いつかの明日へ、【ヒーロー】は助け合いでしょ 作:しょくんだよ
その力は
きっとそれは未来へと繋がる糧となる。
No.3入試試験 始動
「‥うぅっ。」
「お、気がついたかい?」
「‥えと、はい。」
火野映司は気がつくと見知らぬ天井が視界に入り、
その身をゆっくり起こすと身体に痛みが走る。
顔にガーゼ、手に包帯が巻かれてる事に気付き
ここが病院だと知り、出来事が蘇る。
「安心したまえ、あの
無事捕まえる事が出来た。
それに一緒にいた二人の少年も無事だよ。」
「本当ですか!?よかったぁ‥!
ありがとうございます!
こんな手当てまでしてもらって‥!」
「ハハ‥。私がした訳ではないよ、だけど。
君がした事はとても危険で命を投げ出す様な
行為をしてしまったのは許されない事だと
肝に命じておきなさい。
あの時オールマイトが来てくれなかったら
君達の命の保証はなかったんだ。」
「‥?はい。ですから、
「エ?」
「だって、貴方は
「っ!!?」
映司の発言に汗が一気に吹き出しそうになる程に驚愕し、椅子から立ち上がる。
キョトンとする映司の見舞いに来ていたのは
オールマイト本人だ。
だが、今は
あの画風の違う
程遠い見た目をしているのに何故‥?
「‥ど、どうして私がオールマイトだと‥?」
「え?だって声が似ていますし見た目も面影ありますから。」
「What!?この見た目でそんな見破れる物なのかい!?」ドバァ!
「うわ!血が!大丈夫ですかっ!?」
吐血するオールマイトに映司は動揺するが
オールマイトは血を拭うと真剣な表情になり口を動かした。
「‥その通り、私はオールマイトだ。
五年前に大怪我を負ってしまってね。
その為一日のあの状態の活動時間は減る一方なのさ。
‥今ここにいるのは君に礼を言いたくてね。
君と、もう一人の少年がいなければ私は口先だけの
ニセ筋になるところだった、ありがとう。」
「いや、全然っ。寧ろこっちが礼を言いたいくらいですよっ。
あの時オールマイトが来てくれなければ、俺は今頃この程度の怪我で済んでなかったでしょうから‥。」
「君の個性は少しカルテを見させて貰ったよ。
〝オーズ〟‥。素晴らしい個性だが、
まだ使いこなせていない様だね。」
オールマイトは尋ねると、映司は病室の机に置いてある
コアメダルを一枚手に取り眺める。
「あー、はい。俺のこの力はいつの間にか
俺の手元にあった物で最初はあの姿になる事すら儘ならなかったんですよ。今は変身できても
まだまだ戦えるレベルじゃないですし。
もっと特訓しないと‥。」
「その心掛けは素晴らしいぞ、火野少年。
君は〝雄英〟を希望だったな。先程の二人の少年も
雄英志望だったから、君達が雄英に来る日を私は心待ちしているぞっ。」
「はいっ!ありがとうございます!
‥ってオールマイトは今雄英の方なんですか?」
「YES。今は訳あって雄英高に滞在する事になっててね。」
「凄い!なら本格的に頑張らないと!」
「おっと、無理してはいけない。
今日はゆっくり休んで明日にでも備えるといい。
‥それと、私がオールマイトって事は
くれぐれも内密で頼むよ?今の私がこの姿が本性だと分かれば世間は只事じゃ済まないだろうからね。」
「分かりました、ありがとうございます。」
オールマイトは言い残すと椅子から立ち上がり
病室から出て行く。
その道中、何か思ったのか立ち止まる。
(火野映司‥。いや、何を馬鹿な事を‥。
もう
入試試験、頑張りたまえよ‥!さ、明日からは
緑谷少年の特訓だ!私も心を鬼にしなければ!)
☆★☆★☆★☆★☆★☆
ーーーー入試試験当日
「うわぁ‥!流石は雄英!でっかいなぁ!」
あれから3ヶ月後、長いようで、短いような中学生生活が終わりを迎える最中、
火野映司は試験を受けるべく雄英校へと到着し、
その高く聳え立つ学校に驚き圧倒されていた。
個性の悪用による反社会活動に身を投じる犯罪者
早い気もしているが、映司は学校生活を送っているのを
想像したのか、歓喜高まり、グッと手に力を込めていた。
「よしっ!」
オールマイトとの約束を胸に、映司は一歩を踏み出し、
校門をくぐり抜けた。
と、思ったが。
「どけっ!邪魔だ!」
「えっ?あぁっ、すみませ‥って君はっ!」
「あ?‥あぁ!?てめェは‥!」
背後から怒鳴る声が聞こえ振り返るとそこに居たのは
ヘドロ事件に巻き込まれていた爆豪勝己だ。
「てめェあの時の三色野郎‥。何でここにいるんだ?あァ!?」
「何でって‥俺も雄英に受けに来たから。」
「‥!はっ!コントロールもできねぇ状態じゃあ
ソッコーで落ちるだろーなっ!」
「そんな事ないよっ、努力して来たんだから。
えっと‥爆豪君、もう元気そうだね。」
「いつの話してんだっ!殺すぞ!見りゃわかんだろっ!
とにかくどけっ!試験に間に合わねえだろがっ!殺すぞ!」
「あぁっ、うんごめんっ。(まだ開始まで三十分も時間あるぞ‥?)」
啖呵を切って押し退ける様に雄英高の中へと入る爆豪の後ろ姿を見て元気そうだと安心したのか
フッと鼻で笑う映司。
「あれっ?君は‥?」
「えっ?」
すると、再び背後から声を掛けられ振り返ると
今度は緑谷出久だった。
「あっ!えっとぉ‥、緑谷君!」
「あ、お、覚えてくれて、たんだねっ。火野君!」
「勿論っ、
忘れる事なんて考えられないよ。」
「そ、そだね‥っ、ひ、火野君!ぁあのっ、
あの時は、救けてくれてどうもありがとうっ。」
「そんなっ、あの時は気を失ったから動けなかったし。」
「そ、そんな事ないよっ。君の個性は凄く
ヒーロー向けの個性じゃかいかっ。あのメダルの力は恐らく動物の能力を秘めた個性だろう、上下三枚、てことは三つの個性を同時に使えるって事だよなそれはもう十分過ぎる凄い事だ、今度詳しく聞きたいな‥」
「み、緑谷君?」
「ひゃっ!?」
突然流暢に喋り出すと思えば独り言みたく小さな声で
ブツブツと言い出し、映司は思わず顔を引き攣ってしまう。
「と、とにかく!今日はお互いベストを尽くして頑張ろう。」
「う、うん!ありがとう!」
ここで立ち話をする訳も行かない。
今日この日は彼ら少年にとって人生を左右する大きな一歩を踏み出すチャンスとなるのだから。
映司と緑谷は会話を終え、受験生が向かう英雄高校の中へと入って行った。
☆★☆★☆★☆★
『今日は俺のライヴへようこそー!!!エヴィバディセイヘイ!!』
シーン‥‥
『こいつぁシヴィーーー!!!受験生のリスナー!!実技試験と概要をサクッと説明するぜ!アーユーレディ!?YEAHH!!』
シーーーン‥!!
筆記試験が終わり別の会場に呼び出された受験生達。
そして始まるかと思いきや途轍もなくハイなテンションで
自分の世界に入り込んだ説明を会場にその(喧しい)声が響き渡る。
名はボイスヒーロー〝プレゼント・マイク〟。
当然、緊張やその変な応答も相まってか誰一人反応がない。
『入試要項通り!リスナーにはこの後!10分間の『模擬市街地演習』を行ってもらうぜ!!各自持ち込みは自由!プレゼン後は各自指定の演習会場へ向かってくれよな!!OK!?』
シーン‥
プレゼントマイクは受験生達に反応を期待しているが、
当然誰からも返事が返ってこない。
映司はと言うと相槌はしているが配られた
プリントに目を通して彼を見てすらいなかった。
『演習場には仮想敵を三種多数配置してあり、それぞれの攻略難易度に応じてポイントを設けてある!!各々なりの“個性”で仮想敵ヴィランを行動不能にし、ポイントを稼ぐのがリスナーの目的だ!!勿論、他人への攻撃等アンチヒーローな行為は御法度だぜ!?』
「質問よろしいでしょうか!?」
ガタっと立ち上がる音が聞こえ受験生等は一斉に注目する。
映司も反応するが映司が座っている場所は会場の
ほぼ一番端っこの方だ。方や立ち上がった少年は真ん中の席でここからだとよく顔が見えないが
真面目そうな眼鏡の子は認識できる。
そして少年は手にプリントをプレゼントマイクに見せ発言する。
「プリントには四種の
誤載であれば、日本最高峰たる雄英において
恥ずべき痴態!!我々受験者は規範となる
ヒーローのご指導を求めて、
この場に座しているのです!!」
敢えて受験生にも聞ける為かその声は
プレゼントマイクには劣るが十分に聞こえる程の大声だ。
映司はプリントを見直すと先程
プレゼントマイクが言っていたのは三種。
確かにと騒めく声がちらほら聞こえ始めていた。
「ついでにそこの縮毛の君!」
すると眼鏡の少年は一人の少年に指を指す。
指を差されたのは何と緑谷で肩を跳ね上げ、
緑谷は挙動不審に自分に指を指した。
「先程からボソボソと…気が散る!!
物見遊山のつもりなら即刻ここから去りたまえ!」
「すみません…」
ギロっと睨み付ける眼鏡の少年に注意された
緑谷は口を塞ぎながら小声で謝る。
「‥おいおい、これじゃあ公開処刑じゃないか‥。」
縮こまる緑谷の周りはクスクスと笑い声が聞こえてくる。
それに腹が立ったのか映司はボソッと呟いた。
『オーケーオーケー、受験番号7111番くん、
ナイスなお便りサンキューな!四種目の敵は0ポイント!
ソイツは言わば
スーパーマリオブラザーズやった事あるか!?
レトロゲーの!あれのドッスンみたいなもんさ!
各会場に一体、所狭しと大暴れしている『ギミック』よ!
倒せない事は無いが、倒しても意味は無い!
リスナーには上手く避ける事をオススメするぜ!』
「有難う御座います失礼致します!」
プレゼントマイクは分かりやすい様に説明すると
眼鏡の少年は90度しっかりとお辞儀をし、潔く席に座る。
あの眼鏡の少年を宥める為か、フォローを入れてくれたのか
さておき、映司はどこか安心した表情で
プリントを見直していた。
『さて!俺からは以上だ!!最後にリスナーへ我が校“校訓”をプレゼントしよう!かの英雄ナポレオン=ボナパルトは言った!『真の英雄とは人生の不幸を乗り越えて行く者』と!!“Puls Ultra”!!それでは皆!よい受難を!』
プレゼントマイクはそう言い残し話を終えると、
別の人が演説台へと上がり発言をする。
『‥はい!それでは演習会場に案内致します!
これから会場への番号をお配りしますので、
皆さんは指示に従って行動してください!』
案内役の人は演説台から降りると受験生は、
ぞろぞろと席を立ち行動し始める。
映司は立ち上がりポケットに入れてた
鷹のコアメダルを一枚取り出し見つめる。
「‥よしっ!」
筆記試験は終えた、最後の実技試験に向かうべく、
演習会場へと向かうのだった。