いつかの明日へ、【ヒーロー】は助け合いでしょ   作:しょくんだよ

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その後と解放と三位炸裂!


No.45 隠密でフルスロットル

 

「はぁ……はぁ……!」

 

オーズの蹴りを食らい、ヴィランオーズはドライバーから3枚のコアメダルが投げ出され、アンクに奪われてしまう。路地裏の壁まで飛んで行った後、変身が強制的に解かれた脇真音はこれ以上は戦えないと思ったのかお腹を押さえながらゆっくりと街の明かりが照らされない路地裏の奥を歩いていた。

 

「あ〜メダル奪われたぁ…!1番気に入ってた奴なのにぃ!コンボだって最近使えるようになったばかりなのにぃ…、そもそもあの糞ヒーロー殺しが悪いんだ!邪魔さえしなければ…くっっそう…!!もう知らない!あの人数に勝てやしない…。殺られちゃえっての!…てか火野映司君、毒でやられてる筈なのに…どんだけ頑丈なのよ…!信じらんない主人公最強過ぎるよチートだぁ…!……あぁ〜……ドクターに怒られる…。最っっ悪…!」

 

脇真音は歯を喰い縛り悔しそうにぶつぶつと嘆く。軽く咳き込みながら壁に寄りかかり、ポケットから何枚かセルメダルを取り出すと、脇真音は口を開いた。

 

「ふん!…いいさ…!勝負吹っかけたのは私だし…今は弱くたって、私だってオーズ(同じ)〝個性〟を持ってる。もっと強くなってコアメダル全部貰ってやる…!………でも、今は…私の()()をやるだけ…!」

 

そう言ってセルメダルを強く握り締め、脇真音は再び路地裏の奥へと歩き出して行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★☆★☆

 

 

 

 

「なりてぇもんちゃんと見ろ!!」

 

「っ!」

 

轟の言葉に飯田は涙が止まらずその言葉を重々しく受け止める。だがステインは関係ないと言わんばかりに氷結したその氷を斬り刻み轟、オーズの元へ接近してくる。オーズは応戦しまいと立ち上がるが、毒で身体が言う事を聞かずその場でよろけてしまっていた。

 

「っ!来る!!…あっ!?」

 

「っ!一か八かだ…!!映司!!」

 

吹っ切ったアンクはずっと持ってた3枚、ムカデ、ハチ、アリのコアメダルをオーズに向かって投げ渡す。

 

「っ!これ……!!」

 

「さっき奪ったヤツだ!それ使ってみろ!!」

 

「…っ!わかった!」

 

碌に戦えないオーズ、だが承知の上でアンクはそのメダルをオーズに渡す。幾つもの戦いを繰り広げた、前世の火野を知っての決断でアンクはそう言い放った。

 

「腰のベルトで何かする気か…?その時点で…愚策…!」

 

「やらせねぇよ…!」

 

「っ!」

 

ステインはオーズの動きに不審を抱き投げナイフを投げようとするが、轟がいち早く気付き、右腕を振るい氷結攻撃を繰り出し、ステインは避ける。その間にオーズは3枚のコアメダルを嵌め込むとそのメダルはそれぞれの色に合わせて発光し、オーズはオースキャナーでドライバーをスキャンした。

 

 

 

 

ムカデ!

 

ハチ!

 

 

アリ!

 

 

 

 

 

ムカリー!チリッチリッ!ムカリー!チリッチリッ!

 

 

 

 

オーズは先程のヴィランオーズと同様の姿、有毒性の昆虫類〝ムカチリコンボ〟へと姿を変える。

 

 

「うおおおおあっっっ!!!」

 

 

(ヴィラン)のオーズの…!凄い…!」

 

雄叫びを上げるオーズを見て緑谷は呟く。轟が氷結攻撃でステインの注意を逸らしている間にオーズはハチの胴体を能力解放し、両肩から蜂の羽〝ハチショルダー〟が展開し、ブーッ!と昆虫特有の羽の音が響き、オーズは空中へと飛び交う。その間、羽から鱗粉の様な紫色の粉が撒き散らされ、それはこの場にいる()()にその紫の粉が身体に付着していくと、彼等の身体に異変が起きていた。

 

「っ!?この粉…!体の痛みが…なくなった…!?」

 

「何だこりゃあ…。でも傷口は治ってねえぞ…?」

 

「あいつ……毒を〝調整〟して痛覚を無くす神経毒を撒き散らしてやがる…。」

 

「「!」」

 

緑谷、轟が傷口を見ながらそう言うとアンクは空を飛び交うオーズを見て呟く。その異変に気付いたステインもまた然りだった。

 

「成る程…傷の痛みを消して畳み掛けようって算段か…。だがその痛みが消えたのは俺も同じ……ハァ…!この後どうする気だ……?お前は毒で碌に活動する状態じゃない筈だ…」

 

ステインがそう言ったその時。オーズは頭部からセンターセンチピードを伸ばすと自身の身体にその先端の急に針を突き刺したのだ。

 

「ぐうぁあっ…!!……こ、これで俺も()()()()()()()()!それでも…!!畳み掛ける!!ヒーローは勝つのが当たり前だから!お前を倒して!皆を……救ける!!」

 

「ハァ………良い……!!」

 

その覚悟を見せたオーズにステインは不気味に笑い頭上を飛ぶオーズに向かって刀を構え跳躍しようとしたその瞬間だった。轟の横を凄まじい速度の者が通過する。拘束が解けた飯田がエンジンをフルに発動し、ステインの刀目掛けて渾身の蹴りをかましたのだ。

 

「〝レシプロ…バーストォォ!!!!〟」

 

 

ガキイイィィイ……ィィイン……!!

 

 

「っ!?(速い…!!)」

 

刀は折れ刃先が飛んでいく最中、飯田は続けてその場で回転し、地面を蹴ってもう一度、今度はステイン目掛けて蹴りを入れるが、ステインは刀を持った拳で受け止め、その反動を逆手に飯田から距離を取る。

 

「飯田君!!」

 

「動けるようになったんだね!」

 

「解けたか…。意外と大した事のねぇ〝個性〟だな」

 

飯田の登場に緑谷、オーズ、轟はそう言うと飯田は俯向くきながら口を開く。

 

「轟君も緑谷君も…火野君も、関係ない事で…申し訳ない………」

 

「またそんな事を…!」

 

飯田の言葉に身体が徐々に動ける様になってきた緑谷はゆっくりと起き上がり言い返そうとする。

 

 

「だからもう、3人にこれ以上…!血を流させるわけには行かない」

 

涙目で言う飯田に、ステインは蹴られた拳から血を流しながら、飯田の登場にどこか不満気に口を動かした。

 

「感化され取り繕おうとも無駄だ。人間の本質はそう易々と変わらない。お前は私欲を優先する贋物にしかならない!英雄を歪ませる社会のガンだ。誰かが正さねばならないんだ…」

 

「フン!流暢な物言いだなぁ…。時代錯誤の原理主義ってヤツか」

 

「あぁ。飯田、人殺しの理屈に耳を貸すな」

 

一般人の価値観とはズレた犯罪者の言葉に鼻を鳴らしてアンクはそう言うと轟も同意して飯田に声を掛ける。

 

「いや、言う通りさ。僕にヒーローを名乗る資格など…ない。それでも…折れるわけにはいかない…。俺が折れれば、インゲニウムは死んでしまう…!」

 

「論外」

 

飯田の言葉にステインの顔の更に険しく悍しい表情になり、危険を察知した轟は左腕の炎をステインに向かって放出させる。その間、オーズは緑谷の元へ着地し、緑谷の安否を問いかけた。

 

「大丈夫!?緑谷君!」

 

「う、うん!君のお陰で痛みは…!火野君!火野君の言ってた通り、ここは畳み掛ける…!僕が上手く殴り飛ばすから…火野君は空を飛んでて!」

 

「え…でも…!」

 

「大丈夫……!多分もう直ぐ動ける…!!飯田君の様に君にもあるんだよね…!()()()が…!!」

 

「っ!…わかった!」

 

緑谷の言葉に従い、オーズは再び飛び立つ。緑谷は拘束が解かれてゆっくりと立ち上がるが先程斬りつけられた足から血を流し、上手く歩ける状態ではなかった。それでも、緑谷は力を入れ、体に稲妻が走り出す。

 

「(2回!!…ここから跳んで轟君の氷を踏み台に!踏み込み2回ーー…行けるか…!?いや、今は!)」

 

緑谷がそう思ってる最中、飯田は脹脛のエンジンが、バスッボスッと詰まる様な音が聞こえ出し、隣の轟に向かって声をかける。

 

「轟君!温度の調整は可能なのか!?」

 

炎熱(ひだり)はまだ慣れねぇ!何でだ!?」

 

「俺の脚を凍らせてくれ!排気筒は塞がずにな!」

 

「!」

 

その言葉に轟は納得している最中、ステインはその執着故か炎が当たったのにも関わらず、その中から飛び出し投げナイフを轟に向かって放つ。

 

「邪魔だ」

 

「っ!!」

 

「っっっフン!!余所見すんな!!」

 

「すまねえ…!」

 

だが、投げナイフは轟に当たらず、右腕のアンクが防いだ。が、ステインは続けて腰からナイフを取り出し、それを今度は飯田に向けて放つと、ナイフは飯田の左腕に突き刺さり、その勢いで飯田は地面へと体が持っていかれ倒れてしまう。

 

「飯…」

 

「いいから早く!!」

 

飯田は叫び、轟は言われた通り、右腕を彼の脹脛に当て、排気筒を塞がず凍らせる。詰まりそうになっていたマフラー音がエンジンを吹かせる様な正常な音へと戻るのを確認した飯田は、左腕に刺さっているナイフを口で咥え、激痛などお構いなしに、無理矢理引っこ抜いた。

 

「粛正……!!!」

 

「くっそ!」

 

「ちっ!何をボサっとしてやがる映司!!」

 

迫り来るステインに警戒する轟、そしてアンクはステインの真上を飛んでいたオーズに向かって叫ぶとオーズは反応するかの様にオースキャナーを再度オーズドライバーへとスキャンした。

 

 

 

スキャニングチャージ!

 

 

「ハァアああッ!!」

 

 

音声が響き渡ると、オーズの3つのメダルの力が解放状態となり、頭からはセンターセンチピード、胴体はハチショルダー、そして脚は蟻の胴体を催した〝アリアグソール〟が展開されると、オーズはその場から〝夜という闇の空に〟その姿を眩ませる。

 

「っ?消えた…?」

 

それを見ていたステインはオーズに気を取られてしまいその一瞬の隙に地上にいた飯田、緑谷がステインに向かって飛び出した。

 

「お前を倒そう!今度は…犯罪者としてーー…! (今は脚が…!!)」

 

「5%デトロイト…!!(今は拳が…!!)」

 

「行け…!!」

 

轟は見届け口を開く。全速力で飛び上がる飯田と緑谷、両者がステインに接近すると互いの渾身の一撃がステインに向かって直撃した。

 

 

「〝レシプロ!エクステンド〟!!」

 

「〝SMAAASH〟!!!」

 

 

    ((あればいい!!!!))

 

 

「っ!!?……ぬぅ…!!!」

 

二人の攻撃が当たるステインだが、何とか持ち堪え、ステインは両者にナイフを突き刺そうとする。だが、その頭上に消えた筈のオーズが急降下で迫り来る。そのステインの頭上にはムカチリを催した3つのエネルギー状の輪っかが出現し、オーズはその輪っかを通り抜ける様に突っ込んだ。

 

「せいやぁああああああああ!!!!!!」

 

「がっ!!?」

 

センターセンチピードを纏わせた毒の蹴り、〝ヒートアリキック〟ステインの背中へと直撃し、その威力でステインは地面が勢いよく抉れる程叩きつけられたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★☆★

 

 

 

 

「ぐっ…あぁあああっ!!」

 

 

「ふ…ははは…!」

 

 

人気のない路地裏の奥、逃げ遅れたのか気を失っている人々が数名、そして脇真音の目の前にいる男性は苦しみながら体からヤミーが生まれ、それを見ていた脇真音は不気味に笑い出す。包帯が巻かれた様な身体のヤミーは直ぐに、脱皮するみたく、昆虫類の蟷螂の催したヤミーへと姿を変えていた。

 

「キェエエ!!」

 

「あらら、()()昆虫系か。まあ、いいか」

 

発狂する蟷螂ヤミーに向かって脇真音はそう呟くと蟷螂ヤミーは何処かへ行こうと飛び立とうとするが脇真音はそれを止める。

 

「あぁまってまって!君にはもうちょっと力あげるよ」

 

脇真音はそう言うと腰バックのチャックを開くと目一杯敷き詰められたセルメダルを蟷螂ヤミーに向かって放り投げる。それを全て吸収した蟷螂ヤミーは姿を変え、その姿は怪人とはかけ離れた巨大な蟷螂の様な()()へと姿を変えた。

 

 

「まだ終わらせないよ…!!めちゃくちゃに暴れ回ってこの世界に私が来たって知らしめてやってよ……!!!そして大量のセルメダルを収穫してきてね…!!」

 

 

脇真音は両手を広げてそう言って一旦区切ると、スマホを取り出し、画面を表示する。そこには目を瞑っていた1人の幼い少年が写っていた。それを見た脇真音は悲し気な表情となりボソッと呟く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう直ぐだよ。待っててね…………()()

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

脇真音優無

 

 

個性その2 ! 『ヤミー生成』

 

セルメダルとそれを生み出す為の人があれば

いつでもヤミーを生み出せれる!

だが生み出すヤミーはランダムだ!

 





今回おまけないです( ; ; )
ごめんなさいっ( ; ; )


次回!No.46止まらない脅威

更に向こうへ!Plus Ultra!!



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