いつかの明日へ、【ヒーロー】は助け合いでしょ 作:しょくんだよ
続けて高評価ありがとうございますううう!!
感謝感激過ぎますですううう!!
説明と不安とビッグ3
始業式は終わり、アナウンスと共に校内へと戻る生徒達。A組も教室へと戻って席へ着くと、早速相澤がHRを始めた。
「じゃあまァ…今日からまた通常通り授業を続けていく。かつてない程に色々あったが、うまく切り換えて、学生の本分を全うするように。今日は座学のみだが、後期はより厳しい訓練になっていくからな」
「話ないねぇ…」
淡々と報告する中、芦戸が後ろの蛙吹へと耳打ちをする。だがそれを見逃さなかった相澤は髪が上部へと浮き、捕縛布がゆらゆらと宙を舞う。〝個性〟を発動した時の状態だ。
「何だ芦戸?」
「ヒッ!久々の感覚!」
「ごめんなさい、いいかしら先生」
低い声と共に睨まれる視線にビクッとする芦戸。すると、蛙吹が挙手をして口を開いた。
「さっき始業式でお話に出てた〝ヒーローインターン〟ってどういうものか、聞かせてもらえないかしら」
「そういや校長が何か言ってたな」
「俺も気になっていた」
「先輩方の多くが取り組んでらっしゃるとか…」
その言葉に瀬呂、常闇を筆頭に教室内は騒つく。八百万も挙手して相澤にそう尋ねると相澤は頭を軽く掻きながら口を動かした。
「それについては後日やるつもりだったが……そうだな、先に言っておく方が合理的か…。平たく言うと〝校外でのヒーロー活動〟。以前行ったプロヒーローの下での職場体験…その本格版だ」
「はぁ〜…そんな制度あるのか……………」
説明を聞いて感心する麗日。すると、ハッとしたと同時に席から勢いよく立ち上がる。
「体育祭の頑張りは何だったんですか!!?」
急に声を上げる麗日に前席に座っていた飯田が肩をビクッとして驚きながらも、その言葉に何か気付いた様子で口を開く。
「確かに……!インターンがあるなら、体育祭でスカウトを頂かなくとも道が拓けるか」
確か、体育祭で相澤が言っていたのは『年に1回、計3回だけのチャンス』は職場体験で数あるプロヒーローに見てもらい、評価と知名度を知らせるイベントだった。今回のヒーローインターンが本格的なら、体育祭でのアピールとその指名は何だったのか?麗日と飯田に続いて火野もそう疑問を抱く。
「まー落ち着けよ、麗かじゃねぇぞ」
「しかしぃ!」
あんなに頑張ったのにと言わんばかりの形相な麗日を宥める砂藤。それでも気になってしょうがない麗日に相澤は説明した。
「
その説明に麗日は食い下がる様に納得する表情となり、「わかったら座れ」と相澤に言われた麗日は「早とちりしてすみませんでした…」とイソイソと座り込む。
「仮免を取得したことで…より本格的・長期的に活動へ加担できる。ただ1年生での仮免取得はあまり例がない事。
本来は2年から受けれる行事活動を今の学年で受けれるのは前代未聞の話。それだけ
「もっとも……」
ふと、相澤はそう言って目線を火野に向ける。気付いた火野も軽く眉を上げて様子を伺うが、相澤は軽く首を振って口を開いた。
「まァ……体験談なども含め、後日ちゃんとした説明と今後の方針を話す。こっちも都合があるんでな。じゃ…待たせて悪かったマイク」
「一限は、英語だーー!!すなわち俺の時間!!久々登場俺の壇場待ったか ブラ!!!今日は詰めていくぜーー!!!アガってけー!!イエアア!!」
相澤が背を向けると同時に教室の扉が勢いよく開かれ、プレゼントマイクのMAXなテンションと共に授業が行われる。だが彼のテンションにもう慣れてしまったのか生徒達は「はーい」と普段通りのテンションで対応していた。
一方、入れ替わる様に教室を出て行った相澤。手に持っていた資料の1枚がはみ出ており、それが彼の視界に入る。
「(情報が漏れるのは早いもんだ……もう
相澤はそう思い廊下を歩いて行く。そのはみ出た資料の題名には、『鴻上ファウンデーション』と書かれていたのだった。
☆★☆★☆
「あー終わったーっ!」
「久しぶりの授業疲れたねー」
「なんか習ってねー文法出てたよな」
「あーソレ!!ね!私もビックリしたの!」
授業が終わり、帰宅する時刻となった教室内は今日の出来事をクラスメイト達が話し合っていた。色々と濃い夏の期間合間って勉強は完全に疎かになってしまったと火野も少し焦る様子で教科書を鞄に詰め込む。
「帰って予習しないと」
『終わったか?さっさと帰るぞ、アイスが食べたい』
『アンク、俺にもよこせ』
『死んでもやるか』
『なに…?』
「わかったわかった、帰ったらな」
1日中、火野の体の中にいたアンクとウヴァは早速と言わんばかり自分の欲望を解放してくる。火野は宥めながら教室を出よう足を運ぶと、廊下の向こうから走ってくる音が聞こえてきた。
「私が全力でキタ!!」
「わっ!」
「あ、オールマイト」
扉を開けた瞬間、オールマイトが「ハッ…ハッ…」と息切れを起こしながら現れ、驚く火野とその後ろにいた上鳴が気付く。
「どうしたんですか?」
「火野少年、ちょっといいかい?」
クラスメイトの視線が集まる中、火野にオールマイトは手招きをしてそう言う。火野はキョトンとしながらも「わかりました」と言って、オールマイトの後をついて行った。
☆★☆★☆★☆
「おいオールマイト。要件あるならさっさと言え。こっちは1日中アイス食ってないから苛々してんだよ…!」
「アンク!」
「俺もだ。いちいち呼び止められては腹も立つ」
「ウヴァ!もォ、…すみませんオールマイト…」
「いや、3人共すまない…聞きたい事があるんだ。それが終わったら直ぐに帰っていい」
個室に呼び出された早々にアンクとウヴァが火野の体の中から出て来ては文句を垂れる。その失礼な態度に火野は代わってオールマイトに謝るが、オールマイトは申し訳なさそうにお茶を淹れて、火野達の元へ置くとその口を開いた。
「まず先に、火野少年。合格おめでとう」
「あ、ありがとうございます」
少し笑みを浮かべながらオールマイトは言う。憧れたヒーローも合間ってか、火野は照れ臭そうに素直に喜ぶ。「それを言う為だけに呼んだのか?」とアンクはキレ気味に尋ねるが、オールマイトは「いや…」と続けて口を開いた。
「試験の時、私は別の用事があって居合わせていなかったのだが、事情は塚内君から
一旦区切るオールマイト。その言葉の意味が何なのか、火野達は察して俯き気味の顔を上げる。
「アンク少年、ウヴァ少年達と同じグリードが生まれた事。あの紫のメダルを上手く使いこなせた事……そして、君達がこの世界の存在では無い事をね。……先に謝っておこう。転生してきたという事に、私はまだ半信半疑だ…すまない」
「い、いえいえ!そんな急に言われても信じて貰えないのは俺も承知ですから…」
事実を知っているのならもう隠す必要は無い。頭を下げるオールマイトに火野はそう言って両手を振るう。塚内と信吾は成り行きで納得してくれてはいたが、実際は信じて貰えないのが当たり前だ。
すると、アンクは鼻を鳴らして口を開く。
「フン、じゃあ何だ?事細かく説明すれば信じて貰えるのか?」
「…いや、失礼。言い方が少し違ったな。私が君達を呼んだのは、確信が欲しいからだ」
「あ?」
「つまりどう言う事だ?」
オールマイトの言葉に首を傾げるアンク。ウヴァも同様で、そう尋ねた。
「全ての真実を把握している訳では無いのだが、火野少年。君のオーズの力はとても危険な力だと聞いた……。現に紫のメダルの力を見てしまったから私もそれは重々把握している。生徒を危険に晒してしまうのは教師として見過ごせないのだが…そうも言えないのが事実だ…」
俯き加減でそう言うオールマイト。恐らく、弟子である緑谷のことを言っているのだろう。
「建前上、無理はするなと言わせてほしい。そして、火野少年…君に尋ねたい……君は、どんなヒーローになろうとしている?」
その言葉に火野は「え?」と声を漏らす。少しだけ沈黙になるが、火野は直ぐにその質問を答えた。
「勿論、どんな場所にも手が届く…貴方みたいなヒーローになる事です」
「それは、
「え」
「例えば、君の中から生まれたグリード…カザリも、その中に加われるのかい?」
再び声を漏らす火野にオールマイトは真剣な様子でそう尋ねる。アンクもその言葉の意味を察した様子で火野を見つめる。実際にカザリがどれだけ危険な存在なのかはアンクとウヴァだけが知っている記憶上でしか説明していないが、脇真音達の行動と同じように、欲望の為にヤミーを生み出して人々を襲う。お人好しの性格だろうとオールマイトに言われれば少しは考え方も変わるのではないかとアンクは少しだけ期待していたのだが、それは無意味な考えだった。
「……でもやるしかないんです。自分が関わった人みんなを幸せにするために。そうすれば、ひどい奴もきっとわかってくれます」
他人を助ける為なら、自分をいくらでも犠牲にしてしまう過剰な自己犠牲精神は何処の世界に居ても、記憶を無くしてようとそれは変わらない。真っ直ぐに応えたその表情にオールマイトは「そうか…」と頷く。
「それが君の真意だね…。ありがとう、すまない……それが聞きたかっただけだ」
「何だ、もう話は終わりか?」
「あぁ、時間を取らせてしまってすまないね。今日はもう帰ってもらって構わないよ」
アンクの言葉にオールマイトは安堵した表情で笑みを浮かべそう言う。火野は若干キョトンとしながらも「わかりました」と頷き、アンクとウヴァを連れてその部屋から出て行く。
部屋に1人、残されたオールマイトは塚内との会話を思い出していた。
『塚内君、その話は本当なのか…!?』
『あぁ、僕も最初は驚いたよ。でもあのオーズの〝個性〟といい、アンク君やウヴァ君のグリードといった特異体質…それに、脇真音姉弟も同じ〝個性〟…彼等が異様な力を持っているとなると、その話は嘘では無いのも合点がいく』
『Sit…信じ難い話だ…』
『そうだね。…オールマイト、君は今まで通り、彼等の教師として接してくれ。この話はできるだけ公に出さない様にする為にも。そして、〝監視〟という形で彼等を見守っていてほしい。紫のメダルが制御出来たみたいだけど、完全にとは言い切れないからね』
「……やれやれ、どうしたものか…」
教師としてそれらしい事を振舞ったが、内心はかなり動揺している。
オールマイトはそう呟きながら、少し心配そうな顔をして出て行った扉を見つめていたのだった。
☆★☆★☆★☆
後期が始まってから4日が経過し、謹慎を終えた緑谷は、爆豪より一足先に雄英高校へと登校して来た。
「ご迷惑おかけしました!!」
「デクくん、オツトメごくろうさま!!」
「オツトメって……つか何息巻いてんの?」
教室に入って来たと同時に頭を下げる緑谷。鼻息が荒い様子を見て耳郎は少し困惑していると、緑谷はズカズカと歩き出し、飯田の元へと歩み寄る。
「飯田君!ごめんね!!!失望させてしまって!!」
「う、うむ…反省してくれれば問題無いが…」
「どうしたの、そんなに声を荒げて?」
「この3日間でついた差を取り戻すんだ!」
「あ、良いな。そういうの好き俺!」
いつもより一層険しい緑谷に火野が尋ねると、3日間で置いてけぼりにされたのに焦りを感じたのか鼻息を深く吐きながら宣言する緑谷。その意気込みに共鳴したのか切島が隣でグッと拳を握っていた。
「じゃ、緑谷も戻ったところで、本格的にインターンの話をしていこう。入っておいで」
十分なやる気を見せた所で、授業が始まる。相澤は扉の向こうへと声を掛けると、教室のドアがスラー…と開かれていく。
「職場体験とどういう違いがあるのか、直に経験している人間から話してもらう。多忙な中、都合を合わせてくれたんだ。心して聞くように」
相澤が言うと共に教室へと呼ばれた生徒達が入って来る。男子2人と女子1人だ。彼等を見た火野は、何処かで見た事のある様な顔ぶれに少し首を傾げる。後ろに座っていた緑谷は、ハッキリと覚えているのか目を見開いて口をあんぐりと開けていた。
「現雄英生の中でもトップに君臨する3年生3名ーー…通称、ビッグ3の皆だ」
「雄英生のトップ…ビッグ3…!!」
「あの人達が…的な人がいるとは聞いてたけど…!」
「びっぐすりー!」
「めっちゃ綺麗な人いるし、そんな感じには見えねー…な?」
突然の紹介と共に入って来て教壇の前に立つ3年生達に教室内は騒つき始める。水色のウェーブがかかったロングヘアーの女の子、金髪でゴツい体には似合わない様なつぶらな瞳をした男、黒髪で目付きが鋭く、耳が尖っている男と、どれも見た目は個性的な3年生徒達だった。
火野も「ビッグ3…」と息を呑みながら3年生徒達を見つめていると相澤が口を動かした。
「じゃ手短に自己紹介いいか?まずは天喰から」
そう言われ、1番右に立っている黒髪の生徒、天喰は反応した瞬間、ギンッ!!と鋭い眼光を1年に向ける。
「(一瞥だけでこの迫力ーー!おおおおおお!!)」
ガン飛ばしている様に向けられた視線は、異様な威圧感を覚えさせ、1年生徒達は震え上がり気圧されていく。だが、次の天喰が発した言葉は誰もが予想出来なかった。
「駄目だミリオ…波動さん…ジャガイモだと思って臨んでも…頭部以外が人間のままで依然人間しか見えない。どうしたらいい、言葉が……出てこない」
か細い声で喋り出すかと思えば、その身体は小刻みにカタカタと震え始めていた。先程の威圧とは裏腹な態度に、生徒達は「?」と反応に困っている。
「頭が真っ白だ……辛いっ…!帰りたい……!」
「(((ええ…!?)))」
くるりと半回転し、生徒達に背を向けてしまった天喰。突然の仕草に生徒達は困惑の空気に包まれていた。
「雄英…ヒーロー科のトップ…ですよね…」
ビッグ3と聞いて緊張感を覚えていた空気は崩れ落ちる様に唖然とした空気に包まれる。その中、尾白が恐る恐る尋ねると、今度は隣にいた女子生徒が口を挟んで言った。
「あ、聞いて天喰君!そういうのノミの心臓っていうんだって!ね!人間なのにね!不思議!」
天喰とは真逆のフレンドリーな態度を見せる彼女。黒板に顔を突っ伏してもう喋れない天喰の自己紹介も兼ねて、彼女は口を続けて開いた。
「彼はノミの『天喰環』。それで私が『波動ねじれ』。今日は〝
「!これは昔…」
「あらら?あとあなた轟くんだよね!?ね!?何でそんなところを火傷したの!?」
「……!?それはーー…」
「芦戸さんはその角折れちゃったら生えてくる?動くの!?峰田君のボールみたいなのは髪の毛?散髪はどうやるの!?蛙吹さんはアマガエル?ヒキガエルじゃないよね?どの子もみんな気になるところばかり!不思議ッ」
自己紹介そっちのけで波動はA組生徒を質問攻めにし、回答する間も無くしてその移り気なマシンガントークで一同は思わず唖然としていた。だが、その好奇心旺盛な故にどこか憎めない雰囲気を出している為か、上鳴と芦戸は笑顔で言った。
「天然っぽーい、かわいー!」
「幼稚園児みたいだ」
「オイラの玉が気になるってちょっとちょっとーーー!!?セクハラですって先パハァイ!!」
「違うよ」
己の欲まみれな感想を息遣いを荒くして言う峰田に後ろの席の八百万はドン引きして、瀬呂が静かにツッコみを入れる。その間に波動は尾白や他の生徒達に質問を続けていると、相澤がイラつき始めているのか、金髪の3年生に声を掛けた。
「合理性に欠くね?」
「イレイザーヘッド、安心して下さい!大トリは俺なんだよね!!」
慌てて金髪の男はワタワタと相澤を宥めさせると、一歩前に出て大きく声を上げた。
「前途ーーーーー!!?」
耳に手を当て、急な呼び掛けとその言葉にA組は驚く間も無く(ゼント……?)と困惑していた。
「多難ー!っつってね!よォし掴みは大失敗だ!」
激しくオーバーリアクションを取って、ハッハッハ!と高笑いが教室内に響き渡る。先程の天喰といい、波動といい、途轍も無く個性的な3年生達に生徒達はいよいよ動揺と困惑を隠せずボソボソと耳打ちをし始めていた。
「3人とも変だよな……ビッグ3という割には……なんかさ……」
「風格が感じられん……」
「まァ何が何やらって顔してるよね。必修ってわけでもない
フッと高笑いを止めて金髪の男の雰囲気が変わり、ジロジロとA組生徒達を見るなりくちを動かす。
「そうだねェ…何やら滑り倒してしまったようだし…」
「ミリオ…!?」
何かを察したのか黒板に突っ伏していた天喰が彼の名を呼ぶ。そして、次の言葉に一同は予想打にしない発言を聞いた。
「君達まとめて、俺と戦ってみようよ!!」
「え……」
「「「「ええ〜〜!?」」」」
いきなり戦闘を申し込むミリオに一同は驚愕し騒然の空気に包まれる。火野もポカンと口を開け、驚く中ミリオは相澤に声を掛けた。
「俺たちの〝経験〟をその身で経験した方が合理的でしょう!?どうでしょうね、イレイザーヘッド!」
「……………好きにしな」
No.118 A組VS通形ミリオ
更に向こうへ!Plus Ultra!!