いつかの明日へ、【ヒーロー】は助け合いでしょ 作:しょくんだよ
死柄木が居るバーの入り口に来た脇真音姉弟。
すると、その扉は開かれており扉付近には柄の悪そうなサングラス、場合によっては〝腸〟に見える気味の悪いマフラーが特徴の男性が待機しており、姉弟を見るなり煙草を吹かしながら声を掛けてきた。
「お、あんたは死柄木んとこのオーズの嬢ちゃんじゃねえか」
「…誰?」
ニカっと不気味に笑う男性のその前歯は欠けており優無は警戒して睨む様に問い掛けると両手を見せて落ち着かせる様に口を開いた。
「おっとと、まあそう怖い顔しなさんな。俺は〝義爛〟。
人材から武器の調達をしているしがない〝ブローカー〟さ。そっちの男の子は見ねえ顔だな?」
「…こっちは弟の槍無。今から死柄木君に紹介させるつもりだよ」
「へぇ、弟がいたのか。まあ何にせよ
「紹介?」
義燗の言葉に首を傾げながら彼の横を通り過ぎて優無と槍無はバーの中へと入る。するとそこに立っていたのは2人。1人は変わった髪型をしたヘアスタイルに女子高生のベストとスカートを着た女の子でもう1人は身長高めの男性でボロボロの黒の服をベース。だが身体の皮膚も焼け爛れ、ケロイド質の皮膚で覆われた全身を金属製の太い継ぎ目で繋ぎ合わせおり、まるで全身を皮膚移植をしたような異様な外見をしている。 一印象は気味が悪いと言っても過言ではない。
すると、女の子は優無を見ると形相を変えて詰め寄って来た。
「わっ!?女の子!!カアイイねぇ…!お友達になりましょっ?」
「わわっ…えと、ありがとう?」
「こいつ等も
きゃぴきゃぴとした笑顔でそう言う女の子に優無は戸惑いながらも槍無を背後に恐る恐る死柄木が座っているカウンターへと移動をする。すると焼け爛れた男の子は不満そうにそう言う。
死柄木の近くまで姉弟は移動すると死柄木は槍無を見るなり息を吐いて優無に声を掛けた。
「脇真音…何だそいつは?」
「あ、紹介するよ。この前セルメダルの件で色々あって動ける様になった私の弟の脇真音槍無。今日から
「えと…よろしく…お願いします」
「色々あって動ける様になったって何だそりゃ…?ヤミーのオマージュか何かか?…しかも挨拶は姉だよりじゃないと出来ねぇのかよ」
「まあ理由は適当に察してよ。てか仕方ないしょ、まだこの子世間不慣れなんだから」
悪態吐く死柄木に内心苛つきながら優無は手首を振ってそう言うと死柄木は本題に戻して義燗の連れて来た2人に指を指す。
「…まァいい。そいつの面倒はお姉ちゃんのお前が責任持って見てろ。………で、そいつ等は?」
「こっちじゃ連日あんたらの話で持ちきりだぜ。何かデケェ事が始まるんじゃねえかってな。その件でこいつ等は連合に入りたいと志願して来た奴らだ」
義燗は煙草を吹かしながら言うと連れて来た男性、女の子が死柄木を見て口を開いた。
「生で見ると…気色悪いなァ」
「手の人、ステ様の仲間だよねえ!?ねえ!?私も入れてよ!
死柄木の容姿を見て男性は気味悪がる様な目付きで言うと女の子は上機嫌に仲間になろうと催促して来る。だが、それを聞いて見た死柄木はゆっくりと2人に向かって指を指した。
「……黒霧。コイツらトバせ。俺の
「ふっ…大嫌いて」
「はぁ?」
死柄木の言葉に優無は吹き出し、女の子は首を傾げるとカウンター側に居た黒霧が宥めようと口を開いた。
「まァまァ…。せっかくご足労頂いたのですから、話だけでも伺いましょう死柄木弔。それに、あの大物ブローカーの紹介。戦力的に間違いはない筈です」
「何でもいいが手数料は頼むよ黒霧さん。まァ紹介だけでも聞いときなよ。まずこちらの可愛い女子高生。名も顔もしっかりメディアが守ってくれちゃってるが、連続失血死事件の容疑者として追われてる」
黒霧の言葉に義燗はそう言って連れて来た2人の内まず女の子を紹介すると女の子は笑顔で口を開いた。
「〝トガ〟です!〝トガヒミコ〟!生きにくいです!生きやすい世の中になってほしいものです!ステ様になりたいです!ステ様を殺したい!だから入れてよ弔君!」
「…ステ………?」
「意味が分からん。破綻者かよ」
自分を中心に語り出すトガの『ステ』と言うワードに優無は疑問を抱いていると死柄木はヤバい奴と見受けてそう言うと義燗は口を開き、もう1人の男性の背中に手を置く。
「会話は一応成り立つ。きっと役に立つよ。次、こちらの彼。目立った罪は犯してないが、ヒーロー殺しの思想にえらく固執してる」
義燗はそう言うと男性は自己紹介するかと思いきや、死柄木と脇真音姉弟を見ては文句を言い始めた。
「不安だな…この組織、本当に大義はあるのか?そこの姉弟も連合の肩書きにも置けねえ面してやがるし、そしてまさかこのイカレ女を入れるんじゃねえよな?」
「連合に入るから来たんでしょ?何言ってんのあんた?」
「同感だ…てかよ。その破綻JKと脇真音の弟ですら出来る事がお前は出来てない。まず名乗れ。大人だろう」
男性の言葉に苛ついた優無がキレ気味に言い返すと死柄木も便乗して指を指してそう言う。
「今は〝荼毘〟で通してる」
「通すな。本名だ」
「出すべき時になったら出すさ。とにかく、ヒーロー殺しの意志は俺が全うする」
「はぁ…?ヒーロー殺し…?」
荼毘と名乗る男はヒーロー殺しの名を口にすると優無は保須事件で起きたあの
同時に死柄木もゆっくりと椅子から立ち上がり連合の2人は口を動かした。
「聞いてない事は言わないでいいんだ。どいつもこいつもステインステインと……良くないな…気分が良くない…」
「あんなクソッタレの思想なんてクソ喰らえなんだよねぇ…!思い返しただけでもムカつくのよ…!そんな奴の後釜みたいな奴らは…!」
「いけない2人共…」
「姉さん…?」
どちらもヒーロー殺しに対してはえらく敵対しており冷静さが失われている2人を見て黒霧は止めようとし、その姉の怒る表情を初めて見た槍無は呼び掛けるが、彼等の意思は止まることなく
「駄目だお前ら」
「いらない!!」
死柄木は両手を突き出し、優無はオーズドライバーを腰に宛い装着し、タトバのコアメダルを3枚取り出す。
対してトガは袖から小型のナイフを取り出し、荼毘は黒煙が溢れ出した右手を突き出した。
だが次の瞬間。
咄嗟に黒霧はワープゲートを双方の真正面に展開し、その間近でそれぞれが突き出した手が散らばっていなしていた。
一方で優無は
「…今お姉ちゃん頗る機嫌が悪いの。退きなさい」
「喧嘩は…良くない…。これから仲間になる人達…傷つけるのは良くない…と思う」
苛立つ優無だが弟に当たる訳にも行かないのか先程とは違う優しい口調でそう言うが槍無は首を振る。
予想外のいざこざに義燗はニヤニヤしながら煙草を吹かしていると止めに入った黒霧が口を開く。
「弟さんの言う通りです。落ち着いて下さい脇真音優無、死柄木弔。貴方達が望むままを行うのなら、組織の拡大は必須。奇しくも注目されている今がその拡大のチャンス。排斥ではなく受容を…」
黒霧はそう言いながら死柄木と脇真音の間にモヤの顔を移動させると荼毘達には聞こえない様に耳打ちをしてくる。
「利用しなければ全て…彼の遺した〝思想〟も全て…」
「………五月蝿い」
そう耳打ちをして来る黒霧に優無は何か考えたのか苛立ちの表情が無くなる。が、死柄木はワープゲートから手を引っこ抜くと悪態を吐いてバーから出て行こうと歩き出す。
「どこ行く」
「五月蝿い!」
義燗は呼び掛けるが一点張りで悪態付き、死柄木は扉を開けてその場を後にした。
「取引先にとやかく言いたかないが…彼は若いね。若すぎるよ」
「殺されるかと思った!」
「………。気色ワリィ……」
義燗が言うとトガと荼毘は出て行った後の扉を見てそれぞれがそう言うと、優無は息を吐いて死柄木に続いて出ようとする。
「嬢ちゃんも同行か?」
「なわけ。ちょっと出掛けるだけ…。まだヒーロー殺しの件は根に持ってるから少し頭冷やして来る。…………来てくれたのに癇癪起こして2人共ごめんね。行くよ、弟君」
「あ…うん」
お前も若いねと言わんばかりの目で義燗はそう言うと冷静さを取り戻したのか優無は荼毘とトガに謝り、槍無に声を掛けてその場から出て行く。
「…何だ、あっちの奴は少しは利口な態度出せるじゃねえか」
「素直な優無ちゃん…!やっぱりカアイイです…!」
「連合のボスがなら
優無の態度を見て荼毘とトガはそう言うと煙草を吸い終えポケット灰皿に吸い殻を捨て義燗はそう言うと、槍無は扉の前まで移動し、振り返ると軽く礼をして口を動かした。
「あの…僕…脇真音…槍無…です。荼毘さん、トガヒミコさん…。新参者同士…仲良くしま…しょう。よろしくお願いします」
「はい!優無ちゃんが貴方の事弟君と言ってたなら私も弟君と呼んでいい?呼びますね!よろしくです弟君!」
「仲良くねぇ…。まァお前んとこの姉とあの手の奴が礼儀正しくしてくれるなら考えてやるよ」
「えと…姉さんは…礼儀…良いです。死柄木さんは…ちょっと分から…ない…けど。…じゃあ僕行きます…。黒っぽい人も…失礼…します」
改めて槍無はポツポツと言葉を発して自己紹介をする。トガと荼毘はそう言うと優無の印象を良くしながらそう言って3人と黒霧にお辞儀し、槍無はその場を後にした。
すると、黒霧が残った3人に向かい口を開いた。
「返答は後日でも宜しいでしょうか?死柄木も脇真音も自分がどうすべきか分かっている筈だ…。分かっているからこそ何も言わずに出て行ったのです。オールマイト、ヒーロー殺し…あの2人はもう二度鼻を折られた。そして必ず導き出すでしょう。貴方方も、御二方も納得するお返事を……」
☆★☆★☆★☆★
期末テストが終わり、勉強に明け暮れてた日々から解放された1年A組。戦闘試験も無事クリアし事なきを得た…と思っていたのだが、クリア出来なかった上鳴、砂藤、芦戸、切島の4人は人固まりになって負のオーラを全開にその一体だけ出していた。
赤点…それ即ち、林間合宿に行けないと言う事。
「皆…土産話っひぐ…楽しみに…ううっ!してるっ…がら!」
あまりのショックに泣いてしゃくりながら芦戸はそう言うと緑谷と火野が慌ててフォローに入る。
「まっまだわかんないよ!どんでん返しがあるかも知れないよ…!」
「そうだよ…!相澤先生の事だし合理的虚偽って言いそうじゃん!」
「緑谷、火野…それを口にしたらなくなるパターンだ…」
2人の言う事に瀬呂が不安そうに割入ると、的中したのか上鳴は形相を変えて発狂し出した。
「キエエエ!!試験で赤点取ったら林間合宿行けずに補習地獄!そして俺達は実技クリアならず!これでまだ分からんのなら貴様等の偏差値はサル以下だ!!!」
「「えええ!?」」
「落ち着けよ長え」
八つ当たり混じりの怒号を吐きながら2人に目潰しを食らわす上鳴に緑谷と火野は驚きながらも目が潰れる。それを聞いて見ていた瀬呂はツッコみを入れると、自身も不安なのかそのまま続けて口を動かした。
「分かんねえのは俺もさ。峰田のお陰でクリアはしたけど寝てただけだ。とにかく採点基準が明かされていない以上は…」
「同情するならなんかもう色々くれ!!」
瀬呂の言葉に上鳴はキレていると、その瀬呂の発言に椅子に座っていた峰田が上機嫌に耳を傾けていた。
すると、教室のドアが勢いよく開かれると、そこには相澤が現れていた。
「予鈴が鳴ったら席に着け」
その言葉と同時に生徒達は瞬時に静まり返り席へと移動する。相澤が教卓に立つ頃には完璧と言える程席に着いて静かになっていた。
「おはよう。今回の期末テストだが…。残念ながら赤点が出た。したがって…」
〝赤点の奴等は学校で補修地獄〟。次の言葉が目に見えていたのか赤点の4人は更にひどく落ち込む。上鳴に至ってはこの世の終わりを告げられた様な途方に暮れた顔をしていた。
だが、次の言葉は誰しもが予想打にしなかった。
「林間合宿は全員で行きます」
「「「「どんでんがえしだあ!!!」」」」
まさかの全員参加で赤点の4人は大声を上げ希望が胸に膨らむ。
「筆記の方はゼロ。実技で切島・上鳴・芦戸・砂藤、あと瀬呂が赤点だ」
「!」
「行っていいんスか俺らあ!!」
続けて相澤は赤点報告をするとまさかの瀬呂も含まれており、瀬呂は体をビクッと震わせ驚いていると切島はガタッと立ち上がりそう聞く。
その間に瀬呂は先程の自分が言っていた発言が見事に的中してしまった為か両手で顔を塞ぎ俯いて嘆いていた。
「確かにクリアしたら合格とは言ってなかったもんな…クリア出来ずの人より恥ずいぞこれ……」
落ち込む瀬呂に緑谷と火野は可哀想にと言わんばかりな目をして見ていると切島の質問に相澤は答えていた。
「今回の試験、我々
「本気で叩き潰すと仰っていたのは…」
相澤の言葉に尾白が質問をする。
「追い込む為さ。そもそも林間合宿は強化合宿だ。赤点を取った奴こそここで力をつけてもらわなきゃならん。合理的虚偽って奴さ」
「「「「「ゴーリテキキョギィイー!!」」」」」
ニカっと意地悪そうな笑みを浮かべる相澤に切島達は喜びと共に叫ぶ。
「すんごく良いフラグ回収だよー!」
「ありがとう火野ー!」
「マジでありがてぇフラグ!!」
「火野様ー!」
「い、いや…なんかそんな感じはしただけだから」
芦戸、砂藤、切島、上鳴とそれぞれが火野に感謝し、火野はおどおどしながら照れていた。
そして4人は盛大に喜んでいると飯田がプルプルと震え出し口を動かした。
「またしてやられた…!流石雄英だ!しかし!二度も虚偽を重ねられると信頼に揺らぎが生じるかと!!」
「わあ。水差す飯田君」
体力測定の時も合理的虚偽を言われていたのを思い出したのか飯田は席を立ち上がり相澤に問い掛けると後ろの席の麗日がツッコむ。
「確かにな。省みるよ。ただ全部嘘ってわけじゃない。赤点は赤点だ。お前らには別途に補習時間を設けてある。ぶっちゃけ学校に残っての補習よりキツいからな。じゃあ合宿のしおりを配るから後ろに回してけ」
「ーーーー!!」
「アア、オワタ」
その相澤の言葉に喜んでいた4人と瀬呂が固まり、どん底へと突き落とされた様な表情をし、小声で嘆く者もいた。
そして落ち込みながらも4人は席へと戻り、相澤は合宿のしおりを配り始める。前席の爆豪からしおりを受け取り、後席の緑谷に余ったしおりを配ると火野は早速内容を読み始めていたのだった。
☆★☆★
その放課後。
「まぁ何はともあれ。全員で行けて良かったね」
尾白がそう言うと早速各々はしおりを確認しながら話し合いをし始めていた。
「一週間の強化合宿か!」
「結構な大荷物になるね」
「水着とか持ってねーや。色々買わねェとなあ」
「暗視ゴーグル」
「あぁ、肝試しとかで役に立ちそうだね!」
「そう言うのじゃねえだろ」
飯田と緑谷の会話に上鳴が言うと峰田が割入り欲しい物を口にするが聞いていた火野が別の意味で応え、峰田はわかってねぇみたいな顔をしてツッコむ。
すると、葉隠が提案を申し込む。
「あ、じゃあ明日休みだしテスト明けだし…!って事でA組皆で買い物行こうよ!」
透明な手を叩いた音が聞こえ、恐らく笑っているであろう表情でそう言うとその場にいた皆は賛同して騒ぎ出す。
「おお良い!!何気にそういうの初じゃね!?」
「おい爆豪!お前も来い!」
「行ってたまるかかったりィ」
上鳴が上機嫌に言うと切島は爆豪に声を掛けるが爆豪は拒否して帰る身支度をする。
「轟君も行かない?」
「わりぃ。休日は見舞いだ」
「あーそれは仕方ないね…」
緑谷は轟を誘うが断られ、火野は残念そうに肩を落とす。
すると、誘いを断る2人を見ていた峰田が声を上げる。
「ノリが悪いよ空気を読めやKY男共ォ!!」
わいのわいのと騒ぐ教室内。相澤の合理的虚偽で全員参加となった林間合宿。その準備の為に、A組の一行(爆豪、轟不在)は週末に買い物へ行く事となった。
☆★☆★☆★☆★
「ってな感じでやって来ました!県内最多店舗数を誇るナウでヤングな最先端!木椰区ショッピングモール!」
時は流れ爆豪と轟を除いたA組生徒達は木椰区ショッピングモールに訪れていた。日本でも随一を誇る面積と品揃えが豊富で売っていない物がないんじゃないかと言える程だ。勿論その人気と週末相まってかその客の数も多く、ワイワイとモール店内は盛んだった。
「腕が6本のあなたにも!尻尾が生えてるあなたにも!脹脛激ゴツのあなたにも!!きっと見つかるオンリーワン!」
「ムム」
〝個性〟相まって服のチョイスが難しい障子、尾白、飯田に芦戸は上機嫌に言うと飯田は嬉しそうに彼なりの返事をしていた。
「〝個性〟の差による多様な形態を数でカバーするだけじゃないんだよね。ティーンからシニアまで幅広い世代にフィットするデザインが集まっているからこの集客力」ブツブツブツブツ
「幼子が怖がるぞ寄せ」
テンション高まったのか緑谷はブツブツモードに入り込み、それを見ていた常闇は止めるよう呼び掛ける。
「お!アレ雄英生じゃん!1年!?体育祭ウェーーイ!!」
「うぉおまだ覚えてる人いるんだぁ…!」
ふと、一般人等がA組生徒達を見かけて声を掛けてきていたのを麗日は驚いて若干引きながら声を漏らす。
すると、火野はメモを取り出すと辺りをキョロキョロと見回し始める。
「どうした火野?」
「えっと…小型の保冷ケースが欲しくて」
「あら、アイスがお好きのアンクさん用のですわね」
その素振りが気になったのか耳郎は声を掛けると火野はそう言う。すると直ぐに分かったのか八百万はそう答えた。普通は何の為に使うんだろうと疑問に思うのだがアンクがアイス好きなのはA組全員が理解しているので納得するのも仕方がない。
「(おい映司。ついでにアイスだ。とっとと行くぞ)」
「うわっとと!?急に体動かすな…ちょおっ!?」
「あっ」
体の中にいたアンクが急かす様に体の自由を奪い、火野はそのまま皆と離れて行ってしまう。
耳郎が声を掛けようとするが既に遅く、火野はもう人混みに紛れてしまい見えなくなっていた。
☆★☆★☆★☆
「おい映司。人間が多過ぎる。それとこの店は広過ぎる。迷惑だ。何とかしろ」
「無茶言うなよ!あ〜…お前のせいで皆んなと逸れちゃったじゃないかっ」
「フン、知るか」
別行動となった火野。その中から出て来て人間態となったアンクはショッピングモールの人集りとその広さにウンザリしていたのか愚痴を言うと火野は勝手な行動をしたアンクにキレ気味で言うとアンクは悪態を吐きそっぽを向く。
溜め息を吐きながら火野はスマホを見ると切島からメールが入っており、内容を確認すると『2時間後に一階の中央広場で合流!!』と書かれており、取り敢えず火野は返事をして安心の一息を吐く。
「ん〜…!合宿楽しみだなぁ」
「あ?かったるいだけだろ。人間のお泊まり会みたいな行事は」
「うっさいなぁ。爆豪君みたいな事言うなよ。こういうのは学生の醍醐味だから良いだろ別に」
「あんな爆発頭と一緒にするな!」
安心したついでに大きく背伸びをする火野はそう言うとアンクは面倒臭そうに言い返す。
爆豪と同じだと言われたのかアンクはキレ気味にそう言っていると、突然足を止めていた。
「ん?どうしたアンク?」
「…妙だなぁ……何か変なモノを感じる……」
「変なモノ?」
火野は疑問を抱いているとアンクの表情は変わり、奥の店の中を凝視していた。火野も気になってその方角を見ていると、人集りの奥にある服屋の店の中に2人の男女が見えた。
両方背丈も変わらず側から見ればカップルに見えるその2人。
「気の所為じゃないの?」
「いや…気の所為なものか…。これは…!」
火野は何でもないだろうとそう言うがアンクは首を振り、その男女に向かって歩き出す。
「ちょっ!?アンク!」
もし勘違いだとしてもアンクの性格は重々承知していた火野は放っておけば揉め事は確実と思い、アンクを追いかけて後を追う。そして、男女の背後まで移動したアンクは立ち止まり、火野も止まってその男女を確認するが、やはり普通のカップルにしか見えないのか火野はアンクに声を掛ける。
「アンク!いい加減にしろって!気の所為だって言っただろ?」
「!」
「……ん?…あれ……?」
火野がアンクに声を掛けた瞬間だった。
『アンク』と言う言葉に男女の内の1人、女の子の方が肩を上がらせる程大きく反応して勢いよく振り返る。
女の子は帽子をしていて分からなかったが黒髪のショートヘアの髪に前髪や所々に白髪が混じっているその髪色。女の子は2人を見るなりかなり驚いた表情でこちらを凝視していた。
だが、それは火野も
「…どうしたの姉さん」
「…!」
一方で男の子も女の子の行動に気になったのかそう気にかけてこちらへと振り返る。そして、顔を見たアンクは
「君……確か……」
「………おい映司…」
火野はうる覚えな様子で女の子に話しかけようとする。
だが、その前にアンクが男の子から目線を逸らさずに火野に話しかけ口をそのまま動かした。
「この男…、こいつの中から
「……えっ……!!?」
「ま…まぢか……!!!」
突然のアンクの言葉。
それは予想外の発言で火野は思い出しそうな目の前の女の子をそっちのけにし、男の子を見て驚愕する。そして女の子はバツの悪そうな表情で声を漏らしていた。
それもそのはず、今火野とアンクが対面している2人は、、、仮面ライダーヴィランオーズ事、脇真音優無とその弟の脇真音槍無だったのだから。
ー 人の海を渡る漢 ー
先に逸れてしまった火野を除いた残りのメンバー達。
麗日「改めて実感するけど人すご!!」
葉隠「これ1人1人に語り尽くせない人生ドラマがあると思うと目が回るね!」
上鳴「どう言うこっちゃ」
上鳴がツッコみを入れる。だがそれも束の間。
その人混みは波の様に押し寄せて来た!
峰田「ひょおお!!人多すぎィ!ゴラァ!男が近寄んな!女だ!ボイン感触!ヘイカモォン!!」
飯田「何を言ってるんだ君は!?」
緑谷「うぬぐ!?これ…もしかしてタイムセール!?」
耳郎「身動きが…!?」
麗日「ぬぐぐ…!?皆んな…!!」
切島「このままじゃマズイ…!A組全員!聞こえるか!?先ずは生き延びろ!!目印はあの中央広場のオブジェ!!このタイムセールの荒波が終わった時に!!必ずまたこの場所で会おう!!!」
切島はそう叫ぶと、人と言う荒波に呑まれてその場から消えて行った。
上鳴「なんか知らんが嵐で散り散りになった海賊団が見えてきた…」
No.66 対面する宿命の紅い糸
更に向こうへ!Plus Ultra!!