いつかの明日へ、【ヒーロー】は助け合いでしょ 作:しょくんだよ
「火野君っ!それは一体…?」
「職場体験先の鴻上ファウンデーションで発目さんに作ってもらったヤツ!
調整したって言ってたから
「剣…!?だが刃物は銃刀法違反で犯罪を犯してしまうぞ…!?」
「相手は怪物!人間じゃないから問題ない…筈!
皆んなはとにかく離れてて!!」
オーズの持つメダジャリバーに緑谷、飯田は興味を持つが形はどうであれ刃物である事は変わりなく、
飯田は犯罪になると言うがオーズは里中が言っていた
オトシブミヤミーに向けて駆け出す。
恐らくこの威力は開発部署で実験して把握済みなので出来るだけ至近距離で使いたいのだろう。
駆け出したオーズを見送り、轟は横たわって気を失っているステインの縄を拾い上げると、この場にいる人達に指示を出す。
「火野の奴、あの剣危ないって言ってたな…。緑谷、飯田、それにヒーロー方。
俺達はなるべく距離をとった方がいいんじゃねえか?」
「よく分からないけどその方が良さそうだな…!ネイティブ!そのそばかす少年を背負えるか!?」
「あ〜糞!子供に危険を任すなんてヒーロー失格だっ!飯田君…だったか?お前は動けるよな!?」
「っ!はいっ、大丈夫です!」
ヒーローがネイティブに聞くと腑に落ちないのか頭を掻きながら緑谷を背負い、飯田は返事をすると
4人はオーズが向かう反対方向へと走り出す。
オーズはオトシブミヤミーがいるビルの真下へと立ち止まると炎を投射しているアンクに向かって大きく息を吸い込み、叫んだ。
「アンクーーーーーーーッ!!」
「っ!?映司!?………それは!」
「何だ!?ヒーロー殺しを引っ張ってた小僧か!」
オーズの存在に気付いたアンクは彼の手に持つメダジャリバーを見て目を見開く。
その声に飛び回っていたグラントリノも立ち止まり
火野が変身したオーズを見てそう言うと
アンクは理解してグラントリノに対し口を開く。
「おい!全員離れさせろ!コイツを仕留める術をアイツが持っている!」
「何じゃと!?っておい!?」
アンクは言い終えるとそのままビルから飛び降りオーズの元へ着地する。
「お前!ソレ持ってんだったら最初から使え!!」
「さ、さっき里中さんが来て貰ったんだよ!」
「里中だと?…おい、向こうのヤミーはどうした?」
「里中さんが倒したっ」
「はぁ?……ちっ、化け物かあいつは…!」
オーズの言葉に驚き、そしてあっさりとヤミーを倒した里中に対して苛立ったのか舌打ちをする。
恐らくアンクは前世の里中も人間離れのヤミーと生身で戦っていたその驚異的な身体能力を見せた彼女を思い出したのだろう。
世の中は理不尽だと思っていたのか「さっさとやれ!」と苛々をぶつける様にオーズに言い残すとアンクはオーズから距離を取る。
「(よう分からんが何かする気だな小僧…!)
お前達!この怪物から離れろ!多分巻き添え食らうぞ!」
「えっ!?わ、わかった…!」
「おーーい!退避だー!コイツから離れろー!!」
歴を積んだグラントリノはオーズ達の行動を把握したのか交戦しているプロヒーロー達に指示を出し、
全員はその場から離れて距離を取る。
ヒーロー達がいなくなり攻撃が止んだ事にオトシブミヤミーは咆哮を上げ、
その真下にいるオーズの存在に気付き睨みつける。
その間、オーズは周りにヒーローがいなくなったのを確認すると、オーズはメダジャリバーを数秒見つめる。
ふと、発目の言葉が脳内で過っていた。
『オーズのお方!このメダジャリバーは
セルメダルの力を1枚から3枚まで装填可能で〝三段階〟の威力で技を出す事が出来る武器です!さらにさらに!貴方がお腰に付けているオースキャナーをメダジャリバーに認識させる事でセルメダルを〝最大限〟に活かしたデーーンジャラスな必殺技を出す事ができるのです!
正直、作った私ですらびっくりしちゃいましたっ!』
「あの時は開発部署
オーズは発目の開発したメダジャリバーを信じる。
ゆっくりと迫り来るオトシブミヤミーを一度見てオーズはメダジャリバーに視線を向く。
先程拾った3枚のセルメダルをメダジャリバーのスロット部分に投入していく。
3枚入れ終わると、柄の部分に当たるレバーを倒す。
すると、入れられた3枚がブレード部分に装填され、オーズはオースキャナーを取り出すと
待機音と共にソレをメダジャリバーのブレード部分にスキャンした。
トリプル・スキャニングチャージ!!
オースキャナーから音声が鳴り響き、メダジャリバーの刀身が白く発光する。
オーズは腰を低くしゃがみ、オトシブミヤミーへと構える。
「ーーーーッ!!!」
「ハァァ……!!!せいやぁあああああ!!!!」
オースキャナーの音声に呼応する様に咆哮を上げるオトシブミヤミー。
そしてオーズは上半身を大きく半回転させ、メダジャリバーを勢いよく振り回した。
この時、プロヒーロー、雄英生の人等は想像していた。
あの剣先から斬撃が出るのではないか。
あの剣の切れ味が凄まじく化け物を簡単に斬るのではないか。
この場の誰もが思ってそうな雰囲気の中、アンクはあの武器の威力を重々承知していたのか見届けていた。
その瞬間。
ザンッッ!
凛とした斬撃音が響き渡り、そのメダジャリバーが振った先のオトシブミヤミーを含めた範囲に横一線に青い線が広がっていた。
物凄い衝撃が来るのではないかと警戒していたヒーロー達は一瞬驚き、その光景にキョトンとしていた。
すると、緑谷が小さく「あっ」と声を漏らす。
そのオーズの振った先の青い線の上下が
その光景にプロヒーロー、雄英生等は目を見開き、顔は青ざめ、徐々に口を開いて驚愕していた。
空間断裂。
その言葉に相応しい光景が目の前に広がる。
「ーーーーーーッッッ!!!?」
その身体が真っ二つに裂かれたオトシブミヤミーは断末魔を上げる。
すると、空間断裂されたその光景は瞬時に元へ戻り、
その爆発から大量のセルメダルが暴発され、
オーズ達がいるこの場に大量のセルメダルが降り注がれる。
それはまるで、この戦いに終わりを告げようとする
鎮火する静寂な雨の様な光景だった。
「……おわった……のか……?」
最初に轟が口を開く。
あのデカい怪物を一撃で倒したオーズに唖然と立ち尽くすヒーロー達。
だが、直ぐにその光景をぶち壊す者がいた。
降り注ぐセルメダルを腕だけのアンクが飛び回り、
その腕で落下するセルメダルを吸収して取り込んでいた。
視界に入る雄英の3人は驚くがそれ程ではなかった。
だがプロヒーロー達は腕だけのアンクは初めて見てしまい声を上げる。
「っ!!?何だこの腕!!?」
「きゃあっ!!?こっわっ!!」
「こいつ降って来るメダル喰ってるのかっ!?」
驚くヒーロー達だがアンクのその
セルメダルをゴクン、ゴクンと呑む様に喰らい続ける。
その騒ぎに気付いたオーズは慌ててアンクを止めに入る。
「ちょちょちょちょっ!!?何やってんだよアンク!!駄目だろ腕だけになったらっ!!」
「馬鹿!離せっ!倒した報酬は貰っといて何が悪い!!メダル、俺のメダルだ!!」
「こ、こんの!駄目っっだってばああ!」
オーズが抑えても尚暴れ回るアンク。
異様でシュールなそのやり取りを見ていたグラントリノは汗を流しながらその場を見て大きく息を吐いていた。
☆★☆★☆★☆
「はっ!」
「グギャアアア!!?」
里中事、プレガントガールはバースバスターのトリガーを引き、エネルギー状のセルメダルの弾が炸裂し蟷螂ヤミーは断末魔を上げ爆発する。
全てのヤミーを倒せたのかバースはドライバーから
セルメダルを抜き取り、変身を解くとプレガントガールに近寄る。
「いやぁっ、助かったぜ里中ちゃん」
「フン、鴻上の連中は肝が据わった連中ばかりだな。
…しかし、奴らから出てきたこのセルメダルとやらは一体…。」
「まあヤミーの元みたいなモノです。
あ。伊達さん、セルメダルは回収して下さい」
「ああそうだった…。じゃあ一緒に手伝…っておいおいおい里中ちゃんどこ行くの?」
「私の仕事はこれで終わりました。
これ以上の残業はボーナスに含まれないので、これで失礼しますね」
「おおーい!まだ終わってねえって…!あぁ行っちまいやがった……」
伊達の声をフル無視してこの場から立ち去った里中にエンデヴァーの
「何だあいつ…
「まだ避難とか終わってないってのに気分屋なヒーローだな」
「まあまあまあまあ!そう言わないでくださいよ御二人さんっ。あいつはちょっと抜けてる所があるんだけど、実力はウチの会社のNo. 1なんでね。お陰で事は手早く済んだでしょっ?」
「……フン。とりあえず脅威は去った。お前等、さっさと脳無を拘束しろ」
「「了解」」
2人は黒の脳無、手足の長い脳無の元へ駆け寄ると
その内の1人がエンデヴァーがビルに叩き込んだ
翼の生えた脳無を思い出し、その方角を見て確認する。
「…あれ?エンデヴァー、あの跳んでた脳無はどこへ……?」
「何を言っている?あそこのビルで気絶しているだろ……」
自身が殴り飛ばした方角へと指を指し示す…。
だが、そこは壁が壊れて瓦礫だけの場所となっており、肝心の脳無がその場にいなかったのだ。
「っ!!まさか逃げたのかよ!」
「くっ、俺とした事が!そう遠くには行ってない筈…!ここは任せたぞ!!!」
「あ、エンデヴァー!」
伊達が叫ぶと、自身に怒るエンデヴァーは両脚から炎を射出させ、空中へと飛び立つ。辺りを見渡すが当然見当たらない。渾身の一撃を食らわせ重傷を負った脳無は逃げ切れる戸は思わなかったエンデヴァーはふと、息子である轟焦凍の言ってくれた位置情報を思い出す。まさかとは思ったが、息子がそこにいる以上可能性はなくも無い。エンデヴァーはスマホを取り出し位置情報を確認しながらそこへ飛び立った。
☆★☆★☆
「っ!?伏せろ!!!」
エンデヴァーの予感通りに事は動く。
グラントリノは空中から迫り来る何かを察したのかこの場にいる人達に聞こえるくらいの声で叫ぶ。
翼の生えた脳無が此方に向かって飛んできたのだ。
「!?」
「
女性ヒーローがそう声を上げた瞬間、滑空して来た脳無は攻撃してくるのではなく、
「緑谷君!!」
「え、ちょ……!!」
不意の連れ去りに身動きが取れなかった者達の中、飯田が叫ぶ。かなりの速度で飛び立つ脳無にグラントリノは〝個性〟が届かなくなると悟ったのか冷や汗を流す。
「やられて逃げてきたのか…!?」
「アンク!飛べるメダ…る!?」
「っ!おい映司!!」
女性ヒーローが見上げてそう言うと脳無の血が顔に滴る。オーズは飛んで追いかけようとアンクに手を突き出すが、コンボの反動が来たのか膝をつく。
「わあああっ!!!」
「マズイ!」
「緑谷ぁ!!!」
「ちっ!!馬鹿が!!」
自身の状況を理解した緑谷が叫ぶ。徐々に距離が遠退く脳無にアンクは人型となって右腕を突き出し炎を投射しようとした、、その時。飯田の横を何者かが通る。その者、〝ステイン〟が女性ヒーローの頬に付着した血を舐めり取ると、上空を飛んでいた脳無が硬直し、落下する。落下最中にステインは脳無の背中へと飛び掛かると自身の縛っていたロープを切った小型のナイフで脳無の剥き出しとなっている脳みそへと突き刺したのだ。
「うっ!?ス…ステイン…!?」
「そんな…!?あの毒で…!?」
脳無は地面へと落下し、ステインに掴み上げられた緑谷は動いてるステインに対し驚く。それは変身が解かれた火野も同時に驚いていた。そして、脳無を止め緑谷を助けたその行動に一同は驚いていると、ステインは口を開く。
「偽者が蔓延るこの社会も、徒に〝力〟を振りまく犯罪者も、粛清対象だ。 全ては、正しき社会の為に…!」
そう言いながらステインは足元の脳無を見る。
脳から出血が止まることなく垂れ流れビクビクと痙攣を起こし虫の息だった。
「助けた……!?」
「バカ、人質とったんだ…!」
「躊躇なく人殺しやがったぜ…!?」
「いいから戦闘態勢をとれ!とりあえず!」
その行動に混乱するヒーロー達は相手は
「何故ひとかたまりでつっ立ている!!?そっちに一人逃げたハズだが!!?」
「親父…!」
「エンデヴァーさん!!あちらはもう!?」
「援軍のお陰で済んだ!多少手荒になってしまったがな!して… あの男はまさかの…」
真下に脳無が倒れてるのを確認しエンデヴァーはステインを睨む。
「うう…放っせ…!」
地面に降ろした緑谷はジタバタともがく。
ふと、マスクがずれ落ちてその素顔が露わになるステインはエンデヴァーの存在に気付き睨みつける。
「エンデヴァー…!」
「ヒーロー殺し!!!」
「待て轟!!」
炎を出して飛び出そうとするエンデヴァーに
グラントリノは叫んで呼び止める。
その時だった。
「贋物……!」
「「「「!!」」」」
憎悪、執念、殺意…。
その顔から放たれる感情にこの場の全員が動けなくなる。
その底知れない
「正さねばーーー…! 誰かが…!血に染まらねば…!
「ーーーっ…!!」
「何…だ…!?奴から感じるこの殺意…!?」
奴から放たれる殺意に女性ヒーローは腰を抜かす。エンデヴァー、そしてアンクでさえも後退る。プロさえも後退る彼の目は執念と言えるそのものだった。誰もが金縛りに合う様な感覚に襲われて怖気付いていた瞬間だった。気付いたエンデヴァーが口を開く。
「……気を……失ってる………」
ステインは白目を向き、立ったまま気絶していた。緊張が解け、ダメージと疲れが来たのか雄英生の轟、飯田、火野は膝から崩れ落ち、地面へと腰を着く。
火野は息切れを起こし、震えが止まらない手を見ていた。この時、ヒーロー殺しは顔面の骨がひび割れ、折れた肋骨が肺に刺さっていたそうだ。
誰も血は舐められていなかった。なのに、あの場で一瞬。
ヒーロー殺し〝ステイン〟。
彼だけが確かに相手に立ち向かっていた。
ー 後藤・捨て身 ー
警察「押さないで下さい!慌てずあちらへ避難を!」
時は遡り、ステインとの決着が着いた出来事。
伊達と離れ、後藤は警察の人達と協力し、避難誘導を行っていた。
仮にも職場体験。ここにパトロールとして来た以上、責めて避難だけでもと後藤は動いていた。
警察「よし、ここの避難は取り敢えず済んだな。」
後藤「いえ、まだ残っている市民もいるかもしれません。俺はもう少し残ります。警察の人達は別の場所へ応援に行ってください。」
警察「ありがとう。でもここは俺達警察が残るから君も避難しといた方がいい。」
後藤「ですが…」
後藤が言いかけたその時、目の前に蟷螂ヤミーが現れる。
ヤミー「シャアッ!!」
後藤「っ!こいつはヤミーかっ!」
警察「なっ!?どこから!」
警察2「くっ!ヒーローがいない以上我々が応戦する!そこの少年!食い止める間に市民を出来るだけ遠くへ!」
警察2人は蟷螂ヤミーに向けて拳銃を発砲するが
火花を散らすだけで全く動じなかった。
蟷螂ヤミーは接近すると2人の警察を殴り飛ばす。
ヤミー「シャア!」
後藤「っ!くそっ!!」
後藤はバースバスターを取り出しトリガーを引く。
が、その銃弾を避けて蟷螂ヤミーは後藤に接近すると
バースバスターを片手で弾いた。
後藤「しまっ!?」
蟷螂ヤミー「ハァッ!」
後藤「ぐあっ!!」
蟷螂ヤミーに蹴り飛ばされた後藤は転がる。
蟷螂ヤミーは不気味に笑い後藤に近寄ろうとするその時だった。
女の子「えぇーん……!ママぁ…!」
蟷螂ヤミー「?…キェアア…!」
後藤「子供…!?マズイ…!!」
女の子に気付いた蟷螂ヤミーは奇声を発して接近する。
後藤「(くっ!バースバスターを拾って…いや!遠い!バースに変身…!!間に合わない!)
くっそぉおおおおっ!!」
後藤は後先考えずに蟷螂ヤミーに向けて突っ走る。
無防備のままの状態ではヤミーには勝てない。
後藤は承知していた。…なので、、
後藤「この際…!!どうでもいいっっっ!!あァっ!!!」
ゴォオンッ!!!!
蟷螂ヤミー「ッ!!?ガッ!!?」
怯んでる隙に後藤は女の子を拾い上げ蟷螂ヤミーから距離を取る。
後藤「っ…!やはりこの〝個性〟は嫌いだ…!頭に響く…!」
後藤慎太郎
個性『石頭』
頭部が石の様に硬くなる!
硬くなると言っても文字通り石程度なのでそれより硬い物に衝撃を与えれば反動も響く!!
だが本人はこの個性は救うに相応しくないと変なプライドを持って使わないぞ!
みみっちい野郎だぜ!
そしてこの後、応援に来た警察と、里中により
蟷螂ヤミーは撃退し、その場は治った。
嫌いな〝個性〟を使い少女を救けた後藤の活躍により、
後に警察に叱られはしたが、評価もされてたの事。
次回!No.49 行動の後始末
更に向こうへ!Plus Ultra!!