いつかの明日へ、【ヒーロー】は助け合いでしょ 作:しょくんだよ
感謝感激ですぅうう!!
「先頭が落とされた!」
「どうする!?」
「進む他ないだろ!!」
ナイトアイ達が落とされて後方に残された警察達はプロヒーローと上司が分断されてしまった為に困惑していた。分断した張本人、壁の中に潜む八斎會の本部長・入中は警察達を足止めさせるべくブーストさせた〝個性〟で行手を阻む。
「(1人先に行ってしまったか…まァ1人だけなら支障は無い。しかし予想以上に人数が多い…まずこちらから対処しておくか。下の奴らは、クズと言えど実力のあるクズだ、任せておけば多少は時間稼ぎとなるだろう)」
☆★☆★☆★☆
一方で、下の階層へと落とされたオーズ達。そこには八斎會の実力者『鉄砲玉八斎衆』の3人が待ち構えていた。戦闘を始めようとした中、天喰が1人で充分だと啖呵を切るが、オーズ、切島がそれを否定する。
「天喰先輩!?1人は危険です!」
「無茶っス!協力しましょう!」
「そうだ協力しろ、全員殺ってやる」
「『窃野』だ!!こいつ相手に銃は出せん、ヒーロー頼む!」
相手の持ち物を
「バレてんのか?まァいいや!暴れやすくなるだけだ!!」
「ならないぞ、刀捨てろ!」
「!?使えねえ!?」
窃野の〝個性〟はプロヒーロー達も把握しており、相澤は『抹消』を使って窃野の〝個性〟を抹消する。〝個性〟が使えなくなり、窃野は動揺しているとスキンヘッドの男・宝生が相澤を警戒して懐から取り出した銃を構えた。だがそうはさせまいとファットガムが前へと出る。
「刀も銃弾も、俺の身体に沈むだけや!大人しく捕まった方が身の為やぞ!!」
「そういう脅しは命が惜しい奴にしか効かねんだよ!」
「イレイザーが抑えてる今なら武器も使える! 観念して投降しろ!」
「ッ!俺も手伝いますっ!」
警察達も拳銃を構えて、オーズも駆け出そうとし、一触即発となる状況。その時、窃野達の頭上を巨大な二枚貝が空中を跳んでいた。それは天喰が〝個性〟を使用した状態で、背後に廻ると同時に貝の殻がガバッと開き、両腕の指先をタコの触手に変えると、窃野と宝生が手にしている武器を絡め取って強奪したと同時に窃野達も触手で拘束し、勢いよく壁へと叩きつけた。
「〝窃盗〟窃野、〝結晶〟宝生、〝食〟多部、俺が相手します。ファット事務所でタコ焼き三昧だったから蛸の熟練度は極まってるし…以前撃たれた事でこういうモノには敏感になってる。こいつらは相手にするだけ無駄だ。何人ものプロがこの場に留まっているこの状況がもう思うツボだ」
取り上げた凶器を蟹のハサミに変えた手で挟んで破壊する。普段の内気な天喰とは思えない迅速な行動にオーズ達は手を止めて思わず見入ってしまっていた。流石ビッグ3と言われる実力者だと。その間、窃野は「へっへへ…」と不敵に笑いながら起き上がる。
「でも先輩…!」
「スピード勝負なら1秒でも無駄にできない!! イレイザー筆頭にプロの〝個性〟はこの先にとっておくべきだ!!蠢く地下を突破するパワーも!拳銃を持つ警察も!」
窃野達の様な強敵がこの先にも居るだろうと見越して、天喰は啖呵を切り、「ファットガム!」と叫んだ。
「俺なら1人で3人を完封できる!」
「ーーっ!!行くぞ、あの扉や!」
「ファット!」
感化され、ファットガムは先陣を切って駆け出す。それでも猶、切島は呼び止めようとする中、オーズもまた天喰に「先輩…!」と声を掛けると、天喰は振り返らず口を開いた。
「君も行くんだオーズ。後悔の無いよう、必ずミリオ達と合流してエリちゃんを救い出してくれ…!」
「…!!」
「おい映司、行くぞ!」
「オイオイオイ待て待てー…!!」
立ち止まるオーズの肩を掴んで、アンクは引っ張りながらファットガムの後へ続こうとする。行かせはしないと思ったのか窃野は拘束されながらも右腕を突き出そうとするが、相澤が窃野を睨み付ける。再び発動しない〝個性〟に「まーた…!!」と顔を歪ませた。
相澤も動き出すと、敵の1人・多部の頭を掴んで思い切り捻って意識を奪った。
「3人を見といた。効果がある間に動きを止めろ!」
その言葉にハッとした天喰は、抵抗しようとする窃野と宝生を再び壁へと叩きつけた。
「皆さん!!ミリオを頼むよ!あいつは…絶対無理するから助けてやってほしい」
後押しするように呼び掛ける天喰。オーズは歯を噛み締めながら、後ろを振り返らず、ナイトアイ達が進んでる奥の扉へと駆け出した。
バンッ!と扉が開かれ、一同は奥へと進んで行く中、納得がいかないのか切島がファットガムに向かって叫んだ。
「ファット!!先輩1人残すなんて何考えてんスか!!!」
「おまえんとこの人間だ。おまえの判断に任せたが、正直マズいんじゃねえか?」
「あいつの実力はこの場の誰よりも上や。ただ心が弱かった。完璧にやらなアカンっちゅうプレッシャーで自分を圧し潰しとるんや。そんな状態であいつは雄英のビッグ3に登り詰めた。そんな人間が『完封できる』と断言したんや。ほんなら任せるしかないやろ!」
言い切るファットガム。それ以上の言葉は出さず、一同はナイトアイを先頭に地下通路を走った。
暫く地下通路を走り続けていると、切島はやはり気になったのか走りながらボヤいた。
「先輩…大丈夫かな…ッ。気になっちまう」
「うん…」と緑谷が小さく頷く。
実力があると言えど、内気な性格状ネガティブな表向きばかり見せている天喰だから後輩の信頼もあまり無いのだろう。だが、それを聞いていたファットガムが「ただ!!」と急に声を上げて切島と緑谷はビクッと肩を上げた。
「背中預けたら信じて任せるのが男の筋やで!!!」
「先輩なら大丈夫だぜ!!」
「逆に流されやすい人っぽい!?」
「心配だが信じるしかねえ!!」
「サンイーターが作ってくれた時間!1秒も無駄に出来ん!」
漢を流儀に切島は我に返り自分に言い聞かせると、緑谷は驚愕した様子で切島にツッコむ。ファットガムと切島は気合いを入れ直す様に「しゃコラァああ!!」と叫ぶが、その暑苦しさに他のヒーローと警察達は顔を歪ませていた。
「上へ戻ろう」
「あの階段やな!」
奥に上へと繋がる階段を見つけるナイトアイ達。その道中、ずっとオーズは無言で走っていたのだが、気になったのかアンクが「おい」と声を掛けた。
「わ、なに?」
「集中しろ。今は目的の方が最優先だろ」
共に戦ってきたアンクはオーズの表情が読み取れなくてもその顔の中はどんな眼をしているのか分かったのかアンクはそう言うと、「あぁ…わかってる」とオーズは小さく頷く。すると、アンクは1枚のコアメダルを取り出すと、オーズに向かって投げ渡した。
「これ持っとけ」
「うわっ、とっ!…これは?」
走りながらなので何とかキャッチするオーズだが、ヤドカリを模したコアメダルを見て首を傾げると「鴻上のメダルだ、役には立つだろ」とアンクは言い、そのまま続けて喋る。
「素直に協力してやってんだ。終わったらとびきり美味いアイスよこせ」
「ム、俺もだ映司。報酬は忘れるなよ」
しれっとウヴァも催促し、オーズは相変わらずの2人の欲望に少しだけ頬を上げ、「わかったよ」と承諾した。
上へと通じる階段を上り、地下通路を走り抜けていると、ふと相澤が「妙だ」と疑問を抱く。
「地下を動かす奴が何の動きも見せて来ないのは変だ」
「そういえば…グネグネしません!」
緑谷が応えた言葉にオーズもハッとする。あれだけ妨害しようと動いていた地下通路が階層を落とされてから1度も妨害を受けていない。
相澤は更に疑問を口にする。
「何の障害もなく走ってるこのタイミングで邪魔をして来ないとなると…地下全体を正確に把握し動かせるわけではないのかもな。サンイーターに、上に残った警官隊もいる。もしかするとそちらに…意識を向けているのかもな」
「把握できる範囲は限定されていると?」
「あくまで予測です。奴は地下に〝入り込んで操っている〟。同化したわけじゃなく、壁面内を動き回って〝見たり〟〝聞いたり〟してるとしたら、邪魔をしようと地下を操作する時、本体が近くにいる可能性がある」
ロックロックが尋ね、そう応える相澤。
一方、1階層に落として窃野達に任せた入中は、様子を見るべくその部屋を壁から眼を出して覗き込む。だが、そこには窃野、宝生、多部の3人がタコの触手で拘束されて気を失っていたのだ。直ぐに側で天喰が負傷して倒れている事に気が付く。他のヒーローや警官達が居ない事にも気付き、入中は怒りを覚えた。
「(ただ1人しか足止めできていないとは…!!ゴミとは言え能力はある3人だ!)」
激怒するも、入中は疑問を抱く。こうもすんなり先に行くのを許してしまう程強い〝個性〟持ちが居たのだろうか?入中は考えていると、1人〝個性〟を抹消しているヒーローを思い出す。
「(そうか、あいつだ!!)」
ハッとした入中は壁の中を物凄い速度で移動し、ナイトアイ達の後を追った。直ぐにナイトアイ達を見つけ、その中に居る相澤に目を向けると、相澤もまた感付いてたのか口を開く。
「そこで、目なり耳なり本体が覗くようならーーー………」
その瞬間。入中は壁を突き出して相澤に襲い掛かった。
「イレイザー!!」
壁に押される相澤に緑谷は振り返って叫ぶ。その壁の向こうには渦を巻く様に巨大な穴が広がっていく。相澤の〝個性〟を嫌って分断させようという魂胆なのだろう。
だが、ファットガムが逸早く飛び出して相澤を押し出した。
「ファット!?」
「(こいつに良いようにされとったら、環がつくってくれた時間無駄んなるイレイザー!おまえ消せ、こいつ!!)」
「すまない!」
「気にすんな!!!」
ズン!と、轟音が鳴り響き壁の向こうへと押しやられたファットガム。相澤は直後に捕縛布を出したのだが、壁の勢いに負けて捕縛布は切れてしまっていた。
「おい大丈夫かイレイザー!?」
「あぁ、ファットが庇ってくれた…!」
ロックロックが安否を確認し、相澤は応える。すると、緑谷は切島がいない事にハッとする。
「切島君…切島君がいないです、イレイザー!」
「!?アイツ、
ファットガムと一緒に相澤を救けようと飛び出してしまった切島も、ファットガムと同様壁の向こうへと押しやられてしまっていた。救出に行こうと「壊します!」と緑谷が叫んだその瞬間だった。
ズン!と音が鳴ると同時に、オーズの
「えっ…なッーー…」
「ッ!オーズ!!」
「!?映司!!」
オーズの立っていた床は穴が空き、落ちると同時に落ちてきた天井に押しやられてしまうオーズ。相澤は捕縛布を伸ばし、アンクも手を差し伸ばそうとするが、両方間に合わず、落ちてきた天井と共にオーズは下の階層へと落とされ、穴は固く閉ざされた。
「火野君!!」
「バースんとこのガキが…!?分断する気かよ!?」
緑谷は叫び、ロックロックは警戒しながら焦りを感じる。すると、アンクはその場にいる者達に向かって「どいてろ!」と声を上げて、塞がれた床に向かって右腕を構えると、炎の球を繰り出す。床に着弾し一瞬燃え広がるが、床は焦げただけで傷一つ無く、アンクは舌打ちをした。
「俺の火力じゃビクともしないか…!おい緑谷!この床を壊せ!」
「うん!」
緑谷は強く頷き、全身に力を張り巡らす。だが次の瞬間、地下通路全体が再び揺れ始め、壁が押し寄せてきたのだ。
「っ!先を急ごう!!ここで足を止めていれば、分断されて治崎の思うツボだ!」
「ナイトアイ!」
「あ!?言ってやがる!」
「…!行くぞ、デク、アンク!」
「せっ、イレイザー!でも、切島君や火野君がっ!」
「本来は俺が分断されているところだった。だが、
「何……!?」
相澤の言葉に緑谷とアンクはハッとする。アンクは振り返ると、その場にはもう1人居るはずの存在が居なかった。数秒黙り込むアンクだが、押し寄せてくる壁が迫って来ており、アンクは舌打ちをしながら振り返って走り出した。
「ちっ!よりによって
「行くぞ!!」
悪態吐くアンクだが、そのまま振り返らず走り出す。緑谷も歯を食いしばりながら駆け出し、押し寄せてくる壁から逃げる様に一同は走り出した。
☆★☆★☆★☆
「うわぁっーー…!!!っと!!」
壁に押し出され、下の階層へと落ちるオーズ。
だだっ広い部屋に落とされ何とか着地して砂埃が舞う中、背後から何か落ちてきた音が聞こえてオーズは振り返る。
「っ!ウヴァ!?」
「ぬぅ…!?何が起きた!?」
「落とされたみたい…!入中って奴の仕業だろうな…」
「フン!変な能力ばかり持ってやがるな、この世界の人間は…!」
一緒に落ちてきたウヴァは入中の〝個性〟に怒りを覚える。その時だった。耳覚えのある声が2人を驚かせた。
「それに関しては僕も同感だね。でも、この世界の人間は中々面白いよ。欲望に忠実なのは変わりないから」
「「!?」」
部屋の奥から声が聞こえ振り返ると、そこには怪人態のカザリがニヤリと不敵な笑みを浮かべながらこちらを見つめていた。
「カザリ!」
「どうしてここに…!?」
「八斎會の手伝いさ。ま、僕の用はオーズ。君の足止めをしろって言われてね。人間の〝個性〟で分断してくれるとは言ってくれてたけど、君まで来るとは思わなかったよ、ウヴァ」
「フン!探す手間が省けたぞ。映司から奪ったコアメダルを渡してもらおうか」
「逆だよ。君達のコアメダルを、僕が貰うよ!」
カザリはそう言い終わり、ダッと床を蹴って駆け出す。ウヴァは人間態から怪人へと姿を変えて戦闘態勢になる中、オーズもファイティングポーズを構えてウヴァと共に駆け出した。
先ず、ウヴァが床を強く蹴って跳躍し、右腕の鋭利な鎌をカザリに振り翳そうと構える。同時にオーズも下から腕部のトラクローを展開して振り上げようとする。上と下から同時に刃が繰り出されるが、カザリは両腕の猫を模した爪で2人の攻撃を防いだ。
ガキィン!と刃が硬い物に当たる鈍い音が響き渡る中、カザリは「フッ」と笑みを浮かべる。
「アンクがいないなら、君達の相手なんて楽勝だね」
「何だと!?」
「根本的な話さ。数が違うんだよ、持っているコアメダルのね!ハッ!」
カザリは腕を振り上げ、ウヴァの攻撃を弾き、その間にオーズの懐へ足を突き出して蹴飛ばす。
「ぐっ!?」
「うわぁっ!」
蹌踉けるウヴァの隣でオーズは勢いよく尻もちを着く。懐を抑えながら膝立ちで構えるオーズに、余裕の表情でカザリは口を動かした。
「ウヴァ、碌にメダルを持っていないでしょ?」
「ほざくな!貴様も完全体じゃないだろ!」
「そうだね、でも…僕にはガメルとメズールのコアメダルがあるってこと、忘れたわけじゃないでしょ?」
「!?」
「ハァッ!!」
ハッとするウヴァに、カザリは両腕を突き出すと、大量の水流が繰り出される。直撃したオーズとウヴァは水の勢いに押し負けて更に後方へと飛ばされた。
「がぁっ!?」
「うおっ!?」
辺り一面が水で濡れ、床を滑るように飛ばされるウヴァとオーズ。何とか立ちあがろうとするが、追撃にとカザリは片腕を下から上へと突き出す。すると、床に亀裂が走り、大きな瓦礫が宙を舞う。
「ハッ!」
「うあああっ!!?」
「うぉおオ!!?」
宙を舞う瓦礫はオーズとウヴァに向かって降り注ぎ、直撃する。重々しい連続攻撃に2人の身体から火花が飛び散り、2人は膝を着いた。
「ヌゥ…!メズールとガメルの力か…!?」
「これじゃあ…近付けない…!」
「フフ…ウヴァ。君もこっちに来ない?このままだと勝ち目が無いと思うよ?オーズといてもメダル集めに支障が出るだけだと思うし」
「断る!貴様や連合なんかと一緒にいられるか!それに、俺は映司と一緒に居てお前よりも欲望を満たしているからな。案外悪くない」
カザリの勧誘にウヴァはキッパリと申し出を断る。そのウヴァの言葉にオーズは嬉しかったのか少しだけ笑みを浮かべていると、カザリは「あっそ」と小さな溜め息混じりで口を動かした。
「ま、君と一緒にいても邪魔なだけだから別に良いけどね」
「くっ…!おい映司、なにか策は無いのか!?」
「そんなこと言ったって……あの力を使う以外は何も……!」
ウヴァはオーズに怒鳴りながら尋ねるが、今のカザリ相手ではタトバだけでは太刀打ち出来ない。そう考えたオーズは自身の中にある紫のメダルを使おうと考えたが、ふとした瞬間、オーズはアンクから貰ったコアメダルを思い出す。
「やってみるか…!」
ヤドカリを模したコアメダル。まだ使った事が無いので能力もわからない状態だが、この窮地を覆せるならやむを得ないとオーズはドライバーからトラのコアメダルを抜き取り、ヤドカリのコアメダルを装填し、オースキャナーでベルトをスキャンした。
タカ!
ヤドカリ!
バッタ!
音声が鳴り響き、オーズの胴体はヤドカリの甲殻を模した装甲を纏い、肘にはドリルの様に突き出た突起物が備られていた。その名もオーズ〝タカヤドバ〟。
「何だそりゃ?見た事が無いコアメダルだな」
「うん。アンクいわく、真木博士が造ったコアメダルだって…!」
新しい姿に興味を持つウヴァに、オーズも胴体を確認しながら応えると、「とにかくこれでやってみる!」と言い残し、カザリに向かって駆け出した。
「姿を変えたところで、コンボでもなければ無理だと思うけどね!」
軽く息を吐きながら、カザリは身体に力を入れる。先程みたく、辺りの瓦礫が幾つか宙を浮遊し始めてそれをオーズに向かって砲撃する。真正面から突っ込んでくるオーズに瓦礫は直撃するが、オーズは止まる事無くそのまま突っ込んで来た。
「なにっ!?」
「ハァッ!!」
驚くカザリの不意を突き、オーズは肘に付いている
咄嗟に腕を交差させて防御を取るカザリだが、ヤドリールに回転が加わってカザリの腕は弾かれ、身体を抉り取るように攻撃が直撃し、カザリはセルメダルを溢しながら吹き飛ばされた。
「うっ!?何なのそのコアメダル…!」
「防御も攻撃も凄い…!これなら行ける!」
メダルを1枚変えただけで自分が吹っ飛ばされるとは思ってもみなかったのかカザリは驚愕して身構える。そしてカザリの攻撃に怯まなかったオーズは改めて胴体のヤドカリアーマーを見て感心し、追撃にとカザリに向かって駆け出す。
「フン、ここから反撃だ!」
それを見ていたウヴァも機を逃すまいと立ち上がり、オーズと共にカザリに接近する。
一度攻撃を許してしまったカザリは許を突かれてしまったのか、戸惑いを見せてしまう。その隙に、オーズとウヴァは連携して連続攻撃を浴びせる。
「ムン!!」
「だぁっ!!」
「うわっ!?」
2人の渾身の一撃にカザリは身体から吹き出す様にセルメダルが飛び散り、転がるように吹き飛ばされる。それと同時に、セルメダルとは配色が違うメダルが3枚空中へと舞う。気付いたオーズはそれをキャッチすると、それはガメルのコアメダルだった。
「やった…!」
「よし、でかした映司!コンボでカザリをぶっ倒せ!」
「
コンボの1つ、『サゴーゾ』の変身条件が揃ったのかウヴァは調子に乗って指示を出すが、否定しながらもオーズはコアメダルを取り替えようとオーズドライバーに手を伸ばす。
だがその時だった。
「うっ…!!?」
ズクン!!と急に身体に負荷が掛かるオーズ。蹌踉けているオーズに「どうした!?」とウヴァは声を掛ける。その直後、オーズの持っていた3枚のコアメダルがオーズの手から離れ、回転する様に宙を舞う。
「何…!?」
何が起きているのかわからず、カザリ、ウヴァ、オーズの3人は浮遊するコアメダルを見つめる中、先程の戦いで散らばっていたカザリのセルメダルが一斉に空中へと浮遊し、コアメダルへと集まっていく。
やがてそれは、
「…ウ…………ウ〜ん…………」
直後、その光の中から気の抜けた様な声が聞こえる。その声に
「まさか…ここで
「え…!?」
その言葉にオーズは驚き、警戒する。光が弱まり、徐々にその身体が露わとなる。上半身は他のグリードと同じ不完全な身体だが、下半身はゴツゴツとした灰色の鎧を纏った怪物が姿を現した。
「んー…?ここは、どこだー?メズール…メズールどこー?」
「ウヴァ、あいつは……!?」
「こんな形で復活するとはな…!…奴は俺達と同じグリードの1体、『ガメル』だ」
目の前にいるのは重量生物系のコアメダルを持つグリード・ガメル。辺りをキョロキョロと見渡す中、オーズは驚愕しながらも身構えていたのだった。
No.132 昆虫の王
更に向こうへ!Plus Ultra!!