いつかの明日へ、【ヒーロー】は助け合いでしょ 作:しょくんだよ
「うわぁあ…!!すっごぉおおいっ!!」
「おい映司、五月蝿い。騒ぐな」
「まあアンク君、彼は今好奇心という〝欲望〟で満ち溢れている。好きにさせたまえ」
「……お前に言われるのは癪だが、そうしといてやるか…」
「ここってあべのなんとかってビルと同等の高層ビルなんでしょ!?すっごいなぁ…!」
鴻上ファウンデーションにやってきた火野とアンクは会長の鴻上に案内され、エレベーターに乗ると東京都三鷹市の風景が丸ごと映し出されるガラス面越しの景色に火野は子供のようにはしゃいでいる。
鴻上に言われたアンクは前世の火野…『欲』がない火野を思い出し、このくらいならいいかと思ったのかそのままにさせてあげていた。そして地上から登る事最上階『60』階。高いとされる高層ビル、あべのハルカスと同等の高さでそれに驚く火野だが、鴻上はそそくさに降りて自身の仕事部屋『会長室』に勢いよく扉を開けて入る。そこには、だだっ広い空間に会長が座るであろう高そうな机と客間スペース、そして趣味なのかピアノが置かれてある。そこには秘書と思われる女性『里中』とソファーに座っている男性がいるが、その男性は火野がよく知っている後藤だった。
「え!?後藤さん!?」
「火野、やっと来たか。同じ時刻の新幹線に乗車したはずなのに来るのが遅れているぞ」
「ご、ごめんっ。初めてのところだからナビ見ながらここに来てたんだ…」
後藤は火野を見るなりそう言って溜息を吐く。火野が謝っているとアンクが鼻を鳴らし後藤に視線を向け悪態を吐く。
「フン…、後藤か…。映司と同じ若返って学生気取り…。おまけにその性格も前世譲りか…笑える冗談だな」
「…?お前が…アンクか?人間にも化れるとは驚きだが、若返るだの前世だの…何を言っている?」
「ちょっ!?(ア、アンク!?ダメだろ!!前世の話なんてお前以外知るわけないんだからっ!)」
「……フン」
ボロが出まくるアンクに火野は慌てて奥へと引っ張りアンクに小声で叱喝するがアンクは鼻を鳴らしてそっぽを向く。火野は諦めて後藤に話題を変えようと話し掛ける。
「ごめん後藤さんっ、こいつちょっと変な事考える奴で…!そ、それより何で後藤さんがここにっ?」
「…〝個性〟の派生…。人格も身体も別人。お前も苦労する奴を持ったな…。
…あぁ、俺もここに職場体験として来た。元より、俺はここの職員でもあり協力者でもある」
「…え!?職員!?どう言う事っ?」
後藤の発言に困惑すると先程から黙っていた里中がこちらに近寄り声を掛ける。
「秘書の里中です。後藤さんはこの会社の新たなサポートアイテム、〝バース〟の設計の仮の協力者です。……ぶっちゃけコネですけどね」
「おいっ!一言余計だ!」
「まあいいじゃないか里中君。後藤君はまだ歳頃の学生。見栄を張るのは学生の専売特許だっ。そういうプライドは君の良い所でもあり悪い所だけどねっ」
「会長!!」
里中に続き、鴻上も口を挟み、後藤は耳を赤くして怒ると、奥にいたアンクはにやけながらフンと鼻で笑う。火野は苦笑して後藤を宥めるが、逆効果だったのか後藤は歯を食い縛り俯向く。すると、鴻上は自身の席に戻り、座ると里中に指示を出す。
「里中君!2人が揃った事だし、始めたまえ!」
「…はい。では、お二人はこれから我が社で職場体験を開始させてもらいます。火野さん、後藤さん。先ずは鴻上ファウンデーションの警備を任されている人物、貴方達で言う〝プロヒーロー〟に会っていただきます。内容とか詳細はご本人に直接聞いてください。色々説明するの正直怠いので…。あの人は今開発部署にいるので、案内します」
「っ!ちょっと待て、ここに呼べないのかっ?」
「はい、今は手が離せないので連れて来てくれと」
「……っ。」
「ハハハ!そう言う事だ!頑張りたまえ諸君!」
里中の説明に後藤が反応し、何故か嫌そうな顔をする。火野は首を傾げると、鴻上が両手を広げてそう言い先頭を歩き出す里中に続き、アンクを含めた3人は、その開発部署へと移動した。
☆★☆★☆★☆
高層ビルの中層部付近へとエレベーターで降りた3人は里中に案内され、頑丈そうな扉を開けてその中へと入ると、精密な機械が密集されており、職員であろう何十人の人が機械を使って様々なサポートアイテムを開発し、勤しんでいた。機械が軋む音、溶接の音など少々音が響く場所だが慣れている里中は悠々とその奥の部屋へと歩き、3人も後をついていく。ふと、後藤は段々と嫌そうな顔を浮かべていく。そして、奥の部屋へと入ると、強化ガラスで覆われた小部屋だった。その奥には広い面積が広がっており、どうやらその空間で何か実験を行うのだろう。火野達は覗き込むとそこにいたのはあの体育祭で見た〝バース〟だった。
「え!?バースっ!?でもバースって後藤さんが…?」
「俺のは一番最初に開発された〝試作品〟だ。あそこにいるのは、そのデータを元に作られた元々の機能や能力を備えた〝バース〟…」
「はい。そしてそのバースの装着者がここの会社の警備且つ、プロヒーローである〝伊達明〟です」
後藤の後に里中が説明すると、実験室にいたバースは
『発目ちゃーん!これ威力は強いんだけど!反動凄いわ体に負担掛かるわで正直すげー痛い!』
『フフフ、セルメダルのエネルギーを収縮して一気に放つ今は付け焼き刃の必殺技ですから当然です!まあデータは取れましたので後で改良しときますね!』
『助かるわー!』
「…えっ!?発目さん!?え、彼女も職場体験に!?」
「まあ半分はあっています。発目さんはヒーローとしてではなくサポートとしての職場体験です。元より彼女もコネですが、両親がここで働いていますので、発目さんもその才能が凄いので特別に会長から許可が降りて登校日以外はここに入り浸って開発してます」
「そーなんですか!?凄い!」
「何だ?そんなに凄い奴なのかあいつ」
「好奇心が激しい変わった奴だ。あいつといるといつも調子狂う…」
里中がそう言うと火野は驚き、彼女のいる小部屋を見ていた。アンクは発目の事を知らないのかそう言うと後藤が溜息を吐いて顔が下に向いていた。
すると、こちらの存在に気付いたのか伊達はバースドライバーに装填されてたセルメダルを抜き取ると、そのセルメダルは粒子となって消え、変身が解除される。そしてそこに立つ人物が伊達明だった。
『よぉ!来てたのか!悪いなここに来させちまって!発目ちゃんがどうしても試してみたいって言うからさー!』
『おや?おやおやおや!?そこにいらっしゃるのはオーズですね!!ちょうどお会いしたかったんですよー!』
伊達が言うと、発目も気付いたのかこちらをみて笑顔で手を振ってくる。後藤は小部屋から実験室へ出れる扉を開けると、先に実験室へ向かった。
「では、私は戻ります。後は頑張って下さい」
「あ、はいありがとうございました」
里中はそう言って出口の扉から退出していく。火野とアンクは後藤の後を続き、実験室へ向かうと伊達は笑顔で手を振り、自己紹介をする。
「おー!お前が火野だな?俺がここのヒーロー伊達明だ。よろしくぅ!活躍は体育祭で見たぜー。マジですげえ〝個性〟だよな!オ〜…ブだっけ?」
「伊達さん、オーズです」
「おぉう、それそれ後藤ちゃん!…で、その派生型で現れた新たな〝個性〟が…アンコ!」
「アンクだっ!!言うと思ってたぞ!何処にいても覚える気がないんだなぁ!?」
伊達がアンクの名を言うと同時にやっぱりかと言わんばかりに伊達にその右腕をグリード化させ、見せながら詰め寄ると伊達は驚きながら後退さる。
「おちょちょちょちょ!?え、誰この危なそうな子?」
「ごめんなさい!アンクやめろよっ!」
「え!こいつがそのアンコなの!?人間の姿になれるってすげえ〝個性〟だな!」
「アンコじゃない!アンコじゃなあああい!!」
火野はアンクを抑えると伊達が興味津々で言いまたアンクの名を間違えるのでアンクはそう叫んでいた。
☆★☆★☆★☆★
ー 都内死柄木等の拠点 バー ー
「……なるほどなァ………。その一団に俺も加われと」
「ああ頼むよ大悪党の先輩」
ヒーロー殺し、ステインを
「(2日前はすぐ帰っちゃったのに何でまた来てくれたんだろ?)」
「(あの時は我々の説明も聞かずに帰ってしまわれましたからね。都合もあったのでしょうが、恐らく…)」
「(あーはいはい、気分ね、大悪党様々ですかー)」
黒霧の発言に察した脇真音は感じ悪そうに ステインを見ていた。
「………目的は何だ?」
「とりあえずオールマイトをブッ殺したい。気に入らないものは全部壊したいな。…こういう糞餓鬼共とかもさ……全部…」
死柄木はそう言って体育祭の時の緑谷や火野達のA組生徒の写真を見せて説明する。が、その瞬間ステインの形相が変わり、言い放つ。
「興味を持った俺が浅はかだった……。お前は……ハァ……俺が最も嫌悪する人種だ…」
「はあ?」
「っ!ちょっと!何急に殺意出しまくってんの?あんたも結局ヒーローを殺したいだけでしょっ!」
「…ハァ…お前等子供の癇癪に付き合えと…?俺の信念と……お前等…信念無き殺意では……ハ……ハァ…格の差が違い過ぎる……」
ヤバいと思ったのか脇真音は死柄木の前に出て怒ると、ステインはそう言って両脇に備えてるナイフをゆっくりと取り出す。
「もー!何なのこいつめちゃくちゃウザい!」
「あぁ…ダメだなこいつ…。勧誘は辞めだ、追い出そう…」
脇真音はオーズドライバーを腰に宛てがい装着し、死柄木は両手をゆっくりと上げる。それを見ていた黒霧は隣に置いてあるモニター越しの男性に喋り掛ける。
「先生…止めなくていいのですか!?」
『これでいい!答えを教えるだけじゃ意味がない。到らなぬ点を自身に考えさせる!成長を促す!「教育」とはそういうものだ』
☆★☆★☆★
「じゃ、ヒーロー活動についてだが一応は公務員みたいなもんだ。まあでも一般的な公務員とは根本的にっつーか色々違う。基本はだな……え〜っと…」
「犯罪の取り締まりですね。事件発生時には警察から応援要請が出され地区ごとに一括で出動。逮捕協力や人命救助、貢献度を申告。そして専門機関の調査を経て、初めて給料が支給される。また、申請を出せば〝副業〟も可能です」
「YES!流石後藤ちゃん!俺そう言う説明に苦手だから助かるわー。もう俺よりヒーローじゃんっ」
「知識だけではヒーローは務まりません」
「相変わらず考えがかったいねぇ」
伊達が頭を描きながら説明しようとするが後藤が代わりに言ってくれた為、グッジョブを送る。火野は納得し、伊達にどうすればいいのか聞いた。
「伊達さん。これから1週間よろしくお願いします!因みに…今日は何をするんですか?」
「おうよろしくっ!そうだなぁ〜…。取り敢えずパトロール…かな後藤ちゃん?」
「何で俺に聞くんですか?俺も一応職場体験で来てるんですよ?」
「まあまあそう言うなって。俺だってこの前〝ヒーロー〟に転職したばかりなんだ。その立場じゃ後藤ちゃんの方が上だと思うけどな」
「えっ?転職って…伊達さんずっとヒーローしてたんじゃないんですか?」
伊達の意外な発言に火野は驚くと、小っ恥ずかしく伊達は説明する。
「まあその、俺元々
「医者だったんですか!?凄い…!」
「フン、医者か………だがそのベルトはヤミー専用みたいなもんだろ?」
「えぇそれもありますねアンクさん!!」
「うおっ!?何だっ!?」
「USJ事件で出てきたヤミーを対策に作られたのがバースですから!本業はヤミー撃退用と言った方がある意味正しいかもですね!」
伊達の言葉に火野は驚くと、アンクがそう呟く。その瞬間、アンクの背後から発目が顔を出してそう言うと、アンクは勢いよく飛び退く。
「発目さん!体育祭以来だね」
「オーズのお方!貴方にちょうどお会いしたかったんです!私が貴方を独自で研究したグーーーッドベイビーちゃんをお披露目したいので少し手伝ってもらってもいいですか!?」
「おい発目!俺達は職場体験に来て」
「では!準備しますのでちょっと待っててください!」
発目が言うと、後藤が嫌そうな顔をして発目を止めようとするが、彼女は夢中でそう言って先程入ってた小部屋へと戻る。後藤は溜息を吐くと、伊達が宥めようと肩を叩く。
「くそっ…自分の事になると周りが見えない…。だから嫌なんだあいつ…」
「まあまあそう言うなって後藤ちゃん。職場体験は1週間もあるんだろ?今日は初日だし、発目ちゃんも一応職場体験として実務をやろうとしてると思えば、な?」
「……伊達さんが言うなら………」
後藤は自身の感情を堪え、冷静になると小部屋から何やら変わった形の
「ほぉ、どこまで忠実に再現してるんだこの世界は」
「うわぁあ!すっごい剣だぁ!!かっこいいー!」
「ですよねですよね!?それはセルメダルを使ってヤミーと戦う事を考慮したオーズの武器!その名も『メダジャリバー』第零号です!!貴方のオーズドライバーをベースとしたカラーリングでその切れ味も抜群!更にセルメダルをその剣に入れれば物凄いミラクルな必殺技が出せます!」
「おい、俺達は学生の身だぞ。武器なんて持ってたら凶器準備集合罪でそれこそ」
「そこは勝手に学校と警察に交渉してください!」
「馬鹿か!許可が降りるわけないだろ!!」
発目が説明すると、後藤はそう言って止めようとするが掻い摘んで発目が言って後藤は怒り声を上げる。
「まあまあまあ後藤ちゃん、一応ここはサポート会社だから試験用として使っても問題ないだろよ。後で俺から学校とかに話し合ってみるから今は試しに練習してみたらどうだ?」
「いいんですか!?やった!ありがとうございます!」
「流石伊達さん話が早いです!ではでは早速準備しますね!」
「おい待て!」
伊達の言葉に火野は嬉しがり、発目はまた小部屋に行こうとするが、急にアンクが呼び止める。
「お前色々作れるんだったな?この『コアメダル』を収納できるホルダーみたいなやつも作れるか?いちいち体から出し入れしてると体力使うから作れるなら今すぐ作れ。実験はその後だ」
「ほうほう。セルメダルとコアメダルを収納するホルダーですか?興味がありますね!ちょうどいらなくなった小物入れがあるので改造してみますね!」
アンクは交渉して発目が了承すると、そのまま小部屋に駆け込む。それを見た火野はアンクに向かって口を動かす。
「お前以外とそう言う所はしっかりしてるな」
「フン、お前との連携に備える為だ。わざわざそうしてやってるんだから感謝しろ」
「んなっ!?そういう一言が余計なんだよ!」
アンクに言われ火野は声を上げて言い返す。
格して、火野と後藤、そしてアンクの職場体験の1日がこうして始まろうとしていた。そしてこの職場体験で壮絶な事が巻き起こる事を彼等はまだ知る余地もなかったのだった。
ー 激務故に報酬あり ー
Mt.レディ「今のうちに市民の避難!急いで!」
峰田「は、はぃい!」
ーー
Mt.レディ「きゃっ!!?あ、ごめん!」
峰田「ふぎゃっ!!」
個性により巨大化したMt.レディはよろけて
足元にいた峰田を踏み潰してしまった!
ーー
Mt.レディ「うわっ!危なっ!」
峰田「何でぇええ!!?」
敵の攻撃に峰田を使ってガードベント!
ーーー
その夜
峰田「ぜぇ…ぜぇ…クソがぁあ‥!
何でオイラこんな事してんだよ…?
オイラが求めてたのと全然違うじゃねえか…!
こんな所…早く辞めてやる…!
あー…顔洗わなきゃ……。」
Mt.レディにこき使われボロボロの峰田は
汚れた顔を洗うべく浴室へと入ると
そこにはお風呂から上がったMt.レディがいた。
突然開かれたドアに驚き、タオル一枚で隠して
Mt.レディは叫ぶ。
Mt.レディ「きゃ!?ちょ、ちょっと!!
何勝手に開けてるのよ!?早く出て行って!!」
峰田「(チッックショォ〜…!!体が、
ボロボロの筈なのに…!疲れが一気に
吹っ飛んで行きやがる…!!職場体験最高じゃないか…!)」
峰田はその光景を目撃し、涙を流し、感服していた。
次回!No.42 動き出すその信念
更に向こうへ!Plus Ultra!!