いつかの明日へ、【ヒーロー】は助け合いでしょ 作:しょくんだよ
ま、ま、またしても高評価…!本当ありがとうございます泣感謝感激でございますす!!
最上階の管理室、引き続きモニター画面を監視している眼鏡の
「おい80階!まだ捕まえてねえのか!?」
一方、植物プラントは爆煙に包まれながらソキルから通信を受けた怪物に変身した
「うるせぇ!黙ってろ!!」
「オラァ!!」
その時、煙の中から現れた爆豪が怪物の
「あいつ、空間に穴を開けてんじゃねぇ、抉ってやがる…!」
「そういう事か…!」
轟の声を聞いた爆豪は納得していると立ち上がってくる怪物の
「キリがねぇ、いつまでもてめぇに構ってられねぇんだよ!」
そう言って爆豪は爆破で跳び上がる。空中で両手をクロスさせ爆風でスピードを上げると、
「〝
「ウォオオオオオオ!!?」
雄叫びを上げる怪物の
「よくも!」
爆煙の中、細長の
「爆豪!」
だが爆豪は才能と言える反射神経で体を大きく反らすとその場の煙ごと丸く抉りとられ大きな穴が空く。直後、爆豪の右腕の服が破れる。すると、細長の
「チッ……ん?何だこりゃ?」
構えた細長の
「俺の手の汗だ」
「?」
「ニトロみてぇなもんだッ」
「っ!」
轟を見る爆豪の思惑に気付いた轟は直ぐ様細長の
「切島!」
「無事か!?」
「う…動けねぇ…助けてくれ…!」
辛そうに訴える切島に爆豪は呆れた顔で口を動かした。
「……アホかお前は。〝個性〟解けばいいだけだろが」
「あっ、そっか…」
ずっと硬化したまま挟まっていた事に気付き、切島は一瞬ポカンとしていたが、〝個性〟を解いて瓦礫からスルリと抜け出しホッと安堵する。
「あー、ビックリした」
「とりあえず怪我がなくてよかった」
「おう!おめぇらもな!」
轟達にそう答え立ち上がる切島に爆豪は「ケッ…」と呟き背を向ける。ふと、身を挺して守ってくれた事を思い出したのか爆豪はボソッと呟いた。
「……あんがとよ」
「んだよ、らしくねぇ!気にすんな!」
「してねぇわ!!」
笑う切島に吠える爆豪。とりあえず一段落ついた事を確認した轟は2人に声をかけた。
「よし、緑谷達を追うぞ」
「命令すんな!」
駆け出す轟に爆豪と切島がついていく。
「轟!詳しく教えてくれ!」
訳も分からない状態で事情を聞こうと切島がそう言った直後、機械音がした。その方向を見上げた轟らはハッと驚く。プラントの壁から押し寄せて来たのは約30体程の警備マシンだった。あっという間に囲まれてしまい、轟は再び戦闘態勢へと入る。
「奴ら、本気になったようだな」
☆★☆★☆★☆
『ボス!あいつらはただの子供じゃありません!雄英高校ヒーロー科…ヒーロー予備軍です!』
管理室では緑谷達のパーソナルデータがモニターに映し出されていた。眼鏡の男からの報告に、レセプション会場にいたウォルフラムは慌てる様子もなく口を動かす。
「ガキ共の目的は、おそらく警備システムの復旧だ。80階の警備マシンは稼働させたな?」
『はい』
「なら101階から130階までの隔壁を全て上げろ」
『え……?』
「言うとおりにしろ」
緑谷達の狙いが読まれている。冷静に指示を出すウォルフラム。その間、オールマイトは薄らと蒸気を出しながら、焦燥に駆られていたのだった。
☆★☆★☆★☆
「ハァッ!!」
「ギャア!?」
100階フロア、テストルームにて、オーズとバースは大量のヤミーと戦闘を開始していた。2人は囲まれながらも一定の距離を保ち、攻防を繰り広げる。タカアイでヤミーの攻撃を交わし、トラクローで切りつけ、バッダレッグで跳躍して避ける。3枚の能力を使ったタトバの戦闘スタイルにヤミー達も怯んでいた。
「フッ!」
「グオア!!?」
一方でバースも遠距離からのバースバスターでヤミー等を一掃していく。一度に打てる数が6発しかないのがデメリットだが、ずっと愛用している後藤は器用にメダルを素早く補充、装填し、瞬時に急所に狙いを定めてエネルギー弾を放つ。有利な戦況に見えるが、数が数、倒しても倒しても湧き出てくるように現れるヤミー等を見てオーズは少しだけ弱音を叫んでいた。
「あーもう!どんだけいるんだよ!?いくら倒してもキリがない!しかも初めて見るヤミーもいるし!」
昆虫系のヤミーとは別に哺乳類系のヤミーも中には混じっていた。丸く太った〝ネコヤミー〟に女性の身体付きをしている〝シャムネコヤミー〟。少し離れていた監視用の高台に立っていたアンクも確認してめんどくさそうに舌打ちをする。
「チッ、脇真音の奴、別のヤミーまで生み出せてたのか…。予想はしてたが、後々の事を考えると面倒だなぁ…」
「アンク!コンボで一気に倒せない!?」
「馬鹿が、後先考えてからモノを言え」
コンボを使えばその特性で楽に倒せるだろうと思ったオーズだが、その反動も大きく、動けなくなる事を重々承知しているアンクは悪態を吐きながら断り、メダルホルダーから2枚のコアメダルを取り出す。右手に持ったアンクは「映司!」と叫び、オーズに向かってコアメダルを投げ渡した。
「おっと!…あ!?これ、コンボじゃないだろ!」
投げ渡されたのはクワガタ、コンドルと別々のコアメダルだった。オーズはヤミーの攻撃を避けながらも文句を言うとその対応に苛立ったのかアンクも言い返す。
「いいから、とっととそれ使えっ!」
「もお!わかった!」
投げやり感のある言葉にオーズは半分やけくそにドライバーにあるタカとバッタのコアメダルを抜き取る。その間、アゲハヤミーが空中から飛来して襲ってくるが、間一髪気付いたオーズが「うわっと!」と言ってしゃがんで避ける。直ぐに立ち上がり、クワガタとコンドルのメダルを嵌め込み、オースキャナーでスキャンした。
クワガタ!
トラ!
コンドル!
「ハァッ!!」
音声が鳴り響き、それと共にオーズは〝ガタトラドル〟へと姿を変える。タトバの逆バージョンと思えるようなフォームへと変化し、オーズは片足を上げて身構える。すると、直ぐにオーズはクワガタヘッドに意識を集中させると、バチバチと頭部に電気が流れる。「ハァッ!」の掛け声と共に電撃が放出し、囲んでいたヤミー等に電流を浴びせた。
数体のヤミーが断末魔と共に爆散し、セルメダルが飛び散る中、続けて他のヤミー等が攻め込もうと駆け出す。今度は腕部のトラクローを展開し、脚部のコンドルレッグにも力を溜め入れた。
「フッ!!」
「ギャァ!?」
迫り来るヤミーの一体にオーズはトラクローで切りつける。続けて迫るヤミーに今度はコンドルレッグで回し蹴りをする。赤い斬撃の残るような残像が見える中、蹴られたヤミーは斬撃を食らったように切り込まれ、吹っ飛ばされていた。虎の爪、コンドルの足爪。双方の特性を合わせ持ったオーズの攻撃にヤミーはなすすべもなく次々とヤミーは倒されていく中で、アンクは再び別のコアメダルを3枚取り出し、オーズに叫んだ。
「映司!次はコイツだ!」
「!」
戦闘する最中、オーズはアンクの声に振り返り投げ渡されたメダルをキャッチする。模された造形のコアメダルを把握するとすぐにドライバーのコアメダルを取り替え、オースキャナーでスキャンした。
シャチ!
ゴリラ!
チーター!
「ハァッ!……フゥン!!」
ガタトラドルから変わり、続いてシャチ、ゴリラ、チーターの〝シャゴリーター〟へと変身を遂げる。オーズは腰を低くするとチーターレッグから蒸気のような煙が輩出する。次の瞬間、目にも止まらぬスピードで駆け出し、ゴリラの腕部ゴリバゴーンを両手いっぱいに広げ、ダブルラリアットの要領で駆け抜ける先のヤミーに直撃していった。その重々しいゴリラの一撃にチーターの脚が加わりスピードを増した重量攻撃はどんなヤミーでも立ち上がる事は難しいだろう。
「シャアア!!」
「ッ!ハァア!!」
地上が駄目ならばと思ったのか空中からアゲハ、クロアゲハヤミーがオーズへと接近し襲ってくる。オーズは立ち止まり、頭部の額のクリスタル器官〝オークォーツ〟で敵を感知して飛来するヤミー等へと振り返る。すると、その頭部から水が勢いよく噴射される。ウォータージェットのような威力で噴射された水はアゲハヤミー、クロアゲハヤミーはなすすべもなく断末魔を上げながら空中で爆散される。
そしてオーズとバースの戦闘により、かなりの数のヤミーが倒されていくのを目の当たりにしたオルカは驚くような表情で口を開いていた。
「これは…少し予想外だな…。火野映司、オーズ…侵入者のデータを拝見していたつもりだが…。予備軍如きがあれだけの化け物を次々と倒してしまうとは」
「フン!データってのは所詮は世間体の情報だろ?映司…オーズの力は想像を遥かに超える未知の領域ってヤツだ。情報だけの知識で挑もうなんざ烏滸がましいにも程がある」
「成る程。………その力ってのは、あのメダルが関係しているみたいだな…」
オルカの言葉に割入るようにアンクはそう言うとオルカは小さく何度も頷くようにオーズの戦闘を眺めていた。一方でバースもバースバスターで応戦していたが、オーズの戦闘をチラチラと見てハッとしていた。
「コンボでもないのに、メダルの組み合わせでこうも変わるのか…!」
体育祭の時にも亜種形態で戦っていたのを思い出していた後藤だが、火野の使い方にも寄るのかアンクの的確なコアメダルの選択とその戦い方を見て驚くバースにアンクは鼻を鳴らす。
「当然だろ。コンボだけがオーズの力じゃない。…せっかくだ、コアメダルが全部揃ってるついでに脇真音から奪ったコアメダルもある…。ここはオーズを知らない奴の為に特別に出血大サービスと行ってやろうか。映司!メダルチェンジだ!」
アンクが手に持つオーメダルホルダーには最大24枚までコアメダル、セルメダルが入れれる。その内の現在オーズが使っているのと自身の鳥のコアメダルを除いたコアメダルが入っていた。ここまでメダルが揃った事は前世でもなかったアンクは上機嫌にそう言って強気にニヤリと笑みを浮かべ、再びオーズに別のコアメダルを3枚投げたのだった。
☆★☆★☆★☆
その頃、緑谷達は120階まで到達し、通路を駆け抜けていた。
「なんかラッキーじゃね?101階超えてからシャッターが開きっぱなしなんて!」
「火野君の場所にヤミーを集中させ過ぎてウチらのこと見失ったとか?」
そう言う上鳴と麗日に耳郎は火野の事が心配なのか俯向く表情をしながら「恐らく違う…」と言うと八百万が続けて口を動かした。
「私達、誘い込まれていますわね!」
「ああ!」
険しい顔で頷く飯田。緑谷も真剣な表情で走り続ける。
「それでも、少しでも上に行くために、向こうの誘いに乗る!」
今は進むしかない。轟達や火野達が作ってくれた道をと緑谷は強く言い放つ。
130階まで上がって来た緑谷達は、最上階への通り道であるフロアの扉の前で警備マシンがうようよと徘徊するのを発見していた。
「なんて数なん…!?」
ドアからこっそり覗いていた麗日がその数の多さに驚く。おおよそ70〜80体はいそうだった。
「やはり相手は、閉じ込めるのではなく捕らえる事に方針を変えたか…!」
「きっと、僕達が雄英生である事を知ったんだと思う…」
相手も本腰を入れてきたのだろうと息をのむ飯田と緑谷。だがその後ろで八百万は強気に微笑んだ。
「でも、そうなる事はこちらも予想済みですわ!」
そしてかがんだ背中からには創造で造られた巨大なシートが空中に広がる。それを確認した飯田が頷いた。
「よし!予定通りプランAでいこう!上鳴君!」
「よっしゃ!やってやるぜ!飯田!いっちょ頼む!」
気合いを入れた上鳴が両手を飯田に差し出す。
「ああ!」と受け答えた飯田は上鳴の両手首を掴むと同時に実験室のドアを蹴り上げた。
「ぬおおおおお!!」
飯田は上鳴をグルグルと振り回し、遠心力で警備マシンの真上へと放り投げた。その間、飯田はすぐに皆が潜り込んでいた絶縁シートの中へと入り込む。
「くらえ!無差別放電130万ボルトォォ!!」
落下しながら上鳴は警備マシン目掛けて放電する。だがしかし、警備マシンは放電に対してその体を縮こませ電気を逃がすように一時停止したのだ。
「防御された!?」
「ちッ…なら!200万ボルト!!」
覗きながら驚愕する緑谷。だが上鳴は効かないのなら更に威力を上げるだけと言わんばかりに最大出力で放電する。雷のような電撃が実験室に迸り、そのド派手な放電に思わず耳郎がシートから顔を出す。
「馬鹿!そんな事したら!」
「ウェ〜イ……」
煙が晴れて現れたのはアホ顔の上鳴だった。
「アホになっちゃうだろ…!」
遅かったかと耳郎は呆れる。恐らく彼の「ウェ〜イ」は「ごめ〜ん」と言ったのだろう。立ってもいられずにしゃがみ込む上鳴。だが警備マシンはショートしてバチバチと火花を散らしていたのでプランAは成功のようだ。確認した緑谷がシートの中から立ち上がる。
「でも、お陰で警備マシンを止める事が…」
ホッとして駆け寄ってくる緑谷達。だったが、突如、停止していた警備マシンが再び可動し始めたのだ。そして数台の警備マシンが座り込んでいる上鳴に向かってワイヤーを射出し、上鳴を拘束する。
それを見た麗日が叫ぶ。
「上鳴君!」
「頑丈すぎだろ…!」
あわわとなる峰田達を認識して警備マシンは動き出した。構えながら飯田は皆に向かって声を上げる。
「仕方ない!皆、プランBだ!」
「はい!」
頷いた八百万は胸元から通信干渉入りの発煙筒を創り出す。ふたを外したそれを警備マシンの前へと投げると一気に煙が噴き出した。
「これで通信を妨害できますわ!」
八百万がそう言うと警備マシンは点滅し始めてフラフラと誤作動を起こし出す。その間、同じ発煙筒を八百万から貰った麗日、メリッサ、耳郎が次々と警備マシンに向かって投げつける。実験室は徐々に煙に包まれていく中、緑谷は峰田に合図する。
「峰田君!」
「上鳴を返せ!ハーレムが待ってんだ!」
峰田はそう言いながらもぎもぎでちぎったボールを投げまくる。混乱した警備マシンにそれがくっつき、動きが止まっていく。動けなくなった警備マシンがバリケードのようになり、後ろから攻め入る警備マシンたちを次々と堰き止めていった。
「どうだ!」
思わずガッツポーズを見せる峰田。だが、後ろの警備マシンはそのバリケードをよじ登ってきていた。
「しつけぇ〜!!」
「くっ…!」
まだ襲ってくる警備マシンに飯田は悔しそうな顔をして身構える。
「行くぞ!緑谷君!」
「うん!」
緑谷は正装の上着を脱ぎ捨てて、右の袖を捲る。手に巻かれていたメリッサ特製のフルガントレットのボタンを押すと右腕にピッタリと装着される。それに気付いたメリッサはハッとしていた。
「〝ワン・フォー・オールフルカウル〟!」
緑谷は気合いを溜め、緑色の稲妻が全身を迸る。
そして直ぐに飛び出し、ガントレットを纏った拳を構えた。
「〝フルガントレット〟…!」
『これを装着すれば、デク君の本来の力が発揮できると思う』
メリッサの言葉を思い出しながら、緑谷は力を調整する。
「〝SMAAASH〟!!」
そう叫びながら拳を一番前の警備マシンにぶつけると、とてつもない威力と風圧で警備マシンたちが吹き飛んでいった。緑谷は痛くない右腕を確認し、その性能を確信していると上鳴がアホ顔で親指を立てていた。
「ウェ〜イ!」
警備マシンを蹴り飛ばし、上鳴を解放する飯田。残りの警備マシンを蹴り飛ばしながら、周囲の状況を索敵を行う耳郎に声を掛ける。
「耳郎くん!警備マシンは!?」
「左から来る!」
「よし!右から進むぞ!」
飯田はそう言いながら上鳴を背負い駆け出す。緑谷達もまた後から続いた。
「デク君!なにその腕、すごいやん!」
先程の威力に驚いてた麗日に緑谷は「うん!」と頷き、斜め後ろを走っていたメリッサに少しだけ振り返る。
「メリッサさん、バッチリです!」
「持ってきてたのね!」
自ら設計したサポートアイテムの性能を目の当たりにしたメリッサは嬉しそうに微笑む。ふと、緑谷は恥ずかしそうに照れ笑いをした。
「外し方、わからなくて…」
「あ…」
そういえば伝えてなかったと言わんばかりにメリッサは苦笑を浮かべていた。
☆★☆★☆★☆★
『ボス!警備マシンのセンサーに障害が!ガキ共を見失いました!』
管理室の眼鏡の男から報告を受け、ウォルフラムは疲弊している人質達を見回しながら口を動かした。
「狼狽えるな。恐らく、ガキの中に聴覚の鋭い〝個性〟持ちがいるな…。わかった、何かあればすぐに連絡しろ」
ウォルフラムは連絡を切ると今度はこちらから100階フロアにいるオルカへと繋げた。
「オルカ、そっちのガキは始末したのか?」
『すみません、コイツ等少々厄介な〝個性〟持ちのガキです。ヤミーでは歯が立たないどころかほぼ全滅寸前の状態なんですよ…』
「なんだと…!?」
常に冷静でいたウォルフラムの顔が強張る。人外の存在であり、人以上の力と能力を兼ね備えたヤミーがやられているのは予想外だったのだろう。雑魚を送られたかと言わんばかりにウォルフラムは舌打ちをすると、オルカが口を動かした。
『ボス、例のブツ使ってもよろしいですか?』
「…あぁ、あの小娘に貰ったやつか。ヤミーが使えないのならそれも使ったところでゴミのようなものだろ」
信用してない態度でそう言う。だがオルカはそれを否定した。
『いえ…、あのガキが使うのと同じメダルなら、ガキ共を倒せるかもしれません。ボス、勝手ながら使わせてもらいます』
「……そうか、わかった」
☆★☆★☆★☆★☆
100階フロア、テストルームにて。
通信を切ったオルカは再びオーズとバースの戦闘を観察する。既にタワー全てから送られてきたヤミー等は僅かにしか残っておらず、それが今倒されようとしていた。
ライオン!
カマキリ!
チーター!
「ハァアアア!!!」
オーズは〝ラキリーター〟となりライオンヘッドの立髪部分、〝ライオネルフラッシャー〟から直視出来ないほどの光が放たれ、残ったヤミー共は眩しそうに目を押さえ悶えていた。その間、オーズは高く跳躍するとカマキリソードを展開し、怯むヤミー共に向かって突っ込む。
「セイヤ!セイヤァ!!」
「「ギャアアアア!!?」」
何が起きたのかわからないまま切られたヤミー共は断末魔だけを最後に爆散し、セルメダルが飛び散った。バースの方も、バースバスターで残りのヤミーに乱発し、倒していた。
「…はぁ…はぁ…これで、全部か…」
「みたいだね…さて、残るは…」
辺りに散らばる大量のセルメダルを見ながらバースはバースバスターを降ろし息を整える。そして全てのヤミーを倒したオーズ等は残る
「お見事…!あの数をこうも容易く倒されるとは、敵ながら感服だ…!」
「何言ってるんだあいつ…?」
「フン!追い詰められて頭がイカれたのか?映司、あんな奴さっさと倒せ」
「ちょ、ちょっと待って。丸腰の相手に戦えだなんてちょっと気が引けるなぁ…」
「俺もそういう趣味は持ち合わせていない。…おい、大人しく投降しろ。そうすれば手荒な真似をせずにすむ」
見たところ武器も何も装備していないオルカに対してオーズは戸惑うとバースも同意なのか頷くが、相手は
「安心しろ…丸腰なんて事はないからな」
「何?」
オルカの言葉に疑問を抱くアンク。すると、オルカは背中後ろから手をゆっくりと出す。そして、その手に持っていた見た事もないドライバーを見せ、オーズ達は驚愕した。
「っ!それは!?」
「ドライバー、だと…!?」
「…!」
オーズ、バース、アンクと続いて目を見開いているとオルカはニヤリと不気味に笑い、それを腰に充い装着する。そして、ポケットから真っ黒の甲殻種のコアメダルを3枚取り出し、見せびらかしながら口を動かした。
「お前達のそのメダルはとんでもない〝個性〟を秘めてるな…。なら俺も、有効に活用させてもらうよ」
「チッ!脇真音の野郎…!あんなモノまで渡していたのか…!」
1枚ずつ窪みに嵌め込むオルカにアンクはつくづく余計な事をしてくれる脇真音に腹を立てる。そしてオルカは3枚コアメダルを嵌め込むと、その両手をバッと広げて雄叫びを上げた。
「うぉおおおおおっっっ!!」
その瞬間、腰のドライバーが赤く発光し、黒いモヤが湧き出す。それはオルカの体をみるみると包み込んでいき、オルカは姿が見えなくなるほど黒いモヤに飲み込まれていった。オーズとバースは身構えると、アンクはまずいと思ったのか自身の赤いコアメダル3枚を取り出しオーズに声を掛けた。
「映司!コイツで一気にーーーー」
メダルを投げ渡そうとした、その瞬間だった。
ドスッ
「え…?」
オーズ達の目の前にいた筈のオルカの姿が消えた。何が起きたのか分からないオーズは声を漏らすと、隣で何かが貫かれた鈍い音が微かに聞こえ、漠然とした素振りで振り向き、その光景に驚愕した。
「………な……っ!!?」
隣にいるアンクの懐に消えた筈のオルカの腕が突き刺さっていた。突き刺された部分から血が流れているようにセルメダルがボトボトと足元に落ちていく。オルカは腕を引っこ抜き、アンクから離れると理解が追いついたオーズは慌ててアンクに駆け寄る。
「っ!アンク!!」
「ぐっ…はァっ……!!?」
お腹を押さえて塞ぎ込むアンク。「一体何が…!?」とバースも困惑する中、ある程度離れた位置に着地したオルカは自身の黒いモヤに包まれた体を見ながら不気味に笑い出した。
「フフフフ…!なんてスピード…!!想定外…!予想以上…!……うっ!!?」
見惚れるオルカだが、突如、胸元を押さえて膝をつく。
「うぅう…!!……なる…ほど…!!凄まじい能力と引き換えに反動も大きいってことか…!だが、想定内だ…!」
「ッ!?赤いコアメダル…!?アンクのか!」
苦しむオルカはそう言いながら、先程アンクに突き刺した右腕の拳を広げると、その掌には6枚のアンクのコアメダルがあった。それを見たバースは驚き、同時にオーズは目を見開いて、再びアンクへと振り返る。息が荒くなるアンクは必死にオーズに何かを渡そうと手を差し伸べる。
「アンク…!!」
「映…司…!!」
肩に手を置くオーズは何かを渡そうとするアンクに気付いてその手を差し伸べ、掴んだ。
その瞬間、アンクは原形を留められず、体は崩れ落ちてメダルの塊となった。
「っ!?……アンクーーーーッ!!」
「そんな…!?」
膝から崩れ落ち、悲しみの声を上げるオーズ。バースもアンクがやられるとは思わず漠然とする中、オルカは再び不気味な笑い声をあげる。
「フ…フフフフ!!このベルトを付けた瞬間ソイツが普通の人間じゃない事が分かってもしかしてと思ったが、予想通りだ…!」
そう言い終わった時、オルカはアンクのコアメダルを体の中に取り込む。そして、戦闘に入る為の言葉を口にした。
「変…身…!!」
瞬間、オルカの体は燃え上がり、熱波の衝撃が放たれる。力が漲るのか、はたまた炎で体に激痛が走るのか、オルカは雄叫びを上げるとその体はみるみると炎の鎧に包まれていった。激しい炎が収まり、そこに立っていたのは、オーズとバースと同じようで異なるような
No.74 奪う欲望の
更に向こうへ!Plus Ultra!!