いつかの明日へ、【ヒーロー】は助け合いでしょ   作:しょくんだよ

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妄想と調べとその男


第4章 〜雄英体育祭〜
No.20その男、偵察にくる!


時は遡り、火野が帰宅した頃…、

 

「ただいま〜…。」

 

「あ、映司君!ニュース見たけど大丈夫っ!?

怪我とかしてない?どこも痛くないっ?」

 

「いたたたっ!あー!ちょ、比奈ちゃんっ。

俺は特に何ともないから大丈夫だよっ。」

 

リビングに入ると泉比奈が駆け寄り

映司の身体のあちこちを触るがミシミシと骨が鳴り

映司は痛がり距離を取る。

興奮、もしくはパニックになると彼女の〝個性〟が

発動してしまうので馬鹿みたいに力が入ってしまう。

それが彼女のコンプレックスでなるべく発動しない

ようにと努力しているつもりだが中々難しいようだ。

 

「映司君、(ヴィラン)にいたんでしょ?

映司君と同じ〝個性〟の…。」

 

「あ〜うん、そうなんだよ。」

 

「同じ〝個性〟って聞いたことないよね…。

それに映司君の〝個性〟ってちょっと特殊だし…。」

 

泉の言葉に映司は椅子に座りながら深く頷く。

よく似た〝個性〟ならザラに見掛けるが、

全く同じ〝個性〟は世に存在しない。

増してや火野の様に特殊な道具を使って姿が変わるのは

稀に見ない力で、それが(ヴィラン)側にいたとなると

あの力が悪用される。そう思っただけでもゾッとするのか

泉は肩を震わせた。

すると、何か思ったのか泉は口を動かす。

 

「もしかして、〝個性〟をコピーする〝個性〟

とかあるのかな?」

 

「えぇ?…聞いたことないなそんな〝個性〟…。」

 

「何か心当たりない?」

 

「心当たりかぁ…あ。」

 

「何っ?何かあるの?」

 

「…いや、まさかね。ごめん、なんでもない。

ただの思い違いだよ…。」

 

泉に言われ、火野は過去の事を思い出した。

それは受験前の事、特訓していた時に

出会した一人の女の子だった。

(ヴィラン)のオーズも女性でもしかしてと思ったが

他人の力をそのままコピーする〝個性〟は

存在するのかと火野は疑問に思う。

それに、(ヴィラン)のオーズが

呼び出した〝ヤミー〟という怪人は火野にはない

能力だった。

深く考えたくないのか火野は有耶無耶にし、

机の上に置かれてたお茶を飲む。

 

「世界は広いから、俺と同じ〝個性〟がいても

おかしくないか…。」

 

「洒落にならないよそれ、映司君のオーズが

いたらそれこそ世界が危ないんだよっ?」

 

「だよね…、分かってる…。

俺ももっと、実力をつけないと…。」

 

火野は自身の拳に力を入れる。

あの時、その場凌ぎにメダルのコンボを使い

なんとか一時的に免れたが、結局、オールマイトが

来なければやられていたのかもしれない。

まだ学生の身とはいえ、仲間達を守れなければ意味がない。

だからこそ、力を制御し、

ここぞと言う時に役立てなければ。

火野はそう思っていた。

 

「あまり無茶しないでね…?映司君がもしも何かあったら私…。」

 

「だ、大丈夫だよ比奈ちゃん!セキュリティも

強化してくれるみたいだし、何よりうちの学校には

オールマイトがいるんだっ。俺自身ももっと修行すれば、

どんな事だってやっていけるさっ。」

 

「…うん。分かった。映司君、私信じてるからね。」

 

「ありがとう比奈ちゃん。」

 

心配させまいと映司は笑顔を作り、泉を安心させる。

しばらく沈黙が続き、気まずいのか映司は口を動かす。

 

「あ〜…、(ヴィラン)じゃなくて

味方の方にも()()()を使う〝個性〟がいればな〜。」

 

「そんな奇跡ないでしょ。」

 

「分からないよ?もしかしたら今年の一年か

先輩に誰かいるかもしれないよ?」

 

「いたらもう話題になってるでしょ?」

 

「ははっ…確かにね…。」

 

映司は笑い、お茶を啜る。

もし、本当にそんな頼もしい人がいれば、

希望の足しになるんじゃないかと、映司はふと思っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★☆★

 

ー 翌日、雄英校の会議室にて ー

 

 

 

USJ襲撃の翌日、雄英校の会議室で、

報告にやってきた塚内が教師陣に調査結果を見せ

会議が行われていた。

 

「死柄木という名前……触れたモノを粉々にする〝個性〟

………20〜30代の個性登録を洗ってみましたが、

該当なしです。『ワープゲート』の方、黒霧という者も

同様です。無戸籍且つ偽名ですね……

個性届を提出していないいわゆる裏の人間。」

 

「何もわかってねえって事だな…早くしねえと、

死柄木という主犯の銃創が治ったら面倒だぞ。」

 

「だが問題はもう一つ…。」

 

塚内の報告にスナイプはそう言うと、校長が呟く。

それに続くかのように塚内は再び喋り出す。

 

「えぇ、彼らと共に行動していた少女、脇真音優無。

彼女も死柄木と同様、〝偽名〟で、戸籍登録も

詳細も分からない状態です。

そして彼女の〝個性〟…。」

 

「火野映司君と同じ…『オーズ』。」

 

「俄に信じらんねぇな…、俺達が駆けつけてた頃には

もういなかったが…。

そもそも同じ〝個性〟なんて存在しないだろ?

火野のあのベルトは本当に〝個性〟なのか?」

 

塚内の言葉にミッドナイトに続き、

〝ブラドキング〟が言う。

 

「個性届け、両親にも確認を昨夜聞き、調べた結果、

それは間違いないと言えますね。」

 

「だとしたら何で同じもんが

(ヴィラン)側にもあるんだ?」

 

「申し訳ありませんが、我々もそれは調査中です…。

火野映司君も初めて見たらしく彼女との接点は

一切ないそうです。

話を戻しますが、彼女の『オーズ』。それだけではなく、

あのUSJにいた人外の生物…報告書には『ヤミー』と名付けられた怪物を生成する事もできるみたいです。

そしてこれはあの場にいた生徒達から回収した

〝メダル〟の資料です。」

 

塚内はそう言ってマジックボードに何枚か

調べられた文と共に大きく写真に撮られていた

銀色のメダルの資料を何枚か貼っていく。

 

「協力してもらった国立研究科の人達に

調べてもらいました。詳しくはまだ分かりませんが、

このメダルには未知のエネルギーが

収縮されている事だけは判明しています。」

 

「…火野少年の持っているメダルと似ているな。」

 

その資料を見てオールマイトが呟く。

 

「えぇ、彼の持つ〝コアメダル〟。

火野君からも一枚借り、調べてもらいましたが

エネルギーの量は明らかにコアメダルの方が膨大です。

あ、オールマイト、これ火野君に返してもらえるかい?

…ですが、この銀色のメダルは妙な報告を受けまして…。」

 

「妙な報告?」

 

塚内はコアメダルを一枚、オールマイトに渡す。

そして彼の発言に、ミッドナイトは首を傾げると

塚内は一旦区切り、喋り出す。

 

「このメダルは人に近づける、もしくは向けると、

そのエネルギー量が増幅するみたいなんです。」

 

塚内の言葉に教師等は騒めく。

すると、校長が何か分かったのかその小さな身体を

椅子から立ち上がらせ、こう言った。

 

「まさか、そのメダルは()()()()()()()

怪物を生み出してるんじゃないのかい…?」

 

「「「「っ!!?」」」」

 

「流石校長、私もそう考えていました。

脇真音はヤミーを生成する事ができる。

そしてこのメダルは人に近づけるとそのエネルギーが増大…。」

 

校長、そして塚内の言葉に教師等の顔は

一気に青ざめていく。

 

「そんな…!あの怪物は人から生み出されるってこと…!?」

 

「考えただけで気味が悪いな…!」

 

ミッドナイト、スナイプはそう言うと、

塚内は続けて喋る。

 

「まあ、あくまでもこれは現時点での予測です。

ただこれが本当でまた彼女が再びヤミーを生成したら…。」

 

「まずいだろうね。

生徒達はこのヤミーと交戦したみたいだけど

報告では動物のモチーフをした人外生物で

攻撃しても血は出ず、時間が経つとその傷は修復される。

そして見た目の動物の能力を使い攻撃を仕掛けてくる。

その強さは寄せ集めの(ヴィラン)より強い…。

…下手をすれば、甚大な被害を招きかねないね…。」

 

塚内が区切ると校長が喋り、息を吐く。

 

「…とんでもない女の子だぜこりゃあ…。」

 

「こちらもよりセキュリティを強化して生徒達の安心と未来を守らねばならないね…。」

 

「…幸い、死柄木とその少女は共に行動をしています。

何方も特徴的な見た目をしているので、こちらとしては

捜査網を拡大し引き続き犯人逮捕に尽力するつもりです。」

 

ブラドキング、校長が口を動かし、

塚内はそう言って資料を戻していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆★☆★☆

 

 

「はぁ…やる事が多いけど、頑張るかぁ…。」

 

会議を終え、塚内は雄英を出て大きく背伸びをすると

外で待機していた三茶が近寄る。

 

「塚内警部!お電話が入っています!」

 

「電話…?誰から?」

 

「それが、あの有名なサポートアイテム会社の

『鴻上ファウンデーション』からですっ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★☆

 

 

「体育祭…!」

 

「クソ学校っぽいの来たぁぁ!!」

 

「待って待って!(ヴィラン)に侵入されたばかりなのに

大丈夫なんですか!?」

 

時は戻り、A組のクラスでは体育祭の事で

盛り上がっており、切島はそう言うと相澤は喋り出す。

 

「逆に開催する事で雄英の危機管理体制が磐石だと示す…

って考えらしい。警備は例年の五倍に強化するそうだ。

何より雄英の体育祭は……最大のチャンス。

(ヴィラン)ごときでで中止していい催しじゃねぇ。」

 

「いやそこは中止しよう?体育の祭りだよ?」

 

峰田がツッコむと緑谷が反応し、

後ろの席の峰田へと振り返る。

 

「峰田くん…雄英体育祭見た事ないの!?」

 

「あるに決まってんだろ。そういう事じゃなくてよー…。」

 

峰田は恐る恐る言うと相澤はそのまま喋り出す。

 

「ウチの体育祭は日本のビッグイベントの一つ!!

かつてはオリンピックがスポーツの祭典と呼ばれ

全国が熱狂した。今は知っての通り規模も人口も縮小し

形骸化した…。そして日本に於いて今、

かつてのオリンピックに代わるのが雄英体育祭だ!」

 

「当然全国のトップヒーローも観ますのよ。

スカウト目的でね!」

 

「だから知ってるってば…。」

 

相澤の言葉に八百万が反応するが峰田は嫌な表情を変えず

そう言う。雄英体育祭は毎年テレビでも見る

超有名な体育の祭り。それを知らない人は

そうそういないだろう。

 

「資格習得後はプロ事務所にサイドキック入りが

セオリーだもんな。」

 

「そっから独立しそびれて万年サイドキックってのも

多いんだよね。上鳴アンタそーなりそう。アホだし。」

 

「あぁ、あのうぇ〜いになるから確かにそうなりそうだな。」

 

「ぶふっ!?」

 

「あぁ!?おい!火野!耳郎!

余計なこと言わなくていいんだよ!」

 

上鳴が言うと耳郎は馬鹿にし、火野も話に入り

馬鹿にして、上鳴は顔を赤らめて怒っていた。

 

「当然名のあるヒーロー事務所に入った方が経験値も

話題性も高くなる。時間は有限。プロに見込まれれば

その場で将来が拓けるわけだ。年に一回…、

計三回だけのチャンス、

ヒーロー志すなら絶対に外せないイベントだ。

資料を渡すから目を通しておけ。以上。」

 

相澤はそう言うとちょうどチャイムが鳴り、

ホームルームは終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★☆

 

 

昼休憩

 

 

火野は若干漏れそうなのか急いでトイレに駆け込み

要を足すと、出てきて洗面所で手を洗っていた。

 

「…はあ。」

 

火野は相澤から言われた事を思い出す。

 

 

『火野。USJで出くわした(ヴィラン)オーズは

警察側が捜査している。お前は何かと突っ込むタイプだから

念には言っておくが、あまり関わるなよ。

学生何だから学生らしく学業に専念しとけ。』

 

 

「…なるべく…、とは言いたいところだけど。

同じ〝個性〟じゃ気にしてしまうよな…。」

 

そう呟きながら、手を洗い終え、トイレから出ると

一人の男子生徒がトイレにやってくる。

8:2分けのふわっとした髪型だが

制服は整えており、いかにも真面目そうな生徒だ。

火野とその生徒はすれ違う。が、その生徒は声を掛けてきた。

 

「ニュースを見たが、貴様はまだその〝個性〟を

上手くつかいこなせていないようだな。」

 

「え?」

 

咄嗟の言葉に火野は動揺する。

 

「平和の象徴が来てなければ、あの場にいた生徒は

全員ただじゃ済まなかっただろうな。」

 

一旦区切ると、生徒は一歩前へ火野に近づき

その目はガン飛ばし、そしてこう言った。

 

 

 

 

 

 

 

「…そんな状態で『世界』を守れるのか?」

 




掃除の出来事

「今日の掃除当番は麗日さん、障子君、緑谷君、砂藤君、上鳴君、火野こと、俺!さ、綺麗にしなきゃな!」

「なぁ!麗日麗日!この箒浮かせれるか!?」

「え?浮かせるけど上鳴君何で?」

「ほら!漫画みたいな魔法少女!
箒浮かせて俺飛んでみたいのよ!」

「えぇっ!?楽しそうやけど、それはまずいんじゃ…。」

「え?でももう皆んなスタンバってるぜ?」

「…。」
「…。」
「…。」

「えぇっ!?障子君も、火野君まで!?
ちょっと、デク君何とか言って…」

「え、どうしたの麗日さん?」

「デク君!?しかも魔女みたいな格好!?
どっからもってきたの!?」


10分後、相澤が来た。

「掃除終わったか…お前ら何してる…?」

「「「「「「はっ…!?」」」」」」

その後、彼らは反省文を書かされたのだった。


次回!No.21雄英体育祭、開幕

更に向こうへ!Plus Ultra!!
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