いつかの明日へ、【ヒーロー】は助け合いでしょ   作:しょくんだよ

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パンツと戦い方と瞬殺


No.28ガチンコ対決!始動!

『さあ!最終種目の準備に取り掛かるぜぇ!

それまでは少しの間休憩しといてくれ!』

 

会場からプレゼント・マイクの声が響き、

観客はガヤガヤと騒いでいる中、

火野は前種目の借り物競争を終え、

水道で汗を洗い流す為、水を顔から浴びていた。

 

「火野。」

 

「‥ん?ちょっと待って‥‥。」

 

背後から声を掛けられ、火野は洗い終え

タオルで顔を拭き振り返るとそこには心操がいた。

 

「心操君?どうしたの?」

 

「…いや、ちょっと‥‥、騎馬戦の時は‥まあ、助かった。」

 

「あ〜、全然。むしろこっちが礼を言うくらいだよ。

君の〝個性〟がなかったら鉢巻取れなかったし。

本当凄い〝個性〟だよ!」

 

照れ臭いのか頭を掻きながら言う心操に

火野は笑顔で返す。すると、心操は真面目な表情になり

喋り出す。

 

「‥騎馬戦の時もそうだけど、そう言われるのは

後藤を入れてあんたが初めてだよ。

俺の〝個性〟は昔から(ヴィラン)向きだって

よく言われてたからさ。‥‥まあ、間接的に

言われるのは慣れっこだったから何とも思わなかったし、

そういう世の中だから、仕方ないって思ってた。」

 

「心操君‥。」

 

「そりゃ、こんな〝個性〟他人だったら

悪用を思いつくだろよ。でも、()()ちまったもんは

しょうがねぇだろ‥。だから、お前に言われて

ちょっと嬉しかったし‥、久々に熱くなれた。

火野、ありがとうな。」

 

「‥うん!こちらこそありがとう!」

 

火野と心操は握手を交わす。

 

「‥このトーナメント。俺は俺なりのやり方で

戦うつもりだ。お前ともし、ぶつかることになったら、

その時は全力で来てくれ。手加減は無しだ。」

 

「分かった、お互い頑張ろう!あ、そうだ!」

 

火野は何か思ったのかゴソゴソとポケットを漁り

取り出し広げると心操に渡す。

 

「‥‥何だこれ?」

 

「何ってパンツだよっ。」

 

「は‥?パンツ‥?何で‥?」

 

「男はいつ死ぬか分からないからパンツだけは

一張羅で履いとけってよく爺ちゃんが言ってたんだ。

それは俺なりの声援。プラス戦別‥かな。」

 

「‥ぷっ、あははっ!これ、新品だよな?」

 

「なっ!?し、新品だよ!履いたやつは流石に渡せないし!」

 

一応確認する心操に失礼なと言わんばかりに火野は言うと

笑いながら受け取る心操。

 

「お前は変わった奴だな本当‥受け取っとくよ。」

 

心操はそう言って、振り替えり、立ち去って行った。

火野はそれを見送り、自身も会場へと戻って行く。

 

 

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★

 

 

 

 

「オッケー、もうほぼ完成。」

 

セメントスは自身の〝個性〟セメントを使って

フィールドにバトルリングを作り出し、

大体形が仕上がって来たのでプレゼント・マイクに合図を出す。

 

 

『サンキューセメントス!ヘイガイズ!

アァユゥレディ!?色々やってきましたが!!

結局これだぜガチンコ勝負!!頼れるのは己のみ!

ヒーローでなくともそんな場面ばっかりだ!

分かるよな!!心・技・体に知恵知識!!

総動員して駆け上がれ!!』

 

 

プレゼント・マイクは叫び、観客は大いに盛り上がる。

そして、双方のゲートからは1試合目の

緑谷と心操がフィールドへと歩いて行く。

緑谷の方はひょっこりとトゥルーフォームの

オールマイトが覗いているのを発見する。

クラス用の観客席にいた火野は何か話してたのだろうかと

思いながらそれを見かけて思っていた。

 

『一回戦!!成績の割に何だその顔!

ヒーロー科緑谷出久!!vs!序盤は見せ場なかったが

騎馬戦では火野オーズと共に活躍してた普通科!

心操人使!!ルールは簡単!相手を場外に落とすか

行動不能にする、後は『参った』とか言わせても

勝ちのガチンコだ!!怪我上等!!こちとら我らが

医療教師!リカバリーガールが待機してっから!!

道徳倫理は一旦捨てとけ!!だがまぁ勿論命に

関わるよーなのはクソだぜ!!アウト!

ヒーローはを(ヴィラン)捕まえる為に拳を振るうのだ!』

 

歓声を浴びながらリングへと登って行く二人に対し

プレゼント・マイクは紹介&説明を行う。

その歓声の中、心操は緑谷に喋り掛けていた。

 

「‥『まいった』‥か。分かるかい緑谷出久。

これは心の強さを問われる戦い。

強く想う未来(ビジョン)があるなら

なり降り構ってちゃダメなんだ‥‥。」

 

 

『そんじゃ早速始めよか!!

レディィィィィイSTART!!

 

 

プレゼント・マイクは合図を出すが

それでも尚心操は喋り続ける。

 

「騎馬戦、あのオーズを使わせてもらったが、

勝手に熱くなって見苦しかったよ‥‥。

まあ、おかげでいい()()()

なってくれて助かったけどな。」

 

「っ!!なんて事言うんだ!!‥‥!!!?」

 

「俺の、勝ちだ。」

 

心操の卑怯な笑みとその言葉に緑谷は激怒し、

()()して突っ込もうとした瞬間、

動きが止まった。

 

「デク君‥!?」

 

「あぁ!緑谷!!忠告したじゃんか!?」

 

『オイオイどうした?大事な緒戦だ、

盛り上げてくれよ!?緑谷、開始早々ーーーー!

完全停止!アホ面でビクともしねぇ!!

心操の〝個性〟か!?』

 

A組の観客席、火野の背後に座っている

上鳴が叫ぶ。騎馬戦の時に洗脳されたので

わざわざ緑谷に教えていたのだろう。

プレゼント・マイクもまさかの展開に実況しつつも驚く。

心操はわざと挑発させ良心の緑谷を

苛つかせて反応させたのだろう。

そのやり方に事前に聞いてはいたが火野は、

うわぁ。と声を漏らす。

 

「‥悪いな、卑怯でも何とでも言われても俺は構わない。

これが俺なりの〝戦い方〟だ。

『振り向いてそのまま場外まで歩いていけ』。」

 

「‥‥。」

 

『ああーーー!緑谷ジュージュン!!』

 

心操に言われるがまま、緑谷は無言のまま振り向き

リングの外へと歩き出す。

 

「み、緑谷君!!行っちゃダメー!!」

 

「あんなやり方漢らしくねえ!!」

 

「フン、術中にハマったクソナードが悪い。」

 

「お前幼馴染だろ!?緑谷を応援するべきだろ普通!」

 

「黙ってろ!この勝負は友達ごっこなんていらねぇんだよ‥。」

 

葉隠が叫び、切島が言うと爆豪はそう返し、

上鳴が庇うが爆豪はそう言って勝負を見届ける。

これは彼なりの戦い方。水を差す行為はいけないと思ったのか

火野は黙ってこの状況を見ていた。

 

「分かんないだろうけど…、こんな〝個性〟でも

夢見ちゃうんだよ。さァ、負けてくれ。」

 

もうすぐ場外になってしまう緑谷の背中を見て

心操は呟き、見届けていた。

だが、その時。

 

 

バキッ

 

 

「っ!?何…!」

 

「………っ!!ハァ!ハァ…!」

 

緑谷の指先から鈍い音が聞こえると同時に

突風が巻き起こり、心操は身構える。

すると、緑谷は洗脳が解かれたのか

呼吸が荒くなり、心操へと振り返る。

 

『ーーーーーーこれは…緑谷!!留まったああ!?』

 

 

「っ!?緑谷君!?」

 

「指が腫れ上がってるぞ‥!」

 

「…暴発させたんか‥!クソデク…!」

 

プレゼント・マイクは叫び、観席の火野、飯田は声を上げ、

その指を見て気づいたのか爆豪は呟く。

 

「何で‥、体の自由はきかないハズだ!

何したんだ!」

 

心操は本音を兼ね問い掛けるが、緑谷は口を塞ぎ、

心操へと近付いて行く。

 

「…何とか言えよ…。」

 

「…!」

 

「〜〜〜〜!指動かすだけでそんな威力か!?

あのオーズといい本当羨ましいよ!」

 

「……!!」

 

「俺はこんな〝個性〟のおかげでスタートが

遅れちまったよ。でもよ、こんな〝個性〟でも!

褒めてくれる、ヒーロー向きな〝個性〟って

言ってくれる奴がいたんだ!!俺だってこんな所で

負けたくねぇんだよ!なぁ!?」

 

心操は洗脳させようと緑谷に問いかけ続けるが

緑谷は返答せず、黙って心操に向かって歩く。

その足は徐々に早めていき、心操も焦りながらも

呼び続ける。

そして、緑谷は突っ込み、心操の胸ぐらを掴む。

 

「っ!!何か言えよ!!」

 

「っ!?あああああっ!!!」

 

心操は緑谷の顔面に拳を食らわす。

だが生半可な攻撃じゃあ緑谷は怯まず、

声を上げて心操を押して行く。

 

「ぐっ!!(場外させる気か!?)」

 

思ったよりも緑谷の力が強いのかなすがままの状態になり、

その距離はどんどん縮められて行く。

ふと、心操の体操服のポケットから

先程火野から貰ったパンツがはみ出ているのに

気付き、心操はそれを見て、声を上げる。

 

「っ!!あいつに!背中押され‥たんだ!!

負けるか、よぉおおお!!!」

 

『心操!緑谷の押し出しを止めたぁ!!

いいぞぉ!初戦だからもう少しネバれー!!』

 

『盛り上げ重視かテメェ。』

 

押し止どめた心操にプレゼント・マイクは叫び

相澤がツッコむ。

 

「お前が!出ろぉっ!!」

 

「んぬぅ!!?」

 

線が引かれてる前で心操は緑谷の押し出す力を

いなし、反応する緑谷は振り返るが、

心操は緑谷の顔を掴み、逆に押し出そうとする。

 

「ああああああ!!!」

 

「っ!!?」

 

だが、緑谷は負けずと声を上げて、

心操の腕と胸ぐらを掴み、勢いよく背負い投げをした。

リングに叩きつけられた心操の両足は

場外の線をはみ出していた。

 

「心操君場外!!緑谷君、二回戦進出!!」

 

『二回戦進出!!緑谷出久ーーー!!』

 

わぁあああああっ!!

 

審判のミッドナイトは手を振り、

プレゼント・マイクは勝利の緑谷の名を呼び叫んでいた。

殴られて鼻血を出しながらも緑谷は拳に力を入れて

その勝利を小さく噛み締めていた。

 

「クソ‥。」

 

『IYAHA!緒戦にしちゃ地味な戦いだったが!!とりあえず両者の健闘を讃えてクラップユアハンズ!!』

 

clap clap clap clap‥

 

「雄英も馬鹿だな、あれ普通科か。」

 

「んー、戦闘経験の差はなー。

どうしても出ちまうもんなー、もったいねぇ。」

 

悔しそうに起き上がる心操にプレゼント・マイクは言い、

会場からは拍手が両者二人に送られていた。

その中にはプロヒーローが心操を評価している

人達も何人かいた。

心操はそのままリングを降りようとすると

立ち止まり、緑谷に話しかけた。

 

「…結果によっちゃ、ヒーロー科編入も検討してもらえる。

緑谷、覚えとけよ?」

 

「え?」

 

「今回は駄目だったとしても、絶対諦めない。

ヒーロー科入って資格取得して‥、絶対お前等より

立派なヒーローになってやる‥。」

 

「ーーうん!‥あ!」

 

心操の言葉に緑谷は頷くと洗脳され、固まる。

だが、それは直ぐに解かれ、緑谷はキョトンとした顔で

心操を見る。

 

「フツー、俺と話す人は構えるんだけどな‥。

()()()といい、A組は変わった連中ばかりだ。

そんなんじゃ直ぐに足を掬われるぞ。せめて、

みっともない負け方はしないでくれ。」

 

「心操君‥、うん!‥あ!」

 

そう言われて緑谷は頷くと再度洗脳にかかり、

心操は鼻で笑いながら直ぐに解き、会場から

ゲートを通り、姿を消した。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★☆

 

「緑谷君、お疲れ様。」

 

「隣空いてるぞ!」

 

「デク君お疲れ〜。」

 

「あ、うん。ありがとっ。」

 

指を治しに保健室へと行き、戻ってきた

緑谷に火野、飯田、麗日は声を掛け、

緑谷は椅子へと座る。

そして、すぐに2試合目が始まろうとしていた。

 

『お待たせしました!!続きましては〜、こいつらだ!

優秀!!優秀なのに拭い切れぬその地味さは何だ!

ヒーロー科瀬呂範太!!』

 

「ひでえ。」

 

『vs!2位・1位と強すぎるよ君!

同じくヒーロー科轟焦凍!!START!!』

 

「まぁーーー…、勝てる気はしねーんだけど…、

つっても負ける気はねーーー!!!!」

 

合図が響くと同時に瀬呂は肘からテープを伸ばし

轟に素早く巻き付けるとそのまま

場外に向けて引っ張り投げ飛ばそうとする。

 

『場外狙いの早技!!この選択はコレ最善じゃねぇか!?

正直やっちまえ瀬呂ーーーー!!!』

 

勢いよく場外へと引きずられる轟。

だがその時。

 

 

「悪ィな‥!」

 

瞬間、轟は氷を、生成するとその大きさと範囲は

尋常ならざる程巨大な氷塊となり、会場をはみ出していた。

目の前の視界を氷で見えなくなるほどで

A組全員は驚愕していた。

 

「…………や、……やり過ぎだろ…!」

 

「…………。瀬呂くん、………動ける?」

 

「動けるはずないでしょ…!痛えぇ……!」

 

ほぼ全身凍ってしまった瀬呂を見て、

同じく身体半分が凍ってしまったミッドナイトは

その返答でこれ以上の戦闘は不可能と判断し、

勝負の結果を言い渡した。

 

「瀬呂君行動不能!!轟君二回戦進出!!」

 

『と、轟焦凍!!凄まじい氷塊を瀬呂にぶつけ

見事勝利ーーーー!!!やべーの領域超えてんぞこれー!!』

 

びっくりしながらもプレゼント・マイクは勝敗を告げ

2回戦は圧倒的速さとその力の差を見せつけ

幕を下ろした。

 

「すまねぇ、やり過ぎた。‥イラついてた。」

 

 

「‥ど、どんまい、どーんまい。」

 

「どーんまい。」

 

「どーんまい。」

 

轟は左手で熱を瀬呂に当て、その氷はみるみると

溶け出して行く。そして呆気ない瀬呂に対して

観客からは自然とドンマイコールが送られていたのだった。

 




ー もういいよ ー

昼休憩、轟に呼び出された緑谷ちゃん。
実はこんなエピソードがありましたとさ。

轟「‥俺はあんな屑にはならねぇ。左を使わずに
勝って、奴を完全否定する。
オールマイトに見初められたお前なら尚更‥、
負けるわけにはいかねぇ。」

緑谷「轟君‥。」

生徒A「ラーメンコーナー各地の人気店が
出張してきてるらしいぞ!」

生徒B「あの超有名な激辛カツ丼店もらしいな!
早く行かねえと間に合わねえぞ!」

火野「轟君!緑谷君!聞いた今の!早く食べに行こう!」

爆豪「激辛だとぉ!?早く行くぞオラぁ!!」

緑谷「二人共いたの!?いや、それより
轟君!話はまた後でいい!?」ぐるるるるぅ

轟「‥‥いや、もういいよ‥‥。」


次回!No.29チャレンジャーの闘志!

更に向こうへ!Plus Ultra!!

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