いつかの明日へ、【ヒーロー】は助け合いでしょ   作:しょくんだよ

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評価と見学と歩む姉弟


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No.64 更にむけろ一皮

 

真木が送り出した対オーズ用の戦闘ロボを倒した火野、アンク、耳郎は重い足を運びなんとか脱出ゲートを通過する事が出来た。ゲートを通過した際には根津校長の吹き出しに〝よくぞ!!〟と文字が記載され火野・耳郎チームは試験を突破したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

☆★☆★☆

 

 

 

「私なりにかなり強力に仕上げたつもりなんですが…。流石はオーズと言った所ですね」

 

火野達が条件達成した後、真木本人は跡地に向かい瓦礫と化した戦闘ロボを見て呟く。

ふと、ここに来る前に校長室で根津校長と話していた出来事を真木は思い出していた。

 

 

ーーー

 

『この度はご協力に感謝しますドクター真木。今回の試験内容についてですが…』

 

『根津校長。大丈夫ですよ。事前に送られてきた資料で今回私が受け持つ生徒2人、試験内容、評価すべき点数は把握しています。』

 

『流石ですねドクター真木。今回貴方が使用する〝個性〟を使った戦闘ロボ。事前に資料で拝見させて貰ったのですが素晴らしい出来ですね。これなら火野君のオーズにも対抗出来そうですし、耳郎君の課題すべき点も難題として与えられる』

 

『…実は、根津校長だけにお伝えして置きますが、あの資料の記載はほぼ()()()()に記載されています』

 

『おや…?それは何故だい?』

 

『えぇ、こちらで作られたバースシステムで戦闘データを取らせて作ったロボなのですが、オーズ全ての能力に対抗出来る程高性能ではありません。データを取っても彼の力は凄まじい物…』

 

『機械では到底測りしれない…。そう言う事だね?』

 

『はい。ですが策と予測はしてあります。火野君は恐らくロボットである以上パワー系のコアメダルのコンボで仕掛けて来る筈ですので装甲は頑丈にするだけに留めておこうとするつもりです。序盤に私が煽れば彼とその派生型であるアンク君も信じて他のコンボは使って来ないと思いますので…。そして耳郎君。彼女には索敵に優れた〝個性〟を使うのが得意と聴かされたので、それを使わせず窮地に立たされた万能個性(オーズ)に彼女はどう動くか…。今回はソレを重要課題として私が相手をします』

 

『実に素晴らしい考案なのさ!申し分無い程に。にしてもよくそこまで調べて来てるね』

 

『お恥ずかしいお話…、人間観察が私の得意の内の一つでしてね』

 

 

 

ーーー

 

 

 

「…火野映司君。その若さ故に強大な〝個性〟を持っていては、この先の人生は危険で険しい道のりになるでしょう…。彼には悔いの無い良き終末が訪れて欲しいものですね」

 

思い返していた真木は左肩に乗せている人形〝キヨちゃん〟を見ながらそう言っていると、大きな焚き火の様に燃えているロボの瓦礫からバチッ!と火花が弾け飛び、偶然にも火の粉がキヨちゃんの頭に当たる。すると、その頭部の一部が焦げてしまいそれを見ていた真木は二度見をして目を大きく見開き叫んだのだった。

 

 

「ッ!?ファオッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★☆★

 

 

 

 

 

「あいタタタタ…!あれ、緑谷君っ」

 

「火野君、耳郎さんお疲れ様」

 

「お疲れ…ってあんたも凄いボロボロじゃん」

 

試験を終え、痛む肩を押さえながらリカバリーガールの居る出張診療所に来た火野、そして耳郎。そこにはボロボロになっていた緑谷が居て2人に声を掛けて来た。

緑谷の格好を見て火野は苦笑しながら口を開く。

 

「まあ相手がオールマイトじゃあね…。でも凄いよ!爆豪君と協力して勝ったんだよね!?流石緑谷君だなあ」

 

「いやいやいや、そんな事ないよ…!始まった直後は本当かっちゃんと食い違って喧嘩になるしオールマイトには勝てっこなかったしあの時は」

「ハイハイハイっ、ここはお喋りする場所じゃないさね!怪我してる子はこっち来て治療!そうでない子は控え室で待機だよっ」

 

褒めている火野に対して緑谷は説明しようとするとリカバリーガールが割入って注意する。

コンボの使用で疲労している火野は割と身体は丈夫なお陰でリカバリーガールからはハリボーを貰うだけだった。一方で耳郎も〝個性〟の反動で身体が筋肉痛みたいになっていたが怪我という怪我もなく2人は軽い処置で済んでいた。

 

「火野。控え室行こ、ここは邪魔になるみたいだし」

 

「うん…。いや、俺はいいや。ちょっとここで見学したい。リカバリーガール先生。ここに残って他の人達の活躍見ていいですか?」

 

「静かにしてくれるなら別に構わないさね」

 

耳郎に声を掛けられた火野は頷くが幾つものモニター画面にまだクリアしていない生徒達が映ってるのが目に入り、耳郎の誘いを断り、リカバリーガールに火野は許可を貰う。

どうやら緑谷もここで見学しているようだ。

 

「そっか。じゃあウチは控え室に行っとくね」

 

「うん、また後で」

 

耳郎はそう言って出て行き、火野はさっそく緑谷が座っている椅子の隣に立ってモニター画面を見始める。

すると、早速目に入ったのは常闇と蛙吹がエクトプラズムと交戦している画面を注目していた。

 

「あの……今回テストと言いつつも、意図的に各々の課題をぶつけてるんですよね?」

 

「そうさね」

 

「課題…。そっか!緑谷君と爆豪君は相性最悪だからチームワークが求められたって事か!」

 

緑谷がモニター画面を見ながらリカバリーガールに質問すると彼女は頷く。それを聞いていた火野は合点が行ったのかそう言うと緑谷は真剣な表情で「僕もそう思った」と頷いて口を開く。

 

「何となくわかる組もあるんですが…、さっきの火野君と耳郎さんの相手だった真木さんのロボはオーズの〝個性〟を覆してくる高性能で、耳郎さんにはハナから2人の前に現れる事で索敵する時間すら与えてくれない…。どちらも不利な状況での戦闘だったから直ぐに分かったんですけど」

 

「ぉお、成る程成る程」

 

緑谷の考案に火野は掌にポンと手を置き理解すると続けて緑谷はちょうど同じ画面を見ていた蛙吹と常闇を見て口を開く。

 

「でも、中には〝何が課題なんだろう〟って組も…。例えばその…常闇君と蛙吹さんとか…、エクトプラズム先生の〝個性〟が二人の天敵だとも思えないし…」

 

「うわあ、凄い。口から分身出してる…」

 

2人の課題に疑問を抱き首を傾げる緑谷に対して火野はエクトプラズムが吐く白い煙が徐々に形を変え次々とエクトプラズムが現れるのを見て驚いていた。

 

 

エクトプラズム

 

個性『分身』

 

口からエクトプラズムを飛ばし、任意の位置で本人に化けさせられる!一度に出せる人数はだいたい30人!しかし、カラオケで2〜3曲唄った後とか36人くらい出るらしいぞ!

 

 

 

「いや、天敵さ。常闇踏影にはね」

 

リカバリーガールはそう言うとエクトプラズムから距離を取っていた常闇の間近に分身が現れる。気付いた常闇だが別の分身相手を攻撃していたダークシャドウが常闇から離れている為か急いで距離を取ろうとする。すると、蛙吹が舌を伸ばして分身のエクトプラズムを攻撃し、カバーしていた。

すると、それを見ていたリカバリーガールが口を開く。

 

「彼の強みは間合いに入らせない。射程範囲と素早い攻撃ね。けれど裏を返せばその間合いにさえ入れば脆い…」

 

「成る程、それで数と神出鬼没のエクトプラズムか…」

 

「へぇ。ダークシャドウって殆ど無敵かと思ってた…」

(フン、要は〝個性〟ってヤツは身体能力の一部なんだろ?どんなに強力だろうがその〝弱点〟は必ず存在する。お前のオーズもコンボを使えば凄まじい疲労が身体に蓄積されるみたいになぁ)

 

リカバリーガールの解説に緑谷と火野は納得すると、体の中にいたアンクが見ていたのかそう聞こえてきて、火野は返す言葉もないのか顰めっ面になる。するとリカバリーガールは続けて今度は蛙吹に目を行き口を開いた。

 

「一方で蛙吹梅雨。課題らしい課題のない優等生さね。故にあんたが今言ったように、強力な仲間の〝わずかな弱点〟をもサポート出来るか否か…。あの子の冷静さは人々の精神的支柱となりうる器ね」

 

「精神的支柱…!」

 

「言われてみれば蛙吹さん、戦闘訓練とか体育祭の時もそうだったけどあの冷静さは尋常じゃなかったなぁ」

 

その言葉に緑谷は思い当たる節が有ったのか小さく頷く。火野も彼女とはあまり関わりがなかったがその行動を見て来た為かそう感心していた。

すると、エクトプラズムからの攻撃を防戦し、回避しながら移動する常闇チーム等は脱出ゲートの前へと辿り着いていた。だが、そう簡単にも行かないと言わんばかりに脱出ゲート前でエクトプラズムが立ちはだかる。恐らく本人だろう。

次の瞬間、エクトプラズムは口から大量の煙を吐くとその煙はみるみると巨大なエクトプラズムとなり、大きな口を開き2人に噛みつき捕まえていた。

 

「〝強制収容ジャイアントバイツ〟!複数の分身ではなく収束させ一体の巨人となって相手を捕まえる技!あの技で数々の(ヴィラン)を捕まえたんだ!」

 

「あ、そっか。流石ヒーローオタク。詳しいね」

 

突然少し興奮気味に解説する緑谷にヒーローオタクだった事を思い出し、驚きながら火野はそう言う。

すると、捕まってしまった常闇チームは左肩辺りからモコモコとエクトプラズムの体の一部みたく拘束された状態となって浮かび出て来る。だが諦めてはいない様で常闇はダークシャドウを使ってエクトプラズム本人に攻撃を仕掛けるが装備された義足で見事な蹴り技を繰り出しダークシャドウは手も足も出せない状態だった。

すると、ダークシャドウは一瞬だが一旦拘束された2人の元へ右手を運び、その右手を拳に変えエクトプラズムに攻撃を繰り出す。勿論エクトプラズムは義足の蹴りでソレを受け止めてしまう。

 

「っ!アレ!」

 

瞬間、火野が叫ぶ。その目先にはエクトプラズムの受け止めた義足の先端には事前に貰っていたカフスが掛けられていたのだ。

 

「カフスをかける事さえできればクリアだ!『ダークシャドウ』と『蛙』、双方の〝個性〟を上手く使い合った!流石!」

 

「…そう言えばカフス貰ってたのすっかり忘れてたな、アンク。でもロボット相手に使ったら勝ちになるのか?」

(あ?知るか。終わった事気にしてても仕方ないだろ)

 

拳を作り喜ぶ緑谷。それに対して火野はカフスの事を思い出しそう言いながら疑問をアンクに問い掛けるとアンクは適当に返事をしていた。

そうしてる間にリカバリーガールはマイクを手に持ち勝利報告を各会場に言い渡す。

 

『蛙吹・常闇チーム条件達成!』

 

言い終わると、それを聞いていたのかあたふたと慌てる素振りを見せるチームが目に入った。芦戸、上鳴チームで相手は根津校長の映っている画面だった。

根津校長は巨大なクレーンに先端のフックには大きな鉄球が付いておりそれを動かして建物を破壊する。

だがただ壊しただけではなくその建物はドミノの様に連鎖し倒れ、最終的にはかなり離れていた芦戸と上鳴の場所にまで崩壊の連鎖が届いて2人は苦戦していた。

 

「上鳴君と芦戸さん、大丈夫かな……!?脱出ゲートからどんどん離れて行ってるしキッツイぞ……」

 

「根津は昔人間に色々弄ばれてるからね…こういう時うっかり素が出るね」

 

「(闇抱えてるんだ…)」

 

見ていた緑谷はおどおどとした表情となりそう言うとリカバリーガールは紅茶を飲みながら高笑いの素振りを見せる根津を見て呆れており、火野は可哀想な目をしてそう思っていた。

 

 

根津

 

個性『ハイスペック』

 

〝人間以上の頭脳〟という個性が発現した動物!

世界的にも例を見ない唯一無二の存在だ!

 

 

 

「…あ、飯田君達突破できそう」

 

ふと、火野が指を指す。そこに映ってるのはパワーローダーと交戦している飯田と尾白の姿が目に入る。

パワーローダーの仕掛けている落とし穴のトラップをもろともせず飯田はレシプロバーストを発動し、駆け抜けると背負っていた尾白が勢いよく跳躍し、一気に脱出ゲートを通過したのだ。

 

『報告〜〜〜飯田・尾白チーム…。条件達成!!残り時間あと約5分さね』

 

確認したリカバリーガールはマイクに向かって言い渡す。ついでに残り時間もアナウンスすると残りの組達はヤバいと思ったのか焦る行動が目に入る。切島と砂藤がいい例だった。

相手はセメントスでパワー自慢の2人は押し通ろうと頑張っているが無限に作られるコンクリートに中々進めずにいた。

 

「大丈夫かな2人共…。どちらも持久戦には厳しい〝個性〟だし…」

 

「消耗戦に極端に弱い2人さね。対人や救助ってのは如何に自分の得意を押し付けれるかの行動だからね」

 

ちょうど緑谷とリカバリーガールも見ていたのか切島達が映るモニター画面を見ながらそう言う。

砂藤も糖分切れなのか動きが鈍くなっているのも確認でき、火野も心配そうな顔をして見ていた。

 

 

砂藤力道

 

個性『シュガードープ』

 

糖分10gにつき3分間パワー5倍!

しかし糖をパワーに使うと次第に脳機能がダウンしてくぞ!

 

 

 

「残るはあと5組かぁ」

 

「うん…。凄いや、着々とクリアしてく。皆決して諦めない立派な雄英生徒なんだ……!」

 

火野は呟くと緑谷は格上相手の先生に勝とうと必死に頑張る生徒達を見て感心しているとリカバリーガールが何か見つけたのか指を指して口を開いた。

 

「いや、あいつめっちゃ諦めとるよ」

 

そのモニター画面には泣きながら叫び、脱出ゲートとは反対の方向へと全力疾走で逃げ出す峰田が映っていた。

 

「峰田君…!?」

 

「ちょ!?何やってんのあいつ!?」

 

「ああなると厳しいかもねぇ…。おや、別のチームがゲートを突破したみたいだねえ」

 

その行動に緑谷と火野は驚き、リカバリーガールは息を吐いていると障子と葉隠がゲートを通過しているのを目撃して口を動かす。

相手は銃撃を得意とする遠距離タイプのスナイプ。

 

「障子君達は対スナイプ先生…。索敵対決…、かくれんぼって感じだったのかな」

 

「障子君が敵の位置を把握しつつ、隠密行動に長けてる葉隠さんとで上手くフォローし合ったって感じかな。さすがっ」

 

『報告〜〜〜障子・葉隠チーム……。条件達成!』

 

2人を評価してる緑谷と火野、そして達成の確認が取れたリカバリーガールはマイクで言い渡していると、麗日・青山チームの行動が目に入る。

脱出ゲート直前で対する13号に見つかってしまい

〝個性〟のブラックホールで吸い込もうとする。

青山と麗日は柵のポールにしがみついていたが突然麗日が手を離し13号に吸い込まれそうになる。

ブラックホールは何でもチリにしてしまう恐ろしい〝個性〟で本人の13号も生徒をチリにしたらたまったものじゃないと思ったのか咄嗟に指の蓋を閉じてしまう。それをチャンスだと思い麗日は吸い込まれる勢いでそのまま突っ込み、対人の護身術で13号を捕らえる事に成功。そのままカフスを掛けて青山・麗日は見事試験をクリアしていた。

 

『あっと。ここで麗日・青山チーム…、条件達成!!残り時間は後僅かさね』

 

「後残すは3チーム…まだ全然チャンスはありますよね!!」

 

「…どうかなぁ」

 

リカバリーガールはタイムを見るなりそう言い渡すと緑谷は冷静にそう言い放つ。

だが、火野が言う様に正直残る3チームの達成は厳しいと見ていた。

上鳴・芦戸チームは根津の策略でどんどん脱出ゲートから離れて行く始末。方や切島・砂藤チームは押し寄せるコンクリートの壁に今にも呑まれそうになっており脱出のすべが無くなって来ている。

そして、峰田・瀬呂チームも。

 

「まあやる気が途切れぬ者はならともかく…戦意喪失するとなると厳しいねぇ」

 

今も尚逃げ惑う峰田を見てリカバリーガールはそう言う。

 

「あれだけ林間合宿楽しみにしてた峰田君が、何故……」

 

「まァ、オールマイト(あんたのとこ)とゲストで来た真木博士…セメントス、そしてミッドナイトは特に難易度高いからねえ。人によっちゃ詰む…『詰んだ』と認識しても仕方ないよ」

 

緑谷の言葉にリカバリーガールはそう言ってモニター画面を眺める。脱出ゲートの前ではミッドナイトが眠っている瀬呂を膝枕して待機しており、峰田はそれを見て画面越しでも分かる程羨ましそうに歯を食い縛り血涙を流していた。

 

「うっわ、目から血が…」

 

「もしかしてアレもミッドナイトの〝個性〟が原因?」

 

「いや、ただ羨ましいだけだと思うさね」

 

驚く緑谷と考察する火野。だが見抜いたのか呆れて溜息を吐いたリカバリーガールはそう言っていた。

 

 

 

 

ミッドナイト

 

個性『眠り香』

 

体から放たれる香り強制的に眠らされる!

女性より男性の方が効きやすいぞ!ひょおおおお!!

 

 

 

 

「ああいう子はここで生き抜くには辛いかもねえ」

 

「?」

 

「どう言う事です?」

 

リカバリーガールの言葉に緑谷は首を傾げ、火野は問うとリカバリーガールは口を開いた。

 

「雄英は絶え間なく壁を用意し、それを超えさせるって方針。そこを息切れせず乗り超えていくには、〝具体的な目標〟を見据えている必要があるのさ。『なんとなくヒーローやりたい』で登れる程易しい道じゃないんでね。仮にヒーローになれたとして、〝ヒーローになる事〟がゴールの人間に先はない。果たしてあの子の心に見据える目標が存在するのか…」

 

リカバリーガールがそう言って続けて画面を眺める。

息が切れたのか峰田は膝に手を置いて立ち止まっていると、背後からミッドナイトが鞭を峰田に当てて攻撃を仕掛けて来る。その表情はドSに満ち溢れた様な不気味な笑みを浮かべていた。

 

「…なら、峰田君なら大丈夫ですよ」

 

「え?」

 

「何故分かるんだい?」

 

ふと、火野はそう言うと緑谷が反応し、リカバリーガールは問い掛けてくると火野は画面を見ながら口を開いた。

 

「峰田君は卑猥な発言でいつも巫山戯てる様に見えますけど、雄英に入った以上はそれだけ大きな目標があるからここにいると俺は思うんですよ。例えば、ヒーローになれば注目を浴びれる…。それを峰田君風に捉えれば…」

 

「…っ!〝モテたい〟とか!」

 

「直球だね。だけどそれだけじゃあ…」

 

火野の言葉に緑谷は理解したのか解釈する。リカバリーガールは溜息混じりで何かを言おうとしたその時、ミッドナイトの攻撃から逃れる為岩に身を隠していた峰田が飛び出していた。近付いてしまえば眠らされると承知の上での作戦かと思いきや峰田の鼻と口には瀬呂のテープが巻かれていたのだ。

窒息状態で挑むなんて自殺行為かとミッドナイトは不気味な笑みと共に鞭を振り下ろす。だが、峰田はもぎもぎをふんだんに投げまくると鞭やミッドナイトの体に地面へと付着し、身動きが取れなくなっていた。動きを封じたその間に峰田は眠り香が届かない場所まで移動して口を塞いでたテープを引き剥がす。そして眠っていた瀬呂を担いで脱出ゲートへと足を運び通過する。

火野はその勇姿を見てどこかカッコよく思い見入ってしまっていた。

 

「やった!!」

 

「おお!ゲートから離れたとこに貼りつけた事で、眠り香が届かないように…!」

 

「ホォ…!器用な子だね…!すっかり騙されちまったよ、私ぁ…!あんた達の言う通り、〝モテたい〟も突き詰めれば、見据えるべき一つの目標さね」

 

喜ぶ火野と緑谷に対してリカバリーガールは起点の行った策に驚いていた。そしてゲートを通過した事と時間切れになっていた事を確認し、マイクを手に持ちアナウンスをした。

 

 

『峰田・瀬呂チーム条件達成!!そして…タイムアップ!!期末試験、これにて終了だよ!!』

 

 

 

一歩進んだ者、壁に阻まれた者。

悲喜交交の中期末実技試験が終了する。

だが、その一方で三度動き出そうとする者がいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★☆★☆

 

 

 

 

 

 

死柄木が身を潜めるバーの建物。その建物の路地裏から2人、脇真音優無と脇真音槍無の姉弟がやって来ていた。

 

「弟君ほんッと凄いね!ちょっと教えただけで直ぐ覚えて後は勝手に勉強してただけでもう言語覚えちゃったなんて!()()()()()頃が今となっちゃ懐かしく思えるなぁ…。あ、他に欲しい物ない?お姉ちゃん奮発しまくるよ?」

 

「…いや、大丈夫…。小さい頃って、姉さん僕…その時の記憶あまりない…」

 

「そりゃ小さかったから当然だよ」

 

ポツポツと喋る槍無に優無は当たり前と言わんばかりにそう言うと槍無は無言になり、バーの建物が気になったのか見上げる。

 

「姉さん、今から会う人ってどんな人…?」

 

「死柄木君かい?ん〜…単刀直入で不気味!」

 

「不気味…絵本とかに出るお化けよりも不気味?」

 

「ぶっはははは!うん!アレより不気味かもね!やばっ…!ツボった…!わはは…!」

 

悪気のないその純粋な言葉に優無は想像したのか笑い出す。

ひーひーとお腹を抑えてしばらくすると落ち着いたのか優無は気を取り直すと、突然槍無と向かい合う。

 

「弟君。この建物に入れば多分普通の暮らしが出来なくなると思うんだ。今ならまだ引き返せる。どうする?」

 

「…姉さんが居る場所なら、どこに居ても平気だよ。…だから連れて行って。姉さんが行く場所に」

 

選択を選ばせる優無だが意外にもあっさりとこちら側に来る事を願う槍無。それを聞いた優無はニコリと笑顔になり、槍無に向かって手を差し伸べた。

 

「じゃあおいで弟君!ちょっと変わった()()と、少し刺激が強い()()()()()()()()を君に見せて上げる!大丈夫!何かあれば私が必ず弟君を守ってみせるから!」

 

「うん…。えっと…ありがとう」

 

優無の手を握り、槍無はぎこちなくお礼を言うと、二人はバーの建物の中へと入って行ったのだった。

 




ー 天然の轟くん ー

期末試験が始まる前の週末。
火野と轟は午前から待ち合わせとなり図書館でテスト勉強を始めていた。
時間は流れ午後…。2人は食事をするべくファーストフード店へと足を運んだのだった。


火野「いやあ〜ありがとう轟君!これでだいぶ問題が解けれるようになったかも!」

轟「そうか?良かった…当然の事をしたまでだ。別に礼なんていらねえよ」

ふと、轟は店に入ると辺りをキョロキョロと見渡す。

火野「どうしたの轟君?」

轟「いや…俺ファーストフード店は初めてなんだ…」

火野「え!?そうなの!?ごめん!何も聞かずに連れて来ちゃった…!」

轟「あ、いや…別にそれは気にしてねぇよ…」

火野「本当?よかったぁ…。じゃあ教えるからこっち来てっ。先ずは食べたい物注文しに行かないと」

轟「あぁ」

2人は注文カウンターへと向かうと店員が笑顔で対応してきた。

店員「いらっしゃいませー!店内でお召し上がりですか?」

轟「?店内以外にもあんのか?」

火野「頼んだ商品をお持ち帰りする事がが出来るんだ。あ、はい!店内で」

店員「畏まりました!ではご注文お決まりでしょうか?」

火野「えっと、俺はダブルチーズバーガーセットを1つ…「おい!アイスあるだろ?3つよこせ!」

店員「ひっ!?」

火野はメニューを見てそう言うと突然火野アンクが飛び出し店員に強引に注文する。

火野「だあっ!?馬鹿っ!頼んでやるから大人しくしてろ!…す、すいません……!えっと、追加でソフトクリームを1つ貰えますか?」

店員「あはは…は、はい畏まりました!お次のお客様はお決まりですか?」

轟「…………あの、すみません」

店員「はい?」

轟「ここって、蕎麦はないんですか……?」

店員「……はい?」

轟の発言に店員は聞き間違いかと首を傾げる。
慌てて火野は轟に声を掛けた。

火野「と、轟君!ここジャンクフード店だから蕎麦とかはないんだ…!」

轟「…そうなのか?わりぃ…。店って食い物出すもんだからてっきり蕎麦はどこの飲食店でも食えるのかと思っちまった」

火野「……あ、あ〜そうだったの…。なんかごめん」

アンク(フン!流石に俺でも分かるぞ。ここまで来ると天然の領域を超えてるなぁ)



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