いつかの明日へ、【ヒーロー】は助け合いでしょ   作:しょくんだよ

66 / 132
提案と掛けと信念


No.66 対面する宿命の紅い糸

 

ショッピングモールに訪れていたA組御一行。

火野は逸れてしまい、単独で行動している中、アンクが嫌な気配を感じとり、服屋に居た男女の元へとアンクと火野は移動する。そして、その男女の内の1人、槍無の体の中からメダルを感じ取れるとアンクは言ったのだった。

 

 

☆★☆★

 

 

 

「……アンク…今…なんて…!?」

 

「この男の中にコアメダルの気配が感じるんだよ…!少なくともこいつは普通じゃない…」

 

聞き間違いかと火野はもう一度確かめるとアンクは再度そう言って槍無を睨み付けると同時に指を差して口を開いた。

 

「お前…何者だ?言っとくが言い逃れされる程俺 

は馬鹿じゃない。()()()()メダルを取り込んでちゃあグリードの俺には分かるんだよ…!」

 

感じてた物が確信へと変わりアンクは言動を槍無に突きつける。槍無は自分が()()なのかを悟られ警戒し、右腕の掌を広げて何かを仕掛けようとしたその時、姉である優無がその右手を掴む。

 

「姉さん…?」

 

「……(ダメ、ここは任せて)」

 

優無は小さく首を振りアイコンタクトで駄目だと素振りを見せると火野とアンクを見るなり溜め息を吐き、口を開いた。

 

「あ〜超絶誤算だったなぁ…。そうだよね、アンクは、グリードは人体にあるメダルの気配()察知出来るんだったね」

 

「ほう…。その知った様な物言い。映司。間違いない。こいつは保須に居た敵のオーズだ」

 

「えっ!!おいおい嘘だろ…!?」

 

優無がヴィランオーズと見抜いたアンクは警戒しそう言うと火野は驚愕し冷や汗を流す。すると優無は頬を上げて静かに笑い出す。

 

「アハハ…!『こんな可愛らしい女の子があのオーズだなんて…!』とか思ったでしょ火野映司君。まあこの姿で会うのは…2()()()だね。じゃあ改めて自己紹介。私は脇真音優無、こっちは弟の槍無。よろしくね」

 

「……えと……よろしく…」

 

「フン!この状況で律儀に自己紹介か。巫山戯ているのも大概にしろ…!おい映司。さっさと変身しろ。奴からコアメダルを奪うぞ!」

 

優無に続いて槍無もぎこちなく挨拶をしてくるが、アンクはお構いなしにタトバのコアメダルを取り出し火野にそう言う。が、優無は「おっとっと!」と慌てる素振りを見せて手の平を突き出す。

 

「ストップストップ!今日私達は買い物しに来ただけ!戦うつもりなんてこれっぽっちもないよ!」

 

「なら尚更ここで倒してやる!映司!なにボサっとしてやがる!さっさと変身して」

「ちょ!ちょっと待ってアンク!」

 

優無は止めようとするがアンクは知った事ではないと威嚇し、火野に再度呼び掛けるが当の火野がアンクを止める。すると、アンクも気付いたのか見渡すと服屋に居た客や店員達が何事かと見つめて注目が集まっていた。

 

「…取り敢えず場所変えようか。まあ隣の喫茶店でコーヒーでも飲みながら話そうよ。アンクも迷惑掛ける程お馬鹿さんじゃないでしょ?」

 

「あァ?………ちっ…フン!相変わらず俺達の事は知ってますよみたいな言い方で心底ムカつく野郎だなぁ…!」

 

優無の挑発混じりの提案にアンクは周りの目を気にしながらそう言うとタトバのコアメダルをしまう。

弟の槍無は何も言わずに会釈していると火野は警戒を緩めないまま、その案に乗ったのだった。

 

 

 

 

 

☆★☆★☆

 

 

 

「やっば!このジャンボスペシャルパフェめっちゃ美味しそうじゃん!?これ頼もっと!弟君はもう決めた?」

 

「…ブラック…コーヒーでいい…」

 

「かア〜!弟で歳下の癖に大人ぶってらぁ!そこがまた可愛いんだけどねェ!!」

 

「おいっ!!!」

 

優無と槍無のやり取りに向かい側に座っていたアンクが怒鳴ると2人は驚いていると辺りの客達も連鎖したのか静まり返る。それを見た火野は立ち上がり「すみません…!」とペコペコして謝り、再び座るとアンクに向かって迷惑にならない程度の声を上げる。

 

「アンクっ、場所弁えてから声出せよ…!」

 

「ふざけんな!仲良くする所なんざ見るつもりで承諾してやったつもりじゃないんだぞこっちは!」

 

「すみませーん、ジャンボスペシャルパフェとブラックコーヒー1つお願いしまーす」

 

「……!!」

 

火野は宥めようとするがアンクの怒りは治らずあろう事かその言葉を無視して優無は店員を呼んで注文していた。アンクは言葉を失い怒りの表情で優無を睨み付けていると注文し終えた優無は口を開いた。

 

「おやおやぁ?少しはリラックスしなよアンク。苛々は糖分不足なんだよ?」

 

「黙れ、後馴れ馴れしく俺の名を呼ぶな!」

 

「オッホオ!名言頂きましたっ!まあまあ、この喫茶店アイスをふんだんに使ったパフェあるよ?それ食べて落ち着きなって……あ!グリードは味覚ないんだった……ゴメン☆」

 

「っ!こンの…!!!」

 

「わったった!?アンク!もぉ!あんたもこいつの事知ってるんなら挑発するのやめろよ!」

 

プププと意地悪そうな笑みを浮かべる優無にアンクは襲い掛かろうと立ち上がるが火野は慌てて止めて優無にキレながらそう言うと優無は苦笑して口を動かした。

 

「アハハ…!ごめんごめん。ちょっと揶揄いたかっただけだから」

 

優無はそう言ってお冷を少量飲むとアンクは舌打ちしながら席に座り胡座をかいてはテーブルの上へ肘を乗せる。普段もそうだが今は相当怒ってるのだろうと火野は思いながら席に座ると、早速優無に話かけた。

 

「…一応もう一度聞くけどお前がUSJ、保須事件の時に出て来たオーズで間違いないんだよな?」

 

「さっきからそうだって言ってるじゃん。あ、因みに私のオーズは仮面ライダー〝ヴィランオーズ〟ね。そうでないと君と名前被っちゃうでしょ?」

 

「名前は別にどうだって良いよ…。それより、話し合う前に確認と約束をしろ。お前の知ってる事を全て話す事。そして変な行動はしない事。この条件を呑むのなら今回は俺も手を出さない」

 

「映司。何言ってやがる?今こいつ等を野放しにすればどうなるかお前も分かって」

「いいから黙ってて!…で、どうなんだ?」

 

「大変お待たせ致しました。ご注文のジャンボスペシャルパフェとコーヒーになります」

 

「うっはーキタキタぁ!」

 

火野の条件に聞き捨てならないのかアンクは割入ろうとする。だが火野はそれを拒み優無に問う。

すると優無が頼んでいたデザートとコーヒーが運ばれて優無は嬉しそうにかなりデカいパフェを見て感動していた。槍無もコーヒーを貰うと熱くないのか冷まさずそのままコーヒーを口元に運び啜る。優無はスマホを取り出してパフェを一枚撮ると「ん〜」と考える素振りを見せ口を開いた。

 

「全部はちょっと厳しいかなぁ…。答えれる範囲なら良いけどね」

 

「フン!ならお前等をここで倒すまでだ」

 

「おやあ?さっきまでのは冷静の素振りだけだったのかな?」

 

「なに…?」

 

アンクは右腕を上げて手の甲を優無に見せながらそう言うと優無は企みの笑みを浮かべてパフェを食べながら言い返す。

 

「狙った私達(獲物)は逃がさない…鳥の習性って奴?でも良いのかな?…あ、美味しいコレ!…んむ………別に捕まえるなり警察に通報するなり構わないけど…知っての通り私達は(ヴィラン)。君達が変身して、私達を足止めして、そして通報している。でもその間は少なくとも暴れ回れる。簡単に()()()()()って意味でね」

 

「っ…!?」

 

「ハッ。そんな事ぐらいで俺が止まるとでも」

 

「うん、思っちゃないね。少なくともアンクは。でも、そっちの火野映司君はどうだろうね?彼は雄英生…。今はヒーローを目指す為の準備みたいなものでしょ?()()()オーズになれば無断で〝個性〟を使った事になって処罰を下される…。アンク、君も〝個性〟って認定されているんでしょ?君も暴れたらそのとばっちりを受けるのも彼。そうなれば、彼の人生はそこで御釈迦…。」

 

「!エグい事を考えてやがるなこの女…!」

 

優無の言葉にアンクはそう言って押し黙る。続けて優無は喋り出した。

 

「そして私達がそこらに居る人を殺めればお人好しの火野映司君は精神的に耐え切れない…。さて、ここまで説明して私何か間違ってる事言ってるかな?まあ単純な話、穏便に済ませようって事さ要は。君達も私達も買い物の為にここに来たわけで鉢合うつもりは更々なかった」

 

優無は一旦区切り、スプーンで掬ったパフェを頬張り食べて飲み込む。保須事件での出来事で面構署長に言われた事を火野はふと思い出す。ヒーローを目指している今は許可なく外での〝個性〟使用は禁止。そして揉め事を起こせば学校側、親族等に多大な迷惑。それ等を無視して目の前にいる優無を捕らえようと行動した所で相手もオーズ。

火野と同じ姿になれる優無をそう簡単に捕らえる事が出来るのか、こちらにはアンクが居るので2人掛かりで交戦するか、などと火野は最初思っていていたが、気掛かりな弟の槍無の存在に火野は思い止まった。アンクの言っていた事が本当なら弟の身体の中にコアメダルが入っている。少なくとも、〝個性〟持ちである事は間違いないだろう。

何方にせよ、下手に動けば今居るショッピングモール内は大騒動になるのは間違いない。火野は一旦その捕らえる気持ちを押さえて優無と槍無を警戒しながら優無の言葉を聞いた。

 

「君達にも私達にも今動けば互いにリスクが今ある訳…。ギブアンドテイクってヤツでここは話せる範囲の情報交換だけにしようよ。ね?」

 

「えと……うん…僕も…そう思う…」

 

優無の後に続き槍無が同調して頷くとアンクは鼻を鳴らして不機嫌そうに口を開いた。

 

「フン、俺はギブは嫌いだがテイクは好きなたちでな。…敵の提案にのるは癪だが、映司の行動にこれ以上制限が掛かるのは俺も色々と困るんでなぁ。情報交換は一方的にお前等だけにしろ。それならその要件のんでやらんこともない」

 

「うん。アンクの言う事には俺も一理ある。それに、お前等は俺達の事を知ってるんだったらこっちからの情報を言う必要なんかないんじゃないか?」

 

「あっはは!確かに!おもろ!言われてみればそうだねぇ!…わかった。いいよ」

 

アンクと火野の意見にそれもそうだと笑いながら優無は承諾すると早速火野が先程言っていた事を思い出して口を動かした。

 

「…君はさっき俺と会うの2回目って言ってたよね?……思い出したよ。君は俺が雄英に編入する前に廃墟のビルで練習してた時に出会った…あの時の子だよね?」

 

「……へえ。覚えててくれたんだ。そうだよ。あの時に火野映司君と初めて出会ったね。今となっては懐かしいなぁ」

 

「ハッ、出会いなんざどうだっていい。お前、何故オーズの力を持ってる?そのベルトは1つしかない筈だ。……どこで手に入れた?」

 

優無はそう言いながらパフェを食べてるとアンクが割入り質問してくる。すると優無は少し考えると息を吐いて口を開いた。

 

「…そりゃあ、私もこの弟君も君達と同じ立ち位置だったって事だと思うよ?」

 

「立ち位置?」

 

「どう言う事だ?」

 

「なに、簡単な話だよ。私も弟君も…要は()()()()()()()ではないって事さ」

 

「「!!」」

 

その優無の発言に2人は驚愕する。この世界の人間ではないとすれば考えられる事は1つ。それを火野は口にした。

 

「もしかして……〝転生〟?」

 

「あはは…!まあ平たく言えばそうなるね」

 

「ほぉ。…だが、それならお前等は何故俺達の事をよく知っている?俺達の世界にはお前等はいなかった筈だ?」

 

アンクは続けて質問をする。

 

「それは前に言ったでしょ?私は君達の事をずっと見てたって。それ以上は今は教えれないかなぁ」

 

「おい、それじゃあ答えにならないんだよ!」

 

「…じゃあ君達は俺達の世界に居た住人…って事で勝手に解釈するけどいい…?」

 

「ああそうだね。そう言う事にしといて」

 

遇らう様な態度をとる優無にアンクは納得行かずに舌打ちをする。だが聞きたい事はまだあるのかアンクは先程から黙ってコーヒーを啜る槍無を見て口を動かした。

 

「なら、こいつは何者だ?何故()()()()()()()コアメダルが体の中にある?まさかグリードか?」

 

「失礼な!歴とした人間で私の大事な弟だよ!…まあ強ち間違ってはないけど」

 

優無は槍無の頭を撫でながら続けて喋り出す。

 

「そう、この子の体の中にはアンクの言う通り()()()()()が入ってる。理不尽な世界だよねぇ…。こっちに来た時には弟はピクリとも動かないんだもん。コアメダルの力で何とか動ける様になってる…認めたくないけど、擬似的な生命維持をした身体になっちゃってるんだもんねェ」

 

「生命…維持…?」

 

「…ちっ。胸糞悪い話だなぁ…!」

 

「…まあ、アンクからしたらそうだよね。あ、同情とかそういうのはいらないからね」

 

優無の言葉を聞いたアンクは()()()()()()()()()更に表情は強張り不機嫌そうにそう言うと優無はその表情を見て納得したのか頷く。

体育祭の出来事でアンクから色々と前世の事を聞いた火野は何となく槍無の状態が予想出来た。

要は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だ。暗くて現実味のない話を持ちかけて火野は何とも言えないのか目線を下に向けて黙り込む。

すると、優無はパンと手を叩き口を動かす。

 

「ご馳走様!さて、話は終わり!そろそろ御暇させてもらうよ」

 

「は?」

「え?…てか食うの早っ!」

 

突然のその言葉に2人は疑問符を抱き、火野はいつの間にか空になってるパフェを見て驚く。

 

「おいちょっと待て。話はまだ済んでないぞ」

 

「ん〜でも食べ終えちゃったし。弟君もコーヒー飲み終わったし、もういいでしょ?てなわけでお会計するねー」

 

「巫山戯んな!」

 

優無に続いて槍無は席を立ちあがろうとするとアンクが怒りながら声を上げる。すると火野が帰ろうとする優無と槍無を止めて口を開いた。

 

「ちょ、ちょっと待って!…じゃあ最後に1つだけ。…君達の仲間の死柄木。そして……A・F・O(オール・フォー・ワン)は何が目的なんだ?」

 

「……へぇ、知ってるの」

 

火野の問いに優無は一瞬目を見開くとチャラけた顔が真顔へとなる。そして不穏な空気を漂わせ数秒無言が続くと優無は口を開いた。

 

「ま、何かは企んでるんじゃないの?私も弟君も深くは関わりないからそこまで知らないよ」

 

「……そう。…わかった」

 

優無の言葉に火野は頷く。だが、何か思ったのかその目付きが変わり、優無と槍無を見て立ち上がる。

 

「ごめん。やっぱり、君達をこのまま野放しにする訳には行かない」

 

「………………で、どうするの?」

 

「警察に通報して、ここで君達を捕まえる」

 

「映司…。フン!なら初めからそうしろ馬鹿が」

 

火野の言葉にアンクはそう言ってタトバのメダルを取り出す。その火野の発言に槍無も驚きながら戦闘体制に入ろうと腰を低くし睨み付ける。だが、優無は突然、不気味にも笑い出した。

 

「…ぷっ、あははははっ…!やっぱり火野映司君は火野映司君だねぇ。カッコいいよ本当…。でもこんな人がいっぱい居るってのに捕まえようとするんだ?さっきも言ったけど君が変身すれば私も弟君も抵抗するよ?それに人だって殺しに掛かる。それでも良いの?」

 

「させない。被害は絶対出さない!」

 

「ふぅ〜ん。そっか…」

 

脅しても揺るがないその目付きに優無は息を吐く。だが、その不気味の笑みは止む事なく口を開いた。

 

「まあ…〝このまま逃してはくれない〟とは薄々感じてたよ……。その為に、こっちも()()はしてあるけどね」

 

「はっ、どう言う意味だ?」

 

優無の言葉にアンクはそう問い掛ける。

 

「実はね。ここの一階のフロア。階段の近くにあるトイレに()()()()を仕込ませてもらってるんだ」

 

「っ!!?」

 

「おい、つまらない冗談はよせ。お前等だって俺と映司に会う事が想定外とかなんとか言ってただろ」

 

予想外の発言に火野の顔は青ざめ、アンクはハッタリだと言い付けるが優無は首を傾けながら淡々と喋り出した。

 

「まあね、予想外だよ。でも…私達だって警察やヒーローに狙われている立ち位置にいるわけだよ?何も用心無しにただ買い物なんか来る訳じゃあないでしょ普通?もしも警察やプロの人達に見つかった時の対策って物は入念に用意するべき…フフ…!用心深いアンクだったら私の言う事…分かるよねェ…?」

 

「…お前……!」

 

「あっははっ!いいねぇ!アンクらしい表情してくれるじゃ〜ん…。言っとくけど、爆弾はタイマー式…このまま放置すれば自動的に後5分で爆発かなぁ」

 

「そんな!……いや。…タイマー式なら操作出来る装置か何かがある筈だろ」

 

火野はそう言って聞くと優無は手提げ鞄に手を入れゴソゴソと探ると小さな小型のリモコンを取り出す。それを見せて本物だと確信した火野は一気に目を見開き凝視すると。

 

 

 

 

バキッ!

 

 

 

床に落として優無は踏み壊したのだ。

 

 

「なっ…!?」

 

「はぁい…これで解除する事も出来ない………。

さあどうする?アンク、火野映司君。ここで私を捕らえて他の人達が爆発で死ぬか…、一階のトイレの爆弾を解除しに行くか………」

 

「っ!!」

 

踏み潰された事に驚愕し、追い討ちを掛ける様に優無はそう言うと火野は一目散にその場から駆け出し、喫茶店を飛び出して行った。

 

「あ!?おい映司!!クソ!」

 

アンクの呼び止めは既に聞こえず、優無達を睨み付けながらアンクもその場を後にして飛び出す。

優無は見送り、見えなくなったのを確認すると踏壊した破片を拾い集め、槍無に向かい声を掛ける。

 

「さてと弟君。さっさと会計済まして帰ろっか」

 

「…良い…の?あの人…達…」

 

「良いよ良いよ。でもまさかこんな所で会えるとは思わなかったなぁ。正直まだ心臓バクバクしてらー。弟君どうだった?火野映司君とアンク!やっぱり生で見るとカッコいいよね!」

 

「…?分か…らない…」

 

内心隠してたのか優無は目をキラキラさせながら弟に共感して貰おうとそう言うが、槍無はハテナマークを頭に浮かべるだけだった。

そして2人は何事もなかったかの様に会計を済まして喫茶店から出て行ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★☆★

 

 

優無が言っていた一階のフロア。

全力で走り降りて行く火野は言っていた通りに階段下の近くにトイレがあるのを確認する。

 

「ハァ…!ハァ…!……!ここかっ!」

 

「ちっ…!あいつ等エグい事してくれたもんだっ」

 

火野は急いで駆け込み、アンクも悪態を吐きながら火野の後を追う。駆け込んだ火野は中に入るとちょうど要を足したのか子供が手洗いをしており、息切れを起こす火野を見て驚く。

火野は爆弾がないか辺りを隈なく探し始め子供は何事かと火野を見続けていた。

 

「どこだ…!?どこにあるんだ…!?…君!ここに爆弾が仕掛けられてるんだ!早く逃げて!!」

 

「えっ…!?」

 

「おい映司」

 

必死に言う火野に子供は驚いていると後から入ったアンクが火野に声を掛ける。

 

「アンク!お前も早く探すの手伝えよ!」

 

「…いや、その必要はない」

 

「え?どう言う事だよ?」

 

アンクは小さく首を振る。その行動と言葉に火野は疑問を抱いているとアンクはトイレの時計を指差した。

 

「奴が言っていた5分。それが本当なら当に過ぎてる……。俺達は嵌められたんだ。あいつ等は自分達が逃げれる為に演技をしていやがった…姑息な真似を使いやがる…!」

 

アンクは優無の策に乗せられまんまと引っ掛かってしまい徐々に怒りが込み上げてきていると、火野は若干放心状態となってトイレ一面を見遣る。

確かにここまで来た距離を考えてみれば裕に五分は経っている。優無が言っていた時刻が本当に5分ならもう入った時点で爆発してもおかしくはない。

 

「…はっ………あぁ………よかったぁ〜……!」

 

そう考えていた火野は爆発物がないと確信した瞬間緊張が解かれたのか膝から崩れ落ち尻もちを付いた。

ふと、火野とアンクが驚くも困惑している子供に目が止まる。火野は「はっ」と我に帰ると慌てて近寄り声を掛けた。

 

「ご、ごめんね!急に驚かせちゃって!…あ!そうだ!」

 

火野はゴソゴソとズボンのポケットを探ると、とてもカラフルな色をしたパンツを取り出す。

 

「はい、これあげる!大人用だけど君が大きくなったら履いてもいいからね!」

 

「え…?」

 

「フッ、馬鹿が。お前の汚いパンツなんか貰って喜ぶ奴が居るわけないだろ」

 

「お兄ちゃん、ありがとう」

 

「!!なっ…!?」

 

子供はパンツをそっと受け取るがアンクは嫌味っぽくそう言っていると何と子供は笑顔でお礼を言う。アンクは驚愕していると火野は自慢気にアンクを見遣る。

その時だった。スマホのバイブが鳴り出し、火野は取り出して画面を開くとそこには上鳴からの着信だった。

 

「はいもしもし」

 

『火野!今どこに居んだ!?』

 

「え?今は一階のトイレだけど」

 

画面をスワイプして出ると慌しい様子で上鳴が繋がり、次の言葉でその理由が判明したのだった。

 

『最初に集まってた一階のオブジェが合ったとこ直ぐ来てくれ!緑谷が(ヴィラン)に襲われたらしいんだよ!!』

 

「えっ!!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★☆★☆★

 

 

脇真音姉弟は死柄木達が潜むバーの建物付近まで帰って移動している途中、弟の槍無が気になった事があるのか優無にポツポツと喋り声を掛ける。

 

「姉さん……あの爆弾……嘘…だよね?」

 

「ん?ありゃりゃ、バレた?」

 

「分かる……そんなの…仕掛けた…所…見てない…。さっき…壊した物……アレただのおもちゃ…」

 

槍無の言葉に思い出したのか優無はポケットから踏み壊した()()()()()()()()の破片を取り出すとポイっと投げ捨てる。

 

「火野映司君は超が付くほどお人好し。こんな玩具で引っ掛かるんだもんねぇ。まあお陰で逃げ切れる事が出来たけど。あー…!せっかく弟君の服買ってあげようかと思ってたのに多分警察呼ばれてるだろうな。これであそこは近寄れないか…。(ヴィラン)ってのは本当肩身が狭いね」

 

「姉さんいいよ…服いっぱい…買って貰ってるから…ありがとう…」

 

「ンまあ可愛い!お礼言える様になってきたねエ!ご褒美にチューしてあげよっか!」

 

「やだ」

 

「うっはあ!反抗期!」

 

即答で断られ喜びながらも落ち込む優無。すると、前方の建物の壁からヌッと現れる男が居た。黒のズボンに黒のパーカーを着ている男は此方を見るなり溜息を吐いて声を掛けてきた。

 

「何だ…お前等か」

 

「ん?あ、死柄木君。」

 

「…えと、お、お疲れ様…です」

 

何かを感じ取れるのか優無と槍無は直ぐに死柄木だと分かり声を掛ける。

 

「……何だ?」

 

「死柄木君、モヤモヤとれた?」

 

「……そうかもな。とれたって言うよりハナから持ってたって言った方が近いな」

 

「…そっか。……で、あの義燗が連れて来た子達はどうする?」

 

バーを出て行った時とは明らかに違う雰囲気をしてるのを見た優無は聞くと死柄木はそう答える。

続いて嫌っていたあの2人の事を聞くと死柄木は口を開いた。

 

「何ら曲がることはなかったんだ。ヒーロー殺しの言動に惑わされてただけだったんだ。全部ハナからあったよ…俺はあのヒーロー殺しを踏み台にして最初から持っていた〝信念〟を動かす。その為には…〝駒〟が必要だ。…勿論お前の弟もな…。使えるんだろ?」

 

「勿論。言っとくけど()()()()()からね!」

 

「んだそりゃ?ならお前は用済みになるな……」

 

「ちょちょちょ!?それはないでしょ死柄木君!?ひっどいなー!可愛い女の子を捨てるんですか!?泣くよ!?」

 

「五月蝿い勝手に泣け……まあ冗談だ」

 

「冗談かい!」

 

「…ははは」

 

2人の会話を聞いて槍無は静かに笑う。

死柄木は振り返ると優無と槍無に背中越しで口を開き声を掛ける。

 

「……新しい新入りを招き入れ(ヴィラン)連合を拡大する。その為にはお前等も必要な戦力だ……行くぞ」

 

「はいはい」

 

「……うん」

 

死柄木にの言葉に心なしか何処か嬉しそうに優無は頷き、槍無も小さく頷いて死柄木の後に続いて歩いて行った。

暗く静かな闇の路地裏へと、誘われるように。

 




ー その眼鏡はストーカー ー

タイムセールによって逸れてしまったA組!
その中、峰田は…。

峰田「ビバ女の子!気温も高くなってるから露出が多い格好した女子は目の保養になるぜー!」

ウハウハとしながら店内を歩く峰田。何か思ったのか立ち止まる。

峰田「おっといけねー。オイラも買い物に来たんだった。えっと小型のピッキング用品と小型ドリルは」

飯田「何か造るのかな峰田君!!」

峰田「どわあ!?い、飯田!?何でお前がここにいんだよ!」

飯田「あの人混みで皆と逸れてしまってな!皆を探している途中で峰田君と出会ったのさ!これも何かの縁だ!僕と一緒にショッピングモールを回ろう峰田君!」

峰田「お、オイラは1人で回るんだよおー!」

峰田は逃げ出した。

飯田「峰田君!?」



☆★☆

トイレ付近

峰田「じょ、冗談じゃねえ!あんな真面目眼鏡なんかと一緒に行動してたまるかっての!」

飯田「ところで峰田君!先程言っていた道具は」

峰田「うわああああ!!?」

峰田は逃げ出した。


☆★☆★☆

エスカレーター

峰田「ゼェ…ゼェ…取り敢えず上に逃げよう…」

飯田「何に使うんだい?何か修理に使うのか?」

向かいの降るエスカレーターから飯田が声を掛けてくる。

峰田「ほわああ!!?」

峰田は逃げ出した。


☆★☆★☆

工具店


飯田「ムム」

峰田「お前オイラにGPSでもつけてんのかよ!!?」




No.67 とある招待状

更に向こうへ!Plus Ultra!!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。