いつかの明日へ、【ヒーロー】は助け合いでしょ 作:しょくんだよ
評価、お気に入り共々ありがとうございます!!これからも頑張りまする!٩( 'ω' )و
そこで、ナイトアイから言われた死穢八斎會と言う組織について協議が行われる事となった。
ナイトアイが「順を追って話します」と一旦区切り、準備に取り掛かっていると、麗日と蛙吹が相澤に駆け寄り声を掛ける。
「先生!」
「先生が何故ここに?」
「急に声掛けられてな。協力を頼まれたから来たんだ、ザックリとだが事情も聞いてる…。言わなきゃならん事もあるしな」
「俺、置いてけぼりなんスけど…ハッサイ?何スか?」
「悪い事考えとるかもしれんから皆で煮詰めましょのお時間や。おまえらも十分関係してくるで」
切島も
「ヒーローがこんなにいっぱい……何を話すんだろ」
「まァそれは今からの会議で分かるだろ。お、そろそろ始まるみたいだぞ」
火野と耳郎、後藤も
「えー、それでははじめて参ります。我々ナイトアイ事務所は約2週間程前から死穢八斎會という
「キッカケは?」
「レザボアドッグスと名乗る強盗団の事故からです。警察は事故として片付けてしまいましたが、腑に落ちない点が多く追跡を始めました」
「アー、ありましたねそんな話」
質問するプロヒーローにバブルガールはオドオドと慣れない様子で応えると、他のヒーローが思い出したのかボソッと解釈していた。
すると、代わって同じサイドキックの〝センチピーダー〟が説明を始める。
「私サイドキックのセンチピーダーがナイトアイの指示の下追跡調査を進めておりました。調べたところ、ここ1年以内の間に全国の組以外の人間や同じく裏稼業団体との接触が急増しており、組織の拡大・金集めを目的に動いているものと見ています」
説明をしている間に中央のスクリーンが作動され、バブルガールはハードウェアを起動し、映像が映し出される。
「そして調査開始からすぐに、
一旦区切ると、映像が切り替わり、オーバーホールともう1人別の人物が映された映像に変わる。若い青年の様だが、それを火野が見ていた瞬間、火野の中からアンクが突然外へと現れた。
「うわ、アンクっ勝手に出てきたらーーー」
「映司、奴はカザリだ」
「え?」
大事な会議中に現れるアンクに注意しようとするが、アンクの一言でその表情は曇った。
プロヒーローもアンクの姿を見て騒ついており、「あの子、仮面ライダーオーズだよな?」「なら、あの出てきた子は〝個性〟の子か」と話声が聞こえてくる。
「宜しいでしょうか?今映された写真の人物は、コアメダルとセルメダルを持って生まれたグリードの〝カザリ〟。トゥワイスとは別で接触した模様で、監視を続けた結果、彼も死穢八斎會と同行している事が判明しました」
「!!」
『おい、カザリの居場所がわかったのか?直ぐに教えーー』
センチピーダーから知らされた情報を聞き、火野は目を大きく見開き驚愕する。ふと、身体の中に居たウヴァの声が聞こえるが、火野はこれ以上表に出ては困ると思ったのか、無意識に拳を胸に強く叩きつける。
「メダルから生まれる怪物の情報は良く耳に入るけど、だからあの有名なサポート会社からプロヒーローが今回の作戦に加わってたのか」
「いやいやいや、有名だなんてそんな…。だがまァ、まさかあのグリードが死穢八斎會に居るなんてな…こりゃァ直ぐに片付く案件じゃなくなってきたでしょう?」
「その通りです。尚、カザリの詳細は塚内警部からデータを頂き、ザッとですが資料に纏めました」
プロヒーローと伊達が言うと、センチピーダーは手に持っている資料を見ながら応える。
すると、塚内の名が上がった為かグラントリノが口を開いた。
「連合が関わる話なら…という事で俺や塚内にも声が掛かったんだ」
「その塚内さんは?」
「他で目撃情報が入ってな、そっちへ行ってる。小僧、まさかこうなるとは思わなんだ…。面倒な事に引き入れちまったな……」
「面倒なんて思ってないです!」
正義感としてか、何か理由があってなのか、グラントリノの声掛けに緑谷は真っ直ぐと向けた瞳を見せ否定する。隣に座っていた通形に「知り合いなんだ!?」と言われ、「職場体験でーー」と返している際、グラントリノは火野とアンクに視線を向け口を開いた。
「お前達まで来てしまってすまんな」
「大丈夫です!」
「ハッ。
グリード、ヤミー絡みとなれば、率先してでも加入する。考えは違えど火野とアンクの目的は一致している表情で応えていた。
少し私語が挟んでしまったが、間を見てナイトアイがセンチピーダーに「続けて」と一声掛けると、センチピーダーはバブルガールに合図を出し、バブルガールはハッとする。
「えーこのような過程があり!『HN』で皆さんに協力を求めたわけで」
「そこ飛ばしていいよ」
「うん!」
会議が進んでいく中、『HN』のワードが気になったのか麗日は先輩の波動に尋ねる。
「HN?」
「ヒーローネットワークだよ。プロ免許を持った人だけが使えるネットサービス。全国のヒーローの活動報告が見れたり、便利な〝個性〟のヒーローに協力を申請したりできるんだって!」
要は日々多くのヒーローから情報が押し寄せる為、『HN』見ればの
「雄英生とはいえガキ共がこの場にいるのはどうなんだ?話が進まねえや、本題の〝企み〟に辿り着く頃にゃ日が暮れてるぜ」
「あ?」
「!アンーー」
「ぬかせ、この2人はスーパー重要参考人やぞ!」
ロックロックの言い方に眉をピクリと動かして反応したアンクが物申そうと睨み付ける。火野は察して止めようとした瞬間、ファットガムが椅子が飛ばされる勢いで立ち上がり、隣に座っていた切島と天喰に手を差し伸ばした。状況が分かってないのか切島は「俺……たち?」と「ノリがキツイ……」と天喰が言う。
「とりあえず初対面の方も多い思いますんで!ファットガムです、よろしくね!」
「「丸くてカワイイ」」
「お!アメやろーな!」
親しみやすく自己紹介をするファットガムのその丸々とした体型を見て麗日と蛙吹が感想を言うと、ファットガムは2人に飴を投げ渡していた。
すると、ナイトアイが説明を始める。
「八斎會は以前認可されていない薬物の捌きをシノギの一つにしていた疑いがあります。そこでその道に詳しいヒーローに協力を要請しました」
「昔はゴリゴリにそういうんブッ潰しとりました!そんで先日の烈怒頼雄斗とクレシェンド・モルトのデビュー戦!!今までに見た事ない種類のモンが環に打ち込まれた!」
そう言いながらファットガムはポケットから再度飴を数個取り出すと、急に握り締め、バキバキと握力によって砕かれる音が聞こえる。粉々になった飴玉を掌から溢し、ファットガムは真顔でその真意を告げた。
「〝個性〟を、壊す〝クスリ〟」
「〝個性〟を壊す…!?」
「何それ…怖っ」
「え…!?環、大丈夫なんだろ!?」
その言葉に会議室内は動揺し、耳郎も身震いしながら呟く。すると、活動中に撃たれたと知らされた通形が天喰の安否を確認すると、天喰は〝個性〟で右手を牛の蹄に変えながら応えた。
「ああ…寝たら回復していたよ。見てくれ、この立派な牛の蹄」
「朝食は牛丼かな!?」
無事に〝個性〟を使用出来るのを確認した通形は安堵する中、ロックロックが喋る。
「回復すんなら安心だな。致命傷にはならねえ」
「いえ…その辺りはイレイザーヘッドから」
余裕の表情を見せるロックロックだが、それを挟む様にナイトアイが相澤へと視線を向け、相澤は自身の〝個性〟について説明を始めた。
「俺の〝抹消〟とはちょっと違うみたいですね。俺は〝個性〟を攻撃してるわけじゃないので。基本となる人体に特別な仕組みが+αされたものが〝個性〟。その+αが一くくりに〝個性因子〟と呼ばれています。俺はあくまでその個性因子を一時停止させるだけで、ダメージを与える事はできない」
相澤の〝個性〟『抹消』は、例えば基本の人体に+尻尾を動く・動かせる仕組みの〝個性〟。それに抹消を使用する者に目を向けると、その尻尾は目で見続けている限り動けなくなる…と言いたいのだろう。
「環が撃たれた直後病院で診て貰ったんやが、その〝個性因子〟が傷ついとったんや。幸い今は自然治癒で元通りやけど」
「その打ち込まれたモノの解析は?」
「それが、環の身体は他に異常無し!
ただただ〝個性〟だけが攻撃された!撃った連中もダンマリ!銃はバラバラ!!弾も撃ったっキリしか所持していなかった!」
続けてファットガムの説明にヒーローが質問し、ソレに応えて一旦区切ると「ただ…」と切島を見遣った。
「切島君が身を挺して弾いたおかげで、中身の入った一発が手に入ったっちゅーわけや!!」
「うおっ、俺っスか!!ビックリした!!急に来た!!」
まさか自分が称賛されるとは思わず、切島はギョッとして自身に指を指す。
麗日、蛙吹、波動が「切島君お手柄や」「カッコイイわ」「硬化だよね!知ってるー!うってつけだね!」と女性陣等で評価していると、ファットガムは顔を曇らせ口を動かした。
「そしてその中身を調べた結果、ムッチャ気色悪いモンが出てきた……人の血ィや細胞が入っとった」
その発言に、会議室の大半の各々はゾクッと、背筋が凍り、青冷めた。
「えええ…!?」
「別世界のお話のよう…」
麗日、蛙吹が震えながらそう言っている中、通形と緑谷は他の者よりも顔色が悪くなり、冷や汗を垂らしている。
そんな中、リューキュウがファットガムに尋ねた。
「つまり…その効果は人由来…〝個性〟って事? 〝個性〟による〝個性〟破壊…」
「…気味悪リィな……けど、その八斎會とソレがどう繋がるんだ?」
険しい表情をしながら、伊達は腕組みをして質問をする。それをファットガムが応えた。
「今回切島君が捕らえた男!そいつらが使用した違法薬物なァ、そういうブツの流通経路は複雑でな、今でこそかなり縮小されたが、色んな人間・グループ・組織が何段階にも卸売りを重ねて、よーやっと末端に行き着くんや。八斎會がブツ捌いとった証拠はないけど、その中間売買組織の1つと八斎會は交流があった」
「…横槍を失礼します。それだけですか?他に根拠は?」
ファットガムの解説に腑に落ちなかったのか、後藤が手を上げて質問をすると、ナイトアイがそれに応えた。
「先日、リューキュウ達が退治した
「巨大化した1人は、効果の持続が短い粗悪品を打っていたそうよ」
「そう言えば…、遊園地の時も薬使ってた奴いたな?」
「あァ?覚えてない」
ナイトアイに続いて本人のリューキュウが言うと、火野はヒーローショーの出来事を思い出してアンクに呟くが、アンクはどうでもいい事件だったのかぶっきらぼうに言っていた。
「最近多発している組織的犯行の多くが…八斎會に繋げようと思えば繋がるのか」
「ちょっとまだわからんな…どうも八斎會をクロにしたくてこじつけてるような、もっとこう…バシッと繋がらんかね」
資料を見ながらプロヒーロー等が尋ねる。他のヒーロー達の一部もまだ納得が行かない様子で、質問をしたヒーローに賛同するかの様に頷いていると、ナイトアイがそれに応えた。
「若頭、治崎の〝個性〟は『オーバーホール』。
対象の分解・修復が可能という力です。分解…一度『壊し』『治す』〝個性〟、そして〝個性〟を『破壊』する弾ーーー」
ナイトアイがオーバーホールの説明をしている最中、緑谷と通形の顔は凄まじい程の罪悪感に襲われた表情をし、2人は息を荒くしながら俯いていた。
「治崎には『エリ』と言う名の娘がいる…。出生届も無く詳細は不明ですが、この2人が遭遇した時は手足に夥しく包帯が巻かれていた」
「まさか…そんな悍ましい事…」
「超人社会だ、やろうと思えば誰もが何だってできちまう」
「おいおい、嘘だろ…!?」
緑谷達に目を向け、喋るナイトアイに、理解したリューキュウは驚き、グラントリノはこの社会の悪意に対して皮肉に思いそう言った。
火野も察したのか、その言葉を聞いて動悸が激しくなっている。隣の耳郎はまだ内容が引っ掛かっているのか、曇った表情で「え…」と声を漏らす。
「何?何の話ッスか………!?」
そんな中、まだ状況が理解出来ていない切島は困惑した様子で聞く。すると、アンクが「フン!」と鼻を鳴らして口を開いた。
「今のを聞いて理解してないのか?要は〝その娘って奴の身体を銃の弾にして売り捌いてる〟って意味だ」
「「「!!?」」」
「……ケッ、ちったァ分かってんじゃねえーか」
アンクの言葉を聞き、納得の行かなかった雄英生達の表情が一気に変わる。それを聞いたロックロックはアンクに目を向け、皮肉にそう呟いていた。
「実際に売買をしているのかは分かりません。現段階では性能としてあまりに半端です。ただ…仮にそれが試作段階にあるとして、プレゼンの為サンプルを仲間集めに使っていたとしたら…確たる証はありません。しかし、全国に渡る仲間集め、資金集め、もしも弾の完成形が完全に〝個性〟を破壊するものだとしたら…? 悪事のアイデアがいくつでも湧いてくる」
「想像しただけで腹ワタ煮えくり返る!!今すぐガサ入れじゃ!!」
「ケッ、こいつらが子供保護してりゃ一発解決だったんじゃねーの?」
ナイトアイの考察にファットガムは立ち上がり怒号していると、ロックロックが緑谷と通形を見ながら皮肉に言う。すると、伊達が軽く息を吐きながらロックロックに物申した。
「まァ待て待て。アンタの言い分もあるが、いくら仮免許持ってても学生の身分で勝手な行動は出来ないでしょう?それにまだそいつ等は子供だ。怪我でもしたらどう責任を取るのって話だろ。そうでしょ、
「
「え?あ、失礼」
どうにもカタカナが苦手な伊達は肝心の時に名前を素で間違えてしまい、後藤がフォローを入れると、伊達はハッとし謝罪する。ふと、『マイト』と言うワードに一瞬眉をピクリと動かしたナイトアイだが、気にせず口を動かした。
「バースの仰ってる事に一理有ります…が、止めたのは私。全て私の責任だ。2人を責めないで頂きたい。知らなかった事とはいえ…2人ともその娘を救けようと行動したのです。緑谷はリスクを背負いその場で保護しようとし、ミリオは先を考え、より確実に保護出来るよう最善を尽くしてくれたのです」
2人を庇い、その2人の行動を称賛しているナイトアイ。だが、緑谷と通形は悔しくてしょうがないと言わんばかりに身体を震わせていた。「緑谷君…」と心配そうに火野は呟くと、ナイトアイが続けて喋った。
「今この場で一番悔しいのは、この2人です」
そう言った直後、緑谷と通形は椅子を跳ね除ける程勢いを付けて立ち上がる。
「今度こそ必ずエリちゃんを…「「保護する!!」」
「ーーそう、それが私たちの目的になります」
ナイトアイは2人の言葉に便乗して話を締め括った。
だが、続く形でロックロックが疑問を口にする。
「ケッ、ガキがイキるのもいいけどよ。推測通りだとして若頭にとっちゃその子は隠しておきたかった〝核〟なんだろ?それが何らかのトラブルで外に出ちまってだ!あまつさえガキんちょヒーローに見られちまった!素直に本拠地に置いとくか?俺なら置かない。攻め入るにしてもその子が『いませんでした』じゃ話にならねぇぞ。どこにいるのか特定出来てんのか?」
「確かに、どうなのナイトアイ」
「問題はそこです。何をどこまで計画しているのか不透明な以上、一度で確実に叩かねば反撃のチャンスを与えかねない。そこで八斎會と接点のある組織・グループ及び八斎會の持つ土地!可能な限り洗い出しリストアップしました!皆さんには各自その箇所を探っていただき、拠点となり得るポイントを絞ってもらいたい!!」
スクリーンをバックにナイトアイが協力を要請する。その映像には不審に思う箇所をマークしたのか、日本各地の何箇所かにマークが記されていた。それを見た1人のヒーローが納得する。
「なるほど、それで俺たちのようなマイナーヒーローが……」
「どういう事だ?」
「見ろ、ここにいるヒーローの活動地区とリストがリンクしている。土地勘があるヒーローが選ばれてんだ」
ヒーローが説明をし終えると、ナイトアイは「それともう1つ…」と口を開いた。
「今回協力をお願いしているバースにも、これ等の作戦に必要なアイテムを用立てて頂きました。バース、お願いします」
「……ん?あ、あぁっ、後藤ちゃん」
「はい」
ナイトアイが伊達に視線を向けると、強張った表情を浮かべていた伊達だが、ハッとして後藤に合図を出す。すると後藤は、荷物からバッタのカンドロイドを会議の皆に見せる様に取り出し、
「えー!何々バッター!?」
「動いとる…」
「サポートアイテムかしら?」
波動、麗日、蛙吹が疑問を抱いてる中、後藤が説明をし出した。
「私達バースの事務所、会社企業ですが『鴻上ファウンデーション』が新たに作ったサポートアイテムです。このバッタカンドロイドは通信機能は勿論、撮影・録画、更にはソレを投影して動画を映し出す事が出来ます。簡単な指示によって独立行動も可能です。この作戦の助力になると思いますので、どうぞご使用下さい。会議後配ります」
一礼し、席に座る後藤。ヒーロー達も彼の紹介に耳を傾け真面目に聞いてたのかザワザワと小声で鴻上ファウンデーションを称賛する声が上がっていた。
「サンキュー後藤ちゃん」
「本来、貴方が説明するんですよ?」
「あぁ…わりィ、はい。すみません…」
「商品紹介……」
未成年の学生に説明を任せっぱなしにする伊達を後藤は一言突きつけ、伊達は真顔で俯く。嫌な話をしたとは言え、しっかりと鴻上ファウンデーションのサポートアイテムを宣伝している様な口振りだった為か、耳郎がボソッと呟いていた。
「…では、鴻上ファウンデーションのサポートアイテムを皆さんは所持して頂き、先程も申し上げた通り拠点となり得るポイントを各自分散して絞ってもらいます」
「オールマイトの元サイドキックな割に随分慎重やな」
ファットガムの声にナイトアイは彼の顔を見遣る。その表情は憤怒しており、ファットガムは声を荒げた。
「回りくどいわ!!こうしてる間にもエリちゃんいう子泣いてるかもしれへんのやぞ!!」
「我々はオールマイトにはなれない。だからこそ分析と予測を重ね、救けられる可能性を100%に近付けなければ」
「焦っちゃあいけねえ。下手に大きく出て捕らえ損ねた場合、火種が更に大きくなり兼ねん。ステインの逮捕劇が連合のPRになっちまったようにな。むしろ一介のチンピラに〝個性〟破壊なんつー武器流したのも、そういう意図があっての事かもしらん」
「考え過ぎやろ!そないな事ばっか言うとったら身動き取れへんようになるで!!」
冷静にグラントリノが宥めようと異論するが、単直なら性格のせいか、ファットガムは反論する。
すると、相澤がスッと挙手した。
「あのー…一つ良いですか。どういう性能かは存じませんが、サー・ナイトアイ。未来を予知できるなら、俺達の行く末を見ればいいじゃないですか。このままでは少々…合理性に欠ける」
「それは…出来ない」
相澤の質問に、何人かのヒーローは確かにと相槌しながらナイトアイを見遣るが、俯いたままナイトアイが応え、相澤は首を傾げていると、詳細を彼は説明した。
「私の予知性能ですが、発動したら24時間のインターバルを要する。つまり1日1時間、一人しか見る事が出来ない。
そしてフラッシュバックのように1コマ1コマが脳裏に映される。発動してから1時間の間、他人の生涯を記録したフィルムを見られる…と考えて頂きたい。ただしそのフィルムは全編人物のすぐ近くからの視点。見えるのはあくまで個人の行動と僅かな周辺環境だ」
「いや、それだけでも充分すぎる程色々わかるでしょう。出来ないとはどういう事なんですか」
「……例えばその人物に近い将来、『死』。ただ無慈悲な死が待っていたら、どうします?」
険しくなるナイトアイが問いかけ、それを聞いた緑谷の表情は曇った。異様な雰囲気が会議室に漂う中、ナイトアイは続けて喋る。
「この〝個性〟は行動の成功率を最大まで引き上げた後に勝利のダメ押しとして使うものです。不確定要素の多い間は闇雲に見るべきじゃない」
「はぁ?死だって情報だろう!?そうならねェ為の策を講じられるぜ!?」
「占いとは違う。回避できる確証は無い」
「ナイトアイ!よくわかんねえな、いいぜ、俺を見てみろ!いくらでも回避してやるよ!」
「ダメだ」
痺れを切らしたロックロックにナイトアイは頭を下げ、全力で拒否する。その姿を見たロックロックを始め、他のヒーロー達もこれ以上は深追いしてはならないと察したのかだんまりとし、気まずい空気が張り巡らされていた。
そんな中、リューキュウが息を吐きながら口を開く。
「とりあえずやりましょう。困っている子がいる、これが最も重要よ」
「その通りです。娘の居場所の特定・保護、可能な限り確度を高め早期解決を目指します。ご協力、どうかよろしくお願いします」
立ち上がったナイトアイの申し込みで、話は一括りとなる。
以後はサイドキックのバブルガールとセンチピーダーが手元にある資料を元に詳細を説明し、会議は終了となったのだった。
No.128 企みを阻止せよ!
更に向こうへ!Plus Ultra!!