いつかの明日へ、【ヒーロー】は助け合いでしょ 作:しょくんだよ
No.51夢見る規格
午前の授業が終わり、午後のヒーロー基礎学の時間となったA組生徒達は学校から少し離れた特殊な運動場へと集合していた。
工業地帯を催したその場所はとても運動場とは言えない光景だった。
流石雄英高校、このお金はどこから出るのかとつくづく思う火野だった。
そんな中、授業が始まる時間が差し掛かると、何処からともなくオールマイトがヌルっとA組の前へと現れた。
「ハイ、私が来た。ってな感じでやっていくわけだけどもね。
ハイ、ヒーロー基礎学ね!久しぶりだ少年少女!元気か!?」
「ヌルっと入ったな」
「久々なのにな」
「パターンが尽きたのかしら」
珍しくいつもより自然に現れたオールマイトに生徒達はボソボソと言うと「尽きてないぞ。無尽蔵だっつーの」と強がる様な表情を浮かべ脂汗を流す。
すると緑谷がオールマイトのコスチュームを見て
興奮気味に「
「職場体験直後って事で今回は、遊びの要素を含めた救助訓練レースだ!」
オールマイトのその言葉に飯田は質問をするべく勢いよく挙手をする。
「救助訓練ならUSJでやるべきではないのですか!?」
「あそこは災害時の訓練になるからな。私は何て言ったかな?」
「レースですか?」
「YES!そうレース!!」
オールマイトは人差し指を立てて尋ねると、火野が答え、オールマイトは頷き説明をし出した。
「ここは運動場
私がどこかで救難信号を出したら一斉にスタート!誰が1番に私を助けるかの競走だ!!勿論、建物への被害は最小にな!」
「指差すなよ」
ススススと1番やりかねないと言わんばかりにオールマイトは爆豪に指を指し、爆豪は嫌がる様にそっぽを向く。
そして直ぐにオールマイトは最初の1組目のメンバーを選び、その5人はスタート地点へと移動する。
「じゃあ初めの組は位置について!」
「「「「「はいっ」」」」」
オールマイトの指示に5人は返事をする。
その5人は瀬呂、芦戸、飯田、火野、緑谷だった。
因みに飯田はヒーロー殺しとの戦闘でコスチュームを修繕中とのことで体操着だ。
位置に立つ5人を他の生徒達はオザシキという名前の場所でモニター画面を見て待機をしていた。
「飯田まだ完治してないんだろ?見学すりゃいいのに…」
「クラスでも機動力良い奴が固まったな」
「うーん、強いて言うなら緑谷さんが若干不利かしら…」
待機の生徒達はモニター画面の5人を見てそう言っていると耳郎が隣に座る八百万に画面を見ながら話し掛ける。
「確かにぶっちゃけアイツの評価ってまだ定まんないんだよね」
「何か成す度大怪我してますからね…」
緑谷の超パワーは戦闘では凄いが反動もまた然り。
そして今回のレースなどどう足掻いても〝個性〟を使えば怪我を免れない。
2人はそう思ってそう言っていると、他の生徒達は
誰が1位になるか予想し、言い合っていた。
「俺火野…あー瀬呂が一位っ」
「トップ予想な。いやいやいや、火野だろー」
「オイラは芦戸!アイツ運動神経すげぇぞ」
「デクが最下位」
切島、上鳴、峰田が予想していると聞いてた爆豪は緑谷をドベと予想する。また、麗日と蛙吹も口を開いた。
「怪我のハンデがあっても飯田君な気がするなぁ」
「ケロ」
機動力と言えばエンジンの飯田。
入り組んだ地帯と言えどその脚力とスピードで駆け抜ければ1位は取れると見受けられる。
そして、視点は変わり、各々が準備運動、深呼吸などをして精神を整っている中、火野はタトバの3枚のメダルを取り出しオーズドライバーに嵌め込む。
ふと、体の中に入っていたアンクが話しかけて来た。
「(おい、この授業はレースなんだろ?俺のメダルのコンボで一気に翔べば楽勝だろ)」
「(コンボは疲れるし俺はこの
「(…フン、少しは頭を働かせる様になったか。
どうやらお前みたいな馬鹿が学ぶと言う思考を覚えたみたいだなぁ?)」
アンクがそう言うと火野は「うっさいなぁ」と小さく呟き、オースキャナーを取り出しドライバーへとスキャンした。
タカ!
トラ!
バッタ!
タ・ト・バ!タトバタ・ト・バ!
音声が鳴り響き火野は〝タトバコンボ〟へと姿を変え、オーズとなりスタートの位置へと着くとオールマイトはマイクを持って大きく合図を出した。
「START!!」
5人は一斉に駆け出す。
工業地帯を地上から駆け出す者、障害物を足場に跳んで行く者など、それぞれが自身の〝個性〟を活かしてオールマイトの元へ向かって行く中、瀬呂はテープを伸ばして工業地帯の空中を宛ら映画のスパイダーマンの如く移動していた。
「ホラ見ろ!!こんなごちゃついたとこは、上行くのが定石!」
「となると滞空性能の高い瀬呂が有利か」
オザシキから見ていた切島が立ち上がり予想していた瀬呂が1番に向かっているのを確認し叫ぶ。
口を複製していた障子も言葉を発して瀬呂に注目していた。
そしてテープを伸ばして移動する瀬呂は調子に乗っていたのか上機嫌になって口を開く。
「ちょーーっと今回俺にうってつけ過ぎ…」
ダンッ!
「る…?」
ダンッ!!
「俺も!うってつけ過ぎる、かも!!」
瀬呂がテープを伸ばした直後、何かが背後から
跳び立つ音が聞こえ瀬呂の横を通り過ぎる者がいた。
火野映司事オーズだ。彼もまた工業地帯の空中をバッタレッグの脚力を活かし、パルクールみたくぴょんぴょんと跳びながら移動していた。
「ほらほら見ろぉ!やっぱ火野が1番だ!」
「蝗みてぇ」
「そりゃあ脚がバッタだからな…」
跳び回るオーズを見て上鳴が立ち上がる。
砂藤が呟くとそれにツッコみを入れる轟。
そのオーズのバッタレッグの跳躍力は解放状態にすれば最高190m。本気を出せば余裕で1位になれる事間違いなしだが、オーズは解放状態にせずにそのままの脚で跳躍してゴールへと向かっていた。
「(能力解放すれば楽勝…だけど
オーズはそう考えながら跳躍していく。
すると、そのオーズの隣を
「うってつけ過ぎる!修業に!」
「っ!?緑谷君っ!」
「おおお緑谷!?お前何だその動きィ!!?ッソだろ!!」
オーズと同じく跳んで移動する緑谷にオーズは目を見開き、
完全に置いてかれた瀬呂は叫ぶ。
「緑谷ーー!?跳んでんのー!?」
「っ!流石だ緑谷君…!!」
また、酸を使って建物をよじ登っていた芦戸、地上を走り抜けている飯田も緑谷の行動の
それはまたオザシキで見ていた生徒達も同じだった。
「すごい…!ピョンピョン…何かまるで…」
「一週間で…変化ありすぎ…」
「………また……!!!」
麗日、峰田は画面を見て呟く。すると、爆豪はその緑谷の動きを見て
「凄い!ね!緑谷君!!」
「う…ん!!でも!集中しない…と!すぐ切れる…!!」
跳びながらオーズは声を掛けると緑谷はその状態を維持するのに精一杯か上手く話せない状態で口を開く。
ふと、前方にボイラーのパイプ管が濡れているのを認識したオーズは緑谷に向かって声を上げる。
「緑谷君!!足場気をつけて!!」
「っ!!」
オーズの言葉に気付いた緑谷は濡れたパイプ管の存在に気付き、別のパイプへと着地して蹴り跳ぶ。
オーズも後に続く様に跳躍し、再度緑谷に声を掛ける。
「跳ぶのもいいけど!足場が不安定な箇所は帰って自分に危険が伴う!から!上手く見定めて!」
「あ、ありがとう!!」
「うん!…じゃあこのまま!競争と行こうかっ!!」
「っ……うんっっ!!!」
緑谷は頷き、互いはスピードを上げて全力で跳び出して行ったのだった。
☆★☆★☆
「フィニーーーッシュ!」
オールマイトは叫び1組目の競争は無事終了した。
1位は火野の勝利となり、惜しくも終盤で足を踏み外してしまった緑谷は最下位となってしまいゴール地点の集合場所で倒れていた。
よって順位結果は火野、瀬呂、飯田、芦戸、緑谷となっていた。
1位の火野は『助けてくれてありがとう』と書かれた襷をオールマイトから貰い、かけて自分で見ていると照れくさそうにニヤけているとオールマイトが口を開いた。
「一番は火野少年だったが、皆入学時より〝個性〟の使い方に幅が出てきたぞ!!この調子で中間テスト、及び期末テストへ向け準備を始めてくれ!!」
「そっか、もうすぐ中間と期末も控えてるのか」
「うわぁ…勉強苦手なんだよなぁ」
オールマイトの言葉に緑谷は立ち上がりながら、火野は襷を取って嫌そうにそれぞれ呟いていた。
その後、残りの3組も競争が無事終了し、ヒーロー基礎学の授業が終わった。
☆★☆
そして、生徒達はコスチュームを着替えるべく更衣室で服を着替えていた時の事だった。
「久々の授業汗かいちゃった☆」
「俺、機動力課題だわ」
「情報収集で補うしかないな」
「それだと後手に回んだよな。お前や瀬呂、火野とかが羨ましいぜ」
服を着替えながら男子生徒達は反省点を述べて話し合っている最中、峰田が近くにいる緑谷に向かって手招きしながら突然叫ぶ。
「おい緑谷!!ヤベェ事が発覚した!!こっちゃ来い!!」
「ん?」
若干興奮気味なテンションの峰田に上着を脱いでいた緑谷は振り返ると、峰田は壁に貼られていたチラシを捲る。そこには壁に工具か何かで開けた小さな穴があった。
「見ろよこの穴、ショーシャンク!!恐らく諸先輩方が頑張ったんだろう!!隣はそうさ!わかるだろう!?女子更衣室!!」
覗きと言う行為は学生の醍醐味だと言わんばかりに興奮する峰田の言葉に砂藤、瀬呂、上鳴がピクッと反応する。
だが委員長として、真面目な飯田は止めに入る。
「峰田くんやめたまえ!!覗きは立派なハンザイ行為だ!」
手首をスナップさせながら飯田は止めるが、言葉だけでは通用せず峰田はチラシを剥がし、その興奮がエスカレートしていき、息は荒くなり、涎を垂らしながら覗き込もうとする。
「オイラのリトルミネタはもう立派なバンザイ行為なんだよォォ!!八百万のヤオヨロッパイ!!芦戸の腰つき!!葉隠の浮かぶ下着!!麗日のうららかボディ!!蛙吹の意外おっぱァアアア」
ドスッ…ドックン!!
「あああああ!!!!」
突如、その穴から耳郎の耳朶のプラグが伸びて峰田の左目に突き刺さる。そして自身の心臓の爆音を轟かせ峰田は悶絶し、断末魔を上げていた。
「耳郎さんのイヤホンジャック…正確さと不意打ちの凶悪コンボが強み!!」
「え、何か言った?」
「コンボで反応するな火野」
ガタガタと震えながら解説する緑谷に火野が着替えながら反応すると上鳴がツッコむ。
「目から爆音がああああああ」
「自業自得だ言わんこっちゃない!」
左目を抑え叫ぶ峰田に飯田がそう言うと、火野も峰田の行動にいけないと思ったのか口を開く。
「ダメだよ峰田君」
「おう、言ったれ火野」
火野の言葉に男がする行為ではないと切島が後押しする。
一旦区切った火野は口を開くが、それは意外な発言だった。
「耳郎さんも可愛いって言ってあげないとっ」
「いやそこかよ!?確かに耳郎だけ何も言わなかったけど!?」
予想外の言葉に切島は盛大にツッコみを入れていた。
一方で隣の女子更衣室では峰田の声がダダ漏れで当然の様に呆れていた。
「ありがと響香ちゃん」
「何て卑劣…!!今すぐ塞いでしまいましょう!!」
頭から煙を出して言う葉隠に八百万も着替えながらそう言っていたが、耳郎はプラグを戻すとその耳を真っ赤にしながらそそくさに着替え始める。
「どうしたの響香ちゃん?」
「い、いや………なんもない……」
服で上半身の前を隠していた蛙吹は首を傾げて問うと耳郎は恥ずかしそうにそう小声で返していた。
☆★☆★☆★
翌日のHR、相澤が教室に入ると騒いでた生徒等は一瞬で静まり返る。もはやこの光景もA組ならではの習慣となっている。
手元に持っていた資料を教卓に置くと相澤は口を開いた。
「えー… そろそろ夏休みも近いが、その前に中間、期末とテストが控えてる。だが、もう一つ控えてる事がある……」
「テスト以外にまだあるのかよ…!?」
「何だ…!?拷問という名の猛勉強か…!?」
生徒は騒めき出す。だが相澤は間入れずその内容を発表した。
「遊園地でヒーローショーをやるぞ」
「「「「予想外でテンション上がるヤツきたぁああああ!!!」」」」
予想外の発表に生徒等は感極まり声を揃えて叫ぶ。
だが相澤はギロリと睨むと生徒等は瞬時に静まり返り、相澤は内容を説明し出した。
「今回の行事はオールマイトの人気に兼ねて各地でその名を轟かせようとしている連中に協賛しようという学校からの案が出た。何でも
「くぁあ!ヒーローショー!子供ん時見てたけどやる側なんて高校生の俺らなんかそうそう出来る事じゃねえぞ!!」
「それな!テンション爆上がりだな!」
相澤の説明に切島と上鳴は盛り上がっていると飯田がピシッと手を上げ挙手をする。
「しかし先生!我々は中間と期末が控えています!勉強の時間を削がれると学業に支障を来たしてしまいますが!?」
「それは俺も同意見だ。だが校長は今が好奇と言って話を逸らした。…それに、テストが終われば別の行事も控えてる。お前等は若いんだからPlus Ultraの精神で乗り越えて行け」
「「「「「アイアイサー!!!」」」」」
相澤はそう言って寝袋を用意し出すと、活気良く生徒等は返事をしていたのだった。
☆★☆★☆★☆★☆
とある都市の路地裏ーーー……
「兄貴ー!兄貴ー!」
誰もいない路地裏に1人のフードを被った青年が声を上げて新聞を読んでいる男に駆け寄る。
「
「あぁ?今話題の『ヒーロー殺し』の記事だよ。このステインって男はスゲェ奴だぜ全く…、そそがれるねぇ……。で、何だ?」
「ブツが手に入ったんですってば!もぉ兄貴は夢中になると聞く耳持たないんだから!」
記事に夢中になる兄貴と呼ばれる男はフードの子分らしき青年に要件を聞くと子分は怒りながら小さなケースを男に渡す。
「ほぉ、コレが〝個性〟を高めるっつー薬か…。」
「そうですそうです!…あ、あとですねあとですね。耳寄りな情報が」
「何だ?」
そのケースを男はポケットにしまい込むと、子分の青年は小声で男に話した。
「さっき通りかかった2人の奴らからチラッと聞こえたんですけど、雄英の学生共が、近くのテーマパークで手伝いか何かで来るらしいっす。」
「……ほおォ」
その情報を聞いた瞬間、男はニヤりと不気味に頬を上げる。
「そいつらが来るのはいつだ?」
「えっと確か…2週間後…でしたっけ?ちょうど日曜っすっ」
子分はそう言うと男は記事をぐしゃりと握り潰し、その辺へと放り投げると何か企む様な不気味な笑みを浮かべ、空を見上げて口を開いた。
「調子付いちゃったお馬鹿な学生共…ヒヒっ…!いい機会だぁあ…!この英雄ステインに代わって、この俺様が世を粛正する…!まずは未来の世に降り立つ学生共から始末してやるかぁ…!」
「いよっ、
転個と言う男性がそう言うと子分の青年はパチパチと煽てて拍手をする。
「そうとなれば先ずは計画を立てるぞ、行くぞ
「へいっ!」
転個に言われ、水操は後に続いた。
突如企画で行われるヒーローショー…だが、この2人の
ー お掃除の中にも心配あり ー
職場体験から無事帰還したA組生徒!
久々の教室はホコリまみれ!掃除だっ!
先ずは教室班!上鳴、火野、緑谷、麗日!
上鳴「ひっさびさの掃除はめんどうだな…って重っ!」
火野「どうしたの上鳴君?」
上鳴「いや、切島の机が重たくて…何が入ってんだ…?」
上鳴が机の中に手を入れると、鉄アレイが出てきた。
上鳴「…鉄アレイ?何で?」
火野「欠かさず筋トレしてるんだねきっと。流石だっ」
火野がそう言って移動しようとすると常闇の机に当たり一冊の本が床に落ちる。
火野「やっちゃった…!…ん?『真の暗闇の極意』?」
上鳴「つまんなそぉ…、てかよくそんな題名で売れたもんだなおい」
緑谷「個性豊かだね…それより、八百万さんの机もめちゃくちゃ重たいんだけど…」
上鳴「何か面白い感じになってきたな、中見てみようぜ!」
上鳴は八百万の机の引き出しを引っ張るとそこには大量の辞書があった。
麗日「やめなよ、人の机だよー」
上鳴「さすが八百万、辞書たくさ…自己啓発本ばっかだな…」
緑谷「しかも外的要因に頼る感じになってきてる気が…」
火野「ホントだ……え?『ガイアに委ねる』…?」
上鳴「『神の眼差しを知る』……」
麗日「…変な本ばかり…どしたんだろ……」
緑谷「…と、とりあえず八百万さんの為にも深くは考えないでおこう…?」
No.52 騒動という名の準備
更に向こうへ!Plus Ultra!!