーズの懐へ蹴りを叩き込む。

 

「うわぁ!」

 

咄嗟に蹴られたオーズはそれを諸に食らってしまい、転がるように倒れる。そのまま飛び退いた突島は自身の右肩を見遣る。赤く点灯したターゲットを見ながら突島は口を開いた。

 

「……普通、刃物向けられたら、皆、驚く筈なのに」

 

「いってて…!あれ、痛くない…?まぁ、刃物扱う人と戦って経験したから慣れって言うか…。てか、これ試験なのにそんな物騒な物使っていいの?」

 

蹴られた懐に痛みを全く感じ無いオーズは疑問を抱きながらも、突島の槍を見てそう言うが、突島は考えながら口を動かした。

 

「これ…〝個性〟だから…。それに、この刃鋭利じゃ無い。わ、私の意思で模造刀みたいになってるから」

 

ポツポツと教えてくれる突島に「あぁそっか。〝個性〟なら問題無いんだった」と納得する。

そんな呑気な姿のオーズを見て、アンクは苛立つ様に舌打ちをする。

 

「映司!ボサッとしてる暇あるならさっさと脱落させーー…」

 

そう言おうとした瞬間、アンクの頬に強い衝撃が走る。ハッとした時には、目の前の地面が凹んでいた。恐らく何かが飛んできたのだろう。アンクは勢いよく振り返ると、隣のビルの屋上で先程八百万達に狙撃していた聖愛学院の女子生徒がこちらに狙撃用のアイテムを向けていた。

 

「ハッ、仲間が居たのか。…良いだろう、この俺が相手してやる」

 

じんわりと痛む頬をおさえながら怒りを込み上げるアンクは睨みながら言うと、残っているオーズに向かって声を上げた。

 

「映司!お前もとっととそいつを片付けろ、コイツを使え!」

 

アンクはそう言って1枚のコアメダルを取り出し、オーズへと投げ渡した。反応したオーズはソレをキャッチすると、アンクは狙撃する女子生徒に向かってその場から飛び立つ。

 

「ちょ、アンク何処行くんだよ!?」

 

「余所見…!フンッ!」

 

「うわっっ、たっ!?」

 

勝手に離れるアンクにオーズは呼び止めようとするが、背後を突島が狙おうと槍を振り下ろす。オーズは気付いて慌てて横へと転がり避け、アンクから貰ったコアメダルを見つめる。

 

「これも見た事無いメダル…、今は使うしか…!」

 

使った事の無いコアメダルだが、形振り構ってられずにオーズはソレをパンダのメダルと取り替える様に装填し、オースキャナーでドライバーをスキャンした。

 

 

 

 

 

 

タカ!

 

カンガルー!

 

バッタ!

 

 

 

 

音声が鳴り響き、オーズの胴体はパンダからカンガルーへとメダルチェンジされる。茶色をベースとした色味を纏い、両腕にはカンガルーのパンチ力を模した赤いパンチグローブ(ガンガングローブ)が備われていた。

この姿がオーズ〝タカガルバ〟だ。

 

「おぉ腕が軽い!これならパンチも凄いぞ!」

 

「今度はカンガルー…?本当色んなメダル持ってるね…!」

 

軽量化されたのか身軽に感じる両腕に興奮し、ボクシング選手の様な素振りをし出すオーズ。対して再び形態が変わったオーズを見た突島は、驚きながらも槍を振り翳してオーズへと駆け出した。

突島はそのまま槍を突きで攻撃を仕掛ける。だが、オーズは先程の動きとは別格の立ち回りで槍を避け、突島の脇腹目掛けて右フックを当てる。

 

「うっ!?」

 

「ハッ、フッ!タァッ!」

 

よろける突島。だがオーズの攻撃は止まらずに左ジャブ、右ストレート、左フックと拳を連続で当てる。途中から何とか体制を立て直して槍で防御を取る突島だが、連続パンチに押し負け、耐えきれずに突島はオーズから飛び退き距離を取った。

 

「ケホ……凄いパンチ…」

 

「あ、ごめん!痛かった!?」

 

「別に」

 

咳き込む突島にハッとしたオーズは慌てて謝るが、痛かったのか少しムッとする突島。

 

「……ふぅ、落ち着け……」

 

すると、ハッとした突島は首を横に振って深呼吸をする。感情的になってしまうのだろうか、反省する仕草を見せると、オーズは急に「あ!」と声を上げた。

 

「何…?」

 

「このグローブ、一体化してて全然取れない!うわぁコレじゃあボール持てないじゃんか!?」

 

手に固定しているガンガングローブ。ボールを持つどころかメダルチェンジも出来ないようで慌てふためくオーズに、突島は「ふざけてるの…?」と槍を握り締めて勢いよくオーズ目掛けて飛び出した。

 

「ハァッ!!」

 

「ッ!?うわあ!!」

 

物凄い勢いで突っ込む突島に反応が遅れてしまい振り上げた槍を諸に食らってしまう。火花が飛び散ると同時に、その槍の刃先がオーズドライバーに直撃してしまったのか、ドライバーからカンガルーとバッタのメダルが宙を舞った。

 

「あ…」

 

「えぁ…!メダルッ」

 

まるでやり過ぎたと言わんばかりの声を漏らす突島。オーズも2枚のメダルが宙を舞っているのに気付く。

すると、宙を舞って落下する2枚のメダルの内、カンガルーのメダルは見事に()()()()()()が入っていた左スロットへと装填される。

バッタメダルはそのまま地面に落ちてコロコロと転がって行き、体制を立て直したオーズは慌てて追いかけてメダルを拾った。

 

「あっぶないあぶないっ。無くしたらアンクがカンカンに怒るだろな〜……ん?」

 

拾い上げて安堵の息を吐くオーズは、カンガルーのメダルが装填されている事に気付く。すると、「もしかして…」と呟き、空いた真ん中部分のスロットにパンダのメダルを装填し、オーズはオースキャナーでドライバーへとスキャンした。

 

 

 

 

 

タカ!

 

パンダ!

 

カンガルー!

 

 

 

音声が鳴り響き、パンダの胴体に加え、脚部はカンガルーを模した形状へとなっていた。チーターレッグと似たような形状だが、向こう脛に備えられたバネ、〝スパイラルシャンク〟が特徴的で、その影響なのか小刻みにオーズはピョンピョンと跳ねて軽快なフットワークを見せる。

今の姿の名はオーズ〝タカパンガル〟だ。

 

「おぉ凄い!このメダル脚にも使えるんだ!それに足が軽い!カンガルーフットワークだ!」

 

身軽さは脚部へと移行されて驚きながらも喜ぶオーズ。突島も目を見開いて驚くが、槍を強く握り締めて口を開いた。

 

「芸が達者だね…でも、そろそろ勝ちに来ないと向こうもやられるよ」

 

「そうだね!八百万さん達は、()()()()()だけど、時間が限られてるから勝負付けさせて貰うよ!」

 

()()()…?」

 

オーズの言葉に、疑問を抱く突島。すると、オーズはボールを取り出して、勝負を仕掛けようと突島に突っ込んだ。

 

「真正面…!」

 

突島は槍を構えて身構える。だが、突っ込んだオーズは脚部の脚が発光すると、()()()()()が生えた。

 

「尻尾…!?」

 

「ハッ!」

 

その尻尾をオーズは突っ込む途中で地面に強く叩きつけ、横へと移動する。反応に遅れた突島の隙を突いてオーズはボールを投げ付けた。

 

「うっ!?」

 

ボールは見事突島の腹部にあるターゲットに命中し、赤く発光する。当てたボールはそのまま跳ね返って宙を舞うと、オーズはそれ目掛けて尻尾を使ってジャンプした。

 

 

「〝カンガルーキック シュート〟!!」

 

 

オーズは宙を舞うボールを目の前にして、器用にオーバーヘットキックを撃ちかます。偶然思いついた技名と同時に蹴り出されたボールは物凄い速度で突島に突っ込み、ソレは左肩のターゲットへと命中した。

 

「あ…!」

 

思わず声を漏らす突島。ターゲット全てにボールを当てられてしまい、突島のターゲットから『脱落です』と通信音が聞こえる。

 

「あぁ…、負けちゃった。本当、強いね」

 

「そんな事無い。君も凄い強かったよ」

 

「……んん、やっぱ難しい、な……」

 

「え?」

 

小さく呟く突島にオーズはキョトンとするが、突島はオーズの体を見て口を開いた。

 

「えと、多分()()してるから、控え室行ったら…?」

 

「合格?そんなこと、合格者って2人にターゲットを当てる筈でしょ?」

 

突島の言葉に疑問を抱いてそう言った瞬間。

 

『通過者は控え室に移動して下さい。……早よ』

 

「え?あれ!?何で!」

 

突島にしかボールを当ててないのに合格通知を知らすターゲットに驚くオーズ。すると、ハッとしたオーズはアンクが跳んで行った隣のビルの屋上へと振り返ると、そこにはアンクがボールを持って立っていた。

 

「アンク!?」

 

「フン、俺の方が少し早かったな?」

 

アンクの隣には狙撃していた女子候補生が悔しそうに座っていた。彼女のターゲットは全て赤くなっている。アンクがボールを奪って当てたのだろう。

解せない気持ちのオーズだが、状況が如何であれ火野は第一次選考の予選を通過した事に変わりは無い。

 

 

『…はい、現在通過者は55…あ、いや、59人目です。半分以上は切りましたので、残りも手早くさっさと急いで下さい……』

 

 

急に目良のアナウンスが聴こえ、その人数にオーズは耳を傾けて指で数を数える。

まさかと言わんばかりの表情でオーズは八百万達が居るビルへと向かって行った。

 

そして、オーズが向かうビルの屋内。

 

「まさか…有り得ません、私の方程式が狂わされるなんて…!!()なのですか貴方!?」

 

ボロボロになっている服で床に横たわる聖愛学院達。才もまた同様で、赤く発光しているターゲットを見ながら声を張り上げる。その先には、人間態のウヴァが立っており、想定外の出来事に驚愕している彼女を見てウヴァは口を開いたのだった。

 

「フン、虫ケラが…」

 

 





No.109 雄英LUSH!

更に向こうへ!Plus Ultra!!


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