いつかの明日へ、【ヒーロー】は助け合いでしょ   作:しょくんだよ

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合流と遭遇と消失


No.87 不意打ちの幕引き

 

「肉……早く見せてぇえええ!」

 

爆豪と轟と交戦するムーンフィッシュ。私欲が暴走したかのように歯の刃を無数に伸ばして攻撃を仕掛けるが、轟は休む事なく氷壁を作り出してそれを防御していた。

 

「近付けねぇ!!クソ!最大火力でブッ飛ばすしか…」

 

「駄目だ!」

 

「木ィ燃えてもソッコー氷で覆え!!!」

 

「爆発はこっちの視界も塞がれる!仕留めきれなかったらどうなる!?手数も距離も向こうに分があんだぞ!」

 

防戦一方で怒り吠える爆豪だが、ムーンフィッシュの容赦ない猛攻に突っ込めば切り刻まれるのは目に見えている。増してや、爆発や炎を使えば辺りの森に燃え移るのも当然なので、得意とする〝個性〟が使えない状態が続いていた。

 

「肉…肉………肉うぅうううっ!!」

 

歯の刃を更に増やしてムーンフィッシュはかき氷のように氷壁を削っていく。いくら氷結を繰り出すと言っても、限界も当然あり、轟の体は霜に覆われつつあった。炎を出せば温度調節が出来るが円場を背負っている以上、下手に炎を出すことは出来ない。当然嫌がるだろうが、無理を承知で爆豪に円場を任せようとしたその時だった。

 

 

『ウォオアアアアアアァアアアッ!!』

 

 

「あ…?」

 

「「!?」」

 

ムーンフィッシュの後ろから獣が雄叫びを上げるような咆哮が轟く。気を失っている円場以外の3人はその咆哮の先へ首を向くと、そこにはダークシャドウが凄まじい勢いと速度でこちらに向けて移動していた。

 

「ンだありゃ…!?」

 

凶暴化したダークシャドウを見るのは初めてなのか爆豪は声を漏らす。すると、ムーンフィッシュは「肉」と一言呟いて歯の刃をダークシャドウに向けて突き出した。だが、全身影の体に刃は通用せず、その体を通り抜ける。そして、敵と見做したダークシャドウは一気に間合いを詰めて、巨大な腕でムーンフィッシュを叩き潰した。

 

「あ〝!?」

 

虫を潰したみたく潰されたムーンフィッシュ。轟と爆豪は警戒して後退るが、ダークシャドウは咆哮を上げるだけで、その場から動かなかった。妙だと思った爆豪はダークシャドウを見つめていると、その背中にはなんと障子とそれを背負った緑谷が居たのだった。

 

「デク…!?」

 

「かっちゃん!」

 

緑谷も爆豪を見るなり声を上げると、轟はこの状況に理解が追いついていないのか、障子と緑谷に声を掛ける。

 

「障子に緑谷…!?そいつ常闇のダークシャドウだよな!?どぉなってんだ!?」

 

「訳あって常闇の中に()()()()()()()()()!2人共出来るだけ離れてくれ!こっちで(ヴィラン)を何とかする!!」

 

障子が応えると、潰されていたムーンフィッシュが力を入れてググッと起きあがろうとする。それに気付いた常闇に憑依したアンクが見下すようにダークシャドウに声をかけた。

 

「おい、トドメは刺すなよ?こいつは貴重な情報を持ってるんだ。死なない程度にさっさと始末しろ」

 

『ヌウ!貴様ァ!コノオレサマニ、指図スルンジャネエゾォォ!!』

 

「ほお?ならお前の大好きな光を浴びせてやろうか?〝個性〟如きが主人に逆らうとどうなるか教えてやろうか!?」

 

『ググ……!!ウォオアアアアアア!!!』

 

「!!?!」

 

常闇アンクの言葉に怖気づいたダークシャドウは言い返すのを辞めて、抗うムーンフィッシュを掴み上げると、辺りの木々を薙ぎ払うと同時に、ムーンフィッシュを後方へと放り投げた。衝撃音が鳴り響く中、ダークシャドウは『暴レ足リンゾオオオオ!!』と辺りの木々を紛いでは投げ散らかし始める。

 

「うおっ!?」

 

「常闇…アンク君!」

 

必死にしがみつく障子。おぶさっていた緑谷が叫ぶと、常闇アンクは右腕から炎をボッと放射させる。ダークシャドウは『ヒャン!?』と嘆いて瞬く間に常闇の体の中へと入っていった。

 

「チッ、この馬鹿が!貴重な情報源を放り投げやがったな!あれじゃあ生きてるのかどうかも分かんないだろっ!」

 

背後で着地する障子。常闇アンクは辺りを見渡し終わると、中に居るダークシャドウに向かって吠えていた。すると、精神の中から常闇がアンクに声をかけてくる。

 

「(アンク、俺の体から離れてほしい)」

 

「何でだ?」

 

「(頼む)」

 

単調にお願いをする常闇に、アンクは舌打ちをしながら常闇の体から離れる。セルメダルを消費したせいか、人型ではなく右腕だけの状態で浮遊しているアンクに、常闇は睨みながら口を開いた。

 

「…俺の暴走と、友を救けたのは感謝する。だが、俺のダークシャドウを愚弄するな」

 

「あ?…フン。あの化け物の暴走を制御出来ないお前が悪いだろ。俺がいなかったら危うく緑谷達を殺し掛けたんだぞ?逆に感謝するべきだと思うがなぁ」

 

「ぐっ、貴様…!」

 

「落ち着け常闇、アンクもだ」

 

常闇にとってダークシャドウは本人曰く〝分身〟。アンクの言い方は自分を愚弄するような物言いだったのか、睨みつける常闇だが、障子が間に入ってそれを止める。右腕のアンクはスナップするようにそっぽを向き、常闇は息を吐いて「すまない…」と謝ると、轟が近付いて声を掛けた。

 

「障子、常闇、緑谷…それにアンク。悪ぃ、助かった」

 

「轟君達も無事で、よかった…」

 

「あぁ、()()はな…。それよりアンク。火野はどうした?一緒じゃねえのか?」

 

息を吐く緑谷の言葉に、轟はそのボロボロの体を心配そうに見ながらアンクに声をかけると、アンクは浮遊しながら轟の隣に移動し、言葉を発した。

 

「…映司は、脇真音達に連れ去られた」

 

「「「!?」」」

 

アンクのその言葉に緑谷以外の轟、障子、常闇、爆豪の4人は驚愕し、目を見開いた。すかさず障子が口を開く。

 

「脇真音…。確か(ヴィラン)にいた火野と同じ〝個性〟を持つオーズだったな…」

 

「連れ去られたって、どうなってんだ…?目的は爆豪じゃねえのかよ…!?」

 

「奴らと戦っていた時、俺と同じグリード…簡単に言えば、人格を持った〝個性〟が生まれた。恐らく、脇真音に唆されて連れて行ったんだろな」

 

アンクは言い終わると轟達は驚愕と同時にその言葉を聞いて押し黙る。コアメダルから生まれたアンクの件についてはA組全員が把握している事なので、なんらかの拍子で別のグリードが生まれたと言われて今更驚きはしないが、よりによって火野が連れて行かれた事は、予想打にしていない衝撃の出来事だ。自身と爆豪達を守る事で精一杯だった轟は己の不甲斐無さに腹が立ち、「クソ!」と悪態を吐く。すると、緑谷が弱々しい声で口を動かした。

 

「火野君は恐らく(ヴィラン)の本拠地に連れ去られたと僕は思う…。直ぐにでも追いたいけど、今の僕達じゃあどうする事も出来ない…」

 

「だからって放って置くわけにもいかねぇだろ。早く火野を連れ戻さねぇとーー…」

 

焦る気持ちで一杯なのか轟はそう言うと、緑谷は掻い摘んで「だから」と口を動かした。

 

「現状、今狙われているのはかっちゃんなんだ…!ここで合流した今、僕達のするべき事はかっちゃんの護衛。ブラドキング・相澤先生プロ2名がいる施設まで送るのが僕達のするべき事…そしてー…」

 

「…成る程、(ヴィラン)と遭遇し、拘束すれば火野の居場所を突き止められるかもしれない…か!」

 

火野以外にも狙われているのは目の前にいる爆豪。彼を安全な場所へ送り届けると同時に遭遇した(ヴィラン)から情報を聞き出す。その判断に理解した常闇が言うと、緑谷は深く頷いて口を開いた。

 

「広場は依然にプッシーキャッツが交戦中。先ずは(ヴィラン)から避けてかっちゃんを最短ルートで護衛し、施設に預けた後、広場へと向かってマンダレイ達に加勢しよう」

 

「爆豪を護衛している途中で(ヴィラン)と出くわす可能性があるぞ」

 

「障子君の索敵能力がある!轟君の氷結…制御手段(ひかり)を備えた常闇君のダークシャドウ。そして、アンク君が憑依してくれれば僕もそれなりに動ける…!」

 

この場にいる全員を見渡しながら緑谷は唾を呑む。また、爆豪もここにいる連中を唖然とした様子でキョロキョロと見回していた。

 

「このメンツなら…、オールマイトだって恐くないんじゃないかな…!」

 

「何だこいつら!!!!」

 

目指す方角に全員が視線を向け、覚悟を決めた。すると、勝手に話を進めて勝手に護衛すると決まった事にプライドが許さないのか、爆豪はくわっと目を見開いて吠える。

 

「お前、中央歩け」

 

「俺を守るんじゃねえクソ共!!」

 

「行くぞ!!」

 

「無視すんなぁ!!」

 

轟の命令にキレる爆豪だが、それを無視して一歩踏み出す障子に更に怒りが募っていた。アンクもその後方を着いて行こうとすると、常闇が浮遊する右腕のアンクに声を掛ける。

 

「アンク…、さっきは…すまなかった…。お前も火野が居なくなって焦っているのに、俺はそれを知らずに怒りをぶつけてしまった…」

 

「……フン。ならさっさとその〝個性〟をモノにしろ」

 

事情を知った常闇は申し訳なさそうに謝ると、アンクもバツが悪いと思ったのか遠回しにフォローを入れる。その言葉に常闇は「…あぁ」と頷き、悪態を吐きまくる爆豪の後方を歩いた。

 

「……おい、轟」

 

「何だ?」

 

「そいつ、気を失ってるのか?」

 

ふと、アンクは轟に声を掛け、背中におぶさっている円場を見て問い掛ける。

 

「あぁ、毒の煙吸っちまって意識が無い。こいつも早いとこ施設に持ってかねぇと…」

 

脅かし役として森の茂みに隠れていた円場もマスタードの有毒の餌食になってしまい昏睡状態となっている。たまたま通りかかった轟が保護をしてくれていたが、現状おぶさったまま(ヴィラン)と鉢合わせすれば、先程みたいに防戦一方となってしまう。すると、アンクは意識を失っている円場へと近寄り、顔を確認すると、その体の中に入ったのだ。

 

「!?」

 

ガバッと起き上がった顔を見て轟は体を一瞬跳ね上がらせて驚くと、円場は轟の背から降りて肩を回し始める。その髪は赤のメッシュが掛かっており、どうやらアンクが憑依したらしく、口を開いた。

 

「コレなら背負わなくても大丈夫だろ」

 

「………お前、火野と同じくらいなんでもアリなんだな……」

 

 

 

 

 

 

☆★☆★☆★☆

 

 

マンダレイが交戦する広場を避けて獣道を移動する緑谷一行。

 

「…?誰かいるぞ…、2人…いや、3人だ」

 

先頭を歩く障子は、複製した耳を動かして気配を感じたのか他の皆に声をかける。それを聞いて、腰を低くして警戒する全員。障子は茂みを抜けて道に顔を出すと、そこには(ヴィラン)のトガに跨っていた麗日がいた。

 

「麗日!?」

 

「障子ちゃんっ!皆…!」

 

麗日とは別に、ペアで行動していた蛙吹が声を上げる。彼女を見ると、髪の毛がナイフで木に刺さっており、貼り付け状態となっていた。そして、障子達の存在に気付いたトガは、勢いよく立ち上がり、跨っていた麗日を払い退ける。

 

「あっ、しまっ…!」

 

「人増えたので、殺されるのは嫌だから、バイバイ……!?」

 

取り逃した麗日は咄嗟のトガの行動に体が追いつかずよろけてしまう。茂みの方へと移動して、麗日にトガはそう言おうとすると、ふと、障子におぶさっていた重症の緑谷が視界に入る。数秒立ち止まって見つめていたが、直ぐに我に返ってその場から姿を消した。

 

「待っ…!」

 

「お茶子ちゃん危ないわ!どんな〝個性〟を持ってるかもわからないわ!」

 

急いで追おうとする麗日を、自分で髪に刺さっていたナイフを外して蛙吹が駆け寄って彼女を止める。女子高生の身なりをしているが、ナイフや注射器を兼ね備えている彼女を無闇に追うのは危険過ぎる。そう判断した蛙吹の指示に麗日は追うのをやめて、障子等に近寄った。

 

「何だ、今の女…」

 

(ヴィラン)だろ」

 

「えぇ、クレイジーよ…。って…、貴方…B組の円場ちゃん…よね?」

 

轟は姿を消したトガの跡を見ながら呟くと、円場アンクが鼻を鳴らしてそう言う。それに蛙吹が応えるが、それと同時に円場を見て様子がおかしいと感じたのか疑問に首を傾げていた。

 

「麗日さん怪我を…!!」

 

すると、障子の背中から緑谷が声を上げて言う。それに反応した皆は麗日を見ると、太腿辺りに針で刺されたような跡があり、ツー…と血が垂れていた。麗日は反応してその足をぐりぐりと動かす。どうやら軽傷のようで、麗日は心配させまいと口を開いた。

 

「大丈夫…、全然歩けるし…っていうかデク君の方が…!」

 

「おい、呑気に会話してる場合じゃないだろ」

 

緑谷の重症に驚く麗日。だが、ここで立ち止まっていては先程のトガみたくいつ(ヴィラン)が襲って来るかわからない。円場アンクは声をかけると、緑谷はハッとする。

 

「とりあえず無事で良かった…。そうだっ、一緒に来て!僕ら今かっちゃんの護衛しつつ施設に向かってるんだ」

 

率直に目的を話す緑谷。だが、何故か麗日と蛙吹はその言葉に疑問を抱いて緑谷達の背後を見ながら口を開いた。

 

「………ん?」

 

「爆豪ちゃんの護衛?()()()()()()()()()()()()()()()

 

「え?」

 

何を言ってるんだ?と護衛していた緑谷達は顔を顰める。そのまま確認しようと後ろを振り返ると、そこに居た筈の爆豪、そして常闇までもが居なかった。護衛していたメンバーは障子、轟、円場に憑依したアンクしか居ない事を理解して、緑谷の顔は一気に青冷める。

この非常時、誰も油断する人間なんている筈なかった。まさかと思った次の瞬間、何処からか男性の声が聞こえてきた。

 

「悪いね。俺のマジックで()()()()()()()

 

「「「!!」」」

 

木の上に立つのは、黒い目出し帽の上に白の仮面を被り、丈の長いトレンチコートと羽飾りのついたシルクハットを身に付けた男性だった。白黒を基調とした貴族のような仮面を付けており、その指には小さなガラス玉が2つ握られている。男性は指先でガラス玉を転がしながら緑谷に声をかけた。

 

「こいつぁヒーロー(そっち)側にいるべき人材じゃあねえ。もっと輝ける舞台に俺達が連れて行くよ」

 

「ーーー!?返せ!!」

 

「返せ?妙な話だぜ。爆豪君は誰のモノでもねえ。彼は彼自身のモノだぞ!!エゴイストめ!!」

 

「返せよ!!」

 

仮面の男の言動よりも、怒りの方が強く、緑谷は短直に声を張り上げる。すると、轟が「どけ!」と声を上げて障子は身を横に引く。一歩踏み出した足元から氷結が繰り出されると、仮面の男の立つ木を凍らせる。だが仮面の男はその木から飛び退き、起用にも木のてっぺんに片足を乗せて再度口を動かした。

 

「我々はただ凝り固まってしまった価値観に対し、『それだけじゃないよ』と道を示したいだけだ。今の子らは価値観に道を選ばされている」

 

大人の都合に子供は強制的にその道を歩かせている。彼が言いたいのはそう言う事だろう。恰も時間を稼ぐような物言いをする仮面男。ふと、障子は辺りを見回すと、常闇もいない事に気付いたのか口を開いた。

 

「爆豪だけじゃない、常闇もいないぞ!」

 

「わざわざ話しかけてくるたァ…舐めてんな」

 

ついさっきまで後ろに居た爆豪と常闇が急に居なくなった。あの仮面の男はどんな〝個性〟を使ったんだ?と轟は模索しながら話しかけると、仮面の男はガラス玉を見せびらかしながらそれに反応し、口を動かした。

 

「元々エンターテイナーでね。悪い癖さ。常闇君はアドリブで貰っちゃったよ。ムーンフィッシュ…『歯刃』の男な。アレでも死刑判決、控訴棄却されるような生粋の殺人鬼だ。それをああも一方的に蹂躙する暴力性。()()()()と判断した!」

 

「この野郎!!貰うなよ!」

 

「緑谷落ち着け」

 

ムーンフィッシュと交戦している時から仮面男は監視していたような物言い。暴走したダークシャドウの強さと凶暴さを見込んで捕らえたのだろう。そんな仮面男に、怒りで我を忘れた緑谷は声を張り上げるが、複製した口で障子がそれを宥めようと声を掛ける。

 

「返してもらうぞ!」

 

すかさず轟はもう一度足を踏み出し、先程とは比べ物にならない巨大な氷結を繰り出す。辺りさえも覆う程の氷壁。だが、仮面男はそれを()()()()()かのように氷結の中から姿を現した。

 

「悪いね俺ァ、逃げ足と欺くことだけが取り柄でよ!ヒーロー候補生なんかと戦ってたまるかーー…」

 

「ほぉ、なら()となら問題ないな?」

 

「!?」

 

大道芸みたく宙を舞う仮面男。すると、その背後から声が聞こえ、振り返るとそこには円場アンクが空の上に()()()()()を生成し、立っていた。

 

「アレ、えと、B組の人!?」

 

「っ、アンク!」

 

「えぇっ!?」

 

「ゲロ!?」

 

それを見た麗日はうる覚えで叫ぶと、轟が憑依しているアンクの名を言う。それを聞いた麗日と蛙吹は目を見開いて驚愕していた。円場アンクは右腕をグリード化し、仮面男目掛けてその腕から火球を放射する。だが、仮面男は腕を突き出すとその火球が瞬く間に消えたのだ。

 

「!?〝個性〟か…!」

 

「アンク…あぁアンク君!資料で見たぞ!これは予想外なサプライズだ!確か火野君の〝個性〟だったな!?他の人に入り込む事が出来るのか!?面白いな!どうだ、敵連合(うち)に来ないか!?」

 

「ハッ!断る!もう()()()()のはウンザリなんだよ!さっさと降参して映司の居所を白状しろ!でなければお前を潰す!」

 

轟の言葉を聞いてテンションが舞い上がる仮面男はアンクに加入を申し込むが、円場アンクはそれを即答で断り、右腕から炎を出しながら警告する。くるりと宙を舞い、轟が生成した氷結の上へ着地すると、仮面男は深々とお辞儀をしながら口を動かした。

 

「それは残念、そしてその申し出も断る。()は優無ちゃんが勧誘してくれた、連合にとって逸材かつ貴重な人材!君達と同じ道を辿る運命を俺達が変えて、新しい人生を歩ませてあげよう!」

 

「巫山戯るな!」

 

円場アンクは激怒して火球を仮面男に目掛けて放つ。だが仮面男はヒラリとそれを避け、氷壁を踏み台として高く跳躍する。離れた所で着地すると、右耳に手を当て通信機を起動させた。

 

「開闢行動隊!目標回収達成だ!短い間だったがこれにて幕引き!!予定通り、この通信後5分以内に〝回収地点〟へ向かえ!」

 

通信を発した各場所に散らばっていた(ヴィラン)連合はそれを聞いて承諾する。そして、通信を終えた仮面男は、直ぐにその場から跳躍し、アンク達の前から姿を消した。

 

「ダメだ…!!」

 

「幕引き…だと!?させねぇ!!絶対逃すな!!」

 

「チッ!逃してたまるか!」

 

火野を連れ去られた挙句、爆豪、増してや常闇までもが連れて行かれる。焦りと恐怖が募り、緑谷は顔を歪ませると、轟が後を追おうと声を張り上げる。1番付近に居た円場アンクは強く舌打ちをして、追いかけようとその場から跳躍する。

だが、次の瞬間。

 

「ッ!?」

 

突然、宙を跳ぶその体の力が抜け落ちるように脱力感が襲う。体に全く力が入らず、アンクはその場から落下していく。

 

「あぁ…!()()()()()()か………!」

 

ポセイドンの衝撃波でかなりセルメダルを落としてしまったアンク。その状態でセルメダルを消費してしまう火球の攻撃を何度かしてしまった為に、動ける状態では無くなってしまっていた。火野を取り戻そうと必死になっていたアンクはそれに気付かず、動かないその身を悔やみながら、地面へと落ちて行ったのだった。

 

 




お、お待たせしました…!かなり省いてしまったのですが、殆ど原作通りなので、ご了承くださいまし…!



次回!第9章 〜神野区〜

No.88 敗北と病院

更に向こうへ!Plus Ultra!!


アンク「おい映司!何ウヴァなんかに体乗っ取られてんだ!」

映司「わ、わかんないよ!今俺どうなってんだよ!皆んなは無事なのか!?」

アンク「知るか!だが…このままじゃ相当ヤバい展開だ…」

映司「う、うん…。何か……打開出来る策を………いや、俺に……もっと力があれば………!」

アンク「っ!おい、よせ…映司!!」
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