いつかの明日へ、【ヒーロー】は助け合いでしょ   作:しょくんだよ

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CSMのバースドライバーがほちい泣
欲望があああ←


No.124 2人のバースと呪いと告白

 

校外活動(インターン)が始まり、鴻上ファウンデーションで活動している最中に市内でヤミーが現れたと情報が手に入った火野達は、現地へと向かう。

そこでカザリと出会す最中、ヤミーの親である女性に、火野は魅了されてしまったのだった。

 

 

「誰だか存じませんけど、ヤミー(この子)は私の大事な存在です。出来れば、手を引いてくれると嬉しいのですが…」

 

「え〜困ったなぁ…、でも…君の頼みなら仕方ないかなぁ」

 

「なに馬鹿な事言ってやがる!映司しっかりしろ!」

 

女性の頼み事に普通なら絶対に断る筈だが、魅了されている火野はすんなりと承諾しようとしてしまい、アンクは頬を掴んで気を引かせようとするが、彼の顔は「エヘヘ」とニヤついているだけだった。すると、ウヴァが火野のオーズドライバーから自分のコアメダルを抜き取る。

 

「おいウヴァ、何しやがる!?」

 

「フン、使いものにならない奴がメダルを持っていても仕方ないだろ。俺がカザリを叩き潰す!」

 

そう言って、ウヴァは2枚のコアメダルを自身の身体に取り込むと、力を取り戻し、上半身にウヴァの鎧が生成される。腕の刃をギラリと構え、ウヴァはカザリへと駆け出した。

だが直後、ウヴァの横から突進してきたエイサイヤミーにぶつかり、吹っ飛ばされる。

 

「うおっ!?」

 

「邪魔はさせません!」

 

「ムゥ!ヤミー如きが、グリードのこの俺に楯突くか!」

 

「余所見していいの?ハッ!」

 

エイサイヤミーに気を取られ、カザリの繰り出す水流にウヴァは直撃し、そのまま後方へと吹き飛ばされるウヴァ。

 

「がっ!?ア、アンク!」

 

2対1では不利だと思ったのか情けない声でアンクへと縋る。その貧弱そうな声を聞いたアンクは「役立たずが…!」とキレ気味に火野を突き飛ばして、右腕に力を入れたその時だった。

 

『ピイイッ!』

 

「!?」

 

突然、空から滑空して来たタカカンドロイドがエイサイヤミーへと降下し、その嘴でつつく様に攻撃を仕掛けた。カザリも何事かと気を取られる最中、突然銃弾の様な弾がカザリへと命中する。

 

「うっ!?何!?」

 

「大丈夫か火野、アンコ、ウギャ!伊達明、助太刀に来たぜ!」

 

カザリが見る方角に、アンクは振り返るとそこには伊達がバースバスターを構えながら吠えていた。隣には後藤と耳郎が立っており、アンクに突き飛ばされて座り込んでいる火野へと駆け寄った。

 

「火野、大丈夫かッ?」

 

「大丈夫〜、俺は幸せだからぁ〜」

 

「え、ちょっ、火野どうしたのッ?」

 

明らかに様子がおかしい返事に耳郎は困惑する中、アンクは「ヤミーの呪いに犯された」と一言交わすと、耳郎は「ええっ!」と驚愕する。その間、伊達は追撃にとバースバスターからセルメダルの銃弾を放ち、カザリに何発か命中させ、火野やアンク達に近づけさせないよう距離を取らせた。

 

「ッ!バース、やっぱり君もこっちに来てたんだ」

 

「え!?なんの話だっ?お前とは()()()なんだけど!俺ってそんなに有名人ッ?」

 

カザリの言葉に疑問を抱くが、一応プロヒーローなので、そこそこ名が知れているのかと勘違いをし、勝手に納得する伊達。

その隙にと、アンクは火野の元へと駆け寄り、耳郎に声を掛けた。

 

「おい、コイツは今使いもんにならない。早く別の場所に連れて行けッ」

 

「アンク、何があったのっ?」

 

「ヤミーの毒気にやられた。話は後だッ、さっさと行け」

 

「わ、わかった。火野、行くよっ」

 

「え〜待ってよ耳郎さん。あの人にもっと話したいんだけど〜…。あ、耳郎さんって恋した経験ある〜?」

 

「はぁっ!?ちょ、な、何言ってるのっ!?」

 

両脇に手を入れて立たせようとする耳郎に、火野は尋ねると耳郎は耳を真っ赤にさせながらその発言に驚いた。少し別行動した間に何があったのか分からず、とりあえずアンクの言う通りにして耳郎は力づくで引っ張り、足に力が入っていない火野を引き摺る様に連れ行った。

 

それを軽く見送ったアンクは、戦況を見返す。

伊達はカザリにバースバスターで迎え撃ち、エイサイヤミーにはいつの間にかウヴァが交戦を始めていた。「さっきはよくもやってくれたな!」と声を荒げるウヴァに、調子の良い奴だとアンクは睨みつける。

同時にふと、周囲を見渡すがいつの間にかヤミーの親である女性がいなくなっていた。伊達達が来てまずいと思ったのだろうか。その女性の行動に、アンクは舌打ちをすると、後藤がアンクへと駆け寄る。

 

「アンク、あいつは…」

 

「あァ?…あぁ、奴は俺やウヴァと同じグリードだ。そこらのヤミーとは訳が違う。後藤、映司は使い物にならない。お前等だけで奴と戦え」

 

「火野の奴、何かされたようだな。ったく、何やってる…」

 

察しが良い後藤は呆れた物言いをするが、それについては「同感だ」とアンクも頷いていた。

すると、戦闘態勢に入るのか後藤も所持していたバースバスターを構え、「伊達さん!」と伊達の方へと駆け出した。

 

「あいつは前話したグリードです!普通のヤミーとは訳が違います!」

 

「っ、だろうな!バースバスター(コイツ)を撃ち込んでもあんま効いてる気がしないしよ…!ここは本領発揮と行きますかねェ」

 

バースバスターの威力を持ってしても、カザリにダメージを与えている様子は殆ど無く、ケロッとした姿勢でこちらを見つめていた。伊達はバースバスターをポイっと投げ捨てると、持って来ていたバースドライバーを取り出し、腰へと装着する。

 

「伊達さん、僕も一緒に!」

 

「……そうだな。仮免とは言えお前も免許を持ったんだ。後藤ちゃん!俺が仕掛けるから、フォローよろしくぅ!」

 

伊達の言葉に後藤は嬉かったのか、「はいっ!」と強く頷き、バースドライバーを腰に装着する。2人は並び立つと、持っていたセルメダル1枚を取り出し、伊達は指で弾き、後藤は器用に持っていたセルメダルをバースドライバーのバースロット(投入口)へ投げ入れる。

そして、伊達は弾いたセルメダルをキャッチした。

 

 

「変身」

「変身っ」

 

 

 

 《 カポーン… 》

 《 カポーン… 》

 

 

2人はバースドライバーのグラップアクセラレーター(ダイアル式ハンドルレバー)を回すと、トランサーシールド(中央部のカプセル)が展開される。

伊達と後藤を包む様にドームの様なエネルギーが形成されると、複数のカプセルがアーマーを創り出し、その身に装着され、2人は仮面ライダーバースとなった。

 

「さァて、稼ぎますか。おいウギャ!そっちのヤミーは任せても良いか!?」

 

「ウヴァだ!うぉっ!?」

 

手を握り合わせながら、バース(伊達)は呼び掛けると、またしても名前を間違えられ吠えるウヴァだが、余所見した隙にエイサイヤミーの一撃をもらってしまう。「くそっ!」と腹を立て、そのままウヴァはエイサイヤミーと戦いを続行しているのを見る辺り、ヤミー相手は任せても良いだろうと判断したバース(伊達)は「よし」と頷き、カザリへと駆け出した。

そしてそのまま、バース(伊達)はセルメダルを1枚バースロット(投入口)に入れると、グラップアクセラレーター(ダイアル式ハンドルレバー)を回し、武装を形成する。

 

 

 

《カポーン… 『ドリル・アーム』 》

 

 

右腕のカプセル部分からアームが出現し、『バースCLAWs・ドリルアーム』が装着されると、バース(伊達)は「うらァ!」と高速で回転するドリルアームで殴り掛かる。回転されるドリルにカザリは防御態勢を取るも、削れる様にその攻撃は腕へと当たり、数枚のセルメダルが落ちながら「くっ!」とダメージを与えられた。

そのまま追撃にとバース(伊達)はドリルアームを振り回すが、カザリは飛び退く様に避けて距離を取ろうとする。追いかけながら攻撃を仕掛けるバース(伊達)。

すると、バース(後藤)はセルメダルを()()取り出しバースロット(投入口)に連続で入れると、グラップアクセラレーター(ダイアル式ハンドルレバー)を回した。

 

 

 

《カポーン… 『ドリル・アーム』 》

 

《カポーン… 『クレーン・アーム』 》

 

 

音声が鳴り、右手・右肩のカプセルが展開されると、右肩・右腕全体を纏う武装が出現し、バース(後藤)に装着される。それは肩に搭載される小型のクレーンで、腕の部分にはドリル・アームが装備されていた。これが『バースCLAWs・クレーン・アーム』だ。

 

「ハッ!」

 

バース(後藤)はフックのドリルを射出すると、ワイヤーがカザリ目掛けて伸び、カザリの肩部分に高速回転したドリルが突き刺さる。

 

「うぐっ!?」

 

痛みに硬直するカザリだが、直ぐにドリルを払い除ける様に引っこ抜く。それを見ていたバース(伊達)は「おおっ」と声を漏らし、バース(後藤)に向かって口を開いた。

 

「スゲェな後藤ちゃん!そんな使い方もあったんだな!」

 

「当然です!マニュアル読んでください伊達さん」

 

「俺マニュアル苦手なんだよなァ…。やっぱこういうのは実際使ってなんぼでしょッ」

 

言い訳をするバース(伊達)にワイヤーを収納しながら「後が困りますよ!」と喝を入れるバース(後藤)。そして再びドリルを射出するバース(後藤)だが、カザリは横に飛び退く様にソレを避ける。威力は充分だが反動がデカい為、その攻撃パターンを読まれてしまうのが欠点でもあり、バース後藤は「くそっ」と舌打ちをする。

 

「流石にバース2人相手じゃ部が悪いね。ここは一度退かせてもらうよ」

 

カザリはそう言うと、その場から跳躍してビルを登り、姿を眩ました。一方でエイサイヤミーも頭部から高圧の水を吹き出し、ウヴァに浴びせる。その怯んだ隙をついて、エイサイヤミーも駆け出し、その場から逃走してしまった。

 

「ッ!クソッ、逃げ足だけは相変わらず早いなァ…!」

 

既に遠くまで逃げたカザリを見つめて、アンクは舌打ちをする。バースの2人もやるせない表情でその場に立ち尽くし、ウヴァもまた「クソ!」と悪態を吐いていた。

 

「まぁ、被害は最小限で済んだな……問題は……」

 

兎にも角にも、民間人は逃げてくれた様で負傷者は誰もいない事を確認したバース(伊達)はドライバーからセルメダルを抜き取り、変身を解除する。そして、小さく息を吐きながら伊達は、耳郎に肩を借りている火野を見遣ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★☆

 

 

 

 

「ーーーとまァ、今回の事件はこんな所ですかね」

 

「ふむ、アンクとウヴァに続いて同じグリードのカザリ!!実に興味深い!」

 

一旦鴻上ファウンデーションへと戻ったアンク達。伊達は1人、報告書を纏めて、鴻上の会長室へ訪れ、今回の事情を説明し終えた所だ。

同じく、部屋に滞在して鴻上のケーキを食べながら里中が口を開く。

 

「厄介ですね。今までのヤミーとは()()()、人間からヤミーが産まれるなんて…」

 

「そこはアンコから聞いたから俺もよく分からないんだよな。あいつが言うには、『それが本来のヤミーだ』とか言っちゃってたけどよ」

 

「今まで君達が相手をしていたヤミーは(ヴィラン)の脇真音が生み出したヤミー。恐らく!私の推測だが紛い物の生物にすぎないだろう!」

 

鴻上の言葉に「そうでしょうね」と里中は頷き、ケーキを頬張る。ここ最近この三鷹市では、(ヴィラン)の出現もそうだがヤミー絡みの事件が相次いでいた。ヤミーを作り出せる脇真音の仕業だろうが、何故この場所近辺に暴れさせているのかは定かでは無い。親玉の脇真音を捕まえればその事件は無事に終わるが、目撃情報は出ていない。だが、ヤミー専門のバース達にとっては倒せばセルメダルを回収出来るので好都合でもあった。

 

「何にせよ、今はグリードとその親となる人物を見つけるのが最優先だな」

 

今は深く考えず、目の前の事件を解決せねば、人々の安心は拭えない。伊達は決意すると、鴻上が「ふむ、ところで…」と伊達に尋ねた。

 

「火野君は現在どうしているのかね?」

 

「え?あー、それなら…」

 

伊達はそう言って、机の上に置かれていたリモコンを手に取り、鴻上の座っている横のモニターに向けてボタンを押す。

そして、映し出された映像に鴻上とケーキを食べようとしたフォークを止めた里中は思わず目を見開いた。

 

「ほほう!これは…」

 

「…何があったんですか?」

 

「まァ、色々とね…」

 

そこに映っていたのは、箒を持ってせっせと事務所内を掃除している火野…では無く、変身しているオーズの姿があった。

 

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

時は遡り、数十分前。

 

 

「成る程、つまり火野はヤミーの能力で美貌へと変わった女性を見てああなっていると?」

 

「大丈〜夫ですよ後藤さ〜ん。俺は至って普通ですから〜」

 

アンクから事情を聞いた後藤は何処から摘んだのか野花を1つ両手で握ってヘラヘラと笑っている。見るからに大丈夫ではなさそうなその姿を見て後藤は目を若干引き攣っていた。

同時に耳郎もだが、何処か不貞腐れている様な表情で火野を睨みつけている。

 

「せっかくカザリを見つけたのにこのザマだ。そこの虫ケラ野郎も役に立たない始末だしなァ」

 

「何だと!?アンク、貴様も闘えば楽に勝てただろうが!」

 

「ハッ、勝手に映司からメダル奪って置いてあのザマじゃあ助ける義理も無いだろ」

 

「言わせておけば貴様ぁ!」

 

カッとなったウヴァがアンクに詰め寄ろうとする。仲裁役の火野は見向きもせず、伊達が代わりに間に入ろうとしたその時、耳郎のイヤホンジャックが伸び、アンクとウヴァの後頭部に突き刺した。

 

「うるさい!」

 

 

BON!!

 

 

「がっ!?」

「うばぁ!?…またコレか…!!」

 

爆音を流し込まれ、その衝撃にアンクとウヴァは四つん這いになってダウンしてしまう。女を怒らせると怖いのは里中から熟知している伊達は「おぉ〜こっわ…」と誰にも聞こえない程度の声で囁いていた。

 

「くっ……お前…!」

 

「アンク、ウヴァ、火野をどうにか出来ないのッ?」

 

「知らん!あのヤミーを倒せば勝手に元に戻るだろ」

 

キレ気味に返事するウヴァだが、何か思い出したのか、アンクはハッとする。

 

「いや、方法はある。コイツを()()()()()

 

「え?」

 

「何?」

 

その案に耳郎とウヴァは思わずキョトンとし、後藤が疑問を抱きながら尋ねた。

 

「何故変身を?」

 

「オーズになればヤミーの毒気が払える、一度経験したからな。こうなったら構うのが面倒だ、さっさとやるぞ。手伝え」

 

「…あ、わ、わかった」

 

火野の腰にアンクは手を入れ、オーズドライバーを取り出しながらそう言い、ホッとした様子で耳郎は了承して火野を支えようとする。

 

「火野、ほらッちゃんと立って…」

 

「えへへ〜」

 

「ちょっ、力抜かないで…!ウヴァも手伝えよ!」

 

「…ああわかったわかったッ」

 

フニャリと倒れそうになる火野に、流石に支えれないと思ったのか声を荒げてウヴァにも手伝わせる。ウヴァと耳郎が火野を支えている間に、アンクはオーズドライバーを腰に宛い装着させ、タカ、パンダ、コンドルのコアメダルを装填する。

異様な光景に後藤と伊達は立ったままその様子を見守っていた。

 

「耳郎、スキャナーを使え」

 

「えと、これか」

 

アンクに指示され、耳郎はオースキャナーを見つけると、火野に握らせながらスキャンさせた。

 

「……あ、へ…変身!」

 

 

 

タカ!

 

 

パンダ!

 

 

コンドル!

 

 

 

いつも言っている掛け声を少し恥ずかしそうに耳郎が代わりに叫び、音声が鳴り響く。オーラングサークルが重なり、火野はオーズ『タカパンドル』へと姿を変えると、前のめりに倒れそうになるが「おっとと…!」と自力で踏ん張った。

 

「……ん?あれ……えっ俺、何で変身してるの…?」

 

「火野、なんともない?」

 

「あれ、耳郎さん?…え、なんでここに…ていうか、ここ鴻上ファウンデーションだよね…?ヤミーは?」

 

「よかったぁ…戻ったぁ」

 

いつもの様子に戻ったオーズを見て耳郎はホッと安堵する。膝を曲げて座っていたアンクは立ち上がり、腕組みをしながら口を開いた。

 

「フン!お前がヤミーの呪いみたいなもんに犯されて記憶が飛んだんだ。ヤミーとカザリは逃げた」

 

「え、そうなの…?ごめん、油断しちゃったみたい」

 

「全くだ。俺のメダルを使って何やられてやがる」

 

謝るオーズにウヴァは物言うが、自分も苦戦していた癖にと言わんばかりにアンクは「虫が…」と呟く。聞こえていたウヴァは「何だと?」と喧嘩腰になるが、伊達が「はいはいはい」と割入った。

 

「アンコ、火野はこの姿なら自制心を保てるのか?」

 

「アンクだ。…あぁ、変身を解けばウザい映司に逆戻りだろうなァ。もっとも、あのヤミーを倒せば話は別だが」

 

「そうか〜…。よし、とりあえず俺は会長に報告しに行くからよ、ヤミーの目撃情報が出次第直ぐに向かうから各自待機な。火野は悪いけど、しばらくその姿でいてくれ」

 

「はい」

 

「わかりました…すみません伊達さん、ご迷惑をおかけして……」

 

「まぁ仕方ないでしょ……てか、鈍感な火野が魅了される程美人ってすげぇな。俺も見てみたいもんだぜ」

 

「伊達さん」

 

恋には疎そうな火野が魅了される程美人だったヤミーの親に興味が湧く伊達だが、巫山戯てる場合ではないと後藤は口を動かす。伊達はビクッとし、「わかってるって」と苦笑いしながらポケットに手を入れた。

 

「後藤ちゃん、火野。コレ持っとけ」

 

伊達は2人に投げ渡す。それはタカカンドロイドとは違う色をした緑のカンドロイドで、キャッチしたオーズは「これは?」と尋ねると、伊達は「開けてみな」と応えた。

オーズはそのままカンドロイドのプルタブ(プルトップスターター)を開けて掌に乗せると、変形して小型のバッタの様な形へと姿を変える。

 

『バッタッ!』

 

「おおバッタ!」

 

「か、可愛い…」

 

「こんな物まで作れるのか、この建物は」

 

オーズの掌でぴょんぴょんと飛び跳ねる仕草を見てオーズ、耳郎、ウヴァは興味を示す様に眺める。

 

「その缶は映像を映してくれるし、なんと通話も出来ちゃう優れ物よ!連絡はそのバッタちゃんでするから常時待っときな」

 

「ありがとうございます!」

 

お礼を言い、伊達はそのまま「じゃっ」と言って背中を向き歩いて行く。

姿が見えなくなると、後藤はカンドロイドを持ち直し、オーズへと声を掛けた。

 

「火野、俺もバースドライバーを調整しに開発部へ行く。お前と耳郎はバース専属の事務所で待機して居てくれ」

 

「あ、わかりました」

 

オーズが頷くと、アンクもまた「フン」と鼻を鳴らして何処かへ行こうとする。

 

「アンク?」

 

「ヤミーを探って来る。いつでも潰せるよう直ぐ見つけ出してやる」

 

物騒な事を言い残し、アンクはその場を去ったのだった。

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

「ーーってな事があったんですよ」

 

「なんか、掃除しているオーズを見てるとある意味新鮮ですね」

 

「待機っつったんだけど…良い子ちゃんだねぇ火野は」

 

事情を説明し、里中はモニターに映るオーズを見ながらボヤくと、伊達は後頭部を掻きながらそう応える。同じく見ていた鴻上はニヤリと頬を上げて口を開いた。

 

「実に、実に興味深い!!ヤミーにグリードの存在!その生態を是非研究したいものだよ伊達君!!」

 

「いやいやダメでしょ。人を襲う時点で害でしか無いっすよ。…そんじゃまぁ、俺は戻りますんで」

 

ツッコミを入れつつ、伊達はそう言ってその場から出ていく。鴻上は「ふむ…」と息を吐くと里中に声を掛けた。

 

「里中君、次ヤミーが姿を現したならば、アレを実験に使うとしよう」

 

「アレとは?」

 

里中が首を傾げると、鴻上はリモコンを手に取ってチャンネルを変える。

その映された映像には、この会社の何処かに保管されているのか、大量に積み重なれた()()のカンドロイドが置かれていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★☆★

 

 

「………」

 

「…あの、耳郎さん。どうかしたの?」

 

「別に…なんもない」

 

椅子に座って置物をイジり、ずっと不貞腐れている様な表情をする耳郎。会話が無く、オーズは声を掛けるも素っ気ない態度で応えられ、再び沈黙の空間となっていたが、耳郎が小さく息を吐き、口を開いた。

 

「火野、あんた身体は大丈夫なの?」

 

一方で、事務所内で待機していたオーズと耳郎。

せっせと掃除するオーズに耳郎が声を掛けるとオーズは振り返り応える。

 

「ん?いや特に…ほら、待機命令出てるけど、落ち着かなくてさ」

 

「そうじゃなくて、ずっと変身してるから」

 

「え?あぁ…何ともないよ。コンボじゃなければそんなに疲れないし…戦ってないから尚更ね」

 

意味がわかったオーズはそう応える。すると、隅に座っていたウヴァが立ち上がるとオーズに声をかけた。

 

「おい映司。俺のメダルは3枚しか無いのか?」

 

「え、それしか無いよ」

 

「なら何故アンクは()()も自分のコアメダルを持ってやがる!?」

 

怒鳴るように声を荒げ、耳郎はビクッと肩を上げる。それと同時に、ウヴァの発言に疑問を抱いたのかオーズに尋ねた。

 

「どういう事?火野達が使ってるメダルって3枚だけじゃないの?」

 

「あ〜、えっと…俺もそこまで詳しくは無いんだけど、アンクやウヴァが持ってるコアメダルって全部で9枚あるらしいんだ」

 

「9枚もっ?」

 

「うん。アンクは自分の持ってるメダル…タカとクジャクにコンドル、それぞれ3枚ずつあって、アンクはタカを除いて8枚だったかな。で、ウヴァはクワガタ2枚とカマキリとバッタが1枚ずつだけなんだ」

 

同じ属性のコアメダルが複数もある事に耳郎は驚きながらも「へぇ〜」と頷き、再度尋ねた。

 

「ウヴァ、9枚揃ったら強くなんの?」

 

「当たり前だ!完全体になればカザリなんて敵じゃない。アンクは8枚も持っているのに、何故俺は4枚だけなんだ!」

 

「知らないよっ。アンクが初めて出てきた時は既に持ってたんだから………」

 

オーズはそう言うと、何か思ったのか首を傾げる。

 

「どうかしたの?」

 

「…そう言えば、体育祭で初めてアンクが出てきた時アイツ何か言ってたような…『影響が出る』とか何とか…」

 

ウヴァやカザリと同様、アンクもまた突然火野の中に現れたのだが、2人と違って()()訳ありの様子で会話した記憶が蘇る。オーズは何か引っかかる表情をしながら、天井を見上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★☆

 

 

場所は再び会長室へ。

ケーキを食べ終えた里中は突然「あっ」と思い出したかのように口を開けた。

 

「会長、今日はお客様がおいでになります」

 

「む、そうだったかね?」

 

鴻上も初耳だったのかそう聞き返すと、扉からノックの音が聞こえる。

 

「入りたまえ!」

 

鴻上が言うと、ファウンデーションの従業員が1人、「失礼します」とドアを開ける。すると、その後ろからある人物が入って来た。

 

「ご無沙汰しています、鴻上会長」

 

「ほぅ!これはこれは、君が来るのは珍しいよ、塚内君!」

 

「何か事件ですか?ヤミーでしたら…」

 

「ああ、その件は把握済みですよ里中さん。本題は別にありまして……火野映司君の事についてお話があります」

 

現れた塚内は真剣な表情を浮かべ、火野の名前を出す。それを聞いた鴻上は「何かね?」と尋ねたのだった。

 





いつかの明日へ、【ヒーロー】は助け合いでしょ。


次回予告!!
※台詞が変わるかもしれませんのでご了承下さい



「私も転生したと言うわけだ!ハッハッハ!!」

塚内から事情を聞いた鴻上が声を出して笑う。


「何か…他の人とは違う匂いがするのです」

「私が?…ハハっ…そうかもね」

トガの発言に脇真音優無はそう応える。


「アンク、この世界に来る前に何かあったのか?」

「……あぁ、声が聞こえてきたんだ」

オーズが尋ね、アンクはこの世界に来る出来事を語った。


「ウチ……あんたの事……」

火野に想いを告げる耳郎。


「タコだ!ほら、タコタコ!!」

「そう何度も同じ手は!痛って!?」

新しいカンドロイドの大群にオーズは大興奮!




No.125 真実と過去とカンドロイド

更に向こうへ!Plus Ultra!!
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