いつかの明日へ、【ヒーロー】は助け合いでしょ 作:しょくんだよ
ギョギョ!?ランキング入ってた!?
そしてまた高評価!!私もう嬉しさハッピーすぎるっすぅ!!!!ありがとうございます!!
警備システム奪還を決行した火野達は非常階段の近くで待機していた。緑谷がオールマイトに救けに行くと伝えに行っている間、火野はアンクに声を掛ける。
「アンク、ヤミーの場所は把握出来る?」
「あ?正確な場所までは無理だ。近づけばその付近にいるってのは分かるが」
「なら、今のところ反応がないのなら近くにヤミーはいないな」
お前なら分かるだろと言わんばかりに呆れた様子で答えるが前世の記憶がない事をうっかり忘れていたアンクは腑に落ちない表情でそっぽを向く。平然といるアンクを見て後藤は推測していると、緑谷が戻ってきた。オールマイトに伝えたと、皆に向かって頷く。それを確認した飯田が皆を見渡しながら口を開いた。
「行くぞ!」
「「「「「「おう!」」」」」」
この場にいる者達の作戦開始の狼煙が密かに上がった。
☆★☆★☆★☆★
デヴィットとサムが連れてこられたのは、セントラルタワーの最上階にある管理室だった。中には4人の
「連れて来てやったぜ」
デヴィット達を連れてきた
「だとよ。死にたくなければ急いでやんな」
脅されたデヴィットは冷静に「わ、わかった…」と頷く。サムは不安げな顔をのまま黙っている中、ソキルは他の
「出ろ」
言われた
☆★☆★☆★
その頃、緑谷達は非常階段を駆け上がっていた。各フロアが閉ざされた以上、ここが唯一の最上階への道なのだ。
「これで30階…」
一同を率いる飯田は階段の階数の表示を見て一旦足を止める。その後に続いた緑谷は最後に着いてきたメリッサに振り返り声を掛ける。
「メリッサさん最上階はっ?」
「ハッ……ハッ……200階よっ…」
苦しそうに息切れをするメリッサが答えたその言葉に上鳴は顔を顰める。
「マヂか…!?」
「そんなに昇るのかよ!?」
気が遠くなる程の階数にげんなりする上鳴と峰田に八百万が反省を促すように言った。
「
八百万の言う通り、これが今での最善の近道。だが、その八百万の言葉を嫌味ったらしくアンクが鼻を鳴らす。
「フン、面倒だなぁ。この壁ブチ破って外から飛んで行った方が早いだろ」
「馬鹿か。今の状況を考えろ。壁壊した瞬間に
オーズの力を使えば飛んで行けば事は早く済む。だが壁を壊した瞬間に警報が鳴り
「うわっ!?おいアンク!」
「(地道に階段を昇るのはお前等だけにしとけ)」
「お前も走れよっ!」
「(馬鹿が。こんな大人数で駆け上がるより人数減った方が走りやすいだろ。心配なくとも、ヤミーと出会したら出て来てやる)」
言われてみれば、人数が多い状態で駆け上がるよりも1人でも減れば走りやすい。アンクなりの考慮なのか一理あると思った火野は「そうだけども…」と言って顔を顰めていた。
再び、どこまでも続いてそうな階段を駆けていく。50階を過ぎたあたりで麗日は後ろから足音が小さくなっていくのに気付いて振り返る。一番後ろを走っていたメリッサが疲れて立ち止まっていた。
日々ヒーローを目指す為鍛錬をする雄英生とは比べメリッサが励む場所は頭を使う研究がメイン。体力面はどうしても差が出てしまうのだろう。
「メリッサさんウチの〝個性〟使おうかっ?」
浮けばだいぶ楽になると麗日は提案を持ち掛ける。メリッサは息切れを起こしながらも笑ってみせた。
「ありがとう…でも大丈夫!その力はいざという時にとっておいて!」
メリッサはそう言ってハイヒールを脱ぎ捨てて駆け出す。
60、70と駆け抜け、80階に到着したその時、先頭を走っていた飯田がハッと立ち止まる。
「シャッターが!」
目指す階段の途中でシャッターが下りていた。続々とやってきた緑谷達は息を整えながら立ち止まる。
「どうする?壊すか?」
轟は腕を上げながら言うと追いついてきたメリッサが口を動かす。
「そんな事したら、警備システムが反応して
「困ったなぁ…!」
行先が通れず顔を曇らせた火野が呟き、皆んなもどうしたものかと考えている中、すでにヘロヘロになっていた峰田が反対側にあるドアに気付く。
「ならこっちから行けばいいんじゃねーの…」
見るからにどうやらフロアへと続く非常ドアだ。峰田はハンドルに手を伸ばしたのを見た緑谷がギョッとする。
「…峰田君!!」
「おい!やめろ!」
「ダメ!」
慌てて止めようとする後藤とメリッサも間に合わず、峰田はハンドルを引いてしまった。
☆★☆★☆★☆
管理室に警告のブザー音が鳴り響き、ソキルは何事かと、パネルを操作していた眼鏡の男に近づく。
「なんだ?」
「80階の扉が開いた?」
眼鏡の男が疑わしそうに答える。
「お前、各フロアのスキャニングミスったのかよ!?」
吹かしていたタバコを下ろしたソキルは先程の態度のお返しと言わんばかりに眼鏡の男をせめる。眼鏡の男は舌打ちをし、パネルを操作した。するとモニター画面には80階の監視カメラの映像が映し出され、廊下を駆けていく緑谷達の姿が目撃される。
そしてレセプション会場、早速連絡を受けたウォルフラムが状況を聞くと冷静に指示を出す。
「80階の隔壁を全て降ろせ。餓鬼共を逃がすな」
「「了解」」
緑谷達を捕らえに手下の細長の男とチビの男の2人が会場を出て行くのを見ていたオールマイトは咳き込みながらも、少年少女達の無事を祈る。
「(気をつけろ…、みんな。
☆★☆★☆★☆
「他に上に行く方法はっ?」
非常ドアを開けたせいで
「反対側に同じ構造の非常階段があるわ!」
「急ぐぞ!」
飯田が速度を上げ駆け出したその時、行手の通路の隔壁が奥から次々と下りて閉じられていく。
「シャッターが!」
「くそ!」
驚く緑谷、後藤は啖呵を切る。すると八百万がハッと振り返る。
「後ろもですわ!」
後方もシャッターが下される。連中はこの場にいる者を閉じ込めようとしてきたのだ。どうすればと焦る火野。その中、隔壁で塞がれる隙間に何処かへと繋がる扉が見えた。
「っ!あそこ!」
「わかってる!」
同じく気付いたのか轟は頷き足元から氷結を繰り出す。閉じる寸前の隔壁を止める事ができた。
「よし、今なら!」
「くそ、もう派手にやっても問題ないな…!」
飯田と後藤も気付き、飯田は脹脛のエンジンで隔壁の隙間を飛び越え加速する。後藤も飛び越えバースバスターを構えると隔壁に向けエネルギー弾を2発放つ。風穴が空いたように扉は破壊されると続けて、飯田は銃弾で脆くなった箇所を勢いで、威力が増した蹴りを扉に当てて破壊した。
「この中を突っ切ろう!」
飯田を先頭に急いで扉の中へと入り込む。そして一同はその景色を見て驚いた。様々な植物がその広い内部を埋め尽くしていた。火野は驚き、同じように驚きながら緑谷はメリッサに声を掛けた。
「何だここ…すっご…!」
「こ、ここは…!?」
「植物プラントよ!〝個性〟の影響を受けた植物を研究…」
「待って!」
バッと耳郎がみんなの前に駆け出し止める。耳郎の視線の先にこのエリアの中央部に見えるエレベーターが見えると耳郎は指を指した。
「あれ見て!エレベーターが上がってきてる!」
表示されている階数を示す数字がどんどん上がって、ここ80階に近づいてきていた。
「
恐れる峰田の隣で緑谷は皆に声を掛ける。
「隠れてやり過ごそう!」
「うん!あそこなら全員大丈夫そう!」
火野が指を指す茂みに全員が移動して身を潜める。隠れている最中、上鳴はエレベーターを見て呟いた。
「あのエレベーター使って最上階まで行けねぇかな…?」
「無理よっ。エレベーターは認証を受けてる人しか操作できないし、シェルター並みに頑丈に作られているから破壊もできないっ」
「使わせろよ文明の利器…!」
メリッサの言葉に悔しさ故か体を震わせる峰田。その時、ポーンと音が鳴りこの階にエレベーターが止まったのを全員が知り、驚く。
「ひっ!」と峰田は体を縮こませる。
二重になっている扉は上下、左右へと開かれると中から細長の男とチビ男の
「っ!あの服装、会場にいた
辺りを見回すチビ男は口を動かす。
「ガキはこの中にいるらしい」
「面倒なところに入りやがって…」
細長の男が苛立ちながら答えると2人の足は徐々に茂みに隠れている火野達の方へとやってくる。
「こっち来る!?」
思わず声を漏らす麗日に飯田は「静かに」と制す。緊張が走る中、耳郎と八百万は必死に「あっちへ行け」と言わんばかりに願う素振りを見せる。火野も緊張しながらもゆっくりとオーズドライバーを取り出す。もし見つかった時はせめて足止めをと考えていた。
「見つけたぞ、クソガキ共!」
その時、投げかけられた声に全員が固まる。
やるしかないかと火野はドライバーを腰に宛い装着した瞬間、予想外な声が聞こえる。
「あぁ!?今何つったてめぇ!」
「「「!?」」」
初対面だろうと怒鳴るその声に聞き間違いとかレベルではない。緑谷達は慌てて茂みの中から向こうへと顔を覗く。そこにいたのは
(爆豪君…!?切島君!?)
「お前等、ここで何をしている?」
「そんなの俺が聞きてぇくらい」
「ここは俺に任せろ!な!?」
チビの男に突っかかろうとする爆豪を慌てて押さえ、申し訳なさそうな笑顔を浮かべた切島は
「あのー、俺ら道に迷ってしまって…レセプション会場ってどこに行けば…?」
予想外の展開と事態に戸惑う火野達。峰田が怯えながらツッコんだ。
「道に迷って何で80階に来るんだよ…!?」
切島の言い分はこの事態で更に悪化しており、当然
「見え透いた嘘つくんじゃねぇぞ!!」
「っ!?〝個性〟を!?」
「切島君!!」
「切島く…!」
思わず火野と緑谷は立ち上がる。
まさか攻撃されるとは微塵も思ってなかった切島は唖然とするしかなかった。だが、その攻撃の波動が切島に当たろうとした直後、巨大な氷の壁がそれを防ぐ。現れた氷壁に思わず尻もちをつく切島に爆豪が駆けつけ口を開いた。
「この〝個性〟は…!」
「轟!?」
冷気の向こうに氷結を繰り出した轟を見て切島は驚く。その時、ズズン…と氷壁の奥から壊すような音が聞こえ「チッ」と轟は舌打ちをする。
「俺達で時間を稼ぐ、上に行く道を探せ!」
火野達に言いながらしゃがみ込み、右手を地面へと当てる。瞬く間に広がった氷結は火野達の足元へと広がると氷柱となって上へと持ち上げられていく。
「轟君!?」
「君は!?」
叫ぶ緑谷と飯田に轟も声を上げる。
「いいから行け!」
「轟君っ!」
「轟さん!」
火野と八百万も声を上げると心配させまいと轟は言った。
「ここを片付けたらすぐに追いかける!」
「…わかった!」
「…はいっ!」
迷いないその返事に火野と八百万は強く頷く。すると、他のクラスメイト達を見た切島が轟の元へと駆け寄った。
「皆をここに…?どういう事だよ轟!?」
「放送聞いてないのか?このタワーが
「ええ!?」
「んだと…!?」
簡潔に告げた轟に切島と爆豪は驚き、その顔に緊張が走る。
「詳しい説明は後だ。今は
植物プラント最上部まで氷柱を持ち上げると緑谷達は横にある通路へと飛び移る。それを確認した轟はそう言いながら立ち上がる直後、氷壁が拳大の大きさ程次々と抉り取られるように穴が開いていく。どうやら細長の男の〝個性〟らしく、チビの男と共に氷壁から姿を現した。
「何だあの〝個性〟…!」
轟達が戦闘態勢に入るよう身構えると爆豪が言った。
「油断すんなよ」
「うっせ!わーっとるわ!」
轟の促す注意を叫び除ける爆豪。するとチビの男がまるで野性を解放するような雄叫びをする。
「ガキ共が…つけ上がってんじゃねぇぞォォ!!!」
するとチビ男の体の色が変わると同時に大きくなり獣のような姿へと変貌した。轟は舌打ちをしながら氷結の先制攻撃を繰り出す。だが男は氷壁をその剛腕で砕き、雄叫びを荒げながら轟達へと突進してくる。その振りかざした拳を轟と切島は避け、爆豪も爆破で宙へと回避する。そしてすかさず爆豪は爆破の勢いで急降下すると、無防備な背中へとそれを打ち込み爆破させた。
「死ねぇえ!!」
直撃した爆発のダメージが大きいのか男は痛そうに声を荒げる。だが、男はすぐに爆煙を退けて着地した爆豪へと襲い掛かった。
「爆豪!!」
助けまいと切島が爆豪を突き飛ばし、自身を硬化して男の拳を真正面から受け止める。だが、その威力は大きかったのか火花を散らしながら切島は吹き飛ばされ植物プラントの壁へと激突した。
「ガぁああ!?」
「切島ぁ!!」
「避けろ!」
思わず名を叫んだ爆豪が、轟の声に気付き、爆破で宙へと逃げる。
「キェエエ!!」
直後、細長の男が発狂しながら攻撃を仕掛けて来る。間一髪で避けた所に
「キァアアア!!」
だが
着地した爆豪と飛び退く轟が両者背中合わせとなった。それぞれの前方には
「お前ら、ただのガキじゃねぇな?」
「何者だっ!?」
「答えるか!このクソ
「名乗る程の者じゃねぇ」
☆★☆★☆★☆★
植物プラント上部の通路の扉を破壊して火野達が出て来る。だがここも隔壁によって閉ざされていた。
「くっ…!こっちもダメか!」
「おいおいどうすんだよ…!オイラ達完全に袋の鼠じゃねぇか…!?」
「ここまでかよ!」
焦る飯田に峰田と上鳴が弱音を吐く。他の皆もどこかに通路がないかと必死に探す。轟が繋いでくれた道標をここで途絶えるわけにはいかない。そう思った火野は、一か八かで壁を破壊できないかと考えていたその時後藤が何かを見つけたのか天井を見て声を掛ける。
「おいっ。アレは…ハッチか?」
「…本当だ。メリッサさんあれは…?」
後藤と緑谷が指差す先にはプラント内の天井の片隅にある小さなハッチだった。
「日照システムのメンテナンスルーム…!」
「!あの構造なら非常用の梯があるのでは!?」
メリッサの言葉に飯田は提案するとメリッサは小さく首を振る。
「確かに手動式のがあるけど、中からしか開ける事はできない…!」
残念そうに俯くメリッサ。麗日が「ここまで来たのに…!」と悔しそうに拳を握る。峰田も絶望しかける中、ジッと外周通路の天井を見ていた後藤に八百万が声を掛けた。
「後藤さん、気付きましたの?」
「あぁ、まだ可能性はあるみたいだ」
頷く後藤はバースバスターを取り出してハッチに標準を向けるとエネルギー弾を放ち直撃すると蓋ごと外すされる。中の狭いダクトが僅かに見えた。
「通風口の隙間から外に出て、外壁を伝って上の階に…」
「そうか、上にも同じものがあれば…!」
「中に入れるわ!」
八百万の言葉に麗日とメリッサと耳郎が嬉しそうに顔を見合わせる。
「凄い後藤さん!よく思いついたね!」
「……考えればすぐに分かるだろ」
近づく火野に後藤はぶっきらぼうな態度で答える。ふと、緑谷がブツブツと言いながら考え始めていた。
「狭い通風口に入って、外壁を登っていくには…」
小さく、壁を登れる人物。火野はハッと思いつく。どうやら全員も同じらしく一斉に峰田へと振り返った。
「え?」
自分を振り返るメンバー全員に、峰田はビクッと反応した。嫌な予感しかしない峰田は後ずさる。
「も、もしかしてオイラが!?」
「お願い峰田くん!」
「アンタにしか出来ないんだよ!」
麗日、耳郎が頼み込む。女子2人にお願い事をされるなど普段の峰田なら喜ぶシチュエーションだが状況が状況なのでそうもいかないようだ。
「バカバカ!ここ何階だと思ってんだ!?」
全力で拒否しようとする峰田。ここは80階。そして命綱など無し。その状態で壁を登れと言われているのだ、無理もない。そんな峰田に上鳴がサッと近づき肩を抱いた。
「皆を助けた功労者になったら、インタビューとかされたりして女子に大人気間違いなしだぞ!」
上鳴は親指を立てると麗日と耳郎も真剣な様子で峰田に近づいた。
「「お願い!」」
「ハーレム、ハーレムっ」
上鳴の囁きが峰田の脳内に押し寄せる。非常事態でこそ、悪魔の誘いと言うものは逆らえないものだ。そして峰田は泣きじゃくりながら叫ぶ。
「…わーったよ!行けばいいんだろ行けばあぁぁ!!」
「おぉ、さすが峰田君!」
「見返り求める程、人の性格がよく出るな」
峰田を見て火野は感心する隣で後藤も別の意味で感心していたのだった。
☆★☆★☆★☆
風が吹き荒ぶタワーの外壁に出た峰田は〝個性〟のもぎもぎを使用してほぼやけくそで壁を登って行く。外はもう夜で当たりは暗い。だが、その暗さが今の彼を隠すような暗さで返ってそれが良かったのかもしれない。
「ハーレムッ、ハーレムッ、ハーレムッ……ふぅ」
峰田にとっての魔法の言葉を糧によじ登る。だが階段を駆け上がった疲労もあったのか途中で止まる。気が抜けそうになったのかズズっと下がってしまい、峰田は我に返り死ぬ気で登り出した。
「ハーレム!ハーレム!ハーレム!……ふぅ」
またしても止まる。目的地点まで気が遠くなる高さだが、何せ落ちたら死ぬ。そうなったらハーレムどころではない。
「ハーレム!!ハーレム!!ハーレム!!」
峰田の脳内は性欲と死を繰り返しながら登る。そしてなんとかメンテナンスルームへとたどり着いた。
「やったぞ!オイラはやったぞー!!」
執念により見事に登りきった。これぞPuls Ultra。命懸けで降ろした梯に皆は無事メンテナンスルームへと上がることが出来た。
「さあさあさあ!オイラを褒め称えよ!女子だけでいいぞ、女子だけで!」
徐々に上がって来る皆を迎えながら天狗となる峰田。すると最後に上がってきたメリッサが、ニコリと微笑みながら口を動かした。
「凄いわ峰田くん!さすがヒーロー候補生ね!」
「ワァ…」
素直に褒められる峰田は感動のあまり情けない声を漏らす。そして峰田は湧き上がる気持ちのまま皆に向かって声を上げた。
「お前ら!気合入れて行くぞー!!」
「「「「おー!!」」」」
☆★☆★☆★☆★
最上階の管理室では、異常事態に眼鏡の男が映像を探っていた。
「おい、まだ見つからねぇのか!?」
苛立つソキル。ふと、緑谷達が映る映像が目撃されるがその中で振り返った耳郎は耳朶のプラグをモニターに向かって伸ばす。次の瞬間には映像が消えて画面は真っ暗になっていた。
「クソ!」とソキルは苛立って壁を叩く。
その時、待機していた
☆★☆★☆★
レセプション会場、連絡を受けたウォルフラムは頷くと、待機していたヤミー達へと指示を出した。
「……そうか、わかった。この場にいるヤミー共!〝オルカ〟の元、100階フロアへ移動しろ!」
「「「「キシャアア!!」」」」
ウォルフラムが手を広げ指示を出すとヤミー達は理解したのか一斉に奇声を上げ、客の悲鳴が響き渡りながら会場の外へと姿を消して行った。
全てのヤミーが姿を消すとオールマイトは気掛かりだった事をウォルフラムに問い掛ける。
「あのヤミーは一体!?」
「ほう?ヤミーを知っているのか?アレは日本からの贈り物でな。今回も、そして今後の俺の駒として使わせてもらう…!話は終わりだ」
そう言ったウォルフラムは再び黙して会場を見回す。ウォルフラムの言う事が本当だとすれば、どうやら脇真音自体はここには来ていないようだ。
「…くっ!」
だが、あの数が今緑谷達がいる場所に向かわせたのならあの子達に危険が迫る。動けずにいたオールマイトはただ、ただ情けないと悔しがっていた。
☆★☆★☆★☆★
その頃、緑谷達はちょうど100階フロアへと到達する。階数の表示を見て峰田は「やっと半分…」と肩を落としてそう言っている中、飯田は通路の向こう側に見える階段と、その隣にある扉を見て疑問を抱くように口を開いた。
「妙だな…シャッターが閉じられていない」
彼の言う通り、行く道を阻む通路の隔壁が下りてないのだ。不安に思う一同だが「すんなり通れてラッキーじゃね!」と楽観的に上鳴は言う。
「いや…むしろ逆に不安だよ…」
「うん、俺もそう思う」
険しい表情で緑谷の言葉に火野も同感し頷く。
「とりあえず、警戒を怠らず先を急ごう」と飯田が先陣をきって皆に言うと全員は駆け出す。だが、そのフロアの扉を通り過ぎようとしたその時、火野の中から人型のアンクが飛び出した。
「うおっと!?何だよアンク、出てくるなら言ってからーー」
「映司、この中にヤミーがいる」
「「「「!?」」」」
突然のアンクの呼び掛けに火野を入れて全員が立ち止まり驚愕する。何人かは腰を低くして臨戦態勢に入る者もいた。
「ここまで来てあの怪人共が相手かよぉ…!?」
「でも…様子が変だ…」
先程の威勢は消えて怯え出す峰田。だが同時に緑谷は不穏な空気が漂うその扉を見て疑問に思っていた。すると、飯田が答えるように口を開く。
「確かに、通路の先には待ち構えておらず、何故この中にヤミーがいるのだ…?」
「メリッサさん、向こうの階段からは最上階に行けるんですか?」
「え、えぇ。問題ないわ…この部屋はヒーローアイテムの実地試験を行う救助用のテストルームなの…。上に行くエレベーターはあるけど、その他の階段はあそこの階段でしか行けれない」
麗日の問いにメリッサは顔を曇らせながら答える。なら、何故わざわざこの部屋に待機しているのか?上に行かせない為ならこの通路で待ち構えててもおかしくはないはずだ。火野は考えながらもその部屋の状況を確かめるべくアンクに声を掛ける。
「アンク、この中にヤミーはどれくらいいるんだ?」
「かなりの数だ、こいつは稼げれそうだなぁ」
緊迫する空気の中、アンクだけは扉の向こう側にいる
「メリッサさん、恐らくこの中にいるヤミー達は足止め要因だと思います。ここで全員階段を目指してしまえば奴らは追ってくる…」
それを聞いたメリッサ、他の全員表情が強張る。理解した八百万が恐る恐る口を開いた。
「つまり…手薄だと向こうもこちらも分かってる上で、こちら側の誰かが残って囮になると……!?」
「そんな…!」
麗日は戸惑う。だがここで残らなければ全員がやられる可能性が高い。
「俺が残るよ」
率直に受けいる火野にメリッサ、クラスメイト達は驚く。火野は続けて口を動かした。
「ここは
「火野君…いや、僕が残ーーー」
「緑谷君は!メリッサさん達と最上階目指して」
緑谷の言葉に火野は割入る。覚悟を決めたその目に緑谷は言葉を失う。だが、その力強い瞳にどこか安心できるような気がしたのか緑谷は重々しく受け止めた。
「………わかった…!」
「緑谷君!…なら、俺も残ろう!」
了承した緑谷に飯田が割入り自らも囮になろうと挙手するが、それを後藤が止めた。
「おい委員長。お前の〝個性〟はこの先で役に立つ筈だ。
「後藤さん…!」
「だ、だったらウチも残る!」
後藤は火野の隣に立つと耳郎までもが残ろうと挙手する。すると、アンクは面倒臭そうに苛立ち始める。その瞬間だった。
「チッ!めんどうだなぁ!」
アンクは強く舌打ちをしてそう言うと火野と後藤の首根っこを引っ張り、扉の目の前へと寄せると、緑谷達が居る足元の目の前に向かってアンクはグリード化した右腕を勢いよく横に振る。瞬間、炎が燃え上がり、火野達と緑谷達の立つ目の前に横に広がる火の壁ができ、近寄れない程燃え上がった。
「っ!何を…!?」
「っ!?アンク!」
「ハッ!これなら問題ないだろ!お前ら、時間がないならとっとと先へ急ぎやがれ!」
後藤と火野が咄嗟の行動に驚く中、アンクは緑谷達に声を上げる。ここで口論しては時間の無駄だと思ったのだろう。先を急げと喝を入れられた緑谷は燃え盛る火壁越しに火野達に声を上げた。
「火野君!後藤君!アンク君!後で、必ず合流しよう!」
「くっ…!3人共!絶対無茶するんじゃないぞ!!皆!友の行為を無駄にしてはならない!先を急ぐぞ!」
飯田も割り切り、皆に言い渡すと他の仲間達は現実の状況を思い出して強く頷く。
「火野!あとバースの人!絶対追いつけよ!」
「必ず合流しましょう!」
「火野ぉ!オーズのお前なら楽勝だろ!」
上鳴、八百万、峰田と言い残し緑谷達は次々と通路を走り去って行った。その中、最後を走ろうと背を向ける耳郎が立ち止まり、火野達に振り返る。
「火野……!死なないでよ…!」
「耳郎さん…、うん、大丈夫!だから行って!」
強く願うその言葉に火野も強く頷くと耳郎は「うん!」と返事して緑谷達の後を追った。見送った後、残った3人の1人、後藤がバースバスターを構えたまま先陣をきって勢いよく扉を開ける。
そして、目の前の光景に火野と後藤、アンクまでもが驚愕した。
「キシャアア!!」
「ケケケ!!」
「ガアアア!!」
だだっ広く広がる空間を半分が埋め尽くさんとヤミーが有象無象と待ち構えていた。その数の多さに思わず後藤は怯んで後ずさってしまう。その中、奥の壁の上にこのテストルームを見渡せれる足場に
「ほぉ。俺の予想だと全員階段を目指すと思っていたのだが、賢いガキ共もいたのか」
「生憎だったな。そんな子供みたいな手口が俺達に通用すると思ったか?」
「お前、このヤミー共をどうやって従えてる!」
嘲笑うオルカに後藤が言い返すとアンクがヤミーらを見ながらキレ気味に問い掛けるとオルカは少し驚いた様子で口を動かした。
「ヤミーは日本の
オルカの言葉にアンクは鼻を鳴らすとタトバのコアメダルを取り出して少し残念そうに口を開いた。
「何だ、脇真音の連中がいないのか。コアメダルを奪えるチャンスかと思ったが、仕方ない。さっさとメダルを稼ぐぞ」
「いや、寧ろいなくてよかったよ」
有象無象にいるヤミーから目を逸らさずに火野は言うと、アンクは「映司!」と叫んでコアメダルを投げる。それが合図と知って火野は振り返ってコアメダルを3枚受け取る。その隣で後藤もバースドライバーを取り出し、腰に装着した。
「火野、かなりの数だ。気を抜くなよ」
「はい!後藤さんも無茶しないでください!」
お互いが覚悟を決めてそれぞれのドライバーにコアメダル、セルメダルと嵌め込む。火野はオースキャナーを取り出すと待機音が鳴り、後藤よバースドライバーから鳴る待機音と重なった。入り違う音が合わさり協和音となってテストルームに響き渡る。そして、火野はオースキャナーでスキャン、後藤はダイヤルのグラップアクセラレーターを回した。
「「変身!」」
タカ!
トラ!
バッタ!
タ・ト・バ!タトバタ・ト・バ!
《 カポーン… 》
それぞれの変身シークエンスが完了し、火野はオーズ、後藤はバースへと変身して戦闘態勢に入ったのだった。
火野「こ、こんなにヤミーが…!?アンクお前も戦えよ!」
アンク「あ?お前が危なくなったら助けてやる」
火野「おい!絶対戦う気ないだろ!」
アンク「フン、分かってないな。お前、オーズの能力を忘れたのか?」
火野「え?どういうこと?」
アンク「ま、次回で教えてやる」
No.73 コアに宿す奪欲
更に向こうへ!Plus Ultra!!