いつかの明日へ、【ヒーロー】は助け合いでしょ   作:しょくんだよ

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撤退と状況とその目的


No.19火野映司の〝個性〟

「流石平和の象徴…!」

 

「もはや次元が違う…!」

 

脳無を吹き飛ばし、雄々しく立つオールマイトの

その姿を見て常闇、尾白は言う。

死柄木は想定外の出来事に首を強く掻き始める。

 

「衰えた…?嘘だろ…完全に気圧されたよ…。

よくも俺の脳無を…チートがぁ…!

全っ然弱ってないじゃないか!!

()()()…俺に嘘教えたのか!?」

 

「死柄木弔。ここは一旦引きましょう。

脇真音さんがいない以上ヤミーの生成もできず

生徒達の足止めもできない状態。

増して脳無もやられてしまった以上、 

オールマイトを殺す算段がなくなってしまいました。

一度撤退し、対策を整えるのが筋だと…。」

 

「うぉお……!ラスボスを目の前にして…!

……ちっ、分かったよ……。」

 

「逃がさんぞ…!ぐっ!?」

 

黒霧はそう言ってワープゲートを作り出す。

オールマイトは追おうとするも、力が入らず、

身体から煙が出始めていた。

 

「逃すかクソ野郎!」

 

「待て爆豪っ!今はオールマイトに任せて俺等は

下がった方がいい!」 

 

「そうだな…敵は戦意喪失してるみたいだし、

火野を回収して俺達は下がろう…!」

 

「賛成だ。…緑谷もその足、動ける状態じゃないだろう…?」

 

「だ、大丈夫…!」

 

爆豪は飛び出そうとするが切島に呼び止められ

尾白、常闇もその意見に賛成し、轟は無言で頷く。

常闇に言われた緑谷は片足を引きずって

冷や汗を流しているがそう答え、

不安そうにオールマイトを見ていた。

 

その時

 

 

 

ズドッ!!

 

「っ!!?」

 

死柄木の手を一つの()()が貫く。

 

「っ!来たか…!」

 

オールマイトは出口付近へ振り返る。

 

「ごめんよ皆、遅くなったね。

すぐ動ける者をかき集めてきた。」

 

出口付近にいた生徒等は喜びの顔を見せる。

そこには雄英の教師陣を大勢引き連れた

飯田が立って、声を上げた。

 

「1ーAクラス委員長飯田天哉!!

ただいま戻りました!!!」

 

「あーあ、来ちゃったな…

完全にゲームオーバーだ…。帰って出直すか。黒霧…。

今回は失敗だったけど………今度は殺すぞ。

平和の象徴オールマイト。」

 

死柄木が言ったその瞬間、教師のスナイプが

死柄木、黒霧に向け銃弾の雨を浴びせる。

全身モヤの黒霧には当たらず何発かは死柄木に当たり

血が飛び散っていたが、すぐにワープゲートの中へと入り、

黒霧もその場から姿を消したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★☆

 

 

ー 都内のとあるバーにて ー

 

 

「ってぇ…。」

 

「あ、死柄木…君!?どうしたの血塗れじゃん…!」

 

「騒ぐな傷口に響く……。」

 

ズヌリとワープゲートとから顔を出し、横たわる

死柄木に先に帰ってた脇真音はそう言って

近づこうとするが、死柄木は止める。

 

「その様子じゃ…、失敗したみたいだね…。」

 

「先にリタイアしたお前に言われたくないね…。

あぁ〜…両腕両脚撃たれた…、完敗だ…、

脳無もやられた…。ヤミーも手下共も瞬殺だ…子供も

強かった…。平和の象徴は健在だった…!

話が違うぞ先生……!」

 

死柄木はそう言うとバーのテーブルに置かれてる

モニターから男の声と老人の声が聞こえる。

 

『違わないよ。ただ見通しが甘かったね。』

 

『うむ… 舐めすぎたな。(ヴィラン)連合なんちう

チープな団体名で良かったわい。〝ヤミー〟は

実験データさえとれればいくらでも増やせるとして、

ワシと先生の共作脳無は?』

 

『回収してないのかい?』

 

「吹き飛ばされました。

正確な位置座標を把握できなければ、

いくらワープとはいえ探せないのです。

そのような時間は取れなかった…。」

 

「あの脳無がやられるなんて…やっぱりオールマイトは

凄いな…イテテテ…。」

 

黒霧が言うと脇真音は自分で処置したのか

頭には包帯が巻かれており、痛むのか片手で押さえていた。

 

『せっかくオールマイト並みのパワーにしたのに…。

まぁ…仕方ないか…残念。』

 

「てか、ドクター…。この〝新造〟のメダル

全然使えないんだけど…。オールマイトに

手も足も出なかったよ…?おまけに二、三発くらって

凄い痛いし…。」

 

『ふむ、調整が必要じゃな。後で儂のところへ来るといい。

それに、お前さんはその〝オーズドライバー〟とやらを

使い始めたのはついこの前じゃったろ?

使い慣れてない〝個性〟でプロに勝とうなんざ

烏滸がましいじゃろなっ。』

 

「うるさい笑うなっ!」

 

モニターから〝ドクター〟の笑い声が聞こえ、

脇真音は頭に煙が見える様な感じで怒る。

すると、何か思い出したのか死柄木は言う。

 

「…そう言えば、一人。オールマイト並みの

スピードのガキがいた…。だが足が折れてた…。

あんな〝個性〟あるのか…?」

 

『……へえ。』

 

「そんな奴いたっけ?」

 

「そばかすがある地味な子ですよ。」

 

「あー!あの緑色の髪の子ね。」

 

死柄木の言う少年にピンとこない脇真音に

黒霧は教えると納得し、手をポンと叩く。

するとモニターから男は喋り出す。

 

『今回の事を悔やんでも仕方ない!

今回だって脳無やヤミーの実験データは十分に取れたし

無駄ではなかったはずだ。精鋭を集めよう!

じっくり時間をかけて!我々は自由に動けない!

だから君達のような『シンボル』が必要なんだ。

脇真音優無!そして死柄木弔!!

次こそ君達という恐怖を世に知らしめろ!』

 

 

 

 

☆★☆★☆★☆★

 

 

「16‥…17……(ヴィラン)との戦闘で負傷した

少年二人を除いて……、ほぼ全員無事か。」

 

USJ襲撃後、駆けつけたプロの教師達により、

残党の(ヴィラン)は全員拘束され、

駆け付けた警察の護送車に乗せてる最中、

警察の一人、〝塚内〟と言う名の警部が

生徒の安否確認を行なっていた。

 

「尾白君、腕大丈夫…?」

 

「あぁ…火野のお陰でなんとかね。

そういえば葉隠さんはどこにいたんだ?」

 

ヤミーに襲われ応急処置をしてもらった尾白の

腕を見て心配そうにする葉隠に尾白は言うと

轟に指を指した。

 

「土砂のとこ!轟くんクソ強くてビックリしちゃった。」

 

「まぁ、…何にせよ、無事で良かったね。」

 

「(凍らすとこだった…、危ねぇ。)」

 

葉隠が言った後、轟は小さく息を吐きそう思っていた。

 

「僕がいたとこはね…、どこだと思う!?」

 

「そうか…皆の所もあの悍ましい怪人がいたのか。」

 

「あぁっ!火野が来てくれたら何とかなったけどよ!

ヤミーだっけ?気色悪い見た目してたな!」

 

青山が声を掛けるが、常闇は上鳴と会話し

聞く耳を持たなかった。

 

「どこだと思う!?」

 

「…どこ?」

 

「秘密さ!☆」

 

蛙吹に声を掛けると反応してくれたが

面倒臭い返答が返ってきたのか蛙吹はスルーすると

塚内が話しかけてくる。

 

「とりあえず生徒らは教室に戻ってもらおう。

すぐ事情聴取ってわけにもいかんだろ。」

 

「刑事さん、相澤先生は…。」

 

蛙吹が聞くと塚内はスマホを取り出し

病院と連絡を取るとスピーカーをオンにし、

生徒等に向ける。

 

『両腕粉砕骨折、顔面骨折…幸い脳系の損傷は

見受けられません。ただ…、眼窩底骨が粉々に

なってしまいまして…、目に何かしらの後遺症が残る

可能性があります。』

 

「だそうだ…。」

 

「ケロ…。」

 

その話に蛙吹は心配そうな表情になり、

話を聞いた峰田も両手を組み涙目になる。

 

「13号の方は、背中から上腕にかけての裂傷が酷いが

命に別状はなし。オールマイトも同じく命に別状なし。

彼に関してはリカバリーガールの治癒で

充分処置可能との事で保健室へ…。」

 

「あの、デク君は…!」

 

「そうだ、緑谷と火野!あいつらは大丈夫なんすかっ!?」

 

話に割り入り、麗日と切島は二人の安否を求める。

 

「緑…あぁ、彼は保健室で間に合うそうだ。

ただ、火野映司君も命に別状はないが彼は

これから警察署に来てもらう予定だ。」

 

「警察署っ!?何故ですか…!」

 

塚内の言葉に飯田は反応すると、

ポケットから小さなジップロックを取り出す。

その中に入っていたのは数枚の銀色のメダルだった。

 

(ヴィラン)にいたんだろ?彼と同じ〝個性〟が…。

今回の事件で出現した見たこともない人外の怪物…。

先程君達から回収したこのメダルが恐らく関係している。

彼には心当たりはないと思うが念の為ね。

三茶、後は頼んだぞ。俺は保健室に用がある。

用が終わり次第、俺も署に向かう。」

 

「了解。」

 

塚内はおそらく異形型の猫の〝個性〟、三茶に指示を出し

その場にいた校長、教師等の方へ向かう。

 

「セキュリティの大幅強化が必要だね。」

 

「ワープなんて“個性”、ただでさえ

ものすごく希少なのによりにもよって

(ヴィラン)側にいるなんてね…。」

 

校長の言葉に奇抜な格好をした〝ミッドナイト〟は、

物悔しそうに言った。すると鬼の顔をした警察が

塚内に駆け寄る。

 

「塚内警部!約400m先の雑木林で(ヴィラン)

思われる人物を確保したとの連絡が!」

 

「様子は?」

 

「外傷はなし!無抵抗で大人しいのですが…、

呼びかけにも一切応じず口が利けないのではと…。」

 

その(ヴィラン)は脳無で間違いないだろう。

報告を聞き、塚内は帽子を取り、校長に話しかける。

 

「校長先生、念の為校内を隅まで見たいのですが。」

 

「ああ、もちろん!一部じゃとやかく言われているが、

権限は警察の方が上さ!捜査は君達の分野!

よろしく頼むよ!」

 

「そう言われると頑張らないと行けなくなりますね。

精一杯調査を頑張らせていただきます。」

 

許可を取り、塚内は再び帽子を被ると

部下の警察に指示を出し、行動を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★☆★

 

 

ー 警察署にて ー

 

 

「ふぅ…。」

 

「塚内警部!お疲れ様です!」

 

「まだ終わってないよ。

火野映司君から何か聞き出せたかい?」

 

時刻は夜となり、雄英から戻ってきて息を吐く塚内に

先に戻っていた三茶が敬礼をするが、

軽く手を振ってあしらい、火野の状況を聞く。

 

「一応、今回の事件を含め、色々と聞いたのですが、

特に(ヴィラン)との接点…、心当たりがないそうで。」

 

「そうか。あの銀色のメダルは?」

 

「それも、あの子は〝初めて〟見たらしく、

彼の〝個性〟である〝ベルト〟に

それを使用させてみたのですが

変な音が鳴るだけで何も反応がありませんでした。」

 

「変な音…?あぁ、彼の〝個性〟のベルトか。

しかし、これまた凄い〝個性〟だな。

動物の造形が施された金縁のメダルを入れると

瞬時に身体に纏う形で生成され、

その能力以上の性能を扱う…。」

 

顎に手を置き、火野の〝個性〟についての詳細を

雄英から拝借し、眺めていると、何か思い出したのか

三茶に問いかける。

 

「そうだ、ご両親は?」

 

「はっ、両親は共々海外で働いており、

現在は親戚の泉比奈という娘と暮らしているそうです。」

 

「共働きか…じゃなくてっ!〝個性〟だよっ。」

 

「あぁ!失礼しました!

母親の〝個性〟は身体を伸縮する…。

父親は動物と会話が出来る〝個性〟です。」

 

「至って普通の〝個性〟だな…。」

 

「えぇ、一応両親に連絡してあの子の〝個性〟の詳細を

聞いてみたのですが、約三歳の頃、母親が

食器を洗っていた時に、いつの間にかあの子の()()

例のベルトとメダルが三枚置いてあったそうです。

それに、あのベルトは本人しか使えない様で、両親も

試して見たのですが反応しなかったみたいです。」

 

「〝個性〟が発現するのは四歳になるまで…。

それに本人しか使えない…。

となると火野君の持つベルトは彼自身の〝個性〟…。」

 

塚内は再び考えると何か分かったのか

目を見開き、スマホを取り出す。

 

「三茶、ご苦労。火野君は今日は帰らせて上げてくれ。

勿論、家までだ。頼んだよ。」

 

「了解っ。」

 

そう言って、塚内は署から出て行く。

そしてスマホを操作し、耳に当てた。

 

「…もしもし、オールマイト。

度々すまないね…。…あぁ、火野君の事だが…。

()が関わってるんじゃないかと思うんだ…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★☆

 

 

 

翌日は臨時休校となった雄英。

そしてUSJ襲撃事件から二日後…。

 

「皆ーーー!!朝のホームルームが始まる!

席につけーー!!」

 

「ついてるよ。ついてねーのおめーだけだ。」

 

朝から元気よく、委員長として教卓に立ち、

指示を出すが、瀬呂にそう言われ、

飯田は直ぐに席に戻って行く。

そんな姿を火野達は軽く笑いながら見ていた時、

教室の扉が開かれる。

 

「お早う。」

 

「「「「相澤先生復帰早えええ!!!!プロすぎる!」」」」

 

何と現れたのは包帯ぐるぐる巻きの相澤で

思わず皆は声を上げツッコむ。

 

「先生、無事だったのですね!!」

 

「無事言うんかなぁアレ……。」

 

よろよろ千鳥足で教卓に着く相澤を心配そうに見る麗日。

 

「俺の安否はどうでもいい。

何よりまだ戦いは終わってねぇ。」

 

それを聞いた生徒達は身構えた。

 

「戦い?」

 

「まさか…。」

 

爆豪、緑谷が呟く。

 

「まだ(ヴィラン)がぁーー!!?」

 

「えっ!?(ヴィラン)!?大変だ!直ぐに対処」

 

「峰田ちゃん、火野ちゃん、落ち着きましょう。」

 

峰田が頭を抱えて言うと火野は反応し、

席を立とうとするが、斜め前の席の蛙吹に止められる。

 

そして相澤は口を動かした。

 

「雄英体育祭が迫ってる!」

 

 

 

「「「「クソ学校っぽいの来たあああ!!」」」」

 

 

 




「火野君、警察署で何されたの?」

「あ、麗日さん、梅雨ちゃん。
んー軽い尋問と、何か過去の話を色々聞かれたなぁ。
あと実験みたいなのもしたよ?」

「ケロッ?実験?」

「うん、あの刑事さんが持ってた銀色のメダル、
アレをベルトに嵌めて変身できるかどうか試したんだ。」

「えっ?それでどうやったん?」

「音は鳴ったけど特に何も変わらなかったかなぁ。」

「な、何だぁ〜(ちょっと期待してもうたうち…。)」

「ケロ…私、あのオーズのメロディ好きなのっ。」

「え?そうなの?」

「頭から離れないケロっ。」

((洗脳されて(と)る…。))


次回!No.20その男、偵察にくる!

更に向こうへ!Plus Ultra!!
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