いつかの明日へ、【ヒーロー】は助け合いでしょ   作:しょくんだよ

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案内と遭遇と遭遇!


きゃああ!高評価は元気の源!ありりりがととととござますすすすす!!!
調子いいので続けて更新!


No.69 集結の1年A組

 

「凄いなぁ〜っ。こうしていると、ここが人工の島だなんて思えないや!」

 

「うん!本当化学の力って凄い!」

 

エキスポ会場にやって来た緑谷と火野は様々なパビリオンを見上げて歩きながら、改めてI・アイランドの広さを実感していた。なかにいると、どこまでも街並みや景色が広がっているように見える程広大だった。

 

「アンクも珍しいな。いつもなら俺の中に居るのに」

 

「フン、別にいいだろ。日本じゃ〝個性〟の規制が厳しいからな。閉じ籠るより出て来た方がこっちも気楽なんだよ」

 

普段自分に関係ない事、つまらない事や用事事があると火野の体に入るアンクだが〝個性〟の規制がない分、外に出ても何も縛るモノがない。まあ、普段から好き勝手に行動する事があるが公式が認めた制度ならアンクもアンクなりに羽目を外せると思ったのだろう。

ふと、3人が周囲を見回す姿を見ていたメリッサは嬉しそうに口を動かした。

 

「大都市にある施設は一通り揃ってるわ。出来ないのは旅行くらいね」

 

「そうなんですか?」

 

「ここにいる科学者とその家族は、情報漏洩を防ぐ守秘義務があるから」

 

価値ある研究はそれだけ莫大な富を生む。それだけではなく情報を悪用されてしまうこともあり得る。その為の守秘義務なのだろう。火野は大変だなと実感しているその時、4人の前を巨大な影と〝怪獣〟のような咆哮と共に通り過ぎた。

 

「うわぁあ!カイジュウ・ヒーロー『ゴジロ』!!」

 

「うわ凄っ!!本物初めて見た!!」

 

噴火、大災害で活躍するヒーロー、ゴジロが通り掛かり、テレビでしか見たことないその迫力が目の前で拝めれたのか緑谷と火野は興奮する。

その巨体とゴツゴツとした岩の恐竜の姿でお茶目にピースサインをして行くゴジロを見て2人の目は輝いていた。

 

「スポンサーを出している企業から招待されたのね。最新アイテムの実演とかサイン会とか、色々催し物があるみたい!」

 

「あぁっ!流石I・EXPO!」

 

気付けば、周囲には各国のヒーロー達がいて、ファンにサインなどをしていた。ヒーローオタクの緑谷にとってはここは天国のようなエリアだ。

来てよかったと興奮する緑谷にメリッサは口を開いた。

 

「夜には関係者を集めたパーティーも…って、デク君も出席するんだよね。マイトおじさまの同伴者なんだし。そうだ!エイジ君とアンク君もパーティに出席してみない?」

 

「パーティー…ですか?」

 

「えぇ。パパの主催で今夜セントラルタワーでレセプションパーティーが行われるの。私の紹介であれば参加出来るんだけどどうかな?」

 

「それはもう是非!……あ、もしかして正装しないとダメですよね?」

 

「あ、そうだった……。困ったわ…正装の服の予備あるかな…」

 

パーティーとなればそれなりの格好をして赴かなければならない。誘ったメリッサはうっかりしてたのか困り果てていると火野は手を上げて口を開いた。

 

()()大丈夫です。持って来てるんで」

 

「えっ?そうなの?」

 

「火野君準備万端過ぎる…!」

 

「まあ、旅先何があるか分からないんで。準備は念入りにする主義なんですよ」

 

実は以外と旅行が好きな火野はかなりの大荷物でこのI・アイランドにやって来ていた。その荷物の中に豪華な店や会場に入る為の正装着も当然持って来ていた。だが、何か問題なのかアンクを見ながら口を動かした。

 

「ただ、アンクの服は流石に持ってないんですよね」

 

「あ?」

 

グリードであるアンクはいつもどういった理屈かは分からないが人型の時はいつも同じ服装をしていた。それ以外の服は見たことないし、一度比奈が服を見繕うとしたのだが拒んでいた。それを聞いてメリッサと緑谷はどうしようかと悩んでいるとアンクは鼻を鳴らし、急に身体にセルメダルが身体を包み込むように現れ、それが消えて行くとなんとアンクの服装が赤い色をベースとした正装着へと変わっていたのだ。

 

「俺はグリードだ。()()()も、服なんざどうにだってなる」

 

「何その特技!すごっ!」

 

「グリード恐るべし…!」

 

「まあ!凄いわアンク君!」

 

よくよく考えればアンクはセルメダルの塊で活動している。どういった理屈かは分からないがそのメダルを組み替えて体や服を自由自在に変えれるのは可能だと火野は納得するが、緑谷は唖然とメリッサはマジックを見せられたかのようなはしゃいだ様子だった。

 

「これでパーティーは問題なさそうね!じゃあ3人共、見学を再会しましょっ。あそこのパビリオンもオススメよ」

 

パンっと手を叩いたメリッサはそう言って指を指した方を見るとガラス張りのサッカースタジアムのようなパビリオンだった。中に入ると広い建物内にさまざまなサポートアイテムが展示されていた。

 

「うわあ!すっごーい!」

 

「最新のヒーローアイテムがこんなに!」

 

「3人共見て見て!この多目的ビーグル、飛行能力はもとより、水中行動も可能なの!」

 

メリッサが示す先にあるのは丸みを帯びた飛行機型の乗り物。その頭上のモニターにはその乗り物の詳細が映し出されており、火野と緑谷は釘付け、アンクも興味があるのか2人程ではないがモニターを見ていた。

 

「凄い!」

 

「最先端!」

 

「ほぉ、人間ここまでも進化したのか」

 

緑谷、火野、アンクと順に感想を述べるとメリッサは次の展示ブースへと案内した。巨大な水槽内の中心にはどこか幻想的なデザインの潜水スーツが展示されている。

 

「この潜水スーツは、深海7000mにまで耐えられるの!」

 

「深い!」

 

「凄い潜れる!!」

 

「ハッ、シャウタも本気を出せば行けるだろ」

 

緑谷と火野は水槽に張り付きあまりの深さに驚愕するとアンクは何故か競争心が湧いたのかオーズの性能と比べて皮肉に言った。

次に案内したブースでメリッサは試着用のメットを緑谷にかぶせた。すると、ゴーグル部分が発光し稼働し始める。

 

「このゴーグルには、36種類のセンサーが内蔵されてるわ」

 

「え、そんなに!?凄い、緑谷君中どうなってるの!?」

 

緑谷は辺りを見回すと周囲に次々と小さなモニターが映し出され一際大きなモニターにはメット内の緑谷の驚く顔が表示された。

 

「わわ!?す、凄いクッキリ見える!見え過ぎる!!」

 

「タカのメダルもそんなもんだろ」

 

驚く緑谷にまたもアンクが比較する言い方をしていた。

すると、誇らしげにメリッサが口を動かす。

 

「実は、ほとんどのものはパパが発明した特許を元に造られてるの!」

 

「へえ、すごいなぁ〜!」と緑谷が素直に関心していると、メリッサは思い出したように火野に言う。

 

「そういえば、少し前に日本の鴻上ファウンデーションからドクターマキって人が来客に来てたわ」

 

「えっ、真木さんが?」

 

「えぇ、あの人も凄い開発者で説明を受けた時は私もパパも驚かされていたし、いつも左肩に可愛らしい人形を置いていたから凄く印象深い人だったわ!」

 

「(可愛い…のか…?)」

 

鴻上の開発部署研究者の真木が来ていた事を知らされ火野は驚いているとあの不気味な人形を可愛いと言ったメリッサにアンクは頭おかしいのかと蔑んだ目で彼女を見ていた。

すると、メリッサは展示されているサポートアイテムをずっと見ていた緑谷を見て口を動かした。

 

「ここにあるアイテム一つ一つが、世界中のヒーロー達の活躍を手助けするの」

 

そう言う彼女のその眼差しからは父親の憧れが伝わってくる。

 

「お父さんの事、尊敬してるんですね」

 

「パパのような科学者になるのが夢だからっ」

 

嬉しそうに微笑むメリッサに緑谷は思い出す。

 

「あ、そういえばメリッサさんってここのアカデミーの…」

 

「うん。今、3年!」

 

「I・アイランドのアカデミーっていったら、全世界の科学者志望憧れの学校じゃないですか!」

 

「え、メリッサさんここのアカデミーの生徒なんですか!?すっごい!」

 

この英知の集大成と言えるI・アイランドは化学育成機関も備えており、当然難関中の難関でそれに入れたメリッサは将来有望な科学者の卵だ。

緑谷と火野に将賛されメリッサは照れ臭そうに首を振り口を動かした。

 

「私なんかまだまだ…。もっともっと、勉強しないと……」

 

「僕も…オールマイトのようなるために…もっと努力しなくちゃ………!」

 

自分に言い聞かせるようなメリッサを見て緑谷も呼応するように頑張ろうと拳を見つめていた。

 

「いいな。お互い憧れの人がいるって」

 

「お前もオールマイトに憧れているだろう?」

 

「まぁ…ね」

 

その2人の背を見ていた火野は微笑ましく言うとアンクが隣から腰を持ち上げてくるような物言いをする。火野は照れ臭そうにそう言うと気配を感じたのか後ろを振り返る。「あ」とそれを見た小さく火野は声を漏らしていた。すると、メリッサは彼の言葉に緑谷を覗き込んで微笑む。

 

「デクくん、ホントにマイトおじさまが大好きなのね!さっきは凄い勢いでビックリしちゃった」

 

「あっ!すいません、ついその…癖で………」

 

緑谷が照れるとメリッサも楽しそうに笑う。側から見れば微笑ましいカップルにしか見えない。そんな2人を横から、火野とアンクとは違う別の聞き慣れた声が聞こえてきた。

 

「楽しそうやね、デク君」

 

「え?う、麗日さん!?どうしてここに!?」

 

そこに居たのはA組の同じクラスメイト麗日だった。まさかこんなところで会うとは思いも寄らなかったのか驚く緑谷だが麗日はいつも通りでどこか平坦な笑顔で言った。

 

「楽しそうやね」

 

「(2回言った!?)」

 

困惑する緑谷、すると「コホン」と咳払いが聞こえる。振り返ると緑谷はさらに驚いた。

 

「八百万さん!?」

 

「とても楽しそうでしたわ」

 

同じくクラスメイトの八百万が興味を隠せない顔で緑谷を見遣る。すると、その隣に居たA組の耳郎が耳朶のプラグをユラユラと浮かせながら緑谷を見ていた。ちなみに3人共ヒーローコスチュームだ。

 

「緑谷、聴いちゃった」

 

「恐るべし、耳郎さんのイヤホンジャック……!」

 

「奇遇というか…凄い偶然だね…」

 

耳郎の言葉に緑谷は不安を感じる。もしかして今までの会話を全て聞いていたのだろうか。聞かれて困るような事は何も言ってない。詮索するある意味恐い女子達の視線に火野は苦笑し、緑谷は妙に落ち着かせたくなる気持ちでいっぱいだった。

 

「お友達?」

 

「学校のクラスメイトで…何か誤解してるみたいで…あ、あの、僕は火野君達と一緒にメリッサさんに会場の案内をしてもらってるだけで…」

 

麗日達の誤解を解く為説明しようとする緑谷に状況を掴んだメリッサは助け舟を出そうとメリッサも口を開いた。

 

「そうなの!私のパパとマイトおじさまが…」

「わーーーーっ!!」

 

緑谷は慌てて大声で遮る。そして麗日達から離れて小声で懇願する。

 

「お願いします。僕がオールマイトの同伴者って事は火野君とアンク君には良いんですけど麗日さん達には内緒にしておいてください…!」

 

「どうして?」

 

「色々事情がありまして…」

 

ヒソヒソと話している緑谷はそう言いながらもこちらを見ている火野とアンクに目線を向ける。

困り果てたその目線からは〝僕が来た詳細は彼女達に内密に〟と言わんばかりのアイコンタクトを送っていた。火野は了承して頷き、アンクを見遣るとアンクは了解したのかしぶしぶそっぽを向いた。

すると、耳郎は火野に話しかけて来る。

 

「火野、何でここにいるの?」

 

「え?あ、あぁ、招待状を貰ったんだよ。ほら、体育祭で優勝しただろ?それの優勝品としてさ。それでアンクと2人で見学してたら偶然にも緑谷君と会ってさ」

 

「そうだったのですの?私は火野さんもあのお方と楽しそうに会話をしていたのを見かけたので、てっきり……」

 

「……」

 

その悪意のない八百万の言い方は何処か誤解を生む言動で、それでいて何故か耳郎はジト目で火野を睨んでいた。火野は首を傾げていると話し終わった緑谷とメリッサが立ち上がり彼女達に近づくと笑顔で口を動かした。

 

「よかったら、カフェでお茶しません?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★☆★

 

 

「へ〜!お茶子さん達、プロヒーローと一緒にヒーロー活動した事あるんだ!」

 

「訓練やパトロールくらいですけど…」

 

感心した様子でメリッサに麗日が答える隣で耳郎が苦笑する。

 

「ウチは事件に関わったけど、避難誘導をしたくらいで…」

 

「それでもすごいわ!」

 

「私は何故かテレビCMに出演するハメに…」

 

落ち込む八百万にメリッサは笑顔を向ける。

 

「普通じゃ出来ない事ね。素敵!」

 

どうなる事かとヒヤヒヤした緑谷だったが、エキスポ内のオープンスペースのカフェで、女子達はあっという間に打ち解け和気藹々と喋り始めていた。

女の子同士というのもあるだろうがメリッサの明るい振る舞いが彼女達の心を動かしているのかもしれない。

 

「明日、アカデミーの作品展示してるパビリオンにも行く予定なんです」

 

「すごい楽しみ!」

 

「メリッサさんの作品も?」

 

「ええ、もちろんっ」

 

トークが盛り上がる中、隣のテーブルに座っていた緑谷は安堵して息を吐く。火野はそれを見て口を動かした。

 

「よかったね、誤解解けて」

 

「う、うん…本当メリッサさんが優しい性格で助かったよ…」

 

脱力して再度息を吐いていると足を組んで手に顎を乗せてるアンクはこちらに来るウェイトレス店員に目が行く。その店員は「お待たせしました」と飲み物2つとアイスクリームを緑谷達の座るテーブルにへと置く。

ふと、聞き慣れた声だったのか火野と緑谷は顔を上げて店員の顔を見た。

 

「その声…!か、上鳴君!?」

 

そこに居たのは、ウエイター姿の上鳴と峰田だった。その声気付いた麗日達も声を上げる。

 

「と、峰田君!?」

 

「あんたら何してんのっ?」

 

驚く耳郎に、親指を立てて上鳴は答えた。

 

「EXPOの間だけ、臨時にバイトを募集してたから応募したんだよ。な?」

 

「休み時間にEXPO見学できるし、給料貰えるし、来場した可愛い女の子とステキな出会いがあるかもしれないしな!」

 

峰田は得意気に胸を張る。そして物色するような視線は、クラスの女の子達を通り過ぎてメリッサにロックオンしていた。上鳴と峰田は下心丸出しで火野と緑谷にからみつく。

 

「おい緑谷!火野!あんな美人どこで知り合ったんだよ!?」

 

「紹介しろよ、紹介!」

 

「いや、あの…」

 

「メリッサさんはそういうんじゃないんだっ」

 

困惑する緑谷と火野を見てアンクは鼻で笑ってアイスクリームをペロリと舐める。グリードの体で食べても味はしないはずなのに、どこか美味しそうに夢中に食べるその姿はまるで子供のようだった。

その後ろでメリッサは「彼等も雄英生?」と小声で八百万達に尋ねる声を上鳴と峰田の耳がキャッチした。

 

「そうです!」

 

「ヒーロー志望です!」

 

勢いよくメリッサ等の前に現れカッコつける上鳴と峰田。だがその時、またしても聞き慣れた声が聞こえて来た。

 

「なにを油を売っているんだ!?バイトを引き受けた以上、労働に励みたまえー!!」

 

ダッシュでやってきたのはヒーローコスチュームを身に纏ったA組の飯田だった。その物凄い勢いで恐怖のあまり「ギャァア〜!!」と絶叫する。

 

「い、飯田君!」

 

「立て続けに凄い偶然…!」

 

「来てたん?」

 

驚く緑谷と火野に唖然とする麗日。どうやら飯田は先にカフェに客として入って来てバイトをしている2人を委員長として使命感から見守っていたらしい。飯田は立ち止まると腕をブンブンと動かして口を開いた。

 

「ウチはヒーロー一家だからね。I・EXPOから招待状を戴いたんだ!家族は予定があって、来たのは俺一人だが……」

 

「飯田さんもですの?私も、父がI・EXPOのスポンサー企業の株を持っているものですから、招待状を戴きましたの!」

 

偶然、奇跡の連鎖のような出来事と物言いに驚く一同。八百万はそう言うと耳郎が続けて口を動かした。

 

「で、ヤオモモの招待状が2枚余ってたから、女子全員で厳選な抽選の結果、ウチらが一緒に行く事になったってわけ」

 

勝負に勝った耳郎は麗日の肩に乗せながらニッと笑う。

 

「ん。他の女子も、この島に来てるんだよ」

 

「奇遇だね、男子も実は他の子が来てるんだよ」

 

「えっ、そうなんっ!?」

 

「A組集結って感じだね…」

 

麗日はそう言うと火野も連れて来ていた爆豪と切島を思い出す。それと、轟も訪れている事も。となると現在I・アイランドには殆どのA組が耳郎の言う通り偶然にも集まっているということになる。

 

「明日からの一般公開に、全員が見学する予定ですの」

 

プレオープンには招待状が必要だが、一般の公開なら自由に観て回る事が出来る。今頃来られなかった女の子達も宿泊するホテルでのんびりしているのだろう。

 

「よければ、私が案内しましょうか?」

 

「いいんですか?」

 

「うん!」

 

「「「やったー!」」」

 

メリッサの申し出に喜ぶ女子達。上鳴と峰田も便乗しようと「お、俺達も連れて行って!!」とメリッサに縋ろうとしたその時。

 

 

 

 

ズンッ…!

 

 

 

 

「な、何だ…!?」

 

大きな爆発音が響き渡り、緑谷は振り返るとその視線の会場から大きな土煙が上がっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★☆

 

 

土煙が上がる最中、(ヴィラン)を模したロボットが次々と倒されていく。ここは〝個性〟を使用して(ヴィラン)を倒していくアトラクション『ヴィラン・アタック』。観客席へと急いでやって来た緑谷達は何事かと目を見開いた。土煙が晴れて現れたのは山岳を模した大きな岩山。

MCのお姉さんと共に近くのモニターにその人影が映し出される。

 

『クリアタイム33秒!第8位です!』

 

「あ、切島君っ」

 

モニターに映し出された切島にこんな所に居たのかと言わせる表情で言う。

 

「デク君、あの人も…?」

 

「はい、クラスメイトです」

 

メリッサに聞かれ緑谷は答えていると今度は耳郎が火野に声を掛ける。

 

「火野、他の男子って切島の事?」

 

「それともう1人。切島君がいるって事は…」

 

『さあ、次なるチャレンジャーは!?』

 

火野に続くように場を盛り上げるMCのお姉さん。その声につられるようにスタート地点で見た人物に火野は「やっぱり」と声を漏らし、他のクラスメイト等はその人物に驚いていた。

 

「!かっ…かっちゃん!?」

 

悠然とスタート位置に立つのは爆豪だ。

 

『それでは、ヴィラン・アタック!レディ〜…ゴー!!』

 

スタートと同時に爆豪は両手の平から爆破を放出。一気に上昇すると次々と的の(ヴィラン)を爆砕していきながら、叫んだ。

 

「死ねぇえええええ!!」

 

((死ね?))

 

綺麗な青空、楽しめるアトラクション。そんなこの島に不向きな言葉が響き渡り、緑谷と火野は唖然としていた。

 

『これはすご〜い!タイム15秒、トップです!!』

 

トップになったのに「フン」と物足らなそうにスタート地点に戻る爆豪。すると切島が驚いた様子で声を出した。

 

「あれ?あそこに居るの緑谷と火野じゃね!?」

 

「あ、あはは…」

 

切島が見上げる先に居た苦笑する緑谷に気付いた爆豪は両手の平から爆発を起こして一気に距離を詰めると観客の手摺りに掴まる。

 

「うおっ!」

 

「うわあっ!?」

 

驚く緑谷と火野、緑谷は思わず退くが構わず爆豪は吠えた。

 

「何でてめェ等がここにいんだぁ!?」

 

「そりゃ島なんだからどこに居たって、偶然会ったとしてもおかしくないだろ?」

 

「だからって俺の前にデクを持って来るな!俺がいる範囲外で観光しろや!!」

 

「無茶言うなよ」

 

柵越しの猛獣みたくガシャガシャと暴れる爆豪に戸惑う緑谷に対し冷静に会話をする火野。その間に飯田が割入った。

 

「やめたまえ、爆豪君!」

 

「てめェに用はねーんだよ!こんなところでまで委員長ヅラすんじゃねえ!!」

 

「委員長はどこでも委員長だ!」

 

相変わらずの怒号を当たり散らす爆豪。そんな彼を見てメリッサは麗日と耳郎に聞く。

 

「あの子どうして怒ってるの?」

 

「いつもの事です」

 

「男のインネンってやつです」

 

呆れたように耳郎、真剣な顔で麗日は答えているとスタート地点の付近にいる切島に八百万は声を掛ける。

 

「切島さん達もEXPOへ招待を受けたんですの?」

 

「いや、招待されたのは雄英体育祭で優勝した火野!爆豪と俺はその付き添いで別行動してた!なに、これからアレ挑戦すんの?」

 

切島の言葉に耳郎は「あいつ誘えたの?」と呟くと、聞いていたアンクが「ま、馬鹿だからな」と火野の代わりに答えていた。すると爆豪は暴れるのを止めて悪態を吐く。

 

「やるだけ無駄だ!俺の方が上に決まってんだからな!」

 

「む?…そうとは限らないよ?なあ緑谷君?」

 

「ひゃ!?ぼ、僕はその……」

 

煽るような口調にカチンと来たのか火野は眉に皺を寄せ緑谷に同調を求めるが緑谷は困ったような笑顔をする。しかし、麗日はふと、口を開いた。

 

「でも、やってみなきゃ分からないんじゃないかな?」

 

「うん、そうだね……え?」

 

思わず相槌をしてしまった緑谷。火野は「だよね!」と喜ぶ顔をしてるとは裏腹に爆豪は苛ついたまま柵を乗り越えて飯田を軽く突き飛ばすと緑谷に詰め寄る。

 

「だったら早よ出て惨めな結果出して来いや!三色野郎!クソナード!!」

 

「は、はぃい!」

 

「言われなくてもそのつもりさ、アンク!」

 

「フン、挑発にノりやがって。まァ、爆発頭の驚いた顔が見れるなら別にいいか」

 

気の抜けた返事をする緑谷。そしてやる気に満ちた火野はアンクを呼ぶと自分にもやる価値はあると思ったのか悪だくみの笑みを浮かべて火野に近づく。

と、その時だった。スタート地点から火野とアンクは聞き慣れた声が聞こえて来る。

 

 

「おいっ。申し訳ないが順番は守ってもらえないか?次の人が控えているんだ」

 

 

「え?この声…」

 

「…まさか」

 

飯田に負けない律儀な物言いに反応した火野とアンクは柵から見下ろす。スタート地点に立っていたのは癖毛で8:2分けが特徴でその腰にはバースドライバーが巻かれている後藤だった。

 

「ご、後藤さん!?」

 

「なっ…!?火野、アンク!?」

 

「フン、とんでもない集結だなぁ、これは」

 

お互いの顔を見合わせて驚く2人。アンクは鼻を鳴らして運命なのか宿命なのか、徐々に集うクラスメイト、雄英生徒を見渡してアンクは面白そうに笑っていたのだった。

 




ー 発想の域 ー

前回の続き!

黒霧「(彼はまだ未熟なだけ…。ポテンシャルは高いのです。私が見守っていかなければ)」

服を着替えた黒霧はホールに向かうと死柄木と眠たそうに優無が欠伸をしていた。

死柄木「来たか」

優無「ん〜…!ねむい…!でも死柄木君がもてなすって自分から言い出すなんて凄いね。ちょっと見直したわ〜」

死柄木「ボスとして立つにはそれなりの褒美と信頼を得なきゃなって思ってさ…。もてなす内容を説明する……ゲームだ」

優無「ゲーム?いいじゃん!何やるの?」

黒霧「なるほど。しかし、どのようなゲームを?」

死柄木「コレさ」

死柄木は2人にカセットを渡す。
だが、その表紙と裏側の詳細を見て黒霧は質問をした。

黒霧「これ、一人用のゲームでは?」

死柄木「そうだな。俺が得意なヤツを皆に見せるんだ」

優無「いや飽きるわ!何で一人用のゲームを数人で見るわけ!?阿呆か!それなら映画鑑賞とかの方がマシだよ!」

黒霧「死柄木弔。人間関係というのは常に相互的にあるべきです。皆んなでやれるゲームを選んでみては?」

黒霧の言葉に死柄木は首を掻き出す。

死柄木「コントローラー1つしか持ってないぜぇ…」ガリガリ

優無「それくらいなら買って上げるよ。で、何のゲームやる?モンハン?マリオ?」

死柄木「そんな子どもみたいなゲームは好きじゃない…ホラーだ。とびきりグロいヤツが良い」

優無「歓迎会なのに場の空気暗くしてどーすんのさ…」

黒霧「ま、まぁ必ずしもゲーム機を使う必要はないでしょう」

死柄木「……成る程、新しい発想だな。」

優無「…ちょっと黒霧。なるべく私等の案を持ち上げよ?こいつの発想とてもじゃないけどイカれてる…」

黒霧「しかし、彼がこうも新しい仲間にモテなそうとするその意志は尊重しなければなりません…。彼の案を上手くいい方向に私達で導きましょう」

優無「黒霧〜…あなた本当いい奴…グスッ」


No.70 パーティーへの準備

更に向こうへ!Plus Ultra!!
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