いつかの明日へ、【ヒーロー】は助け合いでしょ   作:しょくんだよ

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皆さん大変お久しぶりです。
子供も無事に育っている中、時間に余裕が少しずつ出来始めたので書きました。
随分と長い間書いていなかった為、前までどう書いてたんだ?と自分の中で焦っていました泣。

そして、前回感想を書いてくださった人達へ。
返信が出来ず、本当申し訳ありません汗
ちゃんと感想見てニヤニヤしてますので、何卒ご了承くださいまし汗

それでは、、、、


カウント・ザ・メダル!現在、オーズの使えるメダルは!!


タカ×2
クジャク×3
コンドル×3

クワガタ×2
カマキリ×1
バッタ×1

パンダ×1
カンガルー×1
ヤドカリ×1

プテラ×1
トリケラ×1
ティラノ×1


No.123 練習と事件と恋愛コンボ?

 

校外活動(インターン)の初日を迎えた火野は鴻上ファウンデーションにて、より迅速に現場へと駆けつける為・戦闘のサポートを有する〝ライドベンダー〟の存在を知り、鴻上会長の〝個性〟『権限』によってバイクの免許を取得する事となった。真木博士の紹介とは知らずに一緒に来た耳朗、そして別に来ていた後藤合わせて3人の生徒はライドベンダーを乗りこなす為、用意されている講習場にて、練習を励んでいたのだった。

 

 

☆★☆

 

 

ブォン!!とアクセルを吹かす音と共に練習用の大型バイクに乗った人物はS字のコースを軽快に走らせる。その運転捌きは驚く程に器用なもので、監督で見届けていた伊達も思わず「おお…」と声を漏らしていた。

教えたコースを一通り走り終え、指定された場所へと止めると、火野はヘルメットを外してエンジンを切り「ふぅ…」と一息を吐いた。

 

「おいおいマジかよ、スゲーな火野ッ。ちょっと教えただけで結構乗り回してんじゃんじゃないの!?さてはコソコソと乗ってたなァ?」

 

「というか……素人とは思えない運転技術だな」

 

「い、いえいえッ、そんな事ないですよ!?今日乗ったのが本当初めてなんですッ。初めてなんですけど…えっと、何て説明すれば良いか…なんか、乗った感じが()()()じゃないような気がして……」

 

歩み寄って来た伊達と後藤は驚いた表情で声をかける。丁寧に教えたとは言え、素人が中型以上のバイク…否、そもそもバイクを一度乗っただけで簡単に乗りこなす事など出来ない。火野はあたふたしながらそう言い訳をしていると、いつの間にか立っていたアンクが「フン」と鼻を鳴らして火野に近寄ると、耳打ちをする様に口を開いた。

 

「大方、()の記憶が身体に馴染んでたんだろ」

 

「あ〜…」

 

その言葉に火野は納得の声を漏らすが、表情は打って変わって「え、そうなの?」と言わんばかりに顔を顰める。前世の元の精神をそのまま引き継いだのならその説も妥当な考えとも言えるが、記憶はリセットされた以上火野は解釈も出来ず困惑するけど顔を浮かべていた。

すると、伊達はアンクに声を掛ける。

 

「アンコ、お前乗らなくて良いのか?」

 

「………。ハッ、俺は発案者だぞ?あんな乗り物くらい簡単に乗りこなせる」

 

「そうは言っても、世の中決まりってのがなァ…」

 

「フン、また人間のお得意の規則か?言っとくが、仮に映司が乗りこなせる様になったら、その脳内を見て俺も自在に扱えるようになる。これで何も問題がないだろ?」

 

「マジ?もしかしてウギャもか?すっげえな」

 

「ウヴァだ!バース、巫山戯るのも大概にしろ!」

 

唯我独尊の如く技術の大変さを覆すように物申すアンクに、伊達は返ってその性能に驚いていた。練習場を見ていたウヴァが声を荒げる中、後藤は火野に声を掛ける。

 

「火野、今度は俺が乗る」

 

「あぁ、わかりました。…あ、ヘルメットはいっ」

 

「全く、お前の直感的な神経は逆に感心する。俺も負けてられないな」

 

「そ、そんな事ないですよっ。後藤さんの方が俺なんかより上手ですし、俺もまだまだですから」

 

「相変わらずの謙遜だな。俺こそ、まだ乗らしてもらってまだ間もないんだ。……でもまァ、せめてここの先輩らしい所は見せないとな」

 

ヘルメットを被り、バイザーを下げながら後藤は小さく呟く。その声に火野は「え?」と声を漏らすが、後藤は「なんでもない」と言ってバイクに跨り、アクセルを吹かして走行させて行った。それを見届けていた火野は、別方向へと目線を向ける。そこには教官をしている里中と、倒れたバイクをゆっくりと起こす耳郎の姿が目に入っていた。

 

「よいしょっ…!と、うわッ本当に起こせた」

 

「はい。足を密着して支え、持ち上げれば重たいバイクだろうと女性でも難なく持ち上げられます。もっとも、雄英で鍛えられた身体あってこそですけどね、流石です」

 

「あ、ありがとうございます…。ふぅ…」

 

「緊張してますか?」

 

「は、はい…。バイクなんて初めて乗るもんですから…。里中さんはどうでしたか、運転の方は」

 

「どうも何も、私は通勤時にバイクを使用してますので、乗り慣れていますよ」

 

「マジっすか」

 

「マジです。さ、お話はこれくらいにして本題に入りますよ。次は実際に走行してもらいます」

 

「は、はい!」

 

常に冷静に喋る里中。ビジネスがモットーと聞いてはいたが、面倒見が良さそうな雰囲気を見て火野は微笑ましく見ていると、伊達が声を掛けた。

 

「火野、お前の番だぞ次」

 

伊達の声に気付けば、後藤は走り終えたのかいつの間にかスタート地点にバイクから降りていた。「は、はい!」と慌てて火野は返事して向かおうとすると、悪戯心を得た笑みで口を開いた。

 

「どしたどした。耳郎ちゃんの事が気になって仕方ない顔してるな?」

 

「え?あぁそうですね…、訳もわからずここに来てしまったんでちょっと心配で…」

 

「そりゃお前もだろ?いや、そうじゃなくてだな、俺が気にしたのは()()()じゃあないんだよねェ…」

 

「え?何です?」

 

キョトンとする火野に伊達は苦笑しながらくるりと半回転し、「最近の子は興味無いのかねえ」と呟く。再び火野はキョトンとしながら、首を傾げ、そのまま練習を続行したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★☆

 

 

「おい見ろよ、あの人スゲー美人じゃね?」

 

「ホンマや、どっかのモデルさんとちゃうか?」

 

「やべェ、普通に見惚れちゃう…」

 

火野達が練習に勤しむ中、三鷹市の街中で1人の女性がその場を歩いている美しい姿を、人々は野次馬の様に彼女の美貌を見惚れていた。市街地なら、若い女性も多く街中を歩いてはいるが、人々が立ち止まって見るほど絶世な美女はそう存在しない。

それもその筈、彼女はグリードのカザリによって欲望を露わにした化粧品会社の女性だ。

快楽に堕ちたその表情。その心の奥底では、欲望と言う名のセルメダルが1つ、また1つと貯蓄されていく。その音をビルの屋上から聴いていたカザリがニヤリと頬を上げた。

 

「世界は違っても、欲望はどの世界でも同じ…。フフ、人間は本当に欲深い生き物だね。ま、こっちが助かるけど」

 

そう言いながらカザリは目線を1つのビルに向ける。そこは下にいる女性の小さな会社だった。その中にある部屋の片隅には、繭みたいなモノに覆われた卵が、鼓動を打つ様に不気味に、脈打つ様に動く。それはまるで、彼女の中にある欲望のセルメダルに反応するかの様だった。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

再び鴻上ファウンデーションにて、午前の実技練習は終了し、昼飯の時間となり広々とした食堂ルームで従業員達が食堂を訪れ、食事をとっている中、火野、耳郎、後藤もまた食事をとっていた。朝昼晩の食事は鴻上から提供されるので、学生の彼らにとっては非常に有り難く堪能していたのだが、飲み物を口から離した耳郎が「あー…」と気の抜けた声を出しており、気になった火野が口の中にある食べ物を飲み込んで声を掛けた。

 

「お疲れ様、耳郎さん」

 

「火野もお疲れ様、いやァ…バイクなんて縁が無かった乗り物なのにさ…。火野と後藤がマジで羨ましいよ、何であんなに簡単に乗れるの?」

 

「俺はここの関係者だ。かなり特殊なバイクだが、仕組みと技術が分かればなんともない」

 

「俺は〜、え〜っと身体がすぐ慣れた…って感じかな?」

 

「軽く才能を見せつけられた気分なんですけど…」

 

聞く相手を間違えたと言わんばかりに耳郎はため息混じりの息を吐く。

そもそも校外活動(インターン)でバイクの免許を取得すると言う目的でさえ衝撃の出来事、その上何も予兆無しに、土日である休日の今日明日は()()()()()で練習する事になっているのだ。平日は普段通り学校も行かなければならないし、終われば就寝前まで鴻上ファウンデーションでバイク講習というハードなスケジュール。〝休みが無い〟、それを分かっていても、しんどい事は目に見えているので耳郎は少し不服そうな態度を見せていた。

ふと、そんな彼女が目に入ったのか後藤が口を開く。

 

「…しんどいのは察するが、普通ならバイクの免許を取得するのに1ヶ月は必要な期間だ。それを1週間そこらで取れって言われる方が現実的に厳しい条件だからな」

 

「……耳郎さん、もししんどかったら無理しなくても大丈夫だからね?」

 

後藤に続いて火野も心配そうにフォローに入る。もともとこの校外活動(インターン)は火野だけがA組で受ける特別な案件だったのだが真木博士の独断で耳郎も半ば強制で受けている。思いもよらない活動内容に後藤もフォローせざるを得なかったのだろう。そんな彼らの言葉に俯き気味だった耳郎は「……いや」と顔を上げた。

 

「ちょっとハードだけど、バイクが乗れるなんて滅多な事だし、経験しとかないとッ。それに、ウチもヒーロー目指してるのにこんな弱音吐いてる場合じゃないからね。ありがと後藤、火野」

 

「ッ、うん!そうだね、よォし午後も頑張るぞ!」

 

彼女のやる気を見せる微笑ましい表情に火野もやる気を見せて声を上げる。後藤も軽く頬を上げて鼻で笑っていると、「そう言えば」と火野は何か思い出したのか後藤に尋ねた。

 

「後藤さん、バイク取得だけが今回の校外活動(インターン)なの?」

 

「いや、一応校外活動(インターン)の定でここに来てる訳だから合間を見てヒーローとしての訓練を行うそうだ」

 

「あ〜、そうだよね」

 

「……アハ…ハ…」

 

予想はしていたが、そうであって欲しくない後藤の発言に火野は顔を顰め、耳郎は思わず悲しみの笑みを浮かべていたのだった。

 

 

 

 

☆★☆★

 

 

「…お、来たね」

 

 

三鷹市のビルの屋上。

気配を察知したカザリは不気味な笑みを浮かべ、顔を向ける。ビルの中にあった繭に覆われた卵から亀裂が入り、パチュッ!と弾ける様にエイサイヤミー(ソレ)は産まれた。小型のヤミーと言えど、次々と卵から産まれて部屋一帯の空中をウヨウヨと泳ぎ始める。

 

「フフフッ、存分に暴れなよ。渦巻く欲望と言う海の中をね」

 

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★☆

 

 

 

食べ終えた火野は、突然身体の()()に違和感を感じる。それと同時に近くに座っていたウヴァもまた「ん…」と何かに気付いたのか顔を上げる。

次の瞬間、火野は突然バッと立ち上がる。

 

「火野?どうし……」

 

耳郎は声を掛けようと火野の顔へと視線を向けた直後、耳郎の言葉が止まった。彼の眼は左右共に()()へと変色していたのだった。火野自身もこの感覚が何なのかは薄々察していた。それは紫のメダルの力だと。恐らくヤミーが現れる、即ち欲望の力が現れると紫のメダルがそれに反応したのだろう。

 

「この感じ……まさか……!!」

 

「ヤミーが現れた…カザリか!」

 

「「!?」」

 

ヤミーと言うワードに耳郎と後藤は顔色を変えて席から立ち上がる。すると、何処に行っていたのか、食堂の窓に足を掛けるアンクが姿を現した。

 

「映司、ヤミーだ。しかもかなりの数の気配だ、その中にはーーー」

 

「カザリだろ?分かってる、俺も感じるから」

 

「ッ…お前、紫のメダルか?」

 

「あぁ、何となくだけど俺も分かるんだ」

 

「チッ、馬鹿が。オールマイトの約束忘れた訳じゃないだろな?その力はあまり使うなッ……だがまぁ、それなら話が早い。とっとと行くぞ。久々のメダル稼ぎだ、奴からもコアメダルを奪い取るチャンスだからなァ」

 

ヒーロー仮免許取得の会場で殆どのコアメダルを奪われてしまったアンクは屈辱を晴らせると言わんばかりの不敵な笑みを見せると、そのまま窓の外へと飛び降り去って行く。

高層ビルの上層階に近い場所に居るので、その破天荒な行動に耳郎は「えっ、ちょっ、ここ何階…ッ」と目を見開いていると、後藤はスマホを取り出して耳に当てた。

 

「火野、耳郎、俺は伊達さんに連絡する!コスチュームに着替えて下で待機しろ!」

 

「あ、うん!」

 

「わかった、ウヴァも行くよ」

 

「フン。カザリの野郎に会えるのなら、ついて行く価値はあるか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★☆

 

 

「うわぁ、(ヴィラン)だっ!」

 

その一方で街の方には、何処からとも無く現れたエイサイヤミー。

サイの怪人がイトマキエイを背負ったような風貌と見た目のグロテスクな姿に怯えて市民達は恐怖し、逃げ惑う中エイサイヤミーは高らかに笑う。

 

「フハハハ、醜い!醜い人間共め!美貌を求めぬ者に価値は無い!」

 

悪党に相応しい台詞を吐き捨てながらも、エイサイヤミーは街を横断し、その口から水を纏った弾を辺りへと吐き散らす。壊れて行く建物の瓦礫が落下していく中、飛翔していたアンクがエイサイヤミーの前へと降り立った。

 

「…あ?なんだ、また()()()のヤミーか。まァ、カザリ()がガメルとメズールのコアメダルを持ってやがるからこんな芸当が出来るのも訳ないか」

 

猫系のグリード、カザリは以前アンクから奪った重量系と水系のコアメダルを持っている。恐らくそれらを組み合わせれば目の前にいる混合系のヤミーを作ったのだろう。

前世もそういった手口を使っていた為か、アンクは皮肉そうにエイサイヤミーを睨みつける。

すると、人々の騒ぎの中火野、ウヴァと耳郎がアンクの元へと駆け付けた。

 

「アンクッ」

 

「映司、奴はカザリが生み出した混合系のヤミーだ」

 

「混合系だと?カザリの野郎、妙なヤミーを…」

 

自身の知らないヤミーを見てウヴァはカザリに怒りを覚える中、耳郎は状況を見渡しながら口を開いた。

 

「あれってUSJの時のヤミー!?早く伊達さん達に知らせないとーー」

 

「知らせるも何も、ここにヤミー専門のヒーロー様がいるだろ」

 

「えっ?いや、ウチらはまだ仮免のヒーローだし、〝ヤミーを見つけ次第、俺に知らせろ〟って伊達さんが…」

 

「あ?フン!そんなの待ってられるか!お前が勝手に知らせろ。もっとも、アイツはそんなの待ってはくれなさそうだが?」

 

仮免許を取得したとしても、個人でのヒーロー活動は厳禁されている。火野、耳郎、そして後藤は現場に来たとしても、悪魔で伊達のサポートであって、避難誘導が優先的。

 

ここに来る前に、伊達と後藤、火野と耳郎で別々に行動し、耳郎の言う通り伊達にはヤミーを見つけ次第無理な戦闘を避けて知らせろと命令されている。

だがもう一つ言われている事があった。

 

「耳郎さん!ここは俺が被害を食い止めるから、伊達さん達にこの場所知らせて!」

 

伊達に言われたもう一つは、ヤミーを先に見つけたら、〝防衛として戦闘をしろ。危なくなったらその場から離れろ。〟

その命令に従う火野は耳郎にそう告げ、オーズドライバーを腰に宛い、装着する。

 

「わ、わかった…!火野、気を付けてよ!」

 

「うん。アンク!」

 

耳郎はそう言い残すと、逃げ惑う市民達に向かって「あちらに避難を!」と声を張り上げ誘導を始める。

迅速に避難誘導をする耳郎を誇らしげに見つめる火野は、エイサイヤミーへと振り返り、アンクにメダルを催促するよう手を差し伸ばした。

一方でアンクはタカのメダルを取り出すが、トラのメダルが無い以上タトバに変身は出来ない。

 

「…まァ、一度戦った相手だ。俺のメダルじゃ相性が悪いな。おいウヴァ!お前のメダルを映司に渡せ」

 

「あァ?嫌に決まってるだろ、コアメダルは貴重なんだッ」

 

「おいアンク!」

 

敵を目前としている状態でまた喧嘩かと火野は怒号すると、アンクは舌打ちしながらもウヴァに話を持ち掛けた。

 

「ウヴァ!奴の属性はメズールを多く引き継いでいる。俺のメダルじゃなく、お前のメダルなら戦いが有利になるぞ」

 

「ム?……そこまで言うなら、2枚、2枚だけだ」

 

ウヴァはそう言いながらカマキリとバッタのメダルを取り出す。

アンクは「よし、映司!」と、ウヴァも「映司!」と言って2人からメダルを投げ渡された。

ソレをキャッチした火野はコアメダルを3枚ドライバーへと装填し、右腰のオースキャナーを取り出し、ドライバーへとスキャンした。

 

 

「変身!」

 

 

 

タカ!

 

カマキリ!

 

バッタ!

 

 

 

頭部は赤、胴体から下は緑の昆虫をモチーフとした形態〝タカキリバ〟となり、オーズは「ハァッ!」とファイティングポーズを構える。

戦闘態勢に入ったと認識したエイサイヤミーは腕を大きく振るい、オーズ目掛けて突進してくる。

サイのヤミーだけあってか、真っ直ぐ突進してくる相手にオーズはその場を動かず、両腕に仕込まれた強化外骨格(カマキリソード)を持つ。

 

「ハッ!」

 

「!?」

 

そして、突進攻撃をひらりと横に交わしたオーズはカマキリソードを一撃、二撃とエイサイヤミーに当て、火花を散らしながらエイサイヤミーは体制を崩す。

更に追撃にとオーズは連続攻撃を繰り出し、エイサイヤミーは地面を転げ回る。

 

「ハァッ!セイッ!」

 

「うがっ!?」

 

「っとッ!やっぱコレ使いやすいなァ」

 

とても頑丈な相手ではない限り攻撃が通りやすいカマキリソードにオーズは満足感を抱いてると、心なしかウヴァは「フン」と満足気に鼻息を漏らす。それを見ていたアンクは「単純単細胞が…」とボソッと呟いていた。

 

「オーズ!貴様も醜い存在!!私が消し去る!」

 

体勢を立て直したエイサイヤミーは怒号し、オーズに再び突進攻撃を仕掛ける。が、オーズはギリギリまで引き付け、バッタレッグの脚力を活かした強靭な蹴りをお見舞いし、ガラ空きとなった背中にカマキリソードを連続で斬り込んだ。

 

「ハァッ!」

 

「ウオッ!?」

 

火花を散らして倒れ込むエイサイヤミー。

オーズは追撃をお見舞いしようとカマキリソードを構えたその時だった。

何かを飛ばしてきたのか、オーズの辺りの地面に衝撃が走り、火花が飛び散った。

 

「うわっ!?」

 

不意を突かれたオーズはその場でよろけ、その攻撃にアンクとウヴァは何事かと飛んできた方向へと目を向ける。すると、そこには怪人態となっていたカザリが立っていた。

 

「カザリ!」

 

「やぁアンク、それにウヴァ。まさか()()君達が一緒に行動しているのを見れるなんてね。悪いけど、せっかく成長したヤミーなんだ。邪魔はさせないよ」

 

「おいカザリ!コアメダルを返して貰おうか!」

 

そう言い放ったウヴァは自身の身体をメダルに包まれ怪人態となり、カザリへと飛び掛かる。だが、攻撃を仕掛けるも容易にソレは止められ、小さい溜め息混じりにカザリは口を開いた。

 

「返して貰うって、このメダル君のじゃないでしょ?それにその()()で今の僕に勝てるとでも?フッ!!」

 

オーズに2枚を渡している為、ウヴァの持つメダルは自身のコアを入れて2枚だけ。その為、怪人態となっても胴体も脚も不完全な状態だった。対して自身のコアメダル3枚に加えて、ガメルとメズールのコアメダルを取り込んだカザリは簡単にウヴァを弾き返すと、その腕から大量の水を放出し、ウヴァは諸に直撃する。

 

「うおおっ!?」

 

「ウヴァ!」

 

「ちっ!メズールのメダルか」

 

水圧で吹き飛ばされるウヴァにオーズは声を上げ、その能力に面倒だと不満を抱くアンク。すると、カザリに集中してしまっているオーズにエイサイヤミーが突進し、オーズは直撃してしまう。

 

「だぁ!?」

 

「映司!ったく、何やってやがる!」

 

「ぬぅ…!おい映司、メダルを返せ!奴に一泡吹かせてやる!」

 

「痛た…メダル返したら俺戦えないだろッ。アンク、お前のメダル貸してよ」

 

少しでも力を取り戻して反撃をしようとオーズに催促するウヴァだが、代わりにとオーズはアンクに声を掛ける。

 

「…まァ、今はその方が良さそうだな」

 

エイサイヤミーには相性が悪いが、カザリがいるとなると、コンボの方がこの場を切り抜けられるリスクが高い。アンクはクジャクとコンドルのコアメダルを取り出し、オーズに投げ渡そうとしたその時だった。

 

カツン…カツン…とヒールの足音が聞こえる。怪物が現れたこの場所に誰かが近付いて来たのだ。オーズ、アンク、ウヴァは足音のする方角へ視線を向けると、そこにはヤミーの親である女性がこちらへと歩いて来る。

 

「あ?奴はヤミーの親か……。…!!」

 

一瞬気を取られたアンクだが、その瞬間ある()()が蘇った。前世にもエイサイヤミーが現れたが、その欲望は〝美しくなりたい〟。その時のオーズ、火野は、一種の呪いに犯された。

 

ハッとしたアンクは「映司!」と声を荒げるが、時は既に遅かった。

オーズはその女性を見つめると時間が止まったかの様に固まり、なんとその場で変身を解いてしまう。

 

「おい映司!!」

 

「な…なんて綺麗な女性なんだ……!」

 

誰もが目を引いてしまうくらいの美貌へと変貌した女性を見たその目は一目惚れしてしまい、火野は彼女に夢中になってしまっている。

 

「お、おい映司!何してやがる!?」

 

ウヴァも驚きながら火野の肩を掴んで揺さぶるが、ウヴァに見向きもしない程虜になっている。すると、カザリが「フフ」と笑みを浮かべた。

 

「前にも見た光景だね。これはデジャヴってやつかな」

 

「チッ!あんの馬鹿が!」

 

舌打ちをしながら、アンクは火野に近寄る。すると、火野は片手で胸を抑えながらアンクに声を掛けた。

 

「アンク〜、なんか変なんだ…!コンボでも無いのに、胸が苦しくて…なんかドキドキしてる…!」

 

「前にも聞いたぞ、おい映司!しっかりしろ!」

 

取り乱す火野にアンクは正気を保たせようと呼び掛けるが、火野はアンクに見向きもせず、その場で変身ポーズを行った。

 

「これって…恋愛、コンボ!?」

 

 

 

ラブ!♡

 

ラブ!♡

 

ラブ〜!!♡

 

 

 

ボーンボーン♡と火野の脳内でハートを全面に模されたポップテイストなオーズが妄想で現れる。

魅了されている火野に、アンクは深々と溜め息を吐いて「馬鹿か!」と怒号したのだった。

 





No.124 2人のバースと呪いと告白

更に向こうへ!Plus Ultra!!
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